○
中西参考人 御
紹介いただきました
交運労協の
中西です。
私
どもの
団体は、陸海空の
交通運輸の
労働者七十三万人で構成している組織です。
国土交通委員会の
先生方の皆さんには、常日ごろから私
たちの
政策に対して御
理解、御協力いただき、大変ありがとうございます。
座って述べさせてもらいます。
最初に、私
たちの
団体が非常に気にしております
規制緩和全般について、少し話をさせていただこうと思っています。
御存じのとおり、ことしの二月一日で、すべての
交通輸送機関の
需給調整規制が廃止されました。今、私
どもが見ているところによりますと、
規制緩和さえすればいいということで、
規制緩和が目的化してしまっているような現象がいろいろなところで見られます。あくまで
規制緩和は手段であって、目的は、安全で安心して
利用できる
輸送サービスを安定的に供給することだと思います。このことを忘れないように私
どもも取り組むし、また
先生方も十分おわかりだと思いますが、よろしく
お願いしたいと思います。
そこで、今までの旧
運輸省、
国土交通省の
施策としては、
事業者行政であったり、それから
事前規制であった。今回この
需給調整規制が廃止になって
消費者行政に変わり、また、
事後規制、
事後チェック体制というふうなことを言われていますが、そういうことになった。その切りかえが、もうすべて終わったにもかかわらず、私
どもとしてはスムーズにいっていない、おくれているということではないかなと思います。
多
民族国家のアメリカのように、あの量とあの
体制をつくれとは言いませんが、やはり
行政コストのかからない
事前規制にしておって、これが
事後規制にしたんですから、やはり少し、幾ら小さい
政府ということであっても、
事後規制する要員をつくっていただきたいというふうに思っております。この
事後規制というのは初めてのことで、なかなか難しいところがあるかもしれませんが、ここはよろしく
お願いしたいと思います。
個別の
法案についてなんですが、
鉄道事業法については、
需給調整規制の
法案の論議のときに、
貨物鉄道がある程度
完全民営化の見通しができるまでは
需給調整は外しませんよというふうな約束であったんですが、このところの
物流における
環境が大きく変化しておるところから、この
物流関連三法を新しい
環境に適合する方向に持ってくることに対しては仕方がないかなというふうな
感じがしております。
そういっても、
先ほど伊藤さんからもありましたとおり、
鉄道というのを
国家戦略として、もう少し
完全民営化できるようになるまで、国としてしっかり補助して育てていっていただきたいなというふうな
感じがします。
それからまた、どこに活路を見出すのかというふうな話があります。
先ほども話がありましたとおり、
旅客鉄道の
線路を借りてやっていて、売れる時間に
ダイヤが引けないというふうな
状況では、幾ら頑張れとしりをたたいてもどうにもならないんではないかなと思います。そういうことから、このところ、一連の
リサイクル法がどんどん施行されて、
静脈物流ということが
活性化を呈しておりますから、こういうところに対して優先的に実施するというのも
一つの
方法ではないかなと思います。
鉄道貨物の
最後の
お願いは、九年
ぶりに
黒字になったというふうな
お話ですが、これは
縮小均衡の
黒字であって、やはり二十一世紀の
鉄道の夢を見るというふうなことでは、今のような
状況ではいけないんではないかなと思います。
次に、
貨物取扱事業法なんですが、この
法律はなかなかわかりにくくて、僕らのように毎日それに接していてもなかなかわからぬ
法律です。そういうところで、初めて
運輸省の管轄の中で横断的になった
事業法ではないかなと思います。そういうところから、今回こういうふうな
改正は、新しい
物流ニーズに沿った
改正というふうに
理解をしております。
また、その中でも、とかく問題があった
トラックの実
運送事業者による
運送利用事業が
貨物自動車運送事業法の中に一体化して、すべてのことが取り扱われるということに対しては
評価をしますし、また、
港湾運送事業に影響のない形で、第二種
利用運送事業の中に海運を入れるということについても、私
どもは賛成をいたしたいと思います。
これによって、一部では
モーダルシフトが進むというふうな
お話がありますが、これだけでは僕は
モーダルシフトは進まない、やはり今
モーダルシフトが進まない
最大の原因は
コストの問題だと思いますので、そこはまたよろしく御議論願いたいと思います。
最後に、
貨物自動車運送事業法なんですが、これは大きな問題を抱えております。
平成二年に今の
物流二法が施行されました。私
どもとしては、
経済規制はしっかり守ろうということで
努力をしました。
行政の方も、恐らく守らすように
努力していただいたんだと思います。きょうは
事業者はいませんが、
事業者も守るように
努力したんだと思います。
しかし、
自由経済の
市場の中で、この
経済規制を守らすということは本当に難しい話です。特に、この区間は百三十円ですよ、百七十円ですよと決まっておる
お客様に対しては比較的守りやすいんですが、
事業者対
事業者、それから、強大な力を持っている荷主と私
どものような中小、弱小の
業界の中ではなかなか守ることができません。
認可運賃も守れなかった。
届け出制運賃も守れなかった。
