○木島
委員 私、実態を
理解していないと。
二百六十四億円もの金が、請求権がありながら、知らないから請求できないで、時効になって消えて、
機構の丸もうけになっている。せめてそれははがき一本で、大して金がかかるわけじゃないんですから、是正したらいいんじゃないんでしょうか。改めて求めておきます。今の答弁は余りにも冷たいと思います。
最近私は、
中小企業退職金共済制度が非常に重要だということを改めて認識させられた二つの
中小企業の倒産事件を知りました。具体的に
紹介します。
一つは新潟県の大和機械の件、
一つは神奈川県の株式
会社アイコーの件であります。
新潟県の大和機械の件、ちょっと話してみます。
富士通の下請です。仕事が五〇%も削減される中で、ことし四月に破産をいたしました。労働者は八十名近くおりましたが、現在三十二名が全国
一般労働組合に結集をして頑張っております。
会社が幸いにしてこの中退共
制度に
加入していたために、労働債権、すべて
退職金でありますが、そのほぼ半額に当たる約九千万円は確保されたといいます。
しかし、残念ながら、未払い
退職金八千七百三十三万円の支払いは見通しが立っておらない。そして、新潟県の第一地銀である第四銀行や中小公庫等の抵当権つき優先債権でしょう、八千五百万円がそちらの方の権利に押さえ込まれているというので、今この未払い
退職金の支払いを求めて、労働者の皆さんは、管財人、銀行と交渉中だということであります。
平均年齢五十歳、勤続二十年程度の労働者が中心でありまして、子供を進学させられない、借金が返済できない深刻な事態になっているようであります。
もう一件は、神奈川県の株式
会社アイコーの例であります。
いすゞ自動車の下請の部品メーカーでありまして、昨年十月末に倒産をいたしました。JMIU労働組合八十人が、労働債権の完全確保を目指して今管財人や横浜銀行と交渉しております。多くが四十歳から五十歳、平均十五年勤続の労働者であります。
こちらの方は、労働債権一億九千五百万円のうち、これも大変ありがたいことですが、月々の賃金未払い分五千万円は、今、大変すばらしい
制度、立てかえ払い
制度がありますから、その立てかえ払い
制度で確保申請中であります。
退職金の方は、部分的でありますが、この中退共に
会社が入っておりまして、その分は、まことにわずかですが、労働者一人五万円から百万円程度の支払いがなされておる。しかし、十年、二十年勤めた労働者が、その
会社が倒産をした。就職先なんかすぐにはないでしょう。五万、百万というわずかな
金額でありますが、この
制度に入っていたがために確保できた。
そして、ここでは残りの未払い
退職金が一億四千五百万円、今労働者はローン返済など大変困難に直面しておりまして、今力を合わせて横浜銀行などと接触をして、銀行が抵当権でもぎ取っていくんじゃなくて
退職金の方へ回してくれ、そういう血の出るような交渉中とのことでございます。
どちらも共通点があるんですね。大手の下請の
中小企業であります。そして、大手の今のリストラ攻撃、受注削減、そして銀行の不良債権の早期処理でしょうか、そういう対応の中で、
経営が悪化し、つぶされていったわけであります。多額の労働債権が残っているのも共通です。
特徴が二つあると思うんです。
一つは、この中退共
制度に
加入していたために一定の
退職金が確保され、曲がりなりにも立てかえ払いが行われ、当面の
生活が、数カ月でしょうけれども、保障されたということ。大変、この
制度がいかに大事かということをこの例は示している。もう
一つ教訓があるんですね。本来受け取るべき債権額から見ればほど遠い
金額しか保障がない。それで、当該労働者の
退職金が不払いになっている最大のがんが、銀行が抵当権を持っている、そっちが優先権があるという問題でございます。
そこで、もう時間が来てしまいましたが、私は、この二つの例を見て、二つの点が今政治の最大の優先課題だと思います。ぜひ
坂口厚生労働大臣にはそういう
方向で頑張っていただきたい。
一つは、現在の中退共
制度を、削減なんじゃなくて、より魅力あるものにし、
加入をふやし、国庫からしかるべき金も出して維持、前進させるということ。
二つ目には、私が、昨年でしたか、十一月、神奈川県川崎市の池貝の話をいたしました。銀行が抵当権でもぎ取っていって
退職金がもらえない、そして民事再生手続になっていると。今私は、せめて銀行から
退職金の方は払われるべきだというので国税当局にも追及をいたしましたが、おかげさまで、あの事件は、
金融機関が
退職金を保障するということで、大変すばらしい解決になりました。ありがたいと思っております。
そういうことを考えるにつけ、日本の法
制度が労働債権の上に抵当権を持っている、労働債権よりも上に国の、国税の債権はあると。これを逆にしないと、国際条約もあるわけですから、抵当権や税金債権よりも
法律上の優先権を労働債権に与えてもらいたいということを前回も要求して、そういう
方向で
厚生労働省頑張っておるようでありますが、その取り組みの進捗の
状況を最後にお聞きして、要望も兼ねて、一応私の質問はここで閉じたいと思いますが、その進捗
状況だけ答えてください。