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2002-10-11 第154回国会 衆議院 経済産業委員会 第31号
公式Web版
会議録情報
0
平成
十四年十月十一日(金曜日) 午前十時十七分
開議
出席委員
委員長
谷畑
孝君
理事
栗原
博久
君
理事
竹本 直一君
理事
中山
成彬君
理事
鈴木
康友君
理事
田中
慶秋
君
理事
河上 覃雄君
理事
達増
拓也君
伊藤信太郎
君
小此木八郎
君 梶山 弘志君
桜田
義孝
君
西川
公也
君 林 義郎君 平井 卓也君 増原 義剛君
松下
忠洋
君
松島みどり
君 保岡
興治
君
山口
泰明
君
吉野
正芳
君 生方 幸夫君
小沢
鋭仁君
加藤
公一
君 川端 達夫君
中山
義活
君 松原 仁君 松本 龍君 山田 敏雅君 山村 健君
斉藤
鉄夫
君
福島
豊君 土田 龍司君 大森 猛君 塩川 鉄也君
北川れん子
君
宇田川芳雄
君 …………………………………
経済産業大臣
平沼
赳夫
君
文部科学
副
大臣
渡海紀三朗
君
経済産業
副
大臣
高市
早苗
君
経済産業
副
大臣
西川太一郎
君
経済産業大臣政務官
桜田
義孝
君
経済産業大臣政務官
西川
公也
君
政府参考人
(
資源エネルギー庁長官
)
岡本
巖君
政府参考人
(
資源エネルギー庁原子力
安全・
保安院長
)
佐々木
宜
彦君
参考人
(
原子力安全委員会委員長
)
松浦祥次郎
君
経済産業委員会専門員
鈴木
正直君
—————————————
委員
の異動 十月二日
辞任
補欠選任
伊藤
達也君
松下
忠洋
君 根本 匠君 川崎 二郎君 茂木 敏充君 横内 正明君
西川太一郎
君
野田
毅君 同月四日
辞任
補欠選任
大村 秀章君
桜田
義孝
君 阪上
善秀
君
西川
公也
君
野田
毅君
松浪健四郎
君 同月八日
辞任
補欠選任
大島
令子
君
北川れん子
君 同日
辞任
補欠選任
北川れん子
君
大島
令子
君 同月十一日
辞任
補欠選任
下地
幹郎
君
山口
泰明
君
山本
明
彦君
吉野
正芳
君
北橋
健治
君
小沢
鋭仁君
後藤
茂之
君
加藤
公一
君
漆原
良夫
君
斉藤
鉄夫
君
大島
令子
君
北川れん子
君 同日
辞任
補欠選任
山口
泰明
君
下地
幹郎
君
吉野
正芳
君
山本
明
彦君
小沢
鋭仁君
北橋
健治
君
加藤
公一
君
後藤
茂之
君
斉藤
鉄夫
君
漆原
良夫
君
北川れん子
君
大島
令子
君
—————————————
七月三十一日 一、
経済産業
の
基本施策
に関する件 二、
資源エネルギー
及び
原子力
安全・
保安
に関する件 三、特許に関する件 四、
中小企業
に関する件 五、
私的独占
の禁止及び
公正取引
に関する件 六、鉱業と
一般公益
との
調整等
に関する件 の閉会中
審査
を本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した
案件
政府参考人出頭要求
に関する件
経済産業
の
基本施策
に関する件(
東京電力原子力発電所
における
不正記録問題等
) ————◇—————
谷畑孝
1
○
谷畑委員長
これより
会議
を開きます。 この際、
西川経済産業
副
大臣
、
高市経済産業
副
大臣
、
西川経済産業大臣政務官
及び
桜田経済産業大臣政務官
から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。
西川経済産業
副
大臣
。
西川太一郎
2
○
西川
副
大臣
このたび
経済産業
副
大臣
に
就任
をいたしました
西川
でございます。
委員長
を初め
委員
の諸
先生
の御
指導
、御
鞭撻
をいただきまして、
平沼大臣
を補佐し、現下の厳しい
経済状況
の中で、一日も早く
日本
の
産業政策
のよろしきを得て
経済
が回復をいたしますように、微力でございますが努力をしてまいりたいと存じます。 御
指導
、御
鞭撻
をよろしくお願い申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。(
拍手
)
谷畑孝
3
○
谷畑委員長
次に、
高市経済産業
副
大臣
。
高市早苗
4
○
高市
副
大臣
先生方
、おはようございます。このたび副
大臣
に
就任
いたしました
高市早苗
でございます。
不良債権処理
、加速いたしますと、それに伴うさまざまな問題が出てくると思いますので、
委員
の
先生方
の御
指導
もいただきながら、
デフレ対策
、我が省で何ができるかということを精いっぱい考えながら頑張ってまいりたいと思います。 それから、私も、
委員
の
先生方
と同じように
国民
の
代表
であり、また
納税者
の
代表
であると思っております。この
委員会
での御議論を通じまして、
先生方
の御
指摘
や御
質疑
の中で、
経済産業省
が気がついていない点、それから私自身も気づいていない視点をたくさん与えていただけると思いますので、アンテナを高くして、一人でも多くの
国民
の声が的確に
行政
に反映できますように精いっぱい頑張ってまいりますので、よろしくお願いをいたします。 本当にありがとうございます。(
拍手
)
谷畑孝
5
○
谷畑委員長
次に、
西川経済産業大臣政務官
。
西川太一郎
6
○
西川大臣政務官
おはようございます。このたび
経済産業大臣政務官
に
就任
をいたしました
西川公也
でございます。
我が国経済
は大変厳しい
状況
が続いておりますけれ
ども
、
平沼大臣
のもと、しっかりやっていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。(
拍手
)
谷畑孝
7
○
谷畑委員長
次に、
桜田経済産業大臣政務官
。
桜田義孝
8
○
桜田大臣政務官
このたび
経済産業大臣政務官
を拝命いたしました
桜田義孝
でございます。 日一日と深刻化する
日本経済
の中で、
デフレ経済脱却
のために本
委員会
の果たす役割は極めて大切であろうと思っております。
大臣
、副
大臣
、
政務官ともども協力体制
を組みながら、一生懸命働かせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。(
拍手
) ————◇—————
谷畑孝
9
○
谷畑委員長
経済産業
の
基本施策
に関する件、特に
東京電力原子力発電所
における
不正記録問題等
について
調査
を進めます。 この際、お諮りいたします。
本件調査
のため、本日、
政府参考人
として
資源エネルギー庁長官岡本巖
君及び
資源エネルギー庁原子力
安全・
保安院長佐々木
宜
彦君
の
出席
を求め、
説明
を聴取いたしたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
谷畑孝
10
○
谷畑委員長
御
異議
なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————
谷畑孝
11
○
谷畑委員長
東京電力原子力発電所
における
不正記録問題等
について
政府
から
説明
を聴取いたします。
佐々木
原子力
安全・
保安院長
。
佐々木宜彦
12
○
佐々木政府参考人
おはようございます。
原子力
安全・
保安院長
の
佐々木
でございます。 このたびの
東京電力
におきます
不正記録等
の問題に関しまして、
原子力
に対します
国民
の
信頼
を根底から揺るがすこととなりました。
本件
に関しては、基本的に、
東京電力
の
企業倫理
あるいは
技術者倫理
の問題に帰するところが多いわけでございますが、しかし、一方、
安全規制そのもの
につきまして、
検査
の
あり方
も含めまして、
安全規制
の
あり方
に関しましての多々反省するべき点も多かったと思っております。 今回、十月一日までに、
事案
の事実
解明
、それから、私
ども
原子力
安全・
保安院
が
調査
をいたしました
申告
から
公表
までの二年間の
調査過程
に関する
検証
、それから、今後の
再発防止対策
、この
三つ
につきまして十月の一日に
公表
をさせていただきまして、今全力で今後の
対応
に取り組んでいるところでございます。 本日は、
先生方
に配付させていただきました
資料
の中で、表題が「
原子力発電所
における
不正記録問題等
の
調査
結果と
再発防止
について」という五枚紙がございます。これに沿いまして御
説明
をさせていただきたいと思います。 この
資料
の四ページでございますけれ
ども
、「これまでの
経緯等
」というのがございます。 まず、
東京電力
の
原子力発電所
における
不正等
に係る二十九件の
事案
の概要ということでございますが、
東京電力
の
福島
第一、
福島
第二、
柏崎刈羽
の各
原子力発電所
のうち十三基の
原子炉
に係る
自主点検記録
について
不実記載等
の二十九件の不正の
疑い
があることが
原子力
安全・
保安院
の
調査
により判明をいたしたわけでございます。 これらは、国が直接立ち会って
検査
する対象ではなく、
原子炉
の
安全性
に重大な
影響
を及ぼすものではないわけでございますけれ
ども
、ただし、
機器
の
ひび割れ等
が現在も残っている
可能性
のある十一件につきましては、念のため
当省
が
安全評価
をいたしまして、直ちに
原子炉
の
安全性
に重大な
影響
を与える
可能性
はないと
判断
をいたしまして、八月二十九日にその結果を
公表
したものでございます。
シュラウド
に
ひび割れ
の
疑い等
のある
運転
中の
原子炉
として、
福島
第一の四号機、あるいは
福島
第二の二から四号機、
柏崎刈羽
一号機は、
電気事業者
の自主的な
判断
により順次
運転
を停止いたしまして事実の
確認
を行うことにいたしておりまして、また、その際、
保安院
の
検査
官が立ち会いを行うということにいたしているところでございます。
調査
の
経緯
でございますけれ
ども
、
平成
十二年の七月でございました、当時の通商産業省に対しまして、
米国GE
の
子会社
の元社員から、
点検記録
の書きかえなどの不正が行われた旨の
申告
を受けたわけでございます。当時、
当省
として、直ちに
東京電力
に
連絡
するとともに、さらに
申告者
から新たな
申告案件
一件を
追加情報
として得たわけでございます。その後、数次にわたり事実
関係
の
確認
を求めてきたわけでございますけれ
ども
、
調査
は極めて難航をしてきたわけでございます。
当省
は、十三年の十一月ごろでございますが、
作業
を行った
GE
の
子会社
に対しても
調査
の
協力
を要請しました。ことしの十四年一月から
申告者
の
情報
の
裏づけ情報
を徐々に入手いたしまして、より確実な
裏づけ
を得ました。改めて
東京電力
に対して追及を行ってきたわけでございますが、
東京電力
は、八月に入りまして、
申告
の
案件
二件を含めまして不正の
疑い
がある二十九件があることを認めまして、
関係
する
原子炉
の
名称等
を
当省
に開示したわけでございます。 こうした
経緯
をたどりまして、私
ども
は、
立入検査
の
実施
、
東京電力
からのいろいろな
事情聴取
を踏まえまして事実
関係
の
解明
に努めまして、「
中間報告
(案)」を十月一日に
取りまとめ
たところでございます。 この結果は、一ページに戻っていただきたいのでございますけれ
ども
、「
経済産業省
の
調査
結果」ということでございます。 この二十九の
事案
につきまして分析と
評価
を行いました結果でございますが、まず、
技術基準適合義務等
を遵守していなかった
可能性
のあるものが六件ということでございますけれ
ども
、これは、
炉心
の中に
円筒状
の
シュラウド
という
構造物
がございますけれ
ども
、発見された
シュラウド
の
ひび割れ
に関して、
電気事業法
の三十九条に基づく
技術基準
に適合しているか否か
事業者
として
確認
すべきであったにもかかわらず、その
確認
及びその傷の進展に関する
評価
や継続的な監視の
記録等
を適切に行わず放置していた、こうしたことから、
技術基準
に適合しているとの確証が得られない
事例
があったわけでございます。したがいまして、
技術基準
を遵守していなかった
可能性
がある、こういうものと、さらに、
関係法令
に定められました
書類保存義務
を果たさなかった
可能性
のある
事例
として六件という
評価
を行いました。 また、国の通達で国に対して
報告
すべきことが定められた
原子炉
の
運転
に関する重要な
機器
に対します
機能低下
、あるいはまた、そのおそれがある故障が生じた場合に該当する
可能性
があった場合でございますけれ
ども
、
報告
における
発見日
として事実が起こった日と異なる日付を記載するなどの
事例
がございました。 また、私
ども
は、
トラブル
がございますと、その
トラブル
を
水平展開
ということで各
原子力発電所
に反映するというようなことをやっておりますけれ
ども
、こうした問題が発生しているにもかかわらず国への
報告
をしなかった
事例
として五件という
評価
をいたしております。 さらに、
事業者
の
自主保安
の
あり方
として不適切な
対応
でなかったかということで
指摘
をいたしたものが五件ということでございます。 一方、1の(3)でございますけれ
ども
、
東京電力
に、本店への立ち入り、
発電所
への立ち入りを行いましたが、この
本件
の
事案
に関しまして、私
ども
の
評価
といたしましては、特に
東京電力
の
社内体制
につきましては、いわゆる各
部門
の間の内部の
連絡
、
部門間相互
の
チェック体制
あるいは全社的な
監査体制
などが十分に機能していなかったことが私
ども
の聞き取りでも明らかになりました。このため、
品質保証システム
が機能せず、過去の
保守点検作業
の結果につきまして事後的な
確認
が困難となったり、あるいは
関係部門
間で共有しておかなければならない
情報
が共有されない結果となった
可能性
があります。 また、こうしたことが、
情報
を公開した場合、その後の
対応
が必要になることについての懸念、こうしたことと相まちまして、極端な場合には
記録
の改ざんや
隠ぺい
につながる
要因
になったと考えております。 また、今回、私
ども
の
調査
を行う
過程
におきましては、過去の
点検記録
などについて十分な
確認
ができない場合もございました。しかしながら、全体の、今回の二十九の
案件
につきましては、事実の
解明
について、
中間取りまとめ
ではございますが、一応の
取りまとめ
ができたというふうに考えております。 それから、一ページの2でございますけれ
ども
、「新たに国に
報告
された
案件
」といたしまして、東北電力、
東京電力
、中部電力、
日本
原子力
発電の
発電所
のそれぞれの
事案
における
ひび割れ等
でございますけれ
ども
、これにつきましては、
当省
といたしまして、
法律
に基づく
報告徴収
あるいは
立入検査
を
実施
いたしまして
調査
を行いました。その結果、明白な不正はなく、
安全性評価
も
実施
されているということでございましたが、
評価
としては、国への
報告
が望ましかったと考えております。これらにつきましては、引き続き、
関係資料
の内容を詳細に分析し、
事案
の
解明
に取り組んでいく方針でございます。 二ページをごらんいただきたいと思います。「
東京電力
に対する
行政措置
」ということでございます。
先生方
のお手元に、「
経済産業省
」と書きまして、
経済産業大臣平沼赳夫名
で
東京電力南社長あて
の
指示文書
が入っておりますけれ
ども
、
当省
