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石井(紘)
分科員 それは大分違うんだと私は思いますよ。
というのは、
住宅金融公庫は
廃止するということを決めたわけでしょう。
証券化というのはまだこれからやろうかどうかという話でしょう。それは論理的にもおかしいのですね。まだやっていないことを、やるから、そうすれば
民間にもできるようになる。それは将来のことなのであって、今、
住宅金融公庫は
廃止になったわけですから、それじゃ
説明がつかない。
そうではなくて、なぜ
住宅金融公庫が
廃止になったかということは、今まで
民間でできることは
民間でと言ってきたことが実は間違いだったんだ、
民間にやらせなきゃならないことを、
政府が法律をつくって
予算措置をして、そしてやってきちゃったから、
民間でできなくなっちゃったんだ、
民間でできない
状態をつくっておいて、
政府でなければできないから
政府がやるんだということでやってきたところに間違いがあるんだということなんですよ。
こういう
金融事業、その他の投資
事業もそうですが、お金を借りてきて投資をする、そしてそれを回収して返済する、こういう投資
事業というものは、経済がやることなんです。行政がやることじゃないのです、基本的に。
だから、そこを率直に認めないと、この
特殊法人改革というのは、
大臣、スタートしていかないのですよ。こういうあいまいな形でやりますと、名称は
特殊法人であれ
独立行政法人であれ、必ず実体はそのまま残っていくのです。必ずそうなるのです。そこのところをはっきりしないとだめですよ。
長期固定の
ローンというけれども、
長期固定の
ローンは今まで全部失敗してきたじゃありませんか、
政府がやってきたのは。その都度特別損失を出して、何回出しましたか、特別損失を。そして、膨大な特別損失をずっと昨年度まで処理し続けてきたじゃないですか。
政府の交付金というものを新たにつくって、補給金以外に交付金というものを、莫大なものを設定して、そしてずっと、基本的には昨年よりことしの方が、ことしより来年の方がたくさんの金をつぎ込んで、ずっとそうやってやってきたんじゃありませんか。そんなものは、市場がやっているんじゃないのだから、成り立たないのですよ。市場ではそんな二十年も三十年もの固定の金利なんということは成り立つことじゃないのですよ。
そういうことをいかにも経済的に成り立つかのごとくごまかして、そして、これまで
住宅金融公庫というのを無理やり存続させてきた。その結果、戦後つくられた全住宅の三分の一以上もの
融資を、
ローンを、ひとり
政府の機関であるところの
住宅金融公庫が独占してきたということが起こって、そして、これは経済、金融に対しても大きな市場のデメリット、市場に対してこれは大きな打撃を与えてきたわけですよ。
今や金融そのものが、日本経済の中の金融部門そのものがにっちもさっちもいかなくなった。そこで、
政府系の金融を見直そうじゃないかと。
私が計算したところでは、この間、本にも書いて出しましたけれども、
民間の貸出高、サラ金も含めた全金融機関の貸出高の総額は五百二十・四兆円です。それに対して、公的金融機関、
政府系金融機関の全貸出高は六百四十八・六兆円です。これは全部
政府にいろいろな資料を出していただいて、それを集計したものですよ。
こういう
状態になっているから、日本の金融が不良債権処理だなんて一生懸命やったって、あんなものは飛行機が下へ向かって一生懸命エンジンを吹かすようなものですよ。市場が破壊されているんだから、利子はつかないし、金融機関はこういう
状態だからですよ。全部
政府系の金融機関が仕事をやっちゃって、経済を壊している。市場のものを奪って、市場を壊してしまっている、市場経済じゃなくしてしまっているんです。日本は市場経済の国じゃなくなったんですよ。そういう
状態の中で、不良債権処理だなんてばかなことを一生懸命、逆噴射をするようなことをやっている。市場じゃないところでそんなことをやっているわけですよ。だから、あらゆる問題を解決するには、
政府の経済活動というものをやめなきゃいけない。その一環がこの
住宅金融公庫の
廃止でなきゃならないわけです。
住宅金融公庫は、私は、議事録を調べてみましたら、ちょうど五年前、
平成九年の三月に、この
委員会だったかあるいは建設
委員会だったと思いますが、
住宅金融公庫を
廃止しなさい、
廃止して、
住宅ローンの
証券化を実現し、
公庫を保証機関にしなさい、そういうことを五年前に提言して、五年たってようやく、今そういう案が出てきましたよ。出てきましたけれども、中身は、先ほど申し上げましたように、これではいつまでも、ずるずるやはり
政府の
事業としてやっていこうということになってしまう。したがって、この内容について少しやり取りをさせていただきたいと思うのですね。
特殊法人整理合理化計画の
住宅金融公庫関連
部分というところでもって書いてあることを幾つか取り上げてみたいと思いますが、「
融資業務については、
平成十四年度から段階的に縮小するとともに、利子補給を前提としないことを原則とする。」
融資業務は段階的に縮小するというのですが、縮小計画というものはあるのですか。何年間で
融資業務を一切なくしてしまうとか、あるいは、なくすということはないんですか。