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2001-12-05 第153回国会 参議院 財政金融委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十三年十二月五日(水曜日)    午後零時三十分開会     ─────────────    委員異動  十二月四日     辞任         補欠選任      浅尾慶一郎君     勝木 健司君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山下洲夫君     理 事                 入澤  肇君                 林  芳正君                 若林 正俊君                 円 より子君                 山本  保君     委 員                 上杉 光弘君                 尾辻 秀久君                 金田 勝年君                 鴻池 祥肇君                 坂野 重信君                 清水 達雄君                 中島 啓雄君                 溝手 顕正君                 山下 英利君                 大塚 耕平君                 勝木 健司君                 櫻井  充君                 峰崎 直樹君                 浜田卓二郎君                 池田 幹幸君                 大門実紀史君                 大渕 絹子君                 平野 達男君                 椎名 素夫君    事務局側        常任委員会専門        員        石田 祐幸君    参考人        明海大学経済学        部教授      高月 昭年君        弁護士      村松 謙一君        メリルリンチ日        本証券調査部シ        ニア アナリス        ト        山田 能伸君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○金融機能再生のための緊急措置に関する法律  の一部を改正する法律案衆議院提出)     ─────────────
  2. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨四日、浅尾慶一郎君が委員を辞任され、その補欠として勝木健司君が選任されました。     ─────────────
  3. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  金融機能再生のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会参考人として明海大学経済学部教授高月昭年君、弁護士村松謙一君及びメリルリンチ日本証券調査部シニアアナリスト山田能伸君の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 金融機能再生のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人皆様にごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ、本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。  参考人方々から忌憚のない御意見を承りまして今後の審査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  本日の議事の進め方でございますが、まず、高月参考人村松参考人山田参考人の順序で、お一人十分程度でそれぞれ御意見をお述べいただき、その後、委員質疑にお答えを願いたいと存じます。  また、御発言の際はその都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきいただきたいと思います。  なお、参考人意見陳述、各委員からの質疑及びこれに対する答弁とも、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず高月参考人からお願いいたします。高月参考人
  6. 高月昭年

    参考人高月昭年君) 明海大学高月でございます。  本日は、こういう席に招かれまして、発言機会を与えていただきまして、どうもありがとうございます。  私は、九九年の四月から現在の職に移っておりますけれども、それまではさくら銀行におりました。さくら銀行の中でも、八五年からやめる前までの十四年間はずっと調査部門におりまして、さらにその調査部門の中も前半と後半を分けますと、前半はニューヨークにおりまして、アメリカ金融制度改革あるいは不良債権の問題なんかを見てまいりまして、今度帰ってきましたら、日本でビッグバンとか不良債権とか、そういう問題が発生いたしまして、同じような形で日本金融制度改革あるいは不良債権問題なんかにかかわってまいりました。銀行をやめまして大学の方に移ってからも同じようなことをやっておりますので、かれこれ、不良債権の問題につきましては、もう十五、六年不良債権問題とつき合っておるという、そういう人間でございます。  本日は、そういう大学人間として、あるいは銀行に働いていたときの経験、知識等をもとにいたしまして、日本不良債権問題の現状あるいはどういう形でこれを解決をしていくべきか、そういうことについて私の所見を述べさせていただきます。  それにあわせて、今、法案が出ておりますけれどもRCC機能強化、この法案の意義あるいは問題点等について意見を述べさせていただきます。  お手元にこういう配付資料が、私の方からお配りしているのがございますけれども、これは、本日お話ししようと思っておりますことは、そのうちの最初の一ページ目、二ページ目の二枚にまとめてございます。三ページ以降は、私の発言を補足、補強するようなデータでありますとか、時間の関係で十分お話しできないようなところを少しまとめておりますので、後でお目通しいただければ幸いでございます。  では、早速本論の方に入ってまいりますけれども御存じのとおり、不良債権というのが一向に処理が進まない。大体、年によって多少の数字のぶれはありますけれども銀行界全体で三十兆円ぐらいの不良債権があります。これに対して、信用金庫、信用組合などの協同組織金融機関という、そこの不良債権を乗っけますと四十兆円ぐらい、トータル四十兆円前後で、この数字はもう過去数年間全く変わっていないという状態でございます。  なぜ変わらないのか、銀行不良債権処理をサボっておるのかということでございますけれども、そういうことではございません。銀行は非常に力を入れて不良債権処理を進めております。実際に、銀行の本来的な稼ぎであります業務純益のほとんどすべてを不良債権処理のために費やし、それでも足りないということで、株も売って売却益を捻出して処理に充てていると。にもかかわらず減らないということは、それを上回るぐらいの勢いで新規不良債権が発生しているということにほかなりません。  ですから、毎年処理する部分新規に発生する部分がちょうどバランスがとれているというのがこれまでの状態でございまして、いわば三十兆ないしは四十兆という積み上がっている、これまでに蓄積された不良債権処理までにはとても手が回らないと、これが実情でございます。  この状態がずっといつまで続くのかということですけれども、まだバランスがとれているので、横並びで、横並びといいますか、前年同期と同じぐらいの水準でずっと横ばっていけばまだ幸いということでございまして、最近はむしろこれがふえる傾向にあります。  といいますのは、やっぱり景気が悪い、不良債権が少しふえてきている、他方で株価が御存じのとおりでございますから、株を売って利益を捻出するということも難しくなっておりますので処理能力が落ちていると。ですから、ほっておきますと、むしろこのバランスが崩れて、積み上がってきた不良債権がじわじわとふえていくんではないかなと。ちょうどそういう極めて危険な入り口に我々は立たされているんではないかなというふうに認識しております。  では、打つ手がないのかと、そういうことはございません。私の見立てでは、この不良債権問題は、その気になればもう瞬間的に片づきます。瞬時に片づくと言っていいと思います。では、どうやって片づけるのかということですけれども、これは銀行が持っています株式をもう取り崩して、減資してやっていくしかないんではないか。  例えば、都市銀行のケースでございますけれども銀行が持っています資本勘定に対して不良債権、この不良債権のうち貸倒引当金を除いた部分、ネットの不良債権で見ますと四〇%ぐらいです。もちろん、この四〇%のすべてが損失ということではございませんから、実損が出るのがそのうちさらに半分ぐらいだとしますと、恐らく資本勘定の二、三〇%のものを取り崩せば瞬間的に解決するんではないかなというふうに見ております。  なぜ、じゃ銀行がそこまで踏み出さないのかということでございますけれども、それは、資本勘定を取り崩していきますと自己資本比率が低下してまいります。そうしますと、早期是正措置でありますとか、あるいはBIS基準関係海外業務から撤退しなければならないとか、銀行経営上いろいろな問題が発生してまいります。  ですから、例えば私が銀行経営者であって、あるいは皆様方銀行経営者であったといたしましても、そこまで踏み込まないというのが経営者としてはごく自然だと思います。しかしながら、踏み込まないと処理はできない。ですから、経営者に任せておいてはもはや処理はできない。しかしながら、そこに経営者をもう一歩、背中を押すといいますか、資本まで取り崩せという、そういう枠組みをつくっていけばそれほど難しい問題ではないんではないかなというふうに見ております。  ですから、政策的に今一番足りないのは、やはり銀行経営者がちゅうちょしている、そこのあと一歩を踏み出せという、背中を押してあげるような政策が欠けているんではないかなというふうに思っております。ですから、もしその背中を押すような政策をやりますと、それほど難しい話ではないんですけれども資本を取り崩すというのは、これは一方で劇薬を飲むような話でございますから、もちろんいろんな弊害も予想されます。例えば貸し渋りの問題なんかも発生します。ですから、それに対する対応策というのも十分考慮する必要がありますし、それは十分可能でございます。  例えば、貸し渋りに対して最も有効な対応は、新規の貸し出しをだれかが買い上げて市場で売却していくというやり方でございまして、これは一九三〇年代のアメリカの大恐慌のときのアメリカが取り入れた、やっていった策でございますけれども銀行自分で抱えると自己資本比率が悪くなるということで嫌がるわけですけれども、だれかが買い上げてあげる。そのときに、銀行が少しさやをとれるようにしてあげればいいわけであります。  今回のRCC改正案ということで見てまいりますと、そういう健全な債権ではありませんで不良債権の方を買い取ろうと。ですから、ちょっとそこは私の見立てとは違うんですけれども銀行に多様な処理策を与えるという意味では、これは非常に評価できると思います。  しかしながら、売るかどうかという問題があります。売れば損が出るわけです。損が出る限り銀行は売りません。ですから、損を処理できれば売ると思いますけれども、その損を処理するためには、やはりもう経常な利益では回っていかない、資本の取り崩しとか、そういうところまで迫られてきているという状況でございますから、やはり最初に申し上げましたような資本の取り崩し等まで念頭に置いた策を練らないと、売れば買ってあげますよという、それを待っているだけではなかなか機能しないんではないかな、不良債権処理も進まないんではないかなというふうに思っております。  ですから、もう一歩何か一つあと一つ欲しいなというのが今回の法案に対する私の最後の感想でございます。  どうもありがとうございました。
  7. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) ありがとうございました。  次に、村松参考人にお願いいたします。村松参考人
  8. 村松謙一

    参考人村松謙一君) 弁護士村松です。  私は、東京弁護士会の所属の弁護士で、東京弁護士会、約四千五百人ほどの先生方が実在されています。そこでの研究会倒産法、いわゆる不良債権処理対極にある会社側並びに債権者側関係での勉強会研究会、約二百五十名の部員がおります。そこの昨年副部長をさせていただきまして、ことし、私的整理自主再建という部会の今、部長をしております。  私がきょうここに呼ばれた趣旨は、現実問題、要するに不良債権早期処理に対して、片方においてその被害をこうむっていらっしゃる多くの債権者方々と、同時に多くの債務者方々がいらっしゃる。その方々が現実にどのような目に遭っているかということを簡単に御説明申し上げるとともに、私の資料の中には、帝国データというところでお借りしました帝国ニュース、三年ほどずっとやっておりますが、特にRCC、こちらの側での対応のまずさもありますし、よき面もあります。そのRCCのいわゆる木を見て森を見ずというような対応について、我々の方でじくじたるものもありますので、それを一言申し上げると同時に、日本弁護士連合会でこの倒産事件の増加に対して対処するという方向で、我々、若手の先生並びに倒産事件に詳しくない先生方に対して幾つかの講義並びに講演をしています。その辺の弁護士会での講演録参考資料としておつけしました。  特に、不良債権早期処理について、非常に逆の意味では被害をこうむっている倒産事件が激増しております。その対極痛みを伴う、この痛みを伴う対極には間違いなく死があります。いわゆる御存じのとおり、自殺者が何と三年連続で三万人を超えているという現状はもはや論をまたないところです。中に、リストラ、不良債権処理に当たっての倒産、これらに基づいて貴重な命を亡くされた方々が三千六百人から四千人います。こうやって皆さんと議論をしているこの数時間の間にも、とうとい命が一人亡くなっている計算です。  この三万人、もしくは倒産不良債権処理の犠牲において亡くなっている方々が三千人、四千人の中に、さらにその御家族を入れますとその四倍から五倍、約一万人から四万人、その方々がいわゆる路頭に迷う、もしくはあしたの生活に困ってしまうという方々が実際いらっしゃいます。特に、経営者自分のまいた種ですから多少は我慢もできるかと思いますが、その御家族、奥さん、無理心中というのが最近はやっています。それから、少年事件が異常にふえております。小さいお子さんが、きょうお父ちゃんどこ行くの、ウイークリーマンションどこを探すのとか、小さい縫いぐるみを持って夜中に出ていく姿を我々何度も目撃しています。と同時に、離婚も相当な数でふえています。片や、早期処理に伴う被害の数そのものは、経済的な金額だけでははかり知れない家庭の崩壊ももたらしていることも事実です。  ですから、そういった被害の問題、それから自死、特に自殺について、それを食いとめるべき我々弁護士会でも何とか働きかけております。そういったことをきょうここで御説明をすると同時に、時間そのものは限られていますが、若干説明したいと思います。  特に、失業者方々がふえていることはもう皆さん御存じだと思います。今現在、一万六千件以上の法的な形での倒産事件が起こっております、破産も含めまして。これに対して、夜逃げ、いわゆる形にあらわれない事件数をとりますと約十倍、約十六万件が実際会社をつぶしている。その十六万件の中には、御家族、もし従業員約三十名平均の会社が十六万件なくなったとしますと、実に五十万の方々路頭に迷うわけです。ただ、再就職が四割ほどされているという統計がありますと、必然的に大体三十万人の方々が結局はまだ飯を食えない状態にある。それが失業率の何%かということで底上げになってきます。  でも、これらの方々が次に職を探してもなかなか見つからない。というのは、現状において会社がないからです。その会社について、なぜないかということに対しては、片方においては、金融機関がどんどんどんどん追い詰めて会社をつぶしている現状があります。金融機関方々も、今、取引先を助けるところまでは全く至っていません。  私どもが最近経験した中には、金融機関社長生命保険を掛けさせるわけです。生命保険を掛けさせまして、それに質権を設定する。その質権に対して、社長に対して過酷な要求をつける。社長は行き詰まると自殺を考えるわけです。最近、心ある判事が、ことしの初めですか、東京高裁で、自殺をしても公序良俗に反する場合は生命保険は出ませんよという判決を出しました。ですから、ある意味では、経営者方々自殺そのものを、抑止力というか食いとめる力は多少あるかと思いますが、それでも、我々が関与する金融機関は、まだ布団をはいでいく、まだ食事を、三度の食事を二度にしろと、はっきりそういうふうに申しているんです。  特に、皆さんにとって一番大事なものは何かというと、やっぱり生きていくことだと思う。生きていくにはどうしてもやっぱり食っていかなきゃいけない、食べなければならない。食べるためにはどうしてもお金が要るんです。皆さんもきょう何がしかの食事をされていると思いますが。ところが、倒産している社長さんたちというのは、お金そのものも全くないんです。子供たちお金を与えようと思っても与えられない。ですから、四十年前、五十年前、もう随分昔ですと、ある学校にお弁当を持ってこれないような子供たちがいたり修学旅行に行けない子供たちがいた。ところが、この最近に当たっても、また学校授業料が払えないような子供も出てきている。ある高校の先生校長先生に聞くと、それが随分ふえている。  そういったことに対して、金融機関に対して我々は執拗に、再建に対して、いわゆる自主再建ですけれども求める。  最近、御存じのとおり、我々、マイカルという会社の、我々は会社更生法側でおりましたけれども、途中で私ども、もう当初から解任されましたのでその後は別の先生がやっておりますが、いわゆる法的手続会社更生法並びに民事再生法、こういった形で会社再建すると同時に、ところが、対極にあるRCCさんが必ずや足を引っ張っていく現状もあります。国ですから免除なんかできない、国民の税金ですから我々には多目に払えと。  もっとひどいのは、ある意味では会社がほとんどない、もう全く土地が少しあって資産がない。それに対して四十五億の裁判を起こす。それに対して一千百万円の印紙を払う、一円もとれない。でも、やはりこういったことは私どもとしては無益なもの、もしくはむだなものだと思って、RCCさんにやめなさいとは言っていますが、なかなかそれができない。そういったことを、きょう、今後、質問があれば、またいろいろと説明していきたいと思います。  以上、時間ですから、よろしくお願いします。
  9. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) ありがとうございました。  次に、山田参考人にお願いいたします。山田参考人
  10. 山田能伸