といたしまして、
東京電力
において
品質保証システム
が適正に機能していなかったこと、とりわけ全社的な
チェック
、
監査体制
が十分機能していなかったことを重く受けとめ、十月一日、
東京電力
に対して、このような
事案
を発生させたことについて厳重に注意を行いました。また、あわせて、
規制
上の立場から、特別厳格な
保安検査
の
実施
あるいは
定期検査
の
実施等
の
行政措置
を講じることを
文書
にて指示をいたしたところでございます。これが事実
関係
でございます。
二つ目
は、二ページの「
外部委員会
による
評価
及び
改善策
の
提言等
」ということでございますが、これは、
東京電力
の
点検記録
等不正の
調査過程
に関する
評価委員会
、
委員長
は前
原子力安全委員長
の
佐藤一男先生
にやっていただきましたが、この
評価委員会
の
調査
結果によりまして、私
ども
の
行政
の行為につきまして
一つ一つ検証
が加えられ、結果といたしまして、
規制
として多々反省すべき点があると厳しい
指摘
を受けているところでございます。 この
評価委員会
の方では、総合的な
評価
といたしまして、こうした
事案
におけます最も大きな責任は、
自主点検記録
の
不正等
を行った
東京電力
にあるが、同社は
社内モラル
の再
確立
や
組織体制
の改革に取り組み、
再発
を防止することが何よりも必要である。同時に、
保安院
により二年間にわたって行われた
調査
についても、以下に述べるように反省すべき点が多々ある。この
本件事案
の処理に当たりまして、
保安院
が、特に
技術面
を中心とした
安全確保
の
観点
から
対応
してきたが、
原子力安全行政
に対する
信頼
の
確保
、すなわち
行政
の
説明責任
に対する認識が不十分であったことに起因するものである。
保安院
は、
本件事案
の反省に立った
改善策
を十分に
検討
し、早急に具体的な
対策
を講じていくことが必要であると厳しい御
指摘
を受けているところでございます。
指摘
の
状況
につきましては、(1)に「反省すべき点が多々ありと
指摘
」ということで、1から5まで書いてございます。
一つ
は、
初期動作
、
調査手順
に関する問題でございますが、早い
段階
で
申告者
やその
関係者
への直接接触を行わなかったことは、
調査手順
上、問題である。
申告者
の
個人情報保護
については、氏名に関する
情報
など、
調査
に必要でない
情報
や個人のプライバシーに関する
情報
を
東京電力
に示したことは極めて不適切である。
法律
に基づく
調査権限
の行使ということをもっとより早い
段階
で行使すべきであった。
調査期間
の間延びについても、さらに期間が短縮できる余地があった。また、より早いタイミングで
公表
しようという
基本姿勢
が希薄であったというような御
指摘
を受けているところでございます。 また、今後の
再発防止等
の
対策
といたしまして、特にこの
委員会
で御
指摘
をいただきましたのは、
申告
があった場合には、それが重大な事故につながる
可能性
のある
事案
を早期に発見できる端緒と認識して、その上で、すべての
申告案件
について、特に
安全性
及び
違法性
の両方の
観点
から、迅速かつ機動的に
調査
を行うことが求められるという御
指摘
を受けております。 そういうことで、
保安院
が行う
調査
を監督、
指導
助言する機関として、
外部有識者
から成る
申告調査委員会
を十月八日から立ち上げたところでございます。 なお、
本件
に関しましては、
調査過程
において問題があったということで、
当省
の、私も含めて
関係者
が処分を受けております。 次に、「
再発防止策
の
検討
」でございます。 これにつきましては、
原子力安全規制法制検討小委員会
、
委員長
の
東京大学教授
の
近藤駿介先生
が
取りまとめ
られたわけでございます。これにつきましては、今回の
事案
に関しまして、国側の
要因
として、
規制
の
ルール
が不明確な部分があるとか、いろいろな御
指摘
を受けたところでございます。 そこで、
再発防止
の
検討
については、1から7まででございますけれ
ども
、今後、
原子力安全規制
の
ルール
の
明確化
ということで、
事業者
が行う
自主点検
につきまして、
記録
の保存義務づけあるいは国の
審査
の導入ということが必要である。二つとして、設備の
健全性評価
の義務づけと
評価基準
の
明確化
が必要である。それから、組織的な
不正行為
に対する罰則の強化、
事業者
の
安全確保活動
における
品質保証
の
確立
の
義務化
、
申告制度
の
運用改善
、また、
情報
の公開、
原子力安全規制行政体制
の一層の
充実
という
指摘
を受けております。 私
ども
、こうした
再発防止策
を受けまして、今後、早急に
電気事業法
の改正、
技術基準
の整備、
原子力安全規制行政体制
の
充実
、
申告調査委員会
の
運営等
に取り組んでいきたいと考えております。 どうぞよろしくお願いいたします。
—————————————
谷畑孝
13
○
谷畑委員長
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。
栗原博久
君。
栗原博久
14
○
栗原委員
栗原
でございます。お時間をいただきまして、ありがとうございます。 今、
保安院
からいろいろ、るる
説明
がありましたけれ
ども
、幾ら
説明
いたしましても、
国民
、そして特に
原発
の
立地県
の皆さんにとりましては、上のそらの話にしか聞こえません。と申しますのは、「もんじゅ」、
ジェー・シー・オー事故
など、かつてこのような
情報隠し等
のいろいろ事件があったわけでありますから。 そしてまた、
原子力
というものは、
我が国
の最も今大事な問題でございまして、例えば、今回、
東京電力関係
でも、
福島
、
新潟
の各
原発
では、これから
核燃料サイクル
、リサイクルの
関係
の問題について一生懸命、
プルサーマル計画
について、
住民
からの
反対
はあるけれ
ども
国策としてのそれにやはり
協力
しなきゃならぬというこれらの県、今
三つ
の県、
新潟
、
福島
、福井ですか、
関係市町村
、約五市町村あるわけですが、これらの
自治体
の長の方々あるいはそこの
理事者
の方は一生懸命にやっておるわけであります。しかしながら、今日このような不祥事が発覚いたしまして、残念きわまりないと。 特に
新潟
県におきましては、新しい
原発
、
巻原発
ということで、巻町では
住民投票
をして、
反対
が行われている。また、かつて
刈羽
におきましても、ラピカとか、
原発
にまつわる
関係
でいろいろな問題がある。その中で、
柏崎刈羽
でも、
プルサーマル
に
協力
しようとしても、やはり
住民
からの
問題提起
があり、昨年の五月ですか、確かに
刈羽
村では、
住民投票
をやりましたところ、ノーとなった。しかし、やはり国の
エネルギー政策
は重要だということで、議会ではそれに対する決議を行って、
刈羽
村では、今まで約十五カ所で、村内で一生懸命に村長が
対話集会
をやっておる。最後の
対話集会
が終わった八月二十九日に突如この問題が出てまいったわけでありまして、もはやこれによって
プルサーマル
は御破算だということになっていると私は思うんです。当然、
新潟県知事
初め各
県知事
も大変厳しい
対応
を求めている。 また、このような結果があらわになっても、二年間も全然
自治体
に
報告
も、あるいは
連絡
もない。
柏崎
におきましては、エネルギー庁はわざわざ
現地事務所
までつくってやっている。その中で今回の、
シュラウド
の
機器
を初め、循環の
機器
を初めとするこのような
隠ぺい工作
は、国と地方
自治体
、そしてまた
立地県
の
県民
との
信頼関係
を極めて損なったと私は思っておるわけであります。 そしてまた、そういう中でも、現在、十一
案件
ですか、こういう問題が起きてもまだ
原発
が動いているわけですね。今
保安院長
のお話では、
安全性云々
という話がありました。しかしそれは、
専門家
がそうおっしゃっても、
原発
を誘致する
県民
にとりましては、やはり、何を言っているんだということになると私は思うんですよ。 こういう中で、今
保安院
は、安全問題のいろいろなことについての御
説明
がありましたけれ
ども
、今十一件ですか、
原発
が動いていますよ。どういう
根拠
で安全なのか、これを明確に御答弁願いたいと私は思います。
佐々木宜彦
15
○
佐々木政府参考人
二十九件の
事案
のうち、
機器
の取りかえあるいは修理が未
実施
の八基十一件につきまして、私
ども
も、
専門家
の意見も聴取いたしまして
評価
もいたしました。 具体的な解析の手法でございますけれ
ども
、
シュラウド
につきましては、
米国機械学会等
で
確立
されました
評価方法
に基づきまして、厳しい条件で
ひび割れ
の
状況
やその拡大の見通しを
評価
いたしております。各
炉心
の
シュラウド溶接線
の
ひび割れ
は、安全上問題となる長さには達せず、直ちに
原子炉
の
安全性
に
影響
を与えるものではないことを
確認
しました。 他の
案件
につきましても、
ジェットポンプ
の
固定用部品
のすき間の問題、摩耗の
問題等
五件ございますけれ
ども
、
ジェットポンプ
の
主要部材
が脱落する
可能性
は低いわけでございますが、万一脱落した場合であっても、これは、検知し、問題を生ずる前に
対応
することが可能であると
評価
をいたしました。 さらにもう一件、
ジェットポンプ計測用配管
の
ひび割れ
に係る一件につきましては、万一
計測用
の
配管
が破断しても
原子炉圧力
に
影響
を及ぼすものではない、異常が検知可能であるということで、
総合判断
をいたしまして、安全上の問題となるものではないということを技術的に
評価
いたしました。
栗原博久
16
○
栗原委員
原発
の問題は、技術的なことは我々
国民
は
信頼
して、
新潟
県でも
原発
の誘致について同意しているわけなんですよ。しかし、あなたが幾らそのような科学的な
根拠
とか言っても、
安全性
については今重大な瑕疵がないということだと思うんだけれ
ども
、しかし事実、
原発
の
立地県
の方だけではなくて、
国民
全体の八六%が、今あなたが言っていることについては信用できない、納得できないと言っているんです。 これについて、私は、真摯に反省といいましょうか、この問題は、
保安院
とか
資源エネルギー
庁とか東電の問題だけじゃないんですよ。
我が国
のエネルギーサイクル全体の問題であり、これから
プルサーマル計画
等についての大きな問題なんですよ。特に、新しくこれから
原発
を、今私
ども
の
日本
の国はまだまだ電力需要が起きてまいりますよ。現在三四%の
原子力
依存ですが、まだまだ足りない。
原子力
立地の新しい地域もこれから模索している。全く水泡に帰した問題であると私は思います。 私は、いつも地元におきましては、そんなに安全ならば
原発
を東京につくったらいかがですかと。なぜ地方に、
原発
とか産廃施設とか迷惑なものだけを持ってくるんですかと。あるいはまた、道路問題ですが、いろいろ地方のことで道路問題を言っても、彼らはみんな言うんだ、我々のところにだけ不利な条件を押しつけて、これは中央と地方の一種の差もあると私は思うんです。しかし、今この問題で、
国民
全体の八六%が
保安院
の今の答弁は納得できないと。これは、全力を尽くしてこの
安全性
をやはり追求していただきたいということを私はまずもって
大臣
にお願いしたいと思っております。 さて今回の、例えば
福島
のことでございますが、
福島
第二発電の三、四号機、ことしの七月に安全
検査
のレビューの
評価
では、
安全性
について
信頼
性が高いと。ところが、これがいつの間にか撤回されて、何の
説明
にも至っていない。九二年に東電は、
福島
第一発電の一号機の
定期検査
で、格納容器の気密試験で、故意に格納容器に空気を注入しまして、この漏えい率の不正操作をしたという
情報
があるわけであります。 この問題は、この不正操作は、今回問題になった
シュラウド
等の
隠ぺい
問題でも重大な問題と実は私は思っておるわけでありまして、これについて
調査
をやっているわけですが、
調査
が長引けば長引くほど
福島
県等の
立地県
の不安が増すわけでありまして、この件の
調査
はどのように進んでいるか、そして、そこには疑惑があったのかということを明確に御答弁願いたい。
桜田義孝
17
○
桜田大臣政務官
格納容器は、万が一の
事故
の際に放射性物質の放出を防ぐ重要な機能を持っているものでございます。このため、国の
定期検査
に際して漏えいの
検査
を行っておりますが、
福島
第一の一号機の格納容器漏えい
検査
に関する不正の
疑い
の件について、仮に事実とすれば、重大な問題であるというふうな認識をしているところであります。 また、
原子力
安全・
保安院
は、九月三十日に、
電気事業法
の
報告徴収
命令を出し、
東京電力
から
報告
の提出を受ける等、事実
関係
を把握するための
調査
をしているところでございます。また、この
調査
については、事実
関係
に関する
情報
が極めて乏しいこと、法令の被
規制
者でない点検
作業
を請け負った企業からも
調査
を行う必要があること等により、慎重に
調査
を進める必要があることから、いましばらくの時間をいただきたい、そんなふうに思います。 いずれにしても、事実
関係
の
解明
を行うべく
調査
を行っており、不正があれば厳重に
調査
をしていきたい、こんなふうに考えております。
栗原博久
18
○
栗原委員
桜田
政務官は常に厳しいお方でありますから、今の御答弁を踏まえて早急に、
県民
があるいは
国民
がこの問題について、安心といいましょうか、やはり私は、ひとつ真実を
報告
していただきたい、そしてまた
安全性
に万全を期していただきたいと思います。 次に、今回のこの
隠ぺい
の問題、アメリカのゼネラル・エレクトリック社の一技術者がこの問題を、二〇〇〇年の七月の三日ですか、
保安院
の方に
報告
があった。その後、
保安院
の方の
説明
もございましたけれ
ども
、かつて、つい一九九九年の東海村の臨界
事故
を機に、
原子炉
等の
規制
法の改正によって内部告発の
申告制度
の奨励を実はやっておる。そしてそこで、内部告発してもその人を首にするとかおとがめをしないということをちゃんと条文に書いてあるわけでありますが、この勇気ある告発をした方を東電にすぐその翌日に電話で話をする。さらにその後、昨年の十二月二十五日ですか、
文書
をもって、そしてまた、その
検査
の
記録
あるいはこのアメリカ人との会話の
記録
までも、全部それを名前も記して東電に示したということが
情報
によってうかがえるわけですが、こういうことはまさしく
法律
違反でありますね、この方がどういうふうな処分を会社から受けたかどうかは別として。 このことについて、先ほど
保安院
の方で、処分云々というふうな話がございまして、内部的に処分がありました。この告発者を守るという立場、そして
保安院
の
法律
を守るという立場、このような中で、このような
情報
を東電に漏らしたといいましょうか、
報告
した、こういうことについて、私はやはり厳重な処分があってしかるべきだと思うのでありまして、東電では、現職の社長以下歴代のかつての三人の社長さん、経団連の役員もやっている方、みんな職を去って
責任
をとったわけなんですよ。監督官庁であります
保安院
に一切おとがめがない、これは、私は、一国
会議
員という立場と同時に、
原発
を抱えている
立地県
の
県民
を
代表
