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2002-05-16 第154回国会 衆議院 本会議 第34号
公式Web版
会議録情報
0
平成
十四年五月十六日(木曜日)
—————————————
平成
十四年五月十六日 午後一時 本
会議
—————————————
○本日の
会議
に付した案件
法人税法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)の
趣旨説明
及び
質疑
午後一時三分
開議
綿貫民輔
1
○
議長
(
綿貫民輔
君) これより
会議
を開きます。
————◇—————
法人税法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)の
趣旨説明
綿貫民輔
2
○
議長
(
綿貫民輔
君) この際、
内閣提出
、
法人税法等
の一部を
改正
する
法律案
について、
趣旨
の
説明
を求めます。
財務大臣塩川正十郎
君。 〔
国務大臣塩川正十郎
君
登壇
〕
塩川正十郎
3
○
国務大臣
(
塩川正十郎
君) ただいま
議題
となりました
法人税法等
の一部を
改正
する
法律案
の
趣旨
を御
説明
申し上げます。 本
法律案
は、近年の
社会経済情勢
の変化や
企業活動
の
国際化
の
進展等
を踏まえ、
我が国企業
の円滑な
組織再編
成に対応するとともに、
企業経営
の実態に即した適正な
課税
を行い、もって
我が国
の
経済構造改革
に資する
観点
から、
連結グループ
を
一体
として
課税
する
連結納税制度
を
創設
するための
所要
の
措置等
を講ずるものであります。 以下、その大要を御
説明
申し上げます。 第一に、
内国法人
及び
完全支配関係
にある他の
内国法人
について、
国税庁長官
の承認を受けた場合には、その
内国法人
を
納税義務者
として
連結所得
に対する
法人税
を納めることとしております。 第二に、
連結所得
の
金額
及び
連結法人税額
について、
連結グループ
内の各
法人
の
所得金額
を基礎とし、
所要
の調整を加えた上で、
連結グループ
を
一体
として計算することとしております。なお、これらの計算に係る諸
制度
について、
個々
の
制度
の
趣旨等
を踏まえ、
所要
の
措置
を講ずるほか、
国税通則法等
の
整備
その他
所要
の規定の
整備
を図ることとしております。 第三に、
連結納税制度
の
創設
に伴う
税収減
に対応するため、
連結付加税等
の
連結納税制度
の仕組みの中での
措置
及び
退職給与引当金
の
廃止等
の
課税ベース
の
適正化
のための
措置
を講ずることとしております。 以上、
法人税法等
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
趣旨
を御
説明
申し上げた次第であります。 何とぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。(
拍手
)
————◇—————
法人税法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)の
趣旨説明
に対する
質疑
綿貫民輔
4
○
議長
(
綿貫民輔
君) ただいまの
趣旨
の
説明
に対して
質疑
の通告があります。順次これを許します。
生方幸夫
君。 〔
生方幸夫
君
登壇
〕
生方幸夫
5
○
生方幸夫
君
民主党
の
生方幸夫
です。
民主党
・
無所属クラブ
を代表いたしまして、ただいま
議題
となりました
法人税法等
の一部を
改正
する
法律案
について
質問
いたします。(
拍手
)
本題
に入る前に、一言申し上げます。 昨日、この本
会議場
において、
議院運営委員長
の
解任決議案
が否決されました。
鈴木宗男
氏の
議員辞職勧告決議案
を本
会議
で採決するかどうかについて、それを
議院運営委員会
の場において否決したことに対して
責任
を問うたものです。 どうして、かかる重要な問題を本
会議
で討議することにすら、自民党、保守党の
皆さん
は
反対
をしなければならないのか、なぜ、
鈴木議員
にそれほど遠慮をしなければならないのか、全く
理解
に苦しみます。(
拍手
) 多くの
国民
が、
鈴木議員
に対して、
疑惑
についての
説明
を求めております。それに
鈴木議員
が誠実にこたえないまま、本日も本
会議
に欠席している状態では、
国会議員
として職責を果たしているとは、どうしても言えないと思います。(