    参考人山田能伸君) メリルリンチ日本証券山田と申します。  きょうは、市場関係者がこういうところで発言する機会は大変少ないと思いますので、市場見方をお伝えしたいと思います。  御存じのとおり、日本経済、これは全世界的に同じですけれども市場動きがその国の経済を決してしまうというのは確かな動きになっております。じゃ、今、市場日本金融システムについて何を思っているか、それから、政治行政あるいは銀行経営者について何を思っているかについて、簡単に御説明申し上げたいというふうに思います。  この一枚紙ですね、先生方から比べると非常に少ないですが、一枚紙で御説明していきたいというふうに思うんですが、最初からちょっと非常に刺激的なことを申し上げますけれども市場コンセンサス、つまり多数派意見は、このままだと日本は崩壊する、日本はもたないという意見が大半であります。  どういうことかというと、その不良債権処理部分もありますけれども不良債権デフレ経済が相互に影響し合って、このまま、ちょうど格付機関日本国債格付を下げておりますけれども、そういう出口が見えない閉塞感の強いところで日本という国はどうなっていくんだろうと、こういうことであります。  私は、外資系証券会社ですから、お客さんの三分の二は外国人投資家でありますが、外国人投資家日本を見る目は極めて冷ややかであります。彼らが日本に投資しようとする気は今ほとんどありません。どんなそのサーベイを見ても大変低い割合になっているということであります。  さて、今の政府の改革先行プログラム、これ市場から見た骨格ってどういうことかというと、意外と、非常にその不良債権問題というのはこじれてわかりづらいんですけれども、私が見るところだと非常に単純化されておりまして、不良債権問題を実は三分割して考えているというふうに考えます。  御存じのとおり、不良債権といいますか、銀行資産分類というのは、上から正常先要注意先、それから破綻懸念以下と大ざっぱに三つに分かれるんですけれども、今の先行プログラムというのは、破綻懸念以下については最終処理あるいはこの最終処理の促進にRCC機能強化を加えると、こういうことだと思います。それから、大口要注意先については特別検査を加えていく。特別検査の結果破綻懸念以下に落ちたら、これは最終処理をしなさいと、こういうことでしょう。それから、中小企業を中心とする小口要注意先については、これは特別な方針は示されておりません。したがって、時間をかけた対応になる。それから、現在の破綻懸念以下の最終処理あるいは大口要注意先特別検査主要行でありまして、地銀は対象になっていないということであります。  こういう枠組みで今進められているのでありますけれども、現在の日本金融システムに関する市場見方はいろんな意見があります。したがって、ここでは多数意見少数意見ということで御紹介したいと思います。  まず、多数意見というのは、現在の状況というのは危機そのものであると。先ほど高月先生からお話があったとおり、幾らやっても不良債権が減らない。まして、デフレがさらに加速するという状況危機そのものではないかと。そして、公的資金の再注入なしに問題の解決は困難。それから、小口要注意先、今、時間をかけた対応になっている小口要注意先あるいは正常先の一部もいずれ景気が悪ければ劣化していくでしょうと。したがって、ここでは政治行政の果断な決断が必要であるということがマーケットのコンセンサスであります。  このコンセンサスからさらに進んで、極端な意見にいきますと、もう事ここに至っては、主要行を含めて全銀行国有化すべきだと、こういう意見もあります。  それで、少数意見の二というのは、これは実は私の個人的な意見なんですけれども不良債権問題を三つに分けた場合、破綻懸念以下については、私の持論でありますけれどもRCCに一括売却するぐらいにして、とにかく残高を減らす必要があるということだと思います。大口要注意先までであれば、銀行は今のところ自力解決可能だというふうに考えております。  市場見方あるいはこれまで世界各国金融危機のポイントなんですけれども、要するにアクションは早ければ早いほどいい。早くしない限り、金融システムに対するコストがますます膨れ上がっていく。つまり、例えば最終的に国有化にもしたどり着いた場合は、長銀や日債銀の国有化の費用というのはもう既に七兆円確定しています。そうやって考えると、これどんどん膨れ上がっていくんですね。早目に手を打たないと、日本国全体として損失がさらに広がるというのが今までの世界的な金融危機アメリカとか北欧で起こったことの答えかなというふうに思っています。  現在の銀行株はどういうふうになっているかというと、いろんな議論がありますけれども、要するに、先ほど村松先生からお話がありましたけれども、マイカルの経営破綻が大変大きかったです。マイカルというのは、要注意先に分類されて引き当てがなかったんですね。引き当てがなかったのに、銀行は、メーンバンクは、ある貸し出しを破綻の直前に膨らませて破綻してしまったと、マイカルは破綻したと。したがって、これによって銀行や当局への信認が大幅に低下しています。  この三十社問題と俗に言われておりますけれども、その見方というのは、その三十社という、よくわかりませんけれども、そういった大口の会社というのは、みんなマイカルと同じで、いずれ破綻するだろうというのがマーケットの実は見方であります。  ここに見るとおり、株価下落率、きょうも銀行株相当下がっていますけれども、マイカル破綻以降の下落率はこういうことで、銀行業に目立っているということです。  実は、これに対して銀行側は、実は実態的に自己資本を今期取り崩します。資本準備金の取り崩しというふうに言っておりますけれども銀行によってはこれまで営々と築いてきた準備金、法定準備金を取り崩して対応するということであります。よしんばこれ対応ができたとしても、来期以降本当に裸になってしまうわけですから、銀行は本当にちゃんとやっていけるんですかということであります。  外国人投資家から多い質問というのは、もうここにあるとおり、本当に現在を危機として認識していただいているんでしょうかと、それからもっとひどいのになると、国有化はいつですかとか、それから重要なのは、例えば大口要注意先再生する方法はあるんでしょうか、あるいは広い意味不良債権銀行から切り離す手段はないのか、そういう意味RCC機能は実は重要なんじゃないか、それから株式取得機構は有効に機能するか、こういう質問が最近多いということでございます。  次に、RCC機能拡充に対する私の考え方を申し上げますと、少なくとも破綻懸念以下の残高を激減させるために有効に活用すべきだと思います。景気の気持ちの部分、少なくとも破綻懸念以下がなくなる、あるいはゼロに近くなることによる気分、景気全体の気持ちの部分は随分違うのかなというふうに思います。  価格決定は、これは諸外国の例を参考にして、案件によって清算案件は清算価値、不動産の担保価値です。それから、キャッシュフローと言っていますけれども、収益を出している会社については割引現在価値ということで、実際に不良債権の流通価格がありますから、これを参考にすべきだというふうに思っています。  二次ロスの問題がよく言われますけれども、これは幾ら価格を精査に決定しても景気が悪い限り多分発生する、発生せざるを得ないというふうに思います。ただし、アメリカやスウェーデンの例を見ても、三年目以降は黒字化しております。先ほど申し上げた銀行国有化コストと比較すれば、けた違いに小さい額になると、こういうふうに考えています。仮にRCCが一兆円の不良債権を例えば一千億円で買い取った、ここで二割のロスが出ると二百億円のロスです。このロスと先ほど申し上げた長銀、日債銀の国有化コスト、もう既に確定しているだけで七兆円、もっとふえますけれども、これと比べると、国民経済全体あるいは納税者の本当の利益から見ればどちらの方が利益があるかという判断ができるんじゃないかというのが普通のいわゆる市場原理をもとにした見方であります。  それから、RCCについては、既に大口用サービサーはおりますけれどもRCCは多分小口案件に強みを出すんじゃないか、それから、担保が集約化されますから、流動化に有用じゃないかというふうに思っています。  当然、買い取り法も、常時買い取りをしたり、とにかく目先の問題を少なくしていく方策が必要なのかということでございます。  最後に、この問題に関連して、最近スウェーデンに行きまして取材をしてまいりました。スウェーデンは、九二年、九三年、銀行不良債権比率が二三%を超えて、四大銀行のうち二つまでが国有化されたと。大変な金融危機に遭った国でありますけれども、その九二年、九三年の状況というのは、国家全体が、とにかく金融危機というのは危急存亡のときであるということで、国が全体としてまとまっております。  それから、非常に印象的だったのは、こういう場でお話しするのもややそぐわないかもしれませんけれども、そのときの政治家とか大臣の先生に伺うと、不良債権問題を政争の具としない、つまり国全体の問題である、国が一致して考えようと、こういうようなものが大変強く印象に残っております。  結局、スウェーデンの金融危機解決したのは経済原理です。先ほど申し上げた本当に悪い銀行国有化、それからセキュラムという、これ日本RCCに相当する機関ですけれども、これを大変機能強化していったと。この税金を使うことに関して国民の理解があったということであります。税金を使うことによって将来の経済がよくなるという理解が進んだのはスウェーデンだったと、こういうことでございます。  以上です。
  11. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 入澤肇

    ○入澤肇君 大変ありがとうございました。  高月先生にまず御質問申し上げたいと思います。  今、先生の御説明の中で、資本の取り崩し、健全債権の流動化、公的資金の注入等に触れられましたけれども、大きく分けて、日本型の経営方式についての反省と、それからRCCを含めた私的処理も踏まえた処理システム、これについての言及があったわけでございますけれども。  まず、日本型の資本主義の一つの特徴として株式の持ち合いということがかなり言われているわけですね。先般、株式の取得機構についての法案が成立いたしました。この法律の中でも、銀行は自己資本の範囲内でのみ株式を保有できると、それ以上はだめだというふうな制限がかかったわけでございます。先生のお考えでは、その資本の取り崩し、減資を徹底的に進める、すぐできるんだという話でございますけれども、この自己資本の範囲を大幅に下回って、とにかく株式を一切持たないと、銀行は、そういうふうな方向に向かうべきだとお考えになっているかどうかということについて、まずお聞きしたいと思います。  第二点目は、今度のRCC法の今審議されている法案が通りますと、単なる回収から企業再生というふうな多様な手段をRCCが持つようになりますけれども処理システムとしてこのような方向、方法は有効かどうか、先生の御見解をお聞きしたいと思います。
  13. 高月昭年

    参考人高月昭年君) 二点御質問いただきました。  まず最初に、株の保有の問題でございますけれども、私は、銀行は一切株を持つべきではないというふうに考えております。ただし、株を持たないということは子会社が持てないということになります。ですから、それは例外的に、銀行が子会社として業務をやるにふさわしい企業の株はもちろん一〇〇%持っていいと。しかしながら、ただ投資として、あるいは持ち合いの関係で一般の企業の株を持つと、そういうことは認めるべきではないと思います。  それから二点目、RCC機能強化の中で再生まで踏み込めるかどうか、これは現状やむを得ずそういうところの政策を出してきたんだと思いますけれども、原理原則からいったら疑問だと思います。  何とならば、企業の再生をやっていくということは、やはり従来の取引関係等々を見ていくということが非常に重要になってまいりますから、取引を続けていた銀行を介してやっていくのが最も有効であると。一般に不良債権を売却するとき、アメリカでもよく売却していますけれども、売却するときの一番のねらいは、これはもうだめだと、この先は、回収じゃなくて、再建はもう無理だと、とにかく早く回収するんだというところに対して、どうしてもそれが従来の取引関係がある銀行が行くと、過去の問題いろいろあって、まあそう言わないでなんて出てくるものですから窓口をかえてしまうと。回収効率を上げるというところで売却するという効果が出ます。  ですから、売却をしておいて再生をするというのは、ある意味で矛盾です。ですから、ちょっとここは疑問ですけれども日本現状からはそういうやむを得ず非常手段として出たのかなというぐらいの理解はしております。
  14. 入澤肇

    ○入澤肇君 もう一つ、今、大学先生をやっておられるということでございますが、その前に金融機関におられたと。今回の不良債権がたまってしまった原因の一つに、各銀行審査部門の審査のあり方が一つ問題にならないかと思うんですけれども先生の目から見て審査部門の実力ですね、これはどういう評価をされておりますか。
  15. 高月昭年

