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国務大臣(
大木浩君) 藤木議員から十一問の御質問をいただきましたので、順次お答え申し上げます。
まず第一に、
京都議定書というのは
温室効果ガス削減ということで二十一世紀の生命と
地球の未来がかかっておるのだ、待ったなしの緊急の
課題であるが、
環境大臣としての基本認識を問う、こういう御質問でございました。
おっしゃるとおりに、
人類の存続にかかわる重要な
環境問題だと認識しております。特に、
我が国は
議長国として京都
会議を行いましたので、そういった立場からも、ぜひとも、
環境省としても、これから、
我が国の六%
削減約束の達成、そして
京都議定書の早期発効のために、全力で取り組んでまいりたいと思っております。
次に、最近、ブッシュ大統領が参りましたときに、それに先立って米国の提案というものが公表されまして、評価したのはおかしいじゃないかというお話でございます。
ブッシュ訪日に先立ってああいう提案を出したことについては、一応、出したことについては私どもも評価すると申し上げましたけれども、その
内容について百点であると言っているわけでは決してございませんので、その後も、いろいろと、米国としてなぜそういうことを言っておるのか、それから、何ができるのか、これからどういうことを一緒に
検討できるのかというようなことは随時強く申し入れておるところでございます。
特に、
京都議定書の中と必ずしも厳密に言わなくても、内外と言った方がいいかもしれませんが、いろいろと、
温暖化ガスの発生
防止については、協力できるものはあるわけです。そういった分野については、今後も日米間で具体的に協議してまいりたいと思っておりますし、いずれ
京都議定書に早く入るようにということについては、引き続き申し続けてまいりたいと思っております。
それから、温暖化が非常に危機的な
状況だということについて大臣としてどう認識しておるかという御質問でございます。
御存じのとおりに、
国連の
調査機関でございますIPCC等でもいろいろな
数字やら見通しが出ておりまして、
地球温暖化によって、高山植物などが非常に生態系が崩れる、あるいは氷河などが大分もう解けかけておる、あるいは
世界じゅうの海が、海水面が上がるとか、いろいろと、これはすぐ来年とは言わなくても、これから五年、十年、二十年とあれば当然にそういった
状況が進んでくるということは予測、これは決して単なる予測ではなくて、科学的にいろいろと
資料を含めての予測でございますから、十分にそういった緊急性は意識に入れながら、今後の
政策を進めてまいりたいと思っております。
それから、国内
対策として、
事業所ごとの
温室効果ガス排出量の
報告と第三者機関の検証など、
実効性のある制度を盛り込むべきではないかということでございました。
私どもとしては、とりあえずは、まず第一ステップとしては、
排出量の公表などを責任を持ってするようにということで、
事業者の自主的な取り組みをやってもらう、その上でまた一つ、その結果を見て必要なことを考えたいというふうに思っております。
それから、新
大綱では、
経済界のいろいろな取り組みというのが主として自主的ということで、規制的な
措置や具体的な
経済的な手法などが十分に盛り込まれていない、先送りだ、こういう御批判であります。
現段階では、やはり私は、自主的にやってもらうということに十分な
意味があると思っております。経団連の自主行動
計画等による取り組みは、これまでも実際に省エネ等では
日本としては十分な実績を上げてきておるわけでございますから、まず第一ステップとしては、その取り組み
内容を、できるだけ透明性、信頼性、そして
実効性というようなものを
確保しながら取り組んでもらうように、私どもとしても引き続き申し続けたいと思っております。
また、具体的には、この新
大綱におきましても、ある
程度、定量的な裏づけというものを示した百種類を超える
対策、
施策のパッケージというものを示しておるところでございますので、これを中心としてとりあえずは実行してまいりたいというふうに思っております。
それから、今度の新
大綱に基づくいろいろな
措置というものも、一遍決めたからずっとそのままということではございませんで、二年目あるいは五年目には見直して、また必要なことは強化してまいりたいと思っております。
次に、国内
対策としての、産業分野などからの
エネルギー起源のCO2やフロン類の大幅な
削減を盛り込む
目標計画をつくるべきではないかというようなことでございます。
今も申し上げましたように、百種類を超えるいろいろなパッケージをつくりまして、その中で、