いたしまして、これでは納得できない。これについてどのような処分をお考えであるか。 もう処分は終わったと言われればそれで終わりだけれ
ども
、しかしながら、
立地県
の方々、それに先ほど私が申したとおり、
刈羽
の品田村長はあの八月二十九日のそのときまで、
我が国
の
エネルギー政策
を思いながら
プルサーマル
の
対話集会
を続けておったんですよ。そういう気持ちを思うならば、私はしかるべき処分があってもいいと思うんですが、これについて御答弁をお願いしたいと思います。
平沼赳夫
19
○
平沼
国務
大臣
まず、答弁をさせていただく前に、今回のこの一連の
事案
によりまして、
信頼
と安全というものを担保しなければならない
原子力
行政
におきまして、
国民
の皆様方の
信頼
を大変損なった、そして不信感をお与えした、このことは本当に申しわけないことだと思っておりまして、エネルギー
行政
の
責任
者として、私は、今まで御
協力
をいただいた
立地県
の皆様方を初め
国民
の皆様方におわびをしなければならない、このことをまず申し上げさせていただきたいと思っております。
当省
におきます先般の処分に関しましては、あくまで厳正中立な立場から、
行政
サイドにおいてどのような問題があったのか、そういう原因究明でございますけれ
ども
、それを虚心坦懐に見きわめることが必要だ、こういう考え方で、私の直属の機関として、有識者の方々、各分野の方々に入っていただきましたけれ
ども
、
評価委員会
を設置いたしまして、
原子力
安全・
保安院
の
調査過程
の妥当性等について御審議をいただきました。 先般の私
ども
がいたしました処分は、その
評価委員会
の
中間報告
での厳しい御
指摘
も踏まえまして、
行政
サイドにも不適切な点があった、このことを率直に認めまして、その上で処分内容を決断したものでございまして、その処分内容については、私は、厳正なものであった、このように思っているところでございます。したがいまして、さらに処分をすべきだ、こういう御
指摘
もございますけれ
ども
、私は、再処分をするつもりはございません。 その上であえて申し上げさせていただきますと、
自主点検記録
に関して不正をみずから行ったことを認めている企業において当該
責任
者をどのように処分したかということと、不正の
指摘
を受けて
調査
を行った
行政
側において、当該
調査
の
過程
で不適切さが認められた職員をどのように処分するかということは、比較になじむ事柄ではないと私は考えております。 また、今お話の中にありました
申告者
に関する
情報
に関する御
指摘
については、具体的に
申告者
はこの人であると伝えたわけではないものの、判読の可能な署名でございますとか、あるいは氏名に関する
情報
が含まれた
資料
、そして
情報
を
東京電力
に示したことは、これは事実でございまして、この
資料
や
情報
の提示の中で、
調査
指示
に必ずしも必要でない
情報
を含めて示したことは、結果といたしまして、御
指摘
のとおり
申告
に基づく
調査過程
における
対応
としては不適切であった、このことは言わざるを得ないと思っております。 こうした点も勘案をいたしまして、
本件
の
調査過程
に関与した
関係者
につきましては、
調査過程
における不適切な
対応
という点に着目をしまして、御承知のように、組織のトップから担当課長まで、国家公務員法上の懲戒処分を含めて厳正に行わせていただいたところでございます。
栗原博久
20
○
栗原委員
今
大臣
からそういうお話がございましたけれ
ども
、これから
プルサーマル
とかをやる場合、やはり国の立場の方々が身を切って初めて
立地県
の方々の御同意を得られるということで私は申し上げたいと思っております。 さて、
プルサーマル計画
につきましてでございますが、この事前了解が先ほど私が申しました
新潟
、
福島
、福井で行われ、そしてまた、例えば
新潟
県では一九九九年の二月に事前了解を行っているんですが、この九月の十三日に、平山知事を初めとする県からは、これはなかったことにする、白紙撤回だということでした。 しかし、そうでありますが、
政府
の見解は、
プルサーマル
をこれからも推進せねばならない、当然だというお立場もわかるんですが、この中で、今私が言ったとおりに、これらの
関係
各県の
自治体
、そして
住民
は強烈に拒否反応を示しているわけでありますが、この中において、
我が国
の
原発
をどのようにこれから持っていくか。 ただ、私は、確かに維持基準等について、アメリカに比べたら
我が国
の法整備というものはちょっとまだ未熟であったか、それがこういうことで問題も大きくなったかと思っておりますが、しかしながら、それはそれによって許せるものじゃないと思っております。これからの
原子力
政策全般について、あるいは
プルサーマル
等の問題について、
大臣
としてどのような決意で臨むかについてお聞きしたいと思います。
平沼赳夫
21
○
平沼
国務
大臣
原子力
安全に対する基本的な考え方というのは、日常的に
保安
活動を行いまして、最も身近に潜在的にリスクを感知し得る立場にある
事業者
が一義的に
責任
を持って
確保
するとともに、これを国が適切に
確認
していく、こういうことが私は絶対に必要なことだと思っています。 そういう意味で、この十月一日に
取りまとめ
られました総合
資源エネルギー
調査
会
原子力安全規制法制検討小委員会
の
中間報告
事案
において示された
再発防止策
は、
事業者
の
保安
活動を基本に、国がその
実施
体制等を
確認
することによりまして、
安全確保
の実効性を高め、
国民
の
信頼
性を回復することを目指すものでございまして、
再発防止策
として六つの御提言をいただいております。
一つ
は、自主
検査
を法令上明確に位置づける。
検査
の結果の
記録
を義務づけなさい。
事業者
に対しては、
ひび割れ等
については、科学的、合理的な
根拠
に基づく
信頼
できる手法を用いて
評価
することを義務づけなさい。それから、組織的な不正を抑止するために罰則を強化すべきだ。それから、先ほど御
指摘
がありました
申告制度
の運用の改善、二年もかかる、こういうことじゃなくて、これを徹底的に改善しなさい。五つ目は、
品質保証
体制が
確立
されるような制度の整備を行うこと。また、当たり前のことですけれ
ども
、地域
住民
等
国民
への
説明責任
を果たすこと。こういうことで、私
ども
としては、次期臨時国会に、こういったことを勘案し、そしてこの精神を盛り込んで、法案を提出する準備を進めております。 また、今後の
プルサーマル計画
の
実施
についてでございますけれ
ども
、今回の
事案
によりまして、
原子力
に対する
国民
、
住民
の
信頼
を失ったことの
影響
は本当に御
指摘
のとおり大変大きなものがございまして、
プルサーマル
を初め
原子力
政策をめぐる情勢は率直に言って厳しいものがあると思っています。 しかし、エネルギーの安定供給や地球温暖化防止の
観点
から、
原子力
発電の重要性については変わりないことだと思っておりまして、この
原子力
発電を
国民
の
信頼
を得て末永く続けていく上で、私
ども
は
プルサーマル
の
実施
は必要だ、このように認識しておりまして、
当省
としては、
再発防止策
を徹底的に
実施
することをこの再出発点といたしまして、努力を積み重ねて、そして
国民
の皆様方の
信頼
を本当に回復する、そして国の
エネルギー政策
をしっかりと進めていく、こういう決意で臨んでまいりたい、このように思っております。
栗原博久
22
○
栗原委員
ありがとうございました。
立地県
の一人といたしまして、今後やはり、謙虚に、粘り強く、該当する方々について説得されるようにお願いしまして、私の質問といたします。ありがとうございました。
谷畑孝
23
○
谷畑委員長
田中
慶秋
君。
田中慶秋
24
○田中(慶)
委員
私は、民主党を
代表
して、今回の
東京電力原子力発電所
の不正
記録
に関する問題について質問をさせていただきたいと思います。
原子力
発電の
自主点検
に係る
不正等
の問題は、社会全体の
信頼
を裏切ることであり、到底容認できるものではありません。また、
原子力
安全確保
については、一義的には
事業者
の
責任
であるということは言うまでもありません。しかし、この
原子力発電所
の
検査
結果についての虚偽
報告
、
記録
改ざん等が行われる素地をつくった
要因
は、不明瞭かつ合理性を欠いた
ルール
のもとで裁量
行政
を行っている
規制
当局側の
責任
は免れないと思います。 このような状態から、私は、今回の
事案
について、
原子力
安全・
保安院
の総括と、
国民
に対する
行政
責任
としての
信頼
を回復するためにも抜本的な改革と強化、そして所管の
責任
者である
大臣
としての考えをまずお伺いしたいと思います。
平沼赳夫
25
○
平沼
国務
大臣
御
指摘
のように、本当に今回の
事案
というのは
国民
の皆様方の
信頼
を根底から覆すことになりまして、私
ども
としては、反省をし、一日も早く
国民
の皆様方の
信頼
を取り戻さなければならないと思っております。 御
指摘
のとおり、
原子力
においては、その
安全性
の
確保
と、そして今申し上げた
国民
の
信頼
の
確保
というのは極めて重要であり、今回の
東京電力
による
自主点検記録
に関する
不正等
の問題は、エネルギー供給の基幹をなす
原子力
そのものに対する
国民
の皆様方の
信頼
を失墜してしまった、大変私
ども
は申しわけなく、遺憾なことだと思っております。したがいまして、徹底した事実の
解明
と抜本的な
再発防止策
の
実施
が必要である、まずこのことを考えております。 先ほ
ども
栗原
先生
の御答弁で触れさせていただきましたけれ
ども
、徹底した事実
解明
を進めるために、
評価委員会
をつくらせていただきまして、そしてまた、我々独自に
立入検査
等をさせていただいて、十月一日に
調査
結果を
公表
いたしました。
東京電力
に対して厳重な注意を行うとともに、今回の事態の背景には、同社の社内の
チェック体制
の不備があったことから、特別な
保安検査
の
実施
、
定期検査
の特に厳格な
実施等
の
行政措置
を講じたところでございます。 このような事態の
再発防止
を図ることが重要であることから、先ほ
ども
申し上げましたけれ
ども
、次期臨時国会に向けて、
事業者
による
自主点検
の法令化と国による
審査
、設備に
ひび割れ等
がある場合の設備の
健全性評価
の
義務化
などを内容とする法案を提出することをさせていただいております。 これまでの
調査過程
につきましては、
当省
自身としても反省すべき点は多々あると認識しておりまして、
原子力
安全・
保安院
による
本件
の
調査過程
を
評価
する
委員会
においても、不適切な点があったということで、
関係者
を厳しく処分いたしました。 総理からも私に対して、留任するに当たって、まず第一に、
原子力
の
安全確保
について
国民
の
信頼
を回復するように万全を期すべきだ、こういう御
指示
をいただいておりまして、私
ども
は総合的に、真摯にこの問題を受けとめて、そして
国民
の
信頼
性の回復と安全の
確立
のために私
ども
は幅広く
検討
していかなければならない、このように思っております。
田中慶秋
26
○田中(慶)
委員
先ほど来、安全・
保安院
の
説明
もありましたけれ
ども
、問題は、みずから反省することなく、
事業者
である東電だけを矢面にしているということ自体に私は問題があると思うんです。 今回の問題は、設置基準そのものは明確にはなっておりますけれ
ども
、維持基準、実務
ルール
がないということであります。ですから、法的に
申告
しなさいとか法的に
報告
しなさいということは何もないんです。こういうところにいろいろな問題があるわけであります。ですから、今後の
信頼
回復という問題については、やはり
保安院
、そこにしっかりとした反省が求められていると思うんです。 例えばアメリカの
原子力
を見てください。百二基の中で、安全院、
検査
を担当される皆さんは、職員が二千九百人もおられるんです。
日本
は、この安全院に属しているメンバー、二百十九人とか言われているわけであります。十分の一でしょう。 こういう中で、みずからの安全というものを、国として、
原子力
行政
、あるいはこれからの
日本
の
経済
、あるいはまた環境問題も含めて支えるときに、これだけのメンバーだけで本当に、
自主点検
や定期点検を含めながら安全
行政
というものができるのかどうか。そういう問題を明確にすることが、
県民
や
国民
に対する安全の
信頼
やそういうことにつながっていくんだろうと私は思うんです。そのことに全然触れていないで
事業者
のことだけを責めてもしようがない。みずからのことをもう少し省みながら、今回のこれらの事件という問題について、
案件
についてはもっと明確に反省をする必要があるだろう。どう思いますか、
大臣
。
平沼赳夫
27
○
平沼
国務
大臣
原子力
発電の立地推進に当たりましては、
安全性
の
確保
というのは御
指摘
のとおり大前提だと思っています。ですから、これからも、国の基幹的な
エネルギー政策
について、立地地域の皆様方や
国民
の皆様方の
信頼
を得ながら推進をしていく、そういうときに、私
ども
としては、推進する側が、
安全性
はよくわかりませんけれ
ども
推進させてください、こういうことでは理解が得られないと思っています。 したがって、
原子力安全規制
については、
エネルギー政策
について
責任
を負う
経済産業大臣
のもとで一次
規制
を
実施
するとともに、客観的そして中立的な立場から、
原子力
安全
委員会
が再度
安全性
を
確認
するダブル
チェック体制
が構築されています。 そして、今御
指摘
のように、人員的にも、そしてある意味では、こういう問題が起こった、だから能力的にも、改めるところは改めて強化しなければならないんじゃないか、こういう御
指摘
だと思っております。 したがいまして、今後は、私
ども
としては、地元の方々を初め
国民
の
原子力
行政
に対する
信頼
の回復のために
原子力安全行政
に万全を期すことが必要でございまして、
原子力安全規制
の強化でございますとか
原子力
安全
委員会
との連携の強化、あるいは
保安院
の独立性の
あり方
、こういったものを、論点がございますので、すべて総合的に、いろいろ御意見を承りながらこういったことを私
ども
は総合的に
検討
し、改めるべきところは改めていかなければいかぬ、このように思っています。
田中慶秋
28
○田中(慶)
委員
大臣
、私は、今回の一番の問題点は、設置基準はあっても維持基準がなかったところに問題があると思うんです。ですから私は、一日も早くそういう
ルール
を
確立
し、基準を明確にすることだ、そのことが安全に対する
信頼
の
確保
につながっていくんだろうと思っております。その維持基準の
ルール
に反したときに初めて罰則があるんですよ。何もないで、
報告
しなかったと言っても、いや、
報告
する義務はない、このぐらいは安全だと思っていたと言われたって、それは皆さん方、何も
行政
指導
できないんですよ。ですから、明確に
ルール
を決めることだ、私はそう思っております。 ですから、今回の問題についても、
大臣
は、少なくとも
評価委員会
を、ここに専門
委員
としてつくるということを言われております。ですけれ
ども
、これは内部に幾らつくったってだめなんですよ。はっきりと三条
委員会
というものをつくって、そこでいろいろなことを明確に
指導
する。三条
委員会
ですから、結果的にそのことは国会にも
報告
する、
情報
