○有川
会計検査院当局者
平成十
年度農林水産省の
決算につきまして検査いたしました結果の
概要を御
説明いたします。
検査報告に掲記いたしましたものは、
不当事項二十六件、意見を表示しまたは処置を要求した
事項二件及び本院の
指摘に基づき当局において
改善の処置を講じた
事項四件であります。
まず、
不当事項について御
説明いたします。
検査報告番号一四〇号は、道路建設工事の施行において、設計が適切でなかったため、横断暗渠管の所要の安全度が確保されていない状態になっているものであります。
検査報告番号一四一号は、中国青年農業指導者育成事業において、支出した事実がない額を事業費に含めていたため、国庫補助対象事業費の精算が過大となっているものであります。
検査報告番号一四二号は、卸売市場流通高度化事業において、還付された
消費税相当額の取り扱いが適切でなかったため、国庫補助対象事業費の精算が過大となっているものであります。
検査報告番号一四三号は、復旧治山事業において、アンカー工費等の積算を誤ったため、工事費が割高となっているものであります。
検査報告番号一四四号は、農業用施設災害復旧事業において、ため池の堤体復旧工の設計が適切でなかったため、工事の目的を達していないものであります。
検査報告番号一四五号、一五三号及び一五四号の三件は、自動制御製茶機械を設置する事業において、既存の製茶機械の売却額を控除していなかったため、国庫補助対象事業費の精算が過大となっているものであります。
検査報告番号一四六号から一四八号までの三件は、精米施設または水稲育苗施設を設置する事業において、補助対象外の経費を含めていたため国庫
補助金の交付が過大になっていたり、補助事業で設置した施設の用途を廃止したりしているものであります。
検査報告番号一四九号は、水
環境整備事業において、設計が適切でなかったため、水路等の所要の安全度が確保されていない状態になっているものであります。
検査報告番号一五〇号は、広域基幹林道開設事業において、ヒューム管の施工が著しく粗雑となっていたため、工事の目的を達していないものであります。
検査報告番号一五一号は、農林漁業用揮発油税財源身替農道整備事業において、設計が適切でなかったため、橋梁張り出し床版の所要の安全度が確保されていない状態になっているものであります。
検査報告番号一五二号は、農林漁業用揮発油税財源身替農道整備事業において、施工が設計と著しく相違していたため、ボックスカルバート等の所要の安全度が確保されていない状態になっているものであります。
検査報告番号一五五号から一五八号までの四件は、林業
改善資金の貸し付けにおいて、借り受け者が、貸付決定前に既に納入させていた機械を対象として貸し付けを受けていたりなどしていたものであります。
検査報告番号一五九号から一六五号までの七件は、農業改良資金の貸し付けにおいて、借り受け者が、機械等を貸付対象事業費より低額で購入したりなどしていたものであります。
次に、意見を表示しまたは処置を要求した
事項について御
説明いたします。
その一は、農業経営
改善促進資金の貸し付け及び全国低利預託基金の活用に関するものであります。
農業経営
改善促進資金の貸し付けが極めて低調で、国からの多額の出資によって造成された全国低利預託基金の大
部分が活用されていない事態が見受けられましたので、農林水産省に対して、農業経営
改善促進資金の金利、貸し付け方式等について、金融情勢等の
変化並びに認定農
業者及び融資機関双方のニーズに対応したものとなるよう
改善の意見を表示いたしたものであります。
その二は、並型魚礁設置事業における事業計画の策定及び魚礁の管理・活用に関するものであります。
魚礁設置後の漁獲量が減少しているにもかかわらず、その原因を十分調査、検討することなく事業を繰り返し実施しているなど事業計画の策定及び魚礁の管理・活用が適切を欠いており、事業効果が十分発現していない事態が認められましたので、水産庁に対して、事業計画策定の際に用いる増加見込み量の把握方法を定めるなどするよう
改善の処置を要求いたしたものであります。
次に、本院の
指摘に基づき当局において
改善の処置を講じた
事項について御
説明いたします。
その一は、農業構造
改善事業における農業協同組合連合会の手数料の算定に関するもので、手数料率等が農業協同組合連合会の業務の実態に適合したものとなっていない事態が見受けられました。これについて
指摘したところ
改善の処置がとられたものであります。
その二は、糖業振興臨時助成金の交付に関するもので、助成金の額を事
業者の見込みの欠損額に基づいて算定しておりましたが、実際の損益額との間に乖離が生じていたため、助成金が過大に交付されておりました。これについて
指摘したところ
改善の処置がとられたものであります。
その三は、林道開設工事等の機械土工の積算に関するもので、地山を掘削した後のルーズな状態となった軟岩は押し土・積み込み作業が
効率的になるのに、大きな塊が相当残る岩塊・玉石や破砕岩の場合の作業
効率を適用していたため積算額が過大となっておりました。これについて
