○山田(敏)
委員 地球温暖化は非常に緊迫して、五十年後には地球は住めなくなるんじゃないかということで京都議定書ができたわけですね。
日本は一番
世界で不利な条件、もう既に省
エネルギーは我が国の産業はやっておりますので、それに対して十何%削減をすると。下手をするとこれは排出権を、
取引量を買ってこなきゃいけない。そうすると、一兆円とか二兆円とか、こういう
状況に今なっているわけですね。
一番大事なのは、地球温暖化を
世界に先駆けて我が国の技術、産業をもってやっていくということだと思うんですね。それには
戦略が要ると思うんですね。これもいい、あれもいい、こういうふうにやると
日本は誤ってしまう。
これは一番いい例が風力発電の例だったと思うんですが、
日本は、二十三年間、
通産省が数百億円の
お金をかけて風力発電の
開発をやったわけですね、研究
開発組合で。その結果、
世界で最もおくれた技術水準になっちゃって、
日本で今風力発電といえば、ドイツやオランダの、ヨーロッパの技術を一〇〇%入れてやっている。ドイツの場合は、
戦略性をはっきりして、これでいく。
日本の場合は、二十三年間それだけの
お金をかけたけれ
ども、中型でいくのか小型でいくのかわからない。あれもやる、これもやる、海上でやる、あれでやる、これでやる、やった結果何もできなかった、こういうことになったんですね。
そこで、燃料電池車なんですけれ
ども、私は、トヨタの研究所へ行って、上から下まで歩いてみて、現場で研究していらっしゃる方に聞きました。
最初、水素を積むというのは非常に危険ですから、ガソリンをついで
開発をするということをトヨタは発表されましたので、そのガソリンの改質をやっていると。その現場でやっている方は、この装置を常時七百度、八百度にいつも保たなきゃいけないんだと。これは大変な技術です。材料から
開発しなきゃいけない。しかも、その七百度、八百度のものを常時車の中に積むという安全性もまだわからないと。
だから、トヨタの方は、これでいくんだ、トップの方が、いや、一千万でやりますなんて言われたんだけれ
ども、とんでもないけれ
ども、やっている現場の方は、そんな
意見を持っていらっしゃらないんですよね。要素技術が多過ぎるんですね。燃料電池そのものの
開発、膜の
開発、それから改質、それの
開発、それからそれを注入する、これはまだできていない。それだけ要素技術が多いものを量産化してもそんな簡単には下がってこないと。
私がいつも言っているので、もう
大臣、耳にたこができたと思うんですが、電気自動車はモーターとバッテリーだけなんですね。ほかは何もない、一番シンプルな技術。十万台つくるとコストダウンが非常に図れる。
世界一の電池メーカーに行って、工場の中に入って聞いてみました。
今、電気自動車の一番最大のネックはバッテリーが高いということですね。それはつくっていないからなんですね。一年間に百台とか二百台しかつくっていないから。その方に聞いて、もし十万台つくったら幾ら下がるのかというと、だれも計算できない。しかし、使っている材料は、マンガンとかそういう高いものじゃないんですね。ですから、これは鉛電池と同じ価格になる可能性は非常に高いですと。では、これはやってみないといけないわけですね。それは鶏が先か卵が先か、こういうことでございます。
それと、一番大きいのは、
日本の
エネルギー体系を見て、四〇%は原子力発電所ですから、これは二十四時間発電していて、夜中に発電して、どんどんポンプを使って山の上に水を上げて昼間発電する。二五%から三〇%の
エネルギーをロスしている。電気自動車というのは、夜中に深夜電力を使って充電するわけですから、
日本じゅうの七千万台の車が使っても発電所をふやす必要がない。そうすると、今議論になっている
石油の備蓄とか
石油の
開発とか、そういうのはもう全く我が国では議論にならなくなる、そういう
戦略もあるということを申し上げたいと思うんですね。ちょっと長くなって申しわけないんですけれ
ども。
今経産省は、燃料電池車を二〇一〇年に五万台にします、二〇二〇年、わずか十年後に五百万台にしますと。これは我が国の車の一〇%ぐらいですよね。この間、自動車リサイクルでやりましたけれ
ども、これだけ燃料電池の車の中にはたくさんの要素技術が入っていますね。そうすると、リサイクルするときも大変なコストがかかりますね。この辺も考えて、もう一回
日本の
石油政策、
エネルギー政策、
環境政策も考え直す必要があるんじゃないかと思うんですが、
大臣、いかがでしょうか。