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石破委員 外務大臣、大変お疲れのところをお出ましをいただきまして、平素の御労苦に心から敬意を表したいと存じます。
私
どもはまず
冒頭に考えてみなきゃいかぬこと、それは
日本国憲法前文に書かれていること、つまり、我々は「平和を愛する諸
国民の公正と信義に
信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」これはどういうことなのか。私は、かねてから申し上げているけれ
ども、そうであればそれにこしたことはない、我々はそう願いたい、しかしそうでなかったらどうなのかということを私
たちはいつも考えていなければいけない、そのことを今回つくづくと思ったことであります。
私は、今回の
総理の
訪朝は
日朝関係に新たな
段階を開いたものだ、今回
総理の御
訪朝という決断がなければ、非常に悲しい、残念なことではあったけれ
ども、
拉致された人々の消息というものはわからなかった、そして、
ミサイルにしても核にしてもあるいは
工作船にしても、そのようなことについて新たな
段階に入ることはできなかった、そう思っております。そういう
意味で、今回の
総理の御
訪朝は大きな
意味があったものだというふうに考えております。
大事なことは、これをどうやって
国民世論として支えていくかということだと
思います。
国民の
支持と
理解があって初めて
外交は力を持つものだと
思います。新たな
段階を迎えた
日朝の
関係において、そしてまた
北東アジアの安全にとって、
国民の
理解と
支持を得るべく、
政府そして
外務省は万全の
努力を今後もしていただきたい。そのような観点から、
幾つか
質問させていただきたい。
かてて加えて申し上げれば、ここ数日の
報道において、
朝鮮人学校の生徒さんやそういう
方々に対して、
嫌がらせであるとか脅迫であるとかそういうようなものが行われておるというふうに仄聞をいたしております。そのようなことは、
日本人として最も恥ずべきことであるというふうに私は
思います。そのことを
政府はきちんと
認識し、
国民の
皆様方にも呼びかけていただき、そしてまた、そういう
方々が悲しい目に、不幸な目に遭わないように
政府としても万全の措置をとっていただきたい。心からお願いを申し上げたいと存じます。
さて、まず
外務大臣にお伺いします。
今回、
金正日総
書記・
国防委員長から、
拉致という事実を認め、
おわびをするということがございました。私は、この問題は、単なる
犯罪ではなくて
国家主権の
侵害としてとらえるべきものだというふうに
理解をいたしております。すなわち、
誘拐をされたということで、単なる
犯罪としてとらえるのではなくて、これは明確な
国家主権の
侵害であるというふうに
理解をしております。その点についての御
認識を承りたい。それが一点です。
第二点、伝えられておりますように、亡くなられたとされる方、これは
言葉を気をつけなきゃいかぬのですが、
死亡が
確認されたなどという言い方が当日なされたが、それは、
北朝鮮が
死亡という
情報を伝えた、それが
確認された方ということであって、まだ何ら
確認はされているものではない。
死亡が
確認された方などという
言葉は間違っても使うべきではないと申し上げておきます。
その亡くなった日について、その日時はきのう
報道であったとおりであり、
官房副
長官が会見されたとおりだったというふうに私は今思っています。しかしながら、そのことを御
家族にお伝えするべきではなかったか。まだ未
確認ではあるけれ
どもというただしつきで御
家族に伝えるべきではなかったか。
私も、その日
飯倉公館におりました。
福田官房長官、そして
植竹副
大臣、伝えられる
方々がどんなにおつらかったかということは私もよく
認識をしております。あの場におった者が涙しなかったはずはないのであります。
しかし、
家族の方が待っているのは、亡くなったか亡くならないか、生きておられるかということと同時に、それがいつなのか、どのような
状況であったのかということを一番知りたかったはずで、亡くなったかどうか、生きているかどうか、そのことだけ断片的に伝えられても、それは
納得しろと言う方が無理に決まっている。未
確認ではあるけれ
どもということで、亡くなった日をお伝えすることは、私は、
外務省として必要なことではなかったかというふうに思っている。
そのことについて、
官房長官も、あるいは
外務大臣もそういう方向であるべきだというふうにおっしゃっておられるが、私は、必要なのは、御
家族に対してそのことは非であったというふうに認めることだと思っているんです。
主権の
侵害だというふうに申し上げました。それは、御
家族と
政府が別なのではない、御
家族と
政府、御
家族と
外務省、それは
一体となって当たっていかなければいけない。御
家族の
理解なくして、この
交渉が一歩でも先に進むと思っていただきたくない。だとすれば、このことについて、
外務省として率直に伝えるべきであった、申しわけなかったと言うことが私は肝要ではないかというふうに考えております。
以上、
お答えをいただきたい。