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2002-03-20 第154回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年三月二十日(水曜日)     午前八時開議  出席委員    委員長 萩野 浩基君    理事 金田 英行君 理事 西野あきら君    理事 松岡 利勝君 理事 吉川 貴盛君    理事 荒井  聰君 理事 武正 公一君    理事 白保 台一君 理事 一川 保夫君       相沢 英之君    岩倉 博文君       金子 恭之君    倉田 雅年君       仲村 正治君    林 省之介君       福井  照君    吉野 正芳君       渡辺 具能君    金田 誠一君       川内 博史君    楢崎 欣弥君       原口 一博君    横路 孝弘君       丸谷 佳織君    赤嶺 政賢君       東門美津子君     …………………………………    外務大臣         川口 順子君    国務大臣    (沖縄及び北方対策担当大    臣)           尾身 幸次君    内閣府副大臣       熊代 昭彦君    防衛庁副長官       萩山 教嚴君    外務大臣        杉浦 正健君    内閣大臣政務官     嘉数 知賢君    総務大臣政務官      山内 俊夫君    財務大臣政務官      吉田 幸弘君    国土交通大臣政務官    高木 陽介君    政府参考人    (内閣府政策統括官)   安達 俊雄君    政府参考人    (内閣沖縄振興局長)  武田 宗高君    政府参考人    (警察庁長官官房審議官) 芦刈 勝治君    政府参考人    (警察庁刑事局長)    吉村 博人君    政府参考人    (防衛施設庁長官)    嶋口 武彦君    政府参考人    (総務省総合通信基盤局長    )            鍋倉 真一君    政府参考人    (外務省アジア大洋局長    )            田中  均君    政府参考人    (外務省北米局長)    藤崎 一郎君    政府参考人    (外務省欧州局長)    齋藤 泰雄君    政府参考人    (文部科学省大臣官房審議    官)           清水  潔君    政府参考人    (農林水産省農村振興局長    )            太田 信介君    政府参考人    (国土交通省総合政策局観    光部長)         鷲頭  誠君    政府参考人    (国土交通省航空局次長) 鈴木  朗君    衆議院調査局第一特別調査    室長           小倉 敏正君     ————————————— 委員の異動 三月二十日  辞任         補欠選任   渡辺 具能君     金子 恭之君 同日  辞任         補欠選任   金子 恭之君     渡辺 具能君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  沖縄振興特別措置法案内閣提出第五号)      ————◇—————
  2. 萩野浩基

  3. 萩野浩基

    萩野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 萩野浩基

    萩野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武正公一君。
  5. 武正公一

    武正委員 おはようございます。沖縄新法質疑も三日目ということで、最終日となりましたが、よろしく御答弁をお願いいたします。民主党無所属クラブ武正公一です。  まず、過日、川口大臣は、就任後初めて沖縄を訪れ、さまざまな方々ともお会いになり、また、発言もされてまいりましたし、現地をつぶさに見てきたというお話でございますが、我々民主党も、二月に沖縄調査団を派遣いたしまして、そのときに、グレグソン沖米軍軍調整官に在沖米軍海兵隊グアムへの分散といったことを求めてまいったわけであります。  何度となく調査団の団員から四軍調整官にはそのことを求め、やりとりがございました。ただ、調整官とすれば、現状では難しい、あるいはさまざまなそういった発言があったわけですが、民主党としての姿勢ということで求めてまいったわけでございます。  外務大臣として、この点についてどのように取り組んでいるか、また取り組もうとされているのか、これについてお伺いしたいと思います。
  6. 川口順子

    川口国務大臣 委員が今おっしゃられましたように、私は、つい数日前に、土曜日でございましたけれども、沖縄を訪れました。  いろいろな方とお話をさせていただいた中に、お目にかかった方のお一人として、グレグソン軍調整官がいらっしゃいます。  この方とは、比較的時間が短かったので、基地犯罪についての問題あるいはアメラジアン問題等々、かなり限定された問題についてお話をいたしたということでございますし、あわせて、私も、そのとき、その直前に市町村の方とお話をしていたものですから、そういう方のお話も例に引きながら、コミュニケーションの重要性ということについてもお話をさせていただきましたけれども、お話しの基地分散問題について、直接にはお話はいたしておりません。  ただ、一般的に申し上げまして、沖縄米軍を含めまして、米軍のプレゼンスというのはアジア太平洋地域の平和と安定のために重要であると考えます。在沖縄米軍を含めて、この兵力構成の問題につきましては、国際情勢の変化に対応して、米国政府との間で引き続き緊密に協議をしてまいります。
  7. 武正公一

    武正委員 在沖米軍重要性は論をまたないわけでありますが、我々が特に海兵隊グアムへの分散を求めたのは、沖縄における訓練といった点でいろいろ、これは代替できるのではないのか、その代替地があろうといったことで求めているわけでございます。  また、過日の沖縄への訪問については、外務大臣から十五年期限明言せずということで、これについても地元とすればやはり肩透かしを受けたといった表現が続いたわけでございます。  さて、そのときに、土曜に県庁で稲嶺知事との会談では、日米地位協定見直しについて、運用改善でというような発言について、十分効果が上がらないときには地位協定改定視野に入れたいと川口外務大臣は見解を示したというような報道がございます。  ただ、昨日、一昨日ですか、委員会答弁でも、運用改善でよしというような御発言が続いておりますが、県内の米軍犯罪は、二〇〇一年は七十件で三年連続で増加、並びに、平成十三年七月十日には、衆議院外務委員会日米地位協定見直しの決議もしている。また、当委員会審査でも、この日米地位協定見直しということを各委員が強く主張しておるのですけれども、運用改善でよしとされるその理由をお伺いしたいと思います。
  8. 川口順子

    川口国務大臣 先般、沖縄を訪問いたしましたときに、稲嶺知事お話をさせていただきました。  さまざまな問題についてお話をさせていただき、御要望をまず知事からいただいたわけでございまして、私は、実はあの後夕刊を読みまして、十五年の問題について明言せずというのがタイトルにありまして、一瞬あれっと思ったのですけれども、私の意図としてはそれを避けて通るつもりは全くなかったわけでございます。  要望書について、項目についてお答えを実はしていたわけでして、しかも短い時間で項目の要点だけお答えした中で、これは普天間飛行場移設についてというのが大きな項目で上がっていたものですから、普天間飛行場移設について、代替基地についての基本計画お話を一言私はその場で申し上げただけでございます。私は、それについて答えてくださいと言われれば当然にお答えをしていたのですけれども、その後、記者会見で御質問がありましたので、そのときにはそれにお答えをさせていただいたわけでございます。  運用改善努力をしているところでございますけれども、これは、なぜそうかといいますと、在日米軍及びその施設区域に係るその時々の問題につきまして、運用改善によって機敏に対応することが合理的である、そういう考えに基づいているわけでございます。それで、運用改善によって効果が十分に上がらない場合は、そのときも申し上げさせていただきましたけれども、これは相手のあることで日本だけで決めるわけにはいきませんけれども、協定の改正、これも視野に入れていくということはそのときにも申し上げたことでございます。
  9. 武正公一

    武正委員 昨年二月、北谷町で放火が起きたときに、これについては、今の、平成七年の日米合同委員会合意では殺人または強姦という凶悪な犯罪という形での明記だったものですから、放火はその対象に当たらないといったことでその対象から外れたといったこともございます。  今、何を明記するかということが日米で話し合われているようでありますが、これは国会議論もそうであります。今回の沖縄新法では、内閣府さんに尋ねましたら、各省庁で覚書は交わしていないということで言われました。私は正しいことだと思っております。覚書を交わさずに法律に書き込む、これがやはり国会審議のあるべき姿だということで求めていたところでございますが、そういった意味でも、運用改善運用という面で、あいまいな形で日米で取り組むのではなくて、きちっとその明記をしていく、文書を交わしていく、そしてその文書公開していく、そうした公開原則、そして取り決めの原則、両国間のこうした信義に基づいてきちっと法律明記をしていく、これが大事だと思っております。これを再度、やはり日米地位協定見直し必要といったことで申させていただきたいと思います。  さて、身柄引き渡しについてなんですが、アメリカ側からは、日本司法制度が整っていないというか、弁護士立ち会い、あるいは取り調べ時間、本土並み、こういったことを申して、これについてもまだまだ今協議中だということなんですが、新聞報道では、司法当局同士対立といった報道もあるんですね。米側政治主導で大幅に譲歩してくれない限り合意は難しいのではないかというようなことで、運用改善さえ難航といった報道もあるんですが、この身柄引き渡しについて、司法当局対立という報道も含めて、御所見外務大臣にお伺いしたいと思います。
  10. 川口順子

    川口国務大臣 身柄引き渡しにつきましては、これは御案内のように、日米地位協定の第十七条で、具体的には十七条五項(c)で被疑者たる米兵の起訴時の引き渡しを規定いたしているわけでございまして、平成七年の刑事裁判手続に関する日米合同委員会合意によりまして、殺人強姦等の一定の凶悪な犯罪につきまして、我が国として重大な関心を有するものにつきまして、起訴前の引き渡しを可能にする道を開きました。この刑事裁判手続につきましては、さらなる運用改善に向けて、刑事裁判手続に関する特別専門家委員会等を通じて協議をいたしているところでございます。  その協議でございますけれども、この協議進捗状況を含めて、内容につきましては、相手国との関係もございますので、お答えは、直接にこれについて触れることは差し控えさせていただきたいと思いますが、先般、私が二月の十八日にパウエル国務長官とお会いをいたしましてお話をさせていただいたときには、日米地位協定につきまして、刑事裁判手続に関する協議の決着が必要であるということについて意見が一致したわけでございまして、今後とも政府としては努力を継続していきたいと考えております。
  11. 武正公一

    武正委員 司法当局対立しているという報道についてはいかがですか。
  12. 川口順子

    川口国務大臣 私としては、特にそういう認識は持っておりません。
  13. 武正公一

    武正委員 続いて、環境条項ということへ移らせていただきます。  これももう当委員会では、北谷町のドラム缶の問題もあり、日米地位協定環境保全条項三条国内法を適用してほしい。これは沖縄の十項目要請のうちの一つ。それから四条、環境汚染等が確認された場合、回復計画日米共同で取り組むべし、共同調査をすべし、こういったことも沖縄県からは要請が一昨年出ているわけでございます。  また、韓国では、これは二〇〇〇年、合意議事録取り組みが認められておりますし、日本の場合は、二〇〇〇年秋に努力規定共同宣言ということでは盛り込んでおりますが、まずはドイツ環境アセスメントの義務づけ、五十四条Aということで九三年の改定でやって、韓国もそれに続いて、そして日本が一番環境問題での取り組みが、アメリカとの協議がおくれているというふうに指摘をされております。  民主党も、日米地位協定見直しでは、この第四条に独立した項目として環境条項を入れるべきということで既に提出をしておりますが、この点についての大臣の御所見をお願いいたします。
  14. 川口順子

    川口国務大臣 米軍活動環境条項だけについてお話をさせていただきますと、まず日米地位協定比較をして、環境条項について、米国が今おっしゃったドイツあるいは韓国締結をしている地位協定との比較において不利ではないかというお話があるわけでございます。これは、まず一般的に、その地位協定の実際の運用のあり方あるいは締結に至った経緯、背景等関係をしてきますので、一概に論ずるということは困難であると思いますけれども、私どもの認識としては、日米地位協定が他の地位協定に比べて受け入れ側にとって不利なものとなっているというふうな認識は持っておりません。  在日米軍に関する環境問題につきましては、委員がちょっと今おっしゃいましたように、日米政府平成十二年の九月に、在日米軍施設区域に関する環境問題に関する情報交換施設区域への適切なアクセス提供をうたった、環境原則に関する共同発表を出しました。そして、現在その具体化に取り組んでいるところでございます。  この具体化作業の成果として、昨年の六月に、在日米軍に関する環境問題を協議する環境分科委員会を定期的に開催するように、環境分科委員会付託事項改定いたしました。その上で、昨年の八月には、環境分科委員会のもとで、環境管理基準、JEGSの見直し作業見直しに関する日米間の協力を強化することを目的としまして作業部会を設置する、あるいは提供施設整備事業における建設に関連した環境問題の技術的な検討を行うための作業部会を設置するということを日米間で合意したわけでございます。  米軍施設区域における環境調査につきまして、これまでもその所要手続に基づいて幾つかの問題について実施をしてきているわけでございます。こういった取り組みを通じて、我が国としては環境保全を図っていく。この問題については、非常に重要な問題であるということについては、私はこの前パウエル国務長官お話をしたときにも、この取り組みは非常に重要であるということについて意見が一致しまして、個別の問題については緊密に協議をしていこうということで合意をしているわけでございます。
  15. 武正公一

    武正委員 外務大臣の、日米地位協定は他国との協定に劣っていない、遜色がないという認識は、到底容認ができないのでございます。  例えば、先ほど、沖縄県から十項目要請が出ておりますが、環境問題についていっても、共同調査といった点でいうと、二〇〇〇年の先ほどの共同発表でありますが、日本国政府及び米国政府は、施設及び区域への適切なアクセス提供する、こういった共同発表があっていても、先ほどのドイツまた韓国、これについては緊急の場合は立入調査事前通告なしの立ち入りも認めようといったところまでやっているんです。日本の場合は普通の立ち入りすらも認められない、拒否される。地元の自治体が要望しても立ち入りを拒否される、こういった実態でありますね。  環境条項については、「情報公開法でとらえた沖縄米軍」という本には、「日本政府日米環境規準の違いを指摘し、厳しい規準による処理を求めた形跡はまったくない。」こういった厳しい指摘もあるわけでございます。  そこで、立入調査について先ほど話しましたが、ドイツではそのような形で、緊急の場合は通告なしでもいいよといったところまでやっているんですが、日米地位協定ではここも不備だというふうに感じるんですが、先ほどの大臣遜色ないという御発言と含めて、御答弁をお願いいたします。
  16. 川口順子

    川口国務大臣 ドイツの場合でございますけれども、ボン補足協定第五十三条に関する署名議定書におきまして、軍隊の当局は、ドイツ当局が公務を遂行できるように、ドイツの利益を保護するために必要とするすべての合理的な援助を与えるということを規定しているということでございます。  それで、我が国米軍施設区域への立ち入りにつきましては、米軍は、地域社会との友好関係を維持する必要性認識し、立ち入りが軍の運用施設区域の運営を妨げること等のない限りにおいて、立ち入り申請に対してすべての妥当な考慮を払う、そういう形になっております。
  17. 武正公一

    武正委員 先ほど触れたように、立ち入りを拒否されるケースがあるわけですから、やはりそれは日米地位協定見直しによって立ち入りを認める。当然、それはドイツ韓国事前通告ということが原則でありますが、事前通告で認める、しかしながら、緊急の場合は事前通告なしでもいいよといったところまで改定すべきだということを重ねて申し上げたいと思います。  続いて、航空機事故についてでございますが、これも沖縄からは、三条改定して地方自治体への連絡を速やかにしてほしい、並びに、二十五条、こちらで、日米合同委員会事故分科委員会協議等、結果についても速やかに公開してほしいという要望が出ております。  ただ、米軍航空機事故に関する報告ということなんですけれども、これについては、事故分科委員会を設置することは昭和三十八年の日米合同委員会において合意された内容に基づいて行われているが、この設置に関する合意書内容は従来公開されたこともないし、今後とも公表できないし、またその要旨についても同様であるとされている。昭和二十七年、合同委員会が設置された際に、合意文書は英文とする、公表はしない、ただし公表を必要とする場合は日米双方において合意した内容のみを公表するというようなことも含めまして、この航空機事故への取り組みについてもやはり日米地位協定改定が必要と思われますが、御所見をお伺いいたします。
  18. 川口順子

