○石井(啓)
委員 今、与党の意向も重視していくということで、非常に期待を持てる答弁だったと思いますので、ぜひこの点についてはよろしくお願いをいたしたいと存じます。
それでは、あるべき
税制の議論について確認をいたしたいと存じます。
今、
経済財政諮問会議あるいは
政府税調で今後のあるべき
税制の姿について議論をされているわけでありますが、その中で、税の空洞化ということが非常に大きなテーマの
一つとして挙げられているわけでございますけれども、税の空洞化というのは、具体的に何を指して空洞化というのか、この点について確認をいたしたいわけでございます。
税の空洞化というのは、幾つか
観点があるわけでございますけれども、特に
所得課税について申し上げたいと思いますけれども、実効税率の国際比較をいたしますと、
我が国の
所得課税の実効税率というのは相当低いレベルにございます。
これは
政府税調に
提出されている資料でありますが、
所得税、個人住民税の実効税率の国際比較では、給与収入一千万円で見ますと、
日本の場合は実効税率が八・六%でございます。それに対してフランスが九・九%、アメリカが一六・七%、ドイツが二一・五%ですか、イギリスが二七・二%というレベルでございますから、これは、実効税率でいきますと、
我が国は相当低い水準にございます。
また、あるいは国民
所得に占めます租税の割合、いわゆる租税負担率を見てみますと、これも
我が国は相当低いレベルにございます。
平成十四年度を見ますと、
我が国の租税負担率は二二・九%でございますが、それに対してアメリカは二六・五%、ドイツで三一%、ほかのG7のイギリス、フランス、イタリア、カナダで見ますと軒並み四〇%以上でございますから、これも相当
我が国は租税負担率は低いというレベルでございます。
したがって、実効税率あるいは租税負担率ということでいいますと、確かにこれは相当厳しいといいますか、低いレベルにある。いわば税のボリュームといった面でいいますと、これはやはり相当空洞化といいますか、低い水準にあるということが言えると思います。
一方で、よく言われる
課税最低限あるいは就業者に占める納税者数の割合、これでいくとどういうことかといいますと、よく
課税最低限が
我が国は国際比較して非常に高いと言われていますが、実はそうでもないわけです。
特に、
課税最低限の国際比較をしますと、為替レートをどうとるかによって相当変わってきますので、購買力平価で見ますと、そんなに
日本が特段高いというわけではありません。
これも
政府税調への
提出資料でありますが、例えば
内閣府の生計費調査による購買力平価、一ドル百三十一円のレベルで見てみますと、夫婦子供二人の場合は、
日本は三百八十四・二万円でありますが、アメリカで三百三十八・六万円、ドイツでは五百九十九・八万円、フランスでは四百三十八・九万円でございますから、こういった為替レートで見ると、
日本だけが特段
課税最低限が高いというわけではないようであります。
また、就業者数に占める納税者の割合で見てみましても、よく四分の一の人が納めていないんだという例で挙げられますが、確かに、就業者に占める納税者数の割合は
我が国は二〇〇〇年の時点で七四%でありますから、二六%の人は納めていない。ただし、イギリスやカナダで見ましても、納税者数の割合は八〇%程度でありますから、二〇%程度の方は納めていないということでありますので、
我が国だけが納税者数の割合が低いというわけではどうもなさそうだということから見ますと、結論から言いますと、私は、この空洞化というのは、
課税最低限とか納税者数の割合というより、むしろ税のボリュームの方でこれは言うべきであろうというふうに
考えているわけでありますが、
財務省としてはどういう御見解か、確認をいたしたいと思います。