公開をする、こういうことを明確にすることがやはり
再発防止
や
事故
防止につながっていくんだろう。 あなたの考えているこの
評価委員会
ということも大切ですけれ
ども
、
大臣
のもとに置いたのでは何もならない。外に置いて、そのことを別人格としてしっかりとさせる必要があるだろう、私はそう思いますけれ
ども
、
大臣
、どうですか。
平沼赳夫
29
○
平沼
国務
大臣
先ほどの御答弁でも触れさせていただきましたけれ
ども
、これから
原子力
行政
を進めていくに当たりまして、やはり
原子力
の安全に関して
責任
を持つ、こういう立場の者が立地の地域の皆様方と直接話をさせていただいてその推進をやっていくということは、私は機能的に必要なことだと思っています。 そういう意味では、中央省庁再編のときにもいろいろ御議論をいただきました。その中で、内閣府の中の
原子力
安全
委員会
、そこにダブル
チェック
という形で、お互いが連携していこう、こういう体制が中央省庁再編の中でつくられましてやってまいったのですけれ
ども
、今回こういう
事案
が発生しました。したがって、こういう
事案
が発生したというのはどこに原因があったかということは、先ほど来申し上げておりますように、
評価委員会
で御
指摘
をいただき、そしてそういう御
指摘
に基づいて私
ども
は法案を整備し、そして
再発防止
のための
対策
をとっていかなければならないと思っております。 したがいまして、私
ども
としては、この
原子力安全規制
の強化でございますとか
原子力
安全
委員会
との連携の強化、これをしっかりとしていかなければいけませんし、また、御
指摘
のございました
保安院
の独立性の
あり方
などについて、私
ども
は真剣にこれから議論していかなければいかぬと思っておりますし、
評価委員会
の御
指摘
の中にも、御
指摘
の維持基準、こういう問題の御
指摘
もございました。そういったことを踏まえて私
ども
はしっかりと
検討
していかなければならない、このように思っています。
田中慶秋
30
○田中(慶)
委員
そこで、
大臣
にお伺いするんですが、今、
原子力
の
保安院
、この組織の任命者は
大臣
ですよね。
大臣
は、そのときに、お伺いしたいのは、専門員としての資格を任命していくのか、あるいはマネジメントという立場でそういう要職、
責任
者を任命するのか、まずその辺をお伺いしたいと思います。
平沼赳夫
31
○
平沼
国務
大臣
この
原子力
安全・
保安院長
というのは、知識的にも能力的にも専門性を有している人が適任でございまして、私
ども
は、
大臣
として任命する場合には、その専門性、そして、そういう組織の長でございますから、やはりそういうマネジメント、こういった両面を備えた人材を任命しているところでございます。
田中慶秋
32
○田中(慶)
委員
私は、ある面では、これは
個人
的恨みつらみは全然ありません。私の
調査
なりいろいろなことをしてまいりますと、今の
原子力
保安院
の院長さんは、専門職でしょうか。大学は、土木屋さんですよ。ですから、私は、専門員ですか、マネジメントですかと聞いたのは、そこなんです。少なくとも、
保安院
の長たる者は、もう少し専門職、しっかりとしなければいけないんじゃないかな、私はそんな認識を持っているんですが、
大臣
、どうですか。
平沼赳夫
33
○
平沼
国務
大臣
院長は技術系の人でありまして、そういう意味では、通産省に奉職をして以来、そういう専門知識を涵養する、そういう立場の中でやはり能力を磨いてきた、そしてまたマネジメントの能力もある、こういうような総合的な
判断
で任命をしたところでございまして、私
ども
といたしましては、任命したときは、適任である、こういう信念に基づいて任命をしたところでございます。
田中慶秋
34
○田中(慶)
委員
だれしもが今の
大臣
の答弁で納得するかどうか。少なくとも、これだけ
日本
に役人さんが多い中で、その適材適所ということはあるでしょう。でも、やはり
日本
のエネルギー、
日本
の
経済
の原動力の下支えになる
原子力
発電の
保安院
のその
責任
者というものが、やはり選考ぐらいしっかりと、幾ら優秀な人物、まじめな人であっても、知識的な問題も含めて、やはりそういうことも必要じゃないかな。あなたの答弁では、私は、恐らく多くの皆さんは理解に苦しむんだろうと思います。 特に、この
事故
によって
日本
の
原子力
政策は、少なくともゼロどころかマイナスになって、そこからスタートしなきゃいけないんですよ。こういうことを含めて製造
責任
ということについて何も触れていない、今回。修理をしたのは
事業者
ですか。メーカーでしょう。そのことに何も触れていない。
事業者
のことだけを追及している。まして、みずからの、
保安院
としての考え方、何のポリシーもない。やはりその辺にむしろ今回の
事故
になる問題があったんでしょう。そう思いませんか、
大臣
。
平沼赳夫
35
○
平沼
国務
大臣
まず、先ほどの私の答弁の中でちょっと補足をさせていただきますと、確かに、そういう
原子力
の博士号ですとかあるいは学士、そういう
関係
の院長ではございません。しかし、院長というのは技術的な素養があって、そして、
保安院
の中にはそういう
専門家
集団がありますから、そういったところを束ねて総合力を発揮する、そういう
観点
で適任者である、こういうことだろうと私は思っております。 それから、今御
指摘
の点に関して、私
ども
としては、今回の問題というのは
東京電力
の
自主点検
の部分で起こったことでございます。したがって製造者
責任
、製造をしたところの
調査
、あるいは原因の究明、これが弱いのではないか、そこをすべきじゃないか、こういう御
指摘
ですけれ
ども
、私
ども
は、その電力
事業者
全部に対して
調査
をするように勧告をいたしましたし、それから、それを一緒にやる、点検する企業にも同時に
調査
を私
ども
は命じているわけでございまして、そういう意味では、私
ども
としては
責任
を回避したわけではございませんし、電力
事業者
以外にも関連
事業者
に対してはそういうしっかりとした
調査
をいたしました。 ですから、私
ども
としては、決して
責任
を回避するわけじゃございませんけれ
ども
、率直な反省の上に立って関連の
事業者
に対して
調査
を命じ、そしてそれに対しては徹底的な原因の究明をしていく、こういう体制をとっているところでございます。
田中慶秋
36
○田中(慶)
委員
ですから先ほど私は、任命権者としてマネジメントを重要視するのか、専門員を重要視するのか、そういうことを申し上げたんです。そのことをしっかりしておかないといかぬと思いますよ、組織の長なんですから。 さらに、
事業者
が修理をするんじゃないんですから、そういうことを含めて、やはり維持
ルール
なり維持基準という中で明確にそういうことがオープンにダブル
チェック
できるようなことをしておかないといけないと思います。 まして、今回のこのことによって
信頼
を失ってくる。例えば京都議定書の問題も、
原子力発電所
を少なくとも十基から十三基つくらなきゃいけない、でなければCO2の削減ができないということを明確にうたっているわけであります。私は、あのときも明確にこの問題を
指摘
したと思います。今回のような問題をやはりちゃんとしておかないと、これからの
原子力
政策そのものが、
日本
において、幾ら笛を吹け
ども
、お願いしようとしても、
信頼
という問題について理解ができなければこの問題の解決にならぬと私は思います。 先ほどあなたは、
電気事業者
の方の
責任
、少なくとも
東京電力
はそれなりの
責任
をとりました。減俸したからといって、それは私は
責任
ではないと思います。そうでしょう。役所というところはみんなそうなんです。雪印の問題のときも農水省はどうしましたか。
責任
、明確じゃありません。
責任
というものは明確にすることなんです。そのために長たる者が重い
責任
を持ってやるんですから。 ですから、少なくとも
保安院長
を、更迭と言っては大変失礼でしょうけれ
ども
、その
責任
というものを、これから
日本
の
原子力
政策を推進するために、
国民
の
信頼
を得るために、まして国際的な京都議定書の推進をするためにも、そのぐらいの
責任
を明確にする必要があるだろう。報酬を一部カットしたぐらいでは私は
責任
にもならぬと思います。
責任
というものはそのぐらい重い。まして、今回の問題はそれに値するんだろうと思いますが、
大臣
、どうですか。
平沼赳夫
37
○
平沼
国務
大臣
先ほどの答弁でも触れさせていただきましたけれ
ども
、これは、戒告という国家公務員のその規定の中では大変ある意味では重い、そういうランクの処分をしたと私は思っています。それに付随して、本人の申し出で減俸をいたしました。本当に
国民
の皆様方の
信頼
を大変大きく裏切った、そういう意味では、私
ども
としては戒告という非常に重い処分をさせていただいた、こういうことで御理解をいただきたいと思います。
田中慶秋
38
○田中(慶)
委員
時間が参りましたので終わりますけれ
ども
、あなたは公務員法に基づいてそういう処分をしたと。官僚国家だからそうなってくるんですよ、はっきり申し上げて。戒告ってそんな
責任
重いんですか。
国民
はわかりません。ここにいる国
会議
員みんなわかりますか。そうじゃないですよ。今世の中が求めているのは、具体的にわかりやすい政治、そういうことなんです。ですから、戒告なんてだれもわからないですよ。そのことを含めて、公務員が模範を示さないと
国民
の
信頼
を得ることはできません。そのことを申し上げて、私の質問を終わります。
谷畑孝
39
○
谷畑委員長
これより
斉藤
鉄夫
君の
質疑
に入るのでありますが、
参考人
として
原子力安全委員会委員長
松浦祥次郎
君に御
出席
をいただいております。
斉藤
鉄夫
君。
斉藤鉄夫
40
○
斉藤
(鉄)
委員
公明党の
斉藤
鉄夫
でございます。東海村のジェー・シー・オー臨界
事故
からちょうど満三年がたちました。あのジェー・シー・オー臨界
事故
、あのときも
原子力
に対しての
国民
の
信頼
というのは地に落ちたわけでございます。これをどう回復するかということで、この国会でも、その直後の臨時国会で、
原子力
災害
対策
特別措置法、それから
原子炉
規制
法の改正、その
規制
法の改正の中で今回のホイッスルブロアの
申告制度
もできたわけでございます。それから、
原子力
安全
委員会
の抜本改組。このような、ある意味ではこの国会の議論を通して大改革をした、
原子力
安全に対して抜本改革をした、我々国
会議
員としてこういう自負があるわけでございますが、今回の
事故
はそのときの抜本改革が余り役立っていないのではないか、あの改革は一体何だったんだろうか、こういうじくじたる思いでございます。 確かに、今回対象となりました
事案
は、あの
ジェー・シー・オー事故
の前の
事案
ではございますけれ
ども
、しかし、今回の
事案
に対する
経済産業省
、それから東電、電力会社の
対応
を見ておりますと、この
ジェー・シー・オー事故
の反省が全く生かされていないということを強く感じ、本当に残念に思う次第でございます。 私
ども
、党として
調査
団を派遣いたしました。九月の十日と十一日、我が党の
経済産業
部会長の河上
理事
を団長といたしまして、私も入りまして、
福島
第一
発電所
、第二
発電所
、それから
柏崎刈羽
原子力発電所
に伺いまして、地元の首長さん、それから
発電所
関係者
、実際に超音波探傷等をやっておりました技術者等の皆さんからお話を伺ってまいりましたので、きょうはその方々の声を通して質問をしたいと思います。 まず最初に、
福島
の地元四町長さん、富岡、双葉、楢葉、大熊、この四町長さんとお会いをいたしまして、ゆっくりお話をお伺いしました。いろいろな御意見がありましたけれ
ども
、共通しての意見は、
安全規制
の強化、これしかないのではないか、我々地元の人間はここから逃げ出すわけにはいかない、安心したいんだ、その安心のためには今の
規制
体制ではだめだということが今回わかった、抜本的な
安全規制
、この強化をしてほしい、このような声でございました。 そして、具体的には、ここからは私の意訳が入りますけれ
ども
、現在のダブル
チェック体制
、
原子力
安全
委員会
と
原子力
保安院
の、八条機関と
行政
、このダブル
チェック体制
ではもう根本的にだめで、アメリカのようなNRC、ニュークリア・レギュレーション・コミッティー、このような三条機関として全く独立をして、先ほどの田中
委員
の質問にもございましたけれ
ども
、こういう体制に変えない限り、今回、
安全規制
を強化する強化すると言っても
国民
は納得しないのではないか、こういう感を強くしたわけでございます。
ジェー・シー・オー事故
の後にも同じような議論がございました。そのときは、やはりダブル
チェック体制
というのは
日本
の風土に合っているんだ、そして、
日本
の歴史の中で積み重ねてきたもので、これが一番いいんだということになったんですが、私もそれを納得しましたけれ
ども
、今回、この非常事態を乗り切るには、このダブル
チェック体制
を強化しますというだけではもう
国民
は納得しない、全く新しい
規制
体制をつくるということしか今回のこの危機は乗り越えられないのではないかということをこの地元の四町長さんはおっしゃったんじゃないかなと思います。この点についての御見解をお伺いいたします。
平沼赳夫
41
○
平沼
国務
大臣
お答えをさせていただきます。 私も四町の町長さんにお目にかかり、また議長さんたちにもお目にかかって、じかに御要望等は承っております。今
斉藤
先生
が言われたような同様の強い御
指摘
がございました。 今、この
原子力
の安全体制の
確立
について大変御議論をしていただき、そしてお力をいただいた、そういう中で、ダブル
チェック体制
が
日本
の風土には必要だ、こういう御認識を持たれた、こういうお話も承ったところでございまして、それでは、今、ちょっと
状況
としては、これだけ
信頼
を損なった
状況
の中で、全く抜本的なそういう体制をつくるべきじゃないか、こういう御
指摘
でございました。 再三再四、私、御答弁させていただいていますけれ
ども
、やはりこれからまだ十一基とか十三基、この国の
エネルギー政策
で
原子力発電所
の建設を推進していかなければいけない。また、二十一世紀、展望しますと環境の時代と言われておりまして、
安全性
さえしっかり担保して
国民
の
信頼
をとれれば、百三十万キロワットの
原子力発電所
一基で二酸化炭素の排出量を〇・七%削減できる、こういうようなことがございます。 ですから、この中で推進をしていくに当たって、やはり推進側のサイドも、この安全、
保安
、そういうものに
責任
を持った人たちが、立地地域の皆様方や
国民
の皆様方と接して
説明
をさせていただくということも私は今後とも必要だと思っています。 しかし、今回の
事案
の中で、こういった
状況
になって
国民
の皆様方の
信頼
を大変損なったわけでございますから、私
ども
としては、やはりこの
原子力安全行政
に今後層一層の万全を期していかなければいけない、そのためには、
原子力安全規制
の強化と、そして
原子力
安全
委員会
との連携と、それから
原子力
安全・
保安院
の独立性、そういったことをいろいろ御
指摘
いただいていますから、そういったことを踏まえて、
国民
の皆様方が納得できるそういう体制を、法案整備を含めて努力をしていかなければいけない、こういう基本認識であります。
斉藤鉄夫
42
○
斉藤
(鉄)
委員
ダブル
チェック体制
をどう改善するかということの
検討
