○塩川(鉄)
委員 国民の皆さんがこういうことを意識される上でも政府の
施策が反映をするわけですから、そういう点での
取り組みを私、言っているわけで、個人の資産形成にわたるようなものに公費支出ができない、個人財産の強化につながるという議論そのものも改めて問われるところだと思うんです。
そういう意味では、先ほども紹介しました被災者の
住宅再建
支援の在り方に関する検討
委員会の中でも、報告書として、個人
住宅に公共性があるということが
指摘をされております。もちろん、そういう側面をしっかり踏まえた上で、国民の命を何より守るという立場での
施策というのは大きく進める必要があると思うんですね。個人
住宅への耐震補強を進めることが、結果として復興費そのものを大幅に減らすことにもつながっていく、コスト面でもメリットがあるんだということは、先ほどの
国土交通省の
調査もありましたし、この研究会の目黒助教授の
指摘にもあるところです。この耐震補強こそ、地震防災対策の第一義的な位置づけを与えるべきだと思います。
その点で、私、この間の政府の地震防災対策の
取り組みの三つの面での問題点、これはぜひとも考えていただきたいと思うわけですね。
第一点が、やはり、関東大震災以来の耐火、防火対策が前面に出たような地震防災対策ではなくて、個人
住宅の耐震改修、耐震化を図るというところへやはり優先度を持っていく、こういう方向に切りかえていかなくちゃいけない、こういう点での問題。
二つ目に、個人
住宅の耐震改修は個人責任、そうではなくて、公共性もあり、コスト面でもこちらの方が優位があるという、この立場から大いに見直していく必要がある。
三つ目が、私、東海地震の対策などをもって感じるのが地震予知、これ自身の積極面はもちろんあるわけですけれども、その議論や関心の
中心というのが、では、地震が起こったらどうしようかという緊急対応の議論が
中心となっていて、やはり事前にきちんとした備えをしていこう、地震の予防対策としての耐震改修などをしっかり行っていこうというところから逆に目が遠のいてしまうことになりはしないか。そういう点でも、静岡県でのTOUKAI—〇の
取り組みなどは大いに学ぶべき点もあると思います。
こういう点での三つの角度から、今の地震防災対策について検討もいただきたい。ちょうどこの専門
調査会も行われているときですから、大いにそういう議論を通じて、本来やはり強化をすべき個人
住宅の耐震化、私たちは、積極的に耐震補強に対して公的な
支援も行うべきだ、こういう方向で考えているものであります。そういう点での
大臣の御努力をお願いしたいと思います。
その上で、
国土交通省の耐震改修
補助制度についての幾つかの
改善を求める質問を、最後にまとめてしておきたいと思います。
これは
国土交通省にお伺いしますが、耐震診断に携わる人というのが建築士に限定されているというのが
市町村などでは大変多いんですね。横浜市などは、それに加えて建築施工
管理技士の方なども含めて、各区ごとに人を配置して窓口にしている。ですから、私、横浜市のように、耐震診断に携われる人を、建築士だけでなく、ふさわしい資格を持っているということを条件に広げていくことも必要だと思うがどうか。この点が第一点です。
二つ目に、個人
住宅の耐震補強を進めるためにも、耐震診断の助成
制度に積極的に取り組むべきじゃないか。横浜市などでは無料の耐震診断、横浜市として行っています。既にもう一万件を超える耐震診断が行われているわけです。この横浜市のような無料診断の
取り組みを、国としても大いに
支援すべきではないか。
それから次に、今回の
事業にある個人
住宅の耐震改修の地区限定を取り払うべきだと思います。関東
地方知事会からも、このような地区限定などを伴わない幅広い助成の耐震補強
支援制度を創設することという要望も上げられております。
横浜市の耐震改修
補助事業の今年度利用者、二月末で百十九人ですけれども、耐震改修に市が
支援をした方ですが、これを国のこの
制度に当てはめると、該当する人は一人も出てこないんですよ。それだけ使い勝手がよくない実態ですから、運用に当たって、
地方公共団体と市民の活用しやすいものになるように、現場の実態に合ったものにしていきたいという、このことをお聞きしたいと思います。
最後に、耐震改修の必要な方というのは、資力のない
高齢者の方が大変多いわけです。お金があれば建てかえに踏み出すわけで、横浜市の耐震改修の
事業の利用者の平均年齢は六十五・四歳です。所得が少なければそれに応じて高い
補助率を定めていますが、一番高い
補助率の利用者の平均年齢は七十一歳です。耐震改修
補助額の大幅な引き上げをお願いします。