    川口国務大臣 航空機事故を含めまして、沖縄米軍による事故等につきまして、この発生については沖縄県民の方にさまざまな御懸念があるということは承知をいたしておりますし、今回、沖縄を私は訪問しまして、事件、事故の防止というのは大変に重要であるというふうに感じてまいりました。  こういった事項についての御懸念を踏まえまして、政府としては、平成八年から、墜落、火災といった航空機事故が発生した場合には、日米合同委員会の枠組みを通じて米側事故調査報告書提出を求め、米側から提出された報告書を全部公開公表するということをやってきているわけでございます。  いずれにいたしましても、米軍訓練活動に当たり安全性の確保に万全を期すべきことについては、閣僚レベルを含めて、さまざまな機会に米側に対して申し入れを行っているところでございまして、今後とも米側に申し入れていく考えでございます。
  19. 武正公一

    武正委員 文書公開も先ほどのように制限をされているといったことも含めて、沖縄県からの、まず地方自治体への連絡を速やかに、並びに公開公開については、日米の間の合意といったものがまだまだ存在をしていること、こういった点についてはやはり地位協定改定が必要だというふうに思うんですけれども、ここまで議論を進めてくる中で、沖縄担当大臣として尾身大臣、先ほど外務大臣日米地位協定遜色ないという御発言もありましたが、このことも含めて、地元では到底今の御発言は容認できないと。並びに、運用改善で、運用改善というのは、甘っちょろいと言ったらおかしいですけれども、そんなものでは到底だめなんだ、沖縄県が十項目要請しているように、きちっと日米地位協定改定を求めていくべきだというふうに考えますが、御所見をお伺いいたします。
  20. 尾身幸次

    尾身国務大臣 地位協定の問題についてはさまざまな御意見がございますが、いろいろな問題をしっかりと、運用改善米側と話をし、納得できるような形に運用をしていきたいというふうに考えて、私自身もいろいろな意味努力をしているところでございますが、これを進めていきたい。そして、それでどうしても基本的な問題が解決できないようなときにはその改定視野に入れざるを得ない、こういうふうに考えている次第でございまして、私自身も、その点では外務大臣意見が一致しているところでございます。
  21. 武正公一

    武正委員 続いて、国土交通政務官お見えでございます。  嘉手納ラプコン返還について、現在の取り組み状況についてお伺いをしたい。
  22. 高木陽介

    高木大臣政務官 お答え申し上げます。  嘉手納ラプコン返還の問題については、平成十二年の三月十六日、委員御存じのように、当時の河野外務大臣コーエン国防長官会談で表明をされました。その後、日米合同委員会民間航空分科委員会で一昨年の四月に設置されました嘉手納ラプコン問題を協議する特別作業部会、ここにおいて、この嘉手納ラプコン移管について協議を進めてきております。一昨年には、我が国航空管制官二名を嘉手納ラプコンに派遣して、同ラプコンにおける進入管制業務実態、これは実態を、その中に入りましてしっかりと理解を深めることなどしております。その後、昨年四月には、米軍移管の前提としている運用所要が提示されましたので、五月に米軍から概要説明を受けるなどして、これまで十一回の特別作業部会を開催して、精力的に協議を今進めている最中でございます。  いずれにいたしましても、国土交通省として、この嘉手納ラプコン早期移管に向けて最大限の努力をしてまいりたいと思います。
  23. 武正公一

    武正委員 平成十五年、三年後の予定をしておりますよというような当時の運輸省からの御答弁もありまして、そのとき、民主党上原議員からは、沖縄返還三十年に間に合わせるようにといった強い要望があったわけですが、残念ながら間に合わないといったところでありますので、平成十五年という当初の見込みでありますが、一日でも早く返還要望したいと思います。  これに絡むわけではありませんが、北谷町から騒音問題に関して、平成十二年四月、第十八支援群司令官メリー・アッカート大佐あて、「嘉手納飛行場における航空機騒音軽減について」という要請がされておりますが、これについて、同日午後、稲嶺知事並びに防衛施設局長に同様に要望がされております。これについては、海上から滑走路へ直接進入に切りかえれば騒音はかなり軽減されると見られているというようなことも言われておりますが、これについての現在の取り組み状況、まず副長官お答えいただきたい。
  24. 萩山教嚴

    萩山長官 武正先生指摘の、北谷町長から要請が出ております「嘉手納飛行場における航空機騒音軽減について」という要請でありますが、住宅地域での飛行と旋回の禁止あるいは航空機騒音軽減措置を求める内容のものであります。米側にこのことをよく伝えてありますけれども、飛行場周辺地域方々に対する航空機騒音による影響に配慮するように、米側にも厳しく、強く要望いたしているところであります。嘉手納飛行場というのは、航空機騒音は地域住民の方々に多大な影響を与えておるということは今御指摘のとおりであります。  いずれにいたしましても、嘉手納飛行場においては、日米合同委員会において合意された航空機騒音規制措置があるわけでありまして、その中で進入及び出発経路を含む飛行場の周辺経路は、できる限り学校、病院、あるいは密集地域の上空を避けるように設定されているところであります。当庁といたしましては、引き続き米軍に対して厳しく騒音軽減の一層の努力を求めていきたいという所存でございます。
  25. 武正公一

    武正委員 萩山防衛庁副長官、ありがとうございました。  外務大臣、この北谷町からの要望は当然御承知だと思いますが、二月二十八日の夕刊では、ここ数日、六十デシベル以上が一日四百回、一月の四倍になっているという報道、特に二月二十六日は六十デシベル以上を四百十七回記録しまして、百九デシベルも記録したと。それはやはり、今副長官が言われたように、町の上で旋回をされる、旋回での離発着がされる。これについては沖合で旋回をしてくれという要望を出されているわけなんです。これについて外務大臣は御承知されていると思うんですが、アメリカとの交渉について、当然こうした点もお含みおきいただき、御協議をいただいていると思いますが、御所見をお伺いいたします。
  26. 川口順子

    川口国務大臣 この要望の件につきましては、私も承知をいたしております。本当に、騒音問題というのは大変な問題でして、周辺の地域の住民の方にとっては大変に深刻であると私は思います。この御負担を軽減するために、嘉手納飛行場等における航空機騒音規制措置につきまして米軍合意をするということなど、騒音軽減には真剣に今までも取り組んできたところでございます。  米軍日米安保条約の目的達成を図りつつ、周辺住民への航空機騒音の影響に最大限配慮するという観点から、この騒音規制措置に従いまして周辺住民に対する航空機騒音の影響をできるだけ軽減するように最大限努力をしているものと承知をしております。政府としては、この騒音規制措置の厳格な履行を米側に引き続き求めていくとともに、今後とも地元方々の御負担の軽減のために取り組んでまいりたいと考えております。
  27. 武正公一

    武正委員 荒井委員にちょっとお時間をいただきまして、このラプコン返還された場合、地元北谷町から要望があります沖合で旋回してくれといったことが可能なのかどうか、これについてまず国土交通省さんから、ラプコン返還後、沖縄管制空域に入るわけですが、これについてどのような御所見があるのか。並びに、防衛庁副長官から、どのような見直しが可能なのか、地元要望、これにどのような形でこたえられるのか、お二人からお伺いしたいと思います。
  28. 萩山教嚴

    萩山長官 先生御指摘のこのラプコン、レーダー・アプローチ・コントロール、なかなか英語では難しいんですが、日本語で言えばレーダーの進入管制ですね。これが嘉手納ラプコンでありまして、日本側の返還問題については、現在、国土交通省が中心となって日米合同委員会で検討されておると承知いたしております。  他方、御指摘北谷町長からの要請もありまして、飛行ルート、嘉手納飛行場周辺において飛行場への離着陸に用いるルート、このルートは飛行場直近の空域に行われる飛行管制のために用いられるものであるので、進入管制業務返還とは直接関係がないんですね。言いますと、このラプコンというのは大きなエリアで指定されるものであります。今先生がおっしゃっているのは地域の進入路ですね。  ですから、これはこれから、当庁といたしましても、日米合同委員会の中で合意された航空機騒音規制措置を遵守することによって解決していかなければならない、あるいはまた、住民の皆さんにも御理解をいただきながら、影響をできる限り最小限に食いとめるように米軍に申し入れをしていきたいというふうに考えております。
  29. 高木陽介

    高木大臣政務官 ただいま防衛副長官の方からもお話がございましたけれども、今回の嘉手納ラプコン返還された場合、これはあくまでも全体の航空管制という形になりますし、お尋ねの北谷町のルートというのは、これは飛行場管制業務になりますので、エリアとしてはさらに狭い部分となります。そのため、今回のラプコン返還とその進入管制業務移管、また飛行場管制のこの北谷町の上のところを通るというものは別問題となりますので、これは直接関係がないというように国土交通省、管制業務を担当している役所としては認識をしております。
  30. 武正公一

    武正委員 最後に、外務大臣、今の御答弁を聞いて、要は、国交省さんも関係ないよと。防衛庁さんも、取り組みます、一生懸命取り組みますけれども、またいろいろ、ちょっと離れているんじゃないかというような御答弁があったんですが、こういったところが、北谷町が直接米軍に交渉しなきゃいけないといったところが生まれているんですね。  一町長さんが必死になって米軍要請書を持っていったりやっておりますが、では、日本政府は何をやっているんだといったところが地元の嘉手納基地を抱える自治体としてあると思うんですね。今のように、国交省さん、防衛庁さんも一生懸命やるけれども、やはり省庁の垣根がいろいろあるんだという中で、その交渉の一番任に当たる外務省として、最後に御決意を含めてこの北谷町の問題についてお伺いをして、質問を終わりたいと思います。
  31. 川口順子

    川口国務大臣 関係の町村、市町村、一般的にいえば市町村の方々の御負担の軽減をするために、関係の省庁と連携をして最大限の努力をしたいと思っております。
  32. 武正公一

    武正委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。
  33. 萩野浩基

    萩野委員長 次に、荒井聰君。
  34. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 民主党の荒井聰でございます。  まず冒頭、十年に一回の新しい沖縄の振興法の議論に、総理の顔が見えない。戦時中、戦後、五十年以上にわたって沖縄の方に大変な御迷惑をずっとかけ続けてきていた。そういう沖縄の方にとって、これは大変残念でゆゆしい事態ではないかというふうに思います。私たち野党だけではなくて、当委員会として大変残念に思うということをまず冒頭申し述べさせていただきたいと思います。  ところで、川口大臣、かつて私も外務省にお世話になったことがございます。最近では、外務省に勤務をしていましたということは恥ずかしくて言えないような状況にあるんですけれども、私の人生にとって大変大きな影響を与えていただいた、薫陶いただいたのが、沖縄返還交渉の当時の担当課長であった千葉一夫さんという方であります。この千葉一夫さんの常々言っていた外交官心得あるいは外務省職員心得というのが、常にタフネゴシエーターであれと。粘り強く交渉をしていくということが彼のモットーでありました。  最近、私は、外務省のさまざまな動きを見ていると、この千葉一夫さんの後輩であるというような、あるいは私が薫陶を受けたそれを忘れてきているんではないか。何となく、強いものあるいは声の大きいものに、ネゴシエートしないで、交渉しないで、それをすんなり受け入れていくという体質がどうも身についてきちゃったんじゃないか。それが今度の鈴木宗男さんの事件にもつながっていったんではないか。根底にそんなものがあったんではないかというふうに私は思います。  まず最初に、きょうは警察庁からも来ておりますが、警察庁の方にお聞きいたしますけれども、有本さんの拉致事件で北朝鮮に拉致された人が十一人ということがはっきりしたということで、有本さん事件に関して捜査の本部も設けたというような話がマスコミに伝わっております。この北朝鮮拉致事件を警察当局はどうとらえていて、どういう捜査をしているのか、そしてさらに、幾つかの国が絡むわけですから、インターポールであるとかあるいは国際裁判所であるとか、そういうものの活用についてどうお考えなのか、そのあたりの意見を聞かせてください。
  35. 芦刈勝治

    芦刈政府参考人 有本恵子さんの拉致容疑事案につきましては、御家族その他の関係者からの行方不明前後の状況等についての事情聴取でありますとか失踪当時の関係者の供述、その他さまざまな情報交換を通じまして、これらを総合的に検討いたしまして、本件は北朝鮮による拉致の疑いがある事案であると判断をいたしました。  警察におきましては、現在、この事案につきまして、先ほど御指摘のとおり、警視庁が捜査本部を設置するなどして鋭意捜査を進めているところでございます。具体的な捜査の内容、手法につきましては、事柄の性質上、お答えを差し控えさせていただきたく存じますが、いずれにいたしましても、本件の重大性にかんがみまして、今後とも、外務省等関係機関と連携いたしまして、全容解明に最大限の努力をしてまいる所存でございます。(荒井(聰)委員「国際機関の」と呼ぶ)  いろいろな手法があります。捜査の常道といたしまして、関係者からの事情聴取、その裏づけ、あるいは国際機関との連携等々、あらゆる捜査手法を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
  36. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 国家というのは、国民の財産と生命を守る、それが基本だと思うんですね。その核を最近日本はどうもどこか置き忘れている感じがしないでもありません。財産という意味では、不法に占拠されている北方四島、これは我が国固有の領土である、我が国固有の財産だと思います。そして生命、この生命を不法に拉致されていく。そういうことがハードネゴシエーターなりタフネゴシエーターの対象になかなかなっていないというそんな現状、これは私は外務省の大きな責任だと。生命財産をしっかり守っていく最前線にいるのが外務省であるべきだ、その意味外務省にもっと頑張ってもらわないとだめだというふうに私は思います。  ところで、この北方四島問題に関してさまざまな疑惑が出ておりますので、これについてもちょっとだけ聞かせてください。  北方四島に対する人道支援というのは、決してODAではないですよね。ODAでないのになぜこんなに、数十億の予算を、急激な形で人道援助、支援に向かうようになったのか。特に、ディーゼル発電施設の設置というのは、これはもう恒常的な施設ではないか。あのときに、地震が起きて歯舞や色丹の人々が大変苦しんだとき、私も北海道にいましたからよく知っておりますが、そのための人道支援であるならば、既存の施設の修理でありますとかあるいは暫定的な施設にとどめるべきであって、どうしてODA並みのあのような恒常的な施設をつくらざるを得なかったのか。まあ、恐らくさまざまな形で今言われている方の影響力もあったんだろうと思うんですけれども、そのあたりの経緯について、大臣、お聞かせください。
  37. 齋藤泰雄

