○望月
委員 私は、自由民主党、公明党及び保守党の与党三党を代表いたしまして、ただいま議題となりました
公職にある
者等の
あっせん行為による
利得等の
処罰に関する
法律の一部を改正する
法律案に対し、与党案に賛成、野党案に反対の
立場から討論を行うものであります。
いかなる政策の実行も、
国民の信頼、
国民の高い信任を得られなければ成り立ちません。今、
政治に対する
国民の信頼を裏切る行為が相次いで生じ、厳しい
政治不信を招いていることは、極めて残念なことであります。
このときにおいて、深刻な
政治不信を重大に受けとめ、信頼回復への第一歩として、与野党が、いわゆるあっせん利得
処罰法を見直し、その
改正案を
提出したことの意義は高いと評価するものであります。
まず、与党案と野党案の最大の違いを挙げるとするならば、
法律の導入によって何を目指すのかという基本的な理念、
考え方において大きな食い違いがあることであります。言いかえれば、
法案の法的
性格ないし保護法益において根本的な隔たりがあるということであります。
与党案は、主権者たる
国民から国政等に関する権能を信託された代表である
公職にある者は、みずからの良心と責任感を持って
政治活動を行わなければならないとの
観点から、
公職にある者の
政治活動の性質に着目し構成されており、その保護すべき法益を、
公職にある者の
政治活動の廉潔性、清廉潔白性及びこれに対する
国民の信頼としているのであります。したがって、与党案の罪は、
公務員の職務自体の性質に着目し構成されている
刑法のわいろ罪とはその趣旨を根本的に異にしているのであります。
しかるに、野党案は、野党の
構成要件にあるわいろという概念規定から見て、あっせん利得罪を
刑法のわいろ罪の一類型あるいは
あっせん収賄罪の延長線上でとらえようとしていると言わざるを得ません。そうであるとすれば、
刑法体系の中で、
刑法の一部改正として汚職の罪の中に規定されるように組み立てるのが本来の筋だと
考えますし、また、なぜ
私設秘書と親族を
対象とすることができるのか、理解に苦しみます。
私は、野党案の法的
性格、法的位置づけに根本的な疑念を抱くものであります。
次に、
政治活動の自由への配慮について申し上げます。
私は、国政においても
地方議会においても、何物にも拘束されない自由な
政治活動が保障されていてこそ、
政治の進運が図られると
考えております。この点について、与党案では十分な配慮がされていると
考えますが、野党案の
構成要件を見ても、このような
観点からの検討が十分にされているのか疑問であります。
今回、与党案では、
議員秘書あっせん利得罪の
犯罪主体に、
公設秘書のほかに、衆議院
議員または参議院
議員に使用される者で
政治活動を補佐するもの、すなわち、いわゆる
国会議員の
私設秘書を追加することとしておりますが、
構成要件の
明確性の
観点から十分に吟味されているものであり、評価するとともに、国外犯の規定の整備、施行期日においても妥当なものであると
考えます。
以上、与党案につきまして賛意をあらわし、したがって、野党案については反対であることを表明いたしまして、討論を終わります。(拍手)