    参考人高月昭年君) まず、なぜたまったかということですけれども、二つ理由があると思います。  一つは、ディスクロージャーの基準が非常に甘かったと。現在の基準になったのが九八年三月の決算からでございまして、それまではいろんな形で制約されておったと。ということで、銀行も当局も不良債権そのものをどこまで深刻かということに対して十分認識する材料を持っていなかったのではないかなというふうに考えます。  それから二番目として、今、先生の方から御指摘がありました審査部門の問題があると思います。  審査部門は、ちょっと銀行の悪口みたいになりますけれども、過去のトレンドを見て、過去こうだったから、この先、こうではないかなというふうな判断をしがちです。非常にデフレみたいな感じになってくるとか、バブルがはじけて従来右肩上がりだったものが右肩下がりになったと、そういう中での審査というのはいわば銀行としては未知の領域で、おっしゃるように、十分なされていなかったということはあったのではないかなと思います。
  16. 入澤肇

    ○入澤肇君 次に、村松参考人にちょっとお伺いしたいと思います。  先ほど、RCCの回収方法につきまして、いろんな無理があるんじゃないかというふうなニュアンスのお話がございました。これをもしすぐできるのであれば、類型化して、どんなタイプ、どんなタイプというようなタイプ分けした御説明ができますか。
  17. 村松謙一

    参考人村松謙一君) RCCの回収については、ケース・バイ・ケースがありますから一概にすべて悪とは言い切れませんが、そもそも正常債権、それから要注意・要管理という分類があると思います。  しかし、私ども自身も、例えば今現在一兆円近いある会社債権を持っています。弁護士会でも、私どもの周囲の先生方に三兆円、五兆円はあるかと思います。あした会社更生を申し立てれば正常債権が全部実質上破綻になります。そういう意味では、ある意味では我々としては、できるだけ再建、しかも信用不安のない水面下で、皆さんにわからないような形で再建をする。  そのときにどうしてもRCCさんに、例えば新生銀行さん、あおぞらさん、移ったときに、先日も預金保険機構に行ってきましたけれども、やはり無理難題な返済計画を要求される。三年で返してくれ、五年で返してくれ。それは我々が水面下でやるときはどうしてもやっぱりもう少し長期になる。ですから、そのようなところでかみ合わなければRCCの方は強硬手段をとる、法的手続をとる。そうなりますと、こちらの方でそれをとられる前に会社更生を申し立てる。いろんな形が対象になる。それは、やはり国民不在、要するにRCCさんがいわゆる三年で返してくれというプライド、それから我々は特殊な機関だというおごり、これをもう少し我々レベルで、同属の形で話をさせていただかないと、もう本当に不良債権という問題をつくり上げるのは逆に言うと簡単です。  しかし、不良債権をどんどんどんどん要注意先、もっと言うと実質破綻先を我々はたくさん見ています。百社、二百社じゃありません。それを皆破綻させないように今正常に戻すようにしているのが私どもの仕事ですから、その辺ちょっと、RCCさんは破壊、要するに解体、いわゆる強制的に執行して回収する。我々は、会社をもとの形、病気から立ち直らせて元気な形にして、一〇〇%全部お返しする。放棄も一切しない。高木先生の言っている私的整理のガイドラインには一切当たらないで再建しようというのを目指していますから少し、RCCさんと我々の再建の仕方がちょっと違う。RCC再建ということは考えていない部分があります。  以上です。
  18. 入澤肇

    ○入澤肇君 今度の法律が通りますと、今おっしゃったようなことに加えまして、再建ということを念頭に置いた回収方式ということが実行されるようになると思うんですけれども、これについてはどうお考えですか。
  19. 村松謙一

    参考人村松謙一君) 先ほど高月先生がおっしゃられた、私も同感なんですが、今RCCさんに、再建を過去に経験して再建機能を持ったそういう方々が、人材ですが、果たしてどれだけいらっしゃるか。私どもは寝食も忘れて、ある会社に毎日毎日行って、その経営者とともに銀行さんに行って頭を下げたり、従業員と一緒に缶詰の中の骨を拾ったりしながら経営再建した。そのような人材また能力、それからアナリストの方々、果たしてどれだけ機能が充実できるか。  外国、特にアメリカのチャプターイレブン、これらは早期会社更生を申し立てます。そのときに彼らはファイナルアナリストさん、アナリストの方々と同時にリストレーター、いわゆる修復士、例えば日産のゴーンさんのように会社再建を指導できる方々を執行役員としてお迎えして、会社再建、破綻する前に早目に更生に持っていく。ですから、そういった方々RCCさんに相当人材が流用できれば我々もRCCに期待します。しかし、今の現状のメンバーの方々では、弁護士RCCの対立構造が非常に私どもの世界ではふえていますので、懸念しています。  以上です。
  20. 入澤肇

    ○入澤肇君 次に山田参考人にお伺いしますけれども、この委員会でも不良債権について流通市場を整備すべきじゃないかというふうな議論がございました。先生のお話の中で、不良債権処理を円滑に進めるために不良債権の流通市場を整備するとすればどういうふうな今問題があるか、どんな条件を整備すれば一つ市場ができるかについてお考えをお聞きしたいと思います。
  21. 山田能伸

    参考人山田能伸君) 流通市場の問題ですけれども、今の流通市場現状というのは、例えば債権元本に対して一〇%ぐらいの価格がつく、この価格を外資系を除いた専門の会社が例えば年率二〇%ぐらいの利率で回していこうとすると、こういうことなんです。  具体的に何をやっているかというと、基本的には現在、破綻懸念先以下の場合は企業再生よりも清算の方が多いですね。ですから、不動産価値をどうやって高めていくかということですね。ですから、いろんな複雑に絡み合った担保関係を整理するとか、そういう形によって売却していくと、こういうことだと思います。  本来、流通市場というのはもっと再建型、つまり現実に事業をしている会社、例えばアメリカでしたらチャプターイレブン向けの債権の流通市場というのがあるわけです。これは、例えば社債の価格とほぼ同じように、例えば元本に対して二〇%、三〇%で回っていることなんですね。多分、清算型の処理であれば今の形で特に大きな障害はないと思いますけれども再生型の処理の場合は、やっぱりその債権を移す場合の、例えばデューデリジェンスと言っていますけれども、情報開示の話とか、それから私は余り詳しくありませんけれども、法的な部分、会計的な部分、たくさん問題があると思います。  そういう意味においては、とにかく日本でも破綻した会社向け債権が移るような市場をつくっていくべきであると思いますし、その一つの手というのは、例えばDIPファイナンス、こういうようなものも必要かなというふうに思います。そういう問題を一つ一つつぶしていく必要があると思います。問題は、ただ、破綻懸念まで行った会社再生できる会社が何社あるかということだと思います。  以上です。
  22. 入澤肇

    ○入澤肇君 最後の質問です。  高月先生にもう一回お聞きしたいんですけれども公的資金を注入するに当たって、議決権のある普通株を買って、取得して注入したらどうかと、そういう意見もあるんですけれども、普通株を購入してまでも注入すべきだという意見に対してはどうお考えになりますか。
  23. 高月昭年

    参考人高月昭年君) 普通株の購入か優先株の購入かというそのあたりについては、特に公的資金の注入という観点からだけでは問題ないと思います。ただ、ちょっと別のところで、金融庁あたりで聞いたのは、国が一般企業の株を持つ、そのこと自体がどうなのかというような疑問は呈されておりました。しかしながら、銀行資本強化という観点からは別に普通株かどうかということは問題ではないと思います。
  24. 入澤肇

    ○入澤肇君 終わります。
  25. 櫻井充

    ○櫻井充君 貴重な御意見、本当にありがとうございました。  まず、高月先生にお伺いしたいんですが、先ほど、不良債権を一気に償却するためには自己資本というか、それを取り崩さなきゃいけないんだというお話があったかと思います。ただし、これまでの金融庁の言い分は、きちんとした引当金が積んであるから大丈夫だと。そうすると、本来であれば、不良債権を一気に償却したとしても自己資本を取り崩す必要性は全くないんだと思うんですよ。  ですから、先生の御認識は、十分な引き当てが積まれていないという上で発言されているのかどうか、まずその認識をお伺いさせていただきたいと思います。
  26. 高月昭年

    参考人高月昭年君) 恐らくその辺についてはいろんな人がいろんなことを言っておりますけれども、今現在で十分かどうかを判断するデータは私は持っていませんので、直接ちょっとお答えするのは難しいと思います。  ただ、現実の問題として、これから不良債権処理をどんどん進めていきますと、今現在十分だと思われたものであっても結果的に不足になっていくということは十分考えられます。ですから、瞬間的にといっても、一、二の三ということではございませんで、やっぱり半年とか一年とかかかるわけですから、そういう時間軸を置いてみたときにはやはり足りないんではないかなという認識は持っております。
  27. 櫻井充

    ○櫻井充君 大変聞きにくいことなんですけれども銀行にいらっしゃいまして、その銀行の中にいた方から見て、その債権の分類というんでしょうか、それが今まで本当に金融機関は適切に行っていたんでしょうか。
  28. 高月昭年

    参考人高月昭年君) お答えにくいし、私も調査部門で、そこに直接携わっているわけではないんですけれども、やはり人間でございますから、はっきり白、はっきり黒のものは別ですけれども、グレーのものを白か黒に振り分けるときはやはり白い方に入れるというのが人情かなという感じはいたします。  ちょっとはぐらかすようなお答えでごめんなさい。
  29. 櫻井充

    ○櫻井充君 済みません。申しわけないんですが、どうも我々、銀行を信用していないといいますか、そういうところもありますし、金融庁の話もどうも信用できないというところがあるものですから。  もう一つ、いただいた資料の中に、日経のことしの一月二十五日の「経済教室」を読ませていただきました。そこの中で、「不良債権最終処理を進めるうえで、重要なことの第一は、貸し渋りの防止である。」というお話がありまして、そこの中にアメリカの地域再投資法を取り上げていらっしゃいます。そして、こういうこの地域再投資法が中小企業の融資の促進など、地域社会の発展を支えているというふうに書かれておりまして、我々もそういう思いがあって前通常国会で一応提出したんですが、審議されないまま廃案になってしまいました。  そこの中で、柳澤大臣にこの手の法案はどうですかと言うと、いつも金融機関を規制する法律だからよくないんだという答弁しかいただけないんですが、こういうアメリカのCRAというのは果たして金融機関を規制するものなんでしょうか。我々はそのルールを決めているだけの意識なんですけれども、この辺についてどうお考えですか。
  30. 高月昭年

    参考人高月昭年君) CRAというのは、ある一定の地域で黒人の層が多いとか所得が低いとか、そういうところに対して銀行は非常に消極的である、融資が消極的であるという、そういう問題が一九六〇年代に発生しまして、それに対応するために、営業地域内においてあまねく広くできる貸し出しは全部やりなさい、それに対して当局がチェックする、それからもしそれが不十分である場合は一定の制裁も加えるという、そういう法律でございまして、この立法過程において、そんな余計な規制はおかしいとか銀行経営の自由に反するとか、いろんな議論はありました。しかしながら、現在の認識は、それは規制ではないというふうに考えられております。  なぜかといいますと、銀行というのは、一般企業では普通考えられないようないろいろな恩恵を受けております。例えば、経営危機に陥ったときに日本銀行からの融資が受けられるとか、あるいは預金保険によって保護されておるとか、そういうやや特殊なメリットを受けております。ですから、そのメリットを銀行がひとり占めするんではなくて、その範囲内で一部は世の中に還元しなさいという、そういう考え方で成り立っておりますので、規制とは私は認識していませんし、アメリカも規制という意識では動いていないと思います。
  31. 櫻井充

    ○櫻井充君 でき上がりは確かに人種差別とか、そういうところから始まったかと思いますが、クリントン政権でCRAが強化されたのは、これは地域に対してどういう形で融資をしていくかということなんだったろうと思うんですね。これはクリントン政権の目玉といいますか、それの一つであったように私は認識しているんですが、その辺の認識でよろしいんでしょうか。
  32. 高月昭年

    参考人高月昭年君) クリントン政権以前からこのCRAの問題は非常に広がっておりまして、クリントン政権は確かにおっしゃるようにCRAの問題にも手を入れましたけれども、むしろCRAとは別の形で、経済的に衰退した地域、そこの再開発のために連邦政府がいろいろ補助金をつけるとか、あるいは銀行に一定のインセンティブを与えて、銀行にその衰退した地域あるいは所得の低い人に対する融資を促すという、そういう策でございますので、認識がやや違うかなと。  要は、銀行にもっと衰退した地域あるいは所得の低い人たちをサポートする融資をしなさいと、そういう銀行のしりを押すときに、やり方として、一つは罰則を与えてでもやらせるぞという強制的な方法と、インセンティブを与えるというやり方で、CRAは罰則ということで強制的にやらせたやり方です。それは、さっき申し上げましたように規制ではないという認識でありまして、クリントンのときに出てきたのはむしろインセンティブを与えるという方式でございます。
  33. 櫻井充

    ○櫻井充君 ありがとうございました。  村松参考人にお伺いしたいんですが、取り組まれていることというのは僕は非常に大事なことなんだろうと思うんです。ただし、ある一方、企業が全部再生された際に産業の構造転換というか、それを図らなければいけないと、マクロで見たときにはそうなんだろうと思うんです。つまり、製造業で四十万人ぐらいの過剰雇用であったり、建設業で三十数万人過剰雇用ですから、そのことを考えてくると、一〇〇%再生させていくということがミクロで見れば大事なことなんだろうと思うんです。  我々も医者として、こういうことを言うと怒られるんですが、目の前の患者さんを助けていくということは非常に大事なことですが、そのかわり人口爆発を招いているというようなことと何となく似ているような感じがするんですが、そういう意味において、マクロ的に見た際に、一〇〇%再生し続けていかなければいけないとお考えなのかどうか、その辺について教えていただけますか。
  34. 村松謙一

