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2002-04-25 第154回国会 参議院 環境委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年四月二十五日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         堀  利和君     理 事                 大野つや子君                 佐藤 昭郎君                 清水嘉与子君                 福山 哲郎君                 高橋紀世子君     委 員                 愛知 治郎君                 小泉 顕雄君                 山東 昭子君                 段本 幸男君                 西田 吉宏君                 真鍋 賢二君                 江本 孟紀君                 小宮山洋子君                 谷  博之君             ツルネン マルテイ君                 加藤 修一君                 福本 潤一君                 山下 栄一君                 岩佐 恵美君    国務大臣        環境大臣     大木  浩君    副大臣        環境大臣    山下 栄一君    大臣政務官        環境大臣政務官  奥谷  通君    事務局側        常任委員会専門        員        山岸 完治君    政府参考人        文部科学大臣官        房審議官     坂田 東一君        厚生労働省健康        局国立病院部長  河村 博江君        厚生労働省医薬        局長       宮島  彰君        厚生労働省医薬        局食品保健部長  尾嵜 新平君        農林水産大臣官        房技術総括審議        官        大森 昭彦君        農林水産大臣官        房審議官     山本 晶三君        農林水産大臣官        房審議官     坂野 雅敏君        食糧庁次長    中川  坦君        経済産業省産業        技術環境局長   日下 一正君        経済産業省製造        産業局次長    豊田 正和君        資源エネルギー        庁原子力安全・        保安院長     佐々木彦君        国土交通大臣官        房審議官     中山 啓一君        国土交通大臣官        房審議官     本保 芳明君        国土交通省河川        局長       竹村公太郎君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    飯島  孝君        環境省総合環境        政策局環境保健        部長       岩尾總一郎君        環境省地球環境        局長       岡澤 和好君        環境省環境管理        局長       西尾 哲茂君        環境省環境管理        局水環境部長   石原 一郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○土壌汚染対策法案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 堀利和

  3. 堀利和

    委員長堀利和君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 堀利和

    委員長堀利和君) 土壌汚染対策法案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 愛知治郎

    愛知治郎君 おはようございます。  自由民主党の愛知治郎でございます。  まずもって、この土壌汚染対策法案に関し、この質問の時間を与えてくださったことに、先輩方に感謝をいたします。ありがとうございます。頑張ります。  まず、二十一世紀環境世紀と言われております。これはもう正に本当にこの流れでだれも異論はないところでありますが、この環境世紀、その前に二十世紀の、環境行政において二十世紀の負の遺産の後始末、これをやらなければならない。もちろん、二十一世紀においてはこれからの環境への悪影響を排除していかなければいけない。その二面性があると考えておりますが、土壌汚染、これは一義的にまずやらなくちゃいけないこと、過去の負の遺産対策をまずしていかなくちゃいけない。  それで、今までの過去の土壌汚染問題に対する制度法整備を含め、現在どのような状況になっているのか、お聞かせください。
  6. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 御説明いたします。  公害対策に関しましては、これまで大気汚染防止法水質汚濁防止法等におきまして、汚染防止のための規制措置というものが講じられてきたわけでございますが、土壌汚染分野につきましては、まだ法制度が構築されておらず、典型公害最後の課題となっていたところでございます。  少し御説明申し上げますと、四十年代にはイタイイタイ病などでカドミウムが大変問題になりました。このときには農用地の土壌汚染に関する制度ができました。また、その後、五十年代には東京都で六価クロムの問題が発生いたしましたが、これには廃棄物処理法が強化されました。また、五十年代の終わりごろから、トリクロロエチレンなどによります地下水汚染ということが問題になりました。これは水質汚濁防止法などでその都度対処されてきたところでございますが、やはり市街地におきます土壌汚染対策という制度は現在まで作られていないところでございまして、近年、工場跡地等の再開発に伴いまして、重金属や揮発性有機化合物等による土壌汚染判明件数が著しく増加をしております。  したがいまして、これらの土壌汚染による健康被害防止するための対策の確立が急務ということになっております。  諸外国でも、米国ドイツオランダ等々におきましても法制度は整備されておるわけでございますので、土壌汚染につきましての国民の安全と安心の確保ということで、今回この法律案を取りまとめ、提出させていただいた次第でございまして、この法律案におきまして土壌汚染対策のルールを決めることによりまして、対策の適切かつ迅速な実施を図りたい、かように考えている次第でございます。
  7. 愛知治郎

    愛知治郎君 今、諸外国の例をちょっと挙げられましたが、土壌汚染に対する規制なり何らかの法的措置ですね、これ特にアメリカの話はよく聞くんですが、随分前から法整備がもう整っていると思われますが、それはいつごろからやられていますでしょうか。
  8. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 米国におきましては、早く、一九八〇年にいわゆるスーパーファンドを設ける包括的環境対処・補償・責任法というものが作られまして、その後、幾多運用を経ているところでございます。  例えば、ドイツにおきましての最新のものは連邦土壌保護法というものが一九九八年に制定されております。オランダにおきましても、改正を経ておりますが、最初土壌保全法というのが、失礼いたしました、一番最初には一九八六年に土壌保全法というものができました。その後、幾多改正をいたしまして、一九九四年の改正において大体現在のような姿で実施されておるというふうに承知しております。
  9. 愛知治郎

    愛知治郎君 ということは、もう二十年以上前から諸外国ではしっかりと法整備がされているということですね、特にアメリカでは。後でもう一回、このことについては質問をさせていただきたいと思いますが、土壌汚染に関してもう一つ、負の遺産を処理するという側面はもちろんありますけれども、これから未来、やはり二十一世紀においてもう土壌汚染をしない、させないという規制をしなくちゃいけないんですが、この法律においてはっきりとこれからしてはいけないということを明示されているようには見えないんですが、その点をちょっとお聞かせください。
  10. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 今、まず土壌汚染防止ということのお尋ねでございますが、我が国制度外国法制度とはそれぞれ体系が異なっておりますので、一概には比較できないと思います。  我が国におきましては、先ほど申し上げましたように、いわゆる典型公害大気汚染でありますとか水質汚濁でありますとかいったものにつきましてそれぞれ、これから排出してはいけないという未然防止制度を作ってまいったわけでございます。  土壌汚染につきましては、これが生ずる経路というものを考えますと、通常は水質汚濁を通じて、排水でありますとかあるいは地下に浸透させるという行為を通じて起こる場合、それから大気排出口から煙突を通じて起こるような場合、あるいは廃棄物として直接捨てるような場合、そういう何らかのルートを経て土壌汚染が起こりますので、そういう汚染が起こりますルートにつきましてはそれぞれ規制法がございまして、それによって未然防止を図る。  この法律におきましては、そういうことの規制は行われておりますけれども、結果として起こってしまった汚染につきまして対策を講じていくという措置につきまして規定を盛り込んでおりますので、未然防止とは手分けをいたしまして、この法律土壌汚染対策規定した法律というふうに構成させていただいている次第でございます。
  11. 愛知治郎

    愛知治郎君 では、ほかの法律、様々な法体系の中で相互補完的にこれから未然防止に努めるという趣旨であると理解してよろしいですか。
  12. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 先生御指摘のとおりのことでございまして、水質汚濁防止法等々の各法律におきまして未然防止を図っていく、その点につきましてはこれからもいろいろな新しい物質でありますなり、いろいろな新しい事態に応じまして、適切にそれらの規制法運用、適用していくということをしなければならないというふうに考えております。
  13. 愛知治郎

    愛知治郎君 分かりました。  では次に、細かくちょっとこの法律の内容を質問させていただきます。  まず、大事になってくる、本当に大事になってくるんですけれども、この責任の所在ですね。だれが悪いのかということなんですが、まずこの法律において調査をするべきだと、せよということなんですけれども、その主体土地所有者であると規定がされて、主体的に所有者がやるべきだという規定があるんですが、どう考えても、普通に一番悪いのは汚染原因者ですから、原因を作った人、汚染を実際にした人を第一義的にその責任を問うていくべきだと思うんですが、規定上、この主体所有者という形になっているのはどうしてでしょうか。
  14. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) この土壌汚染関係いたします責任を問われる可能性のある主体というのは、これは土壌汚染を起こした行為者もございますし、土壌汚染は、現在そういう汚染された土壌を持っているということにおいて土地を、所有者がそれを管理していただくという意味責任状態責任という二つ責任考えられるわけでございます。  この制度の中におきまして、どのようにその二つ責任構成するかということでございますけれども、これは汚染者が分かりましたときに、それを浄化をしたりあるいは対策をしていくということにつきましては汚染者負担の原則によって構成をしておるところであるわけでございますけれども、この汚染調査は、この時点では汚染の有無も判明しません、あるいは汚染者がだれかということも判明しないわけでございますので、迅速に調査を行い、的確に汚染を判定するという趣旨から土地所有者調査を行っていただくと。それは土地所有者土地を管理していく状態責任範囲として許容されるものではないかというふうに考えまして、土地所有者調査実施していただくという規定にいたしたものでございます。
  15. 愛知治郎

    愛知治郎君 分かりました。  必要やむを得ない措置というか、原因者がすぐに分かれば必ずそちらにすべて費用負担させる、調査費用も含めすべてを責任を負わせるべきだと思うんですが、確かに、いなくなっちゃう人、分からなくなっちゃうということが多いのでやむを得ないのかなとは思います。  しかしながら、だからこそその土地所有者、まず責任がない人ですよね、元々、汚染に対しては、その人が費用負担を負う、調査をしなくちゃいけないということでありますので、どうせ最終的には汚染原因者求償していく。結局、費用とかすべてのものを、あと責任取れと、お金を返してくれという形で求償していくことになるとは思うんですが、その求償をするためにもまた、だれがやったか分からなくなって混乱する可能性があるので、原因者というのはしっかりと特定をしていかなくてはいけないと考えますが、その原因者、どこまで行っても因果関係がある人全員になると切りがないですから、その特定する場合の範囲というのを教えていただけますか。
  16. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 本法案におきまして汚染除去等原因者に行ってもらおうと、こういうことでございまして、本法案の書き方でございますが、第七条のただし書には土壌特定有害物質による汚染を生ずる行為をした者というふうに規定をしております。  この意味は、その土地土壌汚染を発生させる行為を直接行った者であるというふうに考えておりまして、いろいろ、例えば諸外国米国などで運用されましたような間接的にどんどんさかのぼっていって、いろいろな関係者につきましても何らかの責任があるのではないかという構成ではございませんで、汚染土壌の発生と関係が間接にとどまる者は含まれない、直接的に汚染行為を行った者を対象とするというふうに規定しているところでございます。
  17. 愛知治郎

    愛知治郎君 この点は非常に重要でありまして、やはり本当に混乱を生じてしまう、アメリカの例がそうだと思うんですけれども、訴訟の乱発ということを聞いていますので、私自身も大変な危惧を感じているところでありますが、しっかりと、今直接的とおっしゃいましたけれども、この点ははっきりさせてもらいたいところであります。  また、今、土地取引、また後述しますけれども、取引に関しても、やはりいつ原因者責任を負わされるかたまったものじゃないというか、会社の側が不安に思っているということを認識をしておいていただきたいです。  またもう一つ、次に進みまして、原因者特定をする場合の方法ですね、一応知事がやるということでしょうが、その方法、具体的にちょっとお聞かせ願います。
  18. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 本法案では汚染原因者に対して必要な措置実施を求めるということが規定されておるわけでございますので、本法案実施に当たりまして、御指摘のように、汚染原因者特定をしていくというのは極めて重要な事項でございます。  具体的には、汚染がありましたという確認をされた地域におきまして、そこで汚染除去等措置を講ずべきことを命ずると、こういうことになるわけでございますが、そういう場合におきまして都道府県知事は、一つには、過去の土地所有者等関係者からの聞き取りは行わなきゃいけませんし、それから二つ目には、そういう汚染物質を排出する可能性の高い水質汚濁防止法各種施設の届出と、こういう状況都道府県知事において資料を持っております。その他都道府県におきまして得られる土地の履歴の情報調査などにつきまして総合的に判断いたしまして、汚染原因者特定していくということになるというふうに考えております。
  19. 愛知治郎

    愛知治郎君 分かりました。  しかしながら、これ土壌汚染のみならず、一般的な例えば廃棄物なんかもそうなんですけれども、自治体に、知事に任せるということでありますけれども、逆に自治体、私自身のこれは考え方ではあるんですけれども、自治体が直接的にやると余りにも近いですよね、関係が。そうすると、まあ原因者としても責任を負わされたくないという部分もありますし、余りにも身近に感じてしまう。常に接点が多いもので、混乱が起こりやすい、特定しづらいとか責任を負わせづらいという部分があるんじゃないかと。いわゆるやりにくいんですよね、余りにも身近過ぎて。  その点で、私自身考え方なんですが、これこそ環境省が、国が、全くトップダウンじゃないですけれども、積極的にかかわっていくべきじゃないかと。積極行政、特に環境行政、こういう廃棄物問題とか汚染の問題に関しては積極行政環境省がやっていくべきじゃないかと考えておるんですが、その点、大臣、その姿勢ですね、これからの環境行政に関して、もっともっと自治体、総理がおっしゃっていた民間にできることは民間で、それはもうそうだと思います。本当に時代の流れはそうだと思いますし、また地方分権流れもありまして、地方でできることは地方で、そのとおりだと思うんですが、こういった問題に関してはどうもなじまない。民間で、廃棄物なんかはそうでありますけれども、民間でやらせようと思ったらなかなか進まなかった分野でもありますし、問題がまだ多い。それから、それも同様に自治体に任せようと思ったときになかなか進まない。だからこそこうやって中央が、余りそういう接点がないところの中央環境省が主導的に、積極的に行政を進めるべきじゃないかと考えるんですが、その点、大臣の見解をお聞かせください。
  20. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 環境行政、私もたまたま二回目の責任者としてやらせていただいておりまして、この四、五年ずっと見ておりますと、まあずっと続いてきておることですけれども、いろんな意味中央におきます縦割りの問題もありますけれども、今度、私が自分で発明したわけじゃないんですけれども、よく横割り横割りと言っているんですが、中央とそれから都道府県、そしてまた、何といいますか、市町村あるいは民間のそういったものの、何と申しますか、仕事の分担というのは、非常に物によっていろいろあると思います。  余り近いところの人が直接出ていくとやりにくいとおっしゃることもありますけれども、一般論として申し上げれば、やっぱり現実にどういう状況になっておるかということについて知識を持っていないとできないということでございますから、一般的な方策についてはいろいろと環境省としての、国の方からの、中央からやっぱり原則的なことは申し上げるとしても、現実解決の問題になりますと、今のところ私はやっぱり経験的にも都道府県が中心になってやっていただくということが必要ではないかと。  ただ、その中でいろいろとまた、現場ではなかなかその解決が付かないという問題、問題ごとにやっぱり非常に違いますので、私もっといろんな経験聞いておりますし、またいろいろと現場からのお申出もありますけれども、今のところ私は直ちにすべての問題について中央から現実に問題の解決について直接に乗り出すというのは、いささかちょっと、現状、実態に合わないんじゃないかというふうに感じを持っております。
  21. 愛知治郎

    愛知治郎君 もちろん直接的に今すぐに余りにも過度にかかわり過ぎるというのは問題があるんですが、この点でちょっと次の質問の中で考えを述べさせていただきたいと思うんですが、この場合、特定できないとき、先ほどの原因者が。原因者特定できない場合に、まあいなくなっちゃったというのはあるんですけれども、費用が掛かります。そのときに、どうしても所有者にすべて負わせなくちゃいけない、だれが責任を取っていいのか分からなくなるときに支援が必要になる可能性が出てくると思うんです。その点で、正に環境省が役割を発揮すべきじゃないかと、中央が主導的に行政を担っていくべきじゃないかという考えがあるんですが、私自身はそう思っているんです。  例えば、今の場合、集合住宅とか、会社ですとまだいいんですが、集合住宅、普通に住んでいたときに、汚染可能性がある場所がある。それで、調査を命じられていろんな調査もしますし、その後の処置をするのにかなりお金が掛かると。とてもじゃないけれども負担ができないといった場合に、また原因者もいないですから費用求償というのができないときにどうしたらいいのか。そういう場合に、国がこれは環境政策として積極的に支援を行っていくべきじゃないかと私自身考えておるんですが、この点、せっかくですから、政務官、御意見をお聞かせ願えますか。
  22. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 済みません。  実務的な説明をまずさせていただきたいと思いますが、先ほどの、まずその支援のときに、まず、じゃその汚染原因者をどういうふうに特定するかにつき、環境省としてももう少しやることはないのかということがあったと思いますので、それにつきまして実務的に考えておりますことは、都道府県知事がその原因者特定するときの判断材料につきましては先ほど申し上げたようなことであるわけですけれども、じゃ、それを具体的に判断する場合にはいろいろな前提となる資料がないといけないと思っています。  実は、都道府県公害行政におきましては、大気保全でございますとか水質汚濁でございますとか、多くのものは都道府県あるいは能力のある政令市というところでその規制実務を行っておりますので、そういう工場等情報というのは地方公共団体にたくさん集まっておるわけでありますけれども、しかしながら、この汚染原因者を判定するというときにはなかなか難しい問題がございますので、これは、例えば過去の汚染事例におきまして原因特定をどういうふうにやってきたかというふうな事例参考にしていくということも集めて、それを相互に参考にし合うということも非常に必要なことだと思いますし、あるいは科学的知見をいろいろ集めまして、科学的に調査をやることにより原因関係特定していくというような技術も出てまいろうと思いますので、そういうものも提供していくという支援はまず必要だと思っています。  さらに、もうちょっと乗り出す必要があるのではないかということで、実はやっぱりそうやっていってもかなりの事例特定ができると思うんですけれども、やはり最後特定が困難な事例、やはりこれは何とかしなきゃいけないということで、それが一番問題になりますので、そういうものにつきましては絶対のかぎというのはないわけですけれども、やはり一層の技術の、技法といいますか、そういう特定方法技法を向上していくということは必要でございますから、環境省としても、都道府県と協力してケーススタディーを行うとか、そういうことで積極的に実践的な方法を工夫して積み重ねていくことは必要だと思っております。  ただ、それをやりましても原因者がいない、あるいは不存在になってしまっている等におきましてなかなか事業の実施に困難なことがある場合がありまして、それにつきましては、現在既に用意されております一般の事業者等に対する支援措置というものにつきましては、これは一つには日本政策投資銀行等によりまして低利融資をやっていくと。その場合には〇・五%の利子助成を行うという制度一つございます。あるいは環境事業団でこういう浄化、土壌地下水浄化をします機械を中小企業の方々に貸して、それで浄化をしてもらうというバックアップもしております。  それから、税制、基金の問題でございますが、固定資産税の課税標準の特例措置とか特別土地保有税の非課税措置というのは地下対策についてございましたが、本年度から土壌対策につきましてもそれは広げるということにいたしました。  それから、この法律で更に一つ新しい措置として考えておりますのは、この基金を設けまして、住宅やマンション等で土壌汚染が発見され、汚染原因者が不明といったような場合に、その負担能力の低い土地所有者に対する支援措置ということをやっていこうということで、この法律の二十二条の基金からその対策費用支援をするということにしておりますのが実務的に用意しておりますプログラムでございます。
  23. 愛知治郎

    愛知治郎君 分かりました。  積極的に、とにかく自治体が、今、知事が中心的にやるということなので、知事に対する、自治体に対する支援という形が一番具体的にできるんじゃないかというふうに考えておりますので、どんどん積極的に、これは予算の問題もありますけれども、こういったものはしっかりと推し進めていくべきだと私自身は思っておりますので、よろしくお願いします。  次にちょっと進ませていただきますが、この法案に関して、いろんな場合、浄化をする場合であるとか調査及びまた覆土、いろいろなケースが考えられると思いますが、具体的な決定は知事がすると書かれていると思うんですが、この状況ですね、場合、どのような場合に浄化しろと、どのような場合にその応急措置を取るべきだというのが明確ではないんですが、その点ちょっとお聞かせ願えますか。
  24. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 土壌のリスク、土壌汚染によるリスクを低減するための除去等措置の内容についてのお尋ねでございますが、この土壌汚染の起こってきます物質につきましてはおおむね二つの系統のものがございまして、一つは、重金属のように余り動かない、それが余り土壌の中で動きませんけれども、それに接触いたしましたりあるいは吸入いたしましたりということで健康リスクが生じるようなもの。それからもう一つは、トリクロロエチレンのような揮発性の有機物質でございまして、これが土壌の中から最後地下水を汚染するというような形で、地下水汚染という形で影響を与えるようなものがあると思っております。  それぞれにつきましての手法でございますけれども、重金属の場合は、土壌を浄化をしていくという方法のほかには、その暴露、そういう余り動かないものでございますから、その土壌をそこで人と触れないようにしてしまう、遮断してしまうというような様々な手法があり得るわけでございます。  地下水につきましても、そのもとであります土壌汚染の、土壌の例えばガスなどを浄化いたしまして浄化をするというような方法から、あるいはまだ地下水に至る汚染でありません場合は矢板などを打って封じ込めるという、いろいろな方法があるわけでございます。  それで、したがいまして、例えば本法のそういう具体的な措置の内容につきましては、まず本法の命令におきまして定めるということになるわけでございます。その中で詳細に決めていくということになろうかと思っておりますけれども、例えば、表層土壌が重金属に汚染されているような場合で、これが土壌汚染の直接摂取によるリスクということを考えるという場合でございますと、土地利用の状況に応じまして、例えばこれは駐車場に利用するといったような程度の場合でございますれば、そこを覆土していくとかあるいは舗装をしていくといった措置でリスクは避けられるというふうに思っております。  逆に、例えばその土壌が揮発性有機化合物によって極めて高濃度に汚染されているといったような場合につきましては、これはもうその汚染土壌自体を掘削除去処理をしていただくとか、あるいはその内で浄化措置をやるという浄化措置までが必ず必要だという場合があると思います。  その点につきましては、環境汚染状況あるいはその土地の使われ方というのに応じまして詳細な技術基準というものを示していく必要があると思っておりますので、その技術基準の実施命令を決めるに際しまして、今後、専門家の意見も聞きまして詳細に検討していくということにいたしたいと思っております。
  25. 愛知治郎

    愛知治郎君 例えば覆土とかいう措置は応急処置と、あくまで応急処置だと私自身考えておりますし、この前、江本議員が浄化しろという話をちょっと聞きましたけれども、正に最終的には浄化をするべきだと私も考えておりますが、おりますが、現実問題、例えば中小企業に関してもそうですが、浄化をすべてしろということになると、まず資金がない。それから、ファンドでどんどん積極的に支援するということを考えても、最終的な浄化まで求めてしまうと余りにも資金が掛かり過ぎる。現実的には不可能というか、難しいであろうと私自身も思っておりますので、そのような応急処置的なことというのは今の段階ではやむを得ないんじゃないか、その点では私の立場としても本当にこの法案考え方に賛成するんですが。  ただ、実際、一般の方々が汚染されていると、土地汚染されているという意識を持つと、正に風評被害ですね。この土地汚染されているという、覆土をして、覆って外に出ないということを言われたとしても、実際汚染されている土壌があるというところにはやはり人は住みたくないですし、なかなか近寄りたくない。その点で、風評被害が出るんじゃないかという危惧感というのは私自身はすごく持っております。  ここでなんですけれども、私なりの理解で、この法案趣旨なんですけれども、そうすると土地の下落が起こるんではないか。どんどん土地の価値が下がっていくんじゃないかというおそれがすごくありますが、この点、すべて浄化を義務としてしまうと、全く土地みんな怖くて、特に不良債権の話もありますけれども、汚染されているおそれのある土地というのは怖くて手が出せないと、全く土地に対してみんな引いてしまう。価格ももちろん下がりますし、取引自体もしたくないという可能性があります。  多分、私自身の理解ですから、これ聞きたいんですが、これは土地が下落してしまうと価値がどんどん下がってきますから、その点で、もし土地取引をしようと思ったときには逆に市場原理に任せて、土地の価格を、価値を上げるために企業側が自らその土地を浄化すると、浄化して価値を高めて取引土地の売買を行っていく。つまり、市場原理に任せていこうという意図があるんじゃないかと私自身考えておったんですが、その点、考えを、意図をお聞かせください。
  26. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) この法律におきましては、土壌汚染による人の健康リスクというものを迅速に回避していこうということでございますので、先生御指摘のような中小企業も含めました全国のいろいろな事業者がきちんと対応ができ、その限りにおきまして、一方では健康影響のリスクというものも低減できるという現実的、合理的な対策を盛り込むということが基本でございます。  したがいまして、先ほど申し上げましたように、環境汚染状況あるいはその土地の利用の状況に応じて、これだけの措置をやれば健康リスクの回避ができるんだという措置の内容が定まってまいりますので、そういう措置範囲土地所有者ないしは原因者措置を講じていただければいいというふうに構成をしたものでございます。  ただしながら、先生御指摘のように、これは浄化まではしないということで、覆土をしておきますとかあるいは封じ込めをしておきますとかいうような措置を講じました場合におきまして、その土地は一定の管理の下に置いておかなければ、またそこを掘り返したりとか別の使い方をするということになれば、健康のリスクは生じるわけでございます。  したがいまして、そういう土地につきましては、この法律ではその土地の区域を指定いたしまして、台帳にも載せておくということにいたしまして、その土地におきまして土地形質の変更をする、そこでいろいろな土地をいじったり造作をするというような場合におきましては都道府県に届け出ていただきまして、安全であるかどうかをチェックするということで、あくまで健康リスクを回避するということで必要な措置を講じたところでございます。  ただし、もう一つの反射的といいますか、これによります実際上の効果といたしまして、じゃ、そういう土地措置としては封じ込めあるいは覆土ということで足りるということにされましても、これは事業者の方がそこをもう浄化をしてしまうと、何ら以後制限なく使いたい、あるいはそういう汚染土地だということでないようにしたいということで浄化をするということは、それは当然あることでございまして、そういうふうに浄化をされました場合には台帳からこの地域を解除いたしまして、台帳の登載から下ろすということになりますので、そういうことがある面では結果的にはそういう浄化をしていくということについてのインセンティブになるという面はあるというふうに考えております。
  27. 愛知治郎

