○東門
委員 しっかり趣旨の
発言が出ているじゃないですか。これを否定なさるんですか。わかりました。では、これは後で私、またもう一度やります。
地位協定の十八条
関係についてお伺いいたします。
これまで本
委員会におきまして何度も指摘してきましたように、沖縄においては、米軍基地に起因する事件、事故が住民の生活を脅かし続けています。
一連の米軍機事故や米軍人軍属などによる殺人、暴行、放火などの刑事事件による住民の不安や怒りは言葉では言いあらわせないものがあります。しかも、このような大きな事件、事故以外にも、米軍人軍属やその家族によって引き起こされたものであるゆえに大きな問題となるものもあります。その
一つが、米軍人軍属あるいはその家族による交通事故です。
日米地位協定第十八条は、請求権、民事裁判権について定めており、米軍人軍属が公務中に起こした事故については、十八条第五項において、
日本政府が肩がわりして損害に対して補償することになっています。しかし、公務外の事件、事故の場合、十八条第六項の規定では、合衆国当局は、遅滞なく、慰謝料の支払いを申し出るかどうかを決定し、かつ、申し出る場合には、その額を決定するとされています。すなわち、慰謝料の支払いを申し出るかどうかを決定するのは米国であり、慰謝料の額も米国が一方的に決定することになっているのです。
また、
日本政府の対応について、第十八条第六項が規定しているのは、公平かつ公正に請求を審査し、請求人に対する補償を査定し、並びにその事件に関する報告書を作成して合衆国の当局に交付することのみであり、被害補償についての
日本政府の果たすべき役割については何も規定されていません。つまり、米軍人軍属の公務外の事件、事故については、米国
政府も
日本政府も法的な責任はなく、損害を補償する義務がないことになっています。
このように、十八条第六項による米国からの慰謝料の支払いは、米軍の一方的な好意で支払われるという性格のものであり、しかも、被害者がこの慰謝料を受け取るためには示談書に署名することを強いられます。
被害者が米国が提示した金額に納得できない場合は、これを拒み、裁判に訴えることはできるが、米兵個人の責任を追及しても、米兵はいわば体
一つで駐留しているようなものであり、補償できるような財産も持っておらず、また、自賠責保険のみで任意保険に入っていない例が多かったわけです。
さらに、米兵が国外に異動、転勤してしまえば、被害者は結局一銭の補償も受けられないことになってしまう。それゆえ、かつてはわずかばかりの慰謝料を受け取り、泣き寝入りすることを強いられていました。
SACO合意により、この状況は一定の改善はなされました。自動車保険については、平成九年一月から、地位協定のもとにあるすべての人員を任意自動車保険に加入させることを決定し、被害者への補償についても、米側当局による請求の最終的な裁定がなされる前に、
日本側当局が必要に応じ無利子の融資を提供する制度が導入されて、米国
政府による支払いが裁判所の確定判決による額に満たない場合には、
日本政府は、必要に応じて、その差額を埋めるため、請求者に対し支払いを行うよう
努力することとなりました。被害者の救済という面では、これは一定の前進であると思います。
しかし、これだけでは、根本的に問題が解決されたとは到底言うことはできません。今から、その問題点について
一つ一つ指摘をしていきたいと思います。
まず第一番目ですけれども、任意自動車保険への加入について伺いたいと思います。
SACO合意で、「地位協定の下にある全ての人員を任意自動車保険に加入させることを決定した。」と明記されていますが、この決定は米軍人軍属にとって義務なんでしょうか。現在加入していない者は一人もいないのか、
政府はこの点について確認をとっているのかどうかからまず伺いたいと思います。