拍手
) さらに、既に
鈴木議員
の秘書が逮捕され、側近と言われた
外務省
の
職員
も、一昨日、逮捕されました。
鈴木議員
の
政治責任
は、もはや明確です。 こうした
鈴木議員
の一連の行動についてどう
考え
ているのか、この本
会議場
において堂々と
所見
を述べるのが
政権党
たる
責任
であると私は
考え
ます。しかるに、
議院運営委員会
の場において、
やみ
から
やみ
へ葬り去ろうということは、まさに
議会制民主主義
を無視したものと言わざるを得ません。
外務省職員
の逮捕によって
事態
は大きく変化いたしました。速やかに
鈴木議員
の
議員辞職勧告決議案
をこの場において上程するように、強く私は訴えかけます。(
拍手
) さて、
本題
に入らせていただきます。
国際競争力
の
強化等
の
観点
から、
企業組織
の
再編
の
必要性
が高まり、
純粋持ち株会社
の
解禁
、
会社分割法制
の
整備
、
自社株保有
の
解禁
、
株式交換
・
移転制度
の
創設
など、
法整備
が順次進められてまいりました。しかし、これらの新たな
制度
は、その
必要性
に反して、実際にはなかなか
導入
が進められてきませんでした。その
最大
の
理由
は、
税制
であります。その
意味
で、今回の
法人税法
の
改正案
は時宜を得たものではございますが、出てきたものを見ますと、多くの
問題点
がございます。
連結納税制度
の
導入
に当たっては、
政府
・与党内で多くの
紆余曲折
がありました。本来なら一年以上前に
導入
が予定されていたものが、ずるずると引き延ばされ、昨年九月の
改革工程表
に
平成
十四年度
創設
が盛り込まれることによって、ようやく
政府
の
姿勢
が明らかになりました。しかし、これ以降もすんなりとはいかず、十月に
政府税制調査会
が
導入
決定しておきながら、翌十一月には
塩川財務大臣
が
導入先送り
を表明し、さらに、わずか一週間で再度ひっくり返るなどの失態を演じてきました。 このような
紆余曲折
を反映するかのように、
中身
についても明確な
方向性
が見えません。
連結納税
は、
企業
が
競争環境
に適応する
組織再編
を行うために必要不可欠なものであります。速やかな
導入
が求められているにもかかわらず、その
中身
にさまざまな条件が付され、
政府
としてこの
連結納税
の
適用
をあたかも嫌がっているような、使いづらい
制度
となっています。 以上のような経緯、
内容
となってしまった大きな
要因
は、やはり現在の
小泉政権
が
官僚主導
の
政権
であり、
役所
の
縦割り
を排除できないことだと
考え
ております。
内容
、とりわけ、
税収確保
のために
役所
の言いなりになった結果、
グループ内寄附金
の
控除
を認めない、
子会社
の損失を翌期に繰り越せないなどという小細工を行い、きわめつけの
連結付加税
に至っては、何のために
連結納税制度
の
導入
を図るのかという、
制度
の
基本
的な
考え方
を疑わせるものとなってしまいました。 まず、本当に
政府
として
連結納税制度
の
導入
を促進する
意欲
があるのかどうか、
基本
的な
姿勢
をお伺いしたいと思います。 この
連結付加税
については、
制度そのもの
についても、二%という
税率
についても、単に
歳入確保
という以外、全く論理的な
説明
がありません。
財政状況
は厳しく、安易な
減税
が望ましいとは
考え
ませんが、それにしても、金がないから取るといった
政府
の安直な
姿勢
には強い疑念を感じます。これでは、あたかも
連結納税
を選択する
企業
が悪者であり、これに対し懲罰を科すようなものだと
考え
られます。その上、この
連結付加税
が障害となって
連結納税
の
導入
がおくれ、
我が国企業
の
競争力向上
のテンポがおくれてしまっては、まさに、角を矯めて牛を殺すことにほかなりません。 改めて、
連結付加税
について
導入
の
考え方
を伺うとともに、これを
理由
にして
導入
が進まないという懸念に対して
財務大臣
はどうお
考え
になっているのか、お伺いしたいと思います。 次に、具体的な点について、二点お伺いいたします。 第一に、
試験研究費
の
取り扱い
です。 現在の
税制
では、
研究関連費
が一定の比率を上回って増加した
企業
に対して、その
増加分
の一部を
法人税額
から
控除
できる
制度
となっております。
企業
は、この
税制
を活用して、
研究子会社
をつくり、ここで集中的に
研究
を行うことによって、
研究
に係る
納税額
