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来間参考人 資料をお配りしてありますが、最初の二枚に、条文ごとに僕の
意見を述べてあります。それで、これを先に片づけて、あと全体的な話をしたいと思います。
まず、
観光の
振興が出ておりますが、国際
観光振興会が海外で
沖縄を宣伝するとかあるいは国際
会議の
沖縄開催
関係情報を
沖縄県に提供するとかいうようなことがあるのですけれども、こういうことに、
沖縄にだけ国が関与するということが必要なのかと疑問を感じます。共通乗車船券という話も
実効性には疑問があります。さらに、空港内に免税売店を認める、これも
実効性には疑問があります。今や
関税が低くなって、メリットはありません。既に破綻したこの
制度に期待するのがおかしい。かといって反対というわけではないのですけれども、賛成はできません。
それから、
情報通信産業、
産業高度化
地域、
自由貿易地域、
金融業務特別地区、これについてもすべて
実効性に疑問があります。
自由貿易地域については、既に破綻しているというふうに現状を見ますけれども、それなのになぜまだ期待をつなぐのかという疑問があります。僕は、前に、二十一世紀プランにつながるNIRAの研究会のメンバーだったのですけれども、そこでも全県
自由貿易地域については反対、しかし、
地域限定の
自由貿易地域については、反対はしない、しかし賛成ではないという
意見を出しておきました。今も同じ
立場です。
金融業務特別地区についても、これは
沖縄にそういう必然性が全くないというところで、また国際的にそういう
制度が求められているというふうにも考えられないので、これも、やりたい人がいるからやってもいいよ、だけれども僕は賛成しないし成功しないと思うという
意見を出しておきたいと思います。
それから、次のページですが、
文化関係は大体賛成です。ただ、大学院大学の設置については、国際的には
意味があるかもしれませんけれども、
実効性には疑問がありますし、できても
沖縄には無縁の機関になるというふうに思っています。そうではなくて、既存の教育
研究機関の
整備充実ということが基本であるべきだと思います。
それから、
沖縄の国際協力及び国際交流に係る
施策を推進するとありますけれども、
沖縄の
経済及び社会の
発展に資するため、
経済の
発展に資するために交流をするというのには、僕は賛成できません。
文化、学術の交流は結構ですけれども、
経済の面で国際交流というような発想はやめた方がいいというふうに思っています。
それから、次の、
沖縄の均衡ある
発展のための
特別措置で、無医地区あるいは離島
関係の項目が四つ五つありますけれども、すべて賛成です。しかし、こういうものを考えるときに、
政府といいますか国会といいますか、そういう
立場からは、なぜ
沖縄の無医地区だけ、なぜ
沖縄の離島だけという問題があるんじゃないかというふうに思います。離島における高齢者の福祉の増進というならば、何も
沖縄に限定して考えることは必要ないのじゃないか、一般的な問題として処理すべきではないかというふうに思います。
それから、
跡地利用の話、これが僕は一番言いたいことなんですけれども、国は財政
措置を講ずると言っていますけれども、仕組みは示されておりません。大規模
跡地の指定についても、国の取り組み方針を定めるというだけで、
内容がわかりません。本来はその
内容を法に規定すべきではないかというふうに考えます。特定
跡地についても具体策は示されておりません。
大規模
跡地給付金の支給というのがありますけれども、軍用地が
返還されても、当該土地を使用せず、かつ、収益していないときは、地主に軍用地料相当額を支給するとあります。しかし、問題は、現状は地主の大半が使用しようとはせず、収益しようとはしていない、そういう現状にあるわけですから、こういう規定はいたずらに
跡地利用をおくらせる結果になる
可能性が高いわけで、これは賛成できません。
ほかにもいろいろありますが、条文に沿った
意見は以上とします。
あと、次の資料は、一年前に県が出した基本的な考え方について、自問自答してみてメモをつくったことがあったのでそれをお持ちしました。その中で、高率補助の問題とか、国の投資をどう評価するかというようなことが書いてあります。
皆さんは、先ほどの何名かの方もそうですが、一人
