○春名直章君 私は、
日本共産党を代表して、
地方財政計画外二法に関連して
質問をいたします。(
拍手)
小泉内閣は、失業、倒産の激増、
社会保障の切り下げなど、
国民に塗炭の苦しみを押しつけています。その弱肉強食の路線は、
地方自治体とそこに住む
住民にも耐えがたい痛みとなって、今、あらわれています。二〇〇二年度の
地方財政計画が対前年度初めてマイナスと、一層の歳出削減がかかる中、今、
住民の福祉の増進を図ることを
基本とする
地方自治体の果たすべき
役割が正面から問われていると思います。
以下、その立場から、私は
質問をいたします。
第一は、
地方財政計画についてであります。
国と
地方が膨大な
借金を抱えてきた最大の理由は、毎年五十兆円という
規模まで膨れ上がった公共事業の浪費にあることは明白であります。とりわけ
地方自治体は、そのうち約三十兆円を担わされてまいりました。
来年度、
地方単独事業を一〇%カットしたといいます。しかし、計画額は十五兆七千五百億円、計画額を消化できない事態が七年連続し、その未消化部分が毎年膨らんでいるのが実態であります。カットしたといっても体力に合わせただけ、引き続き、実態以上の計画額を押しつけているのです。
政府は、
地方単独事業の計画と現実とのこの乖離の原因をどう認識されているのか、まずお伺いいたします。
九〇年代、不況
対策としての
地方単独事業は、その消化のために、中には一〇〇%の
地方債発行すら認め、
元利償還の多くを
地方交付税で面倒を見るという、けた外れの誘導装置で
推進をしてまいりました。その反省は、一体、どこにあるのでしょうか。今また、合併促進などで交付税を誘導策に使うという、同じ誤りを繰り返そうとしています。
総務大臣の明確な
答弁を求めたいと思います。(
拍手)
来年度
予算案では、自然増だけでも約百二十億円必要とされる児童扶養手当が、前年度比で二億円の
減額となりました。この結果、受給者七十七万人のうち、三十三万人が手当を削減されることになります。
母子家庭などの生活と命の糧であるこの手当削減に対し、少子化
対策として児童手当の拡大が図られている一方で母子家庭への手当がなぜ削減されるのか、一番声が届きにくいところ、声を出しても
社会的影響力が少ない、そういう層のねらい撃ちではないか、こういう批判が上がっています。
政府はこの声に一体どうこたえるのか。削減を中止すべきではありませんか。厚生労働
大臣の
答弁を求めます。(
拍手)
また、リストラや倒産などでやむなく失業され、国保に加入する
国民がふえて、国保
財政が悪化しています。ところが、来年度、国の
一般会計から繰り入れる予定になっていた三百六十億円を先送りするというではありませんか。これで、国保
財政悪化に歯どめをかけることが一体できるのでしょうか。
また、介護保険施行後、滞納せざるを得なかった
住民に対し、保険証の取り上げ、短期証、資格証明書の
発行を義務化したことは、本当にむごい仕打ちです。この
財源先送りが、短期証や資格証明書
発行を一層促進することに結局なるのじゃないでしょうか。
答弁を求めたいと思います。
第二は、
地方税法、
地方交付税法
改正案についてであります。
個人住民税の土地譲渡益課税について、現行三段階の課税ランクのうち、最も高額の八千万円超の部分にかかる九%だけを廃止するとしています。なぜ、最高税率だけを廃止するのでしょうか。またしても高額所得者優遇になるのではないか。
総務大臣の
答弁を求めます。
地方交付税法で重大な問題は、十兆円という巨額の
財源不足の一部を補てんする
赤字地方債の
発行の問題であります。
不足額を
赤字地方債で賄うことは、国の
財源保障という責務を放棄し、
地方に
負担を転嫁するものとして、かつて、
政府自身が禁じていたものです。
政府は、
償還財源を後年度交付税で全額
措置するのだから法違反にならない、こう強弁しています。
しかし、そんなことを言えば、
財源不足に対し国の
責任で交付税率引き上げなどを実施するとしている
地方交付税法の
趣旨そのものが無意味になってしまいます。結局、これは、国の
責任を
赤字地方債という
方法で
地方団体に肩がわりさせるものにほかならないと
考えますが、
総務大臣、いかがでしょうか。(
拍手)
今、
政府がやるべきことは何か、三点申し上げたいと思います。
その第一は、
財源調整機能と
財源保障機能としての
地方交付税制度を、その
趣旨にふさわしく堅持し、
充実させることであります。一律削減など、断じて許されるものではありません。
第二に、
財政を通じて国の施策に
地方を動員、むだ遣いを温存する
仕組みをきっぱり断ち切ることであります。
第三に、
地方分権の最大のかぎは
権限と
財源の移譲であります。
地方への
財源移譲を速やかに実施することが極めて重要であります。それもせず、
地方交付税や補助
負担金を一方的に削減することは、まさに
地方切り捨てと言わなければなりません。