エネルギー起源のものも含めて、CO2やフロン類の大幅な
排出削減を図るということは盛り込んでおりますので、とりあえずは、今、そういったCO2やフロン類あるいは今の
エネルギー起源というところに着目したいろいろな
措置というものも含まれておるというふうに御理解いただきたいと思います。
次に、新
大綱における部門別の
排出削減目標量は、これは全く拘束力のない目安だというふうに設定してあるという御批判でございます。
新
大綱におきましては、部門別の
排出削減目標量を、確かに目安といいますか、それぞれについて目安というような
説明もありますけれども、産業、民生、運輸の各部門につきまして、
排出削減の
目標は、言うなれば目安という言い方もできると思いますが、これらの各部門を合わせて、
エネルギー起源を中心としての御質問が先ほどからありますが、
エネルギー起源の二酸化炭素全体としては、一九九〇年度と同水準に抑制するという明確な、これは単なる目安ではなくて、
政府としての
目標でございます。
目標でございますが、またその内訳については、現実にいろいろと
計算の仕方もありますし、今後の実際の実績というものもありますから、一応それを
目標として設定し、今後はそれに向けて着実に進んでいきたい、それから、先ほどから申し上げておりますように、二年後あるいは五年後には全体の
内容も見直したいというふうに考えております。
次に、
原発の
安全性が確立されていない中で、
温暖化対策の中核に
原発を位置づけるのはどうか、こういうお話でございます。
原子力発電所というのは、クリーンな
エネルギーということからいえば、CO2などは
排出しない、そういう
意味ではクリーンでありますけれども、やはり
原子力発電あるいは原子力というものに対する
安全性について、
国民の理解が十分に得られていないということについてはそのとおりでありますから、今後もしっかりとそういったことについて御
説明を申し上げまして、今後とも、私どもとしては、
地球温暖化対策の
観点からも、
原発は重要な電源であるという認識のもとで
施策を進めてまいりたいと思っております。
次に、
京都議定書の履行との関連で、
排出者責任を明確にした
環境対策税の創設が必要ではないかというような御質問がございました。
先ほども申し上げましたけれども、税制についてはいろいろな側面からの
検討をしなきゃならぬわけでありますから、今直ちに
京都議定書のために
環境税を創設するということは私どもとしては提案しておりませんけれども、いろいろな
意味での
温暖化対策の、要するに、物を抑える方と、それからインセンティブとして
環境対策のために使う金と、両方あるわけですから、これを両方ともこれからの
状況の中で
検討してまいりたいということは考えております。
それから、
環境税につきましては、広い
意味では、OECD等からもそういった問題を勉強しろということは言われておりますし、今申し上げましたように、私どもといたしましても、いろいろな
経済的な手法というものは組み合わせて
温暖化対策を進めたいと思っておりますので、今後も、十分真剣に
検討、勉強は進めてまいりたいと思っております。
それから、
森林吸収についてのいろいろ
数字が出ておるけれども、これは非常に不確かなものだ、むしろ、省エネだとか代替フロンの
削減など、別の国内
対策に力を入れたらどうか、こういうようなことでございます。
決して、
森林吸収というのは全くできないことを書いているわけじゃないので、十分にいろいろと根拠があって、一応ある
程度の
資料も持った上で、
日本政府としては三・九%という
数字を今六%の中で実行しようということで
目標にしておるわけでございまして、これは今後も、今お話のございました、ほかの省エネ、代替フロンの
削減とか、そういったものともあわせて一緒に前進してまいりたいと考えておるところでございます。
最後に、
京都メカニズムの活用による財政支出を減らすため、その分を民生部門の
削減に振り向けることなどは
国民の理解が到底得られない云々というお話がございました。
私、ちょっと御質問の
趣旨が必ずしもよくわからないのですけれども、別に、
京都メカニズムを初めから固定したものとして考えていたわけではございませんで、新
大綱の策定の過程で、
京都メカニズムの活用を減らして、その分を民生部門の
削減に振り向けたのでは決してございません。
そういう
意味での
経過というのはありませんので、それは、
京都メカニズムにしろ民生にしろ、それぞれ
内容を考えた上で一応の
目標数値を出しておりますので、そのように御理解いただきたいと思います。
以上でございます。(
拍手)
〔
国務大臣川口順子君
登壇〕