○
金田(英)
委員 五増五減が本日から
議論をされるわけでございます。その前に
大臣にいろいろ御質問したい向きがあるのでございますが、お手元に
資料をお配りさせていただくことを御了解いただきたいというふうに思います。
資料一から
資料六までありますけれ
ども、とにかく今の
状況を見ておりますと、
審議会の
勧告、それはもう、
そこのけそこのけ勧告が通る、この
勧告を
政治家がいじることはまかりならぬのだというような雰囲気が漂っていることは、まことに異常だというふうに思うのでございます。あくまでも
公職選挙法の
改正という
法律改正手続は、この国権の
最高機関である
立法府の我々がその
責任を果たさなければならないと思っているのでございます。
そして、
法律を変えるわけでありますが、
法律を変えることを、特にいろいろな
議論をしておりますと、それは
法律を変えてから後
議論してくださいと言って、
審議会の
皆さん方あるいは
総務省の方は
法律に隠れてしまう、まともな
議論ができないという
状況に今あるわけでございます。
時間もありますので、具体的に
勧告がなぜおかしいのか、本当におかしいと私は思っております。そして、こんなおかしいところは我が
立法府として直すべき
義務があるんだというふうに思っております。
先生方の真摯な御
議論を賜りたいと思います。
資料に基づきまして、おかしい点について説明させていただきます。
まず、
資料の一でございます。
全国の
人口を三百で割りました。そして、
平均で四十二万三千六十四という、これが一
選挙区
当たりの
平均数値だということでございます。そして、
審議会の
検討の中では、これの
最上限をその四分の三である五十六万四千人、これを
最上限にしよう。そして、最低限はその三分の二である二十八万二千四十三人にしようという
検討の
基準をつくったのでございます。この間に入れば、
最大、
最小の間に入れば大体二分の一におさまるであろう、そのことは算数的にはすごく正しいのでございます。そういう
検討もあろうかと思います。
そういったことで、
勧告の中で、現在の
秋田二区というのは二十七万九千七百七十六であるから
最小限の二十八万より二千二百人ほど少ない、ですから、これは直さなければならないということで、何と
秋田市の隣にあります男鹿市、南
秋田郡の五城目町だとか飯田川町だとか、二千二百の
減少を防ぐために十万三千人の人間を
異動させたのでございます。こういった
勧告内容になっているわけであります。
そのことによって、現在の
秋田一区、これは
秋田市を中心とするところでございますが、それが三十八万になり、そして、
秋田二区はこの十万人の
異動があって三十三万人になった、こういう
勧告でございます。
しかし、
勧告の
内容を見てみますと、
高知一区が
最小の
選挙区であります。二十七万、これが
最小であります。そして、
最大は五十五万八千、これが
最大であります。この間に現在の
秋田一区も
秋田二区も入っているのでございます。なぜこのようなことをしなければならないのか。
生活圏を破壊して、これらの町は
秋田市の隣町であります。嫁さんの新しい
嫁入り道具を買うのでも、みんな
秋田市に行くのであります。ところが、この町は、能代に行く、あるいは
大館に行くということになると、六十キロも離れるところに行くわけであります。
最大の
選挙区、
最大の
兵庫六区と
最小の
高知一区の間にちゃんとおさまっている
現状の
秋田一区、
秋田二区を何で動かすのかということ、本当にまじめに不思議な感じがするわけであります。
あくまでも
選挙区をいじるということであるならば、
現状三百ある
選挙区を尊重する形、一票の
格差をなるべく同じにしようという
必要最小限度の
努力、そういったもので事足りるはずであります。まさに
候補者と
選挙民との
関係というのは、本当に密接な
関係にあるわけです。おらたちの
代表は
国会に行っておる、そして、
国会でどんな行動をしているのか、そういったこと。ですから、
選挙区をいじるということは、そこに
後援会もあります、そういったようなことを不必要にいじることだけは絶対避けなければならない、私はそう
考えるものでございます。
時間がありませんので、先を急ぎます。
三百の
選挙区を割りました。そのときにどうやって割るかというと、
法律に従って、まず、
資料二の表の中で、一
均等配分、後ろから三列目でございますが、四十七を
割り振りました。そして、
残りの
選挙区は二百五十三であります。この二百五十三の
選挙区を
人口比例で割ります。
人口比例で割り戻しますと、一番上の
福岡県というのは九・九九八二という
数字が出てくるわけであります。各県にそれぞれの
数値があるわけでありますが、これの
整数部分を全部とりまして、二百二十八の
選挙区をこれらの
都道府県に割り振ったのであります。そして、
残りの二十五の
選挙区は、小数点以下の多い順番で上から二十五番目をとって、三百の
選挙区を各
都道府県に割り振ったという作業をやっているのでございます。
しかし、この表を見ていただくとわかるんですが、一番最後の
選挙区をとったのは、三百番目の
選挙区は
大阪府であります。そして、残念ながら三百一番目の
選挙区になったのは
島根県であります。何とここの差は、例えば、
大阪府では、もし一万七千九百二十五人が減っていたんであれば、
島根県と逆転するのであります。また、
