○山内惠子君 山内惠子です。
社会
民主党・
市民連合を代表いたしまして、ただいま議題となっております
小泉内閣不信任決議案に対し、
賛成の立場から
討論を行います。(
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小泉総理、あなたは、八〇%を超える支持率の中、さっそうと登場されました。しかし、今、私
たちは、あなたに不
信任を突きつけなければなりません。言うまでもなく、
政治は結果
責任です。動機の善意で
政治は評価されるものではありません。あくまでも、結果
責任です。
小泉内閣不信任決議案に
賛成する第一の
理由は、
小泉総理の一年間の
政治による結果の中で、
経済政策の間違いと、弱い者いじめと言える
痛みの押しつけによって、どれだけ弱者が切り捨てられたかにあります。
総理、お聞きください。今の
政治の中で、こんな川柳が歌われています。「純ちゃんと叫んだ私が恥かしい」「純ちゃんと叫んだ私が恥かしい」。この川柳は、あなたに期待した多くの女
たちの声だと思います。(
拍手)
景気の底入れ宣言をされたにもかかわらず、六月の
失業率は、五・四%と高どまりのままです。
自殺者は四年連続で三万人を超えました。昨年の
自殺者のうち、
生活苦が動機と見られるのは六千八百四十五人にも上っています。弱者にのみ
痛みを押しつけてきた結果です。
痛みを耐えることができなかった人々の死に対して、あなたは、一国の
総理として、どのような手を差し伸べたのでしょうか。
また、あなたが打ち出した児童扶養手当の削減問題は、母子家庭を直撃しています。ただでさえ、親のリストラによって、せっかく合格できた高校の授業料が払えないと修学旅行をあきらめている、さらには高校を中退せざるを得ない子供
たちが、全国で十一万人にも上ると言われています。
今まで、母子家庭の子供十八歳まで支給していた手当を、五年間で打ち切るというのです。女性の
失業率が史上最高だと言われる
状況の中でです。
総理、御存じでしょうか。パートで働く母子家庭の母親は、パートを三つかけ持ちで働いて、やっと子供を高校にやっているのです。子供の寝顔しか見られないほど夜遅くまで働いて、平均百五十九万円の
収入しかないのです。この
状況で児童扶養手当を削減されたのでは、子供を高校中退させるしかないという
状況にあります。
しかも、この手当を受け取るために、ここまで書かせるかと言われるようなプライバシーまで書かせている
自治体があります。予算削減のせいではありませんか。これでは、少子化がとまるわけがありません。
現下の
最大の
政策課題は、積極的な雇用安定、雇用創出策の展開による、先の見える安心社会をつくることです。この
課題に対して何ら手を打ってこなかったばかりか、弱い者いじめとも言える
小泉総理に、これ以上、国政を任せるわけにはいきません。即刻やめていただかなければなりません。
第二に、
国民に
負担増のみを強いる理念なき
健康保険法の改正案の
審議についてです。
これまた弱い者いじめです。あなたの
経済政策の失敗によってデフレが深刻化する中、
国民に年間一兆五千億円もの大きな負担を強いる
法案です。広く
国民世論に
意見を求め、
審議は慎重の上にも慎重を期さなければならなかったはずです。
強行採決までして
成立させてはならない
法案だったと思います。
総理、
本当に
総理は人の
痛みがわからない
政治家だと私は思います。これでは、将来に不安を持つ人々のお財布のひもが緩むわけがありません。
景気が回復するわけがありません。
国民生活の
基本として、人間として生きるための健康を守ることこそ備えでなければならないはずです。セーフティーネットを破壊する
総理に、社会保障を語る資格など、そもそもなかったと私は思います。
小泉内閣不
信任の第三の
理由は、
政治倫理をめぐる
総理の
姿勢です。
政治は
最大の教育です。
鈴木宗男議員の逮捕許諾請求が可決されたこの本
会議場で、
国会議員の逮捕という現実が私の脳裏を駆けめぐりました。このような
国会が、子供
たちにどう映るのでしょうか。どんな影響があると
総理はお考えでしょうか。
アニメ作家の宮崎駿さんは、子供さえ元気であれば、子供
たちさえ元気であれば、二十一世紀は希望が持てるとおっしゃっていますが、今の
日本の教育の
危機的
状況の
最大の問題は、
政治が子供
たちに希望を与えていない、
政治が子供
たちに希望を与えていないということです。
自民党をぶっ壊すと言った
小泉総理が壊しているのは、憲法と
国民生活と民主主義ではありませんか。(
拍手)
かつて、
公共事業は、
政治家の口ききビジネスとして行われ、
政官業癒着の問題となっていましたが、今回の
鈴木宗男議員に至っては、初めからピンはね目的で