、これも大切だと思いますが、ある意味でアメリカ型の三条機関、いわばシングル
チェック体制
、その強化ということも考慮に入れた
検討
をぜひお願いしたいと思います。 二番目の質問に移りますが、これは
経済産業省
と
原子力安全委員長
にもお伺いするわけでございます。
刈羽
村に行きました。そして品田村長さんとお会いをいたしまして、品田村長さんからは、先ほど田中
委員
の質問の中にもありましたけれ
ども
、新設時の基準だけではなく、
運転
中の経年変化も考慮に入れたいわゆる維持基準をつくる必要があるのではないか、これがなかったことが今回の問題の根底にあるのではないか、こういうお話がございました。 そして、東電の
原子力発電所
の第一線の技術者からもお話を聞きましたけれ
ども
、アメリカでは、アメリカ機械学会の基準、ASMEで、セクション3で製造にかかわる基準が定められている、そしてそれとは別に、セクション11で
運転
時の維持基準が定められている。そして、これは民間基準ですけれ
ども
、いわゆる10CFR、コード・オブ・フェデラル・レギュレーションという中にこれが組み込まれる仕組みになっている。この10CFRを見ておりますと、やはり
運転
時のメンテナンス、またインスペクションということが、基準が書かれております。そして、この基準は、年に一遍ないし二遍、定期的に改定を続けていて、常に最新の技術
情報
がこの基準の中に組み入れられるような仕組みになっている。まあ東電の技術者でしたから非常に控え目におっしゃっておりましたけれ
ども
、現場を預かる技術者としてはこういう基準があると非常にやりやすい、こういう声もございました。 品田村長さんの声、それからあるエネルギー評論家の中に、これはエネルギーのある雑誌ですけれ
ども
、エネルギー評論家が、「「安全上問題がないのに
運転
停止の恐れがある
報告
を避け、安定供給の
責任
を全うする」という、電力マン故の一種の「誠実さが故の罪」から現場
作業
者・監督者を解放する道でもある。」こういう、ある意味では非常に思い切った書き方がしてございましたけれ
ども
、こういう声もございます。 この維持基準について、
経済産業省
と
原子力安全委員長
のお考えを聞きたいと思います。
佐々木宜彦
43
○
佐々木政府参考人
御
指摘
のとおり、
我が国
の
原子力安全規制
におきます
技術基準
は、一定の強度など所定の性能を要求しております。したがって、どのような傷であっても、傷があることによって
技術基準
に適合しないということであるわけではございません。 しかしながら、当初からの状態に何らかの変化が起こった場合、
技術基準
を満たしているか改めて
評価
を行う必要があります。そういう意味で、これまでそのような
評価方法
は定められておりませんでした。 米国におきましては、今
先生
が御
指摘
になったとおりでございます。
我が国
におきましても、このような海外動向を踏まえまして、状態の変化を
評価
する方法についての規格の
検討
を行ってまいりましたが、導入には至っておりませんでした。米国とは異なりまして、
我が国
では、米国機械学会のような学会等あるいは規格に係る
検討
の場が整備されてまいりましたのは最近でございます。 また、一方、
行政
におきましても、学会等の民間規格を国の
規制
基準として取り入れる仕組みが十分でなかったことが原因として考えられます。 いずれにいたしましても、
国民
の
原子力
安全に対する
信頼
性の回復が大前提ではございますけれ
ども
、設備の
健全性評価
手法によりまして、
機器
が満たすべき安全水準を維持しているかどうかを
判断
する、いわゆる維持基準の導入が必要だと考えております。
原子力
の分野における民間規格の基準として導入することにつきましても、あわせて、学会とも連携をとりつつ、法
規制
の中にも組み入れて今後
検討
してまいりたいと考えております。
松浦祥次郎
44
○松浦
参考人
原子力安全委員会委員長
の松浦でございます。お答えいたします。 先ほどの御
指摘
にございますいわゆる維持基準でございますが、私といたしましては、今回の
事案
はいろいろ多様な条件が重なっていると思いますが、その中の
一つ
が、確かに御
指摘
の維持基準にあると思います。
技術基準
というのは、もともと科学技術的な知見それから経験に基づいて合理的に設定されるべきものだと考えております。
原子力発電所
の
機器
、設備は、建設時には適度の裕度を持って製作、建設されておりますので、
運転
段階
に至りましたときには、それを考えて適切な維持基準に基づいて運営するのが合理的なものだと思います。 先ほどの
保安院長
のお答えにもありましたが、
我が国
では、既に機械学会におきましてそういう維持規格についての御
検討
が相当に進んでおりまして、本年二〇〇二年にはその第二版ができているということでございまして、そういうものを導入する科学技術的な知見は蓄積しているのではないかと思います。 なお、今回の
事案
におきましては、維持基準のほかにいろいろとございますが、その基本の
一つ
に、安全に問題がなければ
報告
しなくてもいいではないか、そういう
判断
があったと。この
判断
は、私も、それによってその
記録
とか材料とかを
隠ぺい
してしまって、それがかなりの
期間
続いたという、これはある意味で安全文化の問題だと思います。私は、特に、ほんの小さな傷のあるものでも、それを廃棄してしまったというのは、その後の安全研究等の
可能性
を摘んでしまうことになりますので、そういう点で今回はかなりゆゆしき問題を含んでいるというふうに考えます。
斉藤鉄夫
45
○
斉藤
(鉄)
委員
先ほどの
隠ぺい
、これはもう絶対、幾ら安全という
判断
を技術者がしたとしても、それを
隠ぺい
することは許されない、これは当然でございます。 その議論になりましたので、私は、どこまで技術者としての裁量が許されるのかという問題をちょっと質問したいと思うんです。 今回、具体的な
事案
は溶接部の
検査
でございます。溶接部の
検査
は、主に超音波探傷で行われております。私も現場の技術者でございますので、この超音波探傷の資格を取って実際にやったことがございます。超音波を溶接部に入れる。そこから反射波が返ってくる。その反射波の
状況
を見ながらそれを
判断
するわけですけれ
ども
、もちろんいっぱいいろいろなものが返ってきますので、一次
情報
としては非常に複雑でございます。その複雑な一次
情報
を、技術者が経験と資格でそういうものを
判断
しながら、これは欠陥なんだろう、これは欠陥ではない、問題ないところからの反射波だということを
判断
するわけです。 今回、傷と認定されたものの
隠ぺい
、もちろんこれは許されないわけですけれ
ども
、いろいろな報道の中に、その技術者が、これは問題のない反射波であるという判定をしながらも、ある意味では全くのノイズ、それさえも
報告
をしなかった、すべて
報告
しなければいけないというふうな、全く非科学的な報道等もたくさんございました。 私は、技術者たる者、技術者の裁量が許されていい、このように思います。そういう基準でなくては、一次
情報
をすべてオープンにしろと言われても、そんなことは現実にできませんので、また結果として同じような
隠ぺい
というようなことになりかねません。この点を、技術者の裁量をどこまで許すか。技術者の誇りとそういうものを考慮に入れたそういう維持基準をつくっていただきたい、このように思います。 時間がなくなってまいりましたので、最後に、
経済産業大臣
と
文部科学
副
大臣
にお聞きいたします。
柏崎
の
西川
市長にお会いしました。
西川
市長も、大変今回の
事案
、心配をされておりましたけれ
ども
、一番印象的だったのは、地元
住民
として、
原子力発電所
の
安全性
、これが一番大事なんだ、そして、その
安全性
を支えている
原子力
技術者、その技術者に、今まで、ある意味で
原子力
に対する不当なバッシング、非科学的な不当なバッシング等が続けば優秀な人が現場に行かなくなる。今、
日本
社会を根底で支えているこの技術、ここにやはり優秀な人が行くようなそういう社会でなくてはいけない、その点を一番心配しているんだ、このようなお話もございました。 これからの
日本
社会にとって、
原子力
、私は、高速増殖炉までやって
原子力
を国産エネルギーにすべきだ、このように思っておりますけれ
ども
、それには優秀な人材が行かなくてはなりません。そして、
国民
の安全という意味でも優秀な人材が行かなくてはなりません。現実はそうなっていなくなっているのではないかという地元の
西川
市長の質問に対して、どのように御見解をお持ちでしょうか。
西川太一郎
46
○
西川
副
大臣
原子力
は、
先生
御案内のとおり、
資源エネルギー
という面も極めて濃厚でございますが、それ以上に、技術エネルギーと申し上げてもいいような点があると思います。そういう意味で、
先生
御
指摘
のように、この分野に優秀な人材を
確保
し育成するということはまことに重要なことであり、しかも、これは、先ほど来の御議論にございますように、
原子力
の
安全性
を
確保
するという意味でも不可欠の要素ではないかというふうに存じております。
当省
といたしましては、この重要性にかんがみまして、産学連携による
原子力
技術関連の研究開発の環境を改善する、間接的な形ではありますけれ
ども
、そういう形で、まず人材を
確保
していきたい、こう考えております。 しかしながら、こうした分野に優秀な方々に将来継続的に参入をしていただくという意味では、
我が国
のエネルギーセキュリティーに貢献をしている、こういう、先ほど
先生
のお言葉にございますように、技術者としての自負も加えて、そういうものを持っていただく必要があるというふうに存じまして、今回の事件で
国民
の
信頼
を失う、こういうことになりましたことは、今、
先生
の切り口と申しますか、こういう
観点
からも大変ゆゆしいことである、こう思っておりまして、まずは
信頼
の回復をぜひ遂げていかなければこの問題のスタートにもならない、このように考えているところでございます。 なお、広く
国民
の認識という点で、
原子力
エネルギーに関する教育も極めて重要でございまして、文科省にもこの点については近年多大な御努力をいただいておりますので、
当省
といたしましてもできる限り側面的に御支援をさせていただいて、この分野の
充実
を期してまいりたい、このように考えております。
渡海紀三朗
47
○渡海副
大臣
このたび
文部科学
副
大臣
に
就任
をいたしました渡海でございます。私の担当は科学技術を担当しろということでございますので、当
委員会
にも大変お世話になると思います。どうぞよろしくお願いを申し上げます。 それでは、
斉藤
委員
の質問にお答えをさせていただきたいと思いますが、
原子力
の安全を支えるという意味での技術者を
確保
する、こういうことが非常に大事だという御
指摘
だったと思います。 私
ども
は、そのことはもちろんでありますが、それのみならず、まず、非常に幅広い分野にわたって、この
原子力
の研究開発というものは大変重要だという認識でございます。放射線の問題、加速器によるさまざまな分野、ライフサイエンスとか、また、最近のナノテクノロジーの問題、物質・材料の問題、こういう問題も含めて、この技術者、研究者を育てるということは大変大きな課題である、こういう認識のもとで努力をさせていただいておるところでございます。 ただいまも
西川
副
大臣
のお話にもあったわけでありますが、まず、この
原子力
に取り組んでいただくためには、やはり安全と
信頼
というものをしっかりとつくっていかなければいけない、この努力を
政府
一体となってやっていくことが大事でございまして、
当省
といたしましても、その点につきましてもさまざまな努力をしていきたいというふうに考えておるところでございます。 まず、具体的なさまざまな教育の分野において、やはり子供のころからいろいろ興味を持ってもらう、これが大事だろう、そんな
観点
もございまして、初等教育、中等教育の中で
原子力
を正しく理解してもらうような教育をしていく。そして同時に、大学において
原子力
に関する研究者を育てるということも大変大事でございまして、資源配分の中でそういった施策を講じていきたいということも考えております。 同時に、
原子力
に関しては、技術者を対象とした研修制度を現在もつくっておりまして、例えば、
日本
原子力
研究所等による
原子力
技術者を対象とした研修、また、
原子力
安全技術センターによる
原子力
防災管理者の講習等も行っているところでございます。 今後とも、
関係
省庁と連携をとりながら
協力
しつつ、
原子力
の
安全確保
に万全を期するように努力してまいりたい、このように考えておるところでございます。
斉藤鉄夫
48
○
斉藤
(鉄)
委員
時間が来ましたので、以上で終わりますが、地元の首長さんたちのこの切実な思いをどうかこれからの
行政
に取り入れていただきたいと思います。 終わります。
谷畑孝
49
○
谷畑委員長
達増
拓也君。 〔
委員長
退席、
栗原委員
長代理着席〕
達増拓也
50
○
達増
委員
日経平均株価が九千円を割り、そしてきのうの終わり値で八千五百円を割る事態になりました。まさに危急存亡のときと言っていいと思います。危急存亡のときのときという字は秋という漢字を書きまして、文字どおりこの秋、
日本
の国のかじ取りについては、国会としてもよほどの覚悟を持って臨んでいかなければならないと考えます。 今般の東電
原発
不正
記録
問題でありますが、これはエネルギー産業や
原子力
行政
を混乱させたのはもちろんでありますが、
日本経済
全体、そして国全体のガバナンスに対する市場の不信感を得まして、この問題が発覚した際、日経平均株価も下落した。今の株安にはさまざまな
要因
が重なっているわけでありますけれ
ども
、この東電
原発
不正
記録
問題も、その株安
要因
の
一つ
になっているということを
指摘
させていただきたいと思います。 これは、アメリカでエンロンというやはりエネルギー産業の会社の会計不正問題が発覚しまして、それがアメリカの株式市場下落につながったということと軌を一にしておりまして、高度
情報
化社会最大の敵はうそであります。うそによって
国民
経済
の競争力まで打撃を受ける。思えば不良債権問題という今
日本経済
を最もむしばんでいる問題についても、これはうその問題であります。 定義上、不良債権というものは、不良債権が生じた瞬間引き当てが行われて問題にはならないはずでありまして、不良債権問題が存在しているということは、本来不良債権であるのに不良債権でないかのごとく扱われているからこそ不良債権問題というものが続いているわけでありまして、
日本
のそういう
経済
社会がうそを容認する、うそとともにあるからこそ、
日本
がなかなか
経済
的にも閉塞
状況
を脱出できず、事態がますます悪くなっている。そういう
観点
から、この東電
原発
不正
記録
問題について質問をさせていただきます。 総合
資源エネルギー
調査
会
原子力
安全・
保安
部会の
原子力安全規制法制検討小委員会
の
中間報告
によりますと、「今般の
事案
の原因と背景」というところに、「
事業者
及び国に共通する
要因
」というのがありまして、そこに「
事業者
が
規制
当局に的確に
情報
提供を行うことをためらわせるところがないかどうかを時に応じて自己
評価
する必要がある。」との
指摘
があります。 これは、
東京電力
の
報告
書を見ましても、国への
トラブル
報告
はできるだけ行いたくない、そういうムードが会社の中に助長されていたという
指摘
がありまして、つまり、
事業者
がうそをつく、そういうことを助長するようなところが
