○菅(直)
委員 やはりすりかえがうまいですよね、聞いていると。全部すりかえですよね。
私は、最初から
一つしか聞いていないのですよ。
総理自身が言っている公約、
構造改革なくして景気回復なし、
構造改革が進めば景気回復につながるんだという、そのことを
国民にわかりやすく説明してくださいと言って、その一点しか聞いていないのです、きょうは。しかし、全然説明になっていない。何か言うと、じゃ国債を出せと言うんですか、じゃ何とかをしようと言うんですか、じゃ
ペイオフをやめろと言うんですかと。
私は、例えば
ペイオフにしても、今
ペイオフをやったら、多分準備がきちんとできていない。本来なら四年前から準備をするのに準備をしないから、みんな
国民が不安がっているんじゃないですか。だから……(発言する者あり)そういうことでしょう。だから
ペイオフ反対かと、ちょうど小泉さんそっくりなやじが飛んでいる。
つまり、じゃ、私が
改革をやろうとしているのに
改革をやめろと言うんですかというのしか答えていないのですよ。大いにやってください、私
たちは
構造改革をやることは反対しません。しかし、
構造改革をやったからといって景気回復につながるのですか。そうしたら、
構造改革の話ばかりしている。しかし、
構造改革をやったら景気回復につながるのですかということを言っているのです。そのつながるという論理が全然ない。
では、もう
一つ別の表現をしましょう。いいですか、マクロでいいんですよ、マクロで。
昨年、
経営者の中で最も注目をされて評価をされたのは、日産のカルロス・ゴーン社長だったかもしれません。彼は、日産の大リストラをやって、コストカットをして、日産という企業を立て直しました。ああいう人が
政府もやってもらえば
日本も立て直るんじゃないかと言う人もあります。
しかし、私は、原理が違う、原理が。日産は
民間企業で、リストラで退職金を払ってやめてもらった人の後のことまでは
責任を持ちません。ですから、少なくなった人間で、下請も切って、コストをカットして、そしてコストが下がるから、あれは売上台数は伸びていませんからね。全体の売上台数は伸びていないんですからね。コストが下がることによって企業収益がよくなった。いいですか、
総理、よく聞いてください。
では、同じことを国全部がやったらどうなるでしょうか、
政府全部がやったらどうなるでしょうか。それは、
民間企業は従業員を解雇することはできる、その後の
責任は永久に持てとは言われない。しかし、国は
国民を解雇することはできないのですよ。やめた後の人がどうなるかということがあって初めて
日本の景気がよくなるかどうか。
もともとは、むだな公共
事業をやめて、そこから出てきた人をIT
産業が吸収するという夢を語っておられましたけれ
ども、IT不況になって、逆にIT関連
産業からもどんどんリストラが出てきてしまいました。そういう現実を前にして、だから
構造改革をやれば景気が回復するというのは、一概に言えないのじゃないか。
一言だけ私の方から逆に言えば、すぐまたぱくられるかもしれませんけれ
ども、
財政に頼らない内需拡大策というものにもっと知恵を出せばいいのですよ。
今、唯一
国民が
個人で不足しているものは、唯一と言えるかどうかわかりませんが、庭がついたもうちょっと広い家に住みたいという人はたくさんあります。それならそれに重点を当てて全部の
政策をそこに集中させる。あるいは、テトラポッドで埋まったような海岸じゃなくて、もうちょっと砂浜の海岸に戻すというようなところに公共
事業を集中させる。川辺川のダムの工事なんかやめてしまう。そういう
国民が願っているものはあるのです。雇用だって介護だってあるんです。
そういう
財政に余り頼らないでいい需要の拡大をするということをもっとやるべきだ、私
たちはそう思っているし、それが二兎を追うもう一兎だと思っているんですが、
総理のこれまでの議論は相変わらず、
構造改革をやるんだ、何か一言言ったら、
構造改革に反するのは非
国民とはさすがに言われませんけれ
ども、
構造改革に反対するのかとすぐ、隣の塩川さんまでが一緒になってやじを飛ばしている。大間違いじゃないですか。私
たちが
構造改革を言って、
構造改革に反対する人は私の左手にたくさんいるわけですから。私
たちと
総理と自由民主党の抵抗勢力は、次元が違う三角形なんですよ。
私
たちは、
構造改革は進めるけれ
ども、
財政に頼らない内需拡大策がもっとあるはずだ、そこをきっちり提案してやらない限りは、
構造改革だけやっていれば、もっと早くやっていればよかったかもしれないけれ
ども、コースだって、北北西に針路をとって大丈夫なときと、北北西に針路をとったらもう氷山が近過ぎてぶつかるときとあるんですよ。同じ北北西だからいいということじゃないんですよ。今の
総理の置かれた
状況、
日本の置かれた
状況は、
構造改革はやらなければいけないけれ
ども、
構造改革をやれば景気がよくなるなんていう
状況はもう既に残念ながら過ぎ去っている。
だから、どういう
政策をやって景気回復をしようとしているんですかと。
構造改革なくして景気回復なしというのを
国民が信用して、
総理にまさに
信頼感を寄せているわけですから。この
総理にこの国を任せていたら、タイタニック号と同じ運命を
日本はたどってしまう。反論があったら聞かせてください。