○草刈
参考人 私ども
日本赤十字社にこのような
機会を与えていただきました
森委員長初め
委員の
皆様方一人一人に、心からの感謝と深甚な敬意を表するものでございます。
参考人資料というものがお手元にございますので、それに基づいて御説明させていただきます。
私ども
日本赤十字社は、ここに書いています四つの機能を持っております。輸血用血液の
製造という、余り我々にとっては使いたくない言葉ではございますが、
薬事法の用語でございますので、このようにさせていただきました。
下の方の、
法律案審議に当たっての
お願いでございますが、きょうは、その五番目の内外格差の解消について先生方に実情をお話しし、いろいろと御審議の
参考にさせていただければありがたいと思います。
次に、一ページをおあけいただきたいと存じます。
献血者、
国民の善意でいただいた血液から、
医療になくてはならない各種の
血液製剤がつくられております。
左側にございますのが輸血用血液。献血者の方々の血管からそのまま入れたものでございまして、プラスチックのバッグに入っております。ほかに十三ございまして、全部で十七種類の製剤というのが使われておりますが、下の方の円グラフがございますが、血小板が四三%とか、ほとんどが、この中に御
紹介させていただいたものがそれでございまして、輸血用血液は
日本赤十字社が一〇〇%
国内に供給させていただいております。ということは、
日本赤十字社の血液事業の危機は
日本の
医療の危機という
認識で仕事をさせていただいております。
右側にございます瓶詰のものが、分画製剤と申しまして、有効
成分を抽出し、瓶詰にしたものでございまして、私どもは北海道の千歳で一手にこれをつくらせていただいております。
二ページに移らせていただきます。
前のページの輸血用血液に、
一つ一つ、バッグにラベルが張ってございまして、このラベルが、黄色がA型、白がB型、青がO型、赤がABでございまして、先生方、御自分は何色かなということがこれでわかると思います。
実は、製剤名、我々は輸血用血液は十七種類と申しました。これが血液型その他でやりますと百八十四種類になります。しかも、
製造所ごとに、生物学的製剤基準に基づく規定で、一々、このバッグに
製造所を、小さい、虫眼鏡で見なきゃならないくらいの活字でございますが、六十四カ所でありますと、全部で一万一千七百七十六種類のラベルを我々は用意しなきゃならないということでございます。
これで、Rhのプラス、マイナスがありまして、それも用意しろというと、この二倍で二万三千五百五十二種類になるわけでございます。Rhに関しましては、上の方にございますAB型のRhマイナスがございまして、このマイナスは少ないものですから、これに張りまして、一万一千七百七十六で食いとめておるわけでございますが、これだけのことを
薬事法が輸血用血液に要求しているものでございます。
薬事法に基づく生物学的製剤基準というのがこの規定でございますが、この規定は、今話題になっております
生物由来製品あるいは
特定生物由来製品の考え方や基準の定め方に密接な関連あるいは影響を与えるものでございますので、生物学的製剤基準についてきょうは少し言及させていただきたいと思います。
三ページをおあけいただきたいと思います。
これは私どもの、献血をいただいて、問診をさせていただく。
採血のところで検体
保管がございます。すべての献血者の方々の検体を十年間保存いたします。マイナス三十度、しかも、すぐに取り出せるようにやっております。
その次に、抗原・抗体反応で、ウイルスなどの
感染を防ぐための検査をいたします。
三と書いてある核酸増幅検査。これはウイルスをそのまま試験管の中で増幅して検出するわけでございまして、BとCとI、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、エイズウイルスについて全部の献血者にやっているのは
日本だけでございます。核酸検査に合格したものを、輸血用血液として
患者さんにお届けしているところでございます。
右の方の、原料血漿というのがございます。これは六カ月、我々が自主的に
保管いたします。自主的です。これは
科学的根拠でなくて、左下にある輸血用血液が何かの不都合があったという
情報がありますと、それでとめる。とめることをやるのが大体六カ月。六カ月待っておくと九割くらいは捨てなくて済むようになる。まぜてから何千人分のを一斉に捨てるということは私たちは了としませんので、一人一人のものを凍らせてとっておいて、六カ月たってから入れます。しかしそれは、後で申し上げる平成十年事務連絡で、時々とんでもないことが起こります。
分画製剤の
製造工程に入りますと、五でございますが、ウイルスの不活化それから除去をします。不活化して死んだウイルスでも、除去しませんと核酸増幅検査で陽性に出ますので、それは除去しなきゃならぬ。除去というのは徹底的にこれをやって、おりた最終
製品に、もう一回御丁寧に核酸増幅検査をやります。それで
