○塩川
国務大臣 今後の
財政政策等の基本的な
考え方につきましては、先般の
財政演説において所信を申し述べたところでありますが、本
委員会において重ねて所信の一端として、今後取り組むべき課題等について申し述べ、
委員各位の御
理解と御協力をお願い申し上げたいと存じます。
第一の課題は、各般の
構造改革の一環として
財政構造改革に取り組むことであります。
平成十四年度予算編成に当たっては、国債
発行額三十兆円以下との目標を掲げ、五兆円を削減しつつ重点分野に二兆円を再配分するとの方針のもと、歳出の一層の効率化を進める一方、予算配分を少子高齢化への
対応、科学技術、教育、ITの推進等の重点分野に大胆にシフトいたしました。また、特殊法人等への
財政支出については、事務事業の抜本的見直しの結果等を反映し、
一般会計、特別会計合わせて一兆一千億円を超える削減を実現しております。
なお、経済情勢に
対応して、
平成十三年度第一次補正予算においては雇用対策等に重点を置き、第二次補正予算については経済効果の高い施策を緊急実施するべく編成したところであります。政府としては、これらの速やかな執行に努めるとともに、
平成十四年度予算とあわせ切れ目なく対処していく所存であります。
我が国の
財政事情は極めて厳しい
状況にあり、今後の
財政運営に当たっては、先般閣議決定されました「
構造改革と経済
財政の中期展望」を踏まえ、歳出の質の
改善や抑制等を推進するとともに、受益と負担の関係についても引き続き検討を行いつつ、プライマリーバランスの回復に向けて努力してまいります。
第二の課題は、抜本的な税制改革に取り組むことであります。
平成十四年度税制
改正においては、連結納税制度を創設するとともに、中小
企業関係税制として、同族会社の留保金課税の軽減及び取引相場のない株式等について相続税の軽減措置等を講じることとしております。
また、老人等の少額貯蓄非課税制度を障害者等を対象とした制度に改組するほか、租税特別措置を大幅に見直すとともに、沖縄の経済振興のための税制上の措置等を講じることとしております。
このため、先般、
租税特別措置法等の一部を
改正する
法律案を提出したところであり、また、連結納税制度の創設等に係る
法律案を五月上中旬に提出したいと
考えております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
税制の改革は、政府が取り組んでいる
構造改革の柱の
一つとして極めて重要な意義を有するものであると
考えております。
ここ数年にわたり、恒久的減税の実施など、税制においても景気に最大限配慮してきました。その結果、我が国の租税負担率はG7諸国で最低の
水準となっているなど、いわゆる税負担の空洞化ともいうべき
状況が生じており、これについて議論することが必要であります。
また、個人や
企業の経済活動が多様化する中で、二十一世紀においては、経済活動に中立でゆがみのない、簡素でわかりやすい税制の構築が求められるとともに、少子高齢化、グローバル化、
情報化などの構造変化にも的確に
対応した税制の改革が必要となっております。
今後、政府税制
調査会において、
経済財政諮問会議等と連携しつつ、あるべき税制の構築に向け、広く税制上の課題について取り組んでいただき、六月ごろを目途に基本的な方針を示していただきたいと
考えております。
その後、この基本的方針を踏まえ、まずは当面
対応すべき課題について年内に取りまとめ、
平成十五年度以降、実現してまいりたいと
考えております。
第三の課題は、世界経済の安定と発展に貢献することであります。
経済のグローバル化が進む中で、自由で公正な国際経済社会の実現に向けて各国が協力して取り組んでいくことが重要であり、我が国としても、世界経済の安定と発展に向けて政策協調を進めてまいります。加えて、アジアにおける通貨、
金融の安定に向け一層の貢献を行ってまいります。
また、多角的貿易体制の維持強化のため、先般立ち上げが合意された新たな多角的貿易交渉に、我が国としても積極的に取り組んでまいります。あわせて、二国間の自由貿易協定にも取り組んでおり、先般、日本・シンガポール新時代経済連携協定の締結に至りました。
平成十四年度関税
改正においては、同協定締結に伴う所要の
改正や塩の輸入自由化に伴う関税措置の導入等を行うこととしております。
なお、昨年九月の同時多発テロ事件を受け、テロ資金対策のための国際的な取り組みが進められております。我が国としても、テロ対策の一環として、外国為替及び外国貿易法の一部を
改正する
法律案を今国会に提出することといたしております。
次に、今国会に提出しております
平成十四年度予算の大要について御説明いたします。
まず、歳出面においては、
一般歳出の規模は四十七兆五千四百七十二億円となり、前年度当初予算に対して二・三%の減少となっております。これに地方交付税交付金等及び国債費を加えた
一般会計全体の予算規模は八十一兆二千三百億円、前年度当初予算に対しまして一・七%の減少となっております。
次に、歳入面のうち租税等については、さきに申し述べました税制
改正を織り込み四十六兆八千百六十億円を見込んでおります。また、その他収入については、外国為替資金特別会計からの繰り入れの増額等により、四兆四千百四十億円を見込んでおります。
公債発行予定額は、前年度当初予算より一兆六千八百二十億円増額し、三十兆円となっております。特例
公債の
発行等については、先般、
平成十四年度における
財政運営のための
公債の
発行の
特例等に関する
法律案を提出したところであり、御審議のほどよろしくお願いいたします。
財政投融資計画については、
財政投融資改革、行
財政改革の趣旨を踏まえ、全体規模を縮減しつつ、対象事業の重点化を図るとともに、現下の社会経済情勢にかんがみ真に必要と
考えられる資金需要には的確に
対応することとしております。その規模は二十六兆七千九百二十億円となり、前年度当初計画に対しまして一七・七%の減少となっております。
以上、
財政政策等に関する私の所信の一端を申し述べました。
なお、今後、御審議をお願いすることを予定しております
財務省関係の
法律案は、先ほど申し上げました
租税特別措置法等の一部を
改正する
法律案等を含め、
平成十四年度予算に関連するもの五件、その他五件、合計十件であります。また、現在検討中のものが一件ございます。今後、提出
法律案の
内容につきましては、逐次御説明することとなりますが、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。ありがとうございました。(拍手)