島根県は、一万五千七百九十三人ふえていたとしたら、これは三百番目ということで、
選挙区の数が
一つふえるのであります。何とこの一万数千の
人口が十年間でふえたか、ふえないかということによって、
選挙区が
一つふえたり減ったりするという結果になっている、そういったことでございます。
これは何を説明しているかと……(発言する者あり)いや、
数字がそうなんです。だから、何もこれが悪いと言っているんじゃなくて、そのような一万人の
人口異動で、
平均四十二万なければならない
選挙区がふえたり減ったりするという実情になっているんだということでございます。
それで、
資料三をちょっとのぞいていただきたいのであります。
基礎定数の
配分によってどんな結果があらわれているかということを
資料三で示させていただいております。
民主党さんは、
基礎定数の
配分をやめるべきだという
法案を出されたことがありました。何で五増五減に賛成なのか、その点がわからないです。五増五減というのは、
基礎定数の
配分をやった結果が五増五減なんですから、何でそんな論理矛盾的なことを言うのかわからないんですが、まず、
資料三を見ていただきます。
単純人口比例配分とした場合の数と、
基礎定数を
配分した場合の数とを比較してみました。そして、
単純人口比例配分によるよりも、
基礎定数を
配分したことによって、損していると言うと語弊がありますが、与えられる
選挙区が少なくなったところは、
東京が
マイナス三であります。
神奈川県が
マイナス二であります。
福岡県が
マイナス一であります。こういった形になっているわけです。
そして、
単純人口比例配分したときよりも、
基礎定数を
配分したことによって増となった
都道府県がございます。青森県から始まって沖縄県まで、それぞれの県が一ずつ増加しているのでございます。
そこでこの問題を見るときに、あれ、おかしなことがあるなと。
北海道が
マイナス、減となる
都道府県になっているのでございます。なぜ
基礎定数一
配分したかと申しますと、下の方に二行で書いてありますが、
過疎地域に
配慮をしなければならない、そして、
選挙区を
考える場合に、何といっても、
人口だけということではおかしいんじゃないのか、面積も計算、
配慮しなきゃならないんじゃないのかと。地政学上の問題もあるでしょう、いろいろな
地域のものがあるから、
基礎定数を
配分することにしましょうということで、
細川政権のときに
基礎定数一
配分を
法律で定めたのでございます。
しかし、ここに減となる県をざっと見てみますと、
東京、
神奈川、愛知、
大阪、埼玉、千葉、
静岡、
兵庫、
福岡、これらはまさに
大都市圏であります。しかし、不思議に
過疎県であります
北海道がこの中に入っているのでございます。単純
人口比例した十三、それよりも
北海道は減らされているのでございます。
過疎地域への
配慮、こういったことを
考えるならば、
基礎定数一
配分したという
立法趣旨を
考えるならば、この
北海道というのは極めて不当な扱いであります。
国勢調査の結果、一平方キロの
人口密度をごらんください。
東京は一平方キロに五千五百十六人も住んでいます。しかし、
北海道は七十二・五人しか住んでいないのであります。
過疎地域に
配慮するというのであれば、これは
最小限、
過疎県である
北海道は、
基礎数の
配分がそれを上回る数が割り当てられてしかるべきなのであります。
ですから、一律
基礎数を
配分したからといって、
法律でそう書いているからといって、算術的に単純にこういった答申、
勧告をするということは、その
立法精神からして間違った結果になっているんだというふうに私は思うところでございます。我々は、
立法府の
責任として、その
趣旨を
考えるならば、こういったよりよい
勧告に何とか直すべき
義務があるんだというふうに
考えるところでございます。
それと、
資料四でございます。
我々は、
議員一人
当たりの
人口はなるべく同じでありたいというふうに思っているのでございます。
東京は千二百万人で二十五の
選挙区が与えられておりまして、
議員一人
当たり人口は、何と四十八万二千人でございます。そして、この一人
当たり人口が多い県は、上から十の
都道府県を調べてみましたら、この
資料四のとおりであります。これらはすべて
大都市圏であります。
しかし、何と
過疎県である
北海道が四十七万三千五百七十九ということで、
北海道は
議員一人
当たりの
人口が二番目に多い、一票の価値がそれだけ希薄に評価されてしまったという結果を招いていた
勧告でございます。これは何といっても
勧告を許すわけにいかないというふうに、単純に我々は追及します、質問をします。そうしますと、
法律でそう書いてあるからといって、
法律の陰に隠れてしまうのでございます。
議論になりません。ここは
立法府、我々の
責任で、そして良識で直さなければならない、そういったことだろうというふうに
考えるのでございます。
そして、
資料五を見ていただきます。
これは、
全国で一番
最小の県であります
高知一区、
高知一区の二倍を超える
選挙区はここに示したとおり九つあるわけであります。九つある中で、何と今回の
勧告でさらに二倍を超える
選挙区を三つも多くつくり上げているということがあります。
静岡五区、
静岡六区、
北海道六区がそうであります。
ですから、相当無理な、二倍を超える、まさに二倍を超える
選挙区はつくらないようにしようという