    参考人村松謙一君) 今の御質問ですが、端的に言うと一〇〇%再建をし続けていかなければならないと思います。  なぜならば、やはり命にかかわるんです、すべてについて。同時に、僕らはもう十年前から、早くから、最近ワークシェアリングとかいう言葉がありますが、労働の分かち合い。例えば、十人しか乗れない船に二十人も乗っている。確かに、最近の傾向はそうです。しかし、それは体重を減らすなり、十人乗れる船をもう少しふやしたりすることは逆に皆さん、役人の方々の仕事の中にもあるかと思います。  特に最近、昔はバブル倒産といいました。社員がほとんどいない、負債だけが大きい会社。ところが、バブル倒産で何千億もの被害銀行がこうむる。そのあおりを食って金融機関は貸し渋りを始めました。その後、現在はもっとひどい、貸しはがしになっていますよ。その被害をこうむっているのが日本経済が抱えている小さな中小企業です。  ですから、構造の変革は確かに大事です。昔のようなものを売っていたらなかなか再建できません。ただし、やはり再建する筋道はありますし、また再建を目指さなければ、我々弁護士、特に社会正義と人権を擁護する我々としては何をもって会社を生かすかということにやはり使命感を持たなければ、日本弁護士先生方は一体何やっているんだと逆に怒られてしまいますので、まずは目指します。ただし、その方法論はまた別ですけれども。  以上です。
  35. 櫻井充

    ○櫻井充君 お気持ちはよくわかるんですけれども、ただ一方で、もう一つアメリカの破産法と日本は民事執行法でいいんでしょうか、比較。民事……
  36. 村松謙一

    参考人村松謙一君) 再生法ですね。
  37. 櫻井充

    ○櫻井充君 いや、そうじゃなくて、破産法というのは、その破産法によって個人の財産がかなり守られますよね。あれは民事執行法じゃないですか。
  38. 村松謙一

    参考人村松謙一君) 執行法です。
  39. 櫻井充

    ○櫻井充君 執行法ですね、それは。  ですから、アメリカの場合には、小さい規模だけれども、家も確保される、それから車も、それから預金も担保されるんです、保護されるんですよね。預金もといっても、四、五百万ぐらいだったかと思いますけれども。  それに引きかえ、日本の民事執行法を見てみると、たしか一月分の生活費で二十一万円だったか、そのぐらいだけが保護されて、あとはそのまま裸同然で出されてしまうという、私はある程度構造転換を図っていかなければいけないと思っているところもあるので、そういうところをもう少し強化して、大変申しわけないんだけれども、ある意味、社会構造の転換のために、もちろんあとは手に職をつけ直すために勉強するんであればイギリスのように無償で、無償でというか国が大半援助するような、そういうことを考えてもいいんじゃないかなというふうに思うんですが、その辺についていかがですか。
  40. 村松謙一

    参考人村松謙一君) 趣旨はよくわかります。  ただ、こういった議論をする場ではありませんので簡単に私の一言だけ申し上げますが、日本中小企業社長さんたちは土地、建物をすべて保証人にとられて、担保をとられています。会社がなくなりますとすべておしまいになります。  ただ、最近の民事再生法は、ある意味ではそういったものについても保護しようという動きが裁判所で出てきています。特に、会社更生法は本来なら経営者が交代します。それも将来、経営者が交代しないDIPファイ型の会社更生法を目指すというのが裁判所ですので、やはり構造改革とはまた別な形で中小企業方々に頑張ったら頑張っただけのものを残そうと、せめていわゆる強制執行、いわゆる執行の除外財産を残そうと。今でも家財道具は一切差し押さえ禁止されていますから、そういう意味での一縷の生命、生活の望みは与えてあげなければならない、その辺は今の先生のおっしゃることと我々同感だと思いますが、以上です。
  41. 櫻井充

    ○櫻井充君 ありがとうございました。  山田参考人にお伺いしたいんですが、RCC機能の拡充ということを書かれているんですが、今回の法案を見てくると、入札に参加できるとか、そういうことも盛り込まれているんですが、まずこの基本的に入札に参加するということに関してはどうお考えでしょうか。
  42. 山田能伸

    参考人山田能伸君) 例えば、入札の参加ということは民間サービサーとの競合、こういう議論になってくると思います。入札にどんな案件に参加するかということでありますが、多分民間サービサーが取り扱う案件というのは商業ベースに乗るもの、非常に大口の案件が多いと思いますね。したがって、そういう意味においては、その大口の案件については多分RCCと民間の間で競争が働くんだというふうに思います。ただ、それ以外の実はその民間サービサーの商業ベースに乗らない案件はたくさんありますから、それ以外の案件についてもRCCが積極的に関与をすべきではないかというふうに思っております。
  43. 櫻井充

    ○櫻井充君 その積極的な関与というのが、入札に参加することなんでしょうか。つまり、相対取引をもっと強化していくというか、そういう権限を与えていった方が本来はいいんじゃないかと思うんですけれども
  44. 山田能伸

    参考人山田能伸君) はい、そのとおりです。相対取引でそういう権限をもっと与えるべきだと思います。
  45. 櫻井充

    ○櫻井充君 ですから、その観点から考えると、入札に参加する必要性なんというのは全くないんじゃないかと思うんですけれども、もう一度改めてお伺いしたいんですが。
  46. 山田能伸

    参考人山田能伸君) 確かに、商業ベースに乗る案件であれば官が民を阻害する必要はないというふうに思います。ただ、すべての案件が商業ベースに乗るかということは疑問ですけれども、一般的に商業ベースで成立する案件について、入札を積極的にする必要はないというふうに思います。
  47. 櫻井充

    ○櫻井充君 それともう一つ大事な点は、金融機関から不良債権が出てくれば、確かにRCC機能強化して不良債権処理というのはどんどん進んでいくんだろうと思うんですけれども、結局、きのうも質疑をしている中で、やはり民民の取引であって、金融機関から不良債権が出てこないことが大きな問題なんだという話になっておりました。  そこで、今回のそのRCC機能強化機能の拡充でしょうか、そういうものを行うことによって不良債権処理がかなり進んでいくというふうにお考えなのかどうか、その点について教えていただきたいと思います。
  48. 山田能伸

    参考人山田能伸君) 多分、これは株の取得機構と大変似ていまして、強制させるかさせないかという問題も多分入ってくると思います。ただ、個人的には強制させるぐらいの形で、とにかく目に見えて不良債権の額を減らすべきだというふうに思っております。それがかなわないのであれば、やはり銀行背中を押して売らせる方法、あるいは売らせるようなインセンティブといってはおかしいですけれども、具体的な仕組みの部分で工夫すべき点は残っているというふうに思います。
  49. 櫻井充

    ○櫻井充君 ですから、何か普通に考えると、例えば今持っている不良債権の三分の一なら三分の一とか、半年なら半年を一年間で処理しなきゃいけないとか、そういう規定を決めてしまった方が不良債権処理という点でいうと早いような気がするんですが、その辺についていかがお考えですか。
  50. 山田能伸

    参考人山田能伸君) 私の持論は、まさにRCCに一括してもう売っちゃったらどうかというのが持論でありますが、実態的に銀行側にこういう話をいたしますと、こういう答えが返ってきます。例えば、実際破綻懸念先をRCCに売るケースにおいては、仮にその銀行がメーンバンクだった場合、RCCに移った途端に名前が整理回収ということであって、破綻懸念先が実質破綻先あるいは破綻先になる可能性が高い、だからなかなか売れないんだということだと思います。  これをどうするかということにおいては、私が銀行の経営陣に今申し上げているのは、もしもメーンバンクじゃなければRCCに売ったらどうですかと。そうすると、RCCとメーンバンクの間でこの会社をどう再生させるのか、あるいは法的整理に持ち込むのかの話し合いになるんではないですかと、こういうような話を今、経営陣としております。
  51. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 時間になりました。
  52. 櫻井充

    ○櫻井充君 ありがとうございました。
  53. 山本保

    ○山本保君 どうもありがとうございました。  順番に、では高月参考人からお聞きいたします。  きょうのお話の中で、非常にドラスチックな、持っている株を全部取り崩すというようなことをお述べになられました。その場合、またそのほかにも、きょうの後の方をずっと見せていただきましたら、もうそれでもたないような銀行は免許を取りつぶして、七ページでしたですか、市場から退場させるという図式が一つ書いてあるわけですけれども、大変こういう形というのは今の現状では大きな社会的な問題をいっぱい起こすんではないかなというような気もするんですが、この辺について先生、ふだんからいろいろこの辺は詳しく論じられているというふうに聞いておりますので、少し御説明いただけますでしょうか。
  54. 高月昭年

    参考人高月昭年君) まず、市場を退場する場合の問題点でございますけれども、そのときは、一番いい例が北海道拓殖銀行でありますけれども、その地域に対する金融機能を失ってしまうというリスクがあります。しかしながら、例えば東京とか大阪のような形で金融機関がいろいろ集中しているというところでありましたら、ほかのところが代替をするということも考えられます。ですから、原則としては退場、ですけれども例外はもちろん考えていいと思います。
  55. 山本保

    ○山本保君 ああそうですか。この表は、もう客観的にという意味ではなくて、その地域ごとにと、こういう方法も一つあると、七ページですね、そういうことでございますね。
  56. 高月昭年

    参考人高月昭年君) あくまでも原則は退場というふうに考えておりますけれども、ケース・バイ・ケースで、例外もあり得るんではないかなということです。
  57. 山本保

    ○山本保君 また後でお聞きするかもしれませんが、じゃ次に、先ほどのお話にもあったのかなと思うんですが、八ページのところにも書いてありましたが、貸し出しを市場で売却するようにしたらどうだというお話をされたと思いますが、これは具体的には、私この辺は非常に素人なものですから、具体的にどんなことをお考えになっておられるわけでしょうか。
  58. 高月昭年

    参考人高月昭年君) アメリカのケースでしたら住宅ローンでやりました、これ三〇年代です。ただ、日本はもう今現在住宅ローンは充実しておりますので、むしろ中小企業向けの貸し出し、それに対して政府が一定の要件、例えば担保の有無だとか返済期間とか、そういったある程度の枠組みを決めて、そういう要件に該当する貸し出しについては公的な機関、例えば中小公だとかそういうところが買い上げていけばいいのではないかな。それで、買い上げた後はその中小公あたりが窓口になって証券化していく、そういうことを考えております。
  59. 山本保

    ○山本保君 それじゃ次に、村松参考人にお聞きいたします。  参考人が書かれた、きょうのではないんですが、これは「金融ビジネス」ですか、ここに書かれた論文、きょうのお話にちょっと私、関係すると思うんですが、これからちょっとお聞きしたいんですけれども、まず先ほどの話にも関係するかと思うんですが、先生はこう大変、楽観的と言っては申しわけないんですが、しかし正義感で仕事されているんだなということがわかりました。  さっきは一〇〇%再建すべきだというようなお話もあったわけです。この論文、先生のお書きになった中にも、実際にはいろいろ問題があったとしても、水面下でいろんな手を尽くしていけば、実際失敗してしまうのは一割ぐらいではないかというようなことを書かれておられますけれども、この辺は、もう少し詳しく御説明いただけますか。
  60. 村松謙一

    参考人村松謙一君) 「金融ビジネス」の方に、きょうは手元に資料ありませんが、書かせていただいたのは、我々の、私だけではないんですが、私ども研究会でいろんな体験話がある、その体験の中で、実際に、例えば百社相談を受けた。ほとんど百社なら百社、ある先生は破産の申し立てを準備された。回りめぐって、もう赤字だからだめだと、ところが、私ども研究会に来たり私どもの方へ来た、そのうちの百社の中の七、八十社は何とか破産しなくても現在でも生きている。現実にこの十年、そういう形で現在存続している。もちろん全部が全部というわけではない。中には、やはりもう赤字真っ赤っ赤で、営業の体をなしていないという会社もあります。  本当に一口で簡単に言いますと、今約二百五十万社の会社が、法人があります。八割が赤字です。税金を払えないような赤字です。約二百万社が赤字の会社です。片や、その方々の負債というのは、簡単に言うと、自分の年商、例えば売り上げですね、一年間の売り上げの半分、例えば一億円の売り上げがあって、五千万の借り入れ、そうすると、三%ぐらいの営業利益ですと三百万円が出てくる。五千万の金利が仮に三%ですと百五十万円の金利を払う。残り百五十万で八十万の税金を払いますと、七十万を約五千万円の返済に充てていくと六十年かかる、五十年かかるんです、単純に言うと。  というのはどういうことかというと、自分会社の売り上げの半分しか借りていなくても、有利子負債が、借金がその半分であっても五十年かかる。片や、日本銀行の全統計をとりましても返済期間が大体七年ぐらいが平均なんです、五、六年から七年。片方の歯車が、五十年の歯車があって、片や右の歯車は七年で回転する。五十年と七年で合うわけがないんです。  ですから、過去のずっとそれは繰り越しで、短期の転がしという形で、貸して返して借りて返してとか、実際上、書きかえで五十年に合わせてきた。ところが、最近、貸しはがしがあって、貸し渋りでもうそういうことはできないということで一遍に返してくれと。途端に金融機関の返済の要求が強まれば、当然に片方会社側は七倍のスピードで返さなきゃいけなくなるとアウトです。  ですから、私どもは、大体二十年、三十年タイムラグをいただきました。その期間の中で再度もう一度組み立てをし直して、この会社に合った、収益力がこれだけだから、これをもって逆算すると掛ける二十年で適正な金額のところまで借り入れを返せるねというような話し合いを金融機関と水面下でしながら再建している例というのはたくさんあります。また、大幅にカットしなければならない場合はいわゆる会社更生法民事再生法という新しい手法で再建を目指すことになるかと、そんなところです。
  61. 山本保