を節税するなどの対策をとってまいりました。しかし、今回の
連結納税制度
によって、仮に
研究開発費
を
グループ
全体で計算する必要が生じるとなると、この
増加試験研究費
の特例の活用が困難になり、かえって
国内企業
の
研究開発
に対する
意欲
を減退させることが
考え
られます。
試験研究費
の
取り扱い
について、本
改正案
ではどうなっているのか、仮に、今申し上げたように、
グループ
全体で計算することが義務づけられるとするとその
影響
をどのように
考え
ているのか、御
意見
をお伺いします。 第二は、
子会社
の
繰越欠損金
の
控除
が認められていない点です。
繰越欠損金
は、現在の
制度
でも、黒字になった
時点
で
税控除
が認められています。しかし、
連結納税制度
を
導入
した
時点
でこの
控除
が認められなくなります。
付加税
に次いで
企業
から非常に不満の強いこの
繰越欠損金
の問題について、
財務大臣
はどのような
見解
をお持ちでしょうか。 次に、現在、
政府
で
検討
されている
税制抜本改革
について、若干お伺いいたします。 これは、
小泉総理
の、新時代に対応するあるべき
税制
を目指すとの号令によって始まったものですが、その
方向性
は、これまた、右往左往しているありさまです。
最大
の
原因
は、
小泉総理
のリーダーシップの欠如にあることは明白です。同時に、何のために
税制改革
を行うのかという
基本的理念
が不明確なことにも
原因
があります。 そこで、
財務大臣
に伺います。
税制
に関しては、
経済財政諮問会議
と
政府税制調査会
がそれぞれ
検討
を行っておりますが、この
二つ
の
機関
はどのように
役割分担
をしているのか。
経済財政諮問会議
においてはかなり具体的な問題を
検討
しているやに聞いておりますが、
税制
に関する
責任者
として、
財務大臣
はどのような
整理
をするつもりなのかをお伺いいたします。 さらに、
財務大臣
は、
G7
で、
減税先行
を容認すると思われるような
発言
をなさいました。この点について、改めて
財務大臣
の御
所見
を伺うと同時に、先行
実施
される場合は、その
実施
時期や
財源
についてどのように
考え
ているのか、お聞かせください。 最後に、
国際公約
について伺います。
大臣
は、六月に
減税
を含め明確な
戦略
を示すと宣言されましたが、これは六月のサミットまでに
考え方
を示すということを
意味
しているのか、また、どんな
中身
を想定されているのか、さらに、それを取りまとめるのは、
経済財政諮問会議
なのか、
政府税調
なのか、これらの点をお伺いしまして、私の
質問
を終わらせていただきます。(
拍手
) 〔
国務大臣塩川正十郎
君
登壇
〕
塩川正十郎
6
○
国務大臣
(
塩川正十郎
君) 私に対する
質問
は、全部で六点あったと思っております。 まず
最初
に
お尋ね
がございましたことは、
政府
として本当に
連結納税制度
の
導入
を
考え
ておるのかというお話でございます。 確かに、昨年の暮れに、
法人税法
を一部
改正
して
連結納税制度
を
導入
したいと思ったのでございますけれども、何分
法案
の
整理
が、
皆さん
のお手元に行っておりますように、こんな分厚いものが行っておりますが、その
整備
にとても時間がかかって、慎重を期しておったということでございまして、その点につきましては、おくれましたことを心からおわびいたしたいと思いますが、何としても
導入
したいという一心から、一生懸命、連日連夜、これを詰めてまいりまして、やっと提出いたしましたので、ぜひ御採決いただくように心からお願い申し上げます。 したがって、この
制度
を講ずることによって、国際的な
企業競争力
を高めるということもできますし、また
経済界
の、
企業
の
再編
成にも役立つと思っておりますので、その
意味
におきまして、この
制度
はぜひ必要であると信じ、提出した次第であります。 二番目の問題といたしまして、
連結付加税
についてでございます。 こんなことを何でつけたのかということでございまして、おっしゃるように、これは、ある
意味
においては
連結納税制度
の
メリット
を帳消しにするという、そういう心配をされる方もあります。 しかしながら、
連結納税導入
に伴いまして税の減収が生じますので、それをある程度埋め合わすために、
退職給与引当金
の
廃止等
を行い、また、
連結納税制度
を選択する
企業
にも応分の
負担
を求めるという
意味
において
付加税
の
措置
を講じた次第でございまして、このような
連結付加税
の
措置