    愛知治郎君 言葉足らずでちょっと説明不足だったんですが、私自身は、とにかくその浄化を義務化しなかったと、どうしてもすべて浄化をしろという法律ではないというところの意図ですね。だから、すべて浄化をしろということになってしまうと、アメリカの例が多分そうだったと思うんですが、ある意味パニックになったというか、経済的にかなりの影響を与えたという経緯がありますので、あえて浄化というのはある程度、すべて規制をするのではなくて、市場原理に任せていこうと。  もちろん、浄化をしないでそのまま置いておきますと、やっぱり先ほど言った風評被害とか可能性がありますので、それからとにかく漏れる可能性も出てきますから、存在する限り、汚染された土壌が存在する限りリスクが付きまといますので、やっぱり土地を有効に使おうと思えば浄化をせざるを得ない。それは自主的取組に任せようというのが意図だというふうに私自身理解したんですが、その点は確認なんですが、もう一度お聞かせ願えますか。
  28. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) お尋ねの意味は分かるのでありますけれども、この法律健康被害防止する制度でございますので、直接市場原理によりまして土地の問題あるいは浄化の問題を動かすと、そういうことを直接意図しているものではございません。この法律におきましては、健康被害のリスクを回避するために必要十分な措置をきちんと規定していくということではあろうと思っています。  しかしながら、その結果、やはりこういう制度ができますと、より一層自主的にも土壌汚染に対しての注意も高まりますし、あるいは浄化をする対策を十分に打っていくという、この法律外の効果としての自主的な取組なりが促進されるという効果は当然生ずるものだと思っておりますので、法律のねらいということと、それから法律ができますことによって及ぼす効果という、効果の方の点につきましては先生が御指摘のとおりだというふうに思っております。
  29. 愛知治郎

    愛知治郎君 いろいろなやり方があると思います。直接的に浄化を求めて、どうしても無理やりやらせると。規制規制、義務義務という話なんですが、それ以外のやり方でやるというのは、それぞれのやり方があっていいと思いますし、時代に合っていると私自身は思います。  ただ、いろいろな可能性すべての面を考慮しなくちゃいけないと思うんですが、これ、経済的影響、先ほど言った風評被害などもありますので、可能性ですね、あくまでも。これからどうなるかはもちろん分かりませんが、可能性について、経済的に影響を与える可能性について、これは他の省庁の方にお伺いをしたいんですが、経産省、お願いできますか。
  30. 日下一正

    政府参考人日下一正君) お答え申し上げます。  先生が先ほどから御指摘されていますように、同様の目的を持った米国スーパーファンド法律で多大な負担や経済面の混乱があったと伝えられたところから、中小企業などを中心に、どのような義務が掛けられるか、十分対応ができるかどうかという懸念があったところでございますが、そこは明確に立案過程でされてきたところだろうと思います。  それでは、一般的にどういうような影響が出るかというところでございます。直接的なマイナス面としては、先ほどから議論がありますように、この法律に基づきまして調査実施され、土壌汚染が発見されれば、必要とされる対策費用程度には土地の評価額が下がるわけでございます。土地は金融上大きな役割を果たしておりますので、場合によっては担保としての土地の評価額の低下によって企業の資金繰りへの影響が生ずることも考えられます。  一方、同法によりまして、実施すべき調査対策の内容が明確になれば、今まで土地の利用、流通が進まなかったところがどういうような対策が施されればいいのかが明確になるわけでございますので、土地の利用や土地取引における土壌汚染の扱いもそれを踏まえたものになりますので、土地利用等が円滑化されるというプラス効果があるとも考えられます。  いずれにしましても、私どもとしましては、この法案の御審議を踏まえ、またこの法の具体的な施行、具体的に施行されることに伴いまして効果や影響を十分把握、評価して、企業の取組が適切になされるように関係省庁と協力して努力していこうと考えているところでございます。
  31. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございます。  多分外国の例、アメリカの例というのを私自身はよく聞いておりますので、向こうは特に浄化を徹底的に義務化をしたその影響が随分あったんじゃないか、かなり経済的な混乱も生じたと聞いておりますので、その点、この法律に関して言えば、それをどうしても義務化というのではないと。また、先ほどおっしゃられましたように、調査をして汚染具合をはっきりさせることによって逆に安心感というか、取引に対する安心感を与えるものであるというふうに私自身は理解しておりますし、先ほどの意図もそうだと思うんですが。  確認なんですが、もう一度、どちらか、完璧な制度というのはないと思うんですが、先ほどの浄化を完全に求める影響と、それから今のようなそれまでは求めないと、しかし、まず調査をしてしっかりとその原因究明というか情報公開していくというやり方、どちらがいいのかという問題になると思うんですけれども、経済的な側面からすると、経済産業省の意見、考え方をちょっとお聞かせ願えますか。
  32. 日下一正

    政府参考人日下一正君) この法律制度設計につきましては、中央環境審議会でずっと議論されてきたところでございます。  私どもの方から見ておりますと、やはり米国における経験も十分踏まえて制度設計がなされたと理解しております。米国の場合には、その土地にかかわった多くの関係者が、歴史的にさかのぼって汚染原因にかかわったかどうか、直接かかわったかどうかを含めていろいろな法的な責任を負わされる形になって、それで経済訴訟も乱発し、経済的な混乱もあり、非常な企業活動、生活に支障が出てきたということなんだろうと思います。  そういう面では、今回、どういう場合に調査の対象になるか、あるいは対策としてどういうものが求められるかということが明確化されているわけでございますし、その中で情報が公開され、その中で土地取引土地利用のために、今の段階、早い段階で土地浄化が必要なものについては自らその主体が行っていくことで、また市場の中でそれが反映されていくというルールが明確になったということがこの法律の持つ意味だろうと思いますので、先生の御指摘のとおり、そこはルールが明確になり、その後は関係者情報が公開され、市場の中で適切な対応が行われていくという制度設計は、大変私どもとしても興味を持ち、うまく働くのではないかと期待しているところでございます。
  33. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございます。  私自身も不安よりかは期待の方にかけたいなと。というか、もっと前向きに考えたいんですが、これは先ほどのように市場原理に任せた部分が出てくると思うんですが、積極的にどんどん、規制でどうしてもやらなくちゃいけないというんではなくて、せっかくだから土地の価値を高めようとするための積極的な浄化、経済活動というのが行われればいいなと思ってはおるんですが。  このことに関して、ビジネスとして浄化を行う、浄化ビジネス。これも一説によりますと、これは、じゃ、環境省に聞きたいんですが、環境省関係調査機関だと思うんですが、今、市場規模としては大体十三兆円、一説によると十三兆円規模の市場になるんじゃないか、それから汚染箇所も約三十二万か所ぐらいあるんじゃないかと言われておるんですが、私自身はそう聞いているんですが、どのような認識を持っておられますか。
  34. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 今お尋ねは、土壌汚染対策がビジネスになっていく、その市場の規模を試算すればどうかということでございますが、御指摘のように、こういう土壌環境対策に対しましての調査でございますとか、対策事業をなさいます企業の方々がお集まりになっている社団法人がございますが、そこで調査されたものにおきますと、市場規模の予測は、調査費用で二兆円、浄化費用で十一兆円でございますので十三兆円ぐらい、それから汚染サイトとして想定されるのは三十二万か所ぐらい終局的にはあるんではないかと、こういう予測をされています。  ただしながら、これは非常に大きな統計からかなりの仮定を置いて導かれたものでございますので、この法案のような姿を基礎にして計算されたものとは異なっておりますので、一つの試算例だということではないかというふうに承知しております。
  35. 愛知治郎

    愛知治郎君 分かりました。正確な数字なんというのは分からないと思うんですが、可能性はあるということだと思います。  この点、ビジネスチャンスとして考えたときに、経済ですね、逆に、こういう経済状態の中で新たなチャンスだ、活性化をさせるためのプラス要因だと考えたときに、経済産業省、どのような視点で見られているかお聞かせ願えますか。
  36. 日下一正

    政府参考人日下一正君) 御審議いただいている法律の仕組みを前提とした経済効果の試算というのはまだ行っていないところでございます。土壌汚染調査、覆土、浄化などの対策、あるいはこれらを適切に進めるためのコンサルティングなどがこの土壌汚染にかかわる直接のビジネス分野でございまして、この法律の制定により、従来以上に成長していくと考えているところでございます。  従来、私どものところでは環境関係の産業の市場規模などについて調査をしたことがございますが、この法律を前提としないところで、段階で、九八年に対して二〇一〇年には三倍ぐらいに膨らむと予定したところでございます。  一方、このような市場規模の拡大は、同時に、対策負担する、実施する義務を負う土地所有者等の方からしますと、負担する費用の増大という側面があるわけでございます。  したがいまして、この費用負担する側におけるマイナス面を助けていく、負担できるようにしていくということが、環境ビジネスとして増えてきたプラスの面を全体として生かしていくことにつながるんだろうと思うところでございまして、この法案におきましては、基金を設けて地方公共団体から対策実施案に対する助成金の交付の制度でございますとか、また私どもとしましても、対策をできるだけ安いコストで実施できるよう、民間企業が行う新たな土壌汚染対策技術の開発を補助していくこととしているところでございます。
  37. 愛知治郎

    愛知治郎君 総理が環境と経済の両立という大きな大きな方針を出してくださいました。すごく本当に有り難いと思うんですが、正にこの点、ビジネスとして国が積極的に育成をしていく、バックアップをしていくという必要性があると思います。  その点で、具体的に経済産業省として、経済を活性化させるためにどのような支援を行おうとか、どのような政策を取ろうとか、その意図というか考え方は今現在持っておられますか。
  38. 日下一正

    政府参考人日下一正君) 一般的に環境と経済の両立についての私どもの考え方といたしましては、やはり非常に制度の設計が悪かったり、対応するだけの十分な時間的余裕がない場合には、新たな環境規制と経済成長、活力というのはトレードオフの関係になりかねないというリスクがあると理解しているわけでございます。  これをうまく環境と経済とを両立して、お互いに助け合うようにするためには、法律でございますとかルールでございますとか将来の目標などについてよく考え抜かれ、市場の実態も踏まえたいいルール作りが必要だろうと思うわけでございます。  もう一つは、やはりコストが掛かる。このコストは、別に国から仮に入れるとしてもこれは税金によって賄われるわけでございますし、土壌汚染法律のように民間関係者から出るものもあるわけでございます。このコストがやはり多大になると、なかなかいい面ばかりで環境産業が生まれてくる、成長してくるというプラス面を殺しかねないわけですから、これを二つの間、環境と経済の間をうまくつなぐのは技術開発、技術革新だろうと思います。技術革新がうまく進むことによって可能であり、これが非常に負担可能なコストでやれるようになることにより、正に環境と経済の両立が成り立つと、そういうことだろうと思いますので、私どもとしては、私どものところはたまたま産業技術環境と両方所管している局でございますが、技術開発の支援の中で環境面の技術開発の支援に力を入れているところでございます。
  39. 愛知治郎

    愛知治郎君 是非どんどんやってほしいと考えておるんですが、たまたま、たまたまというか前に初めて質問したときは川口大臣だったんですが、大木大臣に替わりましたので改めて言いたいと思うんですが、環境行政において、私自身、北風と太陽という言葉を使いまして、今まで規制規制だったと、駄目だ駄目だといって押さえ付けていたのだけじゃ環境自体は、本当に環境はよくならないだろう、限界があるだろう、だからこそ太陽が必要なんだ。正にこの法律典型なんですけれども、一方で規制という北風を当てて、その処理を進めるに当たっては太陽という支援をしていかなくちゃいけない、促進をするための支援をしていかなくちゃいけない。先ほど、経産省に関しては技術的なバックアップをするということだったんですけれども、これは環境省としてもますます何かをしなくちゃいけないと私自身考えております。  その点、これからの環境行政の姿勢なんですが、あめとむちでも北風と太陽でもいいんですが、規制をまずしなくちゃいけない。それはしようがない部分がありますのでしっかりとする。それ以外の太陽でありあめである部分というのをどのように支援をしていくか。それから、覚悟ですよね、政治的な意図というか、これだけ、どうやって行政を進めていくのかというお考えを、せっかくですからお三方、政務官、副大臣大臣考えを聞かせてください。委員長、お願いします。
  40. 奥谷通

    大臣政務官(奥谷通君) 環境と経済というのは、私自身にとりましても大変興味のある分野でもあり、また、今までの経済活動がこのまま野方図に、このまま何の対策も取られずに進むということは近い将来我々は破滅してしまうという、こういうおそれを持つ中で、その中でどうまた経済発展をしていくかということも大事でございまして、正に規制とインセンティブ、太陽と北風、これをうまくかみ合わせることだと思っております。  これ非常に広い分野なので、私なりにいろいろ考えたんですが、いわゆる今日も土壌汚染対策法案のように、いわゆる我々の過去の経済活動によって与えたいわゆる負の遺産に対するビジネス、これも土壌汚染あるいはPCBとか、いろんなビジネスが出てこようかと思います。それから、現在、正に現在我々を取り囲んでおるいろいろな製品、これらがいわゆる循環型社会の中でどうリサイクルしていくかという、これもいろいろな法律を作っておる中で大きなその市場ができておるんじゃないか。  それから、今度、未来に対しては、いわゆるITとかあるいはナノテク、バイオテクノロジーとか、いわゆる三テクと言われるような新技術を生かした、今の閉鎖的な経済をぶち破るような新しい技術の開発というのが大いにこれも見込まれるわけでございまして、そういう意味では、非常に夢のある環境という一つの新しい価値観を通した経済の世界が広がっていくんじゃないかと、このように考えております。
  41. 山下栄一

    ○副大臣山下栄一君) 今、奥谷政務官の方からお話があったので完璧だというふうに私は思うんですけれども、それに余り付け加えることはありませんけれども、この負の遺産の話ですけれども、私は大きな特に先進国の反省として、水や空気や土壌や、そういうところに環境面で負荷を与える経済活動というのは、結果的には大変な原状回復するためにコストが掛かるということを学んだと思うんですね。だから、中長期的には大変経済的には非効率であると、あったんだということを学ぶことが大事だというふうに思います。  したがって、これからの経済活動というのは、環境保全型経済活動というか、環境保全型の経済活動が経済的にも効率的なんだと、そういう考え方が大事だと。  私は、経済と環境の両立というよりも、更に進んだ、環境を配慮しない経済活動は非効率の経済活動なんだという考え方に立った経済活動といいますか、そういう在り方が求められている時代に来ていると、そういうふうに考えております。
  42. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 既に政務官やら副大臣からお話がありまして、基本的にそのとおりなんでございますけれども、私もまた今回改めて環境大臣として仕事を始めて感じておりますのは、やはり環境と経済の関係というのは、地球規模で取り扱う問題もあるし、日本として国としてどうするんだという問題もありますし、いろいろあるわけでございますが、環境省責任者として感じますのは、やはり先ほどの北風と太陽か、あるいはあめかむちか、言い方はどうでも、いろいろあると思いますけれども、やはり選別的にやらないといけないと思うんですね。今すぐにやるのはどういう問題だと、それからこれから五年、十年掛かってやるべき問題、それからもっと長期的に、本当それこそ地球環境を整えるためにはやはり五十年、百年といった長いスパンでの対処方針もあるわけでございますから、その中でやっぱり取りあえずは我々としては日本のことを考えなきゃいかぬわけですから、国際的な動きも見ながら、しかし日本としてはこれとこれということをどういうふうにプライオリティーを付けて行っていくかということだと思います。  そういう意味におきましては、これからの新しい産業を開発するということについては、まだまだ十分ないろいろなインセンティブが行われておるとは感じません。まだ不十分だと思いますので、そういうことにつきましては、またこれから環境省としても、また政府全体としても更に強力に進めたいということを感じておりますが、いずれにいたしましても、きちっとしたプライオリティーを付けてやることが、何もかも一緒にやるということになりますと、これはもうなかなか今の経済、日本の経済の中ではできませんわけでありますから、十分に、大変抽象的な言い方ですけれども、きちっとプライオリティーを付けて、まずこれとこれとはきちっとやるということを強力に進めさせていただきたいと思っております。
  43. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございました。  もちろん、もっともっと積極的に力強いことを言ってほしかったんですが、どんどんやっていただきたいと。  この法案ですね、この法案、先ほど冒頭に申し上げましたけれども、例えばアメリカでは一九八〇年からこの問題が取り上げられて積極的に行政として取り組んでいると。ところが、もう二十年以上遅れていますよね。その点について物すごく私自身は不満ですし、いろんな事情があったと思うんですが、例えば、少なくとも、前にも言いましたけれども、環境省の予算自体もすごい、人員も少ないですし、積極的に取り組んで、環境問題に取り組んでいくには余りにも力が、機能が弱過ぎると、だからこそどんどん進めなくちゃいけないということが一点。  もちろん、法案に関していろんな事情がありまして、例えば野党の皆さんが常に何か出すごとに全部反対反対と言われちゃうからできないという事情もあるのかもしれませんが、(「そんなことないよ」と呼ぶ者あり)そうですか、じゃ今回も反対するのであれば代替案を出していただきたいなと思ったんですが、まあそれは置いておきます。私の個人的な意見ですので、それはいいかと思うんですが。  前に予算の件で大臣が、ほかの省庁、今この御時世で縮小傾向にある中で七%削減ですよね、その中で四・数%だったと、環境省が。御の字であるというような意図じゃないですけれども、冗談かもしれませんけれども、そういうふうに感じられたんですが、私自身はそうじゃなくて、こういう時代であろうが何しようが、二〇〇%、三〇〇%積極的にやっていくんだと、そういう覚悟が欲しかったんですが、今改めてお聞きしたいんですが、積極的に環境行政を進めていくというふうな覚悟はおありでしょうか。
  44. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 環境行政につきましては、今よその党のお話もありましたけれども、私はむしろ大いにいつも叱咤激励していただいておるということで決して反対反対というふうには受けておりませんで。ただ、環境省としても順番にやっていることがむしろまだ不十分だと、もっとやれという応援の方が、応援というか御激励の方が多いように感じておりますので、それはそれを有り難く受け止めましてこれからも強力に環境行政を進めてまいりたいと思っておりますし、今お話がございました予算というようなことにつきましても、決して今までいただいておる予算が御の字というほどのものじゃありませんので、これも更にひとつ関係各省ともよく話をして、強力に必要なものを取るように努力をしたいと思っております。
  45. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございます。  私は与党の立場で今質問していますので、なかなか質問しづらい部分もあったんですが、いずれにせよ、これは野党の皆さんもそうなんですが、(「その発言もおかしいな」と呼ぶ者あり)そうですか、協力をして、この国のためですから、環境を良くするというのが意図ですから、あらゆる意味で協力を進めながら環境行政をどんどん進めていくために私自身も頑張っていきたいし、皆さんにも協力をしていただきたいと考えております。  時間ですので、この辺で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  46. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 私に与えられた時間は長い七十分の時間ですが、私も質問の方で頑張りますから答弁の方も本当に意義ある答弁になるように、この時間が私たちにとって意義あるものになるようによろしくお願いいたします。  私は、この法律を本当に大切な法律と思っていますし、法律案ですね、そうしてさっきも指摘されたように、本当にここまで来たのは非常に遅過ぎるぐらいですね。ヨーロッパのいろんな、あるいは西洋のことを考えると本当に遅いです。でも、なぜ遅くなったか、それを今日は問題にしていません。  私は、実はこの質問を用意しているときは参議院の役割に対していろんなことを疑問にしながら、悩みながらこの質問を準備しました。なぜかというと、御存じのように、もう衆議院の方では九日はこの法律案が通過しました。そして、与党も野党もこれに賛成して可決しました。さらに、そのときは野党の方から修正案が出されました、野党四党では。もちろんこれは与党の力で否決されました。しかし、その後は附帯決議が加えられて、それで原案どおりで可決されました。今日から私たちは参議院のこの委員会での審議が始まったわけです。  そこで、私は問題を感じているのは、やはりそれぞれの政党には党議拘束もありますから、私たちは仮に幾らここで新しく問題を提起していっても、結果としてはこれは可決されます。そして成立するということになります。そして野党も含めて、私たちにできることは、ここで附帯決議を私たちは付けることによって、何か将来的にはこの法律がもっといいものになるためには、今私たちが感じているのは、与党も含めて、この中にまだ問題がたくさんある、そして私たちから見れば欠点もあります。いかに今度私たちは、この参議院の方ではこれを審議のところではそういうことを指摘することができるか。  そこで、私は、大臣にまず一つ聞きたいのは、こういう参議院、衆議院から入ってきた法律はもう通過して、そしてこっちに入ってきたときはその参議院の役割を、これから参議院の役割についていろんな協議会も各政党にもありますからそういう問題は別として、こういう法律が通過したときは更にそれを参議院で審議するときのそのことを大臣がどういうふうに、個人的な意見でいいですから、どういうふうに思っていますか。
  47. 大木浩

