○原田(義)
委員 自民党の原田義昭でございます。
大臣におかれては、本当に連日御苦労さまでございます。着任されて百日を超えられるわけでありますけれ
ども、山また山で御苦労でございますけれ
ども、頑張っていただきたい、こう思います。
きょうも領事館の問題、テーマとして大分議論されました。実は、やや象徴的なんですけれ
ども、今晩の夕刊の
一つにこういう記事があった。「なぜ? 事態は混乱するばかり 今後は?」どうなるかという記事でありますね。要するに、何かもう、これは私の頭の中もそうなんですけれ
ども、何が何かわからねえというぐらい本件は複雑になってきているような気がいたします。しかし、物事というのは、大体、複雑なときは何が核心か、何が本質かということをきちっと分析すればそんなに難しくないと思っているんですよ。
私の理解では、本件は三つに分かれると思っております。
一つは主権の侵害。もう
一つは、
亡命とか難民をどう扱うか。先ほ
ども出ましたよ、
日本は少しその辺が温かさが足りないんじゃないか、先進国の中でもその辺がおくれているのではないかと。これはこれで大問題であります。三つ目は、
阿南大使の
発言の問題が出ましたけれ
ども、領事館のどたばた。そのときに総領事もいなかった。副領事も
日本に帰国していた。すぐは帰れなかった。伝達の方法、電話の連絡、ましてや、英語で書いた大事な
文書、命をかけた大事な
文書を読んだか読まないか、ぽっとけってしまったと。
私は、これらの問題は非常に大事ですけれ
ども、これは、ある
意味では
外務省改革、今
外務省はどうなっているんだというジャンルの問題ではないかと思っているんですよ。これらをみんなごっちゃにして、あれが悪いから、これが悪いからと言ったって、問題はますます複雑になるだけである。
私は、
中国との関係では、第一点、唯一、これは主権の侵害に対してきちっとした
抗議を行い、それを断固として追及するということが大切であって、二番目の
亡命、難民の対策は、これはこれでやらなきゃいけない。三番目はしかりで、もう今やっているわけでしょう。ただ、そのとおりいかないというだけだ。
これについて、よく領事関係に関するウィーン
条約のことが出ます。まず、この条文をみんなもう一回読み直さにゃいかぬと思う。三十一条の一項というのは、まず不可侵だということであります。二項は、許される範囲が二つある。それは、同意が得られたときと、ただし書き。これは当然、火災とか災難とか、もう何としてでもその暇がないと。三項というのは、ホスト国は最大限の努力をしてその領事館を守らなきゃいけないと書いている。
実は、私の知る限り、
中国はまず、同意を得たから問題ないと言っているんだ。そして二番目に、三項の、全力を尽くせ、何もかんもちゃんとした措置をとれと言っているから、だから我々の
行為は正当化されるんだということをどうも言っているようなんです、僕の知る限り。
しかし、私は、その一項、絶対不可侵の条文、そして二項、承諾、合意を得たか、これは本当に真剣に考えなきゃいけないと思っている。この条文を読むと、外交使節団の長の同意を得るということですよ。ないしは、それが専らそうしろと権限を与えたその職員だけ同意を与えるという権限を持っている。この同意について、どうも水かけ論になりつつあるような感じがしますね。
日本は、いろいろ言って同意を与えていないと言うし、向こうの国は、何かもう同意をもらったと言って、我々は合法化されているんだと堂々と言っているでしょう。しかし、これもおかしな話で、水かけ論といったって、同意をする権限は
日本にしかないんです。百歩、二百歩譲って、そのときに多少の誤解を与えたとしても、これだけ
日本が正式に同意をしていないと言っているんだから、こんなこと、相手国が同意をもらったから合法化されるなんということは、私は頭からおかしな話だと思います。
いかなる
意味から見ても、私はこれはやはり、
日本の立場、これは違法であるということはきちっと正当化されるものであって、このことを唯一、
中国に対して言い続けるべきではないかな、これが、なぜ混乱をし続けているかということについての私なりの答えなんですよ。あれやこれや、領事館の手続、
阿南大使の
発言、それをごたごた持ち出しますと、これは幾らたってもらちが明かない、そんな感じがするわけであります。
これに対して、大変残念ながら、総理も
外務大臣も、公の場でこの問題について、
国際法上の問題で極めて問題だ、さらには、非常に遺憾であるということを繰り返し言っておられます。私は、そのとおりだと思いますけれ
ども、問題であり、遺憾なのはわかりますけれ
ども、やはりその条文に照らすと違法であり、
国際法に違反しているのではないかということを触れることが必要ではないかなというのが私の印象でございます。
確かに、冒頭申し上げましたように、非常に複雑になっております。また、
中国という大事な国との関係もありますから、それはもちろん追及していかなきゃいけませんけれ
ども、私は、こういう問題について、しっかりとした本質をまず求めるということが必要ではないかと思います。
大臣、いろいろ御意見があろうと思いますが、私のそういう意見に対して、いかなる印象を持っておられるか、どうぞ答えていただきたいな、こう思います。