○
原田(義)
委員 おはようございます。自民党の
原田義昭でございます。
いよいよ
国会も終わりに近づきました。この
国土交通委員会も十三本を超す法案の審議をされたということで、心から御苦労さまです。また、
大臣におかれましては、心からおねぎらいを申し上げたいと思います。
それでは、限られた時間でございますが、私に
一般質疑の
機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。私は、既に
資料をお配りしておりますけれ
ども、
踏切の問題についてちょっと特化して御
議論させていただきたい。あるいは一方的な
お話になろうかと思いますけれ
ども、その上で前向きの
答弁をいただければありがたい、こういうふうに思っているところでございます。
まず、
大臣、
東京、また各地で車に乗られたときに、
踏切に行かれますと、
遮断機がおりているときは、当然、車はとまっておるわけでありますけれ
ども、
遮断機があいているときも、車は一
たん停止をするわけでございます。安全のためには必要な
感じもしますけれ
ども、考えてみれば、
道路の交差点でも、赤のときはもちろんとまりますが、緑のときはもう当然無条件に突っ走るわけでございます。せっかく
踏切があいているのに、何で一
たん停止をしなければいけないんだろうかというのは、私も素朴な疑問として前から思っておりまして、そういうことでこのテーマを取り上げたわけでございます。
私だけがこういう素朴な疑問を持っているのかと思いましたら、実は、この
国会においても、もう過去何十年も繰り返し繰り返しこの問題が取り上げられているということに気がつきまして、後で少し
お話しいたしますけれ
ども、大事な問題ではないかなとあわせて思うわけでございます。
道路交通法三十三条というのがございまして、
鉄道を横切るときは一
たん停止しろ、ただし、
交通信号が
遮断機のところについている場合はこの限りでない、こういう書き方になっております。ところが、実態を申し上げますと、
交通信号と
遮断機が
一緒にあるというのは、考えてみれば
ダブル投資みたいな
感じもいたしますし、
全国で今日まで百七、八十カ所しかこれは行われておりません。
ちなみに、
資料をお配りしておりますが、これを見ていただきますと、一枚紙と四枚紙をちょっと手元に置いております。この厚い方の一ページだけを見ていただきたいと思うんですけれ
ども、
基礎知識として、今、
日本に
踏切の数は三万六千カ所ございます。そのうち、
一種、いわゆる
遮断機のついておるのが三万有余、それから三種、四種というところでございます。圧倒的大部分、また大事なのが
遮断機のついた
一種踏切ということでございます。
驚くべきことに、
鉄道踏切に差しかかったとき一
たん停止をしろというのは、この一枚紙に戻っていただきたいと思いますが、実は
日本だけなんです。これは、
外国に行かれた方もいるでしょうけれ
ども、
日本だけがこの
規制をやっておるところであります。厳密に言いますと、
韓国もやっておるようなんですけれ
ども、どうも
日本との歴史的なかかわりの中で
韓国もこの
ルールを持っているんではないかと私は勘案するんですけれ
ども。
いずれにしましても、この
ルールは、奇妙な
ルールと私はあえて申し上げたいと思いますけれ
ども、何でこうなんだろうか、こう思うわけでございます。もちろん二十
世紀を通じまして、私
たち日本人はこの
ルールを何も疑わずに、刷り込まれてきたようなところがございますけれ
ども、もし合理的な理由が別に考えられないのなら、あるいは撤廃の
方向に動いてもいいんではないか、こう思うわけでございます。
この一枚紙をずっとなぞっていきますと、二番目に
安全性の問題を書いております。もう何といっても、安全が
確保されるということが大事でありまして、そのために今の
道路交通法も一
たん停止を義務づけているんだろうと思いますが、後で
議論させていただきますように、この
安全性もあるいは乗り越えられる程度の
安全性ではないかな、ほかの国が全部やっているわけですから。そういう
意味で、このことを十分検討していただいた上で、このことにも前向きに取り組んでいただきたいなと私は思います。
国会の質問の中には、ノンストップにした方がかえって
安全性が
確保されるんではないか、何となれば、なまじ手前で一
たん停止したりするものですから、よろよろっと