    国務大臣大木浩君) まず、参議院、衆議院という日本においては二院制になっておりますけれども、これは二院制にするか一院制にするかというのは各国の事情、いろいろな歴史的な背景というのもございますから。たしかツルネン議員のお生まれになったフィンランドとかデンマーク、それからスウェーデンもそうでしたか、は一院制と。しかし、同じスカンディナビアの方でもノルウェーはたしか二院制というようなふうに、いろいろと国によって事情が違うと思っておりますが。これはやはり今申し上げましたようにどういう、一院制がいいか二院制がいいかというのはその国の事情によることでございますから、これを直ちにどちらがいいということは申し上げられないと思います。  ただ、日本で今、二院制を取っておるのは、やはり一院制で、衆議院は比較的国民の各地域に近いところで、ですからそれぞれの選挙区があって、そういう非常に直接的に近いところの方々を選んでいただくという気持ちが、考え方があると思います。それに比べて参議院の場合、多少より広域的なところから選挙される、あるいはいろんな特別の団体と申しますかグループと申しますか、そういった代表の方々も選んでいただくというようなことで、おのずからその選出の母体が違いますから、それぞれの特色を生かして議論をしていただくということで、それが一つ、今のところそういう体制で進んでおるというふうに私は理解しております。  参議院と衆議院、物によりまして御存じのとおりに参議院先議という制度もありますから、参議院の方で法律をまず通していただくということもあるわけでございますから、それは衆議院で決まったから参議院で絶対に同じことをしなきゃいかぬ、あるいは逆に参議院、その逆も真なりでありまして、それぞれの院としてはそれぞれの御判断をいただくということではないかというふうに思っております。  それから、あと今の党議拘束とかそういう話につきましては、これは党の問題でございますので、私の方から一般論にしてもちょっと申し上げにくいわけでございまして、これは各党が御判断になることだというふうに思っております。  いずれにいたしましても、衆議院、参議院と二つせっかくあるわけでございますので、各院におきまして十分に法律の御審議をいただきたいというふうに考えております。
  48. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 もちろん考え方として私も同じように考えていますから、チェック機能は少なくとも参議院にはありますし、そして私たちもここでも衆議院のカーボンコピーにならないように、そのチェック機能をこの法律案の審議でも十分生かしたいと思っています。  私はたくさんの質問を用意していますが、そのときもなるべく衆議院でもう何回も何回も繰り返された細かい質問を私はここでは繰り返さないんです。違った角度から、同じ質問でも違った角度から質問を用意しました。恐らく大臣の方でも、もしまだ衆議院と同じことがあったらもう何回も何回も同じ質問に答えることになるんですから、やはりちょっとそれも飽きるんじゃないかなと思っていますから、なるべく違った角度から用意しています。  そこで、次の質問大臣に先にお伺いしたいと思いますけれども、野党四党が提出した修正案がありますね。恐らくそれに目を通したかと思いますけれども、その修正案の中で、例えば対策だけではなくて未然防止とか、あるいは調査結果の公表をもっと積極的にすることとか、あるいは台帳閲覧を条件なしで許すということとか、いろんなこういう、あるいは十年後ではなくて見直しはもっと早く見直す、三年後に見直したらどうですかとか、こういう修正案を野党四党が出しました、衆議院の方では。  これについて、ちょっと大臣のコメントを一言お願いしたいと思います。
  49. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 衆議院の方の修正案は確かにいただきまして、私どももいろいろと勉強させていただきました。ただ、結果として今、政府としては、修正案はすぐにそれを入れて法律を修正するということではなくて、今後の検討課題として勉強させていただくというふうに結論を出しております。  いろいろと野党の方からお出しになった修正案というのは、もう一言で言いますと、もっと強力にというかもっと広範にと申しますか、今の政府案では不十分だというお気持ちが表れていると思います。ただ、これをすぐに法律として、法律の条文まで変えて修正するかどうかということは、やはり現実にやっております政府としての、行政としての立場からいいますと、すぐに法律を変えてということではなくて、そういうものは十分考慮に入れながら、現実法律の施行の中で、実施の中でそれを生かしていけばいいんじゃないかというふうに考えておりますので、あえてこの修正案については賛成はしなかったということでございまして、与党の方は御賛成いただかなかったというわけで衆議院ではああいう形になっておりますが、もちろんこれからもいろいろと御議論はいただきまして勉強はいたしますが、取りあえず衆議院の方の修正案につきましては、行政府としても、これは今すぐにそういった修正、法案の修正という形で同意するということには難色を示しておるわけでございます。
  50. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 もちろんそれは否決されましたけれども、後でこの附帯決議の内容についても触れますけれども、実際にはこの附帯決議には与党も賛成して全会一致で通ったわけですね。面白いことには、修正案の中に出た問題もというか、かなりその附帯決議の中にも入っている。つまり、私は言いたいのは、これはやはり大臣もどこかで発言したように、この法律案には不十分な面が、あるいは問題がかなり残っているということ、それを今度私たちは、次の段階ではどう生かすかということはこれからの問題であります。  この修正案の中で一つのこと、これは今度、大臣ではなくて関係西尾局長の方に聞きたいと思いますけれども、この法律の中では閲覧に対しての項目が六条の三のところにあります。「都道府県知事は、指定区域台帳の閲覧を求められたときは、正当な理由がなければ、これを拒むことができない。」。野党の修正案の方では、この条件を排除するように提案しているんですね。  私もここは非常に大きな問題であると思っています。つまり、正当な理由がなければ、つまり逆に考えれば、正当な理由があれば閲覧を拒むこともできる。その正当な理由というのはどういうものがあり得るんでしょうか、拒む理由としては。
  51. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 閲覧を拒むことができる場合の正当な理由というのは、通常、この台帳の編集、整理をしているその最中に閲覧を求められたというような場合に拒むことができるということでございますが、そういうものが正当事由として挙げられると思います。  ただ、基本的には、正当な事由がない限り拒むことはできないというのは、これはこういう閲覧規定の文例でございまして、基本的に閲覧に対しては対応を、閲覧に応じてお見せすることになるということを規定しているものだというふうに理解をしているところでございます。
  52. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 環境省の方からこういうときは、あるいは行政の方からそういう返事がよく出てくると思いますけれども、最近あるいはかなり前から情報公開がいろんな問題になっていましたね。そのときもやはりいろんな条件があって、すべてを公開しないということがありますね。  この場合でも、例えば汚染、それはもちろん工場の跡地の問題ですから、そのときは例えば企業の秘密とかそういうことを理由に、情報公開でもいろんなところでこういうのが出ましたから、例えばそれはもうその企業の、それを何というか言い訳に拒むこともあり得る、あるいはそういう企業の秘密ということも拒む理由になるんでしょうか。
  53. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) この台帳の閲覧規定の拒む理由の中に企業の秘密であるというようなことが含まれ得るかということにつきましては、結論からいいますと、企業の秘密があるから閲覧ができないといって拒むということはあり得ないというふうに考えております。  といいますのは、この台帳は、いわゆる汚染が発見されまして一定の管理をしなければいけない土地というものにつきましての情報を載せる台帳でございます。この台帳の中には、したがいましてその汚染状況でありますとか、あるいは対策を行った場合はそういう対策内容というものを掲載することになっておりますので、これはむしろそういう内容を一般の方に見せるという目的のために作られている台帳でございますので、その中に見せられない情報があるからということで拒むということはあり得ないというふうに考えております。
  54. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 実際には今まだこの法律は成立されていないんだから、実際には、今度は閲覧を求められるときはどういう理由で拒むかということはこれからの先の問題になると思いますけれども、これは決して無視する問題ではないと思います。それは、今はそれ以上それを追及することにはしませんけれども。  次には、これもやはり最初には大臣のコメントをお願いしたいと思いますけれども、さっきから言われたように衆議院の方では附帯決議が加えられました。十四項目もありました。  私は、ここで、こういう附帯決議を後でどういう形で生かすことができるかということは、私にとっては疑問ですね。例えば、この前には私たちは、ここでは、鳥獣保護及び狩猟の適正化に関する法律のときは、問題になったのは、三年前にもやはり同じように附帯決議が加えられた。でも今は、振り返ってみるとほとんどそれは実施されていないんですね。つまり、こういうことが今度も、附帯決議があっても本当にそれを生かすことができるか。こういう附帯決議の意義について、大臣の意見をちょっとお願いしたいと思います。
  55. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 附帯決議をいただきましたその背景には、やはり野党の方からはいろいろと修正案が出てまいりました。それから、しかし行政府としては、今すぐに法律の修正という形でいろいろな御要望を達成するというのはいささかまだ準備が、まだというか、その準備ができていないというか、適当でないというふうに判断しましたから、修正案の方については同意できないということを申し上げておるわけでございますが、他方、今の附帯決議で述べられましたお考え方というものについては、十分にそういった御意見が出てくるという事情は理解できるものも多いということで、これは与野党一緒に附帯決議を出していただいたわけでございますから、これはできるだけひとつそういったことを十分に考慮しながら現実法律の施行の中でその精神は生かしていきたいということでありますし、今すぐに法律には書き込まないけれども、附帯決議の御意向というものは十分に考慮しながら実際の行政を進めていくと、こういうことで御理解をいただきたいと思っております。
  56. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 これはもちろん、いろんな関係者責任でもあります。一つは、こういう附帯決議が一般にはどの程度PRできるか。マスコミの責任もありますね。こういう問題が指摘されましたけれども、これは今後の話題になりますから、これからは是非こういう附帯決議をもっともっと生かせるように、やっぱり私たちそれぞれの関係者が努力しなければならないと思います。  その附帯決議の中でも一つの問題だけを、これもやはり西尾局長の方にお聞きしたいんですけれども、その中で一つは、住民から申出があった場合は汚染調査を県知事の方では協力しながらやらなければならないんですね。私は、この言葉、この住民という言葉を注目したいと思います。  住民には、相当その地域に住んでいる住民だけが含まれているか。例えば、その近くの環境NGOの方からそういう申出があったときは住民とみなすかどうか、これについてどうでしょうか。
  57. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 衆議院の環境委員会での附帯決議におきましては、今の住民からの申出のところでございますが、これは土壌汚染に対する住民の不安を解消するため、住民から土壌汚染調査の申出があった場合には適切に対応すると、そういう趣旨のことが、附帯決議を御決議をいただいたわけでございます。それを私ども体しまするに、これは一つは、土壌汚染については住民の方々の不安が大きいということが一つ。それからもう一つは、住民の方々は地域の状況もよく知っておられる、そういう方々からの情報が得られるということが土壌汚染の発見につながる情報にもつながるんじゃないかという意義があるというような、二つの点が背景になっているものというふうに趣旨を体するわけでございます。  環境NGOというお話でございます。これは、NGOにはいろいろなものがあると思います。その地域の住民の方々で構成されているようなものもあるかも分かりませんが、いろいろなものがありますので、そういう面では、最初の住民の方々の不安という意味におきましては、住民の立場と全く同じというわけではないとは思うんであります。しかしながら、二番目に言いましたような、その地域の状況なども知っていまして、土壌汚染の発見に有益な情報を提供していただけるのではないかというような場面もあると思いますので、そういう場面がございますれば、その意味では住民に準じた方々ということで考えることができるのではないかというふうに考えております。
  58. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 これからも私は、もうちょっと後の方ではNGOの役割について、これからいろんなところで、法律作りの段階でももっともっと重要な役割を果たすことになるかと思いますから、それもちょっと後でもっと詳しく触れたいと思います。  次にお聞きしたいのは、これはやはり西尾局長の方にお聞きしたいんですけれども、私はここで、やはりまだ私にとってこういう仕事はスタートしたばかりだから疑問がたくさんあります。そして、私は感じているのは、私は今疑問に思っていることは、これは恐らく多くの国民も同じように詳しくこの法律作りの段階を知らないんだから、だからある意味では私はそういう国民の声を代表して、同僚の議員たちにはもう当たり前のことかもしれませんけれども、やはりそういう立場からこれからこの法律作りについてちょっとお聞きしたいと思います。  まず、今のこの土壌汚染対策法案はいつごろ今の形に、私たちの手元にあるこの法案の内容に固まったでしょうか。その時期についてまずお願いしたいと思います。
  59. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) この土壌汚染対策法案を立案するに当たりましては、これは一昨年の十二月から学識経験者から成ります検討会ということを設けまして、土壌環境保全対策制度の在り方についての検討を重ねてまいりました。この取りまとめがございまして、その後、昨年十月からは、今度は中央環境審議会におきまして担当の土壌の部会、その中に専門の小委員会ということを設けまして精力的に審議をいただいたわけでございまして、小委員会、部会、都合九回の議論をいただいております。  さきに申し上げました検討会におきましての取りまとめにつきまして、パブリックコメントを行っていろいろ意見をちょうだいいたしました。そういうものも含めまして中央環境審議会で検討が始まりました。中央環境審議会におきましても、取りまとめに当たりましてはパブリックコメント手続を行いまして、本年一月二十五日に答申が取りまとめられたところでございます。  環境省といたしましては、この中央環境審議会の答申を踏まえまして、ここには制度の骨格が書いてございますので詳細な条文化の作業を進めました。政府部内での各般の調整、法制的な審査等を得て、二月十五日に本法案を閣議決定して提出させていただいたわけでございます。  そういう面では、私たちの実務作業は閣議決定するまで細部にわたり点検いたしましたので、閣議決定をいたしたときがこの形、現在の法案の形が固まった時期ということになろうと存じます。
  60. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 私も、今までのその作り、作ることにはどういう方がかかわってきたか、どういうグループがかかわってきたか、もちろん大体私もそこまでは分かっています。つまり、政府諮問機関、いろんな審議会とか検討会とかありますね、そういうところを参考にしながら、決して一人とか二人が作ったわけではないということはよく分かります。  私はここで問題にというか疑問に思っているのは、同じような時期で、去年から今年に掛けて、一月に掛けて、いろんなところから、民間の方から意見書とか要望がたくさん出されている。例えば環境NGOとか弁護士、日本弁護士会とか、いろんなシンクタンクとか、こういうのは私たちの手元にもあります。彼らもやはりこの法律が、形が決まる前には是非こういうことを入れてほしいとかはありますね。こういう、ほかのところから、政府関係じゃない審議会から、どの程度こういうのはこの法律作りに反映されたか、あるいは入れられているでしょうか。
  61. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 中央環境審議会におきましての審議におきましては、パブリックコメントについて申し上げますと、これは昨年の十二月二十五日から今年の一月十五日まで行いまして、六十七通、意見の数を延べで計算しますと四百六十四件の意見を受理をいたしました。それの内容につきましては審議会での審議の参考に供したところでございます。  ただ、この土壌対策制度につきましては、確かにいろいろな観点からの意見があったことは事実でございまして、日弁連でございますとかNGOの方々からは、例えば、健康影響だけではなくて広く生活環境なども対象にしたらどうかとか、あるいは様々な点におきまして対策の徹底を求める意見が一方で出てきておりますし、また事業者の方々からは、なかなか対策が大変だというような意見も出てきておるわけでございます。  いろいろな多岐にわたる意見がございますが、これは一つ、そういう意見の中から共通的なところを考え一つの一貫した制度にしていくという作業が必要でございまして、審議会におきましてはそういう意見を、様々の方面の意見を踏まえつつ、一つの一貫した制度ということで今回の制度の在り方についての答申をお取りまとめいただいたというふうに考えておるところでございます。
  62. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 さっきから私は言っていることは、恐らく多くの国民の中では、どの程度国民の声がこういう法律作りに反映できるか、あるいはどういう形でできるかということですね。  私は、湯河原では一期だけでしたけれども、町議も務めさせていただきました。そのときはよく私たちのところに県の方から、いろんな条例の関係では、住民に対するヒアリングというか、あるいはパブリックコメントのようなものですね、ちょっと名前は忘れましたけれども、そこでいろんな住民がそれに要望を出したりしますけれども、大体そのときは県の職員の方からの返事が、これはもう県で決まっていますから、これをもうここでは変えることは不可能ですということを、つまり、あくまでももう、上の方では、行政の方で決まったことですから、一応聞くのは聞きますけれども、これはもう反映されない。  私たちはここでも、一番最後には、今度参考人の質問もあるんですね。もちろん、それも将来的には役に立つかもしれませんけれども、もうその後、同じ場で採決になりますから、だからそれをその法律案に入れることはほとんどできないんですから、だからこの段階を、私たちはどの程度本当に中立の立場で国民の声をもっと入れることできるか。  そこで、私はさらにそれと関連して、六番目の質問には、これも先には大臣の方に考え方を、さっきから私はNGOの役割、これからますます大切になるということで、確かに今までは、例えば環境問題の場合は余り、余りにも否定的な環境団体もありました。すべての開発に反対反対という運動が、余りそれには知識も伴わないというのもあった。今もないとは言えませんけれども、そういう時期がもう終わっていると思います。本当に高い知識を、良く調べている環境団体もたくさんあります。そしてほかの国では、例えばスウェーデンとフィンランドの方では、いろんなこういう審議会とか検討委員会には、もう三割か四割はそういう全国レベルで働いている環境団体の代表が選ばれて、政府の諮問機関ですね。  だから、この流れは世界にはありますから、このNGOがこれからそういうふうな役割を果たすことについて、大臣はどう思っているんでしょうか。
  63. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 今お話ございましたように、世界的にもNGOの活動というのが非常に大きくなっていますし、また、何と申しますか、大事な役割を果たしておられると思います。  一つの例を取りますと、例えば地球温暖化の問題につきましては、数年前に京都会議やりまして、あのときもたくさんおられましたけれども、その後、各、COP3が京都でありまして、COP4とか5とかですね、だんだんに回を経るに従って、またいろいろなNGOの方々がそういった実際の会場にもおいでになりましたし、その事前にもいろいろと私どもとも意見交換もさせていただいたということでありますから、今後ともNGOが積極的に活躍していただくことは、私どもも期待しております。  何かの会議があったときにそこへ集まっていただくというばかりではなくて、例えば中央環境審議会とかいろいろと環境省関係の審議会もたくさんありますから、そういったところにもだんだんにNGOの代表の方々も参加していただきまして、できるだけNGOの意見がきちっと反映されるように考慮したいと思っております。  今おっしゃいましたように、NGOの中にも非常に専門的な知識というか経験と申しますか、たくさんお持ちの方もあります。率直に申し上げまして、まだ日本のNGOの場合に、よその例えばアメリカとかヨーロッパの国に比べますと、何と申しますか、まだ活動が部分的だとは思いますけれども、だんだんに、何と申しますか、充実してきておられますから、そういった意味でますますそういった御意見もそれだけの重みを増すと思っていますので、十分にNGOとの関係というものは前向きに考えて取り扱っていきたいと思っております。
  64. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 私も、今はもうインターネットのホームページやらあるいは私たちのところにいろんなNGOから、実にもう何十くらいのNGOからいろんな要望が入ってきます。  その中でもちろん疑問に思っているのは、どのくらいこのNGOを信頼したらいいか、どのくらいしっかりしたものあるかとか。だから、これから私たちは、政府関係のところにもそういうのを入れるときは、やはりある程度のチェックが必要だと思いますね。すべてがいいというわけにはいきません。  今まで話題になっている、これは局長の方にお聞きしたいんですけれども、この中央環境審議会とか検討会とか、これも私の手元にもありますから、この名簿の中に、特にこの審議会の名簿を見ますと、大半がやっぱり大学の先生、あるいは幾つかの企業の社長とか、あるいは社団法人のメンバーとか、これを見る限りはこれには今の段階ではNGOは入っていない。それでも、この中にはNGOも何らかの形で含まれているんでしょうか。
  65. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 中央環境審議会の委員の方々につきましては、これは審議していただく事項が環境対策で比較的技術的あるいは制度的事項が多いということで、先生御指摘のように、法律、経済などの学者の先生方、あるいは技術的な先生方が多いというのは事実であります。しかしながら、各地の環境保全活動に明るい方々も含めて、広く各方面の知識を持っていらっしゃる、いろいろ経験を持っていらっしゃる、そういう方々にも参画いただいているところでございます。  この法案に直接答申を取りまとめるに当たりましたときの小委員会のメンバーで考えますれば、この中には、ある県の環境生活協同組合というところの幹部をしていらっしゃる方、あるいは全国の婦人団体の幹部をしていらっしゃいまして環境保全活動に取り組んでおられる方といったような、そういう面ではNGOの活動にも非常に詳しいという方にも御参画いただいて取りまとめいただいたところでございます。
  66. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 この名簿ではNGOの代表者であるという方は出ていないんだから、だからそれは別な形で入っていますけれども、とにかく将来的にはこういう審議会にも、大臣の意見もありましたように、やはり積極的にNGOの、専門知識を持っているNGOの代表者を入れるように、私も是非それを期待しているところです。  次の課題に入りたいと思います。  御存じのように、各地方自治体の方では、東京都を始めとして、かなり多くところでは、法律はまだできていなかったんですけれども、土壌汚染対策あるいは予防に対する条例がたくさんできています。地方自治体の方では、幾つの地方自治体で、公共団体の方では、こういうこれに当たるような条例ができているでしょうか。
  67. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 土壌汚染対策に関しましては、既に御指摘のように数多くの地方公共団体におきまして条例、要綱等が制定されています。貴重な参考になったものでございますが。  ただ、そういうものの中にはかなりいろいろなものが、様々な視点でしているものがございまして、事業者への対策を求めるものだけじゃなくて、地方団体が調査をする、あるいはその地方団体がする支援を定めたもの、あるいは技術基準だけを定めたもの、様々な視点のものがあります。  それらでも、何らかの形で土壌汚染に関連して地方で取り組んでいらっしゃるという団体数を数えますと、十三年六月の調べでは、二百十七団体でそういう対策を取っておられるというふうに承知をしているところでございます。
  68. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 その二百十七の地方自治体全部じゃなくても、その主なもの、例えば東京都とか大きなところのそういう条例が、今度はこの法律を作っている段階ではどの程度参考にしたんでしょうか。
  69. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 本法案の立案に当たりましては、地方公共団体も数件ヒアリングをやりました。それから、この小委員会の委員にもある県のその担当の幹部の方にも入っていただいていまして、総合的な見地から参照していただいたというわけでございます。ただ、地方団体の条例、要綱は様々な視点からのものがございますので、直接参照できるという、参照してここはこうということで法案と比較するのは難しいわけでございます。  基本的には、やはりその意図するところは、土壌汚染対策の基本的な要素、適切に調査をし対策実施していくということを目指していらっしゃるんだと思いますので、そういう見地から、その内容も十分審議会で参照をして答申を取りまとめいただいたものだというふうに考えているところでございます。
  70. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 なぜこれを聞きましたかというのは、例えば東京の方ではもう既に実施されているんですから、実施されている間にはいろんな問題が出てきますから、そうすると、自分たちも今度はそれを国レベルでも法律に生かすことができたら、その見付けた問題ということを、だからやはりこれも大事じゃないかなと思います。  そこで、大臣にお伺いしたいと思いますけれども、このように条例が各地方自治体にある。場合によっては、先に国の方には法律があって、それに合わせて今度、地方自治体が条例を作る。あるいは、今のような場合は先に条例があって、それぞれにはメリットとデメリットがありますけれども。この地方と国の法律関係を、どっちが先にいるか、どっちが先になることについてのメリットとデメリット、どういうふうに大臣考えているでしょうか。
  71. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 時系列的に言えば、地方でまず条例をお作りになることもありますし、それから国の法律がだんだん出てくるということもありますし、それは別にどちらが先でなきゃいけないということはないわけでありますけれども。  一般的に言えば、国の方の法律というのは、全国的な視野からどういう法律行政の立場で行うかということになりますし、地方で条例でお作りになるものは、やはりその土地土地の、いろいろなその土地特有の条件といったものも十分考慮しながら条例をお作りになると思っておりますので、それはお互いに両方が共存できるというふうに一般的に考えますし、お互いのその長所を生かしながら、両方を上手に運用していくというのがこれは国民のためにもなるというふうに考えております。
  72. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 ここでも、私から見れば一つの問題が起こり得るというのは、先に条例があって、今度、法律の方がそれより矛盾しているというか厳しくなる。そうすると、あくまでもやはり法律の方が優先的ですから、そうするとその条例の妨げになるということもあり得ると思いますけれども、これは本当に地方中央の連携の中でうまくいくこともあると思いますし、問題も出てくると思います。それも今はそれ以上問題にしません。  次には、私から見れば非常にこの法律の大きな欠点とでも言うべき問題があります。目的には、この法律の目的には、「国民の健康を保護することを目的とする。」と書いてありますね。実は、私はこの国民という言葉にも問題があると思いますけれども、これは今日の問題ではないですから、これは例えば住民ということ、国民だったら、日本には百五十万人の外国人が住んでいますから、彼らの健康は目的にしないかということも考えられますけれども、後では、この法律のほかのところでは国民ではなくて人の健康にというふうに入っていますから、この目的からも住民の、あるいは人の健康にの方がいいかなと思います。でも、これは今私は指摘したい問題ではありません。  問題は、例えば外国の例ではかなり多くの、私もかなりインターネットも調べましたけれども、かなり多くの似ているような土壌汚染防止あるいは対策法律では、人間だけではなくて、例えばオランダは、はっきり植物及び動物の健康を保護するためにもということがありますね。この法律の前のいろんな審議会の中でも、この生態系に及ぶ影響とかというのも何らかのところであったわけですね。なぜこれ、大臣には是非最初にお聞きしたいんですけれども、なぜ日本の場合はこれは人間のみ、国民のみになったでしょうか。
  73. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 先ほどから御説明しておりますとおりに、今御審議いただいております土壌汚染対策法では、取りあえず直接の対象としては人、人の健康に対する影響を、悪い影響を防ぐというのが目的でございまして、もちろん、動植物等の生態系の保全というのは別の意味ではこれからの環境の課題でありますし、私ども、これはまた別途いろいろと勉強はしておるわけでございまして、対策といいますかあるいは方針というものをだんだんに充実させようとは思っておりますが、取りあえずこの行政の場で具体的にどういう対策をするかということになりますと、動植物まで広げて今すぐに行政の立場からいろんな施策をするということにはなじまないというか、現実にですね、じゃどういうことをするんだということについては、はっきり申し上げまして、私どもとしてはまだ詰めが終わっておりません。  ですから、それは今後の、将来の課題にはなり得ますけれども、この土壌法案につきましては、取りあえずは人、人ですね。先ほど、人というのは国民だとか住民だとかいろいろ御議論もありましたけれども、要するに人、人間ですね。それぞれのその土地の人間の健康を守るということが目的だということで、それに絞らさせていただいております。
  74. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 私は、仮にそこでは目的の方には生態系あるいは植物とか動物を入れていても、この後の法律のいろんな項目には全然差し支えがないと私は見ています。つまり、人間の健康に被害を及ぼすものだったら、これは同じような条件ではほとんど間違いなく動物でも植物でもあるんですから、だからその法律を別にそれに合わせて加えることは必要は全くないと思います。恐らく、外国でも生態系全体を考えていて、実際には私たちとこの対策は同じになろうと思いますけれども、どういうわけか日本ではそれは国民あるいは人だけになってしまった。取りあえずということは、今度はこれは遠い将来のことで、十年後に見直されるということが考えられていますけれども、そのときはそれは含まれるかどうかちょっと分かりません。これも是非これからやっぱり考えていただきたい問題であります。  そこで、これも最初には、考え方として大臣にお伺いしたいと思いますけれども、やはりこれも、私はオランダ一つの、オランダの当該法を例にしていますけれども、その中で予備調査という言葉が出ているんですよ。かなり広い範囲で予備調査を、これをちょっと最初に、この予備調査意味をもし、局長の方では、オランダの場合の予備調査というのはどういうものであるか、まずその意味についてちょっと質問したいと思います。
  75. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) オランダ土壌汚染対策制度につきましては、予備調査、それから詳細調査、それから浄化についての調査なり対策というような段階を経て対策は講じられるという構成になっていると承知しております。  具体的に汚染の、サイトの汚染調査をするとか、それから対策をやるというのは詳細、浄化という分野に当たるんだと思うんですが、その前に、オランダ制度では予備調査ということで、州知事汚染サイトの疑いがあるというような場所を特定するといいますか、あるいはその情報を聴取するというための調査実施するということが規定されているところでございます。
  76. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 そこで、オランダの場合はこれは、この予備調査は原則としては公的費用で行われているわけですね。今は、ここでいろんな企業とかが心配しているのは、その調査にはお金が掛かるということ。もし、こういうことは日本でもあり得るんなら、予備調査は少なくとも、まだはっきり分かりませんけれども、その疑いがあるというところでこれを公的な費用で行うということは検討もされていないんでしょうか。あるいは、これを考え方としては、局長でも大臣でも、まず局長の方からお願いします。
  77. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 各国の法律の組立てにつきましては、それぞれの組立てが違っておりますので、きっちり同じような形に、この予備調査が私どもの法律最初に義務付けております調査と同じようなものになるのかどうかにつきましては必ずしも定かでない点があると思っています。私、我が国におきましても、地下水のモニタリングでございますとか、あるいは土壌環境に関する情報を集める、公的に集めるという作業はしていかなきゃいかぬのだと思っておりまして、この点につきましては中環審でも宿題になっているわけです。  私どものこの法律におきましての調査というのは、もうこれは健康リスクの蓋然性が高いというような場合に一定の機会をとらえてそれは調査をやっていただくという調査として組立てておりますので、そういう調査につきましては、これをだれが実施するかにつきましては、制度全体をどのように仕組むかということであったわけでございますが、これは中環審の審議におきまして、土地所有者にも土地の状態につきまして、これを管理するという意味におきましての状態責任というものもあるので、その土地所有者に、その調査方法などにつきまして比較的に簡易にする等の土地所有者に過大な負担にならないという配慮を行いました上で、この調査につきましては土地所有者に行っていただく、義務付けるというのが適当だと、こういう中環審答申をいただいている次第でございます。
  78. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 この考え方に対してちょっと大臣の意見をお伺いしたいと思いますけれども、結局、予備という言葉は別として、捜査の段階ではこの費用を公的に、そしてその後、汚染されているということが分かった後は、やはり責任者は、それを起こした責任者費用を持つ、一般的にこういうふうに考えますけれども、これに対して大臣考え方
  79. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 先ほどオランダの例を挙げていろいろと御質問があったわけでございますが、オランダの場合には予備調査と申しますか、要するに汚染の疑いがあるところというところで、そこでその調査が始まってくるわけですね。  今度は、日本の今のこの御審議いただいております法案では、やっぱり人の健康リスクを防止するというところをとらえているので、その二つ、もちろん両者は非常に関係はありますけれども、ちょっとそのかかわり方が違うというふうに考えておりまして、そういうことで、それについての調査ということは土地所有者に、一番その土地のことをよく分かっているということで土地所有者調査もしてもらうということで中環審の方の御意見もいただいておりますので、その線に沿って具体的にまたどういうふうにするかということを確定していきたいと思っております。
  80. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 やはり人の健康を保護するために、あるいはその考え方からいろんなこういう問題が更に出てきます。後で、もうちょっと後で、ここでは長野県の岡谷市の問題でもやはり同じようなことは関連しています。  その前には一つは、これも大臣に是非意見を伺いたいと思いますけれども、経団連、経済団体連合会の意見書の中では、非常に興味深い一つの文章がありました。それをちょっと読ませていただきます、このことに対してね。汚染原因となった行為の中には、過去は違法行為ではなかった例、行政が激励して使用させた物質汚染原因である例などもあると書いてありますね。  ここで、行政が激励して使用させた物質、まずこれをちょっと局長の方から、どういうことがここで経団連の考えに入っていた、行政がどのような形で激励して使用されたことがあったでしょうか。これは推定しかないかもしれませんけれども。
  81. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 申し訳ございませんが、経団連の方から具体的な事例を摘示して、こういうことであるので原因者責任負担させることは適当ではないということを指摘いただいたという記憶は、ちょっと私自身はございません。  ただ、公害事案におきまして、過去に必ずしも規制をするとか、そういういろいろな技術のうち、その手法が悪い手法だということにされていなかったではないかと、そういうことを後になって知見がはっきりしたときに問題にするというのは非常に過酷ではないかということは時々主張されていることは事実でございます。  ただし、考え方といたしましては、これは公害被害の裁判等々におきましてもございますように、やはりその時点で行政規制していなかったからということ、あるいはいろいろな技術の中でどれが、ランク付けされたそういう技術が必ずしも悪いというふうに言われていなかったということが、後々の責任あるいは汚染対策責任ということを免脱する事由にはならないというふうに考えております。
  82. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 大臣に聞く前には、この激励して使用させたというのは、私も経団連の方が何を考えたか分かりませんけれども、農業の分野では以前から、例えば農薬を農家で使っていたときはそれに対して補助金を国の方が出したんですね。つまり、その農薬を使うのを国が応援したということですね。後で分かったことでこれは大変な問題になっていって、それで農産物は汚染されたということ、人の健康にも影響が及ぼしたところですね。  もしそうだったら、例えば今は経団連が指摘しているようなことは本当だったら、補助金まであったかどうか分かりませんけれども、このときは責任はだれにあるか。そうすると、場合によってはこれは国の責任である。恐らく、将来はこういう問題も起きるんじゃないかなと思います。  こういう場合は、過去には少なくとも違法でなかった、あるいは何らかの形で国がそれを応援した、あるいは認めたというときは、その汚染原因責任は国にもあり得るか、この考え方について、大臣の方からお伺いしたいと思います。
  83. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 今、責任ということで、経団連の方から責任という文言がありますが、やはり責任ということは場面場面によって厳密に考えていく必要があると思っております。  ここでの主張は、過去において必ずしも規制されていなかったようなものがあるので、そういうものについての対策原因者負担させるというのは過酷な場合があるという制度の作り方についての御説明責任論だというふうに思っています。私どもは、やはり汚染者負担の原理からして、そのような責任論は受け入れる余地がないというふうに思っております。  したがいまして、農薬の例示が出されましたが、政府が過去にいろいろな行政を講じたことによって、それによって責任が生じる場合がないか否かということにつきましては、一般論としてそれを規制していなかったからといったようなことで国に責任が来るというのは、一般論としてそういうことは言えるわけでございませんで、やはり非常に特定のケースにおきましてよほど国の行為におきましてその責任を問われなきゃいけないほどの違法性でありますとか、特別な事情があったという場合に責任が問われるというのは法的な議論ではないかというふうに思っておりますので、ちょっと実務的な説明を先にさせていただきました次第でございます。
  84. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 今度のこの法案では、その土地土壌汚染を発生させる行為を直接行った者がそれは責任だと、こういうことになって、直接ですね、直接にということで、それは広い意味では国がどう考えるかといういろいろな問題は出てくると思いますが、政治的な問題として。しかし、今、法律の建前としては直接に責任のある者がその責任を負うと、こういうことでございまして、それ以上のことは今この法律の中では規定していないわけでありますから、それは非常に一般論としていろいろ議論は出てくると思いますが、国の責任というのはいろんな意味での責任がありますから、やっぱりその一つの政策がずっと長い間やっておって、それがまた見直すというようなことも政治的には出てくると思いますけれども、今のところはこの法律の中ではあくまで直接、土壌汚染を発生させる直接に行為をした者というところに責任を負わせるということで御理解をいただきたいと思います。
  85. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 私も残念ながら今は具体例がないんだから、これは一般論としてはこれからはそういう問題も起こり得るということ、国の責任を追及する場面は出てくると思います。それはそのときの問題になります。  ここで、次に本当に私から見れば重要な問題が、これは衆議院の方でも何回か指摘されている問題ですけれども、ちょっと新しい角度からこの操業中の工場調査、それは調査対象に今の段階ではなっていないんですね。あくまでも工場の跡地ですね。一時的には、いろんな新聞の記事も読みますと、検討の段階では操業中の工場調査対象にはなっていた、あるいはそれも検討されたということがあるかと思います。なぜ、なぜというか、その経緯についてどうしてそれは消えたでしょうか。この跡地だけにということ。局長の方から。
  86. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 検討会の報告それから中環審の議論におきましては、一貫して健康影響の蓋然性が高い場合に義務を課するということは相当である、そういう形で一貫した制度を仕組む必要があるということで議論がなされておりました。  したがいまして、いろいろな場面、要するに有害物質を取り扱うような工場などが操業をしているときにどういうような事柄があるかというようなことにつきまして順次議論をして、どういう機会をとらえることが一番蓋然性が高い場合に義務を課するという形になるのかということで議論が進んでいったというふうに理解をしております。その結果でございますが、そういう蓋然性の高い場合という場合の一つが有害物質を扱う工場等が廃止されて一般の人が立ち入ることができるような状態になる、そういうような機会をとらえて調査を義務付けるというのが一点でございます。  もう一つは、操業中の工場を対象とすることがないというわけじゃございませんで、特に、例えば地下水のモニタリングなどによりまして汚染が発見された、その汚染の元をたどって推定していきますとある工場汚染ではないかと思われるような場合、そういう場合につきましては当然のことながら操業中の工場でも調査命令の義務の対象になるという形で整理する。そういうことで、重金属によります汚染あるいは有機化合物におきます汚染、そういった両方のものにつきまして、健康影響の蓋然性が高い場合を議論の中で抽出して、一貫した一つ制度考え方として組み立てていただいたものだというふうに考えている次第でございます。
  87. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 私はこれを聞いたきっかけの一つは、新聞の記事をそのまま裏付けることにはできませんけれども、この新聞の記事に対するコメントを局長の方から求めたいと思います。  朝日新聞には、三月十四日にこの長野県の岡谷市の地下水の汚染に対しての大きな記事がありました。その中にはこういうことも書いてありました。環境省は法制化に当たり、既存の工場にも調査の義務付けを検討した。しかし、経団連や中小企業の団体が、操業中の工場まで義務付ければ、費用負担に耐えられない企業が続出すると抵抗して、だから環境省はこれを断念した。これに根拠があるかどうか分かりませんけれども、朝日新聞にはこういう記事、コメントが載っています。これに対しての局長のコメント、お願いします。
  88. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) この法制化に当たりましては、各方面、各団体の意見、パブリックコメントもいたしております、意見のヒアリングもいたしておりますので、事業者側の方々からは、こういう制度実施したときに過大な負担にならないということにつきましての、いろいろな意見をちょうだいしているのも事実であります。  ただ、その意見を聞いたからそこをやめたんだと、こういうことではありませんで、一つ制度として一貫したものにしてどうやって作り上げていくかということにつきましては、特に小委員会にお入りになっています法学等の専門家の先生たちも含めて大いに議論をしたところでございまして、やはり単に汚染可能性があるからということだけで義務付けをしていくというのは、制度としてはそれはそこまでは仕組み切れないんで、やはり一定の義務を課する以上は、健康リスクが高いと、そういう蓋然性がある場合ということを的確に把握して調査の義務付けをしていくということが必要であろうと。  そういう中から、今の三条の調査義務、それから四条の調査命令を仕組んだわけでございますから、操業中の工場等につきましても、四条に当たるような、要するに今土壌汚染があり、放置しておけばそれが健康被害のおそれがあるような、健康リスクの蓋然性が高いという場合には調査命令を掛けることができるという制度にするという答申をいただき、その答申を踏まえて法案化をいたした次第でございます。
  89. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 私も、これは新聞記事だけですから、こういう理由でそれはあって、それでそれを断念されたかどうか、もちろん私には分かりません。ただ、ちょっとこれはコメントを求めただけです。  ここでは非常に、同じ記事の中で別な問題が出ているんです。これは恐らくもちろん環境省の方でもそれに対していろんな調査もあるかと思います。長野県の岡谷市の地下水の問題です。  御存じのように、この岡谷市では、以前は精密関連企業でトリクロロエチレンなどを洗浄剤として大量に使って、それは、その廃液は適切でない方法で処理されて、そして地下水が汚染されたという問題ですね。これも環境省調査の結果では、新聞にも書いてありましたけれども、およそ八割の、市ですね、地下水が、ほとんどの地下水が汚染されている。そして、もっと大変なことには、岡谷市の水道水のおよそ八割は地下水やわき水に依存している。しかし、ほとんど汚染されているということですね。そういう、今もまだその工場が残っているかどうか分かりませんけれども、とにかくそれが原因で今汚染されている。  さらに、ちょっと疑問に思っているのは、いろんな調べでは、井戸をたくさん調べられたわけですね、その井戸の中には汚染された井戸もたくさんあった。でも、その後は環境省はこの問題にはこれからどういうふうに取り組むんでしょうか。
  90. 石原一郎