配慮について、事ほどさように、五増五減を実施するということ、機械的に実施するということのために、相当論理的に合わない、そういったものをつくってしまったという
勧告内容になっているわけです。この点についても、我々
立法府は正さなければならないというふうに思うのでございます。
また、
資料六には、このような
勧告を受けて我々の
地元では大変な騒ぎになっているわけであります。何でおれたちに相談なく、あっちの
選挙区にくっつけ、こっちの
選挙区にくっつけ、そう言われなきゃならないんだ、我々の
生活圏はどうなるんだ、文化圏……(発言する者あり)いや、そういった形になっているんです。例えば
資料一のそれでもそうです。そういった形になって、この
選挙区割りについては反対であるということで、各市町村議会で反対決議が行われているのでございます。それがまだまだどんどん出てくるのでありますが、やはり我々は、有権者である国民の
皆さん方のそういった悩みや苦痛をしっかりと受けとめながら、この法
改正に当たらなければならないというふうに
考えるところでございます。
確かに、五増五減、
法律でそう書いてある。だから、おまえら黙れ、
そこのけそこのけ勧告が通るということでは、
国会の
代表としての我々の良識が問われるんだ。やはり、おかしいところはおかしい。
それから、もう時間がないんだ、今
国会は今月中で終わるんだからもう時間がないんだ、ですから、五増五減のまま通してくれというふうな声もあります。しかし、それは今の
法律案で、この
秋田県のところはおかしいからこれは削ろう、
北海道のこれはおかしいからここは削ろうという作業で十分で、何の作業に時間がかかるということはありません。
事ほどさように、五増五減というのは、たった一万人の増減で
割り振りされているというような事実があったのは先ほど御説明したとおりでございます。
資料二を見ていただきますと、三百一番目が
島根県であります。三百二番目の県が
静岡県、山形県、大分県。まさに減にすべき県というのは三百一番目から三百四番目、ここにずっと次点で並んでいるのでございます。一万人ぐらいの増減。
やはり、我々は安定した
選挙区
選挙というものをつくらなければなりません。やはりそこで
選挙民が、我々の選んだ代議士はどんな活動をしているんだといって、突然ある日別の
選挙区に組み入れられてしまって、別の先生を担がなきゃならなくなる。それは、ある程度一票の
格差を均等にするためにとか、そういった必要
最小限なきゃならないのはわかりますけれ
ども、そのようなことは、この程度の一万人の増減、十年間で一万人の県の
人口が増減することは多々あることであります。
ですから、我々は今そういったことを直す。私は、本当に真剣になって
国会の
先生方の
皆さんに、おかしいものはおかしいんです、そういったことを直すべきだ。ただ単に、これは
勧告だから、学者先生が書いたものだから、つくったものだからこれを正すのは
国会として不遜だ、
国会議員がいじるのはおかしい、そういった世の批判を浴びるだろうと。批判を浴びることを恐れて、私はマスコミの
皆さん方にもお会いしてよく言うんです、悪いものは悪い。必ずしも
勧告は金科玉条ではないんだよ、間違ったことは間違ったとして直す
責任が我々にはあるんだということを強く訴えたいと思うのであります。
時間がないからもうこれで我慢せいとか、おまえは泣け、本当にそういった
党利党略や個利個略で我々、申しているのではございません。やはりおかしいものはおかしいということで、直さなければならないというふうに思っておるのでございます。
特に、この
資料一でごらんになるとおり、この男鹿市や南
秋田郡、いわゆる五城目町、飯田川町、これらが、学校も
秋田高校に行くんです、能代高校に行くんではありません。天王町だとかこういったものは
秋田市から車でもう十分か十五分ぐらいの距離なんであります。そういった
生活圏を壊してまで、こんな
勧告はどうしても国民の
皆さん方が納得しないし、
選挙……(発言する者あり)
それから、今回の
国勢調査の結果、六十八もの
選挙区の変動を
勧告されております。果たして、二三%、約四分の一にもわたる
選挙区をいじる必要があったんだろうか。確かに二倍の
格差は、二・〇何倍にすることはできました。とにかく、おもしろおかしくいじられている部分については……(発言する者あり)
三分の二の
基準というのはどこで決まっているのかということであります。それは作業上の便利のために仮定で置いた三分の二
基準であり、三分の四
基準なわけですから、現実に
高知一区が最低の
選挙区ですから、これよりも多いのに何でこんな区割りの変更をのまなければならないのか。
やはりおかしいのでございまして、ここの辺について、片山
大臣、私は質問に来たのでございます。ただ一人でしゃべるんじゃなくて、私は聞いていただきたかったんであります。友党の公明党の
皆さん方にも聞いていただきたかったし、保守党の
皆さん方にも聞いていただきたい。そして
民主党も、ただおっかない、これにさわるとけがをする、やけどをするということじゃなくて、おかしいものはおかしい、正そう。時間もまだ十分あるんです。ここはその部分をへずれば一部修正になるのでございます。
片山
大臣、私るる申し上げさせていただきました。ここは
立法府であります。
法律の陰に隠れて逃げまくるということは許されない場であります。片山
大臣の感想なり御
意見を賜りたいと思います。