○鮫島
委員 多分だれもわからなかったんじゃないかと思います。
つまり、先ほど、これもどなたかほかの
委員の質問に対して
大臣は、クリーン
開発メカニズムとか
排出権取引というのを抜け道とか抜け穴というふうなとらえ方をするのは当たらないと思う、つまり、実際そういう
排出権取引とかCDMによって本当に
地球大気の中のCO2が減るんだったら、それはそれで前向きに受けとめてもいいのではないかという御見解を示されましたが、森林吸収も同じ話で、つまり、本当に
日本の森林が二〇一〇年には一九九〇年よりいっぱい吸うなら、これは大変
地球環境に貢献しているというふうに評価してもいいですが、条約上の不思議な規定を利用して、実際の吸収量は減っているのに、いかにも
日本の森が一九九〇年よりもたくさんCO2を吸っているようにすること、これがなかなか御
理解いただいていないんですね、
日本人全体にも。
もうちょっとわかりやすく言うと、要するに、一九九〇年は
日本の森林は寝ていました、全然吸収していません、二〇一〇年に突然森が目を覚ましてがんがん吸収を始めましたといって出てくる数字が、三・九%分、CO2換算で四千七百万トンなわけです。ですから、これは
地球の神様から見たら、おまえら、いいかげんなことをするんじゃないよという
やり方なわけですよ。実際の
大気CO2濃度の減少には貢献していない。条約上、いかにも貢献しているようにする
やり方。
だから、これを獲得するのが大変だったわけですよ。川口前
大臣が大変御苦労された。あわや、これはもう通らない、それは、みんな、ヨーロッパの普通の人たちから見たら、こんなインチキな
計算はないだろう、何で
日本の森が寝ていていきなり目を覚ますような
計算が
日本だけ通用するんだと。ところが、
日本に抜けられちゃったら、もう五五%がだめになっちゃうからというので、しようがないとこれは劣等生にげたを履かせたような話なわけですよね。
だから、こんなものは本当は使う必要がなければ使わない方がいい数字。つまり、
地球環境に対しては本当の
意味で貢献していないんですから。二〇一〇年は
日本の森は成熟して一九九〇年より吸収量が減っちゃうわけですから、
地球の神様から見たら、貢献していないわけです。だから、本当はこういうのは余り使わない方がいいというふうに私は思っています。
そうすると、かなりこの
大綱の中身というのはきつくなってきて、劣等生にげたを履かせるようなこともやめる、それから原発についてももっとはっきり見通せる形で
計画を立てた方がいいんじゃないかということからいうと、もう少し幅広いオプション、あるいは新しいオプションを
考えた方がいいのではないかという気がいたします。
例えば、きょう国土交通省の住宅局の方、いらしていますね。平成十一年に、次世代省エネルギー
基準、建築主の
判断基準というガイドラインを出していて、床面積一平米一年間当たり冷暖房にどれだけのエネルギーを使ってもいいですよ、あるいは、この程度のエネルギーにしてくださいというガイドラインが出された。
ドイツでも同じようなのが出されています。直近のドイツの
基準では、二〇〇〇年段階、二〇〇〇年からこれが適用になったわけですが、数字でいうと、年間一平米当たり冷暖房に使う電力は七十キロワットアワー、これを超えてはいけませんというのがドイツの建築
基準。これに合わせようと思うと、最近話題になってきている外断熱工法をやらないと、なかなかこれだけのエネルギーで空調がうまくいくというのができないので、それで自然にどんどん外断熱になっていて、
日本のようなシックハウスとか結露する問題がなくなっているわけです。
ところが、平成十一年の当時の建設省の
基準ですと、さっきドイツが七十に対して、北海道地区で百五十二。これは建設省の方はジュールという表示になっていますが、私はキロワットに換算しましたら、北海道が百五十二で、首都圏が百七十九という数字、これが
日本のガイドライン。ドイツのガイドラインは七十ですから、つまり
日本の半分以下ですね。
もしドイツ並みの
基準で
日本の建築物を、これはあくまでも仮想の数字になりますが、もし今全部ドイツ並みというふうになったら、これで獲得できる、これで減らせるCO2というのはおおよそ何万トンぐらいになりますでしょうか。