規制
当局側にもあったのではないかという
指摘
だと思います。 これは、不良債権問題も、
規制
当局、金融当局との癒着、なれ合い、何とかしゃぶしゃぶという事件もありましたけれ
ども
、そういう中で不良債権問題といううそがうそを呼ぶ問題が広がっていったわけでありまして、それと同じような構造がこの
原子力
発電事業においても
事業者
と
規制
当局の間にあるとしたら問題でありますので伺います。いかがでしょうか。
平沼赳夫
51
○
平沼
国務
大臣
達増
先生
にお答えをさせていただきます。
経済産業省
といたしましては、
信頼
される
行政
の
観点
からは、
国民
のエージェントとして、
審査
等の結果知り得た
情報
を技術的、専門的な事項も含めて
公表
していくことが重要だと思っております。 ただし、御
指摘
がございました
中間報告
案でも述べられているとおり、
情報
提供を受けるに際しまして、提供すべき
情報
についての基準でございますとか
情報
提供すべき理由などが明確でなければ、
事業者
から的確な
情報
提供が行われない結果となるおそれのあるところでございます。そのため、
規制
当局としては、
情報
提供についての基準や理由などが明確になるようにやはり不断に見直しを行っていかなければならない、このように認識しております。 また、提出された
情報
につきましても、安全上全く問題がないものも含めてさまざまなものが含まれますけれ
ども
、国においては、科学的、合理的な分析と
評価
を加えた上で、誤解を招かないような形で
公表
することによりまして
説明責任
を果たしていくことが必要であると考えておりまして、私
ども
としては、今回そういった
事例
がございました、そういったこともよく反省をいたしまして、基本にのっとってやっていかなければならない、このように思います。
達増拓也
52
○
達増
委員
今回の
事案
については、
東京電力
、その
事業者
の側におきまして、安全だと思ったので
報告
すべきところをしておかなかった、
記録
すべきところをしておかなかった。これについては
東京電力
も、現社長を初め歴代社長一斉に
責任
をとって辞職するということでありまして、深く反省しているようにも一見見えるのでありますが、この
東京電力
作成の
報告
書を見ますと、自分たちがそういうことをしたのにもこれこれこういう事情があるという弁解がかなり多く書かれておりまして、かつ、自分たちだけが悪いのではないというような結論が書かれております。 この、安全だからといっていいんだと、
事業者
の、しかも一部現場の
判断
で、安全だからいいんだというやり方は
ジェー・シー・オー事故
と同じでありますから、現場は安全だと思ってバケツでウランをまぜて臨界を起こす、それが
事故
につながったわけでありますから、現場が安全だと
判断
したからそれでいいという論理は決してあってはならないことではあります。 他方、そういうあってはならないことが起きてしまう事情について、この
東京電力
作成の
報告
書の中には次のようなくだりがあります。 「
原子力発電所
の点検・補修の現場をめぐるさまざまな事情を背景に「国への
トラブル
報告
はできるだけ行いたくない」という心理が生まれ、それに「
安全性
に問題がなければ、
報告
しなくてもよいのではないか」という誤った考えが加わって、」云々。「当社の
原子力
部門
の社員たちが行ってきたことは、社会の
信頼
を裏切る
行為
であり、弁解の余地はない。ただ、こうした
行為
を防ぎきれなかったこと、また、それらを助長した組織の風土の問題については、」「当社が全体として考えるべき点が多い。」その次であります。「ただ、こうした
行為
が行われるに至った背景には、当社だけでは解決できないものが多く存在することもまた事実であった。」これは、暗に
政府
の側にも多くの
要因
があったのではないかと
指摘
したものと思われますが、この点、どう考えるでしょうか。
佐々木宜彦
53
○
佐々木政府参考人
東京電力
の
調査
報告
書におきまして、閉鎖的な組織風土などが問題の背景であったということを
指摘
する一方、
トラブル
に関する
報告
義務について
報告
が必要なものかどうかの境界が明確でないということや、
原子力発電所
を建設する際の合格基準と
運転
開始後に維持すべき
技術基準
とが同じであったことなどについても問題の背景の
一つ
として
指摘
しております。 私
ども
、
当省
の
原子力安全規制法制検討小委員会
におきましても、今般の
事案
が発生した背景として、
トラブル
情報
等の
報告徴収
の基準に不明確な点があったことや、
技術基準
の設計時、建設時及び使用時への適用
ルール
に不明確な点があったことなど、
国側
の
規制
制度の運用が明確でなかったことが
一つ
の
要因
として
指摘
されたところでございまして、私
ども
は、反省すべき点は反省しつつ、
ルール
の
明確化
などの
対策
を早急に講じてまいりたいと考えております。 ただし、今回の問題の背景については、このような
国側
の
要因
だけでなく、
品質保証
体制の不備といった
事業者
側の
要因
、あるいは
説明責任
に対する認識の欠如といったような
事業者
及び国に共通する
要因
といったさまざまな
要因
があったとの御
指摘
もいただいているところでございます。 今後、国及び
事業者
ともに、このような御
指摘
を真摯に受けとめ、それぞれ適切な
対策
を講じることにより、一刻も早く
原子力
に対する
国民
の
信頼
を回復するよう全力を傾けてまいりたいと考えております。
達増拓也
54
○
達増
委員
今の答弁の中にも、これから
チェック体制
について
ルール
を
明確化
していかなければならないという
指摘
がありましたけれ
ども
、
東京電力
の
報告
書に、これは重要な問題を提起していると思われるところがあるんです。それは「前例のない
トラブル
への
対応
」というくだりであります。 東電の
報告
書「今回の不適切な取り扱いが行われた動機・背景等」という章の中、「
定期検査
期間
中に
トラブル
が発見された際の社員の心理と
対応
」という節の中に「前例のない
トラブル
への
対応
」という項目があります。これは非常に重要なところを
指摘
していると思うんですけれ
ども
、前例があれば、
報告
すべきかどうか、それは前例に従えばいい、
記録
すべきかどうかもいいんですが、前例のない
トラブル
が発生したときに、さてこれを
記録
すべきか、
報告
すべきか。 前例のない
トラブル
があった場合に、次のような
指摘
がしてあります。「国への
報告
を行えば、プレス発表、さらには
トラブル
の
対策
が必要となる。」「一方、わが国初の修理方法については
専門家
の
検討
を経て国に認めてもらうことになっており、
定期検査
工程への
影響
が必至となる。」「さらに、
原子炉
内の
作業
環境は特殊であるため、修理方法の開発に時間的見通しを立てにくい。」「したがって、修理の見通しの立たないまま国に
報告
すれば、最悪の場合、修理方法が
確立
されるまで何年でも
原子炉
はとまったままである」ということで、安全上必要であれば何年でもとめることは必要なんでありましょうが、そこが科学的、合理的な範囲を超えて、
規制
当局側の保身から過剰に慎重になって、
事業者
に対して科学的、合理的な
根拠
を超えて
原子炉
をとめろとかそういうことになったら困る、そういう
事業者
側の強い不信感がこのくだりにうかがわれるわけであります。 いろいろ
ルール
を
明確化
していくのはいいんですけれ
ども
、前例のない
トラブル
ということについてはなかなか前もって、こういうときにはこうすべきという
ルール
を決めにくいところだと思うんです。この点こそ、
事業者
と
規制
当局の間で本当に
信頼関係
というものをつくっていって、必要であれば第三者、科学者の意見などを求めながら、
原子炉
をとめることが必要な場合でも、本当に科学的、合理的範囲内で行われるような、双方が納得できるようなそういう
検査
、
安全確保
の仕組みをつくっていかなければならないと思うんですが、この点、いかがでしょう。
佐々木宜彦
55
○
佐々木政府参考人
今御
指摘
の件については私は全くそのとおりだと考えておりまして、
保安院
の
安全規制
におきましても、従来から、いろいろ科学的、技術的な
根拠
に基づく合理的な
規制
を目指してきたつもりでございます。いろいろな新しい
案件
に対しましても、新しい知見を反映し、技術を集積するといった意味からも、
専門家
の御意見も反映して
対応
してきたつもりでございます。
東京電力
の
報告
書に書いてありますような前例のない
トラブル
についてということでございますけれ
ども
、ただ申し上げたいことは、そもそも
原子力
に携わる者が、できるだけ問題を
公表
したくない、公の場での議論にさらされたくないという考え方を有していること自身、
原子力
発電の
安全確保
を図り、
国民
の
信頼
を得ていく上でこれは問題である態度と考えております。
原子力
に携わる者の意識革命あるいは価値観の転換が求められていると思いますが、新しい知見に積極的に努力をし、現場の技術者がそれを求めていけるような
ルール
の
明確化
といったことは当然必要でございまして、そのための最大の努力を早急に、速やかに行いたいと思っております。
達増拓也
56
○
達増
委員
原子力
安全・
保安院
がモットーとしていこうという科学的、合理的な
検査
の体制、この科学的、合理的なアプローチというものは、
検査
当局はもとより、
事業者
、さらには
国民
も共有すべき
原子力
というものに対する
基本姿勢
だと思います。 そういう
観点
からおやっと思ったのですが、新聞報道によりますと、
福島
県で核燃料税を今度二倍にするということが報道されておりました。七%であった現行税率、これが実効税率で一三・五%に上がり、また、いろいろな従価税、従量税などの制度の改正によりまして最終的には一六・五%になるというような報道がございました。 今回の不祥事を受けての懲罰という趣旨でこのようなことが行われるとしたら、これは極めて非科学的、非合理的なことだと思っておりまして、必要なことは科学的、合理的な安全の
確保
が行われること、その積み重ねによって安心というものが得られることだと思っておりまして、お金で解決できる問題ではないんじゃないかと考えているんですけれ
ども
、
政府
の方、この点、いかがでしょう。
岡本巖
57
○
岡本
政府参考人
今回の
福島
県の核燃料税の増税、七%から一三・五%に引き上げるという件は、県の
説明
によりますと、
原子力
立地に伴う財政需要の増大を背景とするものでございます。本年六月に県議会に提案をされ、七月に可決をされ、その後、地方税法に基づきまして総務
大臣
への同意申請が行われたものでございます。したがいまして、今回の核燃料税の増税と
東京電力
による不正記載とは直接的な
関係
はないものと私
ども
理解をしております。 ただ、今回の増税につきましては、
当省
としては、
納税者
の納得を得ないままに大幅増税を行うことの問題点、さらには、こうした動きが他の
原子力
立地地域に波及するおそれを心配しておりまして、
エネルギー政策
の
観点
から、強い懸念を
大臣
を含めて表明してまいったところでございます。 しかるに、本年九月に、地方税法に基づきます総務
大臣
の同意が行われたところであります。なお、その際に総務
大臣
からは、
納税者
である
東京電力
に対する十分な
説明
を行うこと、それから、条例の妥当性について
検証
を行い、必要に応じて見直しを含め
検討
することを
福島
県知事
に強く要請されたというふうに承知をいたしております。 私
ども
としましては、今後、
福島
県と
東京電力
との協議等を引き続き注視してまいりたいと考えております。
達増拓也
58
○
達増
委員
最後に、
申告制度
の
あり方
について質問します。 今回の
事案
では、
申告
の取り扱いについて、時間がかかり過ぎたでありますとか、
申告者
のプライバシーの保護について問題があったと
指摘
されておりますけれ
ども
、今後のこの
申告制度
の
あり方
について
政府
の考えを聞きたいと思います。
西川太一郎
59
○
西川
副
大臣
法制
検討
小
委員会
中間報告
案において提言されておりますとおり、
申告
は、重大な
事故
につながり得る
事案
を早期に発見できる端緒ととらえるべきであり、すべての
申告案件
について、特に安全への
影響
及び
違法性
の両方の
観点
から、迅速かつ機動的に
調査
を行うことが必要でございます。 こうした認識のもと、
当省
におきましては、
申告
に関する
調査手順
方法の
明確化
を図るとともに、
外部有識者
から成る
申告調査委員会
を立ち上げるなど、
申告
事案
の
処理
体制の整備を進めているところでございます。 外部の有識者から成る
申告調査委員会
につきましては、既に十月八日に第一回
委員会
が開催をされまして、現在六件の
案件
について事務局より
報告
がされ、
処理
が進められております。 今後の
申告
の
処理
につきましては、本
委員会
において御審議いただく方針に従って適切に対処してまいりたいと存じております。
達増拓也
60
○
達増
委員
終わります。
栗原博久
61
○
栗原委員
長代理 塩川鉄也君。
塩川鉄也
62
○塩川(鉄)
委員
日本
共産党の塩川鉄也です。 我が党は、この東電不正事件にかかわり、東電だけではなく、一連の
トラブル
隠しのある電力会社の
調査
を行ってまいりました。
福島
第一、
福島
第二、
柏崎刈羽
、それから、
日本
原電の敦賀、東北電力の女川、中部電力の浜岡、これに加えて、関電の高浜の
調査
な
ども
行ってまいりました。 私自身も、
福島
の第二
原発
とそれから東北電力の女川に足を運んで、
原発
立地
自治体
の首長さんの話も伺ってまいりました。厳しい批判の声が寄せられたわけです。
福島
第一の立地地に当たります岩本双葉町長さんも、町長になって十七年たつけれ
ども
、十七年のそのときからずっと東電にだまされ続けてきた、裏切られた思いだ、国は安全だと言うが、
住民
の気持ちがわかっていない、こういうことをおっしゃっておられました。
福島
第二の立地
自治体
であります草野楢葉町長さんも、今まで東電との
信頼関係
は厚かったし、国もきちんとしていると思っていたのに、国は一体何をやっていたのか、国の
チェック
が甘過ぎるのではないかと、ここでは、東電の不正とともに、国の
対応
に対し厳しい意見が寄せられてきているわけです。
平沼大臣
は、八月三十日の記者会見でも、今回の事件について、「全く言語道断だ」、
経済産業省
として「徹底的かつ厳正に
調査
を行って、全容の
解明
をしてまいりたい」と。この決意は変わっておられないと思うわけです。 そこで
大臣
にお聞きしますが、十月一日、
大臣
から東電に対し厳重注意の
指示文書
を出されました。これに対し、
原発
立地
自治体
の首長さんから厳しい意見が出ています。この処分が発表された翌日に、私は女川
原発
に行きました。そこで、安住女川町長さんは、
大臣
は東電に厳重注意だけなのか、体質をがらりと変える、けじめと言うが、これでいいのかと思う、それぐらい大きい問題ではないか、こういう声や、木村牡鹿町長さんは、東電に注意のみというのは生ぬるい、もっと厳しくやってこそ
住民
は安心をする、こういうふうに述べておられたわけですね。 この十月一日の東電あて
文書
にも、
記録
の改ざんや
隠ぺい
、虚偽
報告
の事実がある、つまりうそやごまかしがあるのに、何で刑事告発や
行政
処分もなく、厳重注意といういわばおとがめなしなのか不思議でならない。この点について
