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伊藤(忠)
委員 何か
官房長官に演説の場を与えたみたいなものですが、いや、実は私が申し上げたのは、一面的に私は言っているんじゃないんです。
だから、戦前だって一般の
国民は——軍部の皆さんは知りませんし、為政者の皆さんは侵略
戦争をやりましたよね。はっきり言って
日本は、攻められたというのはもう終戦間際ですから、それまでは外国へ攻めていったわけでしょう。だから、そのときの犠牲者の数よりも、もちろん兵隊も随分死にましたよ、民間人も死んでいます。そのときの数よりも、あの本土決戦で
沖縄で戦った終戦間際の、そういう死者の方が多いじゃないですか、比較しますと。
だから、
国民は、国の政策が侵略
戦争なのか、あるいは専守防衛でやっているのか、そのことは関係なく、例えばこの狭い
日本の本土が戦場になった場合には大変なことになりますよというのも、
有事の想定としてやはり議論が必要なんでしょうね。
ですから、そのことを私は言いたいわけですよ。だから、戦前のような侵略
戦争に突っ走るというんだったら、これは、あなた、国
会議員も命をかけて、それぞれ判断しなきゃいかぬじゃないでしょうか。私はそういう極端なことを言っているんじゃないんです。
だから、
沖縄だって、兵隊さんが守ってくれるんだと信じてやったんじゃないでしょうか、本土決戦に向けて。ところが、実際に戦場を見たら、私は数字を持ってまいりました。軍人軍属の死者が九万四千百三十六人、住民の亡くなったのは九万四千人、合計で十八万八千百三十六人と厚生省が言っておりますね。これが史料なんです。こういう犠牲が出るんです。
アメリカに原爆を落とされたんです。だから、
アメリカとは、私は
アメリカ文化で育っていますから、
アメリカの文化は大好き。ところが、今の一国支配がだんだん強まってくる
アメリカの
政治は余り好きじゃありませんね、正直私は申し上げますが。だから、そのように、私
たちは子供の時代に大変な爆弾の中をくぐり抜けて、どうにか生き延びて今日あるわけです。
東京大空襲は皆さん御承知のとおり、時間がありませんから余り触れるわけにはいきませんが、大変な数、亡くなっているんですよ。三月九日の日の大空襲、B29が何と一日に百五十機飛んできたんです。実際に焼かれた数は四〇%、家屋が焼かれているんです。その一日で亡くなった死者が七万二千人、焼け出された都民が百万人なんですよ。これぐらい大空襲を受けて、
日本の国は参ったというふうにならざるを得なかったんです。大変な犠牲を払ったんですね。
だから、
戦争というものは一たん起こって拡大をすれば、好むと好まざるとにかかわらず
国民はそういう中に置かれるということだけはお互い頭に置いて、それを起こさないためにどうするかというのは難しいわけです。このために知恵を絞るのはいいじゃないですか。ところが、物すごくそれは難しいから、どういうふうにやればできるのかなという問題点を私も提起をいたしたいと思っております。
私の生まれたところは県都でございまして、藤堂高虎、三十八万石の小さな町でございますが、城下町でした。平和な町ですけれども、これもこれから恐らく警報関係が出ますので、そのとき触れたいと思いますが、空襲警報発令といったときには遅かった。B29がもう爆弾を落としていったわけですよ。
私は至近弾を受けました。一キロの爆弾を落とされますと、ちょうどこの予算
委員会の半分ぐらいの穴があきますよ。余り近いときに直撃食らったりしたら音はわかりません。至近弾ですから、爆弾が落ちてくる音がようわかりました。それで一挙に吹き飛ばされまして、防空ごうへ走っている暇はなかったんです。シェルターみたいな立派なものじゃありませんからね。吹っ飛んだ。父親は徴用にとられるわ、母親は国防婦人会にとられるわ、子供五人がだんごになってそこで縮こまってどうにか助かった。燃え盛ってくる中を逃げるんですが、目の前で爆風で、少し前まで遊んでいた同級生が三人死にました。今でも私はその
状況を覚えています。そういう
状況なんですね。
戦争の
状況というのは、そういうことなんです。
それが終わってからどうなったか。田舎町ですら、とにかく焼夷弾が続けざまにその後落とされまして、いっぱい焼死体が出ました。どうしたか。警察の方が全部焼死体を川っぺりに積みまして、これをだびに付すまではそのまま積んであるわけですね。私は住むところがありませんから、その横の防空ごうで一週間寝起きしました。こういう
体験を経ているわけです。
だから、結論で言いたいのは、非
戦闘員も大変な犠牲をこうむるんだということですね。これは太平洋
戦争の話です。第二次
世界大戦はもっと犠牲者が多いんですが、そういう経験を経まして、
日本は
戦争が終わり、民主主義
国家になって今日たどり着いているわけです。ですから、戦前の経験者というのは、そういう思いをみんなどうしたって持っていると思うんです。
問題は、自力で
日本は経済が復興したと言われていますが、経済の面では、なるほど大目に見てそうかわかりませんが、やはり
アメリカの核の傘で
日本の経済は復興を遂げたんです。これはそのとおりです。(発言する者あり)同調されて、残念ながらと、それはそういう思いだと思いますが。だから、朝鮮
戦争があり、
冷戦時代があり、安保体制のもとで
日本はどうにか平和的に来られたんです。で、半
世紀来ました。
問題なのは、平和外交を基本に、国連中心の、
世界各国、特にアジア諸国との信頼関係を築いてきて、やっとここへ来たと思うわけであります。そういう中でさらに、まあ
有事の話の
前提条件は、平和外交なり信頼関係をアジアあるいは
世界各国、国連を中心にしてこれからも築いていかないといけないと思うんですが、そのためには、私ども残念に思っておるんですが、小泉さんが靖国神社に物すごくこだわられると思うんです。靖国神社にこだわって参拝をされますと、これはのどに刺さったとげのように関係諸国から批判が出ます。
私は常々思っておるんですが、ああいうことをやるよりもその前に
日本の国立墓地をなぜつくれないんだろうかなと。国立墓地をつくればもっと整理ができていくんじゃないかなと私は心を痛めているわけですが、この問題について
官房長官のお考えがあれば聞かせていただいて、早急にそういう積極的な施策については完成のために進めていただきたい、こう思うんですが、いかがでございましょうか。