    政府参考人石原一郎君) 岡谷市の地下水汚染についてのお尋ねでございます。  岡谷市におきましては、お話のありましたように、昭和の四十年代あるいは五十年代に掛けまして、市内の精密機械の関連企業におきましてトリクロロエチレンなどが部品の洗浄剤に使われてまいりました。その廃液等の不適切な処理により地下水が汚染されたというふうに聞いております。  地下水の汚染の件でございますけれども、水道水源につきましては、十六か所で水源を岡谷市の方で取っております。うち一か所で基準値を超えたわけでございますけれども、それ以外の水源も含めまして浄化設備五か所を設ける、あるいは市内の環境地下水の、井戸の調査を市の方で実施しております。これに、飲用ではございませんけれども、市内にある井戸を調査したというものでございます。これの基準を、百八十四本調査しまして二十一本が超えていたということがございます。この超えていたものについては、引き続きモニタリングの調査をしていくということにしております。岡谷市全体の濃度そのものにつきましては、県の常時監視の状況ですが、全体では濃度は下がる傾向にあるというふうに聞いております。  この岡谷市の件につきましての今回の法案との関係でございます。ただ、個別具体的にどのような形での措置が取られるかということにつきましては、現時点で確定的に申し上げることはできませんが、地下水汚染原因と推定され、措置が必要な汚染土地があれば、調査命令等の所要の措置を本法に基づき講じていくことになるんではないかというふうに考えております。
  91. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 ここでは、今も言われましたように、その汚染された井戸は今現在飲み水に使われていない、でも汚染されています。飲み水に使われていないときは、調査はしますけれども、この浄化、この市内全体の地下水が汚染されている、人の健康には直接今は影響がないんですけれども、浄化の方はどうなるんですか。それについて何か計画があるんですか。
  92. 石原一郎

    政府参考人石原一郎君) 汚染されている、一定の土地について汚染されている状態が見付かった場合においてどのような措置を取るかということにつきましては、今後、技術基準等で詳細に検討していくことになります。その過程で検討していくことになりますが、基本的には健康被害のおそれがあるという観点からの検討になろうかというふうに考えております。
  93. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 これもちょっと一つの記事で書いてありましたけれども、かなり多くの地方自治体では、地下水が汚染されているとき、井戸が汚染されているときでも、それは飲み水に使われていないときは別なところの水源を探しているということ、つまり汚染はそのまま残っているということ。これも本当に大変なこと。  しかし、私もよく分かっているのは、一度地下水が汚染されたらそう簡単にそれを浄化することはできないんです。さらに、岡谷市の場合は、別なところ、何かダムの方で求めているということ。でも、これも今度は県知事の計画ではそういうダムをこれ以上はもう造られないということで、だから別な水源もないときは、本当にこの地下水の汚染がひどいというか、大きなこれからの課題であります。  方法としては、日本では地下水を浄化しようとするときは、もうあと私は二分しかありませんね、いろんな方法がもう今使われているんでしょうか、浄化しようとするときね。
  94. 石原一郎

    政府参考人石原一郎君) 地下水の浄化の手法につきましては、物質ごとに技術はございますが、揮発性有機化合物質でございますればくみ上げての曝気ということで浄化するというような技術があるところでございます。
  95. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 私も実はもうちょっと質問を用意していましたけれども、もう時間がありませんからそれはまた後の機会にしますけれども、これももう質問じゃなくて、もう自分の方からこのデータを、これも聞こうと思いましたけれども、現在ではこれは環境省の調べで工場跡地で二千あるいは三千か所ぐらいがあるんですね、その有害物質を使われたところですね。  あるいはもう一つは、そうじゃなくて今操業中である、有害物質が使われている工場が二万七千くらい、もう質問の時間ありませんからしませんから、ある。これは本当に私たちはこれから取り組むべき大きな問題でありますから、今はまだ対象にならなくてもいろんな問題ができますから、これからやっぱり私たちはこれをどうやってここから更に発展するかということは、これからみんなで力を合わせて、与党も野党も力を合わせてやらなくちゃならない問題だと思っています。  私の質問はこれで終わります。
  96. 堀利和

    委員長堀利和君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時十二分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  97. 堀利和

    委員長堀利和君) ただいまから環境委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、土壌汚染対策法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  98. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 こんにちは。お疲れさまでございます。民主党の福山でございます。  まずは、先日御報告をいただきましたG8と日中韓の環境大臣会合についての御報告について、大臣にお伺いしたいと思います。  一つは、G8環境大臣会合においてアメリカ、ロシア、カナダ、イギリス及び欧州委員会大臣等と意見交換を行いましたというふうに言われました。報告をされました。バイで、一対一でやられているというふうに我々も承っておりまして、特にアメリカの場合にはこれまでの経過がございますし、ロシアはどうも批准をちょっと延ばすというふうな話も入っておりますし、カナダも非常に重要なポジションですので、大臣がバイでアメリカ、ロシア、カナダとお話をされているその内容と、さらには京都議定書の批准を求められたのかどうか、少し詳しくお伺いしたいと思います。
  99. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 先般のG8環境大臣会議で、米国、カナダ、ロシアとそれぞれ、全体の会議のほかにそれぞれバイの会談を行いました。  まず米国でありますが、これはG8の前に四月の五日でしたか、向こうの環境次官、失礼しました、国務次官が参りまして、ハイレベル会議をやりまして、そのときも引き続き、すぐに入れないにしても、少なくとも枠組み条約の中ではひとついろいろと協力できることがあるんだということで、これはもう従来から続けておるわけでございますが、今回もそれを行いまして、それを前提にしてまたG8環境大臣会議に出席したわけでありますが、向こうのホイットマンという環境庁長官が出てまいりまして、結局内容的にはその延長みたいなことになっているわけですけれども、東京で行いました日米環境大臣レベル会議の後を受けて、今度はもう一回カナダで会議をやったというわけでありまして、要するに話が続いておるといいますか、逆に言えば、そこから大きく京都議定書自体についてのアメリカの態度というのは変わっていない。しかし、彼らもヨハネスブルクへ大統領が行くということを前提にしていろいろとそのための準備を進めておるという話はいたしました。ということでありますから、米国については、そういう形で枠組み条約の中での日米の話合いというのは引き続き続いておるということでございます。  そういった中で、アメリカは自分自身は入らないんだけれども、よその国には枠組み条約の中でまたいろいろと話合いを続けているということを申しましたから、そういったものの中で、やはり京都議定書の全体としての前進に資するようなものをひとつしっかりとやってもらいたいということも申したわけでございます。  次に、カナダでございますが、カナダは現在国内で京都議定書の承認の手続を今準備中でございます。中央政府としてはあくまで環境大臣も京都議定書を承認するというために準備を進めておるということで、いろいろと州政府との話合いあるいは産業界との話合いを進めておるということでありまして、相当苦労しております。いろいろ細かい点は別といたしまして、なかなかやっぱり、アメリカと経済がかなり一体化しているような点もありますし、また、州政府というのはあそこは非常に独立性が強いというようなところもありますからなかなか苦労はしておりますが、懸命に努力はしておるというのが、一言で言うとそういうことであります。  それからロシアにつきましても、これもまた京都議定書の批准ということを前提として、これは今まだ恐らく行政府部内でのいろいろと手続なり話合いを進めておりまして、まだ国会の方へ正式には出していないと思いますけれども、いろいろその見通しがありまして、何月何日までに必ずやるということは言えないと言っておりましたけれども、話の途中ではいろいろと、これ余り数字を言うとあれなんですけれども、二、三か月で何とかしたいというようなことも言ったことも事実あるんですが、果たして本当に二、三か月でできるかどうかということになりますと、これはなかなかよその国のことでございますのではっきりとは申し上げられませんけれども、いずれにいたしましても、カナダ、ロシアも京都議定書の批准に向けて国内手続を一生懸命に進めておると、少なくとも行政府としては一生懸命進めておる、そういう段階でございます。
  100. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 ありがとうございます。お疲れさまでございました。  それから、もう一つ重要な情報を報告の中には盛り込まれておられまして、日中韓の三か国の環境大臣会合で、中国政府、韓国政府とも京都議定書の締結に前向きに取り組んでいることが確認できたというふうに大臣は御報告をいただいたんですが、私の記憶では、間違っていたら御訂正ください、両国はまだ京都議定書、署名もしていないというふうに思っております。ですから逆に、中韓が京都議定書に前向きに取り組んでいる確認をされた根拠と、何をもってそういうふうに御判断をされて御報告をされたのか、具体的に教えていただければと思います。
  101. 大木浩