が講じられるといたしましても、
連結納税制度
の
メリット
を受ける
企業
も相当程度存在するため、
導入
する意義は大きいと
考え
ております。 また、
財源措置
につきましては、二年後において、
制度
の
実施状況
や
財政状況等
を踏まえまして、
見直し
を行うということにいたしておりますので、御
理解
をいただきたいと思います。 三番目のお
問い合わせ
でございますが、
法案
における
試験研究費
の
取り扱いいかん
、この
取り扱い
の
企業
の
研究開発
に対する
影響
はどうかという
お尋ね
でございます。 この
制度
のもとでの
試験研究費
につきましては、
増加試験研究費
の
特別税額控除
についても、
連結グループ
を
一体
として
適用
し、
連結グループ
全体の
試験研究費
が増加した場合に
特別税額控除
を認めることとしておりまして、
企業
の
研究開発
に特段の
影響
を与えることはないと
考え
ております。 四番目の問題でございますが、
連結納税制度適用開始
前に生じた
子会社
の
欠損金
についての
控除
のお
問い合わせ
でございます。 これは、一言で言いますと、
連結納税
にする前に、故意にとは申しませんけれども、ある程度、
子会社
に
赤字
を大きくつくっておいて、それを一緒にするということになったら、ちょっとぼろい話じゃないか、こう思います。 したがいまして、
制度適用
前の
所得
は
単体法人
を
納税単位
として、
制度適用
後の
所得
は
連結グループ
を
納税単位
として
課税
を行うことを
原則
としておりまして、
制度適用
前の
欠損金
については、
親会社
のものに限って
控除
することといたしております。 また、
子会社
の
制度適用
前の
欠損金額
のすべてを
控除
するとするならば、
欠損金
のある
会社
の買収による
租税回避
の行為が行われることもございまして、これを避けるためにとった
措置
でもあるということを御了承いただきたいと存じます。 第五番目のお
問い合わせ
でございますが、
税制
について
経済財政諮問会議
と
政府税制調査会
がそれぞれ
検討
を行っておると聞いておるが、この
二つ
の
機関
はどのような
役割
を分担しておるのかということでございます。
マスコミ等
によりますと、往々にいたしまして、この
二つ
の
会議
がお互いに
勢力分野
を主張しておるような、そういうような
報道
をされておりますが、決してそういうことではございませんで、
一体
となって
税制
についての
調査研究
を進めていただいておることは申すまでもないと思っております。 まず
最初
に、
経済財政諮問会議
におきましては、税に対する、あるいは税と
経済政策
との
関係
の
整合性
を
考え
ていただくこととし、
基本
問題的な立場に立っての
議論
をいたしております。その
内容
といたしましては、受益と
負担
の
あり方
、国と
地方
の問題、あるいはまた
特定財源
の
あり方
、あるいは
租税
の
簡素化
の方法というような、大局的な
議論
を進めてもらっております。 そして一方、
政府税制調査会
におきましては、
所得税
なり
法人税
、あるいは
資産税
、
消費税
、あるいは
個々
の
地方税等
の
問題等
につきまして、具体的な税目の
あり方
について
検討
を進めていただいておるところでございまして、
政府税制調査会
と
経済財政諮問会議
間におきます
意思疎通
は十分に行われており、それぞれの
役割分担
を踏まえて、今後、十分な審議をし、結論を出していただけるものと思っております。 第六番目のお
問い合わせ
でございますけれども、
財務大臣
は、
G7
で、六月に
減税
を含め明確な
戦略
を示すと言った、これは本当かということでございますが、まさに、そのように私は申し上げました。そして、先般の
G7
においては、
経済
と
財政
の
構造改革
を念頭に置きつつ
減税等
に取り組むこととして、その場合、集中的に
議論
を行い、六月中に
考え方
を取りまとめるという
趣旨
を申し上げました。 ただし、この場合におきましても、
財政
の節度ということをやはり
基本
として
考え
ておるということもつけ加えておるのでございまして、
税制改正
が
経済
の
活性化
に役立つ
方向
について一層の努力をすることも、あわせて表明した次第であります。 したがって、六月をめどとした
基本
的な
方針
の取りまとめに向けて、現在、
政府税制調査会
並びに
経済財政諮問会議
におきまして鋭意
議論
を進めておるところであり、六月中にはその
基本方針
