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阿部委員 三割
負担が果たして妥当かどうかというところも、私はそうは思っておりませんが、今の診療報酬改定で進みますと、現実にこのような形で四割になる方が必ず出てまいります。それも、私は特に、長期で必ずしも御高齢者ではなくて寝たきりのような状態になられた方をたくさん見てきておりますので、その方たちが、
介護保険施設の受け皿もなく、もちろん年齢の問題でなく、病気も限られたものしか
介護保険適用にはなりませんから、そうなると、この四割というのは法外ですし、逆に
社会的退院を強制していくことになるということで事例として挙げさせていただきました。
大塚局長の方では、またよろしく御検討をいただきまして、実際にこのような事例が起こることのないようなことを検討してくださいませ。
そして、きょうは時間との関係で、私が要求して出てきませんでした資料ですが、実は、
社会的入院を減らすために
介護施設へ、あるいは
介護保険が利用できる施設へという形の誘導は、地方自治体並びにそこに住む住民の
介護保険料のアップということを生んでまいります。今までの
医療保険ではなくて
介護保険を使いなさいというわけですが、
介護保険が二年たって、皆さんも御承知おきでしょうが、
介護保険の中で施設入所がふえればふえるほど、地方自治体の
負担は上がってまいります。このことについて、今回の診療報酬改定で、
介護保険施設に移りなさいというふうなことを誘導しておられて、それは一概に悪いとは思いませんが、ただしかし、自治体あるいは自治体に住む人々の保険料のアップに結びつくのではないか、そのことをどのように試算しておるかと担当部局に伺いましたが、まだ集計が出ていませんということでしたので、きょうは恐縮ですが、これを次回送りにさせていただきます。
ちなみに、一つだけデータといたしまして、いわゆる
介護保険の財政難が急増しているということでは、財政安定化基金の借入団体が四百二十六団体とふえております。
医療保険のしわ寄せを
介護保険に持っていくような愚はくれぐれもなさらないように、私の方から要望させていただきます。
そして、きょう私の最後の質問になるやもしれませんが、いわゆるスモン、亜急性脊髄視神経神経症と言われております御病気の方たちのことについて伺います。
スモンという言葉をもう御存じない若い
委員もおられるかもしれませんが、私にとりましては、ちょうどこの病気は、一九六〇年代、下痢を主症状とした方々がキノホルムというお薬を内服されて、その結果、視神経に障害が出る、視力の問題が出る、あるいは手足の神経がしびれる、歩行が不能になる、さまざまな障害を生んだ薬害のはしりでございます。日本における薬害問題の端緒というか、極めて印象的な薬害事件でございます。
このことに関しまして、実は、一九七〇年、中央薬事審議会でも、スモンという症状が起こるのでキノホルムの製造
中止、使ってはならぬということをいたしましたが、果たして、それを飲まされて症状を招聘した患者さん方にどのような救済がなされたか、このことは、今、医薬品の副作用の問題がさまざまに論じられていますが、当時はきちんとした救済機構がないゆえに、スモンを難病として扱うことでその場をしのいでまいりました。
このことに関しまして、昭和五十四年、当時の厚生
大臣でございました橋本龍太郎
大臣とスモンの被害者との間で、「厚生省は、治療方法の科学的研究、スモン患者らの
福祉の
向上に必要ないわゆる恒久対策の措置を講ずることについて、今後スモンの会全国連絡協議会と協議する。」と、いわゆる恒久対策を橋本龍太郎厚生
大臣がお約束されました。そのことに基づいてスモンを難病指定し、いろいろな
医療費も国において国が認めた薬による薬害なので補償してまいりました。
そして、この方たちが御高齢化してまいりました。そこで、先ほど申しました
介護の問題も当然ながら生じてまいりました。そのときに、実は、
医療保険関連の施設におりますれば、
介護の問題が生じたというか、もともとの御病気でプラス高齢化も加わり、症状はよくはなりませんから、いろいろな向きに出てまいりました。その方たちが、
医療保険の内にいるうちは国からの恒久対策で措置されておりますが、一たび
医療保険を使わないで例えば
介護保険の対応の施設に移れば、一割
負担という形で
負担を強いられることになりました。これでは、国によって起こされた薬害で体を侵され、そのことによって生じてきた要
介護状態に、今度はあなたのお金を一割出しなさいと言われる現実になっております。
私は、やはり、国の責任において恒久対策をお約束された限り、今
介護保険に移ればあなたも一割だというふうなやり方で患者さんたちに自己
負担を強いるのは、恒久対策という約束、公約、国の方針にもとると思います。ぜひとも、この点に関しまして、坂口
厚生労働大臣の前向きな、そしてスモンの被害の方たちに国がきちんと責任を最後までとるという一つのあかしとして、現在、
介護保険における一割
負担について、国としての前向きな施策、方針について御答弁をお願いいたします。