次に、現下の
地方自治、
地方行
財政をめぐる焦点となっている
市町村合併の問題について伺います。
福島県矢祭町議会は、昨年十月、合併しない宣言を全会一致で決議いたしました。根本町長は、矢祭町は歴史と
地域の実情からどこの町とも合併しない、合併を
前提にした町づくり、村おこしなどあろうはずがありませんと述べています。町のホームページには一日最大数千件のアクセスがあり、今もなお視察が続いているとのことであります。
総務大臣、どうしてこれほどの
全国的反響があると思いますか。率直に感想をお聞きしたいと思います。
私は、ここに
地方自治の魂を見るのであります。今、国のなすべきことは、
市町村合併に血道を上げるのではなくて、厳しい
財政事情の中でも
住民の暮らしを守るために
努力している
自治体を物心両面で応援することではないでしょうか。
しかるに、
政府は、一千を
目標に合併するとの与党
方針を閣議決定で確認し、二〇〇五年三月末までに
市町村合併を
推進するとしています。期限を切って、上から
目標数値まで持って
推進するやり方が、どうして
地方分権の
時代に許されるのでしょうか。これこそ、乱暴な
地方自治の破壊ではありませんか。
答弁を求めたいと思います。
こうした合併を、あめとむちの政策で強行しようとしていることも重大です。
最大のあめと言われるものが、
財政の
特例的な
措置の数々です。
合併
特例債は、合併
市町村に、箱物建設などに限り、
地方債発行を九五%まで認め、後に
元利償還の七割を交付税で
措置するものであります。これは、合併
推進という国の政策に
地方の共有財産である
地方交付税を利用する政策誘導そのものであって、
地方交付税の
趣旨を逸脱していると
考えますが、
総務大臣、いかがですか。
また、一千にするということは、ほとんどすべての
市町村が合併
特例債を活用するということを意味します。もし、その上限いっぱいを使ったとき、本当に
地方交付税で全額手当てできるのでしょうか。根拠をはっきり示していただきたいと思います。
合併算定がえは、向こう十年間、
地方交付税を、合併前
市町村に
配分されていた合算額を支出するというものであります。しかし、激変緩和
措置が終わる十六年目からは一体どうなるのですか。合併前の
市町村に
配分されていた交付税
総額の七割、六割へと、大きく削減されることになるのではありませんか。そうならない根拠はどこにあるのか、明確な
答弁を求めたいと思います。
最大のむちは、
地方交付税の段階補正の
見直しであります。
人口が少ない
市町村の交付税の割り増しを行ってきたこの
制度を、今、
見直しをしなければならない合理的根拠が一体どこにあるのですか。
総務大臣は、ちょっと
地方に優遇過ぎるのではないかという声がある、とにかく今ぬくぬくとしているからいささかも変えたくないというのは困ると、人口の少ない
自治体を敵視するかのような
発言をされています。
しかし、
日本世論調査会が昨年九月末に行った世論調査でも、国土の均衡ある発展のためには
地方に多く
配分するのは当然であるとの意見があるが、どう思うかという問いに対し、約七割の
国民が、
地方へ厚くしている交付税を削減すべきではないと、明確に答えています。
国民の声を無視するのですか。
答弁を求めたいと思います。(
拍手)
少なくない首長や
自治体から、これは合併に向けた兵糧攻めだ、こういう反発と批判の声が上がっています。
政府は、あくまで自主的合併と言われています。そうであるならば、直ちに段階補正
見直しを中止すべきであります。
答弁を求めたいと思います。
平成の大合併には、
行政効率という角度だけで、団体自治、
住民自治という
地方自治の本旨の実現に資するという角度がありません。
もし、一千の
自治体に再編するとなれば、どんな事態が待ち受けているか。一例を挙げますと、政令市、東京二十三区を除いて、現行五万七千人の
地方議員数が、法定上限いっぱいで計算しても、三万六千人、約六割へと激減することになります。
政府は、これからは自己決定・
自己責任の
時代と言います。しかし、
住民自身が選ぶ首長も議員も存在しない、そういう
地域を広範につくり出しておいて、どうして自己決定・
自己責任が強化されるのでしょうか。逆行するのじゃないでしょうか。明確な
答弁をしていただきたいと思います。
なぜ、上から合併を押しつけるか。それは、
市町村合併を、国から
地方への
財政支出を削減する
自治体リストラの究極の
手段、こう位置づけているからではないでしょうか。明確に
答弁していただきたいと思います。
最後に、
日本共産党は、強制的な
市町村合併を許さず、
地方自治、
住民の暮らしを守るため、
全国の
自治体、そして首長、
住民の皆さんとともに全力を尽くすことを申し上げまして、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣片山虎之助君
登壇〕