○金田(誠)
委員 どうもうまく私の主張が受けとめられていないのかなと、ちょっと歯がゆさ、もどかしさを感じながらおります。
私は、新しい制度には、現状の税、保険料、自己
負担を、現状の
負担割合で移行せざるを得ないということを申し上げております。税を否定しているなんということは全くございません。しかし、今後の財政事情等を考えれば保険料にウエートを置いた形で制度設計をせざるを得ないということを申し上げているわけでして、その辺ちょっともどかしさを感じながら、しかし、税投入の根拠は明確にするべきである、この点については合意をいただいた、こう受けとめさせていただきました。
この項目、前回からの引き続き分はこれで終了させていただきまして、今まで、実はきょうで四回目になるわけなんでございますけれども、それらを全部まとめてもう一回、私、レビューしてみたい。おさらいをしながら、
大臣に、端的にどうなんだということでお尋ねをしたい、こう思っております。ちょっと長い総括といいますか、今まで言ったことをなるべく短くまとめてダイジェストにいたしますので、ちょっと聞いていただければと思います。
これまでの質問を通して、七つの柱を立てて具体的な提案をしながら質問を展開してまいりました。それは、第一は、いわゆる突き抜け方式、継続加入方式の採用でございます。第二は、保険者間のリスク構造調整の導入。第三は、マネージドコンペティションの導入。第四は、保険者の再編成と民営化。第五は、患者の自己
負担のあり方。第六は、その中でもとりわけ
高齢者の患者自己
負担のあり方。そして第七は、今質問が終わりました社会保険の中の税の役割ということで、七項目の柱を立てて質問してまいりました。
そして、これらの項目を貫く制度設計は社会保険方式を中心とすること、理念としてはエージズムの排除を貫くことを主張してまいりました。しかし、まともにかみ合う答弁が必ずしもされなかったなという思いで、その点は残念でございます。
多少角度を変えながらもう一回おさらいをしますと、今日、
医療保険制度の抜本改革が叫ばれているのは、今日の制度はサステーナブルではない、持続可能な制度ではないということでございます。
それでは、なぜ持続可能でないのか。その最大の理由は、高騰を続ける老人
医療費とそれを賄うための老人保健拠出金にあります。老人
医療費の高騰と老人保健拠出金、この二つの原因により、現行制度は持続可能性を失い、破綻の危機に瀕しております。
そこで、まず一つ目の問題、なぜ老人
医療費は高騰を続けるのか。
高齢者の増加ということを別にして考えれば、最大の理由は、
高齢者の
医療費を適正にコントロールしようとする主体が存在しない。具体的には、老人保健制度には保険者が不在であるということでございます。
したがって、老人
医療費の高騰に対処するためには、保険者を明確にして、保険者機能を発揮させなければならない。このことは、老人
医療費のみならず、
医療費全般についても同じことが言えるわけでございます。
次に、二つ目の問題、なぜ老人保健拠出金制度が設けられたのか。
この原因は、被用者保険をリタイアした
高齢者は原則として国保の被保険者とされるという現行制度の欠陥にあります。
高齢者が国保に集中するという制度のもとでは、国保は必然的に破綻することになります。そこで、それを回避するための財政調整の制度として、拠出金方式による老人保健制度が創設をされたわけでございます。しかし、
高齢者が国保に集中する仕組みそれ自体を放置した老人保健制度は、びほう策にすぎません。高齢化の進展とともに持続可能性を喪失したのは、当然のことでございます。
そもそも、
高齢者を国保という特定の保険集団に集中させること自体が、再三指摘しているエージズムでございます。そして、そのびほう策として導入された老人保健制度もまた、エージズムの中の発想にすぎません。本来の解決策は、
高齢者を国保に集中させるというエージズムを脱することを抜きにしてはあり得ないと私は考えます。
さて、以上のように現状を分析すれば、解決策はおのずから明らかになります。
それは、第一に、
高齢者が国保に集中する現行制度の構造改革でございます。それは、いわゆる突き抜け方式、継続加入方式の採用以外にはあり得ません。
高齢者のみを対象とした、税を中心に賄ういわゆる独立方式は、国保の欠陥を新たな制度の欠陥に移しかえるものにすぎません。
第二に、分立した保険者間において、被保険者の
負担の公平と、保険者間の競争条件の公正を期するために、リスク構造調整が必要となります。これは、社会保険方式を採用する場合の常識であって、社会保険方式をとるすべての国において何らかの形で導入されております。
第三に、老人
医療費のみならず、
医療費全般の高騰に対し、その適正化を期するためには、社会保険という管理された枠内における競争原理の導入、すなわちマネージドコンペティションの仕組みが必要となります。
第四としては、以上一から三までを担う保険者機能を確立するには、保険者の数を十分の一程度に再編成し、さらに、すべての保険者の組合
健保化を中心とした民営化が不可欠となります。
第五としては、患者自己
負担のあり方については、患者と
医療提供側の双方にとってモラルハザードを防止するレベルで十分であると考えます。具体的には、ドイツ並みの、総
医療費の六%程度のレベルが考えられます。
第六に、とりわけ
高齢者の自己
負担のあり方については、エージズムを排除するという観点から、現役世代も同一の
負担割合とし、それはドイツ並みのレベルが限界だと私は考えます。そして、その
負担を求める条件としては、最低保障年金の制度化がセットされるべきだと考えます。
最後の第七は、社会保険の中の税の役割について、
高齢者医療を税を中心とした独立方式で設計することは、エージズムそのものであり、採用すべきではありません。また、新制度への移行に当たっては、保険料、税、自己
負担の
負担割合は、現状の
負担割合で移行し、将来的には保険料の割合が高まらざるを得ないと考えます。
以上が、過去三回と今回、計四回の質問によって私が主張してきた
医療保険制度の構造改革の内容でございます。私ども民主党、党としてもほぼ同様の内容を提案しているところでございます。
これに対して、
大臣、どうお考えになりますでしょうか。これが私の考え方ですが、否定されても肯定されても構いませんが、ここはどうだ、この部分は問題だ、この部分はそのとおりだということで、ぜひ端的にお答えをいただきたいと思います。