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達増委員 石油公団が
廃止されるという主要な論拠は、その主たる
事業がなくなる、主たる
事業が
廃止されるからということなんですが、実は主たる
事業、そのほとんどの
事業が残っているではないかということをまた後で質問させていただきますが、その前に非常に基本的な質問をさせていただきますけれ
ども、それは、
独立行政法人というあり方、新しい組織を導入することについてであります。
独立行政法人は、今まで政府の機関が
独立行政法人になるケース、幾つかあったわけですが、特殊
法人が
独立行政法人になるのはこの
法案が初めてのケース。果たしてこの
石油公団というものが
独立行政法人という形になじむものかどうかというのを改めて
考えてみなければならないと思うんですけれ
ども、そもそも、
独立行政法人というのは、政府が直接行っていたサービスを
民間企業の経営
感覚、サービス
感覚を取り入れることでよりよく、より効果的に行おうというものだと思うんですね。もともと
独立行政法人、英語でエージェンシーというのはイギリスで大成功をおさめ、サッチャーさんの
改革からまたブレア首相の
改革にも引き継がれ、イギリスで非常に成功しているのを参考にしたものなんだと思います。
実は、そのイギリスにおけるエージェンシー
制度、ブレア首相にかわったばかりのころなんですが、一九九七年の七月に、当時新進党、新進党青年局訪英団というのがイギリスに行きまして、イギリスのエージェンシー制について調べてきております。
この新進党青年局の訪英団というのは、そのとき、ブレア首相と保守党ヘイグ党首の党首討論をきちんと視察しまして、この訪英団のメンバーが、後に
我が国で党首討論
制度を導入する際、その
法案の起草にかかわったといった非常に歴史的な訪英団でありまして、新進党の仏壇は今自由党の方にございますのでこういう
報告書も我が党の方で保存しているのでありますが、
改革を目指すそういう若手の動き、新進党の中でもあったわけです。
エージェンシー化担当官というのが
内閣府にいまして、テリー・バードという人でありましたが、その人が言っていたんですが、エージェンシー化というものは大
企業の分社化のようなものだ。行政の現場に権限を大幅に委譲して、本省とは指揮命令の
関係ではなく契約の
関係で結ばれる、各省庁とエージェンシーが契約の
関係で結ばれる。それで、そのエージェンシーの長は公募で募集して、三割の人が非
公務員になっている。
会社の
社長のようにそのエージェンシーの顔となって、マスコミ等に取り上げられることも多い。そういう
民間の経営
感覚を利用してやっていく。九七年当時、百三十八のエージェンシーが既にできていて、
公務員の七六%がエージェンシーに属するというような、そういう抜本的な
改革をやっていたわけです。
さらにつけ加えますと、九九年付のこの
独立行政法人白書、エージェンシーリポート99というものをイギリス政府が出しておりますが、そこで、エージェンシー化、
独立行政法人化の目的というものは、政府のサービスの質を向上させることだと一言で言われています。それを敷衍しますと、資源の有効活用、コスト削減ということですね。あと、むだな人も使わないということです。そして二つ目に、よりよいサービスの質。やはりサービスの質ということがあります。そして三番目に、消費者の要求により的確に合わせていく。つまり、サービスを受ける消費者、あるいはカスタマーと言っていますけれ
ども、そういう
国民に向けてのサービスということなんですね。
そうしますと、
石油公団というのは、一般
国民に何かサービスを提供するようなものではないんですね。もっと
戦略的な、国家としてどこを
開発する、
石油の
自主開発にどの程度のお金を使うかという、イギリスのエージェンシー
制度と
趣旨が非常に異なるようなところにこのエージェンシー化が使われているのではないかと疑問に思うわけであります。
イギリスで百三十幾つかできているエージェンシー。どういうエージェンシーがあるかといいますと、社会保険、
日本でも社会保険は庁と言って、英語にするとエージェンシーですが、エージェンシーといっても、もう
独立行政法人化しているわけです。公的扶助もそうであります。あと、イギリスで有名なのは刑務所ですね。まさにそういう
国民向けのサービス、受刑者向けのサービスですが、そういうのが、コストも削減できるし、サービスの質も向上するということで、刑務所をエージェンシー化している。あとは、
日本で言うハローワークのような雇用部門。税関、裁判所もエージェンシー化されております。土地登記、
日本で言う地方の法務局、登録の登記です、その土地登記もエージェンシーになっている。自動車免許登録、この間自動車リサイクル法で話題になりましたが、陸運局がやっているような仕事も既にエージェンシーとなっている。道路管理、高速道路
関係業務、それも既にイギリスではもうエージェンシーになっているわけです。それから旅券の発行、パスポートですね。外務省が国の仕事として
日本ではやっていますが、これもエージェンシーがやっている。客商売だからです。造幣局もエージェンシーになって、特許庁もエージェンシーになっているんですけれ
ども。
要は、客商売という発想で、よりよいサービスをより低いコストでやっていくというところにそのエージェンシー化の
趣旨があるはずなんですが、そういう
意味で、
石油公団という、一般
国民向けのサービスとはちょっと質の違う、もっと国家
戦略的な
業務を担うものをエージェンシー化するというのはいかがなものかと思うんですが、長くなりましたが、
大臣、いかがでしょうか。