    齋藤政府参考人 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、北方四島住民支援事業につきましては、平成十年度及び平成十一年度におきまして、支援委員会への拠出金の予算がおのおの、約六十億八千万円、約四十六億四千五百万円というふうに推移しておりまして、他の年度に比べて金額が大きくなっております。これは、平成九年十一月のクラスノヤルスク合意や翌平成十年四月の川奈合意などを経まして、平和条約交渉の環境整備のために、北方四島住民支援を緊急に強化するという観点から、十年度と十一年度の補正予算におきまして拠出金を追加計上したという事情でございます。  なお、平成十二年度以降の北方四島住民支援につきましては、従前のレベルに戻っておりまして、三億円強で推移しております。  また、先生御指摘の恒久施設の関連でございますけれども、我々は、北方四島住民支援の内容につきまして恒久的施設は供与しないとの基本的な立場をとっておりまして、このような施設建設への支援を行っておりますODAとは若干異なっております。不法占拠を助長しないとの基本的立場にかんがみまして、人道支援の観点から必要最小限の規模の施設とし、将来撤去することも念頭に置いた施設としてきているところでございます。
  38. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 いかにも暫定的な施設としては、数十億円かけている発電施設、あるいはプレハブの住宅だと言っている、通称ムネオハウスと言われているそれは、余りにも高額で、恐らく立派なもの過ぎるんではないか。  私もODAの実務を担当したことがございますから、その感覚でいいますと、国民一人当たりの国民所得に比例して、お金というのはその国民に影響を与えるんですね。例えば、日本とロシアとの一人当たりの国民所得というのは恐らく十倍ぐらい違うと思うんです。もっと違うのかな。ということは、日本で一億円というのはロシアにとっては十億円の価値と意味があるということであります。したがって、二十億円の供与をしているということは、あの小さな島で二百億円の大プロジェクトを打っているということに匹敵するわけであり、その意味というのは、今後の外交交渉なりあるいは人道支援の枠の中に入っているのかどうかということも含めて、外務省はもっと検討するべきだったんではないかというふうに思います。  次に、きょうは沖縄問題ですので、沖縄の話に移らせていただきますけれども、昨年の七月に、外務委員会では、日米地位協定見直しに関する件というのを決定いたしてございます。先ほども武正議員がさまざまな方面からこの地位協定見直しについて議論をされておりましたけれども、衆議院の外務委員会委員会決議をしているということは、国会の意思でありますよね。国会の意思として、これはたしか鈴木宗男さんが主導的に果たしたんではないかと思いますけれども、あの人はいいこともやっているんだというふうにも思うんですけれども、地位協定を早急に見直しをするべきだ、事態の抜本的改善に取り組むべきだというのが衆議院の委員会として決議されているんです。これにもかかわらず、運用改善運用改善と言う。それは、私は、国会の意思を無視しているんではないか、もっと積極的に地位協定改定に取り組んでいくべきだと。  国際社会の中では法とかルールとかというのが重視されるのであって、運用改善だとかあるいは行政的な思料で事態の改善を図っていくとか言われるいわゆる日本的な政治、行政のやり方、私はこれが今回の政官業のさまざまな癒着の問題なりあるいは多くの問題を提起したんではないかと思いますけれども、そういうものは国際社会の中では認められないんですよね。きちっとやはり文書で残していく、あるいは、結んだ協定ならば、それを見直しをして直していくということが、国際的な、一般的な条項でありルールなんです。そこを全く無視して運用改善だけで図っていくというのは、私は無理があるし、あるいは国際的な常識からいっても、そういう国というのはむしろ余り尊敬されないというふうに思うのですけれども、外務大臣、どうですか。
  39. 藤崎一郎

    藤崎政府参考人 お答えいたします。  日米地位協定の問題につきまして、私ども、この地位協定というものが、できる限り実効性を持ちまして、かつ国民の生活等との関係から申しましても、米軍の行動がこれに重大な影響を与えないようという観点で、不断に見直しを行っているところでございます。  どういうふうな運用が一番実態に即しているかということを常に検討しておりまして、そういう観点で、これは防衛庁と外務省で合わせまして日米合同委員会というものを、頻度といたしましては月に二回開いておりますけれども、こういう場におきまして常に地位協定の問題を検討いたしておりまして、あらゆる問題に機敏に対応できるようということで検討しているところでございます。(荒井(聰)委員「回答になっていないですね。外務大臣」と呼ぶ)
  40. 川口順子

    川口国務大臣 国会の決議、昨年の七月十日、日米地位協定見直しに関する件ということについての決議の中で、「国民の基本的人権を保障している我が国法律を駐留米軍も尊重するよう、日米地位協定見直しをも早急に検討し、事態の抜本的改善に取り組むべきである。」ということがあることは承知をいたしておりますし、私どもとしては、この決議を重く受けとめております。  重く受けとめておりますけれども、この日米地位協定につきましては、やはり大事なことは、起こるさまざまな事象に対しまして機敏に対応をしていくということが大事でございますので、その時々の問題について、運用改善をして機敏に対応していくということが合理的であろうと私は考えております。  運用改善については、今までも努力をしておりますし、今後とも不断に努力を重ねていく所存でございます。その上で、運用改善効果が出ない場合、これは相手もあることでございますけれども、日米地位協定の改正も視野に入れていくということでございます。
  41. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 運用改善の検討を何年やっているんですか。結局効果なかったんでしょう。犯罪はふえ続けているじゃないですか。そして、国際的にも、あるいは国際社会、国際政治の中でも、法とかルールとかというものをしっかり決めていくことの方が、はるかに国際社会の中では尊重されるんじゃないですか、尊敬されるんじゃないですか。そういうものを今の外務省はむしろ無視をしている。  千葉一夫さんの、タフネゴシエーターこそ本当に尊重される、尊敬される外交官であると。これは、ある意味では霞が関の役人だってそうですよ。真剣になって議論する人間はやはりそれなりに尊敬されますよ、立場が違っても。そういうものが国際間でなぜつくれていないのか。特に日米あるいは日本と朝鮮の間、あるいは日本とロシアの間でもそうかもしれません。大事なことをなかなか言わない。本当に激しくやいばを交わすことこそ外交なんじゃないですか。そういう精神が今の外務省の中に希薄になったということを指摘したいと思います。  せっかく警察庁の刑事局長が来ていますので、仮に、日米地位協定が見直されて、身柄引き渡しが迅速化された場合、どのような影響なり効果があるというふうに考えられておりますか、その御所見だけ承りたいと思います。
  42. 吉村博人

    吉村政府参考人 現在は、委員御承知のとおり、殺人強姦の場合を除きまして、犯罪を行った米軍構成員の起訴前の身柄引き渡しは行われておりません。その場合には任意捜査を行うことになりますが、これまでのところ、米軍当局の協力を得ることにより、沖縄県警察、我が国の警察において必要な捜査が行われてきたものであります。  身柄の迅速な引き渡し米軍構成員による犯罪の未然防止にどう役立つかというお尋ねでございますが、必ずしもその結びつきが明らかではございません、あるいはまた仮定の話でもございますので、直ちにこの場でお答えすることは困難かと思います。
  43. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 そんなだから、なかなか警察は信頼されていないんですよ。沖縄の人は、この改正がなされれば、少なくとも、あれだけ多発している交通事故だとか凶悪犯罪といったものに大きな抑止力になると言っているじゃないですか。現場の感覚というのを政府は、外務省や外務省を初めとする霞が関はもっと大切にするべきだと思います。  私は、十年前、沖縄新法の、この前の新法の議論のときに、こういう議論をさせてもらいました。これは通告していませんのでわかればで結構ですけれども、そのときに話をさせていただいたのは、北方四島問題を取り扱う特別な大使が存在するように、沖縄基地問題を取り扱う特別な沖縄駐在の大使クラスの人材を駐在させるべきだ、この人たちが、沖縄の現状というものを十分踏まえて外交交渉の場にも参加するべきなんだという議論をさせていただきました。  その後、その検討がなされて、若干それに近い人が沖縄に配置されていると聞かされておりますけれども、その現状と、それからその機能あるいは活用方策などについて、通告していませんけれども、おわかりでしたらお知らせいただきたいと思います。
  44. 藤崎一郎

    藤崎政府参考人 ただいま御指摘のございました沖縄駐在の大使でございますけれども、これは今御指摘のとおり設置をされまして、今三代目でございます。初代が原島、二代目が野村、そして現在が橋本という大使が、沖縄の私どもの事務所の総括といたしまして、クラスは大使でございまして、前任はマレーシアの大使でございました。  先ほどもございましたグレグソン軍調整官あるいは県との関係で、一番円滑な連携ができますようにということで、いろいろな話し合いの場を持ちまして、例えば三者協議会といった話し合いにも入っておりますし、また、私どもに対しまして、沖縄の日々、現状等について報告をいたしておりまして、それを踏まえて、大臣以下私どもが、沖縄の状況をつぶさに報告を受けまして判断するという仕組みになっております。  また、機会あるごとに上京いたしまして、現在の沖縄の状況等について報告することになっておりますし、先般、川口外務大臣沖縄を訪問しましたときには、ずっと同行いたしまして、説明に当たったというところでございます。
  45. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 また、外務省だけじゃないのですけれども、霞が関の最大の欠点というのは、なかなか現場を知らないということだろうと思うのですね。その意味で、外務省が、沖縄に大使クラスの人を派遣して、事務所をつくったというのは、私は一つの大きな成果だと思うのです。こういう人たちを積極的に活用して、日米の外交交渉の場にもこういう人たちに議論に参加してもらう。沖縄の人々の気持ちを本当に踏まえることのできる数少ない人だと思うのです。そういう人にも参加してもらうというような仕組みづくりが私は効果的なのではないかというふうに思います。  もう一つ、在日米軍に対する思いやり予算、ずっと続いているのですね、思いやりがずっと。恐らく、外国に駐留している米軍としては最も居心地のいい基地になっているんだろうというふうに思うのです。  確かに、最初の思いやり予算をつくったときには、アメリカの財政状況というのは極めて厳しくて、日本の方はかなりの余裕があった。しかし、今は逆転しているんですね。  こういう国家財政の状況の中で、まださらにこの思いやり予算を続けていくのか、そのところを外務省なりあるいは、外務省でいいですか。では外務省、答えてください。
  46. 藤崎一郎

    藤崎政府参考人 お答えいたします。  この在日米軍駐留経費についてでございますが、国家財政を十分に検討すべしという荒井委員の御指摘は、まことにそのとおりだろうというふうに私どもも考えております。  駐留軍の特別経費協定につきましては、安保体制の円滑な運用を確保する上で重要ではございますけれども、まさに今言われた認識に立ちまして、平成十二年に新たな特別協定締結いたしました際には、防衛庁、外務省が、タフネゴシエーションと申しますか、厳しい折衝を重ねまして、節約合理化を行うという観点で三つのことをいたしました。  一つは、米側の節約努力協定明記すること、二番目は、労務費について、日本側負担の上限労働者数を据え置くということで、これは増加という要求もございましたけれども、据え置いたわけでございます。それから、さらに光熱水料の上限を一割カットしたということでございます。  これは、こういう削減をしたのは今回初めてでございまして、いろいろ御指摘を受けてこれを反映できたものと考えておりますし、本件につきましては、国会の御承認を得たところでございます。
  47. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 私はまだまだ足りないと思うんですよ。今の日本の国の財政状況を見てみると、この在日米軍に対する支援策、あるいはODAも含めて、海外に対する支援策というものも含めて、そんな余裕が今の日本にこれだけの規模としてあるのかねというのが国民の偽らざる考えだと私は思いますよ。私は、そういうものに立って外務省なり外交官というのは仕事をするべきだということを指摘させていただきます。  尾身大臣、大変お待たせしまして恐縮でございます。  私は、十年前にもこの沖縄振興法の質問に立ちましたけれども、この十年間、かつての沖縄振興法、あるいは、三十年間、それぞれ幾つかの沖縄に関する特別振興法をやってございますけれども、それについてどういう総括をされたのか、どういう反省を踏まえて今度の法案をおつくりになったのか。その基本的な概念についてまずお聞かせください。
  48. 尾身幸次

    尾身国務大臣 今度の五月十五日で沖縄復帰三十年を迎えるわけでございます。この三十年間にわたりまして、三次の振興計画をつくり、また三次の特別立法によりまして、沖縄の政策を進めてまいりました。その主たる眼目は、本土との格差是正という考え方で、特にインフラ整備について六兆八千億に及ぶ国費を投入して、私どもとして努力をしてきたというふうに考えております。  その結果として、いわゆる施設面におきましては相当程度の格差是正が進んでおりますが、しかし、なお一人当たり所得は本土平均の七二%、失業率も非常に高いという状況のもとで、まだまだ沖縄の経済の発展には大きな課題が残されているというのが現状でございます。  そこで、今後、二十一世紀に向かってどういうふうに沖縄を発展させていくかということでございますが、稲嶺知事も、魚よりも釣り針が欲しい、こういう言い方をされておりますが、自立経済ということを一つのキーワードにして経済の発展を実現していきたい。もとより社会資本の整備は今後とも必要でございますけれども、しかし同時に、今まで以上に自立経済ということをむしろキーワードにしていきたいというのがこの新しい法案を出した私どもの考え方でございます。
  49. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 この法案の仕組みというのを見てみますと、今大臣がおっしゃったこととはほど遠いのではないか。自立的な経済をつくるということは、自立的な発想法を援助していく、あるいはそれを助長していくということであって、国が頭から計画をつくったり、国が補助金をどんどん出していくということとはかなり違う。いや、むしろその方が大きな影響、悪い影響を与えがちだというのが過去の沖縄であり、あるいは北海道でもそうでした。この法案の中身はオールドスタイルにすぎないか。  例えば、私が一番懸念していますのは、各分野において主務大臣を設定してございますね。この主務大臣が余りにも多過ぎる。いや、これだったら普通の行政スタイルと全く変わらない。本来、政策とか計画というのは、限られた予算とか人材をある特定の分野にスピーディーに投入するということだと考えていますけれども、それが、余りにも網羅的にしたがために、そのスピーディーさとか、あるいは限られたものをそこに集中投資するんだというコンセプトが非常におろそかになってしまっているというふうに思うんですけれども、大臣、いかがですか。
  50. 尾身幸次

    尾身国務大臣 現実に、いろいろな事業を推進し、あるいは沖縄県が行う経済発展のための事業を側面から支援をするということを考えましたときに、その分野の担当の閣僚が、役所がこれをしていくことが大変大事だという意味におきまして、例えば、農林水産関係でございますと農林水産大臣を、観光関係でございますと国土交通大臣を主務大臣にしておりますが、同時に、沖縄全体のあり方についての政策判断が大事であるという意味も込めまして、そういう、いわゆる業種所管大臣だけではなしに、内閣総理大臣、現実には私でございますが、主務大臣としてその政策の推進を担当する、こういうふうにしております。  そういう意味で、それぞれの分野について主務大臣が分かれていることは事実でございますが、沖縄担当大臣は、ほとんどすべての分野についての政策を推進する立場から、各業種別の主務大臣とともに、いわば共管というような形で沖縄の事業を進めていく、こういう形にしているわけでございます。
  51. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 そのやり方というのはほとんど失敗しているんですね。私が経験したのでも、北海道で最大のプロジェクトであった苫東開発、苫小牧東部開発というのがありますけれども、これは、約三十年ぐらい前に計画をしたものなんですけれども、七省庁体制といって、通産省だ、農林省だ、建設省だ、運輸省だ、いろいろな省庁が主務大臣になってこの計画づくりをし、膨大な国家投資をしながら、迅速な計画の変更ができなかった、あるいは時代に合ったような形にこの計画を実施できなかったがゆえに、最後の最後は膨大な赤字を出し、その赤字を国の税金で穴埋めせざるを得ない、そういう悲惨な結末を見たんです。  私は、今回のこの沖縄特措法でも、この主務大臣のところは全く変わっていない、かつての失敗した例というのを全然反省していないというか、参考にしていない。  それだけではなくて、この計画の中の幾つかに、財団法人や特殊法人を活用する内容が組み込まれています。  今、政府全体としては、特殊法人を廃止していこう、そういうようなときに、この特殊法人を積極的に利用していこう、そういう法案の体系というのはどこかおかしいんじゃないか、全く新しい、前向きのものに欠けているのではないか、そんなふうに思いますけれども、いかがですか。
  52. 尾身幸次