大臣
にお伺いしたいと思います。
平沼赳夫
63
○
平沼
国務
大臣
塩川
先生
にお答えをさせていただきます。
当省
といたしましては、これまでの
調査
結果を踏まえまして、法令に照らして
判断
をいたしましたところ、八月二十九日に
公表
した二十九
案件
の
事案
のうち、
技術基準
適合義務や、これは五件でございます、
記録
保存義務、これは一件でございますけれ
ども
、それを遵守していなかった
可能性
があり、法令上問題となる
可能性
があるもの、これが今申し上げたように六件ございました。 しかしながら、法令に照らして精査をいたしましたところ、これらについては、現在修理等が済んでおりまして、
技術基準
に適合していたり公訴時効が完成するなど、法令上は
技術基準
適合命令などの
行政
処分あるいは刑事告発を行うことは困難であるという認識に至ったところでございます。 しかしながら、今回の
東京電力
による
事案
については、同社の安全に対する姿勢に
疑い
を招くものでございまして、
原子力
に対する
国民
の
信頼
を根本から崩すものであったことから、同社に対して厳重注意を行ったところでございます。 また、
東京電力
におきましては、全社的な
監査体制
及び経営幹部への
情報
伝達が適切に機能していなかったなど、安全について組織的に
確保
する
品質保証システム
が機能しておりませんで今回の
事案
を発生させたと考えられることから、同社に対しまして、
品質保証システム
の再構築など
再発防止策
の
実施
を求めることといたしました。 さらに、国といたしましても、今回のような不正があったことを踏まえて
検査
等を強化することといたしまして、特別な
保安検査
の
実施
、
定期検査
の特に厳格な
実施等
の
行政措置
を講じることによりまして、
東京電力
による
安全確保活動
を厳正に
確認
することとしております。 二十九
案件
以外の
事案
につきましては現在鋭意
調査
中でございまして、万が一法令等に違反するものがあれば、これは厳正に処分をしてまいりたい、このように思っております。
塩川鉄也
64
○塩川(鉄)
委員
うそやごまかしがあったのに罪に問われない、この点が不思議でならない、納得がいかないというのが、私もそうですし、
国民
の皆さんの共通する思いだと思うんですね。 その点で、
自主点検記録
にかかわる問題だから、法の外だから云々という
説明
を聞きましたけれ
ども
、私、この二十九件の中を見ていきますと、
電気事業法
の
定期検査
にかかわる
事例
もあるわけですね。 例えば、
福島
第一
原発
の一号機の
炉心
スプレースパージャーのクランプの取り外しというのは、
定期検査
の最中の話のことです。
電気事業法
の百二十条八号には、
定期検査
を拒み、妨げ、または忌避した者は刑事罰に処するとなっているわけです。
定期検査
をごまかした者は罪に問われるんだとはっきり書かれているわけですね。 このスパージャーの件ですけれ
ども
、四カ所あるスパージャーのうち、一カ所が九三年に
ひび割れ
があった。それで、クランプと言われる取りつけ金具の設置をその四カ所にしたわけですね。九六年の
定期検査
の時点で、その場所は
定期検査
の対象になりました。ですから、
検査
の直前に取りつけ金具のクランプを外して
定期検査
を受けた。
定期検査
を終わると、今度は新しいクランプ、取りつけ金具をつけて
運転
再開をしているわけです。 これは、東電の
報告
書でも、
定期検査
時に取りつけたクランプが発見されないよう作為をしたと、はっきり問題を認めているものであります。こういった
行為
というのは、
電気事業法
百二十条八号にある、
定期検査
を妨げ、忌避する者となる違法
行為
に当たるんじゃないですか。いかがでしょうか。
佐々木宜彦
65
○
佐々木政府参考人
非常時に
炉心
に水を放出する
炉心
スプレースパージャーにつきましては、おおむね十年に一回、
定期検査
に際して外観
検査
を行うこととしております。
福島
第一
原子力発電所
一号機の九六年の
定期検査
では、四基の
炉心
スプレースパージャーのうち、
ひび割れ
の発生していない方の二基がそのとき
検査
対象でありました。
東京電力
がクランプ補修を行った
炉心
スプレースパージャーは
検査
対象外ということでございました。この
定期検査
時に当該スパージャーからクランプが取り外されまして、補修前の状態に戻されておりましたので、
検査
対象となっておれば
ひび割れ
が発見されていた
可能性
はあります。 このスパージャーのクランプ取りつけ修理は、法令上は認可や届け出は不要でございましたけれ
ども
、九九年に国の認可を受けて取り外したクランプを再び取りつけることにより当該スプレースパージャーの修理が行われ、現在は修理済みとなっております。 いずれにせよ、クランプによる修理を国に
報告
、相談せず、さらに、事態が発覚しないよう
定期検査
においてクランプを一たん取り外し、再度取りつける、当初の不適切な
対応
につじつまを合わせるために事実の
隠ぺい
を繰り返したことにつきましては、そもそも
品質保証
の
観点
から適切でなかったのみならず、
原子力
安全に対しての
信頼
を損ねる
行為
だったというふうに考えております。
塩川鉄也
66
○塩川(鉄)
委員
質問に答えていないんですよ。 私は、ひびのあるなしを
定期検査
でごまかしたというのを聞いているんじゃないんですよ。その
安全性
を云々する以前に、
検査
の対象となるところが、
運転
中はクランプをつけていたのに
定期検査
のときには外していたというその事実を言っているんですよ。
定期検査
そのものをごまかしているんじゃないですか。
定期検査
をごまかしている、国をだましているわけですから、これが何で
検査
を妨げる
行為
に当たらないんですか。違法
行為
じゃないですか。
佐々木宜彦
67
○
佐々木政府参考人
今申し上げましたように、四基ある
炉心
スプレースパージャーを、十年間に一〇〇%
実施
をする、二基、二基
実施
をする、たまたま九六年の
検査
対象外であったということで
実施
していないということでございます。
塩川鉄也
68
○塩川(鉄)
委員
四つのスパージャーに全部クランプをつけていたわけでしょう。そのうちの
二つ
を
検査
したわけですよね。クランプを取りつけていた
運転
状態のものを、とめた
定期検査
のときには外していたわけでしょう。さらには、再開するときにはクランプをまたつけたわけでしょう。
定期検査
時の状態をごまかしていたわけじゃないですか。
運転
状態と違うものを点検させられているんですよ、国は。国がだまされている話でしょう。それは
検査
を妨げる
行為
じゃないんですか、違法
行為
じゃないんですか。
佐々木宜彦
69
○
佐々木政府参考人
私
ども
は
検査
を妨害する
行為
とは考えておりませんが、いずれにしても、こうした
隠ぺい
については
品質保証
の
観点
から適切でないと
判断
をいたしております。
塩川鉄也
70
○塩川(鉄)
委員
とんでもない話ですよ。何で妨害する
行為
じゃないんですか。現状と違うものを見せられているんですよ。
安全性云々
以前の、国をだますような
行為
を行っている。これが何で、妨げ、忌避する
行為
に当たらないというんですか。おかしいじゃないですか。
検査
をごまかす者に危険な
原発
を
運転
させていいのか、これが
国民
の皆さんの率直な怒り、疑問なんじゃないですか。
定期検査
をごまかした場合については罰則がかかるという、こういった百二十条の八号を何で適用しないのか。
大臣
、いかがですか。
平沼赳夫
71
○
平沼
国務
大臣
これは、今
佐々木
原子力
安全・
保安院長
が言ったように、四基あって、そのうちの二基が
検査
、こういう形で回っておりましたから、その中で我々はそういう形で
判断
した、こういうことだと思います。
塩川鉄也
72
○塩川(鉄)
委員
改めてどうですか、院長。
佐々木宜彦
73
○
佐々木政府参考人
今回の、今御
指摘
の九六年の
定期検査
時には、この当該スパージャーからクランプが取り外されておりまして、補修前の状態に戻されておりましたが、
検査
対象となっていれば
ひび割れ
が発見された
可能性
はありました。そうした場合には当然、
検査
の忌避や妨害といった
可能性
も、それはありますが、前回は四基のうち二基を対象にしまして
検査
をいたしましたので、当該、今御
指摘
の
ひび割れ
のクランプ補修を行った
炉心
スプレースパージャーは
検査
対象外となったわけです。
栗原博久
74
○
栗原委員
長代理
佐々木
院長、もっとわかりやすく答弁してください。 〔
栗原委員
長代理退席、
委員長
着席〕
塩川鉄也
75
○塩川(鉄)
委員
要するに、
定期検査
の対象となっている部分について、
運転
中はクランプをつけていたのに、
定期検査
のときに外しちゃったんでしょう。国の
定期検査
をごまかしたんじゃないですか。で、
定期検査
が終わって
運転
を再開したときにはまた新しいクランプをつけたんですよ。
定期検査
はきちっと
調査
しなくちゃいけないのに、
運転
再開時と違う状態のものを見せられているんですよ。国をごまかしている
行為
だ、妨げている
行為
じゃないんですか。
佐々木宜彦
76
○
佐々木政府参考人
そもそも、このスパージャーのクランプの取りつけ修理、これは法令上の認可や届け出は不要でございます。九九年には国の認可を受けたわけでございますけれ
ども
、そもそも法令上の扱いとして、クランプがついていようがついていまいが、それは
定期検査
上の
検査
の妨害には当たらないものであります。そもそも法的にはそういう扱いになっております。
塩川鉄也
77
○塩川(鉄)
委員
そこが納得いかないと言っているんでしょう。
定期検査
という、
自主点検
も含めれば五百項目あるようなそういう中で、それも立会
検査
ですよ、五百のうち二十の、一番重要な部分のこのスパージャーの
検査
のときについて、現状と違うものを見せられているんですよ。ひびのある云々以前の話じゃないですか。何でそんな、だまされているのに怒らないんですか。国がだまされているんじゃない、
国民
がだまされているんですよ。だからこそ
信頼
がおけないと言っているんでしょう。この問題について、何ではっきりこのことを、だまされているという問題について、この立場から、この条項からきちっと違法
行為
だという
指摘
をしないんですか。
佐々木宜彦
78
○
佐々木政府参考人
このクランプの問題、
炉心
スパージャーの
定期検査
における
確認
行為
というのは、現実には国の
検査
官は炉の中に入ってそれを見ているわけではございません。供用
期間
中におけます
事業者
が自主的にやった
検査
を
定期検査
として私
ども
が
記録
の
確認
をしているものでございます。 したがって、私
ども
といたしましては、クランプを取り外したとか取り外していないとかというような
記録
は、そのときは
確認
できておりません。そういう意味で、今そのこと自身が
定期検査
の妨害になるかならないかというお話については、それは
記録
の
確認
をしておりますので、そういう妨害といったことにはならないと申し上げているわけです。
塩川鉄也
79
○塩川(鉄)
委員
記録
確認
を含めて、五、六十項目という重要な部分の
検査
でしょう。そこについて改めてこういう事実が明らかになって、東電もその事実を認めているわけでしょう。その時点から、ああ、だまされていたのか、許されないことだ、国の
定期検査
を妨害する
行為
だったという立場で、改めてこの告発に向けた取り組みをするつもりはないんですか。
佐々木宜彦
80
○
佐々木政府参考人
仮に、九六年にそのことが判明しておれば、今
先生
御
指摘
のとおりでございます。しかしながら、既にそうした事態から三年以上経過をしておるという法的な実は問題もあります。
塩川鉄也
81
○塩川(鉄)
委員
国民
の前には、怒りはこれじゃおさまらないですよ。こういった、現在においても、さまざまな問題点が
指摘
されるについて、十分な
国民
の前に
説明
もない。さらには、具体的な、それぞれの二十九件、かかわりについて、だれがこういった
行為
を
指示
したのかについても明らかになっていない。
報告
書を見てもどこにも出てこない。私は、その点でも、改めて
経済産業省
じゃなくて第三者のきちんとした機関が全面的な
調査
を行うことが必要だと思いますし、また、独立した
規制
機関を設けるということも、当然のことながら地元の要望から含めて行わなければいけない、このことを強く求めるものです。 その上で、この問題についてやはり真相を
委員会
としても徹底
解明
する上で、
委員長
にもぜひ要望したいわけですけれ
ども
、一点は、この当事者、東電の当事者からの事情をきちんと聞く機会として、南社長と
調査
を担当した勝俣副社長と
原子力
部門
の実質的な
責任
者を長く務めてきた榎本前副社長を国会に呼んで、
参考人
としてきちんと事の次第を明らかにしていただく、こういう機会を設けていただきたいと思いますし、あわせて、関連する
資料
、東電、
保安院
、それから
GE
、告発者、そのやりとりについての手紙などの
文書
をきちんと国会に出してほしいと思いますし、
安全性
を
評価
するバックデータについてもきちんと当
委員会
に提出をしてもらいたい、この点についてぜひお諮りをいただきたいと思います。
谷畑孝
82
○
谷畑委員長
委員会
の
理事
会でまた協議していきたいと思います。
塩川鉄也
83
○塩川(鉄)
委員
終わります。
谷畑孝
84
○
谷畑委員長
北川れん子
さん。
北川れん子
85
○北川
委員
社民党・市民連合の
北川れん子
と申します。よろしくお願いします。 先ほどの塩川
委員
の発言からも、
保安院
の真相を追及しようという熱意というものが欠けているというのがまざまざと浮かび上がったと思うんですが、私は、今回、維持基準を導入ということにすべての方が前向きだということをこの議論経過でわかったわけですが、この維持基準導入におきまして、
電気事業法
の改正という形で導入されるおつもりなのかどうか、まず第一番目にお伺いしたいと思います。
高市早苗
86
○
高市
副
大臣
お答えいたします。 御
指摘
のいわゆる維持基準でございますけれ
ども
、これは、供用中の
原子力
発電設備の
構造物
に
ひび割れ
などが発生した場合に、当該設備が安全水準を維持しているかどうかを
評価
することが必要なので、このような
健全性評価
の手法ということを法令上位置づけることを
検討
しております。ですから、
先生
おっしゃいましたように、具体的には、考えられるのは、
電気事業法
三十九条に基づく
技術基準
を定める省令の拡充でありますとか、それから
事業者
に健全性の
評価
、この
実施
をきちっと義務づけるための
電気事業法
の改正ということが予定されると思います。
北川れん子
87
○北川
委員
ということになると、省令改正か告示をつくるということで、国会の関与という形を取り除かれるという心配が私はあるんですね。
大臣
にお伺いしますが、
電気事業法
の改正という形でお取り組みになる気はないかどうか、お伺いしたいと思います。
平沼赳夫
88
○
平沼
国務
大臣
北川
先生
にお答えをさせていただきます。 先ほど来述べておりますけれ
ども
、
原子力安全規制法制検討小委員会
の
中間報告
案では、
一つ
は、
構造物
に
ひび割れ等
の欠陥が発生した場合に、
事業者
みずからが設備の健全性について適切に
評価
をすることを法令上の要求事項とするとともに、
二つ目
は、
事業者
が行う
評価
が明確な
ルール
のもとで
実施
