○遠山清彦君 次に、今日もし時間があればこの国内法令の整備のもうちょっと具体的な中身について突っ込んで質問したいと思っておりますが、その前に、今報道で盛んに取り上げられておりますけれども、
アメリカ政府がこのICCに対して非常に強く反対をしております。それで、国連の方で大きな問題が生じているわけでありますが、米国はクリントン政権のときにこの
条約署名したんですが、ブッシュ政権になりまして
署名を撤回するという異例な行動に出まして、ICCに対する反対を、強い反対の姿勢を示しました。
六月の中旬からは、PKOに参加をしている米国人要員が
政治的な理由でこのICCによって訴追されることを防ぎたいということで、PKO要員をあるいはPKFの要員もICCの訴追対象から外すよう求める決議を国連安保理に
提出をいたしました。これがもし認められなければPKOから撤退することも辞さないといったような姿勢を示しているわけでございまして、昨日までに更に事態が深刻化いたしまして、米国は安保理に、これ今日の朝の、朝刊の記事でありますけれども、訴追から免責される期間を一年とするという妥協案を提示をしたわけでありますけれども、これを安保理が拒否を三日いたしました、昨日ですね、三日いたしました。
その結果、ラムズフェルド米国国防長官が訴追免除などの特例がなければ今後は
アメリカの部隊を平和維持活動に派遣しないという意向を昨日に至って明言をするということになったわけでありまして、また、今、本当は今日の午後一時が期限でありましたけれども、先ほど調べたら一日延長になったということですが、ボスニアにおける、ボスニア・ヘルツェゴビナにおけるPKOの活動の延長を安保理で決議しなきゃいけなかったんですが、これを米国が拒否権を行使をして止めているという事態に今至っておりまして、今日の記事で引用されていたイギリスのグリーンストック国連大使は、このままでは「
世界中の平和維持活動が、期間更新のたびに米国に脅かされることになる」という発言をして、非常に強い懸念を示しているという
状況になっております。
私は、米国がこのICCによって不当に自分たちの要員が訴追されるんではないかという懸念を持っているということは、全く根拠がないわけではないと思いますけれども、ちょっと過剰反応なんではないかというふうに思っているんですね。
理由が
二つ具体的にありまして、
一つは、このICCの訴追プロセスをよく調べますと、実際に国連安保理が要請をして訴追プロセスが始まる場合もありますし、締約国が要請をして始まる場合もありますし、また、ICC独自の検察官が職権を使って捜査を開始して、これは予審部の合意が必要なんですけれども、事前に、というような三つの
ルートがあるわけですが、いずれにしても、その途中でもし不当な訴追プロセスが進んでいるという判断を、国連安保理が判断をして決議をした場合はこの訴追プロセスを止めることが既にできるように今なっているというふうに私理解しております。ですから、
アメリカのPKO要員が非常に不当な理由で訴追をされたような
状況のときには、それが明らかである場合は、これ、国連で止めることできるように既になっていると私は理解をしているわけでございます。
それからもう
一つ、二点目の理由、これ杞憂なんじゃないかという二点目の理由は、正に小和田大使が調整するために大変御奮闘されて中に最後入れた項目なんですけれども、いわゆる、もし
アメリカがICCの
条約締約国になれば
最初の七年間は自国民が被疑者になった場合にICCの管轄権を受諾しない旨を宣言することができると、つまり、七年間は事実上免責を自国民の被疑者に対してさせることができるという条項が入っているわけでございまして、この二点が既にあるのにこのようにPKOの要員を訴追対象から外すべきだというのは、私も米国は
日本の同盟国として非常に重要だという基本的な
認識に立っておりますけれども、しかし、これは幾ら何でも単独行動主義的であり、また一国主義的なものをちょっと感じざるを得ないというふうに思っているわけでございます。
この点に関して、ちょっとこのPKOにも重大な
影響及んでいる問題ですので、是非
外務大臣から御見解をいただきたいと思います。