○岩國哲人君 私は、
民主党・
無所属クラブを代表して、ただいま
議題となりました二〇〇二年度
政府予算三案に
反対し、
民主党・
無所属クラブ、
自由党、
日本共産党及び
社会民主党・
市民連合提案の
予算の
組み替えを求める
動議に
賛成する
立場で
討論を行います。(
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まず、
討論に先立ち、
予算委員長の強引な
委員会運営について抗議を申し上げます。
一月二十八日深夜、
津島予算委員長は、
野党をまるでだまし討ちするかのように、二〇〇一年度第二次
補正予算の
採決を
強行しました。そして、本
予算案の
審議入り後も、
鈴木宗男議員による
予算の
私物化という
一連の
疑惑が噴出しているにもかかわらず、そのための
証人喚問を待つこともなく、さらには、
政府が約束したさまざまな
調査の結果が出るのを待つこともなく、強引に
審議を打ち切りました。
わずか一カ月余りの間にこのような
暴挙を繰り返すことは、民主主義の精神を踏みにじるものであり、断じて許されるものではありません。
津島委員長には猛省を促すものであります。(
拍手)
さて、自民党を変えると叫び、
国民の高い支持を得た小泉さんが総理に
就任、間もなく一年がたとうとしています。
昨年の今ごろ、中小企業を食い物にしたKSD事件に絡み、自民党の村上正邦・小山孝雄前参議院
議員が逮捕され、額賀福志郎
議員も
疑惑を取りざたされました。一昨年の今ごろは、時の総理が株取引をめぐる
疑惑を取りざたされ、金融
行政のトップでありながら銀行業界に手心
発言をし、今日に至る金融
行政不信を招いた越智通雄前
議員が、金融再生
委員長の座を追われました。まるで年中行事のように、自民党
議員をめぐる
政官業癒着の
疑惑が出てきております。そして、ことしが、
鈴木宗男議員にまつわる数々の
疑惑であります。
鈴木宗男議員に関する
疑惑が真実であるとすれば、いかに、
我が国の
政治と
行政が
私物化され、ゆがめられてきたかがわかります。
権力を振りかざして
国民や官僚を恫喝する、自分を応援しない者からは仕事を奪う、
公共事業や
ODAの口ききで
税金をピンはねする、役所の人事にも口出し放題、こうした
疑惑が真実であるかどうかを
国民の前に明らかにし、どの政策がゆがめられたのか、どの
予算が不正に
執行されたのかを検証しなければ、たとえどんなにすばらしい
予算を組んだところで、まるで穴のあいたタイヤに空気を入れるように、穴のあいたバケツに水を注ぐように、大切な
税金がどこかに消えていってしまうではありませんか。(
拍手)
私は、
国会に入って六年間、ずっと
予算委員会の席から
予算審議に参加し、
日本の
政治を眺めてまいりました。その中で、ばらまきと言われ、消えている
税金の行く先がようやくわかってきました。中尾元建設大臣逮捕、中村喜四郎元建設大臣有罪判決、そして
鈴木宗男議員の数々の
疑惑、要するに、ばらまきが
政治家の腹巻きに入っておったんです。(
拍手)
腹巻きのない人はどうするか。鉢巻きをして、きょうも働いています。今の
日本の
政治は、腹巻きにばらまきを運ぶのか、鉢巻きをする人の汗とお金を大切にする
政治に変えていくのか、それがもっともっと
審議される必要があるのではありませんか。(
拍手)
多くの
国民が小泉さんに高い支持率を寄せたのは、小泉さんなら腹巻きから鉢巻きの方へ大きな
政治の転換をしてくれる、それが
国民の
期待であったはずです。この
予算委員会の
審議で明らかになったことは、この
政治がいまだに続いている、そして、自民党によって変えられようとしないということです。
官僚を見ても、
外務省では
税金が馬やマンションに化けている。
政治家は
税金を献金にかえている。政官
癒着のもとで、このような錬金術がいまだに行われています。こうした現状を批判し、反省もしないままに、ばらまきが腹巻きに入るような
