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佐藤道夫君 この
条約問題の最後に、私のいささかの体験談も披瀝しておきたいと思いますけれ
ども、大分前のことですけれ
ども、私、ある研究をまとめる必要がありまして、
アメリカに在住しておって
犯罪を犯して、有罪の
判決を受けて
アメリカの
刑務所に相当期間
服役したと、そういう人たちを何人か集めて話を聞いたことがあるんですよ。
異口同音に、いや、大変つらかったと。言うまでもなく、第一に言葉。
アメリカの在住期間が相当数あるんですけれ
ども、全然
刑務所に入ったら言葉は通じないと。もう何を言っているのか分からない。看守もまた居丈高にスラングのような言葉でがんがんどなり散らして、それが、そのとおり動かない、言うことを聞かないとすぐ殴られたりもする、大変だったと。それから、食事ですね。これも
アメリカの食事に慣れているつもりではあっても、やっぱり本当に泣きの涙でようやく無理やり押し込んだような状態だったと。生きていくために仕方がないと思って、我慢に我慢を重ねて食べたと。
それから、最後に彼らが異口同音に言っていたことは、ホモセクシュアルというのかね、男色関係なんですね。あれ、
日本人と違って
アメリカ人は大変ああいうことに関心があるようで、特に
日本人は
アメリカ人に言わせると色が白いと。白いかどうか分かりませんけれ
ども、色が白い。それから毛が少ないんだと。それから肌が柔らかいと。ですから、彼らから見れば、もう
アメリカの女性よりも
日本人の方があるいは女らしいとでもいうのかどうか知らないけれ
ども、いずれにしろ、大変そういう要求を迫られる。これを断ると殴られる、け飛ばされる、もう生きた心地がしないと。そういう本当に苦労の連続であったと。そして、相当期間
服役して、もう二度とこんなところには絶対来ないと。人生でこれほどの苦しみ、地獄さながら、もう嫌だということで、それが
刑務所を出た後で自分の本当の
意味での心の支えになっておりましたよと。それから、
刑務所の中でそういうつらい思いをともにした人と友人関係ができて、今でもそれは付き合っておって、お互いに支え合って事業を助け合って頑張ってきたんですよと。心の友と言ってもいいと思うと。
そのころにやはりこういう話が出ていましたから、執行を、
出身国に送り返すという話も出ているが、この点についてはどう思うかと。彼らはううんといって考えておりまして、余り
受刑者に対して甘い取
扱いをするのはプラスかマイナスか分かりませんよとはっきり言っていました。自分たちはそういう本当に針の山を登るという気持ちを持って頑張りに頑張り抜いて出所後
更生をして、そして今こうやって
社会的に有益な、それなりに有益な人間になったつもりでいると。余り甘やかすことは得策ではありません、そういうふうに思いますよと言っていました。
これは物の見方ですから、ただ
犯罪者の
更生を図る、ああ結構なことだと、そういうことの陰に、今のその長期間
アメリカの
刑務所で
受刑をして、そして考えた人たちのそういう気持ちもあるということも、
法務省、
外務省、考えてもらえればと思います。送り返して幸せにしてやろうと、そういうことですべてが終わるということでもないということですね。
それから、
日本の
刑務所に
受刑中の
囚人たちに会って、
外国の
囚人たちに会って話を聞いたことがあります。彼らは、いや、率直に言うとここは天国ですよと。東南アジアとかブラジルとか来た人たちですけれ
ども、
アメリカ人でない。いや、食事もおいしいです、大変腹一杯食べていますよと。慣れてしまえばこんなの何でもない、看守も非常に紳士的で優しい、一生いてもいいぐらいですよと、まあ半ば冗談ですけれ
ども、そういう
外国人受刑者もいるということ。
この
条約、それからこれに基づく法律を
運用していく上で、それなりの参考にしてもらえればと、こういう
感じもします。私のいささかの体験でした。
条約の関係は以上で終わりまして、一般の
外交問題について
外務省と
防衛庁にお伺いしたい。
法務省、結構ですよ。
今、何といっても
外交問題、イスラエルとパレスチナですか、イスラエルとパレスチナの問題で、これは
アメリカがそれなりに努力をしてアラファト議長がテロ非難声明を出すと。一歩二歩、いや十歩も百歩も前進したんだと、こういう考えもあろうかと思います。イスラエルも若干、二、三か所から兵を引いてもいいんだというふうな声明を何か昨日辺り出したと。しかし、もちろん全面的な撤退をする気なんかさらさらないでしょう。
私、その報道を見ておりまして、思わずおやっと、こう思ったのは、
アメリカの世論
調査の結果が報道されておりました。
アメリカ国民に報道機関が尋ねたその結果ですね、御承知と思いますけれ
ども。あれは信用できないと、イスラエルの首相だれだっけ、(「シャロン」と呼ぶ者あり)シャロン、あれは信頼できないと、これが六十何%を占めている。
アメリカ国民の世論
調査ですよ。それから、何よりも紛争を解決するためにはイスラエルは即刻撤退すべきだと、あのヨルダン川西岸あるいはガザ地区から、これがこれまた同じように六十何%を占めているわけですよ。
アメリカ国民が一体になってブッシュ頑張れ、イスラエル、アラブをやっつけろと、こう言っているわけじゃ決してないんでありまして、むしろ
日本人よりも冷静に客観的に事実関係を見てそういう意見を出しているのかなと、こういう
感じもしたんですけれ
ども、この世論
調査の結果について、
外務大臣と
防衛庁長官、コメントをいただければと思いますが。