    ○山本保君 そういう、つまりもっと期間を延長していって実際の負担を減らしていったらということは、確かにそう書いてございました。  今、お聞きしてなるほどと思ったんですが、ちょっとその前にも書いてあったことでもお聞きしたいんです。これも大変正義感だなと思うんですが、先生ここに書かれているのに、景気のいいというか調子のいい会社こそたくさん利子を払って、危ない会社こそリスクを下げてあげるべきではないかと。何かイスラムか何かではそういうふうになっているのかなという気もするんですが、大変魅力的なんですが、しかしそういうことは可能なのかなと。今おっしゃったことは、今お聞きした、期間をもっと延長してあげればいいんじゃないかというのは何か、ああそうだなという気がするんですけれども、その利子の方についてはいかがでございますか。
  62. 村松謙一

    参考人村松謙一君) これは逆に、本当に高月さんにお伺い、お話しされた方がよろしいかと思うんですが、我々が現実に金融機関と対峙していますと、本当にあした金利すら払えないような会社がある、金利も満足に払えない会社、そういう会社を逆にリスク管理と称しまして金融機関はA、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、Rまでランクをつける。そうすると、あなたの、先生のやっている会社は最後のRですよ、Fですよと。そうすると、今までの金利をじゃプラス二%上げてください、三%。もちろん、それが例えば百億ですと二億金利が上がってきちゃう。二億稼ぐにはやっぱり百億の売り上げを上げないと上げられない。それはもうはっきり言って無理ですと。その辺は金融機関とせめぎ合いですが、むしろ任天堂さんとかソニーさんとか、優良な会社は金利がもうほとんど、ただに近い。  ところが、我々が扱っている会社は金利をどんどん上げていく。それは矛盾じゃないですかと。我々としては、現実問題として、リスク管理とは別な形で、きょうここにお金を五百万払えるか百万払えるかをやっているのに、机上の空論で一千万でなければだめですというような議論は無益じゃないかということで金融機関といつも話をしています。  現実には、最近、金融機関さんも少しわかっていただいて、短期プライムレート一・三七五プラス〇・一とか、その辺の基準で、例えば五十社あったら三十社近く、もしくは二十社近い会社は助かっている例もまたありますけれども
  63. 山本保

    ○山本保君 ありがとうございます。やっぱり融資、直接投資みたいなのがそういうことなのかなという気も今ふっとしました。  山田参考人に最後、ちょっと時間がないかもしれませんがお聞きしたいんですが、きょうのお話の中で、これは今回の法案とも一番絡むかなと思うんですが、全部RCCが買っていったらいいんじゃないかということをお書きにもなっていますが、実際これは、今回の例えば法改正を今考えているわけですけれども、こういうことでこれが可能になると直接的にお思い、何か効果が上がるようなものであるかどうか、もしくはまだここが足らないというようなことをお考えなのか、その辺。
  64. 山田能伸

    参考人山田能伸君) 強制力の問題だと思いますね。これは多分、株の取得機構のときにも一時、強制力を持たせて銀行に株をたくさん売らせろという議論があったと思います。そのときのいろんな要綱を見ていますと、やはり強制力というものは憲法問題でどうかという議論になるやに聞いております。  それで、その辺詳しくありませんけれども、強制力がだめであればだれかが背中を押してあげるというか、そういう形で、とにかく今の破綻懸念以下処理三年間、あるいは新規処理二年間、この指導のガイドラインがあるわけですから、これを厳格に適用する、あるいは前倒しに適用するように、そういった運営の仕方で促すことができるんじゃないかというふうに思っています。
  65. 山本保

    ○山本保君 じゃ、もう一つだけお聞きします。  高月先生に戻らせていただきますが、同じことを高月先生にもお聞きしたいと思うんですが、今回の法改正の効果というものについて先生はどのようにお考えでございましょうか。
  66. 高月昭年

    参考人高月昭年君) やはり銀行側が売るかどうかということで、売らせる仕組みがございません。売るんなら買ってあげるよということでございますので、売らせる仕組みがありませんので、ちょっとそこのところにひっかかるものがあります。それからもう一つは、入澤先生の御質問でお答えしたように、企業再生まで踏み込むと、それが果たして本当に有効なのかなと。その二点、若干疑問を感じております。
  67. 山本保

    ○山本保君 今の再生させる機能ということについて、先ほどもそんなお話があったかと思うんですが、RCCが中心になって例えば、これはまたあした役所に聞こうと思っていることなんですが、再生ファンドというふうなものを、中心でもないんですかね、つくったらどうだとかいうような話があるようであります。そういうことは今の、特に民間主導でやるわけだと思うんですけれども、うまく機能するというふうにお考えですか。
  68. 高月昭年

    参考人高月昭年君) 本来、再生ファンドというのも、民間で出てきてやるべきものなんですよね。それが出てこないから、やむを得ずこういう形で国が準備しましょうということでございますので、ある意味で非常の措置だと思いますけれども、それでできるのかなという疑問はあります。  なぜならば、じゃ、再生ファンドは何をするのかというと、これはいわゆるデット・エクイティー・スワップということで、不良債権を株式化して持ったらどうかと。ですから、銀行処理をするときに、もう捨ててしまうのではなくて株にして自分で持てという案も一つはあるんですけれども、そうすると、銀行から見ると、債権者の責任にかわって今度は株主としての責任が出てくると、企業に対して。それは銀行としてはますます負担が大きくなるので、銀行としては手放したい。それを手放してマーケットで売ろうと思えば、実際はリターンが低いので市場では売れない、だからだれか買うしかない。でも、買う人もいないので国が用意しようというのが再生ファンドなんですよね。  ですから、そういうリターンの低いものを国が買うということは、二次ロスの問題なんかも次にいろいろ出てきますし、それから先ほど来申し上げたように、売るにしても、あるいはデット・エクイティー・スワップをやるにしても、いずれにしてもそこで銀行は損が発生しますから、その損に耐えられるかどうかということがポイントで、もし耐えられるのであれば国がこういうことを用意しなくてもとっくの昔に銀行はやっているんじゃないかなというような感じがしております。
  69. 山本保

    ○山本保君 結構です。ありがとうございました。
  70. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸でございます。  きょうはどうも参考人のお三方、ありがとうございます。  非常に短い時間ですので、順次伺いたいと思うんですが、非常に今このRCC法も、もともとはといえば、小泉内閣の不良債権最終処理を二、三年で一気にやっていこうというふうなことの一つの計画の中から生まれてきているものなんですが、この二、三年で不良債権最終処理するということが現実に国民生活にどういう形で影響を与えるのかという点では、先ほどの私、村松参考人のお話を伺って非常に深刻な問題であるということを改めて感じておるところなんですけれども。  この不良債権最終処理が今の中小企業の置かれている現実からすると極めて問題なんだというお話だったと思うんですけれども、もともとそういう困難になれば、従来であれば条件変更する、リスケジュールして何とか逃れるというふうなことがずっとやられてきました。年末になれば恒例のようにジャンプをするというふうなこともやってまいりましたけれども、最近はリスケが中小企業を助けるのじゃなしに、リスケ・イコールもう死の宣告という形で変化してきているんじゃないかと、先ほどの村松参考人の話の中でそういったことをちらっと感じたんですね。リスケが生きるためじゃなく死への道だということになればこれは大変なことで、一体どうやったら中小企業を救っていけるのかということになると思うんですね。  そこで、もう少し今のリスケの実態、その辺を村松参考人中小企業救済等々で働いておられるわけですけれども、その経験も含めてひとつお話しいただきたいなと思います。
  71. 村松謙一

    参考人村松謙一君) では、現場の声を少しお届けしたいと思います。  リスケジュールに基づいて中小企業方々を今救済しているのは事実です。やはり先日もある議員の方々から相談を受けまして、金融機関さんが返済を迫る、早く返せない、中小企業の方、社長さん亡くなりました。神戸の方ですけれども、突堤から車で身を投げました。それだけではなくて、その金融機関さんが結局は破綻しましたので、債権が流れ流れてRCCへ移りました。RCCさんの方が八割方の大口債権者であると。  ただ、今現在、詳しい話はまだ申し上げられませんが、ある意味では金融機関方々早期処理早期処理というかけ声を逆に利用されまして、早く破綻してほしい、もしくは早く何らかの形で処理してほしいと。なぜならば、金融機関さんは今まで会社の中の、取引先の相手の経営について余り突っ込んだ審査をしてこなかった責任もありますので、ある程度さわらぬ神にたたりなしのようなところもあった。それに対して、最近のリスケそのものに対して、もう返済はしなくても結構です、そのかわり、もはや家を処分して法的手続をとってほしいと。  同時に、本当にこの十二月に入りまして異常な事態が起こっているというのもあります。新聞等で御存じのとおり、中小企業さん、季節性の資金、十二月の資金がどうしても必要です。今まで元金、利息をきちっきちっと払っていた、いわゆる正常先です、金融機関さんにとって。元金、金利、きちっと払っていた。その金融機関さんが、じゃ十二月の季節資金をお願いしますと、過去十年一度もたがわずおつき合いしてきた。ところが、この十二月になると、某金融機関さんは、やはり我々合併を控えてとかいろんな理屈をつけて、今回はよその金融機関さんに融資をお願いする、もしくは今回はうちはできないと。そうなりますと、もっと半年前から言っていただければいいのに、きのうのきょう言われると、さあ十二月の十日、十二月の三十日の手形はどうするんだ、手形が落ちなかったら不渡りだ、じゃ倒産かと、そういうふうな流れ、図式。正常先が一気に途中を飛び越えて破綻先に行っちゃうんです。どうしてかわかりません。とにかく、正常が破綻に行ったり、逆に言うと破綻がどんどんふえていく。  その図式は、金融機関さんが追い詰められています。その追い詰めているのは、じゃだれが追い詰めているかというと、ある意味では国の政策もあるでしょうけれども皆さんの方でじゃだれがと犯人捜しをする必要はありませんが、金融機関さんが追い詰められているとばっちりが中小企業なり御家族、お子さんなりに来ているのをどこかで防波堤で防がなきゃいけない。もうぼちぼちこのバトルロワイヤルはやめようじゃないかというかけ声がどこかで出てこなきゃいけない。それが確かに不良債権早期処理を早く推し進める、ただ我々は、その処理の仕方が誤っている、もしくは早く早くというのがそんなにいいのかと。例えばスロースローは悪いのかという次元になりますと、答えが何とも言い出しがたいんですが、その程度でよろしゅうございましょうか。
  72. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 RCCの実態なんですが、先ほどから、どうもRCCがほかの銀行よりも中小企業つぶしの先頭を切っておるような話がありました。つい一年ぐらい前までは、RCCでも、RCC送りになった中小企業に対して、新規融資はしないけれども、一定の継続融資はするんだというふうに言われておったんですけれども、今のお話を伺っていると、今はもうRCCはそれすらもやっていないのかなと。そうすると、ただただもうつぶすために、回収するためのみのRCCになってしまっている。  RCC最初設立されるときは、そうじゃないんだ、新しい次の銀行に移すための病院みたいなものだというふうなことを言われておったんだけれども、そういった実態が今はないんだとすれば、後でまた伺うRCCの今後の姿という点からしても重大な問題を抱えているなというふうに思うので、そこのところの実態をちょっとお話しいただけますか。
  73. 村松謙一

    参考人村松謙一君) RCCさんの役割というのは、確かに従来、不良債権処理する、不動産をやくざが占拠する、そういったものを処理すると。我々、まだそのときには非常に難儀しておりました。ですから、RCCさんが不良債権処理に当たって権限を振るうのは非常に良好な、よい時代もありました。  ところが、もうバブルの退治はほぼ終わりました。バブルの退治が終わっていながら、今度は、本業倒産というふうに私どもの世界で言っておるんですが、本業倒産が未曾有のような状況になってくる。バブルの倒産処理の仕方を本業の中小企業方々に応用するということはやはり本末転倒ではないかなと。何とかして助けてくれというのに対して、いわゆるもう足を引っ張るというような処理の仕方、これは少し違うんじゃないか。だからこそ、今回のような再生型、再生するためのRCC機能というのは、確かに我々としては理想論としてはお願いしたいくらいです。ただ、逆にその権力というんですか、権限がさらに足を引っ張る形での再生に持っていかれると困るなというのが、ちょっと資料にもありましたけれども、やはり役割は、時代が少し変わっていると思います。  以上です。
  74. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そこで、そうするとRCC再生型というようなことを言われてはいるんですけれども、じゃ、それを本当にやっていくとすれば、RCCのあるべき姿というんでしょうか、具体的な現場からの望ましいあり方というふうなことについては、何か御提案いただけるでしょうか。
  75. 村松謙一

    参考人村松謙一君) これは、一つアメリカのチャプターイレブンの関係もそうですけれども、やはりRCCの中に会社再建にかなり熟練した方々RCCの担当者の方々並びに弁護士先生方は、あくまでも競売の申し立て、破産の申し立て、そういう形で解体、清算をなさる方々。逆に、保全管理人とか会社更生で言う再建型の先生方がかなり入っていただいて、パラシュートのごとく、我々研究会、例えば二百人おりますが、そういった方々が千人でも二千人でも力を合わせて、それで企業の側に入って帳簿をチェックし、同時に取引先に頭を下げてお願いし、条件変更するなりしていけば、ほとんどの中小企業はよみがえると思います。  と同時に、なぜ会社再建できるか、会社更生法、民事再生再建できるかといったら、弁済禁止の保全処分という大きな裁判上の力があるからです。一年間弁済を禁止する。これがあるから、過去、大きな会社再建が、そごうもしかり、皆さんできるわけです。ところが、今はそれがないままやられていますから、血が流れているだけで、その血をどんどん吸い取るのは、僕はRCCさんがちょっとひどいなというのは思っておりますが。  以上です。
  76. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 高月参考人に伺いますが、私、一月のころからちょっと高月参考人の論文を読ませていただいたりして、非常に興味を持っておったところなんですが、きょうは非常に明快な形で、不良債権処理はもう瞬時に片づくんだという、非常に明快にやられたので、ちょっと伺いたいんですが、非常に興味を持つのは、不良債権を買い取るんじゃなしに健全債権を買い取る形じゃないとうまくいかないんだとありましたですね。そういうお考えですね。そこの違いといいますか、メカニズムといいますか、そこを少し御説明いただきたいと思うんです。
  77. 高月昭年

