○田嶋陽子君 何でもいろんな要因が絡み合っているとか、そういうことを一般化してしまうと問題が見えなくなるというふうに思うんですね。
具体的にいきます。
法務省の矯正
保護審議会が十二年十一月にまとめた提言、「二十一世紀における矯正運営及び更生
保護の在り方について」、ここで少年矯正のあり方についていろいろ述べられていますけれ
ども、私から言っちゃいましょうか。言ってくださいますか、そちらで。どんなことを具体的にやっていらっしゃるのか、
一つ一つをお
伺いして。でも、時間がないですね。私のところにあるので言っちゃっていいですか。それが間違っていたら、言ってください。
まず、どういうことが挙げてあるかというと、社会的スキルを学ばせ、行動のレパートリーを広げさせるための
訓練、これは職業
訓練でいいですよね、大体が。それから、カウンセリングや感受性
訓練を実施。カウンセリングは大体見当がつくとして、感受性
訓練ってよくわからないですよね。これはクエスチョン。
それから、少年院では以前から、
犯罪被害者の視点でみずからの非行を見詰めさせたり、
犯罪被害者の問題を一般化して考えさせたりする指導を行っている。これは、要するに、
犯罪を犯した人が自分が犯した相手の視点で自分の非行を見詰めさせるんですよね。だから、これは被害者の立場に立って物を見させるという
訓練です。
それからもう
一つは、最近では、被害者及びその家族などに謝罪する気持ちを育てることに主眼を置いた贖罪教育というのをやっているんです。すごいですよね。だから、これは、被害を及ぼした他人だとか自分の親に、ごめんなさい、申しわけございませんでしたという思いを抱かせるための教育ですよね。
それから次が、内観療法というのがありました。これはちょっとよくわからないんですが。その次には、ロールレタリングなどを使いと。これは、自分と親などの役割を交代しながら手紙を書くことで自分とは別の立場になって考える姿勢を身につけさせる。
すなわち、私がここでわかることは、ここからわかることは、まず職業
訓練、外に出てからのこと、それから、全部、対相手とのことです。被害者のことを済まないと思いませんか、親に迷惑をかけて済まないと思いなさい、社会に迷惑をかけたことを済まないと思いませんか、こういう教育ですよね。そして、ここにある内観療法というのがよくわからない。カウンセリングというのもちょこちょこっと入っている。感受性
訓練とか、よくわからないんですが、これは一体何かわからないですけれ
ども。
私は、これでは再犯はなくならないと思います。そして、これではその罪を犯した子供たちは再生しない、更生しないと思います。なぜなら、罪を犯した人、その人たちの心のケア、本物の
意味での心のケアが何もなされていないからですね。
例えば、アリゾナ州にアミティーという
施設があります。そこでは、
犯罪を犯した人のさまざまな依存症を抱える人たちが治療共同体をつくっている。アミティーというのは友達、友愛という
意味ですけれ
ども、そこではどういうことを言っているかというと、まず、
犯罪を犯した人、加害者、その人が実は自分がもとは被害者だったということ。親に虐待されたり、殴られたり、言葉の暴力を受けたり、それからレイプされたり、親にですね。そういう被害者だったということ。それから、先生にののしられたり、殴られたり、いじめられたり、そういう被害者だったという。もう忘れたい事実ときちんと向き合う作業をやってから初めて相手に対しての思いが生まれると、こういうことを言っているんですね。
でも、
日本の場合は逆で、その被害者の心の傷を、さっき
大臣がトラウマとおっしゃった、それをいやす前にごめんなさいを言う練習をさせている、世間に対して申しわけないと言わせる練習をさせている。これをやっていったら、再犯はやまないと思うんですね。
私は、
犯罪者がかつては被害者であったというその痛みに気づくこと、痛みを自覚して、そして一番大事なことは、それを意見として言わせることじゃなくて、実はある方法によって、リエバリュエーションカウンセリングと、私なんかはそう言って自分が大学の教師だったときに教室にも取り入れていることですけれ
ども、自己再評価カウンセリングと言うんですね、それをやることによって、そのつらかった、隠ぺいしてある感情を表に吐き出させる。吐き出させることによって、体が軽くなる。
だから、さっきちょっと言いましたけれ
ども、胃が痛い人に対して、胃が痛いときに暴れ回ってほかの人を殴ったりしたときに、胃が痛いのに、ごめんなさいと言いなさいと言ったって言えないんですね、死にたいぐらい痛いんですから。そうしたら、まず、胃を治してあげる。そうしたら初めて胃の痛かった人は、さっきごめんね、胃が痛かったからあんな暴れちゃったけどと謝れるという、そういう論法ですね。
でも、私が聞いた話もそうですけれ
ども、ここにもあるように、要するに、先に謝らせることを学ばせているというこの方法は違うんじゃないか。すなわち、
日本の少年あるいは
犯罪を犯した人たちを更生させる方法は、もしかしたら昔からずっと同じ方法でやっていて、相変わらずごめんなさいを言わせるための方法なんじゃないか。ずっとそういうことに疑問を持っています。
そして、例えば、
犯罪を犯さなくなるときというのは、この
犯罪を犯した人たちというのは、死んじまえと言われたり殴られたりすることは自尊感情が、自分をとうとぶ感情が非常に低くなっているわけですから、その自尊感情を取り戻させてやるわけですよね。そういうことをしないと、ああ、自分は
犯罪を犯してしまった悪い子なんだ、悪いことなんだ、ごめんなさい、ごめんなさい、自分が悪かったんだ、そのままで社会へ出ていくと、トラウマはそのままですから、また胃が痛くなるわけですよね。体の中で暴れるわけですよね。そうやって再犯を犯していくと思います。
私が今お話ししたようなRCの方法というもの、自己再評価カウンセリングみたいなものはもう考えていらっしゃるんでしょうか、それともそのことに関しては全く無関心でいらっしゃるんでしょうか、お
伺いしたいと思います。