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北村(誠)
分科員 自由
民主党の
北村誠吾でございます。
通告に従いまして、私見を交えながら質問をさせていただきたいと思います。かねて
政府委員の方々に御
答弁をお願いしておりますので、よろしくお願い申し上げます。
私は本日、二点、大きく項目を分けまして質問をさせていただきます。
まず一点は、諫早湾干拓
事業のことでございます。二点目は、大中型まき網漁業に関することについてお尋ねをさせていただきたいというふうに存じております。
まず、諫早湾干拓
事業の件でございますが、私ぜひ、本日御
出席の
委員の諸
先生方、また国民の
皆さん方に御理解をいただきたいと願っておりますこと、私見を交えて申し上げさせていただきますが、
有明海におけるノリの不作、これと魚介類の漁業不振ということについては分けて議論をしていく必要がある、考える必要があるというふうに認識しております。
ノリはもともと、御承知のとおり、アサクサノリで有名な東京湾など、富栄養化の進んだ海域で生産されるものであります。
有明海はアサクサノリ生産の南限、南の限度というふうな意味で南限と言われております。
一昨年のノリ不作は、
第三者委員会が
指摘しておりますとおり、異常な気象条件が重なって生じたものである。しかも、今期
平成十三年の生産量は史上第一位の量となり、過去二十五年間を見ましても、金額においても六位、生産数量としては史上第一位というものであります。諫早湾の締め切り後、
平成十
年度が五位、
平成十一
年度は八位であり、
平成十二年の不漁を除いて、豊作が続いております。
これを見ますとき、むしろ
有明海におけるアサクサノリの生産については、養殖ノリの求める成育
環境などなどを考えるとき、ノリ生産が、ある意味で一定の限界に達しているというふうに考えるべきではなかろうかと考えるものでございます。
特に、酸
処理の導入によってノリの生産は拡大を続けてまいりました。酸
処理は、ノリ生産には欠かせない手段になっております。しかし一方、その酸
処理は貝類には、ノリ生産と反比例するように減少しております。過去二十五年間の
データを、
第三者委員会で
検討された中で提出された資料を見ましても、その数字は歴然と
データにあらわれております。ノリの生産は酸
処理が始まってからぐんぐん伸びております、上昇しております。一方で、魚介類の特に貝類の生産は、反比例するように急激に低下をいたしております。
このために、タイラギガイの
漁業者とノリ
漁業者の間でぜひ議論をし、この
対応を詰めていきたいというふうな考え方や
意見が地元にはあるということも承知いたしておるわけでございます。
また一方、諫早湾干拓
事業は、既に九〇%近く完成を見ております。既に洪水や高潮といった災害に大きな
事業の効果を発揮しております。締め切り以前は、後背地に暮らす人々は、毎年のように長い時間湛水に苦労してきました。他の地域と異なって、
有明海の干満の差は、諫早湾で六メートルもあります。そのために、潮位に合わせて樋門を日夜管理しなければならない。
また、これが諫早湾干拓の特徴でありますけれ
ども、ぜひ御理解をいただきたいのでありますが、
有明海の潮流は、言われますように時計の針と反対回りの方向に回っております。この潮流によって運ばれてくる泥、特に諫早湾に参りますときには浮泥、浮き泥と言われるように、極めて粘土質で粒子の細かいものが諫早湾に到達し、それが潮流、潮汐によって湾の奥にどんどん送り込まれて、運び込まれてくるというものでございます。
有史以来、約四百五十年前から諫早湾周辺に住まう人々は、この
有明海から運んでこられる、阿蘇山あるいは久住山あるいは雲仙岳から噴火した火山灰が諫早湾の方にずっと運んでこられるというもの、この極めて粒子の小さい泥を諫早湾に運び込まれますから、かねてから小さな干拓によって、狭い耕地、優良な水田等を、それこそ人海戦術で数百年にわたって干拓
事業をやってきたわけです。
その干拓
事業をやらなければ、諫早平野に住む人々そのものが泥にのまれて、泥が湾の外側から運び込まれることによって泥にのみ込まれ、あるいは泥が排水を妨げるということによって水にのみ込まれ、水につかってしまうというふうなことで、排水を確保するために、わかりやすく言うと、まさにムツゴロウのように
干潟の中にみずから入り込んで、常に、一年じゅう排水を確保するために日夜
干潟の泥との闘いを続けてきたというのが、諫早湾干拓の長い歴史における地域住民の営みであります。これに命がけ、生活をかけてやってきたわけであります。
今回の諫早湾干拓
事業は、昭和二十七年に
長崎県知事が発案をして、いろいろな経過を経、
政府並びに各政党の努力等々によって、今日、私
どもが望むところよりも、どんどんどんどん縮小、変更を重ねてまいりましたけれ
ども、しかし、来るべき営農に希望を持って、これが実現のためにいろいろなことで
皆様方に、他の県の
皆様方にも御迷惑をかけてはおりますが、ぜひ御理解をいただきたいということで、今日に臨んでおる次第であります。
ですから、私は、
干潟は自然
環境保全のために極めてよいものである、
干潟は優しいものである、
干潟は自然のためにぜひそのまま守らなければいけない、そういう考え方に立つことを決して否定するものではありません。
しかし、今申し上げますように、諫早湾の
干潟につきましては、これは、じっと自然のままにほうっておけばその
干潟の泥は、四百何十年かかってやってきた、営々として築いてきた干拓地をのみ込み、水田よりもはるかに高く、
干潟は諫早湾の外から泥を運んでこられる潮流によって山積みになるのであります。ですから、それによって排水が妨げられ、
干潟がダムになってしまうわけであります。これを排除しないことには、農地も住居も、あるいは生命も財産も確保できない。こういうことから、この諫早湾干拓
事業あるいは防災干拓
事業というものが計画されたわけでございます。
私は、このことを国民の
皆さんあるいは一部政党の
皆様方にもぜひ理解をしていただかなければ、この諫早湾干拓
事業が根本的にいかようなものであるかということが御理解いただけないのではないか。したがって、やはり現地に行ってその
状況というものをつぶさに見ていただくことが一番わかりやすいことであると思います。
しかし、一部政党の方々は、現地に数回にわたりおいでになりましたが、なかなか理解が得られないという方々もあります。この不思議を、私は今度一緒に行って、私自身も
説明をさせていただきながら、お互い納得のいく
意見の交換というものが必要じゃないかと思ったりするところでございます。
以上、諫早湾干拓につきまして私見を述べさせていただきましたが、これらのことを踏まえた上で、今後、
農水省としては、諫早湾干拓においてどのような営農というものを目指していこう、展開していこうとお考えなのか、大まかな
答弁で結構でありますから、簡潔にお答えをいただきたいと思います。よろしくお願いします。