    参考人高月昭年君) まず、不良債権を買い取るというのは、本来不良債権銀行自分で処分すべきものでありまして、それを何らかの形で処理する一つの方法として、買い取りというのはもうワン・オブ・ゼムであるだけであります。それをやっても、さっき申し上げたように、今いろいろ損失の問題がありますので銀行はちゅうちょすると。そのちゅうちょがある限り新規融資の方には行かないと。ですから、不良債権処理とあわせて、先生が先ほど来おっしゃるようないろんな貸し渋りの問題とか、中小企業の保護をどうするんだとか、そういったところも並行してやっていかなきゃいけないんです。不良債権を売りなさい、売りなさいと、買ってあげるよというところだけは、企業の支援といいますか、中小企業の貸し渋りとか、そこのところがネグられていますから、その議論になっています。  じゃ、銀行に向かってもっともっと貸せよというふうに言えばどうなるかというと、自己資本比率が下がっていくから、もうそれは貸したくても貸せないんだというのが現状でありますから、どうしても銀行は貸さない、ないしはもう貸しはがしみたいな形になっていく。ですから、銀行はどんどん貸せと、貸しあわせていながら銀行不良債権処理していっても表面的に銀行の体力が低下したというような形にならないような仕組みをつくってあげる、それが必要だと。  それはなぜかというと、どんどん新規貸しなさい、年末資金が要るなら貸しなさいと。それをあなたが、銀行が持っていれば自己資本比率が下がるんだけれども、売ってしまえば何の、資産がふえないわけですから自己資本比率には影響しないと。しかも、そこでさやが発生すれば自己資本比率は従来のままで利益が出る、それで利益不良債権処理の原資に回しなさいという、そういう仕組みが必要だということで、不良債権処理の仕組みの数ある中の一つとして不良債権の売却はありますけれども、そこばかり議論しているので全然話が進まないということをずっと指摘しておるわけであります。
  78. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 その点で、そうすると健全債権を売って、資本取り崩しというような形に向かっていくんだろうけれども、やったらいいんじゃないかということなんですが、その際は、そうすると銀行はそういった健全債権を売るというふうな行為には出るんでしょうか。
  79. 高月昭年

    参考人高月昭年君) 何も枠組みをつくらなければ売らないと思います。ですから、あわせて例えば数値目標を課して不良債権処理をどんどんやっていかせるようにしてやっていきますと、銀行はもうそこで追い詰められていって、不良債権じゃなくて、自己資本比率がどんどん下がっていきますから、次の段階では、自己資本比率が下がっていくやつをもう少し回復するためにどうすればいいんだということで、分母である資産を減らそうとするようになってくるわけです。そのときに健全な債権も売るような仕組みをつくっておけば、むしろそちらの方を売ってくるし、しかも売ることによってさやも確保できますよという、そういう仕組みができれば売っていくんだと思います。  ですから、ただ売りなさいだけでは売らないと思いますけれども、売らざるを得ないように持っていく仕組みは可能だと思います。
  80. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そういうふうなことができれば、今盛んに論議されておる公的資金の再注入といったようなことについては、これはもうそんなことは必要なくて、銀行の健全化というふうなことが図られていくということになると思うんですね、公的資金の再注入というのは。銀行自身で自己資本を取り崩して、身の丈の経営にして健全化していくということが可能になれば、公的資金の再注入の必要はなくなってくるなというふうに思うんですけれども、その辺のところについてのお考えはどうなんでしょうか。
  81. 高月昭年

    参考人高月昭年君) いや、私は公的資金の注入は必要だと思います。何とならば、自己資本を取り崩してでも処理をしなさいということをやっていきますと、結果的につぶれる銀行も出ると思いますけれども生き残ったけれども自己資本比率が非常に低いという銀行が次に出てくると思います。低いままほうっておいてやっていくと、やっぱりその市場のいけにえみたいにされちゃいますし、それから、日本全体で見たときに国際的な競争力のある銀行はまだ登場していないというような状態にありますので、生き残った銀行をサポートするために公的資金はやっぱり入れていくべきではないかなと思います。  ですから、これまでの議論はそこがなしに、もう何でもかんでもみんな入れてあげるよというような形になっていたところが問題で、入れる価値のあるところとないところの選別をきっちりしなさいということが、数値目標を課してそれを達成したところに入れていくというのが私の考え方でございます。
  82. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 済みません。山田参考人にちょっと伺おうと思っておったんですけれども、時間がなくなってしまいまして済みません。申しわけございませんが、終わります。
  83. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 三人の参考人皆さん、ありがとうございました。  高月参考人にお伺いしますけれども、今の池田さんとのやりとりを聞いておりまして、高月参考人は、RCCを活用して不良債権処理も進めなさい、そして銀行自己資本比率が足りなくなった場合は公的資金も注入した方がいいというふうにとらえたんですけれども、それでよろしゅうございますか。
  84. 高月昭年

    参考人高月昭年君) そういう御理解でいいと思います。ただ、問題なのは、何でもかんでも入れるんでなくて、入れる対象をきっちり絞りなさいというところでございます。
  85. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 今非常に問題になっている銀行のいわゆる破綻懸念先なのか要注意先なのかという、そのぎりぎりのところにいる、グレーゾーンにいる企業の債権について、銀行が売ろうか売るまいかという思案をしていると思うんですね。私は、その企業と銀行とのメーンバンクとかという、そういう関係の中で売れない、長い間の慣例の中で売れないというようなものがあって、そしてその企業をどうするかということがそのメーンバンクと企業との間で話し合いができないという状況があると思いますけれども、そういう中で、今度のこのRCC法案というのを、RCCを活用して何とか銀行は、民間サービサーに売ってしまうことはできないけれども、国が関与するRCCならばその事業も再建も可能になるのではないかというようなことを託しながらこの法案ができてきたんじゃないかというふうに見ているんですけれども、そこらはどんなふうにお考え、銀行はなぜ民間サービサーでなくてRCCの方がいいと考えるのかというところを教えていただきたいのですけれども
  86. 高月昭年

    参考人高月昭年君) 銀行RCCの方がいいというふうに私、考えているかどうかというのは疑問なんです。むしろ、今まで非常に価格が低かった、買い取り価格が低いがゆえに銀行は売らなかったという問題があったんですけれども、それにもかかわらず売っているところは少数ではありますけれどもあるんですよね。  じゃ、なぜそんな不利な条件で売ったのかなというのは、ちょっと私自身自分で解明できない疑問としてはありますけれども、じゃ、それを少し価格を上げてあげたら売りますよと。民間サービサーもあって、RCCもあって、両方どちらに売りますかといったときに、RCCに積極的に売っていくというインセンティブはないんだと思います。  ただ、民間の中で、特に外資系いますけれども、やっぱりディスカウントが厳しいんですよね、買い取り価格が。だものだから、銀行はそこをちゅうちょするわけです。RCCが時価で買いますよというのは、そこと同レベルになっていくわけですから、そこは売る側から見て遜色はないと思うんですよね。だからやはり厳しい条件が出てくる。相対でやっていったときには、時価といいながら実際は民間がやればつけられないような高い値段をつけていく可能性があって、それが二次ロスの方にはねていく可能性がありますので、そのあたりをどうやってガードしていくのかというのが今回の法案からは実は抜けておりまして、ややそこは疑問だなと。  最初の質問に一言でお答えしますと、銀行が別に積極的にRCCがいいというふうに思っているわけではないと思います。
  87. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 しかし、最終的には相対で相談をして売っていけるということになると、その相手方企業からも納得をしていただける線が出てくる可能性があるので、これが生かされてくるということですよね。そうですね。私もそう思うんですよ。今回の法案のメリット、もしあるとすればそこしか考えられないものですから、そう思っているんですが。  山田参考人にお伺いをします。山田参考人のところのメリルリンチはいわゆる同列企業にサービサーはございますか。
  88. 山田能伸

    参考人山田能伸君) サービサーという別会社はありませんけれども会社機能として、ディストレストアセットと言っていますけれども、破綻資産を買い取る機能はあります。
  89. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 今まで日本不良債権を買い取られたような実績はどのくらいあるんでしょう。
  90. 山田能伸

    参考人山田能伸君) 申しわけございません。ファイアウオールというのが会社内にありまして、幾ら買ったかわかりませんけれども、私ども、あるいはいろんなジョイントベンチャーという形でほかの会社と一緒に買っているんだというふうに思います。多分これは、私の想像で恐縮ですけれども、元本ベースで一兆円ぐらいは買っているんだと思います。
  91. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 これからは小口の不良債権あるいは銀行が今持っているような大口の不良債権というようなことが問題になってくると思いますが、特に大口で銀行に、都市銀行たくさんありますけれども、それらがそれぞれ持っている一つの事業者の不良債権について、RCCで一括に今度は集約されてくるというような場面があれば、一括でRCCと交渉して買い上げる方がサービサーにとっては有利と考えますか、それとも個々の銀行で入札でやった方がいいというふうに考えられますか。
  92. 山田能伸

    参考人山田能伸君) 多分一括の方がいいと思いますね。今の外資系の不良債権買い取り業務というのは、先ほど申し上げたとおり、清算が前提なんですね。そうすると、清算を前提にする場合は、RCCに行って、例えばRCCの信託機能を使うと担保関係が大変すっきりしますよね。今難しいのは担保関係が非常に複雑だということもありますので、集約化されることは確かにその後の不動産なり不良債権流通市場をかなり活発化させるというふうに思います。
  93. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 そうしますと、RCCで一括買い上げられた担保が集約をされていれば、今一〇%ぐらいで買っているということですけれども、そこがRCCに買い取られたことによって一五%になったり一八%になったとしても、その間の手続的な流通の手間を省くことができるというようなことからすれば、外資系のサービサーにとってはより有利というふうに解釈してよろしゅうございますか。
  94. 山田能伸

    参考人山田能伸君) 確かにそのとおりだと思います。担保関係を解きほぐす手間、それから時間、そういうものを実はディスカウントして取引されているわけですから、そういう意味ではまさにおっしゃるとおりだと思います。
  95. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 私は、RCCが企業の再生能力をどのくらい持っているかということが非常に疑問なんですよ。ですので、民間のサービサーの皆さん方の中には、そこを安く買い取ってもさらに付加価値をつけて再生させて高く売るということがもう実際にやられているというふうに聞いているんですけれども、この法案を立ち上げていって、RCCがこうした債権を買い取っていった場合に、どうした機能をもっと強化をしたら企業再建というようなことができるとお考えでしょうか。教えてください。
  96. 山田能伸

    参考人山田能伸君) 多分、今のRCCというのはまさに清算が主であって、再生まで行っていないと思いますね。  再生機能をつけるためには、当然、専門家を集めなきゃいけないというのもありますけれども、やや発想の転換が必要だと思っています。それは外注だと思います。つまり外出しといいますか、例えばアドバイス業務を弁護士先生、会計士の先生あるいは投資銀行、そういうものに外出しする可能性は多分あると思います。そうやって、例えば彼らを、我々を含めて業者として見て、一番いい、一番安いプライシングを出したところを指名するとか、そういうことが必要だと思います。  ちょっと恐縮ですが、実際にスウェーデンのセキュラムという日本RCCに近い会社の例でいいますと、彼らの運営費用のうち、一〇〇%としますと、人件費が四一%なんです。今申し上げた外注費用といいますか、これを彼らはパーチェストサービス、買ったサービスと言っています、これが三九%。それから、その他の建物とかコンピューター費用が二〇%です。  ですから、外注ということを考えると、随分その機能が違ってくるというふうに思います。
  97. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 ありがとうございます。済みません、集中しちゃって。  自民党の財政金融部会の人たち、例えば塩崎さんとか金子さんとかと山田参考人は大変親しゅうございますか。
  98. 山田能伸

    参考人山田能伸君) 親しいと申し上げますか、意見の交換は時たまさせていただいております。
  99. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 この法案をつくるについても恐らく参考意見を随分と聞かせていただいたのではないかと思いますが、いかがですか。
  100. 山田能伸

    参考人山田能伸君) 折に触れ、特に市場はこういうふうに思っているということをお話しさせていただいたことはあります。
  101. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 ありがとうございました。  それでは、村松参考人にお伺いをいたします。  中坊さんは血も涙もある回収方法に徹するということでRCCを立ち上げて、この国会でも参考人に来ていただいたこともあるわけですけれども、何か村松さんのお話を聞いていると、必ずしもそうなっていないんだなということもわかったり、あるいはそういうところもあるということもわかったんですけれども、これからRCCをもう少し日本経済全体の強化に役立てていくとしたらどういうことが必要なのかというようなことを、ちょっと大ざっぱ過ぎますね、教えてくださいますか。  時間が十三分までございますので、どうぞ御自由におしゃべりをいただきたいと思います。きょう足りなかったことも含めて。
  102. 村松謙一