指摘したところ
改善の処置がとられたものであります。
その四は、漁港整備事業における土運船による運搬費の積算に関するもので、しゅんせつ工の実態に見合っていない過大な規格の土運船が選定されていたため、積算額が過大となっておりました。これについて
指摘したところ
改善の処置がとられたものであります。
引き続き、
平成十一
年度農林水産省の
決算につきまして検査いたしました結果の
概要を御
説明いたします。
検査報告に掲記いたしましたものは、
不当事項十四件、意見を表示しまたは処置を要求した
事項一件及び本院の
指摘に基づき当局において
改善の処置を講じた
事項五件であります。
まず、
不当事項について御
説明いたします。
検査報告番号一五九号は、農業集落排水事業において、設計が適切でなかったため、汚水処理水槽等の所要の安全度が確保されていない状態になっているものであります。
検査報告番号一六〇号は、漁港修築事業において、ケーソン製作費の積算を誤ったため、工事費が割高となっているものであります。
検査報告番号一六一号は、農業経営育成
対策事業において、高率な最低制限価格を設定したため、割高な契約を締結することになっているものであります。
検査報告番号一六二号及び一六六号の二件は、経営基盤強化林業構造
改善事業等において、仕入れ税額控除した
消費税額に係る
補助金を返還していなかったものであります。
検査報告番号一六三号は、農業集落排水事業において、汚水処理施設管理棟の施工が設計と著しく相違していたため、工事の目的を達していないものであります。
検査報告番号一六四号は、農林漁業用揮発油税財源身替農道整備事業において、残土処理工費の積算を誤ったため、工事費が割高となっているものであります。
検査報告番号一六五号は、農林業地域
改善対策事業において、舗装工の施行が著しく粗雑となっていたため、工事の目的を達していないものであります。
検査報告番号一六七号は、経営基盤確立農業構造
改善事業において、農用地の整地工費の積算を誤ったため、工事費が割高となっているものであります。
検査報告番号一六八号から一七二号までの五件は、農業改良資金の貸し付けにおいて、借り受け者が、貸し付けの対象とならない事業について貸し付けを受けたりなどしていたものであります。
次に、意見を表示しまたは処置を要求した
事項について御
説明いたします。
これは、水田麦・大豆等の生産振興を図るための技術
対策の実施に関するものであります。
水田麦・大豆生産振興緊急
対策技術・営農実証事業におきまして、実証する技術の判定方法が明確でないなどのため事業が効果的に実施されていなかったり、作業記録がないなどのため事業の実施
状況を十分確認できなかったりしている事態などが見受けられましたので、農林水産省に対して、事業効果の発現及び確保が図られるよう
改善の処置を要求いたしたものであります。
次に、本院の
指摘に基づき当局において
改善の処置を講じた
事項について御
説明いたします。
その一は、地域農業経営確立総合
対策における事業効果の発現に関するもので、ソフト事業としての推進事業とハード事業としての支援事業が有機的に
連携して実施されておらず、事業の効果が発現していない事態が見受けられました。これについて
指摘したところ
改善の処置がとられたものであります。
その二は、指定野菜価格安定
対策事業の運営に関するもので、事業の対象となる野菜指定産地が、指定野菜の作付面積、指定消費地への出荷割合等の産地要件を満たしていないのに適切な処置がとられていないなどの事態が見受けられました。これについて
指摘したところ
改善の処置がとられたものであります。
その三は、農業集落排水事業における汚水処理区の設定に関するもので、経済性の
観点から見て、隣接した汚水処理区を接続することなどにより事業費の低減が見込まれる事態が見受けられました。これについて
指摘したところ
改善の処置がとられたものであります。
その四は、造林補助事業における間伐の標準単価の設定に関するもので、標準単価で想定している作業内容と、実際に行われている作業内容とが適合していないと認められる事態が見受けられました。これについて
指摘したところ
改善の処置がとられたものであります。
その五は、国有林野の素材生産事業等における輸送費の積算に関するもので、素材の輸送で使用する車両の標準
車種及び素材の積載量が、各森林管理局等の要領で区々となっていたため、積算額が過大となっておりました。これについて
指摘したところ
改善の処置がとられたものであります。
以上が、農林水産省
決算についての検査結果の
概要であります。
次に、
平成十
年度農林漁業金融公庫の
決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた
事項はございません。
引き続き、
平成十一
年度農林漁業金融公庫の
決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた
事項はございません。
以上です。