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国務大臣(
塩川正十郎君) 私に対する
質問は非常に多様にわたっておりましたので、
質問漏れないように心してお答えいたしたいと思っておりますが、もし漏れましたら、また注意をしていただいて結構であります。
物の見方というのは裏表ありますが、
野党の方から見るとあのような
質問になるのかなと思うて聞いておりました。
まず最初に、まず第一問は、
申告分離課税への一本化が
経済に
悪影響を及ぼすのであれば、なぜ
景気の
悪化が懸念されるこの時期に
法改正を行うのかということでございました。
この件につきましては、もう既に二、三年前から
議論が与
野党との間にございました。そこで、昨年の暮れでございましたが、
税制改正のときに
申告分離課税を二年間残そうということは、これは
与党も
野党の方も
意見はございました。そのときの
意見といたしましては、この
分離課税を
廃止すると株の売買の実績がうんと落ちてしまうから残しておけということでございましたが、今日、経過いたしましてその
状況を見ました場合に、逆に
分離課税をやってもふえておらないということは事実として上がってまいりました。それよりも
損失繰越控除制を
導入してほしいというのが
一般投資家の声でございましたので、今回、一本化をすると同時に
損失繰越制度を
導入することによって一層の
株価刺激を図った、こういうことでございますので、御了解いただきたいと存じます。
二番目の問題は、
申告分離課税に一本化し
税率を二〇%にするということは、以前から
民主党が
主張しておったことであり、
民主党案に基づいてやったのではないかと。
野党の案でもよい案は
政府としてもきちんと
議論すべきではないかと。
この
趣旨を生かして、やはり
政府としても二〇%いいなということでやった。さらにもう
一つ、
特例措置として一〇%下げると。いいことをやっているんですから、ここはやっぱり評価してもらわないかぬと思うのでございまして、私はかたくなな気持ちは持っておりません。
野党でもいい案があったらどんどんおっしゃっていただきたい。そこに議会が生きてくる道があるのでございますから、
意見があれば言っていただきたい。かたくなにおれが言ったのを横取りする、けしからぬ、そういう小さい根性ではいきませんから、どうぞよろしくお願いいたします。
三番目の問題、現在の
景気悪化は
構造改革の進展に伴うものなのか、
構造改革が進展していないためのものなのか、
景気の
悪化はどうなのかということでございまして、私
たちは、
考えてみますと、十数年の間必死になって
補正予算を組んで、そして
景気の浮揚をやってまいりました。その間に少しの
補正予算を
公共事業に投入すると一%ぐらい
GDPが上がる。ちょこっとこう、こういう波をくぐってきた。そして、絶えずそういう
刺激剤を、いわゆる
カンフル注射を打っては
景気を上げ、そしてまた落ち込む、この繰り返しをしてまいりましたので、十数年続いてまいりましたがため
体力が弱ってしまっておる、この上げたり下げたり上げたり下げたりで。
このことは、この
根本原因はどこにあるかということになりますと、やっぱり
高度経済成長時代の
制度を変えなければ、ここは、安定成長したいわば
景気下降時代に入ってきた、そういう
経済体制がグローバリゼーションから来ておるのに、それを一時的な
措置で繰り返しておって
体力を消耗してきた。この際、
構造を変えようではないかというのが今回の
小泉内閣の
主張でございます。
それじゃ、
構造を変えるのに、ようかんをかみそりで切ったように、あしたからようなるんだ、そんなことはありません。やはり
法律を変えなきゃなりませんし、時間がかかります。今、
構造改革の進行中でございますので、それをしばらく冷静にやっぱり協力をしてもらわないかぬ。
タクシーの話が出ました。私はあれを
一つの例としたんです。
構造改革をするということは、
痛みの出る人もあるということを言いました。けれども、
国民全体にとってはいい。
タクシーの
運転手さんにとっては非常につらいことです、これは私
たちもよくわかります。また、
経営者にとっては、
タクシーの
経営者にとってもつらいことだろう。しかし、
一般国民、多くの
方々は、これによって
タクシーはサービスようなった、乗ったときこんにちはとは言わぬけれども、おりるときにありがとうございましたと言いますから、これだけでも変わってきた。こういうことが
構造改革なんです。
一つ一つをつかまえて、これを点検せずにおっしゃるのはどうかと思います。
それから、今回、
緊急投資優遇措置をいたしました。二年間保有していただいたならば、
平成十七年以降十九年末までの間でお売りになっても、その
利益に対しては
課税しませんという
措置を講じました。
これは、私は、
一つの、
証券に対する
国民の関心を持っていただくために、そして、
間接金融から直接
金融への道を開きたいと思いましてこういうことを
措置いたしたのでございまして、そのことはどのような成果があるかわかりません。しかしながら、こういう
改革をすることによって、やっぱり新しい
刺激が生まれ、そしてまた
構造全体、いわゆる
証券に対する
考え方も変わってくる、いい結果が必ず出てくると思っておりますし、これによって、やはり私は、
国民の
貯蓄のあり方、そして
資産構成の
考え方、今まで土地ばかりに頼っておった
資産ではなくて、
証券にも
投資していこうという、そういう機運が生まれてくること、それを望んでおることでございます。
以上、五つございましたので、お答え申し上げた次第です。(
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〔
国務大臣柳澤伯夫君登壇、
拍手〕