    国務大臣大木浩君) まず、中国、韓国が署名をしたかどうかということでございますけれども、これは京都議定書、京都で採択したいわゆる京都プロトコル、これに対する署名は両国とも終わっております。終わっておりまして、これを国連の事務局の方へ寄託しておりますから、署名は終わっておりますが、これは、京都議定書で要するに締約国として参加してそれに同意したわけですね、会場では。ですからそれを改めて確認したというわけでありまして、現在、それぞれに今度は国内で批准のための手続を進めております。  韓国は非常に一生懸命やっておるということで、できればヨハネスに間に合わせたいということで両国もやっているんですが、韓国については、いつとは言いませんけれども、一生懸命やっていますと、こういう話でございました。  それから、中国についてはもう少し、一体いつだいつだということで、本当は三国で共同の声明も出したところで、いつまでにやるということをはっきり書きたかったんですが、中国の方はちょっと自分のところの国内手続もあって、いつまでと書かれるとかえって困るので、ひとつそれは勘弁してもらいたいということなんで、ヨハネスブルクの会議のことも念頭に置きながら、できるだけ早く三国それぞれが批准手続を進めるということで合意を見たわけであります。
  102. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 ありがとうございます。是非、今国会でも承認と法案と両方ありますので、よろしくお願い申し上げます。  では、土壌汚染対策法案の方に移りたいと思います。  済みません。午前中の質疑で私が審議を伺っていて、これはちょっと最初に確認しておかなければいけないなと思ったことがあるので、局長にお伺いをいたします。  我が会派のツルネン委員が質問された中で、「都道府県知事は、指定区域台帳の閲覧を求められたときは、正当な理由がなければ、」というときに、台帳の整理とかそういうことをやっている最中は拒否をすることがあると。それは、私から言わせると拒否ではなくて、ちょっと待ってくれと言っていることで、見せないということではない話で、ツルネンさんの言われた答えには、全く私は答えておられないというふうに思っているんですが、現実に「正当な理由」というのはどのような状況が想定されているのか、お答えをいただけますでしょうか。
  103. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 指定区域台帳におきまして、「正当な理由がなければ、これを拒むことができない。」という場合の「正当な理由」で想定いたしておりますものは、台帳の編集、改訂作業など物理的な事由で閲覧させることができない場合などを想定しております。などというのは、正当な事由でございますが、いろんな事由があると思いますが、これに比肩するような事態でなければならないと思っております。  そのようなものは別に拒否事由として掲げる必要もないのではないかという御趣旨ではないかと思いますが、これは条文の作り方ということでございますけれども、地すべり等防止地域の台帳でございますとか海岸の台帳でございますとか保安林の台帳でございますとか、法令ではこういう書き方をすべてしておりますので、同一の意義内容を有するものであれば同一の表現ぶりをするということで、立法するのは至当と考えております。  したがいまして、この正当事由というのは、今申し上げましたようなごく限定的な問題といいますか、要は公開ということに関して欠けるところのないようなごく限定的な事由しか想定をしていないということを改めてお答えをさせていただきたいと思います。
  104. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 などと言われたのが気になるんですが。  ただ、閲覧について、ちょっとやり方についてお伺いしたいんですが、私の不勉強も含めてですが、これは都道府県知事に開示請求を一々しないと出てこないものなのか、いつでも閲覧できる状況になっているのか、それはどちらだと環境省は今考えておられるのでしょうか。
  105. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 基本的には都道府県の閲覧式によると思いますが、閲覧をしたいということで請求があって閲覧をさせるというのが通常のスタイルだと思っております。
  106. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 そうすると、請求があってからということになると、やはりこれは、これまた愛知委員の方から午前中もありまして、情報公開をしてマーケットに資するというようなお話がありました。私は、情報公開という形では甚だ不十分な状況だというふうに思っています。  同じ法律の体系だと私は思いませんが、山下大臣と三年前に一緒に作業をさせていただいたダイオキシン対策特別措置法案のときには、総合対策計画にちゃんと住民の意見を聴くようにという条文も入れましたし、ダイオキシン特別措置法案の中には都道府県はその調査について公表義務があります。ダイオキシンの汚染状況については公表義務があって、この土地汚染、指定区域の状況のときには閲覧でなおかつ開示請求が要るというのは、私としては少しバランスに欠くのではないかなというふうに思っておりまして、局長いかがでございますでしょうか。
  107. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 失礼いたしました。ちょっと重要なところの整理で説明が不十分でございました。  開示請求を要求しないという扱いで閲覧をさせる、ですから所定の場所にあらかじめ閲覧がすることができる形で置くということを想定して実施したいと思っております。  それから、ダイオキシン法との比較の問題でございますけれども、これは、ダイオキシン法の方は国会の御議論でお作りいただいたものでございますので、これとの関係の比較ということを私どもの方から申し上げるというのは適切ではないと思いますが、ただ一つ、この法律におきます情報公開の物の考え方でございますけれども、この法律におきます台帳を作るというところにつきましては、これは実はこの台帳を作るということでその土地が管理をされる、規制が掛かるということが次の法律効果として生じてきます。  その範囲に必要なことだけをここに書いてあるということでございまして、有害物質をめぐる情報の公開という問題につきましては、これは私はやはりそれぞれの地方の自治といいますか、地方それぞれの地方情報公開の取組の中で積極的になされていく事柄である。そのこと自体をこの法律一つの方式とか一定の方法に決めるというところを、した方がいいという考えもあろうと思いますけれども、この法律におきましては、この法律で効果を生ずる部分のみを規定して、そのような情報公開につきましては各都道府県の自治といいますか、それぞれの取組にゆだねる方が適切だというふうに考えているという次第でございます。
  108. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 要は、先ほどのお話ですと、開示請求要らないと。そうすると、閲覧ができる状況で、いつだれが来ても閲覧できると。それと公表しろというのは法律行為としてはどう違うんでしょうかね。
  109. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 法律上の解釈につきまして、ちょっといろいろな公表の事例と閲覧の事例との比較をつまびらかにするというのは今すぐに御説明することはできないと思っています。  このような台帳につきましては、基本的には閲覧制度ということで、この事柄について関心がある、利害関係のある人にその情報を提供するという台帳制度がございますので、その文例に倣って規定をしておるわけでございます。したがいまして、実際の問題といたしましては、この閲覧台帳に載せるということは公表されているということと実質は何も変わらないものだというふうに思っています。
  110. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 そうすると、余計この条文の意味とか、正当な理由がなければ拒むことができないという意味が分からなくなるんですが、非常にさっき重要なことを言われたんですが、情報開示の問題では都道府県の自治事務に任せるとおっしゃられましたが、現実に指定区域台帳の記載事項は、その中身は環境省令で定めることになっていて、実はこの国会の審議の場でも、その台帳に何が記載をされるのか、どの程度の汚染状況が記載されるのかも実はまだ明らかになっておりません。  その状況で、都道府県の自治事務に任せるといって、現実には環境省がこれとこれとこれを載せろと環境省令で決めることになっているじゃないですか。それだったらもう少し具体的にこの台帳に何を載せてどういう汚染状況を載せるのかということをしっかりと記載をして、審議の中で議論するべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
  111. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 少し説明の仕方が舌足らずで申し訳ございませんでした。  この指定区域台帳というのはこの法律上効果を及ぼすものでございますので、指定区域台帳に記載すべき事項というものは統一的に決めます。実はこの台帳のことだけではなくて、土壌汚染の問題のいろいろな情報につきましての公開という問題はあるのであろう、そういう事柄につきましては都道府県の扱いにゆだねると、そういう精神で仕分をしたということで、この法律の公開の程度がどうかというお尋ねに対する答えとしたわけでございます。  それから、指定区域台帳につきましては、記載すべき事項につきましては、そういう土地の所在が明確になること、及びその汚染、どういう汚染状況があるかという事柄、それにつきましての諸データを添付するといったようなことにつきまして、詳細に台帳に載せるという方向でその記載事項を定めるということで検討をさせていただきたいと思っております。
  112. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 先ほど大臣から、ツルネン委員からの質疑の中で、修正というのはなかなか厳しいというお話を伺いました。それも僕も政治的によく分かるんですが、分かっちゃいけないのかもしれませんが、修正は強く求めていきますが。  山下大臣、三年前、一緒にダイオキシン特別措置法を議員立法で作らせていただいて、あのときにやはり都道府県がダイオキシンの汚染状況について調査をしたものは公表するべきだといって、都道府県知事は公表の義務をあのとき条文に載せました。住民がここを調査してくれと申し出ることまではなかなか厳しいけれども、ちゃんと、対策計画を作るときに、総合計画を作るときに住民にちゃんと公聴会で意見を言う場面を作ろうと、それによって調査なりを担保しようではないかという議論を先生と本当に半年以上にわたってさせていただいたことを記憶しております。  今回も、当初から出ていますように、土壌汚染というのは人体、人間の健康に大変問題がありますし、地下水や生態系の破壊も含めて地域住民にとっては大変不安で、もしくは工場の跡地がほったらかしになっていればもっと周りの住民は不安なわけでございますから、そこについて山下大臣、修正どうのこうのという議論は委員会の場で今御発言しにくいと思いますが、是非法律運用の中で前向きに検討していただけるということを、御意見をいただけませんでしょうか。
  113. 山下栄一

    ○副大臣山下栄一君) 今御質問の内容は、附帯決議の……
  114. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 附帯決議の中にもありますし。
  115. 山下栄一

    ○副大臣山下栄一君) 中に書いてあることですよね。  私も平成十一年、今おっしゃった法案、大きな思い出になっておるわけですけれども、あれ議員立法でやりました。議員立法と閣法のやっぱり違いもあると思います。議員立法の場合は内閣法制局というところが必ずかみますし、僕もちょっと何となくしきたり古いなというような感じるときもありますけれども、それはもう環境省程度に限らずすべての役所に全部かかわっていくわけですから、そういうもので、先ほどの正当な理由がなければというようなことも含めて、そういう今までの慣例の中でこういう言葉が入ってしまうような面も確かにあると思うんですね。  今おっしゃった住民の件につきましても、もうこの四月から情報公開、行政機関の情報公開も始まりましたし、ITの時代ですし、何を古いこと言っているんだというような感覚も確かにおありだと思うんですよね。僕は、この住民の意見大事にするという、そういう考え方は基本になきゃならないと。役所はどっち向いて仕事をしているんだというふうなことだと思いますので。ただ、法律の中にそれを書き込むとかいうようなことがなかなか一挙にいかないような情勢にあることも一方ではあるというふうなことを感じております。  そういう意味で、今おっしゃったことは、私、大事なテーマだと思いますし、運用の中で、これは自治体主体的にやるような方向の法案でもございますけれども、今の御趣旨を体するような在り方を求めていくという姿勢がなきゃならないというふうに感じております。
  116. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 大変前向きな答弁、ありがとうございます。  正に今、副大臣言われたとおりなんですけれども、これ公表義務ならインターネットに発表できて、関心のある人、これから話が出てきますが、土地の売買に資する人、さらに処分をする人、いろんな人がその土地汚染状況はどういうのかとインターネット一つで公表義務なら幾らでも見れて、それでこそ逆に言うと、先ほど愛知委員が言われたようなマーケットの中でのいろんなインセンティブなりが働く可能性が出てくるんだと思いますが、今は基本的なスキームは都道府県が持っているわけですよね、その台帳を。一応閲覧をします。先ほど局長がある程度の前向きな議論をいただきましたし、開示請求も一々要らないということですから、多少ハードルは低くなったかなと思いますが、そういう点でいうと、公表か実はこのレベルかというのは随分大きく影響しておりまして、前向きに御検討いただきたいと切にお願いをする次第でございます。  私、この質問をする予定ではなかったのに、もうこれで十五分も取ってしまいまして、どうしようかなと思っていますが、次に行きます。  ちょっと、理念的なお話はちょっと飛ばしまして、この法律規定されました水質汚濁防止法による特定施設、要は有害物質の製造、使用、又は処理をする施設というのは全国で今何か所ぐらいありますか。
  117. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 有害物質を使用する特定施設が設置されている事業場ということでございますが、現在の水質汚濁防止法それから下水道法の届出情報から推計いたしますと、有害物質使用特定施設が設置されている事業場は全国で約二万七千か所と推定をいたしております。
  118. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 この法律のスキームでは、水質汚濁防止法に係る工場、事業所の中で廃止が決まったところが一応指定区域の対象になるわけですね。そうすると、この今二万七千か所、少なくとも有害物質を使っている工場等の中で毎年一体何か所ぐらいが廃止という状況になっているのか、お答えいただけますか。
  119. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 廃止数につきましては、最近の動向の変動もありまして正確な推定をすることは困難なのでありますけれども、これまでの届出件数の推移などから大胆に推計いたしますと、年間七百件程度が廃止ということになるのではないかと考えております。
  120. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 そうすると、二万七千か所あって、七百か所が対象になるわけです。大臣、ここ重要なんですが、二万七千のうち一年間七百か所なんですね。残りの二万六千三百か所は、これは操業中ということで、有害物質を使っていることが分かっているにもかかわらず、この法律のスキームだと対象にならないわけですね。  そうすると、その廃止の七百か所で例えば有害物質が出るというような調査がかなり数多く出てきたとします。ところが、七百か所ではかなり多く危ないというのが出てきているにもかかわらず、残りの二万六千三百か所ではこれは調査の対象にならないと。これ、逆に、先ほどこれもまた愛知委員おっしゃいましたけれども、風評被害なり、それから地域住民の不安をかえって私はあおることもあり得るべしだというふうに思っているんですが、そこはいかがでしょうか。
  121. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) この法律の三条で調査の義務を課するという考え方でございますけれども、有害物質を取り扱う事業場に可能性があるということでみんな掛けていくということではなくて、やはりそういう工場として操業は継続されて一定の管理がされている、そういう場合には通常は一般住民が立ち入り健康被害を生ずるおそれというのは比較的少ないわけでございますので、本法案では、有害物質使用の特定施設が設置されている工場等が廃止されるといったような場合に、そういう契機をとらえて、健康リスクの蓋然性が高いものということで調査を義務付けているところであります。  そのことによって住民に不安を生じないかというお尋ねでございますが、これは何分にも、この法律ができました場合には、その施行に当たりまして、この法律趣旨について十分に説明をする、周知をしていくということに努力をするということだというふうに考えております。
  122. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 今の、今現状、操業中のところは管理をされているから比較的リスクが少ないとおっしゃられた。比較的という言葉をおっしゃいました。それから、廃止をされたところは蓋然性が高いということであると。  廃止をしたところというのは、それまで管理されて営業、管理されてきているわけだから、操業しているところと本質的には変わらないわけですよ。ところが、廃止をしたら蓋然性が高くなって、そのまま操業中だったら蓋然性が高くなくて比較的少ないというのは、全くもって理屈が通らないというか説明にならないと思うんですが、どうですか。いかがですか。
  123. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) この法律におきましては、土壌汚染が生じ、それによって健康リスクの蓋然性が高い場合というものを調査義務あるいは調査命令の対象とするということで、どのような機会をとらえたらいいかという考え方でございますが、まず、重金属等の汚染というようなものを考えますと、基本的には、土地汚染された状態があります。その土地に一般の人が立ち入ることによりまして接触をしたりとか、あるいは経口、経気道で吸収をしたりといったようなことでリスクが生じるわけでございますので、まずはそういう有害物質を使用している工場、有害物質を使用している施設を設置している工場等が廃止されまして、それが例えば住宅でございますとか店舗でございますとか、一般の方々が立ち入るような用途に変わっていくという場合が蓋然性の高い場合というふうに一つ考えまして、これを三条におきまして調査義務の対象といたしたわけでございます。  もう一つは、都道府県におきましても地下水モニタリング、重金属以外の問題ということでございます。これは、揮発性有害物質などにつきましては、都道府県などにおきましても地下水のモニタリング等を実施しております。そういうモニタリング等におきまして、汚染の、土壌汚染があり、それによって健康被害のおそれがあるというような蓋然性が高いという場合につきましては、これは四条で操業中の工場でも調査命令の対象とするという構成を取ったところでございます。
  124. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 何をおっしゃっているのかよく分からないんですが、四条で操業中の工場についても調査対象にする可能性はあるんだとおっしゃいましたが、それは先ほど申し上げたように住民の申出も何もないわけです。じゃ、そこの操業中で危ないと思われる工場に対して都道府県知事が指定区域に指定をして措置をするには、一体何を根拠に指定できるんですか。だって、そこに住民からの申出のスキームも何もこの法案の中にはないんですよ。
  125. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 四条の調査命令につきましては、土壌特定有害物質による汚染により、人の健康に係る被害が生ずるおそれがあるものとして政令で定める基準に該当する土地があるときに都道府県知事が命令を出すということで、都道府県知事にその判断をしていただくということになろうと思っております。  そのような主要な場合としては、飲用に供されている等の井戸があるような地域におきまして地下水の汚染が発見され、その汚染の元といいますか、その汚染原因となっている土地であるというようなことが分かる場合、あるいは工場等有害物質が使用されていて汚染可能性の高い土地につきまして、先ほど申し上げましたような、通常の人が立ち入ってそういう、通常の人が立ち入って重金属等による被害が生ずるおそれが高い場合、そういったような場合を基準として定めると。  そういう場合に、都道府県知事がどうしてそういうことを知り得るかということでありますけれども、これにつきましては、それぞれ個別の蓋然性の判断でございますので、都道府県知事におきまして、地下水モニタリングのデータでありますとか、その余の各種のデータに基づいて判断をすることとしております。  それから、住民の申出というのは、制度としてこの法律規定するということではございませんけれども、都道府県知事の常々の環境監視の活動の中で、住民の方から心配がある、あるいはこういうことがあるのではないかという申出があった場合には、今現在におきましても、各都道府県におきましてその申出内容を聞いて適切に判断し、その判断におきまして心配があるということであれば、この法律ができますれば四条の調査命令を発するということになると考えております。
  126. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 今も実はすごく重要なことをおっしゃったんですよ。  地下水の汚染が発見され、いろんなデータがそろって、これは蓋然性が高いと思ったら調査命令が発せられるからそれは四条で救うんだというふうに今、局長はおっしゃられた。まして住民も、都道府県のそれぞれの自治の中で、いろんな住民からの話があればそれで調査ができるとおっしゃられた。でも、今の話は、地下水の汚染が発見されて住民が危険だと認知をして都道府県知事に申し込まないと出てこないということは、もう既にそのときには地下水は汚染されているということなんです。もうそのときには、生態系や人体に影響が起こり得る可能性がもう既にそのときには起こっているということなんです。だから、この法案の目的である未然の防止が必要なんじゃないんですかと。  未然の防止というのは、汚染を起こさないようにするべきではないですかという話なんです。今の局長の話だと、いろんなデータで地下水の汚染が発見されたら調査命令下せることに、そのときには汚染が発見されたらもう遅いじゃないですか。だから未然の防止が必要だという話ですし、操業中にだって、同じように廃止をして調査をするんだったら、操業中だってちゃんと調査をしないと、さっき言ったように二万七千のうちのたった年間七百か所しか今のところだったら調査できないんですよ。  それ、残りどうするんだといったら、四条で発見すると。四条でどうやって発見するんですといったら、地下水で汚染が発見されたら動きますと。地下水で汚染が発見されてからじゃ、もう遅いじゃないですか。どうですか、大臣
  127. 大木浩

    国務大臣大木浩君) いろいろの事業場が、操業中ないしはその操業を終わって、また別の目的に転用なりするという、私はいろんな状況があると思うんです。  例えば、まず、操業中でも従業員はおるわけですよね、これ。それから、全く立入禁止という工場は余りない。ですから私は、ある程度状況分かって、怪しいと思ったらどういう時期でもそれはやっぱり調査するということになるんだと思います。  ですから、これは、それは法律でなかなか書きにくいんだけれども、やっぱり明らかにというか、人体に対する影響がありそうだというおそれがあると思ったときには調査するということでひとつ御理解を願いたいと。  別に、その水の方が、地下水の方にいろんな影響が表われたという段階だけじゃなくて、いろんな段階で私は、従業員も含め、あるいはその土地の住民も含めて、いろんな意味での、何と申しますか、情報は得ることはできると思いますので、これはやっぱりそういった中で、従業員もあるいはその土地の住民も、ちゃんと自分のところのやっぱり工場ですから、それをきちっときれいなものにしていくという努力はしてくれるものだと思いますし、それに基づいてまた環境省なり、また都道府県知事措置をしていただくと、こういうことになるんじゃないかと思っております。
  128. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 少し苦しい答弁で、私も納得しようがないんですが。  例えば、さっきのたった七百か所だという話は、もう一つ情報の公開という話でも同じことが起こるわけです。つまり、ある環境基準に、超えたところしか実は調査が入らなくて、その部分だけが指定区域で台帳に載るんです。ということは、残りの二万六千三百はどのような汚染状況なのか。ひょっとしたら、環境基準のほんのちょっと手前だったけれども、超えていないから台帳に載っていないようなところがあり得るわけですね。ところが、大部分の二万六千三百は危ないかどうかも分からない、情報も出てきていない、その中で操業が続けられている。さっきもお話しになられた、地下水で汚染が出てきたらすぐ動きますよ、それじゃ遅いと。  私は、別に法案一個一個、別に何というか、揚げ足を取りたいと思っているんでは本当決してないんですよ。土壌汚染に対して環境省がこうやって前向きに進み出したことに対しては本当に評価しているんですが、どうせ法律作られるんだったら、やっぱり実効性の伴う法律を作っていただきたい。少しでも住民が環境省が作ってくれた法律で安心できるという状況を作らないと、これは後で土地の話出てきますが、土地ではもっと問題これは起こってくるわけですね。  これ、申し訳ないですけれども、今の大臣の御答弁では私ちょっと納得しにくいんですけれども、いかがですか。
  129. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 常に二万六千の事業場をいつもきちっと監視して調査しろということになりますと、これは今度は逆の意味での実効性が、法律には書いても現実にできないというような、逆の意味でのマイナスも出てくると思いますので、取りあえずはやっぱりある程度人体に対する影響があるという疑いが濃くなったところについての調査ということを書いてあるわけでございますけれども、決して何と申しますか、今言ったような情報をあえて隠しておくとか、そういうようなことではなくて、ですから必要なものはやっぱりきちっと調べて、そして台帳にも今のお話で載せると、こういうことでございますから、ひとつやっぱりみんなで監視していただくということも必要だと思うんですね。  法律に書いてないから何にもやらないということではなくて、やっぱり先ほどから申し上げているとおりに、そこの工場では自分たちの工場ということできちっとするというお気持ちもあると思いますし、それからまた近隣の住民もいつも見ておられるわけですから、どうも怪しいということになればそこから話が出てくるわけでございますので、やっぱり法律できちっと決めるのは今のような決め方にさせていただきたいというふうに思っておるわけでございます。
  130. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 だからこそ、私は法律の中に住民が何か申し出るようなスキームとか、先ほど申し上げたような、インターネットでたたけばある程度信頼ができるデータが一目瞭然で分かって、ここは安全な地域で、この数値に比べればうちの地域のこの工場はちょっと高いんだなというような認知が、常に住民が監視ができるような状況がないと、今、大臣が言われたことですら実はなかなかできにくくなるんじゃないかなというふうに思っているんです。  法律に何が書き込めるか書き込めないかという問題は別にして、やっぱりそこはもう少し工夫していただきたいなと思うんですけれども、もう余りしつこく言うと切りがないので、大臣、もう一言だけいただいていいですか。
  131. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 先ほどからインターネットだということをお話ではありますけれども、これやっぱり一つのきちっと、何と申しますか、公的機関でその資料をきちっと整備して、それを保存していくということでありますから、台帳というのはやっぱりインターネットでとにかくすべての人に流せばいいということではなくて、必要に応じてまた台帳の記載事項も修正せないかぬわけですからね。やっぱりどこかできちっと保管をして、それをしかしいつでも見ていただくということでそれを活用していただくというのが、今の私の感じではその程度の公開性と申しますか、が妥当じゃないかというふうに考えております。
  132. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 是非しっかりお願いします。  もう何か予定していた質問ほとんどできなかったんですけれども、一個だけ、どうしても言っておかないと次の審議に影響が起こることなので、お話をしたいと思います。  去年の五月に私はNOx法の審議をしたときに、環境省と国土交通省が国会の委員会や本会議で審議が始まる前に覚書を交わしておられました。NOx法案の内容に関する覚書を交わしておられました。この覚書については、当時の環境大臣でいらっしゃいました川口大臣が、この法案審議の前の覚書は破棄をするというお話をいただきました。  法案がまだ国会にもかかっていないにもかかわらず、役所間同士で法案を解釈をし、覚書を交わして、そしてその中である種の法案に対する、及ぶ範囲を限定するというのは私はある意味けしからぬと思っていまして、そういう事項があるんだったら法案の中に附則にでも書けばいいし、ちゃんと事前に連絡をすればいいわけですが、今回も二月の十三日、法案がかかる前に経済産業省と環境省の管理局長の間で覚書が交わされています。  この覚書の中身が正当性があるかないかは僕は審議の中で明らかにしていきたいというふうに思いますが、これは自民党の先生方も多分同じだと思いますが、審議をする国会が始まる前に役所同士で覚書を交わして、その中身が我々に知らされていないと。で、法案の審議をしろというのはやっぱり非常に僕は国会の審議を冒涜をしていると思いますし、国会の審議が形骸化するもとだというふうに思っていますので、この件について何か局長、コメントありますか。
  133. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 法律案を取りまとめるに際しまして、その法律案趣旨に沿ってその法律運用におきます場合にどのようなことをやっていくか。それにつきましての判断というものにつきましては、各省ともよくよく議論をするということは必要なことでありまして、その議論をした結果につきまして各省間で確認をしておくということは許容される範囲のことであるというふうに考えております。
  134. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 では、経済産業省さん、お伺いします。  この覚書にあります鉱山保安法の問題、経済産業省の所管だと思いますが、この鉱山保安法の範囲の中に今回の環境省の言われている水質汚濁防止法にかかわる事業所が含まれる場合はあるのかどうか、お答えいただけますか。
  135. 佐々木宜彦

