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松本(善)
委員 大筋、私が読み上げた報道のとおりであると思います。
これが、いわば我が国の、我が
政府の基本的な主張なんですね。だから、
歯舞、
色丹はもう既に合意済みなんだ、領土
交渉というのは国後と択捉なんだ、これが
政府の公式主張であると思います。私
どもは、何かの機会があれば言いますけれ
ども、四島
返還論ではありませんけれ
ども、
政府の公式の主張であることは、これは間違いないと思います。
そこで、問題は、この
会議の後に、いわゆる問題の秘密
交渉が行われるわけです。
文書の一ページを申しますが、
鈴木議員は、本日はよい協議が行われたか。これは、その前に行われた
会議のことを言っている。
ロシュコフ次官は、我々は友好的な雰囲気の中で協議を行った。しかし、
意見の一致を見出せなかった。我々は、よい雰囲気で、またよい同僚と協議を行っているのに、
意見の一致が見られないという矛盾に身を置かれている。このため心の中で葛藤を感じており、残念である。言うならば、
ロシュコフ次官は、この正式の
専門家協議に対して不満を持っているんですよ。問題は、それに対して
鈴木議員が一貫して
政府の公式主張と違うことを述べているのが、この
会議の秘密文書の中身です。
それで、ちょっと読みます。二ページ目は、しかし、自分や——要するに正式主張をする人と違って、自分や東郷
局長は弾力的な
姿勢で
ロシアとの
関係を
考えていたという
立場で、このような
姿勢でパノフ大使とも働いているんだ、こういうことです。本日の
専門家会議については、まだ東郷
局長より報告を受けていないが、いずれにしても、昨年九月の訪日の際に
プーチン大統領が五六年の日
ソ共同宣言の有効性を認められる
発言をされており云々、こういうふうになっています。
それで、その後、
ロシュコフ次官は、下から数行目ですけれ
ども、モスクワで丹波大使と話し、
日本側が
姿勢を厳しくするなら、
ロシア側の
姿勢も厳しくなると伝えた。正式態度、
政府の公式主張に対して、
ロシュコフ次官は一貫してこの問題を言っているわけです。
ところが、
鈴木議員は、ここから別のことを、
政府と違うことを言っている。
例えば、福田
官房長官については、問題の
発言、これは四島
返還論ですね、問題の
発言等をしたけれ
ども、自分は、翌日の記者会見でその
発言を訂正させた。そもそも福田
官房長官の
発言など気にする必要もない。
それから四ページ。さきの橋本
大臣の
発言に対しても自分は不満に思った。これは四島
一括返還論です、全体を読めばわかりますが。橋本
大臣は、自分、これは
鈴木議員のことですね、自分が所属する派閥の指導者であるが、それでもだめなことはだめだという
立場で橋本総理に
意見をしたんだ。
それから、一番問題なところですが、その次の
鈴木議員の
発言です。五六年
宣言を明記すること、そしてできれば、ここからが問題なんですが、無人島であり
日本側に渡しても
ロシアが損することはないであろう
歯舞群島を
日本に渡し、また面積は狭く、なくなっても
ロシアの国益を毀損するようなことはないであろう
色丹島を
日本側に渡し、国後島、択捉島については継続的に協議を行って結論を出す、それも、そのことが日ロ双方がそれぞれの世論に説明できるような解釈を可能にするような文案をぜひ知恵を出してつくり出してほしいと思う。
これは、もう
日本の主権を主張する
立場ではないわけです。
歯舞、
色丹については、
ロシアは持っていてもしようがないだろう、大して役に立たぬから
日本に返してくれという、これはもう明白に
日本の主権を放棄した
立場なんです。
鈴木議員が
外務省の職員を殴ったということについての問題も、これとの
関係です。私は
関係者に若干聞きましたが、
外務省の報告もありますが、これは主権の問題だということで
議論になって、その結果、殴るということになったというような経過であります。その問題はまた機会を改めて、きょう時間があればやれるんですが、ひょっとすると時間がとれないかもしれません。
そういう
立場でやり、さらに次の五ページ。河野外相は、一月の訪ロの前に橋本元総理から誤ったアドバイスを受けられ、外相
会談で少し強硬な
姿勢をとり過ぎたようだ。東郷
局長とも緊密に協議を行いながら、森総理と
プーチン大統領との電話
会談を実施した。
ということで、自分を売り込みながら、それから正式の代表や
大臣を非難しなさる、そういう
会談をやっているわけです。
この問題はどうして重要なのか。
委員長の会見のものも一緒にお配りしたのは、この文書がなぜ大事かということの問題であります。
実は、この
会議の前です、これは二〇〇一年三月五日ですね、二〇〇〇年の十一月三十日に、
ロシア政府は日
ソ共同宣言の、これは
委員長の会見の一ページ目の、この
会談に至る事実経過のところです。十一月三十日に、日
ソ共同宣言の
歯舞、
色丹の引き渡し条項は、
二島返還で領土問題を最終決着させるという規定だったとの見解を正式に
日本政府に伝えた。
ですから、その後の
二島返還論というのは、ソ連側がこういう
立場だということを
承知の上でやることなんです。そういう点では、
日本にとっては非常に不利な、
ロシア側にとっては非常に有利なことになるんです。
ですから、加藤審議官が述べた
立場を
ロシアの事務次官が批判をし、それに対して、いや、そうじゃないんだ、実際はこうなんだということで、事実上、
歯舞、
色丹の主権さえ放棄をするという
議論を展開しているのが、この
鈴木議員の
立場なんです。
政府の
内部文書でも領土放棄論のようなものが出てくる。首尾一貫しているんです、彼は。そういうものが出てきたということであります。
これだけ解説をしても、
外務大臣、この問題を重大な問題だとは思いませんか。