○江本孟紀君 それと同時に、ある程度
利用者の負担というようなものも、
先ほども
お話出ましたけれども、こういったものも検討して、明確にこういったものに要るんだというようなことでこれを打ち出していく、そういった施策みたいなものを出すべきではないかなと思います。
そこで、私はちょっと縁がありまして、アメリカのアリゾナ州のスコットデールというところの名誉親善大使というのを十年以上前からやっておりまして、主に観光に関してアドバイスをしてくれと、外国の人からアドバイスをしてくれというような、そういう立場でそういった大使の
役割を受けているんですけれども、アリゾナ州というのは皆さん
御存じのとおり、今、知らない方はいないと思うんですけれども、大リーグのキャンプ地で有名な、イチロー選手とか彼らがやっているキャンプ地のそばなんですけれども、ここは
御存じのとおり、大変
自然環境が豊かな
地域でございます。そういうところですから
環境保全には大変熱心で、特に
環境教育というものも非常に徹底をされております。
ちょうどグランドキャニオンが、有名なグランドキャニオンがそこに重なっているものですから、あれはアリゾナ州とニューメキシコ、ユタ、そういった四つのところが重なっている場所ですけれども、主にアリゾナ州の方がグランドキャニオンが近いんですけれども、そこの河川
管理事務所では排せつに必要な容量の容器と知識、そしてすべてを持ち帰るという誓約なしには、このグランドキャニオンの中にハイキングに行ったり、それから川下りみたいな遊びありますね、ああいったものをすることに許可をしないというような仕組みがあるそうです。旅行者もあの辺に行く方はそれがもうごく当たり前のことだということで実行をしているそうです。携帯トイレ、トイレは当然ありませんから、そうすると、携帯トイレの中身を持ち帰ると、その持ち帰る意義について書かれた二ページほどの
説明書というものも同時に発行して持たされるそうであります。
先ほどスイスの話がどこかで出たと思いますけれども、スイス辺りではどんなに高い山でもふん尿は下界に下ろして処理をするというふうに聞いております。これも実際行っていないので分かりませんけれども、
是非とも視察で行きたいなと思っておりますが、そういった
世界じゅうではふん尿とか、尿に対する
考え方というのは一杯あるわけですから。
そこで、富士山ではどうかということですが、余りにもたくさんの人が登るようになったために自然浄化では到底間に合わないので、たまたま山小屋なんかでの人が莫大なお金を掛けて施設を作っているんですけれども、それでも間に合わないと。そこで、トイレ維持に自発的なカンパをお願いする箱なんかを作っているんですけれども、ひどいのになるとそのカンパした金を盗んでいくやつがいるという情けない話も聞いております。山梨県では何億円、数億掛けたらしいんですけれども、七合目の下山道に作ったものが年間の維持費だけでも一千万掛かるそうであります。
先ほどチップ制の
お話されていましたけれども、ここでチップ制というのをしたんですけれども、これは全体の二割ぐらいしかチップ置いていかないそうであります。
富士山には、
先ほど年間二十五万人とおっしゃいましたけれども、私の方では三十万人と見ているんですけれども、ふもとまで含めると約三千万人が年間に訪れるんではないかと言われております。
人間が一日に排せつする量は、昼前でちょっと申し訳ないですけれども、昼の御飯前で申し訳ないですけれども、成人の場合で尿が大体一日千二百ミリリットル、ふんが百四十グラムというふうにされておりまして、これを登山者全員がトイレを使用するわけがないにしても、この数字掛ける二十五万から三十万人を掛けて、この排せつ量を富士山に残すというふうに
考えた場合、これはとんでもない話になりまして、それはもう自然浄化とかそれは問題じゃないと思うんですね。そうすると、やはりそれはもうとても
世界遺産への道なんというのは見えてこないというふうに私は思います。
日本人は、観光に行けば、それが
国立公園であってももう平気で排せつをしてごみをどんどん捨てていくと。これは
一つは、これは直接因果
関係あるかどうか分かりませんけれども、やっぱり休みが一斉になると、もう大体
日本人というのは観光地でもどこでも人の行くところ一斉に行きたがる癖がありますから、人のいないところ、きれいなところを見て、きれいだなといって満足する人はいないので、どうしてもやっぱり観光地にどっと行ってしまって、どんなきれいな場所でも汚してしまうと。
私は、子供のときに四万十川のそばの小さな村の、おやじが警察官だったものですから、駐在所の子供として小学生のころ過ごしたことがあるんですけれども、そのころの四万十川というのはむちゃくちゃきれいで、今年行きましたけれども、やっぱりそれはもう昔の面影はないわけですね。よく見てみると、何か旅の雑誌とかいろんなところに、旅の専門家みたいなのがいて、カヌーの専門家みたいな人が出てきてここはすばらしいと書くものですから、やっぱりそこへみんながだあっと行くわけですね。そうすると汚れていくわけですね。その循環がするんですけれども、私はそういった習性のある
国民に対しては、やっぱりそれは
環境というものに対する
保全、これに対する教育というものをこれはもっとしっかりしなければいけないんじゃないかと。そういう認識を常に持たせていないと、今のままでは幾らちょっとした便所を造ったって何したってそれはとても無理だと思うんですね。
そこで、二十一
世紀は
環境の
時代と言われておりますけれども、これは学校で、
先ほども学校教育の話されていましたけれども、学校教育とともに
社会でもやはりそういった
環境教育みたいなものを非常に充実しなければいけないんじゃないかというふうに思います。
環境保全にはやはり、
先ほども出ていましたけれども、ちゃんと
指導する人、それからやはりお金、これが必要じゃないかなということを
国民に多く知っていただくということが大変必要じゃないかと思います。
そこで、
文部科学省は具体的にどんな
環境教育を行おうとしておるのか、もう一度お聞きをしたいと思いますけれども、国内にはたしか四校か五校ほど
環境専門学科みたいなのがございますね、高校に。たしか私の生まれ育ったところの四万十高校というところなんかもその学科があるはずなんですけれども、それは全国からしたらもうわずかなそんなものしかないということで、日常の中で
環境教育をするにしても、どんな時間にどういうふうに教えているのかなかなか分かりませんけれども、しかし中にはこうして専門課程を設けて
環境問題について学科として教えられているところもあるわけですから、実際に、しかしそういった
環境保全だとかお金が掛かるとかということを広く
国民一般に知らせるには、これは政府としても
環境省としても、富士山の例を出していけば、一番メディアを通じてやれば広く
国民には分かりやすいんじゃないかと思いますので、
是非とも、
大臣に
是非ともそういった広報宣伝活動、例えば教育問題みたいなものを含めるためには富士山の問題を広く伝えてほしいと、これを
利用して伝えてほしいと思いますけれども、その辺についてお聞きしたいということと、もう一度、
文部科学省の
環境教育についてどのような御見解かをお伺いしたいと思います。