    政府参考人佐々木彦君) 御質問だけにお答えいたします。  数字は別といたしまして、当然、水質汚濁防止法が鉱山事業場に掛かっている場合はあります。
  136. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 含まれているんですね、この中に。
  137. 佐々木宜彦

    政府参考人佐々木彦君) はい。
  138. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 この中に含まれているんですね。  そうすると、これはちょっと大問題なんですね。これ全く含まれていないんだったら、まあ、私もちょっとあれかなと思ったんですけれども。含まれているんだったら、水質汚濁防止法の掛かる工場がこれとバッティングをしているんだったら、この覚書は非常に問題だと思います。  なぜかというと、法律にかかわる事項の範囲が、国会の審議の前で覚書が交わされて、ある種限定をされるわけで、この問題については、次回の委員会でしっかりと協議をさしていただきたいと思っていますし、土地の売買その他については、もっといろいろこの法案問題がありますので、そこの問題をもっと真剣に、慎重に議論をさしていただきますことをとにかくお約束して、もう終わってしまいましたので、私の質問は終わります。
  139. 加藤修一

    ○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。  まず最初に、環境大臣にお伺いしたいわけですけれども、今回のこの土壌汚染対策法については、様々な団体がこういったものについて提案をしているわけでありまして、私なんかも、法案について検討していく中で課題が相当数あるなという感覚でいるわけでございます。附則の見直しが十年というのもいかにも長いという感じがいたしますし、種々の課題を含めて、更に積極的にやはり土壌汚染対策を進めていくべきではないかと。  そういった意味では、対策に掛ける大臣の決意をまず最初にお伺いしたいと思います。
  140. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 午前中のいろいろと御審議の中でもお話がありまして、政府側の答弁でも、いろんな環境問題の法案は、いろいろと汚染について順次法案は出てきておるわけでございますが、大変に、この土壌についてはむしろ一番遅れて出てきたということで、それはどうやって具体的に法律に盛り込んで、そしてやっぱり法案で、せっかく法律を作った以上は、きちっとした効果のあるような法案にしたいということで作っておるわけでございますけれども。  正直言いまして、土壌汚染というのはいろんな経路で汚染が生じますし、それから片や、今までもある程度、水の問題だとかいろんなほかの法律もあって、ある程度その辺との何と申しますか関連というようなことも考えなきゃいかぬというようなことで、先ほどから各委員のお話の中でも、もっと書き込んだらいいじゃないかというようなお話ありますけれども、そしてまた、実際に衆議院の方でも附帯決議等々出されておりますから、これはひとつ皆さん方の御要望と、強いお気持ちだということでこれを受け止めて、これからの検討には資してまいりたいと思いますけれども、取りあえずは、今、この程度の法律を作って、これをきちっとまず施行して、その成果を上げるということが行政府としては望ましいのではないかということで、この法案を提出さしていただいたわけでございます。
  141. 加藤修一

    ○加藤修一君 今年でありますけれども、OECDの対日環境保全成果レビューの関係で、その中で日本に対する勧告には、あらゆる種類の汚染された土地に対する環境法制を整備することということで、こういった面についての法制化は遅れているという評価、そして並びに勧告をしているわけなんですけれども。今回、土地汚染未然防止とか、あるいは油汚染対策関係とか、あるいは汚染された残土の拡散防止、そういった面についての防止策については、なかなか効果が薄いなというふうに言わざるを得ないところなんですね。  近い将来、こういった面の防止策を含めて、まだこれ法律が可決していない段階から次の改正の話をしているようなことになるわけでありますけれども、是非、こういった面についても十分私は対処していかなければいけないと、このように思っておりますけれども、この辺についての御見解をお願いいたします。
  142. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 従来からの私どもの答弁で、ある程度水質汚濁防止法等々で今までもやってきたし、また、今回の法律もこういうことで、まず出さしていただいておるということですけれども。  お話ございました土壌汚染未然防止とか、あるいは油の方の汚染対策、あるいは汚染された土砂の拡散防止など、いろいろとそういう問題が課題としてあるということは十分に理解しておりますので、こういった問題についてどういうふうに具体的に今度は行政として、行政措置として有効なことがあり得るか、また、どういうふうに実際にそれを行う場合のやり方等々、これから検討は進めてまいりたいと思っております。  まだこの法律を通していただく段階でその次のことを余り申し上げるのは大変失礼なんでございますけれども、御質問がありましたので、あえてそういうお答えをさしていただきます。
  143. 加藤修一

    ○加藤修一君 それでは、先端産業の関係土壌汚染状況についてお伺いしたいんですけれども、どこまでこの土壌汚染状況が進んでいるかということなんですけれども、例えば、ニオブとかガリウム砒素、インジウム、こういった面についての状況というのはどういうふうに環境省は把握しているか。  それから、それに対して対応、対策ですね、そういった面についてはどのように進めていられるか、この辺についてお伺いしたいと思います。
  144. 山下栄一

    ○副大臣山下栄一君) 今おっしゃいました先端産業で扱っている物質の中に、今回の土壌環境基準に入っていない対象物質のことをおっしゃったわけでございますけれども、特に半導体にかかわる材料の中に、今おっしゃったニオブその他のものが含まれておると。これについての考え方はどうかという御質問ですけれども。  この今おっしゃったような部品、部品というか元素については、水質汚濁防止法の対象にもまだなっておらないわけでございます。これにかかわる、希少金属にかかわる土壌汚染問題が今生じているというふうなことは把握しておりませんし、どの程度になれば健康に影響を与えるかというふうなこともまだ知見が進んでおらないというような状況でございます。  いずれにしましても、今後、新たな物質、今回の法案に入っておらない規制対象物質にかかわる汚染等が懸念される場合は、土壌環境基準と併せて、今後、本法案の対象に適宜追加していくと、こういう考え方になっていくと思います。
  145. 加藤修一

    ○加藤修一君 きょうは時間の割に質問の数多いですので、ちょっと走ってしまいますけれども。  それで、土壌汚染に関連いたしまして、窒素汚染関係、光化学オキシダントの関係でございますけれども、これについてお聞きしたいわけでありますけれども。  NOxの関係については、例えば具体的な地域を取り上げますと群馬県でありますけれども、これ昨年の非常に暑い、七月だったと思いますけれども、赤城山で光化学のオキシダント、そういった面で学童がかなり気分を悪くしてしまったという、そういったケースが生じております。あるいは埼玉県も相当数こういった面についての発生、注意報等含めて発生がどんどん増えてきていると。恐らく東京含めて、南東の風で群馬県の方に吹き上がっていくと。で、赤城山でせき止められまして、あそこで吹きだまりができるような形でNOxの関係が滞留してしまうと。そして雨によって土壌汚染につながってくるケースもあると思うんですね。  それでお聞きしたいわけでありますけれども、こういうNOxにかかわるいわゆる発生実態でありますけれども、これが一体、首都圏含めて、あるいは近郊の県含めて、どういうふうになっているか。さらに、これは汚染物質の長距離輸送にかかわる問題でありますけれども、この辺についてどういう認識を環境省がお持ちか。さらに、こういった面についての長期輸送に関しての実態調査を私はすべきだと思いますけれども。  以上三点についてお願いします。
  146. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 簡潔に御説明申し上げます。  首都圏における窒素酸化物の汚染、それから、それも関係いたします光化学オキシダントの状況でございますが、窒素酸化物による大気汚染状況、新しい、一番新しいのは今、平成十二年度データでございますけれども、一般環境測定局では、環境基準の定めがあります二酸化窒素の年平均値は首都圏の一都三県の平均では〇・〇二三ppm、それから環境基準達成率は首都圏では約九八%であります。ただ、自動車排出ガス局はこれより大分悪いわけでございまして、年平均値は首都圏では〇・〇三五ppm、環境基準達成率は首都圏では約六五%にとどまっております。光化学オキシダントにつきましては、平成十二年度の注意報発令日数で、四都県合計いたしますと延べ九十一日と、こういうふうなことになっています。  この傾向でございますが、二酸化窒素の年平均値や達成率につきましては、平成八年から平成十年度ぐらいはほぼ横ばいで来ておりましたが、平成十一年、平成十二年におきましては、首都圏におきまして若干の改善傾向が見られております。光化学オキシダントは、これは気象条件に大きく左右されますので発令日数にどうも一定の傾向は見出せませんけれども、昼間の日最高一時間値の年平均値といったようなデータを見ますと、どうも横ばいに来ておると、こういうことでございます。  それから、長距離輸送のお尋ねでございますが、首都圏で発生いたしました窒素酸化物等の大気汚染物質が光化学反応を受けながら、その日のうちに大気の移流によって関東北部から長野県といったようなところまでの広い地域に達するということにつきましては、過去、環境庁のときに実施しました動態調査などによっても定性的には明らかになっておるわけでございます。  そういうことでございますので、やはり首都圏の窒素酸化物の大気の排出抑制、非常に大事なことだということでございますが、更に広域の大気汚染現象を定量的に予測するということで、今までも幾つかシミュレーションをやっておるわけでございますが、更により精密に、そして対策の効果を把握できるようなシミュレーションということにも今、目下新しいことで掛かっておるところでございます。  それから三点目に、恐らく大気ということだけじゃなくて、土壌から水質から大気からみんなひっくるめました窒素あるいは窒素に関連しまする各種化合物の輸送なり収支なりと、こういう御指摘だと思います。  これは非常になかなか難しい問題でございまして、そういう大気の二酸化窒素問題は大気の排出抑制、湖沼の富栄養化問題には窒素の排出抑制とかいうふうに、それぞれの分野で私どもは対応をしてきたところでございますけれども、もっと広い目で窒素循環というようなことで全体の環境状況を把握していかなきゃいけないんではないかという御指摘も先生からいただいております。関係省庁とも連絡を図りながら、引き続き知見の収集に努めるということもございますし、さらには少し、なかなか手法が難しいのでこれから検討しなきゃいけませんけれども、少し何らかの勉強、検討というようなことも始めてみたいというふうに考えております。
  147. 加藤修一

    ○加藤修一君 そういった意味では、大気汚染から始まって土壌汚染、更に河川の汚染につながっていくという、そういう連続的な汚染をどういうふうにつかまえるかというのは極めて重要だと思います。  それで、国土交通省に質問なわけでありますけれども、土壌のいわゆる窒素汚染が最終的には河川の汚染にも当然つながってくるということは常識的に考えていいと思いますけれども、あえて確認いたしますけれども、これでよろしいですよね。
  148. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) ただいまの御質問、大変、実は科学的に難しい問題がございまして、河川は常に流量が変動しております。そのために、窒素の濃度の測定が大変難しく、また解析も難しいという現状にございます。ただし、私ども河川管理者としましては、湖水、いわゆる霞が関等ではきちんと測定等を解析をしておりまして、一例で申しますと、霞ケ浦での窒素の内訳は、生活排水から三四%、工場から四%、畜産関係で三七%、市街地及び山林等で一七%、養殖が六%、そして雨そのものに含まれているのが二%というふうに解析しております。  また、御質問の河川につきましてでございますが、利根川水系の上流に人家がない矢木沢ダムと、北海道の上流に人家がない鹿ノ子ダムの比較をしましても、それほど大きな有意な差が出てこないというような状況になりまして、今後のまた測定を引き続きやり、解析も続けていきたいと考えてございます。
  149. 加藤修一

    ○加藤修一君 群馬工業高等専門学校でしょうか、そこの青井教授だったと思いますが、青井論文を見る限りにおいては、上流部、渓谷と言われるかなり清らかな水が流れるところでさえ窒素の汚染が進んでいるというふうに、そういう論文を発表しているわけなんですよね。そういった意味では、NOxの影響がかなりあると。  先ほどの長距離輸送の問題に返るわけなんですけれども、私は、先ほど紹介いたしましたOECDの環境保全成果レビューの中で、これも勧告の一部を形成しているわけでありますけれども、下水道建設計画の目標が達成されていないと、日本は。富栄養化は今なお深刻な水質問題であり、農業等の非特定汚染源からの負荷削減への対応に後れを取っていると。水管理における生態系への影響の側面が不十分であると。さらに、水量、水質管理の更なる統合と、河川流域全体を対象とした取組が必要であると。このように勧告という形で述べられているわけなんですけれども。  やはり私は、上流、中流、下流、簡単に言いますとそういうふうに言っていいと思いますけれども、流域全体を一体的に管理運用していかなければいけないということは、これは行政の方においても常識になっていると私は思いますけれども、関係省庁の連携ですよね、これがなかなか、効果的に進んでいるかどうか。まだ私は頭の中、整理されておりませんが、そういった関係強化をしていかなければいけないと。  そういった意味では、行政評価法でそういった面での評価基準を設けてやらなければいけないということは言うまでもない話なんですけれども、費用対効果はやはり明確にしなければいけない。本当にお金を投入して、税金を投入して改善されたのかどうか。その辺についてはやはり関係省庁の緊密な連携を保つ中できちっと示していかなければいけないということになってくると思いますけれども、この辺の連携強化についてどのようにお考えか。  すなわち、さらに、でき上がった基準、基準というのを作っていかなければいけないと思います。どういうふうに評価するかという基準ですね。それにかかわる成果、結果についても情報開示は当然しなければいけないと思いますけれども、この辺について、是非よろしくお願いいたします。
  150. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 二点お答えさせていただきます。  まず一点、関係省庁の連絡調整でございますが、平成十年度から、私ども環境省、当時環境庁でございますが、厚生労働省、農水省、経産省、当時通産省でございますけれども、国土交通省の五省が健全な水循環構築に関する関係省庁連絡会議というのを構築しておりまして、この連絡会議で様々な検討をし、共同で調査をし、解析を行っております。  具体的には、平成十二年度から十三年度におきましては水循環機構の解明や健全化施策の在り方を検討しました。そして今後は、関係地方自治体が水循環の健全化政策を実施するためのマニュアルを作成していこうと、関係省庁で共同してマニュアルを作成していこうというような体制になってございます。  第二点目でございますが、これのきちんとした評価をしているのかということでございますが、私ども、行政評価法に基づきましてきちんと事業の実施をするとき評価しておりますが、具体的に申しますと、平成十四年度で実施します利根川下流の水環境整備事業、これは何かと申しますと、我孫子、取手という非常に市街が発展したところで下水がまだ十分ではございません。  問題は、最初に雨が降りますと、最初の一時間ぐらいに大きな負荷がどんと出てまいります。最初に、つまり大地にたまった負荷が最初に出てきますので、その最初に出てきた大きな負荷をため込んで、後でそれをゆっくり下水処理して利根川に出していこうという事業を私どもは今計画しておりますが、この費用分析におきましても、便益が百億円を超え、それに対する費用が六十億円というような想定を申しまして、そういうことをきちんと対外的にも表明いたしまして、関係省庁ともこれらを提示しながら、協力しながら事業に向かっていきたいと考えてございます。
  151. 加藤修一

    ○加藤修一君 今の答弁の中にマニュアルを作成するという話がございましたけれども、そのマニュアルのいわゆる目玉とする部分についてはどういうことが入っているんでしょうか。その辺、どうでしょう。
  152. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 内容につきましては、私も、様々なメニューがございます。先ほど委員が御指摘のあった様々な手法や、特に霞ケ浦では植生を利用して窒素を吸収するという手法をやっております。  例えば、具体的に申しますと、霞ケ浦では現在ヨシを生やし、又はクレソン、クレソンを植生、湖岸又は浮き島に設けまして、そのクレソンが窒素を吸収していくと、そして生えていくというような様々な具体的な、わずかな事例で大変恐縮でございますが、ありとあらゆることを考えながら窒素を吸収するための一番有効な、エネルギーを使わないで有効な手法はないかということを私どもこれから考えていって、それらをマニュアル化していきたいと考えてございます。
  153. 加藤修一

    ○加藤修一君 植生、ファイトテクノロジーによる方法という紹介がございましたけれども、健全な水循環、これは、健全なという意味では省庁が連携を密にして的確にやっていくということも健全な中に入るんではないかなと私は思いますけれども、いずれにしましても、指弾されないように是非積極的にやっていただきたいと、そのように思います。  それでは次に、土壌汚染に関連してでありますけれども、POPs条約の関係では予防原則にのっとってやっていくという中身になっているわけなんですけれども、農水省にお聞きいたしますけれども、過去に適切に処分されていなかったDDTとかアルドリン、こういった面についての適正処理がどういった形で今進んでいるか、その辺についてお聞きしたいわけでございます。  埋設したままの状態になっている、あるいはそれが土壌汚染につながる、更に拡大していくようにつながっているようでは、これは非常に大変な話でございますので、この辺についてお願いいたします。
  154. 坂野雅敏

    政府参考人坂野雅敏君) 御説明いたします。  DDTなど過去に埋設された農薬の今後の掘り出しだとか無害化の処理につきましては、現在も、無害化する処理の技術については今確立に目指して今その事業をしているところでありますけれども、そういうものの個々の負担でございますけれども、農薬製造業者が埋設したということが明らかなものについては製造業者の負担によって処理されるべきものと考えております。しかしながら、農家から回収して埋設したものについては、対象農家が極めて多数に上るという点、また埋設が三十年前に行われたということからなかなか特定が難しいということが考えられております。  こうした点を踏まえまして、今後の処理の体制の在り方については慎重に検討してまいりたいと考えております。
  155. 加藤修一

    ○加藤修一君 慎重に検討するのはいいんですけれども、手早くやってほしいと思いますけれども、これの進捗状況ですね、今までの進捗状況とは別に、将来的な計画を含めてどのように今後取り組んでいかれるか、その辺、どうでしょうか。
  156. 坂野雅敏

    政府参考人坂野雅敏君) 現在、処理法の確立につきましては十二年から十五年で確立しようと、その確立した技術を適用して適切な処理に行こうという計画でおります。
  157. 加藤修一

    ○加藤修一君 また別の機会にやりたいと思います。  POPsの農薬にかかわる問題でありますけれども、古畳ですね、この古畳を家畜の飼料等に、あるいは肥料に使用していたということで、BHCが最大で基準の四十六倍という、そういう報道がなされているわけなんですけれども、これ事実関係、あるいは対応はどのようにしているんでしょうか。
  158. 坂野雅敏

    政府参考人坂野雅敏君) 先生が今御指摘の古畳を原料とした飼料から、えさですね、えさからBHC、ディルドリンが検出されたその事実関係でございます。これにつきましては、本年の三月に、独立行政法人に肥飼料検査所というのがございまして、そこが古畳を原料とした稲わらの製造業者に対して調査をしたところであります。  採取した稲を、稲わらを分析したところ、四社のわらから、えさ、飼料の有害物質の指導基準を超えるBHC、それからまた二社のわらから今申しました指導基準を超えるディルドリンが検出されたところでございます。  基準値を超える、超えたわらを給与しました家畜については、その生産物にBHCなりディルドリンが残留する可能性もございますので、製造業者に対して当該わらの回収をまず指導しました。また、飼料の安全法に基づく立入検査、更には販売先を調査実施しております。  それからさらに、厚生労働省とも連携しまして家畜生産物の残留のモニタリングを実施したところであります。また、今回調査対象以外のところにつきましても、古畳を原料とする飼料用わらの使用農家の調査実施するとともに、指導基準を満たすことが確認されていない場合には飼料として使用しないように指導しているところでございます。
  159. 加藤修一

    ○加藤修一君 先ほどのPOPsの関係ですね、無害化の関係含めて計画的にスピーディーにやっていくべきことを要請しておきたいと思いますけれども、この古畳の関係についても、これ極めて深刻な問題に発展する可能性もあるわけなんですけれども、環境省、この古畳の廃棄処分量というのはこれ年間どのぐらいあるんでしょうか。
  160. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 御指摘の古畳につきましては、排出されるケースといたしまして、建築物の解体工事に伴って建設解体廃棄物として、これは産業廃棄物でございますが、そういう形で排出される場合と、家庭又は畳屋さんから排出される、これは一般廃棄物になります、その両方がございます。  古畳の発生、排出状況、処理状況に関する数量は統計的には把握しておりませんけれども、リサイクルに回っている部分につきましては、今御質問がございました農林水産省が調査した四業者のほか、私どもが廃棄物処理業者に対して調査した結果、現在一社で肥料化の、堆肥化の事業を行っていたという事実がございます。そのほかのほとんどにつきましては大部分焼却処理されているといった現状でございます。  今回の問題につきましては、環境省としても農水省からの報告を受けまして、飼料又は肥料としてのリサイクルを自粛するように都道府県を通じて情報提供を行ったところでございます。
  161. 加藤修一

    ○加藤修一君 こういった面について、焼却処分にする場合については、残留性が高い化学物質でありますから、これは土壌汚染につながりかねない部分もなくはないわけでありますから、連携して是非実態調査を含めてやるべきだと思いますが、この辺について御見解をお願いします。
  162. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 委員御指摘のとおり、BHCやディルドリンなどの化学物質は有機塩素系化合物の一種でございます。ただ、現在の焼却処理というのはダイオキシン類の排出抑制対策が講じられている炉におきまして焼却されておりますので問題は生じないと思いますが、我々所有しているデータは非常にまだ少ないということでございますので、今御指摘ございましたように、古畳の焼却に関する調査は今後早急に行って安全性の確認を行いたいと思っております。
  163. 加藤修一

    ○加藤修一君 ある新聞報道によりますと年間二千五百万枚という話もあるわけで、廃棄処分に向かうやつがですね、そういった数字が本当に正確かどうか分かりませんが、ともかく実態調査は是非やっていただきたいと思います。  これに関連しまして、輸入わらの関係でありますけれども、これ経済産業省ですね、製造過程についてでありますけれども、この製造、輸入、わらを輸入して製造している量についてはどういう状態でしょうか。
  164. 豊田正和

    政府参考人豊田正和君) 先生御指摘の稲わらの件でございますけれども、私ども輸入物とそうでないものということでは必ずしも整理ができておりませんけれども、畳床の中で稲わらを使用しているものにつきましては約三〇%というふうに理解をしております。
  165. 加藤修一

    ○加藤修一君 農水省にお聞きしますけれども、これ飼料として輸入している量、これは口蹄疫の関係でも自給をどんどん推し進めていかなければいけないという、そういう農水省の答弁もあったわけでありますけれども、この辺についてどういう方向、それ以降どういう方向で進んできているのか、あるいは最近は二化メイガ、こういった生物多様性国家戦略にかかわってくるようなそういった面での問題も出始めているわけでありますけれども、この辺についてお願いします。
  166. 坂野雅敏

    政府参考人坂野雅敏君) 御説明いたします。稲わらについて全般的な話と、それから輸入なり今後の在り方について御説明させていただきたいと思います。  我が国の稲わらは、一年間に大体九百四十万トンぐらい生産されます。そのうち飼料に、えさに使うのが約一割程度でございます。それから堆肥用に一割ぐらいと。そのほか、水田ですき込み、いわゆる水田でそのまま土壌にすき込むとか、そういう形なりで七割ぐらいという形になっています。数%が焼却ということになっております。  一方、飼料の稲わらの輸入状況でございますけれども、昨年度は中国等から約二十四万トンが輸入されております。飼料の自給率の向上という点、また国産粗飼料の利用による安全、安心な畜産物を生産するという観点からも、国産稲わらへの転換を図るということは極めて重要なことであるというように私どもも認識しております。  このため、十二年度から行政、また関係の、稲わらの利用なりいろいろ関係する関係者から成る国産稲わら緊急確保対策協議会というものを設置しまして、国産稲わらの安定供給体制というものの確立を今やっております。具体的には、稲わらの収集、調製するという集団に対する助成、更に必要な機械の整備に助成ということで、飼料の利用の拡大を図るということでありまして、その結果、十二年度は従来に比べまして五万五千トンほどの国産稲わらの方は更に飼料用、えさ用に仕向けられたところであります。  今後とも、国産稲わらの飼料への拡大に向けた取組を一層強力に推進してまいりたいというふうに考えております。
  167. 加藤修一

    ○加藤修一君 病原菌に限らず、有害な化学物質のチェックについては、当然それは厳重にチェックなされているというふうに理解してよろしいですか。
  168. 坂野雅敏

