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塩川国務大臣 法人税の問題で、法人の利益と所得とが違う、これをどう整合していくかということなんかも問題がございますけれども、私は、まだ、今の
税制調査会の関係、また諮問
会議における税の
議論というのではなくて、もっと根本の問題をしっかりしておいてもらわなきゃいかぬ、こう思うて、いわゆるどういうふうな
考え方で、理念で
税制改正に取り組むのかということと、それから、その結果は何を期待するのかということとをきっかり
議論しておいてもらわな困ると思っております。
私は、この前の
経済財政諮問
会議等におきまして、今回
改革をしていく税の
議論について根本的な問題がございました。先ほど
竹中大臣の
お話にございましたように、公正、中立、簡素というものを公正、活力、簡素という方向に一応やっていくということになったのでございますけれども、それでは、中立と活力、これをどのように解釈していくのかということについて、いろいろあると
思います。
私は、今、やはり
税制は
経済政策の一環として
考えるべきである、非常に大きいファクターであるということは、これは認識しております。そして、そのためにはある程度の活力を与える方法を
考えるべきだ。しかし、この活力ということが余り前面に出てしまいますと、減税、イコール減税に走ってしまう。その減税は、活力を上げた結果として、一般の、いわゆる
国民全般に負担がかかってくるのではないか、こういう負担、懸念があることが
一つ。それからもう
一つは、活力とした結果、それでは、その活力をどこでどう
財政の半面に取り返していくのかということも問題になってくると
思います。
そこで、私は、やはり
税制には中立を維持しておいてもらわにゃいかぬということを主張しておるんです。その中立は、貧富の中立ということもありましょうし、それから官と民との中立ということがあるし、
財政の中の収支の中立ということもある。中立という言葉は便利な言葉であって、本当は焦点がどこなのかということははっきりしないんですね。
私は、その中立ということは、
財政の中の中立ということに
一つ考えを持っていきたいと思っております。そうするならば、
財政の中立であるならば、減税もあるし
増税もあるしということが
財政の中立だと思っている。
財政の中立を保つためには、一定の期間内にそれが完結されればいいではないかということ。そうであるならば、減税を先行して、ただし、増収を図る手段というもの、増収は、
増税によるのか、あるいはそうじゃなくて
経済活力の結果として出てきた増収分で図るのかということ。これは
一つの
経済計画の中できちっとして、その上において減税をいたしますというならば、それは
一つの方法である。それを活力とおっしゃるならば、私は、その活力は有効であると
思います。
ただ、活力で、減税をしっ放しということにしてしまったら、過去において、国
会議員というのは無責任なものでございまして、減税は大いに賛成、減税は賛成だけれども、
増税になると皆
反対、もう与野党ともそうですから、それではやはり国家の
財政の秩序がもたないじゃないか。ですから、活力を主張するなら、減税に活力を置くとするならば、財源の問題をきちっと
一つのセットにしたものにしてもらわなければ困るじゃないかと。
その
意味において、
一つの期間、私はその期間を、プライマリーバランスを
一つの視野に入れておりまして、そのために二〇一〇年という視野を持っておるんです。その間におけるバランスがとれる、いわゆる中立が完結できるという
一つのスケジュールがあるならば、それなりの活力の使い方がある、私はこういうことを申しておるんです。
その
一つの方法、活力の中の問題として、法人税は確かにありましょう。法人税の中も余りにも複雑になり過ぎておるということ、それは、租税特別
措置法とかいろいろなものの整理があるということでございますけれども、
一つの問題は、先ほど申しました、法人の利益と法人の所得は違うじゃないか、これは非常に複雑な計算をされてきておる。ここなんかはこの機会に、いわば簡素化の
一つの要因であろうと
思います。
また、個人の所得税に関しましても、公正ということは、うたい文句というよりも税の基本としてもらいたいというならば、簡素にして公正を期するということ、これは所得の空洞化をどうして埋めていくかということだと思うんです。そうすると、所得の空洞化を埋めるところについては、
国民負担の、つまり給付と負担というものの関係をやはり根本的に
国民に納得してもらわなければ、空洞の問題というものも解決していかないと
思います。
したがって、今回の
税制改正について、私は、直接的に法人税をどうする、所得税をどうするかという
議論の前に、そういう根本の問題を一回整理した上に立って、
議論をさらに深化し、展開してもらいたい、これが私が
財政諮問
会議で主張した言葉であります。