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日野委員 これは私は、実は
制度の問題よりも、本当は
企業人のやる気の問題だと。あくまでも、やる気がなければ、どんなに
制度をいじくってみたってどうにもなるものじゃありません。
例えば、かの有名な日産のゴーン社長、あの人が日産に乗り込んで、これは大変なことが起きるぞというふうにみんなで大騒ぎになったわけですね。カルロス・ゴーンという人は、
自分でも多国籍人だと言っているようですが、彼はレバノン人ですね。そしてブラジルで育って、フランスと
アメリカで教育を受けて、そして現在に至っているわけですな。ルノーを経てですから、フランス的な色彩も非常に強いのだろうと
思います。
彼がやった日産の改革の中でも、私もちょっと調べてみた、やはり地域に対して非常に大きな影響を与えましたな。日産が撤退をする座間だとか村山だとか、非常に大きな影響を与えている。しかし、生首を切る、解雇ですな、生首を切るということはそんなにしないで済んでいるわけですね。退職または希望退職合わせて大体五百人ぐらいのところであります。下請なんかも、一応倒産はしないで、単価の切り下げだとかそれから発注量の減少だとかいろいろあって、つらい
思いもしているんでしょうけれども、何とかかんとか持ちこたえさせた。
その中で、やはり社長ゴーンさんの
考え方はそれとして、
日本側の今までの
企業のあり方というもの、それから労働組合のいろいろな働きかけ、こういったものがかなり大きく影響していると思うんです。ですから、やはり地域なんかには手ひどい影響もあった、それから何人かは首にはなった、しかし、言われるほどの壊滅的な影響を与えることもなしに、日産そのものは一応立て直した、こういうことになっているわけですな。
私は、ゴーンさんの
やり方というもの、これはやはり
CEOで、まさに非常に強い影響力は持つのだけれども、それに対して
日本的な働きかけというものも必要なんだ、これがあって今日の日産があるというふうに私は評価しているわけです。これについてはいろいろな見方があるだろうと
思いますけれども、私は、そういう評価をしている。
そして、私は、何回も言ったように、
合意の積み重ね、これをやってきた
日本の
企業文化というもの、人のつながりを大事にする、それから、チームをつくって、それを維持して
経営に生かしていく、こういう
日本の
企業文化というのは、やはりもっと大事にされていく必要がある。ですから、
アメリカなんかで極端にもてはやされているというか、極端に
アメリカあたりで話題になっている
CEOがどおんと
日本に乗り込んでくるというようなことを私は好みません。
これはもうかなり前のことだから名前を出してもいいと思うが、
アメリカの自動車のビッグスリーの
CEOたちが、ブッシュ大統領が
日本に来たときに、そのしり馬に乗ってついてきて、
日本に来てさんざんいろいろな言動を積み重ねて、彼らは
アメリカに帰って、確かに、
日本なんかにいろいろな要求をして、
日本にそれをのませた、その成果なんかもあったのでしょう、
会社が黒字になったときに彼らが得た報酬、これは何十億、円じゃなくてドルだったと思うな、平然とそれを手にする。こういうことは
日本ではあってはならないし、
日本では恐らくそういう
CEOのあり方なんというのは受け入れられることはないだろうとは思うけれども、私は、そういう点からいって非常に
心配をします、
心配をしている。
ですから、
商法改正によってでき上がる
委員会等設置の
会社とか、そういったもののこれからをきちんと見守っていくということが大事だな、こう
思います。
もっと本当はいっぱい言いたいことがあるのですが、本当は三時間ももらえればいいのですが、一時間しかありませんから、ちょっと別の、法案の内部の問題について
お話しします。
監査なんですよ、
監査。
日本は今まで、実際それが効果を上げなかったということも反省点としてはあるんだけれども、一応
監査と執行というのは切り離して考えていた。
監査の独立ということは大事なものとして考えてきたわけですね。
日本では、社外取締役の
人たちが、
CEOであるとか執行
役員であるとかそのほかの取締役、これをきちんと監視するという認識なんか恐らくないと
思います。私も、何人か、大きな
企業の社外取締役をやっている方を知っています。大学の先生が多いですね。そして、行って講演をする、こうやった方がいいですよというようなことを言う。これが社外取締役の現在の
一つの型なのであって、ああいう
人たちできちんとその
会社を見張っていくことができるのだろうかと思うわけです。
それから、これはもう
一つ大事な点で、見逃しちゃいかぬと思う点は、
アメリカの例なんかを見ると、
CEOはどおんと
自分の配下を連れて乗り込んでくるわけですよ。恐らく
日本でもそうなるでしょう、特に外国人なんかが
CEOになるときは。
アメリカのホワイトハウスと同じだ。大統領がかわると、今までの
人たちはいなくなっちゃって、新しい手下を連れた大統領がどおんと入ってくる。あれと似ているんですな。そういう
事態の中で、この
法律が予定しているような
監査委員会というものが十分機能していくだろうかということが、私、
心配です。この点については、この点は大事な点ですから、
大臣の
お話を聞かせてください。
それからもう
一つ。やはり形の上でも、きちんと執行と
監査というのはそれぞれ独立性を持つんですよということが見えるということが大事なんだと思うけれども、どうでしょう。