○
武部国務大臣 農業の
構造改革を強力に進めていくためには、
農林水産省の大改革が大前提になると私は思うんです。
それはどういうことかといいますと、
食料・
農業・
農村基本法の制定に基づきまして、今、
食料の自給率を
平成二十二年までに四五%に引き上げていこう、こういう
計画でありますが、これは容易なことではありません。今まで
農林水産省はやはり生産者サイドに軸足を置いていたと言って過言でない、このように思うんです。生産者サイドに軸足を置いて幾ら自給率向上を訴えても、消費者の
皆さん方が歓迎するもの、求めるものを供給できない、そういう生産であるならば、自給率の向上はできないわけでございます。
したがいまして、私どもは、消費者が求めているもの、安全で安心な
食料の安定を確保して消費者の信頼を確保していく、そういう
基本に立って今後の農政を強力に進めていかなければならない、このように思っているわけでございます。それは結果的には生産者のためであり、
食料自給率向上につながる、こう思っているわけでございます。
食料自給率向上のためには、やはり望ましい
意欲と
能力のある
経営体というものを強力につくっていかなければなりません。そういう
意味で、私は、今の
農村でありますとか
農業の実態ということを
考えたときに、それにたえ得る
構造改革を進めていかなきゃならない、そういう
経営体を育てていかなきゃならない。どうも今までの農政というのは、あれもこれも包括的に並列的にやっていた傾向があるのではないか、このように思うんです。
一方において、それじゃ二種兼
農家でありますとか副業的
農家でありますとか、そういったことはそれでいいのかということでありますが、私は、
農村の新たなる可能性を切り開いていく、それは何だと、
農業には多面的な機能というものがあるわけであります。
農村には、食文化を起点にして、
日本の伝統的な民族的な文化が根づいているわけでございます。同時に、国土の保全とかそういったヒューマンセキュリティー、都市居住者の
皆さん方にもおいしい水等を供給するライフラインというものを支えているわけでございます。
そういったことをきちっと整理して、そしてそれぞれ強力に、分類して進めていくということが必要ではないか。しかし強力に、分類化して進めていくということで矛盾があるのか、私は矛盾はないと思うんです。
現状、
農村、今、二種兼
農家といいますか副業的
農家はもう六割以上ですね。それだけあるわけでございまして、主業
農家といいますか、その
比率はまだ二割ぐらいというような
状況でございます。私は、主業
農家が二割でもいいと思うんですよ、いいとは思うんですけれども、やはりどれだけのものをそれだけでつくっていけるかと。
農村の過疎化、高齢化ということを
考えたときに、やはりそういう
意味でも集落営農とか
法人化ということが必要だと。
法人化ということは、何も生産第一で
法人化じゃないんです。むしろ専業
農家の分業化と言ってもいいんじゃないか、こう思うんです。いろいろなサービスでありますとか、都市の人たちが
農業をやりたいというのに一年じゅう都市の人が
農村に入ってくるわけにはいかないんでしょうから、その間契約
関係をきちっとして、そういった都市の農場を持ちたいという人たちのためにいろいろと管理をしたり、情報を提供したり、サービスを提供したりというようなことができるんじゃないかと。
そういうような
意味で、私の
農業構造改革というのは、生産としての
農業ですね、ある
意味では国際競争力のある、安全で安心な、消費者にも信頼され得る、そういう
食料の安定確保、そのための
担い手。
もう
一つは、
農村の多面的な機能といいますか、
農村の多様な存在感ということにこたえ得る、そういう、おいしい水、きれいな空気、美しい自然も都市居住者の
皆さん方にも供給できる、提供できる、都市と
農村が行ったり来たりできる、都市と農山漁村の共生、対流というようなことを構想する、そういう
日本の農山漁村といいますか、そういったことを構想してそれを進めていくためには、
農林水産省が意識改革をしなきゃなりません。大胆に
農林水産省は変わっていかなきゃなりません。それが私の
一つの
基本的な
考えでございます。