は決定するものと思っております。 以上であります。(
拍手
)
—————————————
綿貫民輔
7
○
議長
(
綿貫民輔
君)
西村眞悟
君。 〔
西村眞悟
君
登壇
〕
西村眞悟
8
○
西村眞悟
君
自由党
の
西村眞悟
でございます。 私は、
自由党
を代表して、ただいま
議題
になりました
法人税法等
の一部を
改正
する
法律案
を中心として
質問
いたします。(
拍手
) まず第一に、五月八日の
日本領事館事件
について申しておかねばなりません。
小泉総理
は、
本件事件
に関して、
中国
における
国際法違反
と
人権擁護
の
理念
のもとに、遺憾の意を表明されましたけれども、
中国
人によると
日本人
によるとを問わず、
我が国
家の主権がないがしろにされたことの
発言
が
小泉総理
からなされていないことを遺憾に思うものでございます。 このたびの
事件
をきっかけとして、改めて、
中国
は
人権
に関して極めて重大な問題を抱えている
国家
であることが明らかになりました。その
中国
が
核ミサイル開発
など
軍備拡張路線
にあることを
考え
合わせれば、
我が国
が自由と
民主主義
の
理念
のもとに
法治国家
である以上は、対
中援助
を見直すべきときだと
考え
ます。
ODA
四
原則
がありながら、なおも対
中援助
を続けるのは、昨今深刻な
疑惑
を招いている、公金の
不正支出
になるのではありませんか。 本
法人税法改正
においても、
減税分
の穴埋めについて非常な工夫を積み上げざるを得ない逼迫した
財政
を抱えている
財政当局
が、対
中ODA
については、
原則
に反する
支出
を野放しにしているのは、極めて不合理でございます。このたびの
事態
を契機として、対
中ODA
を直ちに見直す決断が必要と
考え
ますが、
財務大臣
の
考え
をお聞かせいただきたく存じます。 さらに、
北朝鮮
に拉致された
日本人
を含む邦人は、我が
領事館
に逃げ込んできた五名の
北朝鮮人
以上に、自由を奪われております。しかるに、
我が国
に在留する
北朝鮮人
は、毎年約一万人以上、
北朝鮮
に行ってはまた
我が国
に戻ってきているのでありまして、彼らの持参する物と金も、
北朝鮮独裁政権
を支えているのでございます。つまり、
北朝鮮独裁政権
は、
我が国
が
在日北朝鮮人
に与えている自由を利用して、
日本人
の自由を奪う権力を維持しているのであります。五名の
北朝鮮人
が
中国官憲
に引き戻された
事態
を
人権
の名において
中国
に抗議するならば、
政府
はさらに
北朝鮮
により拉致された
日本人
の
救出
に取り組まねばならないのであります。 よって、
我が国
は、
北朝鮮政府
が
北朝鮮
に抑留、滞在する
日本人全員
に自由を与えるまで、在日する
北朝鮮人
が
祖国北朝鮮
に帰るのは自由であるけれども再度
日本
に入国することは禁止するとの
日本人救出策
を、
政治家
としての
法務大臣
は考慮に入れるべきときと
考え
ますが、
法務大臣
の
見解
をお聞きしたいと存じます。 さて、現在、
日本
の現にある
緊急事態
は、
武力攻撃事態
ではなくて
経済
であると
考え
られます。一年間の
自殺者
三万人を超える
事態
の何年間にわたる連続は、
現実
の
武力衝突
を経験した日清・
日露戦役
の死者を超えており、これは明確な
緊急事態
であります。 そこで、税の問題が
経済
にいかなる作用を与えるのか、また、与えてきたかについて、次の経験された事項について
財務大臣
の
基本的認識
をお聞きいたします。 一、今から五年前の九兆円の
増税路線
への転換が、それまで三、四%に迫る
成長
を遂げてきた
日本経済
を一挙に
マイナス成長
に突き落とした大きな
要因
である。一、
増税路線
に転換しても、予想に反して
税収
はふえなかった。一、過去数年にわたって
公共事業
に巨額の金を投入したが、効果は目に見えてこなかった。 私は、
我が国
は、もはや、
公共事業
に金を投入して
経済
を浮揚できるような、
発展途上国
型の
経済
ではないと認識しております。
成熟経済
の
段階
に達しております。この
成熟経済
とは、
国内
総生産の六割以上が
国民
の
消費
であり、
経済
の
活性化
とは
消費
の
活性化
にほかならない
経済
であります。したがって、官が民から多くの税を徴収して
消費
の規模を縮小させれば、デフレになって
経済
が低迷し、
反対
に、官の使う金を減らして民の使う金をふやせば、
消費
が
活性化
し、
国民
総生産は上昇するのであります。 したがって、この数年間における
我が国
の実験を見ても、
