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渡海委員長 平成十年度決算及び
平成十一年度決算についての議決案は、
理事会の協議に基づき、
委員長において作成し、
委員各位のお手元に配付いたしております。
これより議決案を朗読いたします。
平成十年度及び
平成十一年度の
一般会計歳入歳出決算、
特別会計歳入歳出決算、
国税収納金整理資金受払計算書及び
政府関係機関決算書に関する議決案
本院は、両年度決算について、予算執行の実績とその効果、会計検査院の検査報告などに重点を置いて審議を行ってきたが、さらに改善を要するものが認められるのは遺憾である。
一 予算の執行状況などからみて、所期の目的が十分達成されるよう、なお一層の努力を要する事項などが見受けられる。
次の事項がその主なものであるが、
政府は、これらについて特に留意して適切な措置を執り、その結果を次の常会に本院に報告すべきである。
1
外務省等における報償費詐取事件及び渡切費不正使用問題をはじめとする一連の不祥事は、公金の管理及び使用の適正を欠き、
国民の行政及び
外交に対する信頼を揺るがせたことは誠に遺憾である。こうした不適切な事態の再発を防止し、
国民の信頼を回復するため、職員の倫理意識の向上、会計経理の適正化、業務の公正性の確保など、一層の改善に取り組むべきである。
加えて、報償費については、本来の目的に沿った使用を徹底すると同時に会計検査院の検査体制を一層充実すべきである。また、将来の
課題として、報償費の検査に関し、何らかの形で
国会が関与することができるようにするための方策につきその研究を開始すべきである。
また、
政府開発援助(ODA)予算の策定及び執行に当たっては、
政府のみならず、非
政府組織(NGO)や有識者の
意見を反映するための仕組みを検討するとともに、執行の透明性を確保し、事業の効果を適切に評価し得る体制を確立するための制度の
見直しや管理体制の充実強化が必要である。
さらに、「
支援委員会」の在り方については、様々な問題が指摘されたところであり、
我が国の対露基本方針を踏まえ、
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支援事業の今後の在り方や
支援組織の抜本的
見直しに着手すべきである。
2
政府においては、
企業会計の手法を考慮した国の貸借対照表を公表するなど、財政情報のより一層の開示に努めてきていることは認めるところであるが、いまだ不十分である。したがって、その後の公会計制度の在り方に関する
議論をも踏まえ、国の財政の実情を
国民にわかりやすく説明し、財政
運営に対する説明責任及び透明性の一段の向上に資するため、
企業会計手法を活用した国のストックの財政事情の説明について、さらなる適切な開示に努めるべきである。
3 公益法人の中には、各
省庁からの業務委託がなされ、それに伴って相当額の補助金や委託費が交付されているものがあるにもかかわらず、その活動状況や
財務内容について情報公開がいまだ不十分であり、
国民の理解が得られているとは言い難い。加えて、
特殊法人とともに官僚の主要な天下り先になっていることもたびたび指摘されている。
したがって、公益法人については
特殊法人と同様に抜本的な制度
改革を実現し、事業の透明性の確保と情報の開示に一層努めるべきである。
4 公共事業の入札・契約事務手続や各種調達手続については、透明性、公正性、競争性確保の必要がたびたび指摘されている。したがって、随意契約の濫用によらない公正な競争入札制度の確立など、公共事業の入札や契約事務手続及び航空機選定等の事務手続は、より一層の適正化を図るべきである。
公共事業の財源は、
国民の貴重な税金により賄われていることを再度深く認識するとともに、最近の厳しい財政事情を踏まえ、その必要性や効果を十分に吟味すると同時に、事業の選別を強化し、より効率的、効果的な事業の執行に努めるべきである。
なお、公営
住宅については、従来までの運用の在り方にとらわれず、健全なコミュニティーを構築するために公団等の公共
住宅等を含めた総合的な運用を図るべきである。
5 会計検査院の検査機能の充実について、これまでも本院においてしばしば議決を行ったところではあるが、今後より一層、会計検査院の独立性と財政の事後監督機能を高め、もって、公金支出に対する実効ある会計検査に資するよう、会計検査院の予算、人員、組織の充実強化を図るべきである。
6
政府は、安全な食品の供給のための危機管理体制の確立を図り、食品行政への信頼回復と牛海綿状脳症(BSE)問題解決に向けて早急な
対策を講ずるべきである。
二 会計検査院が検査報告で指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。
政府は、これらの指摘事項について、それぞれ是正の措置を講ずるとともに、綱紀を粛正して、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。
三 決算のうち、前記以外の事項については
異議がない。
政府は、今後予算の作成及び執行に当たっては、本院の決算審議の経過と結果を十分考慮して、行財政
改革を強力に推進し、財政
運営の健全化、行政の
活性化・効率化を図るとともに、政策評価等の実施を通じた効果的かつ効率的な行政を推進し、もって
国民の信託にこたえるべきである。
以上が、議決案の内容であります。
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