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国務大臣(
塩川正十郎君) 私に対する
お尋ねは、全部で十二件あったと思っております。ぎょうさんあるものだから、ひょっとしたら抜けておるかもわかりませんが、十分に拾い出して答弁申し上げるつもりでございますが、もし抜けておったら御
指摘いただければ結構かと思っております。
まず、第一の問題でございますけれども、デフレ回避のために、包括的なパッケージの
政策を打ち出すべきではないかということでございます。
このことにつきましては、竹中
経済財政担当大臣が詳しく
説明してくれるであろうと思っておりますけれども、私
たちは、今後の二年間を集中調整期間として、
重点的に
政策を集中して対策を講じることにいたしました。
その中心となるのはデフレの克服であることは当然でございますが、そのために、先般、
総理から、
不良債権の処理を急ぐこと、そして、
金融システムの安定化を確実にしてペイオフに備えること、
資本市場の活性化のために尽くすこと、こういうものを列挙されまして御指示がございまして、これを私
たちは
重点項目の一つとして積極的に推進してまいりますし、同時に、
日本銀行に対しまして、
政府と日銀との間の緊密な連絡のもとに、思い切った
金融政策、すなわち、流動性資金の潤沢な供給ということを果たしていきたいと思っておるのでございます。
二番目の問題でございますが、
金融機関に対する
公的資金の投入につきましての御
質問でございます。
これは柳澤
金融担当大臣から御
説明があろうと思っておりますが、私は、財務大臣といたしまして、現
時点においては、公的
資本の増強ということは、今、当面必要ではない。自己
資本比率等は十分にとっておると思っておりますけれども、しかし、万一、我が国の
信用秩序が、いろいろな条件等が重なりまして、これが極めて重大な支障が生じるおそれがある場合等におきましては、公的
資本の増強等の
措置が講じられてしかるべきではないかと考えております。
なお、財務省といたしましては、
金融庁と密接な連絡をとりながら、絶えずこの問題について重大な関心を持って進めていきたいと思っております。
三番目の問題でございますけれども、
予算編成においては、ゼロベースから、めり張りある組み立てをすべきであるという御
質問でございます。
このことにつきましては、再三再四にわたりまして、この議場から先生方にお伝えしておるのでございますけれども、
小泉内閣は、すべての「聖域なき
構造改革」、特にその中で
財政構造の
改革につきましては、特段の配慮を払って、
重点政策にとっておるのでございまして、そのために、めり張りをつけるということから、まず、
予算のうち五兆円相当分の項目を十分に見直して、廃止するものを廃止し、合理化するものを合理化する、そして二兆円を新しい分野に
重点的に配分するという、いわゆる五兆・二兆の精神をもってこれを進めてまいりまして、
予算配分を大胆に、
重点にシフトしてきたものと思っております。
その一つの例といたしまして、増額したものにつきましては、ITなり教育施設の充実、雇用対策あるいは高齢化対策等がございますし、減額いたしました方につきましては、公共事業の削減、ODAの一部カット、あるいはまた特殊法人に対する
財政支出の削減等をいたしてまいったものでございまして、今後とも、めり張りの
重点化に一層の努力をしてまいりたいと思っております。
四番目の
質問でございますが、
国債発行三十兆円の枠の理念について、これを
説明せいということでございます。
これも何遍も御
説明いたしたと思うておりますが、なお私
たちの
趣旨が徹底していなかったことと思っております。
要するに、私
たちが言いたいことは、今までの、痛みどめのカンフル的ないわば
国債発行の
状況を、これを慎重に今後是正しながら、しかも、必要な
歳出予算は収入を確保するという意味において、最大限
発行する
国債発行限度額を三十兆円ということに決めまして、
歳出のむだを省き、そして、来るべき
経済の方向に対しましては、
重点的に新しい事業への投資を進めるという考えで進んだものでございまして、これを
改革断行予算と位置づけておるものでございまして、御理解をいただきたいと思っております。
次に、外国
為替特別会計からの
繰り入れの
特例や、JRAの、つまり中央競馬会でございますが、
国庫納付の
特例の
創設等は
負担の
先送り、先食いをしておるじゃないかという御
指摘でございます。
外国
為替特別会計からの
繰り入れの
特別措置は、同特別会計において
平成十四年度も引き続き
剰余金の発生が見込まれること等を踏まえまして、臨時緊急の
措置として、先にちょっとお借りしたということでございます。
また、JRAの
国庫納付の
特例措置は、JRAの
平成十三
事業年度の
剰余金が当初見込みを上回ると見込まれたことを踏まえまして、
平成十四
事業年度において特別
国庫納付金として納付していただくことをお願いしたものでございまして、将来への
負担の
先送りには当たらないと思っております。
次の問題といたしまして、
国債発行三十兆円枠が目的化しておる、それによって、かえって
財政規律がゆがめられているのではないかという御
質問でございました。
これは、先ほども申し上げましたとおり、具体的に申し上げれば、三十兆円の目標のもとで歳入
歳出の両面における各般の努力や工夫で
財政規律を確保したことにより、公共投資の見直しとか医療
制度改革あるいは
特殊法人等改革などを通じまして、合理性を追求していったということでございます。
第七番目の問題といたしまして、
交付税特別会計から引き継いだ
財政融資資金の債務について、六十年償還