我が国
の
経済段階
においては、官が使う金よりも民の使う金をふやすこと、つまり、
減税路線
が真の経世済民の方策であると
考え
られるのでございますが、
財務大臣
の
考え
をお知らせいただきたい。(
拍手
)
我が国
の
経済段階
においては、
減税
は
消費
を
活性化
させて将来の
税収
をふやし、
増税
は
消費
を冷え込ませて将来の
税収
を減らす、この公式は我が
経済
の
現実
に即したものと
考え
ますが、
財務大臣
はいかに認識しておられるか、お聞かせいただきたい。
自由党
は、
国民
が
自分
の金は
自分
の
責任
で自由に使えねばならないとの
原則
のもとに、
所得税
、
住民税
は
税率構造
を
簡素化
して
税率
を引き下げ、各種の
人的控除
を
原則
廃止すること、また、
勤労者
の
源泉徴収
を廃止して、全
国民
が
金額
の多寡を問わず税金はみずから納めるという、
民主主義国家
における
納税者
の当然の
あり方
を回復しなければならないと
考え
ております。さらに、
産業
や文化を
活性化
させるために、
世界
の頭脳が
我が国
に流入してくるように
法人税率
を
世界
で最も低い
税率
とすべきであると
考え
ております。(
拍手
)
財務大臣
は、先月の
先進
七カ国
財務相
・
中央銀行総裁会議
後の
記者会見
において、
財政
の均衡を図りながら
減税
が先行することもあり得ると
会議
で
説明
したことを明らかにされました。また、
オニール・アメリカ財務長官
との会談においては、
産業再生
につながる
税制改革
を初めとする
経済活性化策
を六月中に取りまとめる
方針
を示されたと伺っております。
産業活性化
につながる
税制改革
とはどのようなものなのか、
減税
を柱とするものなのか、さらに、二十一世紀の
国家社会
を支える
税制
のあるべき姿をどのように
考え
ているのか、その
基本的考え方
について
財務大臣
の
見解
をお伺いいたします。 以上の
基本的考え
から、今回の
改正
の柱である
連結納税制度導入
を見るとき、奇怪な感を抱かざるを得ないのが
連結付加税
の
導入
であります。さきの
先進
七カ国
財務相
・
中央銀行総裁会議
における
財務大臣
の
発言内容
とは、
整合性
がありません。
小泉内閣
は内部分裂しているのではないかと思えるほどでございます。
連結納税制導入
の評価すべき点は、
親会社
と
子会社
、
孫会社
との損益を合算して
課税
を行うことで、
企業
の大胆な
再編
や
新規投資
を後押しすることにあります。しかしながら、
連結付加税
は、これらすべての
プラス面
を一挙に
マイナス面
に押しやり、
企業活動
の
活性化
どころか、それに冷水を浴びせかけるものでございます。特に、
グループ
内に
赤字
のない
優良企業グループ
は、
赤字
を抱える
グループ
よりも
付加税分
の
税負担
が重くなり、
連結納税
は
導入
できがたくなります。 そのことを裏づけるように、
連結納税
を
導入
するという
企業
は、ある
調査
では百社のうち二割にとどまり、ある
調査
では九十三社中二社にとどまっているのでございます。つまり、これは
産業活性化
に逆行する
税制
と言わざるを得ません。(
拍手
)
連結納税制
のすべての利点をつぶしてしまう
連結付加税
とは、目先の
税収確保
以外のいかなる
理由
によって
導入
しようとされるものか、その
導入理由
を明確に御答弁いただきたい。また、
G7
で国際的に公表された
産業活性化策
と
整合性
があるのか否か、御答弁いただきたいと存じます。
産業界
あって初めて
経済
の
活性化
でございますが、その
産業界
は、
連結付加税
に強く反発し、
連結納税制導入
をちゅうちょしております。
財務大臣
は、先月、
経団連会長
との
意見交換
の後で、
産業界
の反発については
理解
を示し、
付加税
については
法案成立
後の
見直し
を示唆されたと
報道
されておりますが、この
報道
は事実でしょうか。事実ならば、
法案成立
後ではなくて、
成立
前の今、なぜ
付加税
を見直されないのか、その
理由
を明らかにしていただきたい。 さらに、
付加税
は二年間の
時限措置
となっておりますが、これを短縮する意向はないのか、
財務大臣
の御答弁をいただきたいと存じます。 また、
連結納税導入
による
減税
見込みの穴埋めとして、
連結付加税
のほか、
退職給与引当金
の廃止を初めとする
法人税
の一般的な
課税ベース
の
見直し
による
財源
捻出が計画されておりますけれども、これは、
法人