    尾身国務大臣 特殊法人につきましては、例えば観光についての国際的な関係を担当するという意味で、その担当の特殊法人を使うことにしておりますが、これは特殊法人改革の基本に触れるというものじゃございませんで、これによって各特殊法人の延命策を図るという趣旨ではございません。特殊法人改革は基本的な小泉政権の政策でございますから、これはそれで進めていただくという前提条件のもとで、活用できるところは活用するという考え方でございます。  なお、苫東開発等についての主務大臣の問題について沖縄が同じ誤りをしているというようなお話でございますが、例えば、自由貿易地域あるいは特別自由貿易地域の問題についての主務大臣内閣総理大臣及び経済産業大臣であり、農林水産業の振興についての主務大臣内閣総理大臣及び農林水産大臣であり、そんなに多くの、それぞれの項目についてむやみやたらと多くの主務大臣をつくっているわけではございません。  もしどうしてもこれを直すというお考えがあるのであれば、どこをどういうふうに直したらいいかという御意見を承れればありがたいと思います。
  53. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 これははっきりしているんですよ。全部の責任を尾身大臣、あなたが負うべきなんですよ。そして、各省庁との調整あるいは各省庁との責任をあなた自身が負うことなんですよ。それなら主務大臣は一人でいいんですよ。あなた自身が全責任を負う、その決断がなくていろいろな省庁に責任を分担しているから、各省庁にとっては沖縄というのは多くの行政分野のたった一つですよ、だからこそ、おろそかになっていくんですよ。  だれが一番責任を負わなきゃならないのか、命をかけてやるのはだれなんだということをこの法案の中でしっかり示されればそれでいいんですよ。そういうものが今の行政の中に欠けているんですよ。たらい回しにしていく、あっちだこっちだと責任逃れしていく、そして、あげくの果ては法に基づかないで裁量行政にゆだねていく、そういうやり方が多くの弊害を呼んでいったんじゃないですか。違いますか。
  54. 尾身幸次

    尾身国務大臣 例えば、いわゆる土地改良、農業、農村の整備の問題にいたしましても、どういう地形のもとでどういう土地改良を進めていくかということについては、残念ながら、百人余りの沖縄の担当大臣のもとでは現実問題として責任ある施策が行い得ないと私は思います。  そういう意味で、例えば観光、例えば農業、例えばいわゆる産業、そういうものはやはりそれについてのいろいろなところで、行政をやっている担当の大臣にやっていただかなければ、現実問題として、沖縄という地域が一つの独立した国家として存立している場合は別でございますが、日本という国の一部である以上、その担当大臣にやっていただかなければ現実の仕事がうまくいかないという実態にあるというふうに私は考えております。
  55. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 今の尾身大臣考え方でいけば、やはり前と同じになりますよ。  さらに、この計画の中には地方分権という発想法が非常に希薄ではないですか。今全体に国家の改造というのは、地方分権を大事にしていこう、地方の意思を大事にしていこうというのが大きな流れなんですけれども、それについても私は非常に希薄な計画内容だと思うんですけれども、そこはどうですか。
  56. 尾身幸次

    尾身国務大臣 観光とか農業とか、個別の振興計画というのをつくっております。基本的な沖縄全体の振興計画は、沖縄県が原案をつくって、計画は国がつくる、こういうことになっているわけでありますが、個別の計画については、その基本的な計画に基づいた個別計画は、沖縄県が決める。その決めるについて、いわゆる各所管官庁の同意を得ることができるということになっているわけでございます。  どうしてこういうことになっているかといいますと、沖縄の特殊事情にかんがみ、いろいろな意味で、例えば高率補助の問題等々で、沖縄については国全体、政府として特別にこれを支援していく、そういうことを原則にしていろいろな施策を進めているわけでございますから、その特別の、補助をするとか、そういうことをするときには、どうしても担当大臣をしっかりとその計画の中にともに巻き込んだ形でやっていかなければ、現実にそういう政策が遂行できません。  そういう意味において、最終的には沖縄県の意思を尊重しつつも、その意思をしっかり実現する方策として、各大臣に同意を求めるということにしてその政策の現実的実現性を担保する、こういうふうに考えているわけでございまして、沖縄県のいわゆる地方分権の基本的考え方を損なうものではない、むしろ、沖縄県の希望する方向に持っていく政策を現実に担保するためにこういう体制をとっているというふうにぜひ御理解をいただきたいと思います。
  57. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 幾つかの地方振興計画というのはみんなこの形態なんですよね。みんなこの形態では、みんなほとんど効果がなくて、最後に何が残ったかというと、公共事業だけが残るんですよ。公共事業だけが国の予算として実効あるというか、担保できるということで、公共事業の上乗せをしていった。その結果どうなったかというと、その地域は公共事業依存体質の経済体質になっていくんですよ。  かつての沖縄はそうでもなかったと思うんですけれども、この振興計画を積極的に実施することによって、沖縄も今はもう、いわゆる建設業界の体質あるいは公共事業依存の経済体質になったじゃないですか。違いますか、大臣
  58. 尾身幸次

    尾身国務大臣 私どもは、まだまだ本土と比べて水準が低い社会的インフラを本土並みにしていこう、格差是正をしていこうという考え方でずっと三十年間頑張ってまいりました。その結果として、社会インフラの点においては、かなりの程度格差是正が進んできたというふうに考えております。  そこで、これからの大きな方向、もちろん社会資本の整備もこれから必要でございますが、同時に、むしろ重点的には自立経済ということで、本当の意味沖縄の経済の力をつけるという方向に、この計画あるいはこの法案そのものが大きく考え方の転換をしているということでございまして、この点は、私は、先ほどからいろいろな形で委員がおっしゃっている御発言の趣旨と合っているんじゃないかと考えております。
  59. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 大分離れているように私は思うんですけれども。  ところで、大臣は公共事業というものをどういうふうにお考えなのか。公共事業というのは、それ自身が目的じゃないんですね。公共事業を実施することによって何かをつくり上げていく、もたらしていくということが最終的目標なんですよ。例えば、港湾をつくったり道路をつくったりするということは、それは、貿易量をふやしたりあるいはその港湾に適切な産業を興していくということが公共事業の本来的な意味なんですよ。そうですよね、違いますか。どうぞ。
  60. 尾身幸次

    尾身国務大臣 その点では同意見でございます。
  61. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 ところが、これだけ多くの公共事業を実施しているにもかかわらず、沖縄に特殊なあるいは沖縄に誇れるような産業というのはこの十年間でつくれましたか。どうですか。
  62. 尾身幸次

    尾身国務大臣 例えば、この不況の状況のもとにおいて、情報関連は四千人もの雇用の確保を図ってきているという現実がございます。これはやはり、私どもがやってきた政策が効果をあらわしてきている一つの証拠であるというふうに考えております。  それからまた、いろいろ御批判をいただいておりますが、自由貿易地域等々における工場の誘致も徐々に進んできている。もちろん、まだまだ理想的な形にはいっていませんが、この日本全体の産業の空洞化の中で、沖縄にはいろいろな企業が誘致を始めている、そういうこともございますから、そういう意味では相当程度進んできたというふうに考えております。  そして他方、いわゆる社会資本の面においては本土との格差はかなり是正されてきているという意味において、ここ三十年来やってきた私どもの努力は相当な成果を出しているということは、これは客観的に認められていいんじゃないかと考えております。
  63. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 社会インフラとしては整備されたんでしょう、それだけのお金を投入したわけですから。しかし逆に、失ったもの、それもまた大きいんではないか。そして、その失ったものをどういうふうに、この振興計画なりあるいは政府として、失わないようにあるいはもう一回それを再興するようにしていくのかということが国としての責務であり大きな役割だと思うんですよ。  その意味で、公共事業を実施するのはいいですよ。しかし、そのために失ったこと、自立的な経済の意欲を失わしめた、あるいは公共事業、建設業そのものがそこの地場産業になってしまっている、建設業がなければそこの地域が成り立たなくなってしまっている。これは建設業という、公共事業そのものは、先ほども私言いましたけれども、手段であって目的じゃないんですね、にもかかわらずその地域では目的化してしまっている。そういうふうにしてしまったのはまさしく国の政策なんじゃないですかということを私は先ほどからずっとお伺いしているわけです。  先ほど大臣は、いや、IT産業であるとかあるいは自由貿易云々とおっしゃいましたけれども、ITなんて公共事業と関係ないでしょう。(尾身国務大臣「だから、関係ないところだってふえているわけですよ」と呼ぶ)いや、公共事業によってどんな産業が振興されましたかという私の質問に対して、あなたはIT産業と答えたんですよ。だから、違うでしょうと言っているんですよ。ありますか。
  64. 尾身幸次

    尾身国務大臣 我々が沖縄の自立経済の達成に向かって何もしていなかったということではございません。公共事業だけをやっていたわけではございません。IT関連とか観光とか自由貿易地域とか、今度は金融特区も考えているわけでございますが、そういう形で今まで沖縄に、言えば三十年前には全然なかったIT関連の産業を、特にソフトの関係を興していこうということでいろいろな手を打って、それが現に産業として生きてきている状況でございます。  製造業、物づくりの分野については、私は基礎的な力が沖縄は非常に不足していたことも原因だと思っておりますが、まだまだ理想的な形にいっていないと思っております。そういうものについてはこれから、いわゆる大学院大学の設立等を含めて力をつけていく、そういう政策が必要であると思っております。  しかし同時に、過去三十年間を振り返ってみると、この公共事業によって社会的インフラを本土並みにしていこうという私どもの政策は、過去三十年間の成果を考えるときに、これは大変成功した、よかったというふうに考えております。  それと同時に、いわゆる公共事業だけに頼らない沖縄の自立経済を達成していくということも大変大事でございまして、今、委員のおっしゃったのは、日本経済全体に対する公共事業のあり方に対する御批判とも受け取れるようなお言葉であるというふうに私は考えておりますが、沖縄については、次のもう一段のステップの発展を目指して、もう一段階高い自立経済への志向ということで頑張っていきたいと考えております。
  65. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 私は公共事業を批判しているんじゃないんですよね。公共事業の持っている意味というものをもっと政策担当者は十分認識するべきですと。特に、小さな地域での公共事業というのは極めて大きなインパクトを与えます。それがゆえに、その地域の自立的な経済発展の意欲をそいでいく、国に頼って、公共事業さえやってもらえば何とかなるんだという形になりがちだ、そこのところを踏まえながら公共事業を実施していく、そういう視点がなければ公共事業の本来持っている意味というものの役割なり効果というのを減殺しますよということを言っているのであります。  中身に少し入らせてもらいます。  防衛施設庁の方が来ていますので、幾つか通告をしましたので、ちょっと沖縄における防衛施設にかかわる借料についてなんですけれども、昨日の参考人の中にも出ていたんですけれども、借地料を地価の動向にかかわらず毎年のように値上げしている。ここ三十年間は年率五%ぐらいで上がっているんではないかというような指摘がなされておりました。  これは、今デフレの時代であり、さらに地価がどんどん下がっているという状況の中で、異常な状況なんではないか。どうしてこういう賃料が上がるような状態になっているのか、説明をお願いします。
  66. 嶋口武彦

    嶋口政府参考人 お答えいたします。  防衛施設用地のうち民公有地につきましては、その土地の所有者と賃貸借契約を締結の上使用させていただいておりまして、その借料額につきましては、地価の動向、施設周辺の開発状況等の客観的データから算出した評価額を踏まえ、土地所有者との交渉を経て決定しているところであります。  こうした個々の土地所有者との賃貸借契約を担保するため、当庁においては、各年度、防衛施設用地の借料に係る予算を計上しておるところでありますけれども、沖縄の借料の予算の計上に当たりましては、当庁が財団法人日本不動産研究所に委託した調査結果に基づき算定された評価額を基本として積算を行っています。  近年、確かに土地価格が下落していることは事実でありますけれども、私どもといたしましては、厳しい財政事情のもとで、この基地使用のために何としても土地を確保したいということで地主の方々と厳しい折衝を行っているということでございます。  他方、地主の方々におきましては、地主の方々もいろいろな委員会、賃貸料算定研究委員会というものを設置いたしまして、そこで賃借料をいろいろ計算している。  その中で、基本的な立場を申し上げますと、私どもは、米軍それから自衛隊の基地のためにどうしても土地を確保しなければいけないという立場、一点でございます。他方において、厳しい財政事情でございますので、できるだけ予算を節約したいというのが一点でございます。他方、地主の方々からいたしますれば、自分たちの土地の価値について正当に評価してほしいという中で、双方かなり厳しい折衝を行って、その結果こういう形になっているということでございます。  近年の傾向を申し上げますと、確かに五%台ということがございました。十年ぐらい前は一〇%増ということもございました。次は七%、それから数年続きまして三%台のアップになっています。ちなみに十四年度では二・四%ということで、伸び率自体は抑制されておるところでございます。
  67. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 この物価が下がっている時代に賃借料だけ毎年毎年上がっていくというのは、私は異常だと思うんですよね。今の説明というのは、わかったようなわからないような。地主が値上げを要求するのは当然ですよね。要求というか、なるべく高く貸したいというのは当然だと思うんですけれども、いやしくもこの賃料設定に政治家が介入したり、あるいは特定の政治勢力が公平な算定をねじ曲げるようなことがあってはならないと思いますので、その点は十分慎重に今後とも検討してこの賃料のスタンダードというのを決めていただきたいということを指摘させていただきます。  あとちょっと、時間がありませんので、通知をしました農林省に最後に聞きます。  沖縄の土地改良事業予算が沖縄の農業粗生産額を上回っているという指摘があるというふうに聞いているんですけれども、そういう事実があるのかどうか。それから、沖縄の土地改良事業の施行に当たって環境を随分著しく阻害しているんではないかという指摘がございます。  このあたり、どのように取り組んでいるのか、それについてお聞かせください。
  68. 太田信介