公共事業を進めるところまで来ています。ムネオハウスのみならず、さまざまの問題は、
自民党腐敗の
構造の氷山の一角ではないかと思います。宮路和明前厚生労働副大臣の受験口ききも、受験生の親の入学させたい一心につけ込んでの口ききであり、これも
自民党の体質にまでなっています。これらに抜本的なメスを入れない限り、問題の
解決にはなりません。
あなたは、これらの問題について、何の
リーダーシップも発揮せず、本人任せの無
責任そのものでありました。
総理みずからがかかわっている銀行からの献金あっせん問題についても、驚くことに、むしろ好ましい善意の献金集団だ、こんなきれいな献金はないなどと述べるに至っては、救いようがありません。
あっせん利得処罰法改正案も、議員の私設秘書を対象に加えたにすぎず、
地方議員や首長を対象にすることを拒み、抜け道だらけの
法案となりました。
小泉総理がこのようにひたすら
妥協を重ねる限り、
政治に希望はありません。
第四番目に、最も大きな問題である
有事法制関連
法案についてです。
デフレ
経済が続く中、あなたの
政治手法は、次々と間違いを犯しました。
総理が今何をしなければならないのか。足を踏み外していると私は思います。国論を二分するような
有事法制や間違った
個人情報保護法をこの
国会に
提出してはならなかったと思います。
あなたは、今、曲がってはならない歴史の曲がり角を曲がろうとしています。
住民基本台帳ネットワークも、このままでスタートさせてはなりません。当然、凍結させるべきです。
備えあれば憂いなしという
言葉ばかりを繰り返している
総理、あなたは知っていますか。世界最強の軍隊を持つ国が、最貧国であるアフガニスタンに対しての空爆で、一日一億ドル、
日本円にして月に三千五百億円の空爆だそうですが、毎月毎月、三千五百億円を投下し続けたということです。そのことによって、どれだけの無実の子供
たち、アフガンの人々が亡くなったでしょうか。アフガンを新型兵器の実験場にしているブッシュ
政権による報復戦争に、
日本が加担してはなりません。
総理、アフガンの子供
たちの日々を想像してみてください。これは、実際に空爆後のアフガンの子供
たちの精神的なケアをしている
日本の生井医師の報告です。
両親を失った子供
たちは、今なお、恐ろしい夢にうなされて、夜、眠ることができないそうです。子供
たちの描く絵には、必ず、両親のひつぎ、そして、その中に父母の姿を描き、花が添えられています。その後ろには、影のように大きな、不気味な魔物が描かれていました。私もこの絵を見せていただきました。両親を失った子供
たちは今後どう生きていくのか、
本当に胸が
痛みます。
ところで、
総理、先日、ニュージーランドでは、クラーク首相率いる
与党労働党が第一党を確保いたしました。クラーク首相は、
小泉総理とは全く逆の手法で
経済を立て直しました。空軍の戦闘機部隊を全廃し、かつて
国民党が
民営化していた労災保険の再国有化に踏み切り、難民の受け入れにも一貫して寛容な
姿勢を示してきました。また、最低賃金を引き上げ、学生ローンの金利を廃止するなどという具体的な
政策を進めることによって、
経済が好転したということです。
小泉総理が我が国でこのような取り組みをしていれば、三万人を超える
自殺者は出なかったはずです。
本当は、
構造改革を叫ぶ
小泉総理、平和憲法を持つ
日本で今なすべきことは、インド洋にイージス艦を派遣することではありません。あなたがやるべきことは、二度の大戦の
反省の中から生まれた平和憲法をどう生かすかです。アフガンの飢えている子供
たちに小麦粉を送り、傷ついた子供
たちに治療をする力を
日本は持っているはずです。また、イスラエルとパレスチナの和平交渉に乗り出して、世界の
構造改革に少しでも貢献することです。平和憲法を持っている
日本の
総理だからこそ、
本当はできたはずです。今、必要なのは、戦争への備えではなくて、戦争が起こらないように、平和への日々の努力をすることです。
しかし、
総理、もうあなたに期待は一切いたしません。あなたには、武力によらない平和の実現への理念もなく、二十一世紀に生きる子供
たちに平和に生きる道を準備するという重要な理念さえも、あなたは持っていない。そんなあなたに子供
たちの未来を託すわけにはいきません。
最後に、もう一度言います。「純ちゃんと叫んだ私が恥かしい」と。あなたに期待した人のこの落胆の声をしっかり受けとめて、即刻、
総理はやめていただきたいと思います。多くの支持者の期待にこたえられなかった結果
責任をとることです。
議員の皆さん、
国民の声にこたえる
政治をするために、多数の皆さんの
賛成でこの
決議案が可決されるよう強く要望して、
小泉内閣不信任決議案に
賛成の
討論を終わります。(
拍手)