    政府参考人坂野雅敏君) 稲わらの水際については、二つの点から厳正な検査を実施しています。一つは植物防疫法、これは国内の生産といいますか、有害な病害虫なりが入ってくると国内の生産に支障を来すということで、それについてのチェックというのが一点であります。それから二点目は、家畜の衛生上の問題、家畜伝染病予防法ということで、例えば稲わらであれば口蹄疫のウイルスがきちっと死滅しているかということであります。  具体的には、稲わらにつきましては、中国から日本に輸入する際には、適正な温度条件なり時間で処理したもの以外は輸入は認めないということでございます。先ほど先生の御指摘にありました四月の十一日に輸入を止めたという話は、中国産の稲わらから二化メイガという虫が発見されましたので、ここは植物防疫なり動物検疫は全量、全ロット検査していますから、その際に発見しましたことから、こういうことはあってはならぬことですので、その発見した原因が究明するまでの間、輸入を停止するという処置を行って、現在に至っているということでございます。
  169. 加藤修一

    ○加藤修一君 有害な化学物質関係についてはどうですか、チェック体制は。
  170. 坂野雅敏

    政府参考人坂野雅敏君) わらですか。  飼料安全法で、有害な物質で荷が入ったものについては、輸入についてチェックをしているということでございます。具体的には、飼肥料検査所で輸入品を含めてモニタリングをやっているということでございます。
  171. 加藤修一

    ○加藤修一君 それから、最近の報道によりますと、ダイオキシンの関係でありますけれども、除草剤のCNPあるいはPCPから副産物としてダイオキシンが出てきているというのは言うまでもない話なんですけれども、それから土壌殺菌剤のPCNB、これからもダイオキシンということで、以前から私もこの辺についてきちっとした回収を含めて、どこにどういうふうに眠っているかということの調査をすべきだと。  これは学会においても数年前から指摘していたわけなんですけれども、これはようやっと、学会で指摘して以降三年たってようやっとその報告書がまとまるような状態で、いかにも私はこの報道を見ている限りにおいては対応が鈍いという判断をせざるを得ないんですけれども、これは経緯はどういう経緯になったんですか。なぜ三年も掛かったんですか。
  172. 坂野雅敏

    政府参考人坂野雅敏君) 御説明いたします。  農水省におきまして、指摘のありました、ダイオキシンが含んではないかという指摘のあった農薬について、その有無を確認するため、技術的、また信頼性のある調査を行ったところでございます。  先生の御指摘の時間が掛かったという点でございますけれども、今回、それらの農薬を調べたときに、かなりのものが既に農薬を登録が失効しているということで、分析用の試料の入手が難しかったというのが一点ございます。  それからさらに、非常に大変だったのは分析の手法であります。  例えば、具体的にもう一つ、一点だけ申しますと、CNP、今の除草剤でございますけれども、ここは副産物として大量に含まれる毒性のないダイオキシン、これは四塩化物ですけれども、それの影響で正確な分析が妨害されたということで、有害な、2・3・7・8といった有害な四塩化のダイオキシンの検出が極めて難しい技術だったということであります。それからさらに、定量下限値を満たすことが難しかったということであります。  具体的に、実際に私どもから権威ある複数の分析機関に依頼をいたしました。それで、結果としてはクロスチェックの数字がなかなか合わなかったと。分かりやすく言いますと、数字のばらつきが非常に大きくて、平均するというような状況でなくて非常に差があったということで、非常に苦労いたしました。といいますのは、やっぱりこれらの分析というのは極めて難しい高度な分析であるということを再認識したわけでございます。  そういった中で、分析のサンプル数も少ないですから、かなり、サンプル数をより収集を継続するとともに、その分析の中での経験を踏まえて、農薬中のダイオキシンの分析を正確かつ徹底的にやってきたということで、結果として若干時間を要したということでございます。今回の分析によりまして、農薬中のダイオキシンの分析について多くの知見が得られましたので、今後は分析に長時間を要することはないというふうに考えております。  今後とも消費者保護の観点を踏まえつつ、問題等がいろいろと提起されるなりいろいろあった場合には、予防的な観点を含め、極力早急に対応を図っていくこととしたいと考えております。
  173. 加藤修一

    ○加藤修一君 是非積極的に対応していただきたいと思います。  それで、土壌汚染に関連して、カドミウムの関係でございますが、これは環境ホルモンの疑惑が掛かっている物質でもありますし、これに関しまして、国際的なハーモナイゼーションの関係につきましては、環境基準の見直しということで国際的なガイドラインを作ろうと、そういう動きが出始めております。  そこで、現行の我が国のカドミウムの濃度基準、これは厚生省とそれぞれ農水省は違うでしょうから、ちょっとこの辺について紹介してください。
  174. 尾嵜新平

    政府参考人尾嵜新平君) 厚生労働省関係でお答え申し上げますが、玄米中のカドミウムに関する基準が策定されおりまして、一・〇ppm以上のカドミウムを含有してはならないということでありまして、この基準に適合してない玄米はその販売等が禁止されているということでございます。
  175. 中川坦

    政府参考人中川坦君) カドミウムを含む米の取扱いについてのお尋ねでございますけれども、食糧庁におきましては〇・四ppm以上一・〇ppm未満の米につきまして、これは食品衛生法上は問題はないわけでございますけれども、消費者の皆さん方の感情にも配慮いたしまして、政府買入れを行った上で、工業用の接着剤など食用以外の用途に処理をいたしているところでございます。  これには若干経緯がございまして、昭和四十年代の前半にカドミウム汚染が社会問題になりました際に、厚生省におきまして、米のカドミウム濃度が〇・四ppmを超える地域は何らかの環境汚染考えられるというふうに判断をされまして、要観察地域として指定をいたしまして環境調査を行っております。そういうこともございまして、食糧庁といたしまして、こうした要観察地域で取れました米につきましては配給に仕向けなかったということでございます。  その後、昭和四十五年に食品衛生法に基づきまして一・〇ppm未満という規格基準が設定をされましたけれども、その時点におきましても、消費者の方々の不安が存在していたということも考慮いたしまして、当時の農林大臣の御判断で要観察地域の米は配給をしないというふうに公表したということがございます。  こういう経緯がございまして、冒頭申し上げましたような取扱いにいたしております。
  176. 加藤修一

    ○加藤修一君 同じく農水省に質問ですけれども、この玄米中のカドミウムの汚染濃度、これ地域別でありますけれども、どのようになっているかということと、そういうことが起こった後、どういう政策あるいは技術をもってしてこれを削減の方向に取り組んできたか、その辺のことについて農水省からお聞きしたいと思います。
  177. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 先生の御質問の前半の部分についてお答えを申し上げます。  食糧庁におきましては、平成九年産及び十年産の米を対象としまして、全国で約三万七千点の地域を対象といたしまして、全国規模での米に含まれますカドミウムの調査実施をいたしておりますが、この調査につきましては、個別の調査結果を公表することにつきましてあらかじめ調査対象者の方々から了解を得ていなかったということもありまして、地域別の調査結果の公表は行っておりません。  しかしながら、最近、食品の安全性に関します国民の方々の関心が非常に高まってきているということにも配慮いたしまして、平成十二年産のお米からでございますけれども、過去において〇・四ppm以上のカドミウムを含みます米が検出をされた地域、そういった地域の米を対象といたしまして重点調査というものを行っております。これにつきましては、調査対象者の方々の了解も得た上で、市町村別の調査結果の公表を行っているところでございます。  最新のデータとしましては、十三年産米についてのものがございます。それによりますと、全国の二十九の市町村を対象として四百十一の地点で調査を行いました。その中で一・〇ppm以上のカドミウムを含む米が、宮城県の迫町で二点、それから〇・四ppm以上一・〇ppm未満のカドミウムを含む米、これは複数の県にまたがっておりますけれども、八つの市町村で合わせて三十三点検出をされております。  本年の調査につきまして、十四年産もこれは調査を引き続き行いますが、従来の調査点数を倍増いたしまして、調査の一層の充実を図っていきたいというふうに思っているところでございます。
  178. 加藤修一

    ○加藤修一君 次の答弁に行く前に、今の答弁の中身でありますけれども、宮城県、それから八つの市町村の話が出てまいりましたけれども、それは原因はどういうところにあるかということと、もちろんこれは今後重点調査をしていくべきであるということを強く申入れしておきたいと思いますけれども、その後に政策の関係技術関係をお願いいたします。
  179. 坂野雅敏

    政府参考人坂野雅敏君) 汚染原因については、結果として土壌汚染が高いわけで、その土壌のカドミウムがどこから来たかということについては、現在これから調査をするというように聞いております。
  180. 加藤修一

    ○加藤修一君 是非お願いします。
  181. 坂野雅敏

    政府参考人坂野雅敏君) それから、先ほど先生がお話しになりました対策をどうしているかという点でございます。  土壌汚染対策につきましては、農用地土壌汚染防止法に基づきまして、玄米のカドミウム濃度が一ppmの水田につきましては農用地の土壌汚染を除去する、例えば排土客土するとかそういったような事業を実施しておりまして、面積としましては、指定地域が六千六百ヘクタール現在ございまして、既に復元事業が五千六百ヘクタールで終わっているという現状にございます。  また、カドミウムの玄米中といいますか、濃度をいかに減らすかといういろんな調査研究なりでございますけれども、これについては、そういうふうな工法、先ほど言った排土客土以外にも、現場の営農技術でもかなり減少するということが確認されております。例えば、石灰質の資材の散布だとか、稲の穂が出る出穂期、そのころに湛水状態にして土壌を還元状態にするとか、そういうことによってかなり大幅にカドミウムの吸収が抑制されるということがございまして、そういうものを、取りあえずそういう出たところについてはそういう技術対策を講じているというのが現状でございます。
  182. 加藤修一

    ○加藤修一君 是非対応策を強化していただきたいと思います。  それで、国際的なハーモナイゼーションという観点で、コーデックス委員会、基準案を示しているわけなんですけれども、それが〇・二ppmというふうに聞いております。先ほど厚生省からは一ppm、さらに食糧庁から〇・四ppmの話がありましたが、それより更に低い〇・二ppmということなんですけれども、こういった面についてもやはり対応していかざるを得ないと思うんですけれども、積極的にこれはやっていくべきだと思いますので、是非お願いします。  これについての見解をお願いします。
  183. 尾嵜新平

    政府参考人尾嵜新平君) 今お話しございましたように、国際的には食品の中の規格基準関係につきましてはコーデックス委員会の方で整備をされているというところでございます。食品中のカドミウムにつきましては、現在まだ検討中でございます。先生お話しございました〇・二というものにつきまして、まだコーデックス委員会の中では最終的な結論が得られておらないという状況でございます。  簡単に現在の状況を申し上げますと、そのコーデックス委員会にかかります前の段階でまずアセスメントをするということで、リスクアセスメントをするということで、FAOとWHOの合同の食品添加物専門家会議、これをJECFAと申しておりますが、現在、そこで議論をしていただいているところでございます。その中で、JECFAの方で議論がございまして、まだデータが議論するには不十分であるということで、更なるデータが必要であるということで、カドミウムの健康影響を解明するための疫学調査をするようにという勧告が十二年の六月になされたところでございます。  我が国では、この勧告を受けまして、現在大規模な疫学調査実施しているところでございまして、来年の六月に開催されますJECFAにおいてその結果を評価し、その後コーデックス委員会の方でこの基準案を見直すということになろうというふうに承知しているところであります。  このように、今後こういった基準案について御議論が進むわけでございますが、そういった中で、我が国としましても、科学的知見の提供でありますとか、あるいは議論への積極的な参加を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  184. 加藤修一

    ○加藤修一君 是非、食の安全の観点からも極めて重要な点でございますので、是非ともスピーディーにやっていただきたいと思います。  それで、似たようなことでありますけれども、今はカドミウムの話をいたしましたけれども、ダイオキシンの関係についても食品のガイドライン、こういったものについてやっぱり整備、作成をしていかなければいけないというふうに思っております。それで、ヨーロッパのダイオキシンの食品濃度規制政策、そういった面についてはどういうふうに押さえておるでしょうか。厚生労働省、どうでしょう。
  185. 尾嵜新平

    政府参考人尾嵜新平君) ヨーロッパの方の食品中のダイオキシン濃度につきましては、各国におきまして食品ごとに基準を定めて、法的に規制をなさっている、あるいは奨励と申しますか、法的な規制ではないけれども、奨励をされているというふうな状況であるというふうに承知しておりまして、例えば牛乳につきましては、フランス、オランダ、ベルギーで、脂質一グラム当たり五ピコグラム、牛肉につきましては、オーストリアで脂質一グラム当たり六ピコグラム、オランダで脂質一グラム当たり五ピコグラムが設定されているというふうに承知しております。  さらに、EU委員会の方では、環境、食品、飼料中のダイオキシンの削減戦略ということで、その一環としまして、食品中のダイオキシンの最大許容レベルにつきまして、牛肉及び乳・乳製品で脂質一グラム当たり三ピコグラム、魚類で一グラム当たり四ピコグラムと、こういったことが設定されまして、これに基づいて本年七月にこの最大許容レベルというものについての発効がなされるというふうな状況だと承知しております。
  186. 加藤修一

    ○加藤修一君 我が国については、その辺のところはどういうふうになっていますか。  我が国の食品の濃度の実態ということと同時に、やはり私は、これは厚生労働省に質問なんですけれども、やはり食品のガイドライン、こういったものを作っていくべきだと思いますけれども、どうでしょう。
  187. 尾嵜新平

    政府参考人尾嵜新平君) EUのお話あるいはヨーロッパのお話は先ほどお答え申し上げましたが、世界的なこの関係の、食品中のダイオキシンの基準につきましては、先ほど別の御質問でお答えしましたコーデックス委員会でも食品ごとの基準というものはまだ整理されておらないという状況でございます。それで、我が国状況も、現在、一日最大摂取量につきましては定めておりますけれども、御指摘のように食品ごとの基準なりは、こういった現在の摂取状況から勘案して作る必要はまだないんではないかというふうな審議会等の御意見でございました。  ただ、世界的にいろんな動きがございますので、そこのところは十分関心を持って注視したいというふうに考えておりますが、具体的に我が国のダイオキシン、食品中のダイオキシンがどういう状況であるかというもう一つの御質問に併せてお答えを申し上げます。  平成十二年度の厚生科学研究費によりまして、食品からのダイオキシン類の一日摂取量調査あるいは個別の食品中のダイオキシンの汚染実態調査、これは毎年これまで実施をしております。  十二年度の数値が直近でございますのでそれを申し上げますと、全国の七地区十六か所で集めました十四食品群につきましてダイオキシン類を分析し、平均的な日本人の食生活において食品から摂取されるダイオキシン類の量を推計いたしまして、食品からのダイオキシン類の一日摂取量は、現在基準は四ピコグラムTEQ・パー・キログラム体重・パー・デーでございますが、それを下回る一・四五ピコグラムTEQ・パー・キログラム体重・パー・デーというふうな推計になっております。  地域別に見ますと、最低が北海道の一地点でございまして〇・八四と、最高が関西地方の二地点で二・〇一というふうな実態でございました。また、個別の食品の関係につきましては、ダイオキシン濃度は、魚介類で平均一・五九三という数字でございます。肉類では〇・一二八、野菜類では〇・〇一、穀類では〇・〇〇一と、こういった調査結果でございました。  こういう結果につきましては毎年公表をしておりまして、食品別の数値も併せて見れるような形で公表させていただいておると。また、私どもの厚生労働省のホームページにもこの結果については掲載をし、ごらんいただけるようにしているところでございます。
  188. 加藤修一

    ○加藤修一君 平均というのはなかなか難しい評価の仕方になってしまうと思うんですよね。地域別に見て場合によっては、魚の関係につきましてはTDIが四ピコを超えるというのは、ある意味で常識的な部分もあるのではないかと思っています。  ですから、先ほど摂取状況から見てそういったガイドラインを作る段階ではないという話だったんですけれども、必ずしもそういう摂取状況では私はないとは思います。別の機会にこれについてもう少し踏み込んで議論したいと思いますけれども。  ちょっと質問をスキップいたしまして、またこれ農薬の関係になってしまうわけなんですけれども、ただ農薬の関係でも土壌汚染に相当つながってくるわけでありまして、それが最終的に都市の方にも影響を与えてくるということは言うまでもない話なんですけれども、とりわけ私は空中散布の関係で、これはガイドラインが農水省作っているわけでありますけれども、このガイドラインの意義と、どういう現状になっているか、この辺について簡単に、もう、ちょっと時間がございませんので、お願いいたします。
  189. 坂野雅敏

    政府参考人坂野雅敏君) 御説明いたします。  ガイドラインの趣旨でございますけれども、航空機を用いた農薬の空中散布というのは、病害虫の防除コストを低減するとか、炎天下での防除作業からの解放といった労働負担の軽減、また急激に病害虫というのは蔓延する、例えば稲のいもち病みたいな、そういうものを地域全体で効果的な防除をするということから、有効な手段であります。  一方、航空防除といいますのは、その性格上、一時に広範囲に農薬を散布ということを行うことですから、事故や農薬による危害の防止、それから散布周辺地域の環境にも十分配慮する等が必要でありますので、空中散布の実施主体に対しまして農林水産航空事業実施ガイドラインというのを示しまして、実施現場に周知徹底を図っております。安全な航空防除に指導しているということでございます。  現在の空中散布の実施状況でございますけれども、水稲の病害虫の防除が中心でございまして、面積的には減少傾向にございまして、平成十二年度では全国で七十八万ヘクタールという現状にございます。
  190. 加藤修一

    ○加藤修一君 確かに減少傾向でありますけれども、具体的な健康被害にかかわるような事件が出ていることもまた事実なんですね。  それで、この空中散布のガイドラインの関係で、有機農法に対して悪影響を与えてはいけないということでガイドラインを変えた経緯もあると私は思いますけれども、有機農法に対して影響を与えるからという、それは最終的に人間の口に入るわけなんですけれども、有機農法だからという、そういった配慮が確かに必要なんですけれども、もっとそれは近場で、要するに散布している近場の住んでいる方が当然いるわけでありますから、その健康被害にかかわるようなことが起こっている以上は、例えば代替案として様々なことがあるわけで、例えば水中投げ込み剤とか、フロアブル剤であれば田んぼの表面にしか農薬は広がらないということで、空中散布だと相当大気中に浮遊している状態がある、エアロゾルの関係で一週間も二週間もと、そういう事実もあるわけでありますから、これは非常に、例えば化学物質過敏症の患者さんが増えているとか、そういうケースは見られるわけでありますから、これについてはもう少しガイドラインの見直しを含めて、十分私は検討していかなければいけない問題でないかなと思いますけれども、この辺についてはどのようにお考えですか。是非強化をしていただきたいと思いますけれども。
  191. 坂野雅敏

    政府参考人坂野雅敏君) 先ほど申しました空中散布のガイドラインにつきましては、これは一つ環境だとか有機だけじゃなくて、事故だとか周辺住民とか、環境のいろんな面から配慮する上でやっているわけでございまして、あらかじめ周辺の住民に空中散布を実施するということについて、公共施設も含めてきちっと広報するだとか、立入禁止をやるだとか、いろんな点で今やっておりまして、先生の御指摘の有機農法だからといってやったのではなく、実は有機農法につきましてはJAS法に基づく認証制度が創設されまして、十三年四月から有機表示の規制がスタートしましたので、それを踏まえました所要のものを関係者の意見を聞きつつ見直しをしたということでございまして、新しい技術的な知見ができ次第、それに対応したガイドラインを反映するということについては検討はしてまいりたいと思っております。
  192. 加藤修一

    ○加藤修一君 時間がないですので、相当ちょっと質問を飛んでしまいます。来ている官庁の方については申し訳ございませんが。  黄砂問題、これは閣僚会議でも、環境関連閣僚会議でも問題になったと思いますけれども、韓国も相当な被害を受けているということになっている、日照の関係ですね。私は日照の関係だけじゃなくて、黄砂が舞い降りてくる、黄砂の中に何が含まれているかということも非常に関心があるわけでして、有害な化学物質が含まれている可能性もなくはないということになってくると思うんですね。  それで、黄砂の総黄砂量といいますか、年間どのぐらい日本列島に降り注いでいるのか、あるいはその有害化学物質関係で、定性分析はしているのか。また、恒常的な監視が当然私は必要だと思いますけれども、この辺の対策についてどういうふうにお考えでしょうか、環境省
  193. 岡澤和好

    政府参考人岡澤和好君) 日本列島にどのぐらい降り注いでいるかについて、正確なデータは持っておりません。化学物質については、一般的な組成分析は行っておりますが、多分、先生御指摘のように、都市の有害な大気汚染物質を付着してきているのではないかというふうな観点での分析はまだ現在のところ行っておりません。ただ、一部、韓国等では、黄砂の飛んでいる地域の大気汚染物質を付着しているとか、あるいは発生源場所の、放牧地から出ているものもありますので、家畜の伝染病等を付着しているのではないかというふうな懸念はされておりまして、最近その方面での調査がスタートしているところでございます。  日本でも、今まで中国と協力いたしまして、特に輸送分野についての協力、分析、解明というようなことはやっておりますけれども、今御指摘のような汚染に着目した化学物質分析、あるいはさらに、今、中韓がモニタリングの中心地域でございますけれども、周辺国も含めたモニタリングの対策の整備というものについて協力をしていく必要があるだろうと考えております。
  194. 加藤修一

    ○加藤修一君 最後質問になりますけれども、大臣にお願いでありますけれども、日中間で酸性雨の対策のネットワークを形成しているわけでありますけれども、黄砂については、これはすぐにやむという話では私はないように思っておりまして、そういった意味では極めて深刻だと思います。そういったことから、酸性雨対策と同じようにそういったネットワークを形成していくことも一つ考え方だと思いますけれども、この辺についてどういうふうな見解、御決意をお持ちでしょうか、お願いいたします。
  195. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 先般の日中韓の環境大臣会議でも、この黄砂の問題で、やっぱりこれからきちっとまずモニタリング等々を強化しなきゃいかぬということで、取りあえず事務レベルでどういうことをできるか、どういうことをすべきかということについて検討するということで大臣レベルでも合意をいたしましたので、これから早急に対策を進めてまいりたいと思っております。
  196. 加藤修一