    太田政府参考人 お答え申し上げます。  土地改良事業予算と農業粗生産額の関係でございますが、沖縄の農業粗生産額、平成三年から平成十二年の十カ年平均をとりますと、九百九十五億円ということになります。一方、沖縄の農業農村整備事業予算、同じ十カ年平均で、国費では三百七十二億円、事業費では四百六十七億円となりまして、予算が農業粗生産額を上回るような状況にはございません。  なお、この四百六十七億円の事業費の中には、農業集落排水等の農村整備事業費も含まれておりまして、農業の生産性向上に直接寄与する農業生産基盤整備事業費に限定いたしますと、その事業費は三百十三億円ということに相なります。  それから、施行に当たっての環境への対応でございます。  沖縄県におきます土地改良事業につきましては、亜熱帯地域の特性を生かした農業の確立を目指して実施してきたところでございます。その実施に当たりましては、侵食を受けやすい国頭マージなどの土壌条件、地域特有の強い降雨などの自然条件等を勘案いたしまして、昭和五十四年度に沖縄県が策定されました土砂流出防止対策方針を初め、平成七年度十月の赤土等流出防止条例の施行に合わせた土地改良事業等における赤土等流出防止対策設計指針の策定等によりまして、工事中あるいは工事後の赤土流出防止に努めているところでございます。  さらに、平成十四年度からは、水質保全対策事業の中で、一層の赤土流出防止を図るために、広域的な観点から沈砂池の整備を行うとともに、事業の実施に当たって策定する計画の中に営農面の対策との連携を明確にすることといたしたところでございまして、今後とも、土地改良事業の実施に当たりましては、赤土流出等、環境との調和に配慮しながらの万全の対策を期してまいりたいというふうに考えております。
  69. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 私は、かつてODAを担当したことがあります。ODAを担当すると、各国からの要請というのは非常に高いレベルのものを要請しがちであります。自動車工場をつくってくれとかパソコンの工場をつくってくれとか、そういうものを要請しがちです。しかし、そういうのはほとんど成功したためしがないんです。  結局、その地域の振興策の最も効率の高いものというのは、その地域の地場産業、伝統的な産業、そういうものをしっかりと支えていく、そして、そこから新しい人材であるとかあるいはそれに関連した産業をつくり上げていくというのが、ほとんどの場合、成功する事例であり、私は、日本の地域開発というのも例外ではないだろうと思うんです。  今回のこの振興計画では、いろいろなものを網羅していますけれども、私は、その幹になるのはやはり観光と農業だろうと思います。  沖縄の農業というのは、その地域特性からいってもさまざまな可能性を持っていると思います。沖縄というとサトウキビという形で、政府の価格維持政策の中の作物しか連想されないんですけれども、本当は、南方産のフルーツでありますとか、あるいは早場の野菜でありますとか、そういう市場性の高いものもたくさんつくり得る可能性は持っていると思うんですね。  そういうものを、光を当てて、地場に根づいた産業をもっと振興させていく、その中から人材も育成していく、あるいは関連する産業もつくっていくという形で、ぜひ、この振興計画を活用する、利用していくということをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  70. 萩野浩基

    萩野委員長 次に、仲村正治君。
  71. 仲村正治

    ○仲村委員 私、尾身大臣、ことし復帰三十年を迎えて、本当に感慨深いものを覚えております。私、昭和十九年四月に旧制中学に入学をいたしまして、一学期は勉強いたしました。しかし、二学期からは、飛行場の建設や高射砲陣地の作業、防空ごうを掘ったり、もう月曜日から土曜日まで毎日その作業ばかり。そして、二十年に米軍が上陸して六月の二十三日に沖縄戦が終わったわけです。  そして、私、復帰の昭和四十七年五月十四日、当時、那覇市会議員をしておりましたので、琉球政府、そして各市町村の条例を、昭和四十七年五月十四日の深夜から十五日の零時にかけて、日にちが変わると同時に条例改正をするということで、十四日の晩から十五日の朝までぶっ続けで議会をしたのであります。そういう状況の中で復帰をして、きょう、この機会に復帰三十年を迎えるということについて非常に感慨深いものを覚えております。  復帰した当時の沖縄の状態というのは、もう、米軍が上陸して気まま勝手に基地をつくって、すべての政治が軍事優先、そして民政は全く顧みられない状態でございましたので、復帰してこの三十年の間に、三次にわたる振興開発計画で六兆八千億余の国費を投じて、沖縄の道路、港湾、空港、漁港など社会資本整備が本当にすばらしく整備されたことに県民は非常に高い評価をしているわけでございます。  と申しますのは、先ほど申し上げたように、復帰前、もう米軍は専ら軍事優先のことばかりで、民政なんか顧みもしなかった。戦争で破壊された道路や橋梁や港湾や農地整備など全く手もつけない状態でございましたので、そういう意味から、私は、この復帰三十年の政府沖縄に対する施策というものは非常に成果をおさめた、こういうふうに評価をいたしておるところでございます。  そして、現行の沖縄振興開発特別措置法は昭和四十七年五月十五日に制定されたわけでありますが、その現行の法律も、今回審議をしている法律も、各所に、その目的と意義は、沖縄の特殊性にかんがみてそれを制定する、こういうふうに条文をあけてみると出てくるものですから、その特殊事情にかんがみてということに非常に心を刺す思いをするわけでございますが、その点について、尾身大臣沖縄の特殊事情にかんがみてという点は一体どういうものか、これはぜひ説明をしていただきたいと思います。  この特殊事情というものは、自然的条件の中から出てくるものもありますし、また人為的につくられてそういう状態になったこともあると思います。例えば、沖縄県は、南北四百キロ東西一千キロの広大な海域に七十余の島々が散在している、しかも、本土から遠く隔絶された地域にありますので、これもやはりある意味での特殊性だろうと思うのだけれども、しかし、私は、この法律で言う特殊性にかんがみてということは、それ以外のことが非常に大きい、人為的なことが非常に大きい、こういうふうに考えておりますので、その点について、尾身大臣のお考えをお聞きしたいと思っております。
  72. 尾身幸次

    尾身国務大臣 本法案の冒頭に「沖縄の置かれた特殊な諸事情にかんがみ、」というふうにしてありますのは仰せのとおりでございまして、幾つかの要因があると考えております。  一つは、在日米軍の七五%がこの〇・五%の広さの沖縄に存在をし、これが日本の平和と安全、アジア太平洋地域の安全に貢献をしているとはいうものの、沖縄方々に大きな御負担をかけているということ。それからさらに、二つ目といいますか、今お話しのとおりの、太平洋戦争のさなかに日本の国土で現実に戦争が行われた地域は沖縄だけでございまして、二十万人余りの方々が命を落とされるという歴史がございます。それからまた、先ほどのお話のとおり、二十六年間、昭和四十七年までの間、日本の一部ではなくアメリカに占領されたままの状態であった、そのことによります沖縄の発展のおくれ、また人々が大変に御苦労されたという歴史もあるわけでございます。  と同時に、先ほどのお話のとおり、広い海域に幾つもの島が存在をし、そして本土から非常に遠隔地にあるというような地理的な状況もございます。また、もう一つの地理的な状況として、これは我が国で唯一の亜熱帯地域であり、台風の襲来等もあるような非常に過酷な自然もあるという点も沖縄の特徴であろうと思います。  そういうような歴史的、文化的あるいは地理的な特徴を持った沖縄、そしてそこにおられる方々が、基地の存在も含めて非常に負担をされておられるというのも、また私ども忘れてならないことでございまして、そういう中で、この沖縄の振興を図っていくということは日本全体の大きな課題である、そういうふうに考えているわけでございます。  そういう考え方のもとで、三次にわたる振興計画をつくり、このたびは新しい沖縄振興特別措置法を提案しているわけでございまして、今までのいろいろな歴史、現状等々を踏まえて、二十一世紀に向かってさらに大きな発展をこの法律に基づいて実現をしていくことを、私どもとしては期しているわけでございます。     〔委員長退席、金田(英)委員長代理着席〕
  73. 仲村正治

    ○仲村委員 今大臣がおっしゃったように、自然的な条件から来る特殊性というのも確かにあります。しかし、その大半は、やはり米軍が上陸をして地上戦が行われ、そして二十七年間の占領当時の中で米軍が勝手気ままに基地をつくり、そして今もその状態が続いている、沖縄の振興開発を阻害している大きな原因になっているというのがこの特殊性の最大なものではないか、私はこのように思っているところでございます。  今日まで三次にわたる施策で、戦中戦後あるいは米軍占領当時の中で発生した戦後処理問題、あるいは社会資本整備の問題は、非常に大きく進展をしてきたというふうに思っておりますが、いろいろと御議論を聞いておりますと、公共工事が余り意味をなしていないというような感じの議論もあるようでございまして、私は、地元の者として、果たしてそうなのかなと。例えば道路は、確かによくなっておりますけれども、全国の比較で見た場合に、面積比率それから人口比率、車台数比率で見た場合には、まだ全国平均の六五%しか整備されていない。こういう状況の中で、なぜ公共工事にそのような考え方を持つのか、私は非常に疑問に思えてなりません。  そして、土地改良工事につきましても、沖縄の農地は大体四万五千ヘクタールぐらいありますけれども、まだ要整備面積の五〇%をようやく超したところなんです。これからもやはり力を入れていかなければならない重要な課題である、こういうふうに思っておりますが、ただ、土地改良事業というものは申請主義でありますので、これは農家の方々がやってくれと言わないとなかなかできる仕事ではありません。これだけ農業生産が低下した中で、今から金をかけて本当に自分の土地を土地改良していいのかという考え方が出てきて、なかなか前に進まないというのが現状でございます。私は、農業関係者や市町村長に対して、そういうところではあっても、やはり農家を説得して土地改良事業は積極的に進めるべきである、こういうふうに言っているところでございます。  そういう状況の中で、沖縄にやはり戦後処理問題が依然として未解決のまま存在しているということについて、私は申し上げたいと思います。  昭和十六年に大東亜戦争が始まって、全国各地に基地をどんどんつくっていったわけです。しかし、そういう状況の中にあっても、沖縄県は最前線基地になるというようなことで、十七年から十九年までに、沖縄本島に七カ所、宮古に二カ所、八重山に二カ所飛行場ができたのです。大体十八年の前半まではちゃんと代金を払っているのです。  だから、財務省が、私法上の手続を経て買った、国有地になった、これは十七年以前のものは確かにそうだと思う。しかし、十八年後半からはもうどさくさで、ここからここまではいつまでに農作物をとれ、そして、公民館に区長を呼び出して国債を渡して、右左、村の産業組合に強制貯金をさせて、地主には土地代が払われていないのですよ。  私は、昭和十九年の四月に中学に入学して、飛行場工事などの作業に入ったとさっき申し上げましたけれども、現に小禄飛行場なんかも私たちが作業して滑走路をつくったのですよ。そういう地域も今国有地になっているのです。なぜそうなったかというと、米軍が占領当時の中で、米国政府昭和二十七年土地調査をやったのですが、旧日本軍が接収した土地の所有権申請を受け付けるなと民政府が厳に強い達しを出して、それを受け付けたら罰すると言うものですから、みんなそれを受け付けなかった。それで国有地になってしまった。  その状態を、私が、国会に出てきてからこの問題をただしたのです。いつ国有地になったのですかと言ったら、昭和四十七年五月十五日に国有地として登録されましたと言うのです。そんなばかな話があるかというのですよ。何で十八年に買ったならばその当時で国有財産に登録していなかったかということなんです。  そして、土地というのは大体一筆が五百坪、多くて千坪、普通三百坪単位です、一筆一筆が。それが小字一筆になって国有地になっているのです。それをだれから買って合筆をして国有地になったという証明ができるのかということです。できないでしょう。  そういうことで、この問題は未解決のまま、戦争というどさくさの中で国民の財産を取り上げた、このことに間違いない。しかし、証拠もないのに、それを言われると、私法上の手続を経て国有地になったと。それが本当に昭和十七年、昭和十八年に国有地になったという証明をできるならやってみてください。どうぞ。
  74. 吉田幸弘

    ○吉田大臣政務官 お答えをいたします。  財務省といたしましては、昭和四十八年以降、当時は大蔵省であったわけでありますが、四十八年以降に、関係省庁の協力を得て、可能な限りの調査を実施したわけでございます。その結果、私法上の売買契約により正当な手続を経て国有財産になった旨の報告書を取りまとめ、昭和五十三年に国会報告しているところでございます。  また、旧嘉手納飛行場、旧那覇飛行場における旧軍買収地に関し、旧地主が提訴した土地所有権確認等申請訴訟の判決においても、私法上の売買契約により正当な手続を経て国有財産になったと、国の主張が認められたところでございます。  以上の点をどうか御理解いただきたいと思います。
  75. 仲村正治

    ○仲村委員 私は、さっきお話ししましたように、全部一律に土地代を払っていないとは言っていません。例えば読谷あたりは、私は払われていると思います。そして、戦後、米国政府が土地調査をやれと言ったときに、米軍が使う必要のない西原飛行場、豊見城飛行場、これは所有権を認めているのですよ、同じ時期に軍が接収して。そして、浦添、今浦添市ですけれども浦添村だった、そこにキャンプ・キンザーというところ、そこには仲西飛行場というのがあったんです。そこも絶対売っていないといって、アメリカ政府と裁判をして勝ったんです。泣き寝入りした人たちの土地が今の状態になっているわけです。  だから、私は、昭和四十七年五月十五日に国有地として登録されたということは、これはもう絶対に理に合わない話だと思います。この答えを出すのは時間がかかりますので、また後日、私はやります。全部が全部そういう私法上の手続を経て国有地になったということは、絶対にあり得ない話だということを申し上げておきたいと思います。  それから、新法では、これからの振興計画は沖縄の優位性を生かす形で、今までの格差是正という方針から転換をしていく、これはもう私はもっともな話だと思います。  例えば、沖縄は、海洋島嶼性の非常にすぐれた自然景観を持っておると同時に、全国唯一の亜熱帯、温暖な気候、そして蓄積された歴史文化遺産があります。したがって、観光・リゾート地としての開発は全国で沖縄よりすぐれたところはない、このように思っております。そして、我が国の南の玄関口、アジア太平洋地域の中心の地点であるというところから、これは今後とも国際交流の拠点として非常に有利な条件を持っているというふうに思っております。そして、アメリカや本土あたりからの海底ケーブルがほとんど沖縄に陸揚げされてから中国や東南アジアに行っているということからすると、この光ファイバーの利用というのが非常に重要な有利性を占めている。  こういうところから、私は、今後はこういう有利性を生かすことによって沖縄の振興開発を図るべきだという点については、政府考え方あるいは沖縄県の考え方と同感であります。その点について、尾身大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  76. 尾身幸次

    尾身国務大臣 沖縄の優位性ということでございますが、まさにおっしゃるとおり、自然的な、亜熱帯地域の島嶼地帯であるということ、それから、美しい自然、海がありますし、また、歴史文化遺産もユニークな歴史文化遺産を持っていると考えております。  それから、私がいつもいつも感じますのは、食品の面において、食文化、しかも健康食品についてのいろいろな植物、生産物が大変多い。そういういろいろな各種の優位性を生かしたような形でこれから自立経済を達成していくということが大変大事だと思いますし、一番手近にあり、身近にあるから忘れがちなのでございますけれども、これは大変大事な沖縄の財産であり、そういうものをしっかり活用することが大事だ。  おっしゃるとおりの考え方、私も大賛成でございます。
  77. 仲村正治