鉄道の中に入っていってエンストを起こしたり、最近はエンストする車も少なくはなりましたけれ
ども、そういうことさえ言えるわけでございまして、いずれにしても、この
安全性をクリアするということが大切だろうと思っております。
三番目に、これは
交通渋滞の問題がございます。これはもう何といっても、私がこういう
問題提起をした一番大事なところでございまして、あかずの
踏切があり、そこで一
たん停止をすることによってますます
渋滞がひどくなる、こういうことでございます。
交通流速は一・七倍から二倍と言われておりまして、これは後の方で
データもつけておりますけれ
ども、要するに、これがなければこの
交通流速というのははるかによくなる、倍ぐらいよくなるということが言えるわけであります。
あわせて、経済的、
社会的利益と、あえてここで
試算をいたしました。これも後ろの方をまた後で見ていただきたいと思いますけれ
ども、
全国で
年間二千億円ぐらいの
経済効果があるんではないか、こういうふうに見られるわけでございます。
実は、
東京都が、石原さんになって、都内の車の
流速を飛躍的に上げようということで、あらゆる努力をしておられるやに伺っておりまして、例えば、現在十八キロメートルが
平均速度だそうでありますけれ
ども、将来二十五キロないし三十キロにするために、例えば
駐車違反を厳しく取り締まる、こういうこともやっております。
いずれにしても、この
交通渋滞をいかに解決するかということが大事だということがわかるわけであります。
あわせて、ここに書いておりませんけれ
ども、
物流の問題が党内また
政府全体としても
議論されておりますけれ
ども、いかに
日本の
物流コストが高いか、こういうところにもこの
踏切の
議論が集約されてもいいんではないかな、こう思うわけでございます。
さらに、これを取りやめることによって
省エネ効果が膨大である。数字でいきますと、
年間原油換算で五十一万キロリットル減るというふうな
計算もございます。これは全
鉄道エネルギー消費の四分の一に当たる、こういうふうに私は
試算しております。
かたがた、これはもう当然予測できることでありますけれ
ども、
環境負荷を
試算をしております、これも
環境省と
一緒になってやっておるところでありますが、百十八万トン
パー年、CO2
換算、こういうことの
省エネ環境ができるということであります。私は、今
地球温暖化の問題で、どうやって具体化しようということで
議論されておるわけでありますけれ
ども、これも大きな切り札になるんではないかと。
ちなみに、括弧の中でありますけれ
ども、
平成十四年度に実は国全体として、今年度ですよ、私の
計算で八百三億円の
地球温暖化対策費が盛り込まれているんですけれ
ども、見るところ、直接に
削減効果というのは余り見られないんじゃないかなと。他の
政策をいろいろ言うわけじゃありませんけれ
ども、例えば、
調査費とか
研究開発費、
国際協力費というのはありますけれ
ども、しかしこれは現ナマでありまして、
環境負荷がなくなるという
意味では、こういう
規制を緩和することによって
お金をかけずに達成できるんではないか、こういう
メリットも私はできると思っております。
さらに、六番目を見ていただきますと、
ETCが今
全国の
高速道路で
導入が図られておりますけれ
ども、これについては、従来の建設省、運輸省を通じてたくさんの
研究開発が行われております。ところが、この
ETCの目指すところというのは、とまっていろいろやり、まさに
環境やら騒音が問題になるところを、とまらずにやるというのがこの
ETCの
趣旨だろうと思っております。そういう
意味では、こういうようなプラスの
メリットもあるというふうに私は考えておるところでございます。
安全性が何とかクリアできれば、こういう物理的な、目に見える
メリットが享受できるんだというのが、この
遮断機の前の一時
停止をもう一回見直したらどうかということの
趣旨でございます。
実は、こういうことを調べていく過程で、先ほど申し上げましたように、もう繰り返しこの
国会でも、衆議院、
参議院でも、一
たん停止は本当に必要だろうかということが
議論になっておりました。もう
昭和三十二、三年ごろから、特に
平成十年、十一年ごろから、この
国会でももう何回にもわたって
議論されました。
一番象徴的なのは、
昭和四十年の三月に、
参議院の
