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辻政府参考人 まず、租税と社会
保険料、この役割、機能でございますけれ
ども、これは同様に、
法律に基づいて
国民に負担をお願いするという
意味では同じでございますが、やはり
性格、機能は異にしております。
具体的に
説明申し上げますと、租税、これは社会共通の費用を賄うというのが基本でございます。したがいまして、ある個人が税を納付するということと、通常、社会共通の費用ということですので、納付をしたからそれに着目して、それに連動して
給付を受けるという結びつきはございません。
このために、税だけを財源とする場合は、逆に言えば負担の有無を要件とすることなく
給付ができるという点がございます一方、税財源の
性格上、
先ほど議論のありました福祉
年金やあるいは各種手当と同じように、一定水準以上の
所得の者については
給付を制限するということが通常でございます。
一方において、社会
保険料でございますけれ
ども、例えば
年金制度を例にとりますと、高齢になった場合にいわばそれまで得た
所得を得られなくなる、それを補てんする、俗に保険事故と呼んでいますけれ
ども、高齢に達することによって
所得が得られなくなるという保険事故を補てんするために、あらかじめ社会
保険料を納めて、そして高齢になったときにその財源から
給付が出る、こういった仕組みでございます。これは
保険料納付を行わない者に対しては保険
給付を行えないという一方、負担したことが記録されて負担に連動して
年金額が定まるという権利性を有しておる、これが基本的な役割や機能の違いかと存じます。
この場合、基礎
年金を税方式にするべきという場合の考え方は、今申しましたように、個々の税負担と
年金額が連動することのない
制度にするという考え方と存じますが、これにつきましてはさまざまな論点がございます。
るる申しませんが、そもそも、若いときから老後の生活の落ち込みに対して準備をして、そして老後、
所得保障を得るという考え方が、我が国の自助と自立をもととする精神、これにむしろ合致するのではないかという基本論のほかに、今申しましたように、負担と
給付が連動しない税方式におきましては、上昇し続ける負担に合意が得られるのか。
例えば、
目的消費税だけでお願いしました場合には、基礎
年金の
給付費について、現在五・五%このためだけの税率が必要でございますが、二〇二五年には九・二%に
引き上げなければなりません。このようなことに合意が得られるのか。
あるいは、今申しましたように、当然
所得制限というものが導入されようと思いますので、現役のときに
所得を得る努力をした者からもらえなくなる、そして第二の生活保護になってしまうのではないか。こういった論点がございます。
そのようなことで、政府の考え方としましては、社会
保険料を基本とし、これに公費負担を適切に組み合わせる、そして、御指摘がありましたように国庫負担を二分の一とすることについて鋭意検討をするということになっておるわけでございますが、御指摘のように、次期
制度改正に向けた社会保障
審議会の
年金部会におきまして、当然、今申しましたような租税と
保険料についての
性格の違い、このようなことについて、十分
国民に開かれた形で御議論をいただいて、議論を進めていただきたいと考えております。