    ○仲村委員 今度新法をつくるということが閣議決定されて、いよいよその審議が始まったことについて、稲嶺沖縄知事はこのような期待を述べられております、二十一世紀初頭の沖縄像はこうあるべきだと。  まず第一に、これからの沖縄県は、世界の人々が集い、世界の平和と繁栄のために会議や交流が行われるコンベンションアイランドにすべきだ。そして、二点目には、沖縄に世界の人々が集まるために、多様な交通や通信のネットワークで世界と沖縄がつながる国際的観光やビジネスが集積する拠点のメディアアイランドにしたい。三点目は、沖縄の温暖な気候やすぐれた歴史文化遺産や自然環境の中で、沖縄県が長寿日本一という健康長寿の島の条件を生かして、人々が健康で快適に生きるために沖縄に集まってくるようなウエルネスアイランドにしたい。こういうことを述べております。  確かに、コンベンションアイランドに関連しての話でございますけれども、平成十二年の九州・沖縄サミットを県民の総力を結集して成功させて、G8の首脳からも大変大きな評価を受けたわけでございます。たまたまそのサミットの直前に、平成十二年六月二十日に、可能な限り日本での国際会議沖縄でやろうという閣議了解がなされておるわけでございます。  そのサミットを成功させた後、沖縄県でどういう状況になっているかといいますと、平成十二年に国際会議が三十二回、国内の会議が五百三十一回、合計五百六十三回、平成十三年度は国際会議が三十一回、国内会議が五百十二回、合計五百四十三回。ただ、平成十三年度は、十一月、十二月はやはりテロの関係でキャンセルが出て、少し予定どおりにはいかなかった。それでも五百四十三回行われております。平成十四年度も、これからでありますけれども、国際会議が六回、国内が三十回。合計して国際会議六十九回、国内会議千七十三回、合計千百四十二回、こういう実績をつくっているわけであります。  そういう点からいたしましても、稲嶺知事がおっしゃったコンベンションアイランド計画というのはこれからやはり力を入れていくべき問題である、このように思っているわけでございます。  それから、メディアアイランドにつきましては、情報通信分野における沖縄の振興の取り組みでありますけれども、NTTの一〇四番案内が那覇市にできて、五百十名の雇用をしております。名護市にもできて、百十名の雇用をしております。それから、ソフトウエア開発業が十二社で三百七十人雇用している。コンテンツ制作業が十三社で百二十人。情報サービス業が十三社で百十人。そして、先ほど私が申し上げましたように、海底ケーブルが沖縄に陸揚げされているということもございまして、私は、これからの情報通信産業の集積地として非常に可能性の高い点を持っているということを考えているところでございます。  それから、沖縄の平和に対するこだわり。これは、何も米軍基地があるから米軍基地をなくするために平和、平和と言っているのでは決してないのです。一四五八年の当時に尚泰久王が万国津梁の鐘をつくったわけですけれども、その中に、沖縄は、近隣諸国と交わり、善隣友好関係を築くことによって、物の交流、人の交流、文化の交流を図って繁栄を図っていこうということが、この一四五八年の文章の中に書かれているわけでございます。その考え方が、今、我々が審議をしている法律の中で生かされようとしているのではないか、このように思っているわけでございます。  そして、なぜ沖縄で空手がつくられたか。これは、琉球王朝は武器を持たないようにしようという政策をとってきたわけでございます。たまたまイギリスの軍艦、これは艦長がバジル・ホールという人ですが、一八一六年に琉球を訪問して王府を訪れているのです。この武器のない状態を見て本当にびっくりして、帰りにこのバジル・ホールという人はナポレオンに会っているのです。それで、ナポレオンに東洋に武器を持たない国があるということを話したということなんですが、それからやはり空手が発達した理由がある、このように思っているわけでございます。武器はないけれども、しかし、敵の攻撃からは身を守らなくちゃならぬ、いわゆる護身術として空手が発達してきた、こういうことでございます。  そういう状況の中で、この稲嶺知事が言っておられる三つの点について、もう一つ関連して、ウエルネスアイランドという考え方。例えば平成十三年度の全国の百歳以上、一万五千四百七十五人います。十万人当たり十二名。沖縄県は四百五十七人います。十万人当たり三十五人います。どれだけ沖縄県が長寿の県であるかということは、その一言でおわかりいただける。そういう、健康でみんなが長生きをしている状態を、ぜひ全国の方々沖縄で過ごしていただけるような島にしたい、こういうことでございます。  この審議をする法律の中でぜひこれを生かしていただきたいということを強く要望申し上げたいと思いますが、どうぞひとつよろしくお願い申し上げます。     〔金田(英)委員長代理退席、委員長着席〕
  78. 尾身幸次

    尾身国務大臣 沖縄の歴史的、文化的状況についてお話をいただきまして、大変感銘深く聞かせていただきました。やはり、戦中戦後の歴史を生き抜いた仲村議員なればこそという思いでございます。そういう深みのある独自性というものを生かして、そしてその独自性をこれからの二十一世紀の発展の礎にしていくことが大変大事だというふうに考えておりまして、私どもは、そういう沖縄の皆様の努力政府として支援していくという立場で、今後いろいろな施策を進めてまいりたいと考えております。
  79. 仲村正治

    ○仲村委員 情報通信分野におけるこれからの取り組みについてでありますけれども、今私が申し上げましたように、いろいろな条件からいたしまして、非常に可能性の高い、希望の持てる産業であるということでございますので、この点についてはぜひ積極的にひとつ取り組んでいただきたい、こういうことを申し上げたいと思います。  先ほどもこういう資料を申し上げましたけれども、この四、五年間で、相当な電気通信関係の企業が沖縄に来て、非常に活発に営業活動をしているという状況でございます。その中で、地元に携帯電話会社があるんですが、これは平成三年にできて、ざっと十年ということでございます。  沖縄は全国面積の比率では〇・六%、人口比率では一%という、非常にシェアの狭い地域でこれだけ努力をして順調な経営ができているということは、これは並々ならぬ努力でなければできなかったんじゃないか、このように思っております。そして、沖縄の場合は、さっきから申し上げておりますように、遠隔の地で海で遮られておりますので、どうしても、県境を越えてほかの地域で営業を伸ばしていこうとしたってできる話ではございません。したがって、自然に狭い地域で営業をしなければならないという状況でございます。  この会社は、全国比率でいえばシェアは〇・五%ですけれども、県内で見たら四九%あるわけです。それが、電気通信事業法施行規則で、二五%を超したら市場支配的事業者という指定を受ける、こういうことになって、とんでもない話じゃないかと私たちは思いまして、この指定をすべきでない、こういうことで考えているところでございます。理事間においても、今、これはおかしいということで、今回の法案に対する附帯決議の中にも入れようということを検討しておられるようでございます。  その件について、総務省も見えておりますので、ぜひお答えをいただきたいと思います。
  80. 鍋倉真一

    鍋倉政府参考人 携帯電話分野におきまして市場支配的な電気通信事業者の指定に当たりましては、電気通信事業法という法律がございますけれども、この法律に照らしますと、ちょっとテクニカルタームになって恐縮でございますが、第二種指定電気通信設備、これはその業務区域において端末数のシェアが二五%以上というものでございますが、そういった設備を設置する携帯電話会社につきまして、市場シェアが、先生今おっしゃいましたように、二五%を超える場合に、シェアの推移ですとかその他の事情、その他の事情というのは、例えば市場シェアの順位ですとか他事業者との格差ですとか、そういったことでございますけれども、そういった事情を勘案した上で指定をするというふうに法律上規定をされております。  御指摘のございました沖縄セルラーにつきましては、今先生御指摘のように、五〇%近くあるということ、それから市場シェアが一位であるということで、法律の条文をそのまま読みますと、基本的には指定することが適当であるということでございます。  しかし、同社の指定につきましては、さまざまなほかの要因を考慮すべきではないかという御意見も多数寄せられておりまして、実は昨日、片山総務大臣記者会見におきましても検討しますという御発言をされたところでございます。今、私どもにもよく検討するようにという御指示をいただいている状況でございます。
  81. 仲村正治

    ○仲村委員 今、鍋倉さんの御説明を聞いて、皆さんもそのような方向で検討していらっしゃるということでございますので、ぜひその指定を受けるようなことのないように、ひとつ配慮していただきたいと思います。  そこで、尾身大臣もいろいろと知事などから陳情を受けられたと思いますけれども、その点についての御所見を承りたいと思います。
  82. 尾身幸次

    尾身国務大臣 この沖縄セルラー電話会社の問題につきましては、私も実は最近まで実情を知らなかったのでございますが、つい先日、沖縄に参りましたら、稲嶺知事から大変大事な話があるのでぜひ考えてほしいという話がございました。  この沖縄セルラー電話会社が、これは地元資本が参加して株が公開されている六つの会社のうちの一つなんでございますが、電気通信事業法の支配的事業者に指定をされる、そういうふうになると、KDDIが五一%株を持っている子会社でもありまして、残りの四九%程度が県内のいろいろな関係者が出資をしている会社でございまして、KDDIと組んでいろいろな割引サービスをしているわけでございますが、この割引サービスが支配的事業者になると使えなくなる可能性がある、そういうことで、沖縄のいわゆる地場資本とも言えるものが、事業がつぶれてしまう可能性があるので、ぜひこの指定はしないようにしてほしい、こういうお話がございました。  私も、実はその後いろいろな状況等を調べてみたわけでございますが、沖縄という県だけに限りますと、四八・三%のシェアがあるわけでございますけれども、まさに、例えばNTTドコモとかKDDIとかその他の会社と比べると、もう本当に米粒みたいな小さい会社でございまして、この会社を支配的事業者というふうに指定をするというのは、私は公正取引を守る独禁法の精神にも基本的なところで反しているという感じがいたします。  それからまた、地域地域と言いますが、聞いてみましたら、総務省の方は、地域の区分を大体においていわゆるブロックにしておりまして、例えば関東全域とか関西、あるいは中国地方とか四国とか九州とかいうことにしていて、沖縄だけが一つの県が一つの地域ということに今のところ分類をされているようでございますが、例えばこれが九州ブロックの一部というふうに考えていただくと、全くそのシェアがネグリジブルスモールになってしまうわけでございまして、そういう点を考えても、この指定は適切ではない。  したがって、この電気通信事業法の基本的な理念に基づいて考えれば指定はすべきではないというふうに考えておりまして、総務省の方にその旨申し入れているところでございます。  それからまた、もう一つは、実は、今四八・三%のシェアでございますが、平成八年三月の段階ではこの会社は沖縄の地域だけとってみまして六三・六%のシェアでございました。その六三・六%のシェアであったものが、ドコモのシェアが伸び、さらにもう一社のシェアも伸びまして、本年二月には四八・三%とここ六年間で一五%シェアを下げているわけでございます。六年間で一五%シェアを下げている、しかも日本全体の〇・五%のシェアしか持たないこの沖縄セルラーが、電気通信事業法のいうところの支配的事業者である、そういう運用をするということは、どう考えても理不尽以外の何物でもない、ドコモだけを規制するのはまずいから沖縄セルラーも一緒に規制しないと格好がつかないというようなふうに勘ぐりたくもなるような考え方ではないかと私は思っているわけでございます。  この点については私どもも総務省の方に申し入れておりますが、政と官の関係、政治が官僚システムにいろいろ意見を言ったときに、小泉総理のお話によると、正しい意見は聞くべきだし、正しくない意見は聞かなくていいというようなことを言われているわけでございますが、これについてはこの委員会で、ぜひ委員会の総意としての御意見をいただきまして、その判断の方が、私は、電気通信事業法の基本的精神、それから公正取引の独禁法の基本的精神に照らしても、こんな小さい会社を支配的事業者として指定するというようなことは本当はおかしいと思いますし、それから、沖縄のこの零細地場資本を、ドコモより支配的事業者であるから、ドコモより沖縄においてシェアが高いから手足を縛っていくというような考え方は、行政のあり方としても極めて疑問があるというふうに考えておりますので、そういう意味では、ぜひしっかりとした皆様の御意見を賜って正しい決定を総務省にしていただくように私はお願いしたいと考えております。
  83. 仲村正治

    ○仲村委員 どうもありがとうございました。大変力強い御答弁をいただいて、心強く思っているところでございます。今からこの情報通信産業を育てていこうという状況の中で、こういうことがあってはならないという立場で私は御質問をしたわけでございますので、どうぞひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。  時間がありませんので最後になりますけれども、沖縄米軍提供施設の借料についてどうも誤解するような感じでありますので、その点について私はぜひわかっていただきたいということをお話し申し上げたいと思います。  沖縄米軍基地は、何も安保条約に基づいて貸したものじゃないんです。米軍が上陸して、もうとにかく勝手気ままに土地を取り上げて、基地をつくった。それは、当時は県民の七〇%が農業して生活をしているわけですから、土地という財産と農業という職業を同時に取り上げられたわけです。だから、みんな生活のすべはこの地料に頼ってきたわけです。だから、財産を貸してその地料というよりも、私は、生活保障ということも念頭に置いてもらわなくちゃならぬ、このように思っているわけです。だから、地主の皆さんからすると、予算が少ないから上げられませんと言ったら、仕方なく貸しているんだから返してくれ、こういう返事が返ってくるんじゃないですか。その点をぜひ御理解いただきたい。  それでも復帰して随分減りました。約二万七千ヘクタールぐらいあったのが、今二万三千ヘクタールぐらいに落ちていますね。それは陸地の部分です。それでも全国の七五%、全県面積の一一%、基地の集中している沖縄本島の二〇%。  これだけではないんですよ。訓練水域、これが二十九水域あるんです、五万四千九百四十平方キロ。訓練空域、これが二十空域あるんです、九万五千四百十五平方キロ。陸地だけでなしに、島の周辺にこのようにして訓練空域、訓練海域があって、特に航空路の往来についてもそれを避けて通らなくちゃならない。南北大東に行くとき、その狭い空域の間を縫っていくんですね。だから、演習のあるときはもう本当に怖いんです。しかも、その普通通っている空路で積乱雲が発生したりするとほかに回れないんですね、そういう状況であるということ。そして、この訓練海域、これがどれだけ漁業面で制約をしているかということがある。そういう点を十分ひとつ御理解いただきたい、このように思っております。  それでも、基地返還についてSACOは意味がないんじゃないかというような感じで言っておりますけれども、普天間基地は四百八十一ヘクタールあるんです。これを、平成八年の二月二十四日、橋本・クリントン会談で、サンタモニカで橋本総理から要請して、その四月十五日にSACOの中間報告として、県内に移設する条件でなら返しますよ、規模を小さくして県内に移設するなら返しますよということの条件がついている。だから、県内に移設をしないということであればこれは返ってこないわけですよ。四百八十一ヘクタールが移設後は二百ヘクタールです。那覇軍港、現在五十五・九ヘクタールあります。これも三十五・三ヘクタールでいいですよ、こういうふうに言っております。  だから、私たちは、県内移設条件のSACO、これは満足すべきものじゃないと思いますよ。ベストではないと思いますよ。しかし、これを拒み続けたら基地の整理縮小はできない。ベストではないけれどもベターの策として、次善の策としてこれは受け入れざるを得ないという気持ちでやっておりますので、しっかりひとつこのSACOについても頑張っていただきたい、このように思っております。  時間が参りましたので終わりたいと思います。ありがとうございました。
  84. 萩野浩基