されるよう、国は、民間規格の活用を含め、科学的、合理的な
根拠
に基づく
信頼
できる基準を整備することが必要である、こういった旨の提言がなされているところであります。 この提言の趣旨というのは、設備の劣化についての
評価
の手法をより
明確化
するとともに、当該
評価
の
実施
を
事業者
に義務づけるために法令の整備を行おうとするものだ、こう思っております。
当省
といたしましては、この提言に沿いまして、
原子力安全規制
に対する
国民
の
信頼
回復を早期に得ることを第一に、所要の
法律
改正の必要性を含め
検討
を進めてまいりたい、今このように思っております。
北川れん子
89
○北川
委員
いろいろおっしゃったということは、
電気事業法
の改正でやろうとは思っていないということだろうと思うんですが、私は、その点はすごくおかしいと思います。最低限、
電気事業法
の改正という形での維持基準の導入ということでなければ、この問題の解決に何ら前進というものは見られないという点で次からを述べさせていただきたいと思うんです。
中間報告
でも、
安全評価
というよりは許容欠陥の
評価
の
義務化
という言われ方をしております。そういう点において、今回の東電問題の中から浮かび上がった点でお伺いしたいんですけれ
ども
、事業所に
記録
帳、よくデータログと言うわけですが、データログはあったのか、そして、そのデータログを
保安
官は見ていたのか、習慣的に見るということをちゃんと
ルール
化されていたのかどうか、この辺をまずお伺いしたいと思います。
佐々木宜彦
90
○
佐々木政府参考人
原子炉
等
規制
法に基づきまして
事業者
が定める
保安
規定におきましては、管理区域から物品を持ち出す際に、当該部品の表面の汚染が法令上の制限を超えていないということを
責任
者が
確認
することが定められております。そういう意味では、
事業者
は、この
確認
を行うため、持ち出される物品、こうしたものの表面の汚染の
状況
について
記録
を作成するということが一般的でございます。ただし、
記録
すべき項目について
保安
規定上の定めはありません。また一方、物品の持ち込みに関して
記録
を行うことについて
保安
規定上の定めはございません。 国の
原子力
保安検査
官は、
保安
規定の遵守
状況
を
確認
する
保安検査
に際して、物品の表面の汚染の
確認
が適切に行われているかどうかを
確認
するという
観点
での
記録
を必要に応じて抜き取って
確認
をいたしております。 しかしながら、管理区域内でいろいろ行われている修理には国の認可または届け出が不要なものも数多くございますけれ
ども
、仮にいろいろな物品についての持ち出しが特定できたとしても、どういう用途に使われているものかまで特定できることは困難だと考えております。
北川れん子
91
○北川
委員
では、データログはないに等しかったということを今言明されたというふうにお受け取りをいたしましたけれ
ども
、それでよろしいでしょうか。
佐々木宜彦
92
○
佐々木政府参考人
事業者
はいろいろなデータログを持っていることは承知しております。ただ、私
ども
の常駐しております国の
保安検査
官が見るべきものについては、必ずしもそうした物品について全部見ているわけではなくて、いわゆる任意に、表面、いわゆる汚染の状態のあるものが管理区域を行き来したかどうかを任意に抜き取って見ることはあるということでございます。
北川れん子
93
○北川
委員
不正と
隠ぺい
を見抜くには、これはとても重要な点だと思います。 次にお伺いしたいんですが、八月三十日、国の方は各電力
事業者
に
自主点検
の総点検をやるようにと
指示
をしているわけですが、この中で供用中というふうに明記してあります。供用中というのは、建設中、そして廃炉以外を供用中の
原子力発電所
というんですね。
佐々木宜彦
94
○
佐々木政府参考人
おっしゃるとおりでございます。
北川れん子
95
○北川
委員
そうしましたら、
東京電力
のBWRの
シュラウド
、そしてまた関西電力のPWRの圧力容器の上ぶた、取りかえたもの、供用中の
原子力発電所
から取りかえたもの、これも点検内容には入りますね。
佐々木宜彦
96
○
佐々木政府参考人
供用
期間
中におきます修繕、改造工事、物によりましては
法律
に定められます工事計画の認可あるいは届け出が必要なものもございますし、
事業者
の自主的な
判断
で行われるものもあります。
北川れん子
97
○北川
委員
取りかえられた
シュラウド
や取りかえられた上ぶたは、今の御答弁、ちょっと的確な御答弁ではなかったと思うんですが、自主
検査
の内容物として見て国はそういう
指示
を出しているというふうに今の御
説明
に対して思ってよろしいんでしょうか。
佐々木宜彦
98
○
佐々木政府参考人
今御
指摘
の
炉心
シュラウド
につきましては、取りかえのときは、当然国の工事計画の認可が必要でございます。 点検については、これは
自主保安
の
自主点検
にゆだねられておりますけれ
ども
、
炉心
シュラウド
につきましては、過去、スイスあるいはアメリカにおきますいろいろの
トラブル
事例
を反映いたしまして、技術的な、いろいろ
検討
して、私
ども
から
事業者
に対して点検を何年の計画でどれを見なさいという
指導
もいたしましたし、
福島
第二の三号機において新しい材料になった、その中でもやはりクラックが発生しているというような事態にかんがみまして、
水平展開
のための
行政
指導
もいたしまして、何らかの異常があれば
報告
をしていただきたいというような
指導
をしました。 そして、一方、今、PWRの上ぶたでございますけれ
ども
、これも当然取りかえに際しては工事計画の扱いが必要でございます。
北川れん子
99
○北川
委員
ちょっと不明確でわかりにくいですが、私流に言うと、
自主点検
の内容物に入るというふうに
保安院長
は言われたというふうに受けとめさせていただきます。 そこで、この
自主点検
の生データ、この
情報
公開というのはとても必要だというふうに思いますが、
東京電力
が八月三十日までにした
自主点検
の生データ、そして八月三十日以降各電力
事業者
に
指示
された生データ、その公開を求めたいと思いますが、
経済産業大臣
はどういうふうなお考えでいらっしゃいますでしょうか。
佐々木宜彦
100
○
佐々木政府参考人
原子力発電所
におきますいわゆる
法律
や、
行政
指導
、通達に基づきます
事業者
からの
報告
は今すべて公開をいたしているところでございますが、今回、
報告
の
ルール
が明確でなかったとか
事業者
の
判断
にゆだねられているとか、そういう問題が
一つ
ございます。
二つ目
は、
原子力発電所
におきます通常でないような異常な状態、小さな傷とか小さな
トラブル
におきましても、これをやはりきちんと公開、透明性のもとでやっていくべきという御議論の中で、その全体の仕組みをどうしていくかということを
検討
いたしているところでございますが、特に、例えば
配管
で何らかの傷があった、これは新しい材料であったが、技術的には予測していない事態であったというようなケースでは安全上の
評価
をする、このこと自身は、安全上の問題でないとした場合には国への
報告
には上がってこないというようなことになり得るわけです。 しかしながら、そうした
情報
もお互いに、これは
国民
全体の間で共有をすることによって学問の世界からもアプローチができる、あるいは
事業者
間でそうした
情報
を共有できる、
国民
の皆様にも
原子力発電所
で一体どういうことが事象として起きているかということも御理解していただく。したがって、そういう
情報
をすべて透明性のもとに公開をしていく仕組み、そして、それらを分析したり、そのデータといったものを役に立てて新しい技術に反映していくとかそういう
一つ
の大きな仕組みに変えていかなければいけないということは、今回の反省の
一つ
でもあると思っております。 したがって、今
先生
がおっしゃった
自主点検
の結果の生データを全部出せとか、そういうことになりますと、極めて膨大なものでございます。本当に必要なものについてきちんと公開、透明のもとでやっていく仕組みを考えていきたいと思っております。
北川れん子
101
○北川
委員
抜き取りされた部分で考えるということが危険だということが今回の
東京電力
の
事例
だったと思いますので、膨大であろうがなかろうが、全データを出してやはり問うべきではないか。それは、地元
住民
の皆さんの怒り、また首長さんの怒りに通ずるものだと思いますので、範囲を決めずに、すべて、膨大であろうが出していただきたいということを再度要望いたしたいと思います。 次にお伺いしたいんですが、損傷が発見された場合、その原因の
検査
のための
ルール
というものは今あるんでしょうか、ないんでしょうか。
佐々木宜彦
102
○
佐々木政府参考人
御
指摘
のように、確かに不明確な面があります。いわゆる
原子炉
を安全に
運転
するための機能の低下につながるような損傷については、これは
法律
もしくは通達に基づいて
事業者
から
報告
が参ります。その時点で、私
ども
は、そのことの技術的な意味、安全の
評価
について、
専門家
の意見をいろいろ反映しながら
対応
することにいたしております。 一方、そうした
段階
でないというものについては、
事業者
の事業所におきまして、どうした補修が
対応
すべきことであるかとか、技術的に安全をどう
評価
するかということを事業所の中で判定をし、意思決定をしていくということになっているわけでございます。 しかしながら、今回の
東京電力
の二十九
案件
の中で、幾つか私
ども
も
調査
をしてみた結果、そうした機能が働いていなかったという事実が幾つかあることは認識しているところでございます。
北川れん子
103
○北川
委員
ルール
が不明確だったという点において
大臣
にお伺いしたいんですが、維持基準導入以前の
状況
に
日本
があるということではないかというふうに私は思ったのですが、
大臣
は、先ほどの
保安院長
の御答弁をどうお聞きになりましたでしょうか。
平沼赳夫
104
○
平沼
国務
大臣
私
ども
の基本的な考え方として、今維持基準の議論がいろいろ出ておりますけれ
ども
、安全のレベルというものを下げるということであってはならない。したがいまして、この維持基準導入に関しては
検討
小
委員会
のそういう
評価
もいただいておりまして、ですから、そういう中で、この維持基準というものは、現在のレベルを、基準があってそれを下げちゃうというようなことじゃなくて、しっかりと
国民
の皆様方に納得いただける、そういう形でこれから総合的に
検討
していかなければいかぬと思っておりまして、
佐々木
保安院長
もそういう趣旨で申し上げている、こういうふうに思っております。
北川れん子
105
○北川
委員
NGOやNPOは、この維持基準導入に関しては、時期尚早である、または強烈な
反対
を、声明を既に上げていらっしゃるところもあります。 実際、社民党としては、前提条件がない中での維持基準導入というのは、あらゆることへの
規制
緩和にしかならないという点において、そして不明確な点を持ち込むといった点の懸念において、
反対
という立場をとっております。維持基準導入という前提の中には、先ほどのデータログなどの整備がちゃんとできているかとか、全面
情報
公開がなされるか。 そして、内部告発の件なんですが、これは、少なくとも内部だけではなくて、だから、
GE
だったら
GE
に、例えば電力会社の人が電力会社にという形態しかあり得ない内部の
あり方
ではなくて、やめた人、そして以前に関与していた人、そしてまた、ほかの、孫請や下請の労働者の方からという意味においては、外部の告発、そういうことを受け付ける、そして、その人たちの身の保全が守られる、そういうあらゆる保護の環境整備が整わない限り、維持基準導入というのは机上の空論であろうというふうに私
ども
は思っているわけですけれ
ども
。
大臣
は、先ほどの御答弁、ちょっといつもの
大臣
じゃなくて明確じゃなかったなという気がいたしておりますけれ
ども
、今回の不正と
隠ぺい
の体質というものは、
日本
の
保安
官制度、せっかく二〇〇〇年に導入されたわけですけれ
ども
、これが機能していなかったのではないか、そのことが如実に
検証
されたことなのではないかというふうに思うわけですが、その点、
大臣
はどう考えていらっしゃいますでしょうか。
平沼赳夫
106
○
平沼
国務
大臣
原子力発電所
などの各所在地には
原子力
保安検査
官が御承知のように常駐をしております。
原子炉
等
規制
法に基づきまして、
事業者
が
運転
や
保安
活動について定めて認可を受けた
保安
規定の遵守
状況
について、年四回の
保安検査
に当たっております。また、日常においては、施設の巡視点検や
運転
状況
を
確認
するなど電力会社が適切な
保安
活動を
実施
している、そのことを監視しているわけです。
原子力
保安検査
官は、ジェー・シー・オーの
事故
を踏まえまして、
平成
十二年の
原子炉
等
規制
法の改正により設置をされたものでありまして、改正前にはその前身である
運転
管理専門官四十一名が配置されておりましたけれ
ども
、これを九十九名に増員をして体制の強化が図られたところであります。
原子力
保安検査
官の資格要件については、二年以上の
保安
行政
実務経験を有すること、
原子力
保安検査
官になるに際しては、
原子炉
の原理、
保安
活動や
関係
法規等に関する研修を受講することを任命の条件としております。また、
品質保証
の標準的な考え方及び
品質保証
監査の方法についての研修も
実施
しております。 そういう意味で、万全を期してきたわけでございますけれ
ども
、しかしながら、今般の
事案
を受けまして、
原子力安全規制法制検討小委員会
の
中間報告
案におきましても、
検査
制度の実効性を向上するための
検査
方法の改善、あるいは
検査
官の体系的な研修などにより
検査
官の資質の向上や体制強化を図るべきとの
指摘
が行われました。
経済産業省
といたしましては、このような
指摘
を踏まえまして、
原子力
の
信頼
確保
の上で重要な役割を果たす
検査
の一層の
充実
に取り組んでまいらなければならない、このように思っているところであります。
北川れん子
107
○北川
委員
率直にお伺いしましたので、なかなか、そう、そのとおり不正があった、
隠ぺい
の体質があったというふうにはお認めになりにくかったのだと思いますが。 九月十六、十七のIAEAの会合の席で、
原子力
安全
委員会
はこのことを聞かれたらしいんですが、その中において、なぜ
原子力発電所
をとめてすぐ炉内の損傷を調べなかったのか、その権限をどうして
原子力
安全
委員会
は発動しなかったんだろうということで、
日本
の体質は何なんだろうという逆疑問を投げかけてしまったという
情報
も得ておりますが、
経済産業大臣
におかれましては、この不正と
隠ぺい
の体質が何から起こっているのかということに対して、もう少し御自身の考えを深めてみようというお気持ちがあるかないかを最後にお伺いしたいと思います。
平沼赳夫
108
○
平沼
国務
大臣
私は常々申し上げておりますとおり、
原子力
行政
、これは
国民
の
信頼
をいかに
確保
するか、そしてまたその
安全性
というものをいかに担保するか、こういうことにかかっておりますので、私は、自分なりにこのことはしっかりと認識していると思っております。
北川れん子
109
○北川
委員
終わります。ありがとうございました。
谷畑孝
110
○
谷畑委員長
本日は、これにて散会いたします。 午後零時五十三分散会