    参考人村松謙一君) いえいえ、証人尋問じゃありませんので、遠慮ぎみにさせていただきます。  RCCの方、決して私、あこぎな方だけではないと思います、善良な方なんです。ただ、熱心さの余りついつい一生懸命やり過ぎて会社を破綻してでも回収せよという行為をなさる。ですから、中坊さん、トップの方と現場の方々の意思、少し違う部分があると思います。ただ、RCCさんも血も涙もあるような回収をすると、活字になる前に既に逆に私がそういう言葉を投げかけたり、それと同時に、苗を育ててその実をとるという回収の方法もありますよと提言したり、我々はそういうことで企業再建をやっております。  ただ、RCCさんに企業再建の能力があるかといったら、はっきり言ってそれはクエスチョンマークですが、ただ、バルクでRCCさんに移行することで助かることもあります。今までRCCさんは債権の放棄というのをなかなかしていただけませんでした。最近、我々、北海道で、ある大きなデパートでRCCさんと放棄の話もできるようになった。  そういう意味では、片や対極にある中小企業方々は負債が余りにも多過ぎます。売り上げが十億なのに借金が二十億だとか、破綻してもおかしくない会社です。それを負債を放棄していただいて、じゃ、八億放棄するとか五億放棄する、それによって売り上げが十億で借金が五億になれば必ず立ち上がります。  そういう意味では、RCCさんに移ったことで、RCCさんが快く放棄をしていただく、もしくはRCCさんからまたバルクでさらに外資に行く。外資の方々は裸の債権、担保がない債権は平気で放棄します。この間も、先日、三億円の債権を二百万円でお願いして、あとはカットしてもらいました、損金等で処理できますと。ただ、今までRCCさんはそれができない。  ですから、RCCさんの機能としては、バルクで買い取ったものを逆に放棄していただくと同時に、中小企業方々にも、同じようなことですが、やはり中小企業経営者は放漫経営とのそしりを免れません。ですから、再建を指導するようなアウトソーシングアドバイザーもしくはリストレーター、修復士を入れてやれば、十分に企業の再建RCCの活用というのは、RCCさんが放棄をそういう形で認めていただくような税制改正が成れば十分に日本の企業はもう少し上向きになると思いますけれども。  以上でございます。
  103. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 ありがとうございました。  終わります。
  104. 平野達男

    ○平野達男君 平野達男でございます。きょうはどうもありがとうございます。  山田参考人にお伺いしたいと思います。  今回の法律改正の柱の一つは入札です。そこにRCCが入るということですが、RCCと民間サービサーと比較した場合に大きな違いが一つだけあります。一つというか、何点もあるんですけれども。  それはまず、資金調達が政府保証でされているということが一つ。それとセットで、入札価格を入れるときに、民間は利益を出さなくちゃなりません、RCC利益を出さなくてもいいです。ここに、入札価格を入れるときに大きな差が出てきます。  こういう差があるものに対して競争入札を入れるということについて、山田参考人はどのように考えられますでしょうか。
  105. 山田能伸

    参考人山田能伸君) 確かにそのとおりだというふうに思います。  多分、RCCの役割、先ほども申し上げましたように、例えばいろんな債権者が集まることによってもっと高い値段で買い取ることができると、こんなイメージがあると思います。ですから、民間と直接競争する案件はそんなに多くないのかなという感じがしています。  つまり、民間の商業ベースに乗る案件というのは、やはり規模が大きくて、それから例えば入っている担保も都市部の不動産が多いとか、そういう部分があると思います。ですから、例えばそういう部分において、国の機関として民間よりもややいいプライスが実態として出てくるんであれば、それはそれとして、不良債権処理促進というものには意味があるというふうに思います。  ただ、もう一つ、民間サービサーについては、まさに利益促進でございますから、彼らが利益を上げる案件しか多分入札してこないというふうに思います。ですから、そういうところでは市場原理が働いて、多分民間の方もいろいろ考えてくるんだというふうに思います。  ですから、官が民に入ることによるクラウディングアウトというのはまさにそのとおりだと思います。ただし、不良債権処理促進という意味ではかなりプラスに見ていいのかなというふうに思っています。
  106. 平野達男

    ○平野達男君 例えば、今のお話の脈絡で話をしますと、大口債権については競争入札でやりまして民間が応札をしましたと、そういった部分についてまでRCCが応札をする理由はないんじゃないかと思うんですけれども、そこはどのように考えられますか。
  107. 山田能伸

    参考人山田能伸君) 実際に私、入札に立ち会ったことがないのでわかりませんけれども、多分その辺は商業ベースで判断される案件かなというふうに思います。  その辺、実際難しいところなんですけれども、商業ベースに乗る案件、それからRCCとサービサーの競合という部分がたくさん出てきますけれども、私はちょっと違う意見を持っておりまして、多分それは、日本全体の不良債権処理、特に破綻懸念以下処理の促進の方が早くやるべきだろうというふうに思っています。その分、仮に民間サービサーの業務がやや縮小したとしても、国全体の利益からすればある程度いたし方ないのかもしれないというふうに思っております。
  108. 平野達男

    ○平野達男君 なるほど、かなりよくわかります。  そうしますと、RCCについては、先ほど言ったメリットを、利益を上げても上げなくてもいいということを有効に活用して、高値で入れてもいいという、そういう考え方ですか。
  109. 山田能伸

    参考人山田能伸君) 高値の基準が難しいと思いますけれども、民間サービサーがいろいろお金を使う、コストを使う、あるいは利益を先ほど言ったとおり平均二〇%、ROEを目指していますから、それはちょっと難しいと思いますね。そういう意味では、民間と比べて高値になっても、結果として最終処理のときに大きなロスが出なければ、それは全体の金融システムのためにプラスかなという感じはしております。
  110. 平野達男

    ○平野達男君 かなり明快でよくわかります。  それで、ちょっと山田参考人にばかり集中して申しわけないんですけれども、ここに「RCC機能拡充に関する個人的見解」というのをまとめていまして、二次ロスについてかなりスペースを割かれておりますけれども、これはどうしてでしょうか。
  111. 山田能伸

    参考人山田能伸君) 二次ロスという議論は特にメディアとか市場でよくされる議論です。  この二次ロスの部分とそれから金融システムが崩壊したときのロスをどういうふうに考えるか、そういう意味でここに書いたと、こういうことでございます。特に他意はございません。
  112. 平野達男

    ○平野達男君 では、ちょっともう一回、あれですけれども、高値入札して二次ロスを出さなければいいという、そういうことだという趣旨でしたね。そういうことですね。
  113. 山田能伸

    参考人山田能伸君) 民間と比べて高値入札の結果であっても、二次ロスを出さずに不良債権処理が進む、あるいは多少出しても不良債権を積極的に減らす方法がいいんではないかと、こういうふうに思います。
  114. 平野達男

    ○平野達男君 高月参考人にお伺いします。  先ほどの御説明の中に、いわゆる売却させる仕組みがないということで、このスキームでいきますと、例えば強制的に売却をさせるというスキームがあるじゃないかなと。個々にスケジュールをつくって何年間の間に債権を全部売却させなさいというような、一つの例だと思うんですが、七ページに載っていますが、それはこういうことでしょうか。そういうことでしょうか、数値目標の設定というのは。
  115. 高月昭年

    参考人高月昭年君) ここで書いています、私が言っています数値目標というのは、例えば総資産に対するリスク管理債権の割合を何%にしなさいという、そういうことでございます。  それで、売却するとかなんとかというのは、数ある処理手法の一つでありますから、どれを選ぶかというのはそれはもう銀行にゆだねる話でありまして、だから、幾ら売れというようなそういう数値目標、個別の手段についての目標を考えているわけではございません。全体としての不良債権の比率、総資産に対する比率を目標として掲げなさいというのが趣旨でございます。
  116. 平野達男

    ○平野達男君 そうすると、私、先ほどちょっと聞き間違えたかもしれませんけれども、売らせる仕組みがないんだというふうに言われたような気がしたんですが、そういうことじゃないですね。
  117. 高月昭年

    参考人高月昭年君) 不良債権処理で、例えば二年後に幾ら、三年後に幾らまで、リスク管理資産を総資産に対する割合で幾ら減らせという目標を掲げていきますと、そうすると、利益の範囲内でとんとんとんと処理できればいいですけれども現状からいったらそれはなかなか難しいということで、やはり債権資産を売却して何とか自己資本比率を毀損、自己資本の方の取り崩しに入っていきますから、それが極端に下がらないように、銀行としてはそこまでやりながら何とか自己資本比率を少し高めにキープしようという、そういう努力が入っていきます。だから、その段階で、債権を売りましょうというところに銀行が追い込まれていくはずなんですよね。だから、そういう意味で言っております。
  118. 平野達男

    ○平野達男君 二ページ目の資料の中に、「銀行は売却損に耐えられるか?」ということがあるんですけれども、「耐えられなければ売却に躊躇するはずで、この問題に踏み込まないかぎり、大きな成果は期待できないのではないか」というふうに書いていますが、それが今の高月参考人の御説明のことですか。
  119. 高月昭年

    参考人高月昭年君) そういうことです。
  120. 平野達男

    ○平野達男君 はい、わかりました。  企業再生について引き続きちょっとお伺いしたいんですけれども、ここは「企業再生RCCより銀行が適役」と書いていますけれども、一般に、逆に銀行の方が企業再生に余り乗り気ではないんじゃないかという説も聞きます。銀行は企業再生についてどれだけ本気に取り組んでいるでしょうか。
  121. 高月昭年

    参考人高月昭年君) それは個別のケースによって違うと思いますけれども、企業再生の考え方というのは、今つぶしてしまって無理やり回収できるものをとるよりは、再生させておいて、瞬間的に損が出るかもわかりませんけれども、少し長い目で見たらトータルでは得だという判断で銀行は動いております。  ですから、瞬間的に発生するであろう損がとれるかどうかというところがまさにポイントで、今それがとれなくなってきているから厳しく出ているんではないかなというふうに考えております。
  122. 平野達男

    ○平野達男君 そうしますと、今回、RCCが入ってきて、出てきたわけですけれども、企業再生をするような案件というのは、銀行がやれるものはまず銀行がやりますよと、その結果、銀行が非常に、もうこれはできないというような案件がまず出てくるという、そういう理解でよろしいでしょうか。
  123. 高月昭年

    参考人高月昭年君) その理解で結構だと思います。
  124. 平野達男

    ○平野達男君 そうしますと、RCCは相当強力な企業再生の力、スキーム、そういったものが必要になってくると思いますが。  先ほど、山田参考人の御意見として外注もあるんじゃないかと、あるいは考え方として超スーパー、能力の高い人たちを集めるとかいろいろあると思うんですけれどもRCCについてもし企業再生についての機能を期待するとすれば、高月参考人としてはRCCにどのような手法をとるべきだというふうにお考えになりますか。
  125. 高月昭年

    参考人高月昭年君) 私も山田さんと同じで、それは外注するということを、もっと民間の活力を利用しなさいというところを法案に明記するような工夫が必要かなというふうに思います。
  126. 平野達男

    ○平野達男君 外注が中心だということですか。外注をどんどんやれということですか。
  127. 高月昭年

    参考人高月昭年君) 外注、結果的にはそうなると思いますけれども、例えば買い取るときの時価の算定にしても、あるいは企業再建をやるんであれば具体的にどういう手段を用いて企業再建をやるのがいいのか、あるいはその会社をこういう形にしよう、ああいう形にしようといういろんなプランづくりから始まって、それの執行に至るまで、それはやはり民間の活力を使う形の方がいいと思います。
  128. 平野達男

    ○平野達男君 そうすると、ちょっとだけあれですけれどもRCCの企業再生に果たす役割というのはどういう位置づけになりますか。仲介機能ということですか。
  129. 高月昭年

    参考人高月昭年君) RCCに対しては、非常にドラスチックな答えになりますけれども、本来、RCCが必要なのかなというのは本当は思っています。  これはなぜかといいますと、RCCというのは、その発生の由来を尋ねていきますと、九四年の十二月にいわゆる二信組、東京協和・安全がつぶれたときに引き受け手がなくて東京共同銀行をつくって、それが何かいつの間にかこういう形で一つの政府機関に成長したわけなんですけれども、二信組の処理自体はいろいろ疑問があったわけなんですよね。  それで、アメリカのケースでちょっとお話しいたしますけれどもアメリカもいろいろ不良債権の問題が十年ほど前に問題になりまして、これは八九年の法律の方でございますけれども、ファイナンシャル・インスティチューションズ・リフォーム・リカバリー・アンド・エンフォースメント・アクトというやつですけれども、これでRTCがつくられました、リゾリューション・トラスト・コーポレーション。そのときにRTCに対して要求されたことは、民間の活力を使ってもっと活発にやりなさいということであったわけです。ちょうどそのRTCに相当するものが、RTCはちょっと特殊な預金保険機関でございますので、RTCに相当するものが日本でいえば預金保険機構に相当するわけです。ですから、預金保険機構がダイレクトに民間を使えば、第三者を使えばよかったんですけれども、そこへなぜか協定銀行という形で整理回収機構が入ってきたわけです。だから、ある意味でワンクッション置かれちゃって、非常に重い構造になっているんですよね。  だから、そこのところを本当は整理しなさいと言いたいんですけれども、そこまで言うとちょっと、非常に波紋が大き過ぎるんで、とりあえず整理回収機構は整理回収機構として残すとしても、そこはある意味でトンネル機関みたいにして、民間を使うという仕組みの方が私はいいと思います。
  130. 平野達男

    ○平野達男君 もう一回山田参考人に戻りますけれどもRCCの企業再生に果たす役割の位置づけというのはどのようになりますか、先ほど外注という話がありましたけれども
  131. 山田能伸

    参考人山田能伸君) 多分、要注意先については銀行がいろいろ再生策を考えると思います。その下の破綻懸念先について、本当に大きな一つの、シンボリックディールと言っていますけれども、目立つ案件が出ると、多分今の整理回収というイメージが病院のイメージに変わっていくんじゃないかというふうに思います。ですから、果たす役割というのは、とにかく最初再生の案件を早く仕上げて、ここはもう病院ですよ、いわゆる霊安室じゃありませんと、こういう形にすべきですよね。そうすると、例えば中小企業再生にしても一つの例ができ上がるというのがいい例になると思います。
  132. 平野達男