    萩野委員長 次に、白保台一君。
  85. 白保台一

    ○白保委員 しんがりでございます。長時間にわたって沖縄振興法の審議が行われましたが、私はしんがりで質問いたしますので、もうしばらくの間よろしくお願いいたします。  参考人の意見陳述を聞いてその質疑を含めていけば十七時間近くに及ぶ質疑でございました。これだけ熱心に与野党の議員の皆さん方が審議をされました。県民の一人として非常にありがたいことであると感謝をしております。  そして、沖縄振興の問題については、三十年間現行法で推進をしてまいりました。振興開発ということでやってまいりましたが、いよいよこの現行法も使命を終わろうとしていますし、そういった中で、新しい二十一世紀の沖縄の振興をどうすべきかということで、熱心な御議論が行われました。戦後処理の問題も先ほど議論がございましたが、そのことについて申し上げれば、大変しっかりとした議論をしていかなきゃならない部分があるな、こう思っておりますし、また議論もしてまいりました。戦後処理の丁寧な解決の問題ということも一つ大事なことでありますし、同時に、新しい沖縄の将来像を描いていくという振興法も大変重要でございます。  きょう、私は、戦後処理の問題についてはおいておきまして、振興の問題についてお話を伺っていきたいと思いますが、その前に当面する問題について伺いたいと思います。  先ほど議論されましたいわゆる電気通信事業の問題ですが、尾身大臣から強い御決意、そしてまた指摘がなされてきたところでございますが、そもそも、この電気事業法の言うところの三十七条の二の一項ですか、このことについて、なぜこのことを指定していこうというふうになっているのか、まず、基本的なことから教えてもらいたいと思います。
  86. 山内俊夫

    ○山内大臣政務官 ただいま白保委員の方からの御指摘がありました、この規定を持った考え方の基本というものを教えてほしいということでございます。  まず、電気通信事業分野におきましては、事業者間の公正な競争を促進するための環境整備を行うことによりまして、事業者の創意工夫が最大限に発揮される中で、より低廉、高速、多様な通信サービスが提供される、こういった競争のメリットが国民に最大限還元されることが重要であると認識をいたしております。その認識のもとに、総務省におきましては、業務区域内において相対的に高い市場シェアを有する事業者に対しましては他事業者の公平な取り扱いのルールを確保するといったことを基本に、電気通信事業法等の一部を改正する法律案を昨年の通常国会提出いたしまして、六月に成立、十一月に施行したところでございます。  相対的に高いシェアを有する携帯電話事業者に対しても、他の電気通信事業者への不当な規律、干渉等の禁止といった、適正な競争環境を確保するための規律を課し、電気通信事業分野における公正な競争の促進を図ることを目的としております。  なお、沖縄セルラーの問題がございまして、沖縄での業務区域におけるシェアが一位でございまして、かつ、端末では五二%、収益で四九%の数字を上げております。そういったことから、法令の規定に照らして、基本的には、指定せざるを得ないというのが適当であると我々は考えておるわけです。しかしながら、実は先般、参議院の方でも沖北の委員会で中川委員の方から質問がございまして、私も答弁させていただいたんですが、その後、皆さんの陳情もございました。その中で、同社の指定については、他のさまざまな要因を考慮すべきとの意見も数多く寄せられてきております。昨日、片山大臣から、記者会見において検討するという答弁をなされまして、我々も、よく検討しなさいという指令を今受けておるところでございます。  以上でございます。
  87. 白保台一

    ○白保委員 今の御答弁でしばしば、公正な競争というお話がございました。先ほど尾身大臣答弁の中にも、これは独占禁止法という関係も一つあって、公正な競争というのは、いわゆる受益者に大きな利益を与える、そのために公正な競争があるわけですね。この公正な競争をやることによって、県民は極めて安いものを手に入れる。自由競争というのは、安くていいものが手に入ることが自由競争の成果ですから、そういう意味でいったら、これは独占禁止法との関係でどうなるのかなと。そして、この比較のあり方そのものが、一地域をとらまえて全体と比較していくなど、これで公正な競争という言葉が使えるのかなと私自身は疑問に思います。  そういう面では、特に沖縄振興という問題で、地域で規制緩和をして地域で育てて、規制緩和をして育てておいて今度は規制をかける、こういうことであっては、利益というものは一般の国民が得ることはできない。そういう意味で、先ほど検討というお言葉がございましたが、検討した結果、これは外すという検討をぜひやってもらいたい、こういうふうに思います。  そこで、大臣に伺いますが、先ほども強い決意のお話がございました。やはりこの比較の問題が適当じゃない、私はこういうふうに思いますし、公正な競争ということであるならば、まさに公正な競争のできる土俵で競争をさせてもらいたい、こういうことを思っておりますので、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  88. 尾身幸次

    尾身国務大臣 私も委員と実は全く同じ意見でございまして、この電気通信事業法の規定は、強い事業者がマーケットにおいて、簡単に言えば弱い事業者をいじめて、そしてマーケットシェアを拡大して、公正な競争を阻害して消費者にマイナスの効果を与える、結果的には値段が高くなるというような意味での不公正競争を、あるいは独占の弊害をなくするためにある規定である。それがこの法律の、電気通信事業法の基本的な考え方だと思っているわけでございます。  ところが、沖縄セルラーはどう考えても、ドコモから比べたら象とウサギみたいなもので、あるいはもっと小さいかもしれませんが、その象のつめの先の一部とウサギとを比べたら、ウサギのずうたいの方が象のつめの先より大きいから、そこの部分においては、ウサギの方を少し締めて活動を鈍らせた方がいいというような考え方になっていると私は思っているわけでございまして、全体の日本の国の社会経済のあり方の根幹に照らしてみて、どう考えても私ども納得できないわけでございます。  したがいまして、別の言い方をすると、靴があるから足を靴に合わせろというような考え方でやられることは、沖縄の経済の発展のためにも、本当の意味の中小企業の育成のためにもならないわけでございまして、私は、法本来の目的をきちっと理解していただいた上で、この指定をしないという結論をぜひ出していただきたいと考えている次第でございます。  そのためにも、こういうところでむしろ、最近は政と官の関係で、政が官に何か言うとメモをとるとかなんとか言っていますが、こういう公の場で政治の皆様の御意見をしっかりと伝えていただいて、これを記録に残していただいて、さあ、では官僚システムがどう判断するかということを迫るということは、本当の民主主義の原点から見て極めて正しいことだというふうに考えているわけでございまして、委員の御配慮に心から感謝を申し上げます。
  89. 白保台一

    ○白保委員 大臣の強い決意も伺いました。  どうぞ、大臣政務官、先ほどの御検討、ぜひ大臣ともども、今、政と官のお話もございましたが、県民的な立場に立っていただいて御判断をしていただきたい、このことを申し上げます。どうぞ、結構でございます。  次にお伺いしたいと思いますが、先般、十六日でございましたか、川口外務大臣が、きょうはいらっしゃらないので残念ですけれども、副大臣がいらっしゃいますから、沖縄に行かれました。いろいろなことが、これまでも議論をされましたが、私は、ずっとアメラジアンの問題について取り組んでまいりましたので、先般の分科会でもこのことを取り上げて申し上げたところでございます。  アメラジアンの問題について申し上げれば、教育権の問題や養育費の問題、そしてまた人権問題、さまざまな問題がこのアメラジアンの中には含まれております。そういった中の一つでありますけれども、大変困っておる。どこかに何か言っていこうにも、行くところもない、相談もできない、そういうような状況の中で、だれがこの人たちに手を差し伸べてくれるのか、話を聞いてくれるのか、こういうことがありまして、前々から外務省としては相談窓口を設けるということで努力をされてきました。  しかし、昨年の分科会でもそういう話をしまして、それからことしの分科会でもその話が出てきた。これは大分時間がかかるのかなと思って心配をしておりましたら、このたびの沖縄訪問で、県と、そしてまた各米軍施設の中に窓口を設ける、こういうことでもって密接な連携をとり合ってやっていくということが公表をされたわけであります。  そこで伺いたいのですが、毎日毎日生活していますから、具体的に、県の窓口、そして各施設の窓口、それがどういうような形で開設され、これをどう持っていけばいいのか、そしていつからやられるのか、そういったことについて御答弁をいただきたいと思います。
  90. 杉浦正健

    ○杉浦副大臣 予算委員会の御質疑、拝聴いたしておりました。  まず、お答えする前に、公明党としても、自自公政権の成立の際に、この問題を重大な関心を持ってお取り上げになった。とりわけ先生が、沖縄御出身でもあり、また沖縄開発政務次官も歴任されたわけでありますけれども、熱心にこの問題を取り上げられ、御指導賜ったという経緯があることはよくわかっておりまして、まずもって心から敬意を表し、感謝申し上げる次第でございます。先生の御鞭撻、御指導のおかげをもちまして、やっと先週の土曜日、川口大臣が現地であのような方針を発表することができるようになったわけでございます。  御案内のとおり、この問題は、森総理が一昨年五月、沖縄へ参りました際に対処方針を発表いたしまして、アメラジアンの子弟に対するいじめの問題に対する対応、それからフリースクールがございます。ちょっとお名前を今失念して、立派な方が宜野湾で四十人ほど不登校児を教育していただいておる。いろいろ問題があるようですが、そのフリースクールの支援、そして母子に対する相談窓口をつくるという対処方針を出されたのは御案内のとおりでございます。  フリースクールの方は、内閣府の方でも支援したり、金銭的にもいろいろ努力されているようですが、相談窓口の方は、以来、四つ軍当局があるわけですが、米軍との間で、その方針に沿って協議を進めてまいったわけでございます。やっていなかったわけではございませんで、相手との交渉で時間がかかった。御理解を賜りたいと思います。  遅まきながら、窓口を双方に開設するという、正確に言いますと、軍の場合はもともとある、それぞれの軍の中にある法律等の相談窓口が対応するということでございますが、県の方は新たに窓口を設けました。その窓口設置は、一昨年の九月でございます。窓口を設置いたしまして、外務省の沖縄事務所と米軍、県の三者で協議をして、どういうふうに事を進めるかということを相談してまいったわけであります。その協議が調ったのが最近でございまして、それに基づいて発表したということでございます。  具体的には、沖縄県の男女参画部に窓口を設けます、新設いたします。母子の方々はそこへ御相談に行っていただくということに相なります。それで本人、父親でございますが、居どころの確認ですとか、親子関係の確認とか、養育費、大体支払われていない場合が多いようでありますが、気の毒でございますが、その状況とか、そういうことを御相談いたします。この内容については、そのたびに沖縄の事務所に御連絡いただくことに相なっております。  県の窓口のみで処理できる場合もあると存じます。父親が認知しておって比較的協力的な場合、軍にまで持ち込まなくても処理できる場合もあるわけでございますが、そうでない場合は、軍に持ち込む、県から持ち込んでもらうということになります。それぞれの軍で対応して相談をしていただく。その場合は、親子関係の存在についてある程度信憑性ある証拠がない、本人が認めておるとか、あるいは向こうの裁判所で審判の結果、親子関係があるとかあるいは裁判中であるとか、あるいはそうでなくても相当証拠があるということでない限り、軍の方も困るということでございますので、そういう条件はついておりますが、そういう場合には持ち込む。  ですから、おおむね、全部とは申しませんが、大部分のケースが軍と相談できるようになるんじゃないかというふうに思われます。それで、軍と協議いたしまして、しかるべく、居どころ確認、父子関係の確認、養育費の支払い等を相談していただくということになります。  相談の結果、軍との間で一定の措置がとられた場合は、県に連絡がありますし、その結果をこちらへも通報していただくことになっております。米軍当局が受理しないとか、相談の結果について親子が強い不満を持っておられるというような場合には、つまり県が手に負えない場合には、沖縄事務所が、事務所は三人しかいないんで大変なんですが、ともかく対応して、間へ入って、米軍側との協議を、場合によっては三者協議をやるというような形で対応してまいろうということに相なっております。  先週の土曜日に発表したばかりですので、まだ今、例はございませんが、もう準備を進めておりまして、四月ぐらいからは本格的に動くように、今来ていただいても動きますが、本格的な活動開始は四月からであろうかと思います。  この結果、見通しとしては、親が軍に在籍している場合はかなり効果が出るんじゃないだろうかと思います。ただ、軍籍を離れられてどこへ行かれたかわからないというような場合は、見通しとしては、軍は、協力はしてくれるにしても、行政機関ですから、最終的には裁判と申しますか、双方の、向こうとこっちの裁判手続ということにならざるを得ないので厳しい場合もあるかと思いますが、今まで軍にいても放置されていたという場合がたくさんあったようでございますので、そういった面では随分改善されるのではないだろうかと期待しているところでございます。  改めて先生の御尽力に敬意を表しまして、またいろいろと御指導を賜りますようにお願いしたいと思います。
  91. 白保台一

    ○白保委員 このことが発表されて、フリースクールのセイヤーみどりさんからすぐ電話がありまして、うれしいニュースですが、フリースクールにいた子供たちの中から二人が今回県立高校に合格をする。本当に子供たちも今一生懸命努力をして頑張っておる状況でございますので、今後とも、きめ細かな対応をぜひしていただきたいということをお願い申し上げます。  どうぞ副大臣、お忙しいようですから、結構です。  そこで、もう一点、先ほども議論がございました嘉手納ラプコンの問題ですが、この問題についてお伺いしたいと思います。  そもそも、嘉手納ラプコン、これが復帰時点で本来ならば、主権国家の領空ですから、主権国家の領空をいつまでも支配させるなどということはあってはならないことですし、そういう面では、早期にその返還をさせるということが当然のことであります。  しかしながら、そのときの言い方は、まだまだ日本の技術は未熟だから、当分の間、嘉手納でもって仕切るよということで、この当分の間がついに三十年たってしまいました。この三十年間で日本の管制技術というものは大きな発展をして、もう絶対にこれは世界には負けない、むしろ先を行っている、こういう状況だと思います。こういう状況の中でいつまでも米軍ラプコンで握っていてやっておるというのは、これはいかがかということで、たびたびこのことについて質問をしてまいりました。  その結果、一昨年あたりから航空局が嘉手納と交渉をやりながら、どうすれば移行できるのかなということで、内々にいろいろな調査をしたり打ち合わせをしてきたということも承知をしております。  そこで、そのことに入る前に、三月十日に、嘉手納ラプコン二次レーダーが故障した。故障したということについては、国土交通省の方ではよくわからない。しかし、こういうことによって、民間機が二時間半も三時間もおくれる。そもそも、主権国家の国民が使っている飛行機が、領空を他国によって支配されて、それで我々が自由に往来できないということがあってはいけないわけですから、そこで、まずこういったことがあった事実、これについてお答えいただきたいと思うんです。
  92. 鈴木朗

    鈴木政府参考人 委員指摘嘉手納ラプコンの二次レーダーの故障でございますけれども、去る三月の九日十時二十四分ごろでございますが、嘉手納のラプコンから航空局の那覇空港事務所の方に故障したという通報がございました。同じ日の二十二時三十分ごろ、復旧した、こういう通報がございました。  その日、民間航空機に遅延などが起こっているわけでございますが、航空機のダイヤの遵守状況というのが、レーダーと直接結びつくかどうかというのが微妙なところもございますけれども、少なくともスケジュールとの対比で申し上げますれば、三十分以上おくれたということが、出発で十七便、それから到着で十一便あった、このように承知しております。
  93. 白保台一