    ○加藤修一君 ありがとうございました。
  197. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 土壌汚染対策法は、直接的な健康被害防止だけを対象にしています。つまり、一般の人が汚染土壌と接触しなければよい、汚染された地下水を飲むことがなければよいというものになっています。そのため、対策の重要な柱である土壌汚染調査も、特定施設があった工場などの敷地を他の用地に転用する場合しか義務付けていません。工場から工場土地の所有権が移転する場合は調査しなくてもよいというものです。  そういう制度の下で、複数の所有者に所有権の移転が繰り返されると、汚染が発見された場合の原因者特定、これは極めて困難になると思いますが、どうですか。
  198. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 本法案では、三条におきまして、有害物質を取り扱う施設に関連する工場等が廃止される場合に調査を義務付けるとともに、そのただし書におきまして、引き続き工場等に使うというふうなことで一般人との接触の機会がないというようなことで、その利用方法から見て被害が生ずるおそれがないということを都道府県知事が確認を受けたときはその調査の義務を免れる形になっている、言わば猶予していくという形になっております。  ただしながら、今、先生御指摘の転々という場合、いったん三条の本来の工場と、こういうことに当たりまして廃止をすると、しかしながら、特定施設が廃止されたということで三条の規定に当たるけれども、ただし書でこれはやらなくていいということになったという場合の確認というのは、これはその後転々していった場合、工場を転々所有者が替わっていった場合とかそういう場合は、その確認につきましてはその都度当然確認をし直していただくということになりますので、そうしますと都道府県知事は、その後転々としていっている過程にどういう所有者がどういうふうにして確認を受けたかという過程を全部把握しております。  したがいまして、将来、こういうものが更に住宅等々に転用されるということで調査がされて、汚染につきまして問題が生じたという場合には、その特定施設があった時代からその後転々した過程につきまして都道府県知事が把握しておりますので、その時点になりましてから、転々としたことのためにその原因者把握は困難であるというようなことにはならないのではないかというふうに考えております。
  199. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 具体例でちょっと伺います。  東京都大田区のPCB汚染では、過去に土地を所有していた原因者責任を認めなかった、それで処理費用負担をめぐって争いになっています。PCB汚染は、これはダイオキシン類汚染ということで、本法の対象ではありません。しかし、問題点は同じだと思います。  この事例では、下水道工事の過程で区道の、区の道ですね、区道の土壌汚染が発覚したため、区道に隣接する工場等土壌調査したところ、環境基準の五百七十倍のPCBが検出されました。ここには、一九六四年まで日本瓦斯化学工業、現在の社名は三菱ガス化学ですけれども、その子会社の化学工場があってPCBを扱っていました。その後、日本瓦斯化学工業が工場を撤去して、土地を売却して、現在、別の企業の事業所となっているそうです。  東京都は、区道と民有地三百平米の汚染土壌を掘削して、処理方法が決まるまで密閉容器で保管することにしているんですが、七億一千五百万円掛かるということです。都は、日本瓦斯化学工業が工場を撤去したときにPCBを投棄したのが原因だとして、三菱ガス化学に処理費用の七五%を負担するよう求めています。しかし、同社は、工場撤去の際にPCBを投棄していないとして、支払を拒否しています。当時、日本瓦斯化学工業が土地を売却するときに土地調査を、土壌調査をしていれば、こうした問題は起こらなかったはずです。工場から工場土地の所有権が移転する場合にも土壌汚染調査実施しなければ、このような原因者特定のトラブルが発生すると思います。  ですから、今度の法律で、工場から工場へ所有権が移転する場合はいいというふうに、調査をしないというふうになっているんですけれども、こういうケースが想定されるわけですから、現実にきちっと土壌汚染調査実施をするということにすべきだと思いますが、その点、今の局長の御答弁だと、こういうケースでは工場から工場でもちゃんと調査をして把握をしているはずだから大丈夫だということになるんですか。
  200. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) まず、有害物質取扱施設が廃止をされると、そういうようなことで調査義務が、いったん三条一項の調査義務が掛かると。しかしながら、その土地は引き続きその工場等と、別の工場になるような場合もあります、あるいは中の造作が変わったり所有者が替わるというようなことで一般人が入らないからということで、ただし書でそれは取りあえずは猶予されるというケースが出ます。そのときには、そのことは都道府県知事の確認を受けます。  その後、同じようなことが続いていったとしても、ずっと都道府県知事の確認を受けておりますので、最後にこれが例えば住宅だとか店舗だとか一般の用に供されるという時点で調査義務が掛かります。その調査義務が掛かったときに汚染が発見されたと。じゃ、だれが、さかのぼってだれが汚染をしたのであろうかというようなことを追及していくというときに、都道府県知事最初水質汚濁防止法の施設があったときの情報からその後の転々している情報を全部持っておりますので、その時点で都道府県知事の手元には転々をしたという過程の情報は全部ありますので、その点の情報を駆使してさかのぼって確認をしていくということはできるのではないかということでございます。
  201. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 今の説明を伺っていると、大臣、いかがですか。本当にちょっとちゃんと調査をしていれば、それは転々とした場合に何の不安もないんですけれども、この東京都の例でいうと、調査をしていなかった、だから前任者はPCBなんか捨てていないということを言うわけですね。次の人はもうそれも分からないということになって、原因者が不明になって処理の特定ができない、処理をだれがするかというのができないわけですね。これは不備だと思うんですね、私、法律の。大臣、何とかしなきゃいけないんじゃないですか。
  202. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 工場から工場への転用というところで、物がずっと動いておると。だから、常にあらゆる時点で調査ということを続けるということになりますと、ちょっとこれはなかなか、それは実際に仕事をしているところへ、何と申しますか、それに対する干渉ということになりますから、工場から工場への転用の場合には、先ほど局長も申し上げましたけれども、調査が猶予されているということでありまして、だれがどういうふうに操業しておったということの記録というのは都道府県の方で持っておるわけですから、それを、もしも仮にその後でいろいろと汚染が生じたということになれば、今のそういった資料に基づいてだれの責任だということは私は特定できると思うんです。  ですから、それから、実際にその途中において本当はどうだということになるんだろうと思いますけれども、これは、もし仮に何らかの情報がはっきりしたものが出てくれば、その時点でまたいろいろと調査するということはできるわけですから、やはり基本的には、私はそういった工場を運営している人が自分のところでのまずきちっとした汚染対策をすると、しておると。それからまた、情報によって、人が出たり入ったりするわけですからね、やっぱり工場というのは全く人が立ち入らないということじゃありませんから、先ほどいろいろとお話もございましたけれども、同じような。やはり私は、原則として常にその調査をするんだということはちょっとツーマッチじゃないかという感じがしておりますけれども、いろいろと情報があれば、それはそれに基づいてきちっとまた都道府県の方で処理をしていただくということではないかというふうに思っております。
  203. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 何度御答弁伺っても、工場から工場でもちゃんと調査をしておいたらいいじゃないですかと、こういう本当に常識的な答えしかないような気がいたします。いろんなことを言われても、これはだれも納得ができないんですね。この法律はそういう意味では、本当に何でこういうところを猶予してしまうのか、よく分かりません。  それから、今度の法律では、土地所有者汚染除去に要した費用、これを原因者に請求できるから原因者責任は貫かれている、そういう説明があります。しかし、請求できるのは知事命令による汚染除去の場合だけなんですね。知事の除去命令はこの法律による調査汚染が見付かり、指定区域となった土地についてしか行われません。そうすると、大田区の事例のように操業中の工場用地の汚染がたまたま発覚して調査をした場合には、汚染土壌の除去をしても法に基づく原因者への費用請求はできないことになります。  知事調査命令なしに調査をすると、後で原因者に処理費用を請求できなくなる。これでは土地所有者の自主的な調査、あるいは汚染除去を阻害することになりかねないと思うんですね。ですから、かえって土壌汚染対策を遅らせるということになってしまうのではないか、そう思いますが、いかがですか。
  204. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) まず、操業中の工場におきましても、四条の調査命令というようなことで、現にそういうリスクが高いと、蓋然性が高いということで命令が下されますれば、そして汚染があればその区域を指定し、そして措置命令がされるということで、それで対策実施します。その費用についてはこの法律に基づく求償が行われるということになろうと思っています。  それから、この法律による命令、調査命令あるいは措置命令ということが行われないときには一体どうなるかということでございますが、これはこの法律外の、外側の効果ということであると思いますが、この法律によりまして土壌汚染に対するそういうルールといいましょうか、対策ルールというものができてまいりますれば、実際に世の中で土地取引などが行われます場合には、土壌汚染の有無を確認をしておくとか、あるいはその確認をするしないということの負担といいますか、将来そういう汚染といったことが生じた場合にどちらが負担をするかといったようなことは通常の売買、取引の契約の中でこれからきちんと取り入れられていくというふうになっていくと思いますので、そういう自主的な取組により取引上のトラブルというものは減っていくといいますか、そういうトラブルは解消するという、そういう副次的な効果があるのではないかというふうに考えております。
  205. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 そうなればよろしいと思いますけれども、やっぱり法律上そうなっていない場合にはいろんなトラブルが発生するというふうに思います。  大田区の場合ですけれども、ここはまた飲用の井戸はなかったんですね。一番高濃度に汚染されたところに、たまたま私見付けたんですけれども、水道管が埋設をされていました。幸い水道水にPCBが混入することはなかったようですけれども、水に溶ける重金属で汚染された場所で水道管が腐食をしてピンホールなどができれば、飲み水が汚染されるおそれは十分あると思います。ですから、周辺に飲用の井戸がないというだけで健康被害のおそれはないと断定することはできないのではないかと思いますが、どうですか。
  206. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 具体的な現場に即しての御懸念でありますので、よりより精査していかなきゃいけないと思っておりますけれども、基本的には、物の考え方として、上水道管というのは土中から、この有害物質に限りませず異物等が混入してはむしろならないものでありまして、そういうものがしみ込まないというふうに管理あるいは設置されるべきものだというふうに思っております。  今御指摘のような、水道管の破損等によってそういう有害物質の混入みたいな事態が生じた場合、そういうようなことがあった場合には、それは当然早急に水道水質を保全する措置が必要なんだろうと思っておりまして、それぞれのケースに応じまして健康被害を避けるということから、水道なりあるいはこちらなりの対策は必要だと思っておりますので、よく精査をしてまいりたいと思っております。
  207. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 それから、大田区の場合は、下水道工事の残土を持ち込まれた東京都の埠頭公社、これは公社なんですが、ここが、土が油にまみれていて異臭がしたという理由で受入れを拒否した、そういうことから汚染が発覚しました。  この法律では指定区域以外の土壌の持ち出しについては何の規制も、あるいは汚染調査義務もありません。だから、汚染を確認しないまま外部に持ち出せば汚染が拡散する、そういう危険があります。法律の適用を免れるために、土地を他の用途に転用する前に、監視が厳しくないところ、この東京都の東京港埠頭公社というのは目が高かったと思うんですね、その土を見て、これはもう汚染されていると見破ったわけですから。しかし、どこもそうではないと思うんですね。ですから、監視が厳しくないところとかあるいは規制が全くない、そういうところに処分することも十分考えられるわけですね。  ですから、今度の法律でこういうことを本当に防止できるのかどうかということを伺いたいと思います。
  208. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 処分のために搬出された土壌というものからその汚染が発見されたと、こういう事例の御指摘でございますが、基本的には処分のために搬出された汚染土壌というものに着目して、そこからいろいろ対策をし、あるいは防止を取っていくべきではないかという御議論につきましては、これはこの法律ではそこまで義務付けをするということではなくて、これを廃棄物として取り扱うということにつきましてきちんとしていく必要がまずあると思っておりますので、これは現在廃棄物リサイクル制度の一環として検討を行っているところでございますので、そちらで別途適切に対応してまいりたいと思っております。  ただ、具体のケースといたしまして、こういう土壌の搬出ということのところに特化した形で着目した措置はこの法律に持ち込んでおりませんけれども、ただ、この法律を施行していきまして、いかなる契機であれ、土壌汚染がある、それによって健康被害のおそれが高いと、蓋然性が高いというようなことが個別に判断される場合には、これは第四条に基づきます調査命令の対象となるというふうに思っております。  また、そのほか事業者の自主的な取組の促進でありますとかいうようなことにつきましても、都道府県等とも連携を密にしてやっていく、心掛けていくということを併せて申し上げたいと思っております。
  209. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 土一般について廃棄物として全部カバーできるのかどうかというのがまだよく分からないので、その辺、じゃ廃掃法でやりますから結構でございますということになるのかどうか私は疑問に思います。今のようなケースを本当にカバーできるような格好にしていかなければいけない、そのためのきちっとしたチェックをしていかなければいけないというふうに思っています。  もう一つ、日本バイエルアグロケム、略称NBAと言いますが、ここは西八王子工場なんですが、その事例なんですが、旧社名は日本特殊農薬株式会社で、一九四二年から一九九二年の工場閉鎖まで五十年間八王子市で農薬を製造していました。ところが、一九九六年に同社が行ったボーリング調査によって土壌六万立米の水銀汚染が判明しました。最高値は五二〇〇ppm、水俣病を引き起こしたチッソの最高濃度の二・六倍という高濃度汚染でした。場所によっては深さ十四メーターまで汚染が浸透していたということです。  同社は、水銀が通る配管が外れていて、それが地中にしみ出したようだと説明していますが、同社が水銀農薬を製造していたのは一九七三年までです。ですから、水銀農薬製造をやめてから調査が行われるまでの二十三年間、水銀の高濃度汚染が放置されていたことになります。このケースの場合、跡地を再利用する目的で一九九六年に調査をして初めて汚染が発覚しました。もし本法が施行されても、土地工場用地以外に転用しない限り調査義務がないから、この八王子の例で言えば、やはり一九九六年まで汚染は手付かずということになります。  工場が操業している間は調査しなくてもよい、一番先にそういうやり取りをしましたけれども、そういうことではこのような高濃度の土壌汚染、これが長期にわたって知らずに放置されることになります。政府案ではそういう事態は回避できるのですか。
  210. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 事業者が工場操業等に当たりまして十分な注意を払っていかなきゃいけないということにつきましては当然のことでありますし、例えば水質汚濁防止法で排水に有害物質を流す、あるいは地下浸透するということはそちらで禁じられているということであるわけでございます。  この法律におきましては、そういう規制はございますけれども、結果として生じてしまいました土壌汚染による健康被害の蓋然性が高い場合に調査を義務付けるということでございますので、操業中の工場でありますれば、通常は一般の人が立ち入らず、重金属の汚染にさらされることは通常想定されていない段階で調査を義務付けるということではなくて、有害物質を取り扱う工場等が廃止されまして一般の人が立ち入ることができるなど、蓋然性の高い場合に調査を行わせるという仕組みにしているところでございます。
  211. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 私は東京の三多摩の地域に住んでいて、わき水が結構あちこちに見られます。そのわき水というのは、三十年ぐらい前のものが今わき出ていますなどという説明書きがよくあります。つまり、水というのは長い年月掛けて土の中をずっと静かにしみ出していくものなんですね。それで、土壌汚染があって、それが水に出たときにはもう手後れなんですね。だから、土壌汚染が長い間放置されると、もう汚染は見えない土の中で深く広く拡散してしまう、そういう危険があります。  それが、先ほど長野県の岡谷市のケースが指摘されましたけれども、トリクロロエチレンの汚染地下水の移動で広がっていって、もう市街地の全域に汚染が及んでしまってもうどうにもならない、そういう状況になってしまっているということなんですね。もう今地下水は、岡谷市では深くまで汚染されて、巨費を投じても、巨額な費用を投じても完全に有害物質は除去できないということで大問題になっているわけですね。  ですから、私はやはり操業中の工場についてもきちっと汚染物質調査を義務付けていかないと、そういう岡谷市のような事態を繰り返すことになる。それが、私は八王子の水銀汚染、水銀による土壌汚染のケースが示しているというふうに思うんです。大臣、その点いかがですか。
  212. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 八王子のケースにつきましては、私どもが承知しているところでは、自分たちがどういうふうに事業をしておるかというようなことは当然周辺住民に対しても情報は提供していたと。しかし、──ないんですか。ごめんなさい、その前の話ですか。工場の操業中であってもと、そちらの方の話ですか。というのは、幾つかお話ございましたので、どの点をあれしますか。  要するに、一般論として申し上げますと、工場の操業中であっても、一定の契機をとらえて、つまり常に操業中であっても調査をするというよりは、何と申しますか一定の、ちょうど調査をするのにもいいという適当な契機をとらえて調査をする方が、それはもうきちっとしたものができますから、それだけ調査というものの重みというものもあると思いますので、ですから、何でも常に調査するということはいかがかと思います。  ただ、現実土壌汚染によって健康被害が生ずるおそれが高いというようなことになれば、またこれは調査命令を行うということはもうさっきから口を酸っぱくして言っておりますので、ひとつそういう建前だということで、それをどういうふうに上手にまたこれを運用していくかということにひとつこれから十分注意はしたいと思いますが、そういうことで私の御答弁を御理解いただきたいと思います。
  213. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 岡谷の例はトリクロロエチレンでした。そして、八王子の例は水銀ですよね。両方ともかなり、汚染したら後が大変という有害物質を扱っているわけですね。  ですから、操業中の場合、そういう有害物質を扱っているところについて、操業中だから調査しなくてもいいよというのではなくて、操業中であってもそういう有害物質が、さっきのNBAの話じゃないですけれども、管が外れるとか、いろんなことがあるわけですよね、アクシデントが。ですから、操業中であろうと調査をある一定していく、それが必要なんですよね。それがだから予防的という言い方をしているんですけれども、事故が起こってからではなくて、あるいは何か転売するとかそういうときだけではなくて、通常でも予防的にやっていく、これはもう先ほど議論がありましたオランダの例ではそういうことをやっているわけですよね。  ですから、日本はそういう法律を作るべきだった、しかし法律はそうなっていない、じゃ現実的に、例えば水銀だとかトリクロロだとか、非常に何というか有害物質が扱われていて、そして汚染の危険があるようなところについては積極的にやっぱり操業中であろうと調査をしていくというようなことをやるような、そういう検討がされなきゃいけないのではないですかということで私は質問したんですが、それに対して大臣は、法律ではそうなっていないけれども、現状、運用上そういうふうにやっていきたいということなのでしょうか。
  214. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 運用上というよりは、現実にそういった、何と申しますか、情報なり状態というのが生じておるというかなり、何と申しますか、そういう情報と言った方がいいと思いますけれども、あれば、それに対してはそれを放置していくことではなくて十分に調査をさせていただく、こういうことでございます。
  215. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 それじゃもう全然、今までの議論の範囲内ですね。要するに、岡谷の例も防ぐことはできないし、八王子の例も防ぐことができないということになります。  余りここで時間を費やすと先に行かれないんで、ちょっと先の問題を聞きたいと思います。  NBAで更に大きな問題となったのは、高濃度に汚染された土壌の浄化作業を行ったことによって周辺にまで汚染を拡大したことなんです。NBAは、一九九八年四月から二〇〇〇年九月まで五万四千立米の水銀汚染土壌を敷地内で処理をして埋め戻しました。最終的には六万六千立米になりました。処理は、汚染土壌を砕いてパイプに送って、外から七百度から九百度に加熱して水銀を揮発させて、排ガスからバグフィルターなどで水銀を回収するというものでした。  プラントを製作した荏原製作所が環境庁に出した資料では、ラボスケールでは水銀の物質収支が取れていたが、現場パイロット試験では約五〇%が不明となっていたと書かれています。水銀は完全に除去し、回収されたと環境省は認識しているのでしょうか。
  216. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 御指摘土壌処理技術はテラスチーム法という方法で、掘削した汚染土壌を間接加熱するとともに、加熱蒸気を三百度から八百度でそういうものと接触させまして、土壌から汚染物質を揮散、離脱させまして浄化するという技術でございます。  これにつきましては、環境省が平成七年、八年に実施した実証調査に係る資料に御指摘のような記述になっておりまして、ラボでは確認をされていますが、収支は現場パイロット試験では約五〇%しか確認がされなかった、こういうことでございます。しかしながら、このパイロット試験の結果では、処理後の土壌から水銀の湧出は認められておりませんし、処理後の排ガスの水銀濃度はWHOの基準値以下であったということで、環境中には出ていないということでございますので、収支不明の大部分は、恐らく装置内の配管、クーラー、フィルター、そういうものに付着、吸収されておりまして、プラント境外に出たものではないというふうに考えられます。  それから、八王子のバイエルアグロケム工場跡地におきましてありましたケースにつきましては、プラント境外にその水銀が排出されていないかを確認しなきゃいけませんから、それは排ガス中の水銀濃度の常時監視、それから、敷地境界での環境中におきます水銀濃度の測定をやっておるわけですけれども、いずれもWHOの基準を下回る低い数字であったということだというふうに承知しております。
  217. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 処理プラントの操業がここで始まりますと、周辺住民から口内炎など水銀中毒の特徴的な症状が訴えられました。処理開始から二か月後の九八年六月に住民団体が周辺住民から聞き取り調査をしたところでは、金属味、口内炎、舌の痛み、目のはれ、頭痛、吐き気、倦怠感、耳鳴り、動悸、せき、手足のしびれ、爪の変形、変色など六十名の体調不良が見付かっています。特に子供はひどく、手足が動かない、嘔吐する、転ぶ、夜中に跳ね回るような異常な動きが止まらないなど深刻な訴えもありました。処理施設からの排ガスが疑われたけれども、会社側は安全だと言い張って、排ガスデータの公表や専門家の立入りなど住民の要求を拒否しました。  今年二月、熊本学園大学の原田正純教授が付近の住民八人の健康相談を実施しました。原田教授は、水銀以外の化学物質原因ではないか、水銀以外の試算データがないので断定できず、会社側がどこまで情報公開するかだという見解を示しました。  自分の工場敷地内だからといって、住民に相談しないで勝手に処理プラントを造る。被害を訴える住民にデータの公開もしない。しかも、住民が証拠保全を求めているのを無視してプラントを解体してしまった。本当に不誠実なんですね。証拠隠滅とも言えるようなこういうやり方、私は到底許されないと思います。  ですから、一つは、大臣、お願いしたいんですが、被害者の実情をよく調査をしてデータもつかんで、しっかりと対応してほしいと思います。それからもう一つは、こういう事例というのは、汚染土壌の処理がかえって住民の健康被害を招く危険があります。この法律、今度の法律でも、処理方法や処理に関するデータなどの情報を公開する規定がありません。汚染状況調査結果を公表すること、あるいは処理の方法や手順などを事前に住民とよく話し合って住民合意で行うこと、処理中のモニタリングや処理結果のデータなどを公開させること、こういうことが、情報開示が不可欠だと思います。その点、併せてお答えをいただきたいと思います。
  218. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 先ほどから申し上げておりますけれども、調査の結果、汚染が判明した場合には、台帳に記載して云々という、その手続のことは先ほど申し上げましたけれども、今の御質問は、その前の、現実にいろいろと現場でその情報をどれだけきちっと提供したかという問題だと思うんです。  私の了解では、八王子の場合にどういう仕事をしているか、どういう危険物質を使ってやっているかという話はある程度説明しておったというふうに聞いておりますけれども、しかし現実には、その問題と実際に起こった今の、いろいろと住民に、何と申しますか健康に非常に影響があったということのそこに何かちょっとつながりが、少しきちっとつながっていないような話がありますので、その点につきましてはきちっと調べたいと思っております。  いずれにいたしましても、一般的に住民の健康を守るということが大事でございますから、今具体的には東京都の八王子の保健所の方でいろいろとそういった健康に対する被害の状況も調べているようでございますから、私の方でも一緒に共同してその調査につきましてはきちっといたしたいと思っております。
  219. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 この法律の問題はいかがでしょうか。この法律での住民への情報公開。
  220. 堀利和

    委員長堀利和君) 時間が参りましたので簡潔にお願いします。
  221. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) この法律におきましては、汚染が判明しました土地につきましては、台帳というところの中にできる限り必要な情報を盛り込んで閲覧をすることにいたします。他方、調査データその他の問題につきましては、これは都道府県におきまして、それぞれの地方におきます情報公開ということで積極的に取り組んでいただくということだと考えております。
  222. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 今日のところはこれで終わります。ありがとうございました。
  223. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 高橋紀世子でございます。  この土壌汚染対策法案趣旨説明を伺って私の率直に感じたことを質問させていただきたいと思います。  まず、環境省が全国的に、法案を作って全国にそれを守るようになさっていると思うんですけれども、私は、環境というのは、雪の多いところ、海が近くて津波の来る心配があるところ、それぞれそれぞれ地域の問題点が違うと思うんですね。だから、一括して環境省が法令を出されてもどうもそれがうまくいかないように思うんです。中央の役所が決めて地方におっしゃるのではなく、地方地方で各々その地に合った条例や法律を作った方が私はいいと思うんですけれども、大臣いかがでしょうか。
  224. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 今盛んに地方の時代というふうなことも言われておりますし、環境問題についてもそれはやはりその地方の実情に応じた対策が必要だということはもうそのとおりだと思います。  ただ、やはり国としては、国の責任でここまではやる、あるいは国と都道府県との関係はこういうふうにしますというような、そういった基本的な姿というものはやっぱりきちっと示した方がいいと思いますので、そういったものはやっぱり国が作る法律の中で示しておいて、その上でできるだけまた地方公共団体、特に都道府県とかあるいは市町村のところで具体的な必要があればその条例もお決めになるということでいいんではないかというふうに考えております
  225. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 確かに全国統一の法律があると便利なようですけれども、やはりそれぞれそれぞれ、それぞれの土地で皆さん考えて、こうだこうだというと私は法律にも活性化が生まれるような気がしてなりません。  それからもう一つ、個人のことなんですけれども、環境のことというのは個人個人、個人がそれぞれ環境に対する思いも違うと思いますし、行動も違うと思いますので、やはり個人個人がもう少し主体的に考えるようなシステムにしたらいいと思うんですけれども、大臣どう思われますでしょうか。
  226. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 私は、環境問題については、それぞれの個人というのは、ある意味で言えば良い環境の中で生活していくということで、良い環境の恩恵を受ける個人だと思います。と同時に、そういった環境を維持していくためには、よく最近盛んに私どもも、例えば地球温暖化との関連で、お一人お一人が、国民のお一人お一人が、それから地域住民のお一人お一人が協力していただかないとできないというようなことを言っておるわけでございますが、そういう意味におきましては、また一つそういった義務と申しますか責任を負っておられるということで、国民が受益者であるとともに、また一つ義務を、義務と申しますか責任を果たしていただく個人であるというふうに理解をしております。
  227. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 私も、やはりどう考えてもこのことは個人の主体として考えていかなければいけないと思うし、やはり国の条例ではなくて、やっぱり地域地域に生きた、何と言うのかしら、決め事があった方がいいと考えます。  今日はどうも。
  228. 堀利和

    委員長堀利和君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時二十分散会