    ○平野達男君 これはちょっと私の理解が悪かったかもしれないんですけれども、私は、RCCの中に再生委員会をつくると、それをやるものだというイメージでありました。  ところが、外注をすべきだという話できょうは両参考人とも意見されておりまして、さっき私の質問は、確かにそこの病院だという位置づけはわかりますけれどもRCCは結局、先ほどの私の聞き方のもう一回繰り返しになりますけれども、仲介をするということになるわけですか、そういった企業再生の。
  133. 山田能伸

    参考人山田能伸君) 仲介がすべてでないと思いますね。例えばスウェーデンの例だと、自分でやった例もありますし、いわゆる外注した例もある、いろんなものを組み合わせていっていると、要するに民間活力を最大限利用しましたと、こういうことだと思います。
  134. 平野達男

    ○平野達男君 あと一つだけお願いします。
  135. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 簡潔にお願いします。
  136. 平野達男

    ○平野達男君 そんなにいっぱい案件があるかどうかよくわかりませんが、これは外注です、これはこっち側ですよというような、そんなやり方があるかどうか。つまり、委員会をつくったならばやっぱり委員会を徹底的に使わにゃいかぬ、外注ならば外注で徹底的にやると。これは多分どちらかというと基本じゃないかと思うんですが、そこだけちょっと。
  137. 山田能伸

    参考人山田能伸君) いろんな企業の、MアンドAと言っていますが、買収ディールなんかありますと、そのアドバイザーとして使っていますね。例えばデューデリジェンスというか中身の精査とか、それが正しいかどうか、あるいは価格の判定はどうかということをですね。ですから、あくまでも最初に決めるのは委員会かもしれません、委員会だと思います。ただ、その委員会の決定が正しいかどうか、あるいはそれを参考にするために外注をする。だから、丸投げというイメージでは多分、済みません、私の表現もちょっと稚拙だったかもしれません、丸投げということよりも、そういうふうにアドバイザーとして入ってくるという意味でございます。
  138. 平野達男

    ○平野達男君 わかりました。  村松参考人、大変参考になる御意見ありました。どうもありがとうございました。  終わります。
  139. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 お三人の参考人方々、どうもありがとうございました。  結局、不良債権問題、銀行、それからそれにつながる企業、あるいはそれに関連して雇用されている人たちの大変な苦労、そしてまた自殺問題というようなことにつながっているわけですね。それで、それぞれの個別のことはちょっと棚上げをして、私はどうも自分でよくわからないことがありますので、お三人の先生方の御意見を聞きたいのです。  前に土光臨調というのがあって、いわば構造改革みたいなことを大がかりにやることになってやりました。そのときによく出た話ですけれども、民間は大変に苦労して、今の言葉で言えばリストラをやって大変苦労していて、そのときには官もあるいはみんなが痛みを分かち合わなきゃいかぬというような話になったんですが、土光さんを初めとして、あのときは瀬島さんとかいろんな財界の方々が相当入っておりました。東芝ではこうしたとか、どこではどうしたというような話で、こっちはもうきりっとしてきているのに、一体政府は何やっているかという話になった。  私は、その臨調とそれから当時の自民党の政調会との懇談という何か大きな会をやりまして、いろんなことを議論したんですが。企業が立ち直るというのはある意味では非常に簡単で、血も涙もないということでいえば、それこそリストラを徹底的にやっちまえば何とかなるんですね。しかし、それと国との違いというのを私は言ったんですけれども、何々株式会社は人を首にできるけれども日本の国、国民は首にできない。ちょっと一億二千何百万人いて多過ぎるから、三百万人あるいは一千万人を日本人から除籍するというわけにはいかないので、そこを一体どう考えるのかねという話をしたんですがね。依然としてそこのところを一体どう考えたらいいのか私にはわからないんです。  しかし、日本経済が非常にぐあいのいいときには、なるべくみんな救おうということでずっとやってきた。ですから、自然人である人間というのはなるべく長生きをしよう、そしてそれに対して今、日本は一応曲がりなりにも資本主義でやっておりますから、会社という法人を中心にして物事は動いておりますね。この仕組みというのはもともと責任が有限であって、そこの切れがよくて、それこそ自殺なんかしないで済むようにつくられたものだと私は思っているんですが、法人を自然人扱いでずっと日本はやってきた。そこで、なるべく助けてやろうということで丸抱えできたようなことが、今どうもそうもいかなくなっちゃっているから、少しはよそと合わせて、グローバリゼーションの世の中なんだからもう少し合理的にやれということでやっていくと、こういうような話を詰めていかなきゃいけなくなるんだろうと思うんですね。そこのところの食い違いがある。  しかし、依然として日本国民を首にするわけにはいかないというところだけは最後に残っているわけなんですけれども、そのためには銀行もなるべくつぶさない方がいいし、それから企業が少しくたびれてきてもみんなで突っかい棒をして再生させてあげればそれで人間も救われるんだからという話は随分出てくるわけです。ところが、それができないからこういう話になってきたんで、その折り合いを一体、マクロというのか何かわかりませんけれども、全体つかんでそれぞれの御専門で考えていらっしゃるわけですが、そこあたり、一体どうお考えになるのか、お三人の参考人先生方に御意見を伺えればと思います。
  140. 高月昭年

    参考人高月昭年君) 大変難しい問題だと思いますけれども、やっぱり経済の構造が変わっておりますので、企業が繁栄するということとそこに働く従業員あるいは国民一般が裕福になるということが、昔はそれがイコールだったと思うんです。ところが、経済が非常に国際化してきておりまして、これはもう日本が拒んでも仕方ない、世界全体がそういうふうになっているわけでございますので、日本としては逆らえない流れがありまして、そういう中で、国際的なレベルで競争が起きてきますと、企業が繁栄するということとそこで働く従業員とかあるいはその背後にいる家族が豊かになるということが一致しない構造が出てきております。  具体的にどういうことかといいますと、例えば企業が収益を上げるために人を切る、あるいは海外に工場を移転する。そうすると、企業収益がどんどん伸びるわけです。伸びるわけですけれども、働いている人は逆に失業しちゃったということでありまして、それが国際化されていない状況でしたら、企業が新たに工場をつくる、どこにつくる、それはもう当然日本だ、当然そうしたら雇用もふえるということで企業の繁栄の富が日本に落ちていたものが、必ずしも落ちるとは限らないという状況が今起きてしまったわけです。これは大きな流れの中でちょっと急には変えられない。そうすると、そういう流れを前提にした上で新しいシステムを我々日本の人も考えていかざるを得ない。  それはどういうことで考えていくのかというと、やはり去る者は追わずで出るものは出ていくで仕方ない、人を切る会社があればそれはもうそれも仕方ないと。問題なのは、去るものがあるけれども、入ってくるものもあるのか、あるいは切られる人がいるけれども、反対に雇ってあげるという会社がそこで登場するのかということでありまして、実はアメリカの九〇年代というのはそれができた時代だったんです。  アメリカも八〇年代のおしまいから九〇年代の頭のところは非常に不況でございまして、企業がどんどんどんどんリストラをしていって人を切って、あるいは工場を移して、失業はふえる、ところが企業の収益は史上最大という、失業者がふえるということと企業収益が史上最大を記録するということが同時並行的に進むような現象が実際に起きたわけでありますけれども、ところがその一方で、やっぱり企業がもうかった収益を新たな投資にして人を採用する、新しい産業を興すという形で最終的には九〇年代の繁栄につながっていった。  そういう構造があったので、出るものはしようがないし、切られるものはしようがないんだというところまで割り切ってしまうと、では、次に入ってくるものがあるんですか、あるいは新しい企業ができるんですか、そこがポイントで、それがないのが日本の問題。そこをやっぱり真剣に、もうこれは国家的な課題として真剣に考えていくべきテーマだと思います。
  141. 村松謙一

    参考人村松謙一君) 大変な重たい質問であるし、また重たい回答だと思いますが、我々弁護士としての立場から言わせていただきますと、まず何のために人間というのは生きているのか、何のために不良債権処理をするのか。そういう突っ込んだ議論から始まりますと、やはり不良債権処理というのは、国民の生活安定を望むわけです。それが逆に言うと国民の生活を今かなりな形で悪影響を及ぼしている、精神的な不安構造を招いている。もっと言いますと、将来に対する不安が徐々にふえている。  ですから、やはり不良債権処理、これは大切なことだと思いますし、やらなければならない問題だと。問題は、その処理の方針と方法、それからRCCさんを含めたサイドの権限の問題というのは確かに大切で、議論をしなければならないんですが、要は、それが小を利して大を殺してはならないから、一般国民の方々の声をもう少し皆さん、ぜひ吸い上げていただいて、皆さんには全く影響ないかもしれませんけれども、本当に日夜お金に困っている方々皆さんの力で何とかできる、また我々もそれに協力しなければならない。そうなりますと、この不良債権処理というのはそんなに大至急すべきものかどうかということをもう少しじっくりと考えていただくのが我々の意見となりますが。
  142. 山田能伸

    参考人山田能伸君) 資本主義の原理というのは大変単純でございまして、市場から限界的な企業が退出する、したがって残った企業が非常に効率的な市場をつくり上げて、それが株価を上げる、株価を上げることが全国民の富に通じる、こういうのは非常に単純な原理で、今、世界じゅうの資本主義ではこのアメリカ型の原理で動いております。これはまさにアメリカのビジネススクールで最初に習うテーマであります。  ただ、日本の今の現状がこれに即したものになっているかというとそうではなくて、日本の今の経済システムというのは、どう考えても、戦後ずっと続いている復興経済型の体制にあると思います。復興経済型の体制というのは、どちらかというと限界的な企業を温存しがちな部分があるんですね。ところが、市場原理はそれと全く相反する部分がある。  先ほど村松先生のお話を聞いていてよくわかったのは、市場が追い詰めているのは金融機関ですね、金融機関側が中小企業を追い詰める、こういう形になっていると思います。ところが、市場原理を排除できるかというと、今、日本現状からそれはできないということで、市場原理と実際にそこで出てくる痛みの間のセーフティーネットというのは多分別の原理、別の話として議論していくべきじゃないかと、こういうふうに思っております。
  143. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 村松先生に伺いたいんですが、私さっき申しましたように、日本人を首にできないんだし、首にできない人をほったらかして自殺に追い込むというのは確かによくない。その小を全部救おうじゃないかというと、それでみんな弱っちゃったというようなことになるとどうなるのかなという、そのあたりはどうお考えですか。
  144. 村松謙一

    参考人村松謙一君) 我々弁護士であって、企業の医者のようなものですけれども、これが臨床学会というのがお医者さんである。我々弁護士会では残念ながらそういうことはありませんが、本当の一部の抽出のテストとして我々百以上の会社を仮に、再建しておりますが、その抽出した結果、小を救うことで大を全部殺してしまうということはあり得ません。現実に実体験の中でも、小を生かすことでリンゴが腐らないでさらに十個のリンゴを全部きれいな形にすることは実現しておりますし、現実問題として世に送り出しています。  ただし、本当にどうしてもだめなものは排他しなければならない。だから、悪、いわゆるやくざ、違法性のあるもの、違法性のある会社、どうしてもだめなものは駆逐しなければならない。しかし、今、要注意先とか何かでいわゆるグレーゾーンの方々が八割方あります。この八割方は私は一〇〇%再建することは可能だと自負しております。  以上です。
  145. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 山田参考人に伺いたいんですが、ここにレジュメをいただきましたけれども、「外国人投資家から多い質問」というのがございますね。「政治行政現状を「危機」と認識しているのか、」。政治行政だけなんですか。民間の経済人は入らないんですか、みんな、それは聞きませんか。
  146. 山田能伸

    参考人山田能伸君) おっしゃるとおりです。実際は、今の株価を見ていると、非常にどの企業も大変低い。したがって、株価を低くした原因というのは基本的には企業経営者であります。したがって、企業経営者がもっとまじめにリストラをすべきじゃないかということでしょうね。だからこそ逆にそれが株価を下げる要因になっているというふうに思います。ただ、企業経営者だけでは本当にできないものについてはやはり政治行政がかかわるべきだと、こういう意見だと思います。
  147. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 もう最後ですが、高月参考人に伺いたいんですが、要するに先ほどからの御意見を聞いていると、強制しないと民間は動かないんじゃないかというお考えをお持ちのように思いましたが、そういうことでしょうか。
  148. 高月昭年

    参考人高月昭年君) そうです。実はこれ、政府の政策でボタンのかけ違いが一つ発生しているんだと思うんですけれども、それは具体的にどういうことかといいますと、九八年に金融再生法をつくるときにあわせて早期健全化法というので公的資金注入をやりまして、そのときに経営再建計画を出すようになっております。  そうすると、公的資金を受けているところは経営を健全にしなきゃいけない、利益も出さなきゃいけない、それから自己資本比率も向上させるようにしなきゃいけない。本来、それは非常に理想的な姿です。不良債権処理もしながら体力も強化していくというのは理想なんですけれども、両方並行してできないところまで追い詰められているというのが現状でありますから、そうすると、やっぱり、じゃ、もう不良債権処理しなくていいよと言うのか、あるいは自己資本比率とは何だということをちょっとしばらく棚上げにするよという方向を選ぶのか、どちらかの選択にもう来ているのではないかなというふうに思っております。
  149. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) よろしいでしょうか。時間も参りました、よろしいでしょうか。
  150. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 はい、もう終わります。
  151. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人皆様に御礼のごあいさつを申し上げます。  参考人方々には、長時間にわたり御出席を願い、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  本日の審査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後二時四十一分散会