当たり県民所得が低いといって大問題であるかのように言いますけれども、僕は全然そうは思っていません。イギリスやフランスよりも高いのです。これでいいじゃないかというのが僕の
意見です。それと、
失業率の高さ、これは問題ですけれども、
失業率という統計自体に疑問が少しありますので、その点からも検討が必要かなというふうに思っています。
これの六ページに、
沖縄経済新法の制定に関する
意見を書いておきましたけれども、これは
経済新法という形で、知事の選挙公約からスタートしたと思いますけれども、新しい
法律をつくる必要性というのがあるのかというふうにまず考えました。
一つは、従来の
特別措置法がありますから、これの改正で済むのじゃないかというのが基本的に僕が考えたことです。そして、県が新法を要求する根拠として、民間主導による
自立型
経済の構築のために新法が必要だ、こういう議論があったわけですが、これは本末転倒だ。民間主導による
自立型
経済の構築ならば、民間でやればいい。そして、国や県はそれを応援すればいい。何も特別立法が必要という論理にはならないのじゃないか。
ただ、
一つ、新法が必要だと僕が考えたのは、
跡地利用のことです。これはもうそのままではできません。特に普天間
基地を考えれば、これが
返還されたら、時間も相当かかるでしょうし、大変な問題になるんじゃないかというふうに思っています。ですから、このことについて何か新しい規定が出されるならば、新法という形態もいいのじゃないかというのが僕の
意見でした。
しかし、この
法案を見ますと、それについては、先ほど言いましたように、具体性が全然ありません。これについての僕の
意見は、このページの十行目あたりから書いてあります。詳しくは
最後に載せてある、僕の著書からのコピーなんですけれども、九八年に出した本に、
跡地利用についての考え方を書いてあります。
どういうことかといいますと、この文章を読みながら行きますが、
跡地利用は、本来、地主の仕事であるが、
実態からして地主にはできないと考えられます。それなら、地主は、自分たちはできないから、行政にそれを頼むという手順が必要である。それを受けて、特殊法人をつくって、あるいは既存の法人を使ってもいいですが、そこがすべての
返還跡地を買い上げるということを考えたらどうかと思っています。代金は地料の二十倍程度、つまり相場で買うということです。それならば地主も反対しないだろうということ。
それで、地主一人一人の地籍は解明しない。これをつくるのにまた数年かかると思います。こういうことはもうやらぬ方がいい。すべてこれまでの軍用地料を基準に、金額に換算して、お金を受け取って、個々の土地への権利を放棄してもらう。
特殊法人は、前もって
計画を立てておくから、
返還されたらすぐに
事業を始め、道路を引き、公園、緑地を設定し、公共施設用地を準備し、商業地も用意して、商業地は周辺のことを考えれば普天間
跡地にまたでっかいショッピングセンターをつくっちゃだめだというふうに思いますが、できることなら農地とか工業用地も用意して、残りを住宅として造成する。その上で、必要な人や団体にその土地を売る。土地を売り戻すときに、旧地主を優先することは考えてもいいと思います。
僕がこの
沖縄経済について基本的に思っていることは、軍用地料が高い水準になり過ぎた。簡単に言いますと、これも新聞記事を入れておきましたけれども、この十年間、まず物価は横ばいから少し落ちてきました。地価は十年前から落ち続けているんです。その中で、軍用地料だけが年率五%も上がっていくというこの異常さは是正しなくちゃいかぬというふうに思っていますが、そういうふうに引き上げられてきた軍用地料が周辺の
地域社会に大きな影響を与えているというふうに認識しています。
そういう高い軍用地料が原因で、特殊法人がみんなから軍用地料並みで買ってまた売り戻すという
事業をするときに、この法人は絶対赤字になる。ですけれども、このギャップを招いたのは
政府の
責任ですから、その特殊法人の赤字は
政府が負担する、こういうふうにすべきではないかというふうに思っているわけです。
沖縄の
特別措置の補助率の部分とか、個別には細かく検討しなくちゃいかぬことはありますけれども、一応、総論的には以上のことを述べたいと思います。(
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