予算は通すべきではありません。少なくとも、削除するか凍結すべきではありませんか。
政官業癒着の利益誘導型
政治がまかり通っている間にも、
国民生活は厳しさを増しています。とりわけ、深刻な雇用情勢と金融危機の再燃が目下の最大の焦点です。
世界の二大
経済国と言われるアメリカと
我が国を比較すれば、その違いが一番よくわかるでしょう。アメリカは、テロ事件以後、一時停車した後、また順調な
回復に入っています。
我が国の
経済は、昨年の一月にダボスの国際
会議で、負の遺産を克服し本格的な
回復の軌道に入ったと言ってから一年、本格的な
回復どころか、ますます悪化しているではありませんか。
景気予測や成長率の予測も外れることがしばしば。この四十年間に当たったと言えるのは、わずか六回。
政府の成長率予測が当たるのは、十年に一回か二回、その程度の話です。
政策は曲がりっ放し、予測は外れっ放し、
景気は下がりっ放し、雇用は減りっ放し、倒産はふえっ放し、
国民の借金はふえっ放し、
責任は投げっ放し、こういう
政治が我々の前に広がっているのです。(
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先日、
政府は、いわゆる総合デフレ対策を決定しました。しかし、
政府・
与党内からさえ酷評する声が上がったこの対策は、既に打ち出されている政策の寄せ集めであって、インパクトのある政策は全くありません。この
内閣には、デフレスパイラルという現実に対する危機感も、それを阻止しようという意欲も欠如していると指摘せざるを得ません。
以下、本
予算案に
反対する
理由を具体的に申し上げます。
理由は四つ。
第一に、本
予算案は、国債発行額を三十兆円以下に抑制するという公約を守ったように見せかけるため、隠れ借金を駆使した粉飾
予算であるということです。
財政には、何よりも透明性が、すなわち明朗会計であることが求められます。それを、ただ単に自己保身を図ろうとする余り、当初の公約へのこだわりが過ぎて不明朗会計にねじ曲げてしまうことは、断じて許されるものではありません。こうした
姿勢が
我が国財政に対する内外の
不信を招いているのです。
第二に、五兆円を削減しつつ重点分野に二兆円を再配分する、このような方針のもとに、公共投資を一割削減したと言いながら、既に、今年度第二次
補正予算で前倒しにその埋め合わせをしていることです。朝三暮四とは、まさにこのことです。しかも、その財源は、本来なら国債償還に充てるべきNTT株式売払収入を流用しているものであり、単なる借金の先送りです。
第三に、
改革断行予算というふれ込みの本
予算案が、相も変わらず、硬直化した省庁別シェアや
公共事業シェアに象徴されるように、
構造改革に値しないものであることです。むだな
公共事業の代表と言われている川辺川ダムや諫早湾干拓事業にも、相変わらず
予算がつけられているではありませんか。
第四に、雇用・社会保障
関係の
予算が依然として質量ともに不十分であり、
国民の将来不安を解消するにはほど遠いものであることです。とりわけ、医療
関係予算に関しては、
小泉総理の独善によって最重要
課題である医療制度の抜本改革が先送りされ、
国民に大きな負担が強いられるものとなりました。ここにも、自民党と医師会の
政官業癒着の影がちらついています。
以上申し述べたとおり、本
予算案にはさまざまな問題があり、
景気浮揚にも
構造改革にもつながるものとは考えられません。これに対し、
野党四会派
提出の
予算の編成替えを求める
動議は、むだな
公共事業などを削減する一方で、
国民の将来不安を取り除く、雇用や社会保障、教育、環境、災害対策、教育という将来の人的資源への先行投資、あるいは地球環境への先行投資を充実させ、国の資源配分を大きく変えることを
主張しております。
我が国財政は危機的な状態に陥っており、将来、
財政健全化を達成するためには、今から
財政構造改革に着手し、
財政を効率化していくことが必要不可欠であります。
以上申し述べ、私の
討論を終わります。(
拍手)