そういう中で、次は何をしていくかということについて、これは、今問題になっている安全な
輸送をどうしていくか、それからまた、
環境にも優しい
輸送をどういうふうにつくり上げていくかというふうなことに新たな
規制をかけるしかないんではないかなというふうなことから、お手元にお配りしました、三ページの中ほどに、新たな有効な
規制の
基本的考え方というふうなことをお示ししました。
安全規制、
公平競争条件、
情報公開等の
規制の内容を明確化して、上記の
規制が完全に守られているか、漏れがないように、公平公正に、
透明性を持って点検して、点検の結果を審査して、悪いものについては悪い、いいものについてはいいと。
ここで今までのような抜けがあって、処分が緩やかということではなくて、厳罰に処す。それから僕は、
最大の
効果があるのは結果の
公表だと、
公表をして、悪いものには出ていっていただく、こういうふうな
業界にしていただければと思っています。
それから、私
どもは、この
法案に対して反対もしませんが、ここの次に書いてあるんです、新たな
ルールとそれを遵守するための具体的な事例ということで、これは
法律条項ではありませんから、これから省令とか
運用規則で決まることなので、ここを、
トラック事業における
事後チェック体制をしっかりつくり上げていただいて、活力のある、また働きがいのある職場に、
事業にしていただきたいというふうなことです。
これは少し順番がまちまちなんですが、
一つ目は、
トラック事業者の
安全評価システムの導入ということで、
トラック事業者はいろいろなことをチェックして、いい
事業者、普通の
事業者、悪い
事業者というふうなことで選別していく。
二番目が、これは、これからの
事後規制の目玉と思いますが、現在、
トラックの
事業者は
日本で五万五千四百七十二社ぐらいあります。非常に多い人数です。この
事業者台帳をみんな電子化して、それによって
Eメール等で
監査をするという
方法、そこで虚偽の申請だとかいろいろなものがあったときは
監査に入って、しっかり見ていくという
方法をとっていただければなと思います。
それから次に、
貨物自動車の場合は、自主的に
自分たちで管理するという
意味で
貨物自動車運送適正化事業実施機関というのがあるんですが、現在
トラック協会が代行しているということですから、これを完全に独立して、新たに、
中立性が保てる
状況の中でしっかりやっていくと同時に、
国土交通省の検査官もこの中に入って一緒になってやっていくというふうな新たな
監視体制をつくっていったらどうか。
それからまた、これは
先生方の議論の中でもあったと思いますが、
トラック運転者の
資格免許の新設ということで、人を運んでいる
運転者に対しては、二種
免許という
一つのプライドを持てるものがあるんですが、
トラックの
運転者については、
免許証を取ったらあしたからでも
運転ができるというふうなことで、この
業界を盛り上げる、モラールを持って
運転するという
意味から、
トラック運転者の
資格免許制度の新設をぜひ
お願いしたいなと思います。
それからもう
一つ。今、アメリカだとかヨーロッパなんかにあります、ウエートステーションといって、路上で自動車の重量をはかったり、
免許証のチェックをしたりするところを常設で設けてあります。これはぜひ
日本でも、
トラックステーションの入り口だとか、高速道路の入り口だとか、海上
コンテナターミナルの入り口に設けていただいてチェックをしていただき、悪いのは悪い、いいのはいいというふうな判断をしていただくというのが非常に
効果的なんじゃないかなと思います。また、このところ、高速道路の橋梁のクラックの問題がありますが、これはオーバーウエートが大きな原因であるので、これも取り締まれる
効果がある非常にいいものではないかなというふうに思っています。
それからもう
一つは、下請と元請との責任
体制のあり方ということで、今回初めて、すべてを
トラック事業法の中で包含してやるというふうなことになって、この下請と元請との関係ということを整理をする必要があると思いますし、これが
トラック業界の中の
一つの大きな問題点になっておるので、
荷物がどういうふうに動いたのかが明確に見えるようにしていくというふうな方向を考えていただきたいと思います。
それから九番目には、今回、営業区域を外すというふうなことになっておりますが、安全性の問題その他でかなり難しい問題があるんですが、これは後でチェックをする関係で、今、デジタルタコメーターといって、記録がたくさんあるものがありますから、ここを外す車についてはこれを必ず装着させて、後で
監査できるような
方法をとっていただくというふうなことが必要なんじゃないかなと思います。
あとは労働時間の問題です。
世の中は一千八百時間なんて言っておりますが、私
どもの平均は、恥ずかしいんですが、二千六百時間ぐらいになっています。給料の単価の低いところは時間で稼いでいるというふうな
状況です。このために二・九告示というふうなものがあって、また安全規則の中にもそれを盛り込んでいただいて、
事業法でも取り締まれるようになったんですが、なかなか
効果が上がっていないというのが実情です。これについても、厚生労働省としっかり連携をとって実効あるようなものにしていただきたいと思うと同時に、問題は違いますが、最低賃金なんということについてもこれから制定していきたいと思いますから、御協力、応援をしていただければと思います。
以上です。