患者さんのもとにお届けしております。
輸血用血液は、
日本赤十字社が二十四時間三百六十五日、僻地、離島を含め、一部地域を除いて一万四千の
医療機関に日赤が直接お届けさせていただいております。現在のところ、輸血が届かないで亡くなったという声はほとんど聞いておりませんし、ないと私は信じております。
次のページ、四ページに移らせていただきます。
原料血漿というのがございました。これは、右側のピンクというか、赤いのが
日本の献血でございます。左側のは海外売血でございます。
海外売血と
日本の献血を見ていただきますと一目瞭然でございますが、検査項目が
日本の方が多い、しかも献血であるということでございます。
さらに、核酸増幅検査がありますが、私どもは小さいプール、五十人を。私どもの調査によると、九十六から一万二千プールを売血の方々がやっているということでございますが、輸入業者の方々のパンフなどから作成したものでございまして、行政御当局による調査をしていただき正確を期していただきたいと思いますが、きょう提出させていただきました。
それから、我々は六カ月の貯留
保管でございますが、外国の売血は六十日である。
これで内外の格差がないというのは、私どもは間違いではないかと思っております。また、五十プールでありましても、国の
研究者の方々はこれでもと言っていますが、外国の売血に対してそんな厳しい対応をとっているかどうかは大変疑問でございます。
薬事法に基づく生物学的製剤基準では、
国内献血を原料とする場合は海外に比べて格差があることはこれで一目瞭然だと思います。
次に移ります。五ページでございます。
先ほどちょっと触れました平成十年の事務連絡でございます。三課長通知と我々は言っております。
「記」の上のところを見ますと、「生物学的製剤基準の
改正を行う方向で検討しており、」既にNATは入れられております。「下記の方針は、それまでの当面の対応である旨を申し添えます。」と言っていますが、今でもこれは廃止されておりません。
四点ございますが、一番目は、
製造前に陽性が判明した場合は原料血漿は
使用しないとありますが、外国にもこれをさせているかどうか、疑問でございます。
三番目の、平成九年に自主回収をさせたという事例は中薬審で
報告させていただいておりますが、
感染症報告等からの
遡及調査が行われたケースについてですが、平成九年の自主回収させられた私どもの
国内のメーカーさんは、この調査は行われたと思いません。「原料血漿プールで」と言っていますが、一万二千どころか、何千人分かの血漿をまぜ合わせて陰性が明らかでないというのでございますから、ちょっと私たちはここでは理解に苦しむところでございます。
四に入りましたら、BとCとIの三種とすると言いますが、平成十年に事務連絡がございますが、十三年から、三年たってから外国の輸入も
規制を受けていますが、ただし、何人分のプールかは私どもは存じておりませんというのを前の資料で説明させていただきました。
次に、六ページに移ります。
これは
遺伝子組み換え製剤と献血由来の血液凝固因子製剤、どっちとも8因子でございますが、私どもが調べた限りでの比較表でございます。
製造工程やら精製工程がございますが、ここの青い方が全部輸入でございまして、七割弱が輸入。赤い方が
国内献血でございまして、およそ三割でございます。
最後にもう一度、核酸増幅検査をしているということに御注目いただきたいと存じます。これで、左の方の青いのを私どもは不活化する必要があると審議会で申し上げましたが、不活化するなどとはとんでもないというおしかりを受けたことがございます。ちゃんと米国では、真ん中辺にございますウイルス不活化S/D処理、必要だというふうになっております。
最後でございます。
インターフェロンの、
国内でございますが、リンパ芽球と、献血由来のものと、
遺伝子組み換えの、
三つを模式図で出させていただきました。
欄外にございますが、ヒト由来は
我が国では
承認されておりません。ここに書いているところでは
承認されております。
がん細胞由来のインターフェロンは、
我が国では
承認されております。米国や西欧では、
承認されておるものの、
使用されていない。その理由は、行政の方が調査しているかどうかは疑問でございます。
最後に、これから先生方のお力でいい
法律ができると
期待しておりますが、実際の我々の業務に一番関連のある審議会のメンバーが八ページにあります。米国の二つの審議会は二日間。
日本は二時間、しかもほとんどが学者、
研究者でございます。学者、
研究者が血液事業の実態を御存じないと言っても過言でないと私は思います。学問理論はあると思います。
先ほどの、
特定生物由来製品は
遺伝子組み換え製剤には適用しないという
寺尾先生の御発言がございましたが、私たちは、
国民のためには入れるべきだと確信しております。
以上申し上げて、私の
参考意見とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)