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仙谷委員 私は、まだ抗
がん剤を使うような状況に立ち至っていない、あるいは病気の種類が違うということでございますけれども、この優先十疾患というものの中に、何で抗
がん剤適正使用のガイドライン、つまり
がんの化学療法、薬物療法と言われておるようなところが入っていないのか、もう全く
理解できないんですね。
実は、どうもこの二カ月ぐらい話を
厚生労働省から聞いておりますと、このEBMに基づく
医療の推進としての優先十疾患ガイドライン作成と、この抗
がん剤適正使用ガイドラインをつくろうとした部局が違う、全然関係なしに行われているということがだんだんわかってまいりました。
それはいいのでありますが、どの病気が優先するのかということは一概にそのガイドライン作成についても言えないのかもわかりませんけれども、しかし、どうも、
がん患者になって、いろいろな
がんの方々からお話を聞いたり、いろいろなお訴えをされますと、この
日本の薬物療法、化学療法、抗
がん剤療法というものは、先進国に比べてこれまた十年おくれた、失われた十年をやってしまったということのようなんですね。これは、
がんセンターのトップクラスの方々も私に認めていらっしゃいました。抗
がん剤というのは非常に悪評の方が高くて、あれはいい細胞も殺すから余り使わぬ方がいいという、この常識が
日本の中で流布しているんですね。
ところが、この十年間の研究と臨床試験と
診療の進歩というのは著しくて、抗
がん剤はそんなものじゃないというのを、つまり、うまく使えばというのが入るわけですが、そんなものじゃないというのが、やや、最近、新聞を見ておりましても、かの朝日新聞の論調も、抗
がん剤というのは危ないというふうに十年ぐらい前に書いたのが、つい最近の新聞では、抗
がん剤も使いようによっては非常にいいんだという記事に変わりました。
アメリカのNCIですか、ナショナル・キャンサー・インスティチュートが年間五千億円かけて
がん制圧戦略を進める、その相当
部分が抗
がん剤
治療である、あるいは抗
がん剤
治療法の、あるいは新薬抗
がん剤の研究開発であるということを見ても、これは余り素人的偏見で抗
がん剤について見るのは間違っているのかなと私も考え出しているわけであります。
抗
がん剤適正使用のガイドライン、これはまだもちろん厚生省にも
提出されていませんし、学会でも認知をされていないということでありますけれども、いずれにしても、ここまでできてまいりました。できてきたガイドラインの中身を見てみますと、またこの中で八十幾つも
日本で未承認の薬がある。つまり、厚生省が委託してつくってもらおうとしたガイドライン、学会の現時点でのトップクラスの人たちがつくろうとしたガイドライン、その中で八十以上も未承認や未適用がある。
現に、ちょっとのぞかせてもらうと、こう書いてあるんです。なお、このガイドラインは、「
世界的視野でエビデンスを求めて作成した本ガイドライン」なんだけれども、その「本ガイドラインでは、推奨される抗
がん剤を
保険医療で使用できない場合が多く認められる」、こう書いてある。
つまり、せっかくこれ、厚生省に頼まれてつくったんだけれども、
保険医療では使用できない場合が多く認められる。つまり、ガイドラインをつくってもそのとおりの
治療ができないということになるわけでございます。私は、
がんというものを少々見聞きしまして、その種のことが余りにも多いということを感じました。
がんの診断について、昨日も、PETという、何かポジトロンエミッション断層撮影とかなんとか、非常に早期にわかるんだそうであります。それが、一九八九年ですか、東北大学で開発されたのに、
日本では
保険適用されずに、アメリカでは一九九八年にもう既に
保険適用されているとか、何かせっかく
日本のお医者さんやその種の人たちが努力しても全然相手にもされなかった。
私はそれを聞こうとしたら、きょう朝、厚生省の方から、いや、ことしから
診療報酬体系に、つまりそれは
保険適用もされることになりました、こういう話であります。ところが、細かい話でありますけれども、本当はこれはいわゆるお年寄りの痴呆症状の早期発見のためにも使った方がいいと言われておるのでありますが、それが適用
対象の病名から外れているというふうなこともございます。
私は、厚生省、どうもこの間お話を聞いていますと、
保険局と医政局と医薬局ですか、この所管の中で、薬物療法あるいはガイドライン等々についてはどうも余り統一されていないんじゃないか。つまり、
患者にとって何が必要かということよりも、みずからの縄張り意識で、それはこうだから許されないとか許すとか、そんな議論の方が優先しているんじゃないかという気がします。そこのところは厚生
大臣にぜひ改めていただきたいと思います。
それから、先般からお願いしてございます抗
がん剤について、FDAやアメリカその他の先進国では承認されている薬で、例えば
患者が使いたいというふうに思ったときに、それを個人で輸入して、
日本の場合には、それを使うと
保険適用が一切されなくなってしまう、その他の
治療行為も
保険適用がされなくなってしまう。これについて何とかならぬものですか。
つまり、承認をしていただくのが一番いいわけでありますが、あるいは
保険を適用していただくのが一番いいわけでありますが、それが直ちにできないとしても、
がんの薬物療法、化学療法を受けておる人たちから見れば、一刻も早く何とかしてほしい。そのことによって
生活の質がよくなったり、生命の期間をちょっとでも延ばしてほしいというのは、これは家族の願いなんですね。
それで、どこにでもある、効くか効かないか全くわからない薬じゃなくて、先ほどから問題になっておる、一応先進国ではEBMの中で、あるいはガイドラインの中で、あるいはこういう標準
治療の中で認められている薬が使えない、勝手に使っていただいたらすべての
健康保険は適用にならない、この不都合な事態は何とかならないかということをお願いしてあったわけですが、この点、
大臣、いかがでございますか。