一般については、
連結納税
を
導入
すると否とにかかわらず、
原則
的な
増税
であります。これは極めて場当たり的な態度でございまして、江戸時代のおかっぴきのような、こすいやり方でございます。法治の国ではなくて、人治の国のごときありさまであり、資本主義を支える信頼の
原則
、政治に対する信頼を揺るがせかねない
政府
の態度でございます。 今回の
課税ベース
の
見直し
と
連結納税導入
との関連性について、
財務大臣
の御
見解
を伺いたいと存じます。 最後に、
税制
については、
政府税調
や
経済財政諮問会議
から、さまざまな
議論
が、また態度があらわされており、これら錯綜した
議論
の中にあって、肝心の、
小泉総理
の税に対する
理念
なり決断なりリーダーシップなりが全く見えてこないのであります。リーダーシップが見えない、これこそ今ある閉塞感の元凶であることを指摘して、
質問
を終えます。(
拍手
) 〔
国務大臣塩川正十郎
君
登壇
〕
塩川正十郎
9
○
国務大臣
(
塩川正十郎
君)
お尋ね
のまず第一点に、五年前の九兆円の
増税路線
への転換が、それまでの三、四%に迫る
成長
を遂げていた
日本経済
を一挙に
マイナス成長
に突き落とした
要因
ではないか、私の認識を問うということでございます。
増税路線
への転換が
マイナス成長
の
要因
ではないかという
お尋ね
でございますけれども、
我が国
のその当時におきます医療保険
制度
の安定した運営のための給付と
負担
の
見直し
等を行い、
我が国
の将来にとって極めて重要な改革であったと
考え
ておりますが、これらと並行して行われた
措置
でございまして、また、
平成
九年度以降における
経済
の低迷については、同年秋以降の金融
機関
の相次ぐ経営破綻やアジア地域におきます通貨、
経済
の危機などが実体
経済
に大きく
影響
を及ぼしたことに留意する必要があるとも思っております。 その
意味
におきまして、この
平成
十年度以降におきますところの、五年前の九兆円の
増税路線
というものは、いろいろな悪要件が重なったものと同期的に行われたものでございまして、今、顧みまして、非常に困難な時期であったと思っております。 次に、
増税路線
に転換しても、予想に反して
税収
はふえなかったのではないかという御
質問
でございます。 確かに、
平成
十年に二度にわたって
実施
された
所得税
の特別
減税
や、
平成
十一年度より
実施
されておる
所得税
、
法人税
の恒久的
減税等
の大規模な
減税
を重ねてきたことは、大きい
原因
であると
考え
ております。 過去数年にわたって
公共事業
に巨額の金を投入してきたが、効き目は目に見えてこなかったがという
質問
でございます。 確かに、過去におきます需要追加を目的とした
公共事業
の拡大は、短期的には
経済
の下支えをいたし、一定の効果があったことは事実でございますが、他方におきましては、生産性が低く、効率性の劣る分野を温存する結果となり、必ずしも持続的な
経済
成長
につながらなかった面があると認識しております。
政府
といたしましては、このような認識のもと、公共投資の配分につきまして、
整備
水準も踏まえつつ、重点七項目への重点化を進めていこうとするところであります。 次の問題といたしまして、
減税
についての御指摘でございます。 民需主導の持続的な
成長
のためには、その一環といたしまして、あるべき
税制
の構築に向けて、現在、
税制
全般にわたる諸課題について
検討
を進めているところであります。 また、
消費
活性化
のための
減税
につきましては、
平成
十一年度における六兆円を相当程度上回る恒久的な
減税
の継続等、近年、累次にわたりますところの
減税
が行われてきておりまして、この結果、
我が国
の租
税負担
率は
G7
諸国の中で最低の水準となっていること等を
考え
れば、今後とも、慎重に取り扱うべき問題ではないかと思っております。
税制
全般についての
お尋ね
がございました。 二十一世紀においては、
税制
は個人や
企業
の
経済
活動における自由な選択を妨げない中立的な
税制
が
基本
であり、ひいては、これが
産業
の活力を高めることにつながるものであると
考え
ております。また、
経済
活性化
のためには、先導的
産業
の育成が必要でございまして、これに対しましてはさまざまな政策手段を集中していくべきものであり、また
税制
も、この点に重点を志向すべきものであると思っております。
連結付加税
についての
お尋ね
がございました。 まず、その
導入理由
は何かということでございますが、