ルールに置きかえることは返済の
先送りと考えるがいかがか、こういう御
質問でございます。
今回の
措置は、
一般会計における
債務償還負担を平準化するとの
観点から、
交付税及び譲与税配付金特別会計からの
承継債務の
減債ルールを、
普通国債あるいは他の
承継債務の
減債ルールに統一するものであって、単なる返済の
先送りじゃございませんで、
ルールを変えていったということでございますので、御理解をいただきたいと思っております。
それから、第八番目の問題でございますが、税制の抜本的
改革における
改革の方向性を明示せよという御
質問でございます。
私
たちは、十五年度税制改正に際しまして、これから
議論を始めるわけでございますが、その考え方といたしまして、二十一世紀の税制のあるべき姿というものをまず探求しようということでございます。
改正のために一つの理念を明確にしよう。それは、一つは、
財政秩序を保つための歳入
歳出のバランスを考えた税制ということにするのか、もちろんそれは当然重要な案件でございますが、または、いわば減税先行型で
経済活性化のための
改革に取り組むのか、あるいは三番目の問題として、税の公平論に基づきまして、公平、不公平の是正に
重点を置くのか等、いろいろな税制の考え方がございます。
これらについて、まず理念を明確にしていただき、そして四月、五月ごろにわたりましては、これを本格的な、
現実の
経済社会あるいは
国民生活に即した、税制改正の骨格を固め、六月に、その法制
改革をあわせた姿を
国会に提示いたしたいと思っております。
それから、第九番目の問題でございますが、
日本経済の
状況を踏まえて、
経済活動の担い手である個人や企業の活動を支え、活力を引き出すような税制を考えるべきではないかということでございます。
これは、先ほど申しました税制改正の根本的な理念の中の一つといたしまして、税の公平
負担ということは当然でございますので、この問題を中心にいたしまして考えますのと同時に、
経済の活性化にも役立つような方向で改正をいたしたいと思っております。
なお、お問い合わせの中で、所得税について、税制の簡素化、各種の人的控除の廃止、源泉徴収
制度の
廃止等によって、
国民が自分で税金を納める
制度を確立させたらどうだろうということでございます。
この事務
負担は大変なものでございまして、例えて申しますと、給与についての源泉徴収・年末調整
制度について、これを廃止し、サラリーマン自身が納税手続をするということになったら、大変な事務
負担と、また、その手続上におきますところのそごが非常に出てまいりますので、その執行体制としては非常に欠陥が多い問題が出てくる。
したがいまして、当分の間、源泉徴収という
制度をある程度確保していかなきゃならぬということでございますけれども、望ましいことは自主的に申告する
制度であることは当然でございますので、その方向についての時期と方法等について、なお一層の
検討はする必要があるのではないかと思っております。
それから、十一問目の御
質問でございますが、公需から民需への円滑なバトンタッチを目指すため、法人税率のさらなる引き下げを行ってはどうだろうということでございます。
現下の厳しい情勢下にございますことと、それから、租税
特別措置等いろいろな税制上の
措置とあわせて考えてみたいと思っておりまして、法人税のさらなる引き下げにつきましては慎重な
検討をいたしたいと思っております。
それから、租税
特別措置の廃止や各種償却
制度の見直し、土地譲渡益課税の廃止、道路特定
財源の一般
財源化等、従来の発想を転換し、
経済活性化に資する税制
改革を行うべきとの考えであるが、どう思っているのかということでございます。
これは、先ほど申しましたように、税制全般にわたる総合的な取り組みの中で進めていきたいと思っております。
それから、
最後に
お尋ねがございましたのは、オタワにおきますG7で、私が二〇〇三年度における
経済成長率を一%を目途に頑張っていきたいと言ったことを、これは国際公約ではないかという御
質問でございます。
国際公約とかいう、そういう
議論の場ではなくして、各国が、各財務大臣が各国の
状況について
説明し、そして、自分らが目標としておる、あるいはこれから取り組むべき課題について、自由に
議論をする場でございます。
私は、もちろん、二〇〇二年度は実質
経済成長率を〇%程度に引き上げていきたい、これは、「
平成十四年度の
経済見通しと
経済財政運営の基本的態度」として表明しておるところでございまして、さらに、二〇〇三年度におきましては、実質
経済成長率〇・六%を見込んでおります。これは、
経済財政諮問
会議、内閣に設置されておりますその
会議におきまして、「
構造改革と
経済財政の中期展望」、要するに「
改革と展望」でございますが、ここには、二〇〇三年度で〇・六%のプラス成長ということを見込んでおるのでございますが、しかしながら、各国が
日本の
経済に対して希望しておりますことは、潜在成長力というものが二〇〇三年度では二%から三%あるはずだという御意見が非常に強い。特にIMF等におきましても、
日本経済に対します過大な期待がかかってきております。
そういうことをわきまえまして、私は、「
改革と展望」に二〇〇三年度では〇・六%プラスと出ておりますけれども、これを一%に引き上げる努力をいたしたいということを申したのでございまして、国際公約とか、そういうものではございませんで、財務大臣としての決意と期待を込めたものであると御理解していただきたいと思っております。
とにかく、消極的になるよりも一歩を踏み出して元気を出そうというのが私の
趣旨でございますので、御了解いただきたいと思っております。
以上でございます。(
拍手)
〔
国務大臣柳澤伯夫君登壇〕