    ○白保委員 そこで伺いますが、先ほども申し上げましたように、この移管問題について、これまでの経過と現状、そしてまたいつごろまでにどうなるのかということについてお答えいただきたいと思います。
  94. 鈴木朗

    鈴木政府参考人 嘉手納のラプコン移管につきましては、これは委員御高承のとおり、日米合同委員会民間航空分科委員会に設置されました嘉手納ラプコン問題を協議する特別作業部会、ここにおきまして、現在まで十一回にわたり米軍との協議を進めているところでございます。その十一回目というのは実は昨日も行われている、こういうことでございます。  この間、一昨年には、私どもの航空管制官二人を嘉手納ラプコンに派遣いたしまして、沖縄進入管制業務実態の理解を深めるなどしております。それから、昨年の四月には、米軍が管制業務移管の前提としております運用所要というものが提示されまして、五月に概要説明を受けまして、その後精力的に協議を進めている、こういうところでございます。  移管の見通しでございますけれども、昭和四十九年五月十五日に、那覇航空交通管制部ができまして、管制業務の一部を行う、こういうことになったわけでございますが、その一部の管制業務が返還されたときの業務移管に当たりましては、実は、基本的な合意ができましてから、実質的におおむね三年ぐらいの月日を要しているわけでございます。これは私どもの推測ということですが、恐らく、嘉手納ラプコン移管に際しましても、基本的な合意ができましてから同じぐらいの期間が必要なんではないかな、こういうふうに考えております。  いずれにしても、まず早期移管に向けて一生懸命努力をする、これが肝要でございますから、国土交通省といたしまして最大限の努力をしてまいる所存でございます。
  95. 白保台一

    ○白保委員 この問題は三十年に及ぶ課題でございますので、ぜひ早期に解決をして、安心して我が国の領空を飛べるような状況にしていただきたい、このことを強く申し上げます。  さて、もう一点、最近の沖北の質問の際にも申し上げましたが、爆音訴訟、こういった問題があって、この判決が出た。そうすると、訴訟に加わらなかった人たち、この人たちが、公平に補償はできないものかということでもって、安保条約を反対とか賛成だとかこういう話じゃない、爆音による被害というものを公平に補償してもらいたいという立場で会を組織して、そういった主張をなさっている方々がおられます。  このことも含めて、防衛施設庁では検討をなされてきました。そして、三月一日に沖縄にも行かれて、御意見を聴取してこられた、こう思っております。その際の経過、そしてまた、どのような御意見があったのか。このことについて報告をいただきたいと思います。
  96. 嶋口武彦

    嶋口政府参考人 お答え申し上げます。  三月一日に、私どもでつくっております飛行場周辺における環境整備の在り方に関する懇談会、そのメンバーの先生三名に沖縄に行っていただきまして、県と嘉手納町にお伺いして意見を聴取してまいりました。  県の方からは、受忍限度を超える地域に居住する住民に対して、過去の騒音被害に対する金銭補償、将来にわたる継続的な補償制度の創設を求めるという御意見があった一方、嘉手納町からは、基地の存在がいつまで続くのかという住民の感情に配慮した何らかの施策が必要であるとして、住宅防音工事により設置した一般世帯の空調機の使用に伴う電力料金の助成について措置を講ずれば、住民感情もよい方向に向かうのではないかといった御意見をいただいたところでございます。  それを踏まえまして、昨日、第六回目の懇談会を実施しました。先般申し上げましたとおり、非常に真剣に、約二時間でございますけれども、真剣に検討しておりまして、何らかの解決策、いろいろな方策はございますけれども、それも含めて幅広く検討して、さらに二回、最低二回だろうと思いますけれども、重ねまして、所要の結論を得たい、このように考えております。
  97. 白保台一

    ○白保委員 長官、大体どのあたりで結論を出しますか。
  98. 嶋口武彦

    嶋口政府参考人 先般春ごろと申し上げましておしかりを受けましたので、正確に申し上げますけれども、月一回ぐらいやっております、必ず月一回。と申しますと、今三月でございまして、五月。プラスアルファと申しましたのは、最終的にやはり、今、私の思いつきではございませんけれども、住民の方に直接聞いておりませんので、その辺も含めてやりますと、二カ月、さらに二カ月プラスアルファかなというふうな感じでございます。
  99. 白保台一

    ○白保委員 今申し上げようと思っていたのです。県や町からお話を伺ったようですけれども、住民の方がそういう声を出しているのでありますから、そういう意味では、住民の方の声をきっちりと聞いていただいた上で、しっかりとした結論を早期に出していただく、そのことを強く申し上げたいと思います。  時間が余りなくなってしまいましたが、この振興法の問題について何点かお伺いをしていきたいと思います。  それで、自然と観光を両立させる初めての法律だとか、また、この振興についてはまさに沖縄の将来像を描いていく大事な法律である、法案であるとか、さまざまに評価をされているところでございますが、そういった中で、三章の関係で私が気になっておるところは、まず一つは、国際観光振興会ということがございます。この国際観光振興会は、沖縄にかかわって国際的に沖縄のPRをしていくということなんですけれども、努力規定になっておりますが、その辺のことについてお答えをいただきたい。
  100. 鷲頭誠

    鷲頭政府参考人 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、国際観光振興会というのは、外国人に日本に来ていただこうという活動をしているところでございまして、具体的には、テレビコマーシャルとか新聞広告、あるいはパンフレットを外国で配る、そういうふうなことによりまして日本を知ってもらって、来ていただくというようなこと、あるいは、国際会議日本に誘致するというようなこと、それから、インターネットのホームページとか観光案内所を利用しまして、外国人旅行客への観光情報の提供といったものを実施しているところでございます。  それで、昨年のテロがございまして、そのテロで沖縄に観光被害が随分及んだというときにも、外客誘致の活動を国際観光振興会というのはいろいろしておりまして、そういう意味では観光の回復に大きく寄与しております。  具体的には、韓国、香港、中国などで、テレビとか新聞で、沖縄はいいところですよというような宣伝をするとか、あるいは沖縄にそういう国々のツアーをつくる人たちを招待しまして、沖縄を目的地とした観光ツアーをつくってくださいとか、あるいは沖縄にある国際会議場を使ってくださいというような誘致活動をするということをしておりまして、そういう意味では大変貢献をしております。  それで、今回、そういう意味で、私どもの国土交通省としてできる一つのやり方が国際観光振興会を活用した外客誘致であるということで、規定に盛り込ませていただいたわけでございますが、具体的には、法律の中で、知事が観光振興計画に定める観光の宣伝の方針とか国際会議の誘致の方針に基づきまして国際観光振興会が海外における宣伝をやるとか、先生先ほどお話がありましたとおり、県及び市町村に対する国際会議の誘致というものに関する情報提供に努めるという努力規定がございます。  そういう規定の中で、具体的にどういうことを計画で定めるかということによってやることも変わってまいりますが、観光振興計画の内容を踏まえまして、先ほど例示を挙げましたようないろいろな活動を、海外十四カ所、国際観光振興会、海外事務所もございますので、そういうものを十分に活用して効果的なものになるように、私どもとしても、県それから国際観光振興会と密接に連携を図りながらやっていきたいというふうに考えております。
  101. 白保台一

    ○白保委員 ぜひ努力規定、しっかりと努力していただいて、御尽力いただきたい、こういうふうに要望をいたします。  さて、沖縄振興を考える際に、いわゆる沖縄全体、総体としての沖縄という問題があります。同時に、今、地域間格差、島嶼県ですから、そういう意味では地域間の格差というものもあるんです。本来、復帰した時点では、本土との格差是正ということがうたわれて今日までこうやってきた。今回は、まさに自立経済を目指したところの、釣り具に見られるような、そういう話になってきています。  そこで、地域間格差という問題で一番重要なことは、島嶼県ですから、それぞれの地域が、それぞれの島々が振興していかなかったならば、総体としての沖縄振興にも結びつかない、このことは大臣御存じのとおりだと思います、島々ですから。そういう中で、観光と第一次産業、特に農業、こういった問題については極めて重要な関係にあるだろう、こう思います。  それで、農業の振興という問題について申し上げれば、島嶼県、そしてまた大変狭隘なところでもって、いろいろな作物をつくっている、若い人たちが努力をされています。ところが、流通にのせると、流通の中で相手方が多くのものを要求してくるとこれにこたえられないということで、最初はいいんだけれども、結局は後が続かない。こういう、非常にいいものができたとしても、後が続かない、供給できないということで、結局は長続きしないという部分もあります。  そこで、今回、大きな特徴として、農林水産業の振興ということを掲げておるわけでございますが、そういったことを踏まえて、農林水産業振興ということについての具体的な考え方をお持ちなのかどうか、お伺いしたいと思います。
  102. 武田宗高

    武田政府参考人 お答え申し上げます。  沖縄の農林水産業でございますけれども、委員指摘のとおり、沖縄全域の均衡ある発展を図るという上で、その振興というのは大変重要な課題であるというふうに認識しております。  沖縄農業は、国際的な競争が非常に激化するとかあるいは従事者の高齢化が進展するということで、近年、農水産業の総生産額が低迷をしておるという大変厳しい状況にあるわけでございますけれども、一方で、個別に見てまいりますと、我が国唯一の亜熱帯性気候ということで、その特性を生かしまして、例えば、農業では、冬から春にかけまして、野菜とか花卉、それから熱帯果樹、肉用牛、そういったもの、あるいは水産業では、モズクであるとかクルマエビといった生産が伸びておりまして、大変特色がある産地として一定の評価を得つつあるわけでございます。また、今後、観光とかリゾート産業あるいは健康食品産業との連携による振興というものも期待されておるところでございます。  今回の新法におきまして、沖縄の振興計画のもとに、より具体的な実施計画といいますかアクションプランといいますか、そういう形で農林水産業の振興計画というものを定めて、これに基づいて各種施策を重点的に推進するということにいたしております。  委員の御指摘も踏まえまして、特に沖縄の優位性を生かした作物、こういったものを中心として、重点的に振興していくということで取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  103. 白保台一

    ○白保委員 数点、まだ幾つも通告をしておりましたが、時間がなくなってまいりましたので、恐らく最後の質問になろうかと思いますが、文化、科学技術の振興及び国際協力等の推進というのが新たにどんと入ってまいりました。  文化芸術あるいは科学技術、この振興というのは極めて重要なことですし、尾身大臣の大変に力を入れておられるところでございます。その中で、また国の方は、文化というのは国のお仕着せであってはいけない、したがって、地域からこういうふうにしてもらいたい、こうすべきだということを踏まえて支援をしていくというのが国の基本的な姿勢だと思います。  そういう中で、文化芸術振興基本法が国会で成立をして以来、やはりみんなの期待するものが大きくて、特に沖縄は特色のある文化芸術というものがございます。したがって、これを国の内外に展開していくことによって、沖縄の平和的なそういう姿というものを示そうという希望を持っている人たちも多くいるわけでありまして、そういう面では、ぜひこのことは進めていかなきゃならない重要な部分だな、こういうふうに思っています。  文化芸術振興基本法の関係と、そしてまたここで言うところの振興、これについてのかかわり、そして、どのような支援をできるのかということについて、お伺いしたいと思います。
  104. 尾身幸次

    尾身国務大臣 私もたびたび沖縄にお伺いをしておりますが、行くたびに、沖縄の文化に触れる機会がございまして、本当にすばらしいと思っております。  また、組踊を中心とする沖縄の伝統芸能等につきましても、これからしっかり守り、保存をし、そしていろいろな方がこれを楽しめるような、沖縄に行けば楽しめるような、そういうことを実現していくことが大変大事であるというふうに考えております。  自然の美しさと文化、芸能と、それから沖縄の人々の心に触れるということが、沖縄を訪れる方々にとって大変忘れがたい思い出になるわけでございまして、この沖縄固有の文化、芸能、そういうものをしっかりと守り、それから育て、そのことによってまた観光産業の振興にもつながる、そういう体制をとっていきたいと考えております。
  105. 白保台一

    ○白保委員 最後になりますが、昨日、参考人の皆さん方に意見をお伺いいたしました。私どもが推薦いたしました沖縄大学の下地教授は、基地の整理縮小と同時に、沖縄の地域特性を生かした振興策が必要である、その最大の手段は、沖縄に国際平和創造維持機構を誘致することだ、こういうふうに述べました。  私は、基地という抑止力があるだけに、対話をしていく、平和を創造していく、そういう機構というものをぜひ考えて、平和的な、平和戦略をしっかりとしたものにしていかなきゃならない。まさに、JICA、大変に頑張っております。同時にまた、国際交流基金も活用して推進していきたいという考え方もあります。しかし同時に、平和を維持していく、そういう機関の創設ということも大事であるということを私は強く申し上げまして、質問を終わります。
  106. 萩野浩基

    萩野委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  107. 萩野浩基

    萩野委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出沖縄振興特別措置法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  108. 萩野浩基

    萩野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  109. 萩野浩基

    萩野委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、西野あきら君外五名から、自由民主党民主党無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。武正公一君。
  110. 武正公一

    武正委員 提案者を代表いたしまして、本動議につきまして御説明申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。     沖縄振興特別措置法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点に留意し、今後の沖縄振興の推進に遺漏なきを期するべきである。  一 広大な米軍基地の存在等、沖縄を取りまく経済社会情勢にかんがみ、県民が安心して安全に暮らせることが肝要であり、米兵犯罪の根絶に努めるとともに、日米地位協定見直しの検討をも含め、今後とも沖縄の負担軽減に全力を尽くしていくこと。  二 沖縄の自立を進めるため各地域制度等において、沖縄県が自主的に取組むことが出来るように努めるとともに、国の責任ある支援策を強化すること。  三 増大する水需要に対処し、水の安定供給を確保するため、多角的な水資源の開発を促進するとともに、環境に配慮しつつ、水の有効利用に努めること。  四 深刻化する交通渋滞を解消するため、引き続き総合的な交通体系の整備を図ること。  五 米軍施設区域の整理縮小に引き続き取組み、その早期返還に努めるとともに、返還にあたっては環境に留意するよう求めていくこと。  六 新たな沖縄の基幹産業と期待される情報通信産業の今後の一層の集積及び発展のため、沖縄県内で同分野に積極的に取組んでいる沖縄の電気通信事業者の電気通信事業法に基づく支配的事業者への指定については、沖縄の特殊事情に配慮することとし、差し控えること。  七 依然として厳しい雇用情勢に対処するため、産業の振興を強力に推進するとともに、沖縄の実情に応じた雇用対策を積極的に推進し、教育・福祉分野への取組みを強化すること。  八 地元からの強い要請のある戦後処理等の諸問題について改善を検討すること。  九 赤土流出等沖縄に固有の環境問題に対して重点的な取組みを行うこと。  十 事業評価を進め、結果を公表するとともに、その手法を新法の振興計画にも盛り込むこと。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  111. 萩野浩基

    萩野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  112. 萩野浩基

    萩野委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。沖縄及び北方対策担当大尾身幸次君。
  113. 尾身幸次

    尾身国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、十分にその趣旨を尊重して努力してまいる所存でございます。  沖縄振興特別措置法案につきまして、御可決いただき、まことにありがとうございました。     —————————————
  114. 萩野浩基

    萩野委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 萩野浩基

    萩野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  116. 萩野浩基

    萩野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時六分散