連結納税制度
の
導入
に伴いまして生じる税の減収については、厳しい
財政状況
を踏まえまして、
法人税
の枠組みの中で補てんすることとし、
退職給与引当金
の
廃止等
を行うこととするほか、
連結納税制度
を選択する
企業
にも相応の
負担
を求めるという
観点
から、
連結付加税等
の
措置
を講ずることといたしたのであります。 このように、
連結付加税
は
連結納税制度
と
一体
のものとして
措置
されるものであります。
連結納税制度
は、
我が国
経済
の
構造改革
に資するものであり、ひいては、
我が国
の
経済
産業
の活性につながるものと
考え
ております。 また、経団連の方との
意見
の交換の際には、
連結納税制度
について、
連結納税
法案
の今国会中の
成立
が重要であり、
付加税
については、
制度
の
実施状況
を踏まえて、その
あり方
をどうするか
考え
たい旨を申したのでございまして、
付加税
について、それ以上のことを申しておるものではございません。
連結付加税
は、厳しい
財政状況
を踏まえまして、二年間の
措置
としておるものでありまして、二年後におきまして、
制度
の
実施状況
やその当時の
財政状況等
を踏まえまして、その
あり方
を見直すことといたしておりまして、したがって、
法案成立
前の
見直し
は
考え
ておりません。 さらに、
連結納税制度
の
導入
に当たり
課税ベース
の
見直し
を行った
理由
は何かということでございます。 現下の厳しい
財政状況
においては、
連結納税制度
の
導入
により生じる
税収減
に対しまして
財政
措置
を講ずることが必要であり、
連結付加税等
の
措置
に加えまして、
法人税
の枠組みの中での増収
措置
といたしまして、
退職給与引当金
の
廃止等
の
課税ベース
の
見直し
を行うこととしたものであります。この
見直し
は、
法人税率
の引き下げのみを
実施
した
平成
十一年度
改正
以後、残されていた課題に対応するものであります。 なお、二十一世紀のあるべき
税制
の姿についてどういう
考え
かということでございますが、これは、目下、
政府
におきますところの
税制
調査
会あるいはまた
政府
の
経済財政諮問会議
等におきまして、六月中に結論を出すべく、鋭意勉強し、努力しておるところでございまして、もうしばらくの間、お待ちいただきたいと存じます。(
拍手
) 〔
国務大臣
森山眞弓君
登壇
〕
森山眞弓
10
○
国務大臣
(森山眞弓君) 西村議員にお答え申し上げます。
北朝鮮
に滞在する
日本人全員
に自由が与えられるまで、在日朝鮮人の再入国を禁止すべきではないかとの
お尋ね
がございました。 特別永住者である在日朝鮮人に対する再入国許可につきましては、その歴史的経緯及び
我が国
における定住性等にかんがみ、いわゆる入管特例法により、それらの者の
我が国
における生活の安定に資するよう配慮した上で行うこととされておりますので、一律に再入国許可を認めないということは困難であると
考え
ます。(
拍手
)
綿貫民輔
11
○
議長
(
綿貫民輔
君)
財務大臣
から答弁を補足したいとのことであります。これを許します。
財務大臣塩川正十郎
君。 〔
国務大臣塩川正十郎
君
登壇
〕
塩川正十郎
12
○
国務大臣
(
塩川正十郎
君) 大変失礼いたしました。 冒頭に、今回の瀋陽
日本領事館事件
を契機に、
ODA
四
原則
にのっとり、対
中ODA
を見直すべきであると
考え
るが、
財務大臣
の
見解
はいかがかというお
問い合わせ
が実はございました。
ODA
の
実施
に当たりましては、
ODA
大綱の四
原則
において、
基本
的
人権
及び自由の保障状況等に十分注意を払うよう、うたわれております。 今回の瀋陽
日本
総
領事館
事件
につきましては、国際法上及び人道上の
観点
から、毅然として対処しつつ、早期解決に向けて全力を尽くす
方針
と認識しております。今後の対
中ODA
の
実施
につきましても、このたびの
事件
の推移や
ODA
大綱を踏まえつつ、二国間
関係
等も総合的に勘案しながら
検討
していくものと
考え
ております。 以上であります。(
拍手
)
綿貫民輔
13
○
議長
(
綿貫民輔
君) これにて
質疑
は終了いたしました。
————◇—————
綿貫民輔
14
○
議長
(
綿貫民輔
君) 本日は、これにて散会いたします。 午後一時四十七分散会
————◇—————
出席
国務大臣
法務大臣
森山 眞弓君
財務大臣
塩川正十郎
君 出席副
大臣
財務副
大臣
尾辻 秀久君