○阿部
委員 だれにそのようなことを決める権利がおありでしょうか。御遺族はどなたかわからないのです。御遺族がわかれば、これは無縁の仏とはならないわけです。そして、
政治にかかわる者が、
政治の責任で、国が起こした戦争の責任に対して、私
たちがしかるべきおわびなり礼を尽くしたいというのが
政治家としての私の願いであります。行
政府がそのようなことを勝手に判断なさる権限もなければ、お
立場にもないということです。そして、それでは、遺骨収集に加わってきた、どの方の御遺族かは判明しません、南方方面で亡くなり、その方々の広い意味での御遺族の方々も、いつ納骨されるかを教えてほしいとおっしゃっていたはずです。あなたよりは近いはずです、その人
たちの方が。そういうことを一切無視して、
国民の声を無視して人の死を取り扱う、本当に無礼きわまりないと
思います。
私はこの場でこんなに大きな声を上げたくはない。しかし、
政治に一人の人間の生き死にへの
思いがなくなったときには、私
たちがこの場でやっていることは何の意味も持たなくなります。それを官僚の本当にさめた、冷たい態度と申します。人の生き死にに対してそのような形であるということを、私は次の
質問がありますので、あなたの御
答弁を待つ前に、一方的に言い置きまして、本来の
質問に入らせていただきます。
私はきょう前半、骨太と言われます論議をぜひとも
坂口厚生労働大臣とお願いしたいと思っております。
先ほど
佐藤公治委員が、これからの
子供を産む世代のお話がございましたが、私は、ちょうどその高齢者と言われるピークの、一番多い年齢を構成いたします団塊の世代でございます。それゆえ、我が身のこととして、そしてある意味ではまた、若い人
たちに過度の
負担をかけずに済むにはどのような形に今この
医療制度改革をしておくことが将来的な展望によって立つかという、その視点からの御
質問を申し上げたいと
思います。
私は、本日の各
委員のお話を聞きながら、私であれば、本来の中心的な論議は、当たり前のことですが、
医療費を本当の意味でまず抑制すべきというような論が真っ先に来べきかどうかということに大きな疑問を持っているという点を、まず一点指摘したいと
思います。
もちろん、
坂口厚生労働大臣もおっしゃるように、むだは省かなくてはいけません。合理化すべきところも合理化されるべきです。また、しかるべき
負担もあってよろしゅうございます。
ただ、大前提といたしまして、果たしてこの間、特に一九九九年以降、
医療費の抑制まずありきという形でどんどん
患者負担を増している現状が、基本的人権、生存権にも反する事態になっているということをかんがみた上で、本当の意味の
改革を展望していただきたいと思うものです。
まず、資料の一ページをごらんいただきたいと
思います。
お手元に配付しました一ページ目には、先進国における
医療費対GDP比、よく取り上げられる事例ですので御存じだと
思いますが、マクロな経済で見れば、日本の
医療費は、先進国中、イギリスに次ぐ低対GDP比を示しておる。また、一人当たり、購買力平価に基づく換算をいたしましても、決して日本の
医療費は高いということには値しない。
もちろん、何度も申しますが、むだはございますが、これまでの厚生行政というのは、ある意味で、人間の
医療、生命にかかわる部分をそれなりのおもんぱかりでやってこられたものの結果がここの数値であると
思います。ですから、物事を考えるときに、いたずらにまず抑制、まず削減という形でやっていけば大きな弊害が起こる。
次の二ページ目をごらんいただきたいと
思いますが、二ページ目には、GDP比と
医療費というのを縦横の相関図にとってございます。
この図におきましても、日本は、対GDP比、ほぼ平行して
医療費も上っていくわけですが、アメリカやドイツ、フランスに比してGDP比に対する
医療費の割合は少なく、かつ、昨今問題になっております六十五歳以上、これからはまた高齢者年齢どんどん上げられていきますが、とりあえず問題となっておりました高齢者人口の六十五歳で仕切りましたときのグラフで、六十五歳以上人口比と
医療費の対GDP比を縦にとりました場合は、米国、ドイツ、フランスなどよりもはるかに日本は効率よく高齢期の
医療も賄っておるというのが下の図でございます。
そして、こうした基本認識を持ちながら、さはさりながら、先ほど申しました、私
たちのような団塊世代が大挙して高齢期に突入していくときに当たって何を考えねばならないかということで、
質問の一点目をさせていただきます。
私も
坂口厚生労働大臣も
医療分野で仕事をしておりました。そして、
医療という仕事は非常に労働集約型、どういうことかというと、人の手によって成り立つ分野であり、医業収益の中に人件費比率をとりますと、平均して五割は人件費にかかわる部分でございます。国公立病院ではこれは六割、民間病院、私が運営しておりました民間病院では四割にしないと逆に設備投資や次のいろいろな仕事ができないということで、民間病院では、ある意味で賃金を抑えながらでも、人を減らしながらでも、何とか黒を出す采配をしてまいりました。
そして、この間、日本の
医療制度の中で、マクロに見ればある程度以上達成しながら、ミクロに見た場合に、先日お示ししましたように、やはり非常に
医療ミスが多いという、
医療の質の問題が
国民の大きな不安と不満の対象になっておりますが、私から見れば、アメリカの五分の一、あるいは欧米の三から四分の一の、さまざまなコメディカルも含めた
医療の人員でやっております中では、当然人手不足がミスにつながってくる場合が多々あると
思います。
ある
看護婦さん
たち、国立の病院に勤める
看護婦さん
たち約三千人余にアンケートをとられた中で、いわゆるナースコール、
看護婦さんを呼ぶ声が、自分の作業途中でナースコールによってみずからの作業が中断されたことがあるとする
看護婦さん九一%、一年間にニアミス経験のある
看護婦さん七七%、
医療事故の不安は常に解消されないとお答えになる
看護婦さん八六%というデータが出ており、最も
改善が必要なことは増員であるというお答えが八一、夜勤
体制の強化が五六%、私は現場のやむにやまれぬ切実な声がここに反映されておると
思います。
そして、本
会議でもお願いいたしましたが、
坂口厚生大臣には、ぜひとも、この間で、
医療には
医療の質とそして
患者さんの生命の安全のためにしかるべき人員が絶対必要である、それが原点であり、その後に、そのことをいかなるコストで行っていくかという段階、プライオリティー、物事の考え方の手順をきっちりとお示しいただき、この
審議をリードしていただきたいと
思いますが、一点、御
答弁をお願いいたします。