運輸委員会で
河野謙三先生、
河野先生も全く同じような
問題意識で、なぜ一
たん停止をしなきゃいけないんだろうかというようなことを質問されておるわけであります。言わんとするところは、毎日通るとまさに
交通渋滞がもう延々と続いておる。当時は何か、
踏切番みたいな方が
手旗信号みたいなものを含めて差配しておったようなところもありますけれ
ども。いずれにしましても、そのことを繰り返し述べておられるわけであります。それに対して、当時の
運輸大臣の
松浦周太郎先生が、
河野さんのおっしゃること、私
自身も身にしみて
感じておりますと。
松浦大臣も東横線の
祐天寺辺に住んでおられて、いつもそういうことを
感じているんだ、こういう問題から、それが順調に流れて、なおかつうまくいくように、各省庁とよく連絡をとって頑張りたい、こういうような
答弁をやっておられるところでございます。私
自身は最近の問題かなと思って
心配しておりました。ところが、昔からこの問題があるんだなと、こう自信を得たところであります。
実は、このことについて、私も発起人の一人になりまして、今自由民主党の中では
踏切研究会という
議員連盟を立ち上げまして、既に六十数名が活発なメンバーとして入っておりますけれ
ども、この
機会に他の党の
皆さんにも
状況を認識いただいて、真剣に検討していただければありがたいな、こういうふうに思うわけでございます。
いずれにしましても、この
安全性の問題をクリアして初めてできる話でございますけれ
ども、これについて、私
どもは、
警察庁さらには
国土交通省鉄道局と前から
議論をしておりまして、正直言って
鉄道の難しさはございますけれ
ども、私は、そこはいろいろ工夫、例えばドライバーをきちっと研修し直すとかということによって大きな
事故は未然に防げるのではないか、こういう立場に立っておるわけでございます。
これを具体化していく上においては、いろいろ条件とか
障害があろうかと思いますけれ
ども、思い切って
大臣なりが
決断をしていただいて、
小泉改革、
規制緩和をやろうというようなときに、やはり二十一
世紀においては、
人間の考え方、発想から新しい時代に変えていかなきゃいけないんだということから考えますと、私は、ぜひそういう
方向で検討していただきたいなと思います。
あわせて、いきなりというのは、これはなかなか難しいかなという
感じもせぬではありません。
行政の方もまた、実験はしたいけれ
ども実験する場所もない、例えばこういうことにも悩んでおられるやにも聞いておるわけでございます。
今、
規制緩和やらで
特区の問題も出ております。どうしてもその辺の
データがそろわないなら、ある
地域で、例えば
特区を区切って二、三年やってみる。本当に大丈夫なら、それはだんだん全体に広めていくというようなことも考えられるでしょうし、
踏切を千カ所とか二千カ所とか特認をして、そしてとりあえず
データを積み上げる、こういうようなアプローチもあろうかと思います。いろいろあろうかと思いますけれ
ども、今
行政の方でも、いろいろ勉強も続けていただいておるようでありますけれ
ども、思い切った
方向も検討していただきたい、こう思います。
よく、
遮断機が閉じた後に突っ込む
事故も相当あるというように聞いております。これに対しては、竹ざおみたいな
クロスバー、これが仮に弱いとすれば、これを鋼鉄のようなものにするとか、この
クロスバーに
進入禁止の赤い枠、あれは
日本人は見る瞬間に必ずとめることになっていますから、例えばそういうような、今でもできることをすることによって、この
規制緩和は十分成り立つのではないかな、こんなふうに私は思うわけでございます。
ほかにも、
データがいろいろありまして、
メリット、デ
メリット、これは当然、比較した上での最終的な判断であると思いますけれ
ども、しかし、
心配だ
心配だと言っていると、この種の
規制緩和、特に安全、
保安に関するものですから、これは確かに
心配が募るわけでありますが、そこは、最後は
大臣の、政治的なというか、
決断、それにもかかっておるんではないかなと思っておるところであります。
きょうは、
国土交通省からも、また
警察庁からも、ずっと検討をしていただいております
局長さん
たちにもおいでをお願いしております。あわせて、
大臣にも、その辺の印象も含めて
お話を伺えればありがたい、そう思っております。どうぞよろしくお願いします。