○椎名素夫君 余り明確な形では予告しておりませんが、おつき合いを願います。
実は、前から
感じておりましたけれども、
法案をおつくりになってお出しになりますね、これはこういう
法案ですという提案理由の
説明があるんですが、これが実に貧弱なものだと私は思っております。大変に手続的で、今度の提案理由の御
説明を
大臣からいただきましたけれども、一体これ何のためにつくったのかなんというあたりはほとんど書いてなくて、何か信頼性をどうのこうのというような、
証券市場のためこうこうこうしたと、内容はこうですという話だとしか出てこない。その証拠に、きょう、与党の
若林理事が冒頭で、この
法案のねらいは何ですかということをわざわざお聞きにならなきゃいかぬというようなことになっておりますね。これは、この
法案だけのことじゃありません、もうすべてそうだと思います。これはいわば
証券の、株の取引にかかる税金の話ですから、これはすぐれて
財務省の主税の話であると、それは大変結構なんですが、だからその範囲でしか言わぬよということになると、よくわからなくなっちゃう。
今、
改革ということで非常に張り切ってやっておられる、これは大変結構なことだと私は思っておりますが、
日本の構造を大きく
改革しようというのは、今まで壁にあったタイルを張り合わせて、おふろ屋さんの絵みたいのがあったといたしますと、今まで富士山がかいてあったけれども、これはもうやめて、何にしましょうかね、何でもいいんですが、ほかの絵に変えようという話だと思うんです。大変大きな話である。それが
改革ということであって、それから一方では、特殊法人をどうこうしようとか、それから、何ですか、三十兆円枠をどうしようかと、それが全部合わさって
日本は変わっていくんだということをおやりになりたいと言っておられる。しかし、それぞれ、それをばらして
法案をおつくりになるときには、タイルの一枚を持ってこられて、ここのところは今までちょっと黒ずんでおりましたけれども、もっときれいな色に焼きかえますという話をされても、一体富士山が何の絵になるんだろうというのがわけがわからぬというような
感じを受けるわけです。
平和なときには、賢明な、誠実な政治家、それから勤勉で間違いのない官僚の諸君に任せておきゃ大体大丈夫だという、かつての幸せな
時代にはあれでいいんでしょうが、これから変えようという、そのときにはやっぱり、それなりのメッセージが
一つ一つの
法案にも常に繰り返されるというようなプレゼンテーションをやっていただくということが非常に私は大事だと思うんです。
殊に今、
国民が確かに不安を抱いているようなときに政治に関心が集まっている。そして、例えば
委員会の模様なども、どんなことを一体話しているんだろうかというようなので、のぞいてみたいというようなところまで政治に対する関心が来ているときに、タイル一枚、色合いを変えますという話をやっているということになると、ここに、きょう五時間ですか、傍聴の方が座っていても、何の話をやっているのかわからないということになる。そこのところをぜひ、お二人とも小泉
改革の中心におられる
大臣でいらっしゃるので、考えていただきたいと思うわけです。
それで、実は思い出すんですが、この同じ
委員会で、実は去年、三月の十四日に私が、
個人のお名前まで出して引用するのは余り好むところではないんですが、物事をはっきりさせるために、要するに、前
財務大臣に私は伺った。今、非常に大変なことになっておって、当時ですね、あえて聞きますが、
国務大臣をお引き受けになったときに、抱負というか、何をやろうとお思いになってお受けになったか言ってくれと、こう言ったんです、私が。そうしましたら、そのお答えは、
これだけ不況が続いて、各四半期ごとの
経済成長はずっとマイナスになっている、この不況をとにかく脱却してプラス成長のサイクルに戻すことが大事で、そのためには何といっても財政が総力を挙げて出動して、いわば誘い水を出して、それは主として公共事業とか減税とか
金融の手当てとかいうことでございますが、それによって民間の
経済力、消費と設備
投資が
経済を主導するところまで持っていくのが
自分の仕事である。そのために、財政再建というようなことはいいことであるが、当面、これは一遍棚上げをさせてもらって財政をフルに総動員するしかないと、こういう気持ちでございました。
こうおっしゃったんです、これは一年半前ですが。
これと比べますと、じゃ、いつまでそんなことをやっていていいんですかという話で、実は、あるいは御記憶の方もあるかもしれませんが、
経済のパラダイムが変わってきているんじゃないかと。現在の、というか当時のですね、パラダイムでずっと推し進めていくと新しいパラダイムにぽんと急に乗り移れるということになるんでしょうかという話をしたんです、私が。そうしましたら、
大臣が、いや、そういうことは余り表面には大げさにはあらわれていないけれども、粛々と進行していると思う、私は
日本人の賢さということを信頼しておるので変わっていくだろうと思う、そしてその新しいパラダイムに
日本の
経済が乗り移るまでのこれはコストだと思っておると、こういう話をしていただきました。これ、大分違うんですね、だから、今とは。
前
大臣は、
日本人は利口だからもう変なことはわかっているので、少し時間はかかるかもしれないけれども変わるだろうとおっしゃったわけです。小泉総理
大臣あるいはお二人とも
大臣はそうなんでしょうが、変わるだろうなんて言っているわけにはいかない、変えちまうんだと、こうおっしゃっているんでしょう。これは物すごい違いなんですね。
その違いということがあって、そして全体の絵の中の
金融というところは大体こんな格好になって、富士山の絵をかくんだったらふもとのところです。その中の一枚のタイルをやっておりますという話をしていただかないと、本当にわけわからない。
ですから、私は思うんですが、政府というのは
一つしかないから、コンペティションがありませんからこんなことで通用しますが、もし二つ政府があって、政策、その提案、プレゼンテーションのコンペをやったら、この
程度のことをやっていたら負けますよ、これ。ですから、そういうような相手がいても絶対負けないというような態度でやっぱり臨んでいただかないと私はいけないと思いますので、ぜひそれは将来とも、御所管の省だけでなしに
内閣全体としても考えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
ついでにちょっと言っておきますが、今私が読み上げました一年半前のそういうパラダイムであったというときも、政府提案というのは要するに商品のプレゼンテーションだと考えると、与党の
皆さんはそれの
セールスマンだと思うんですが、そのときも悠々と聞いておられて、そしてまた今こうして座っておられて、全然違う話でこう悠々としていらっしゃるというあたりも、少しお考えを奮い立たせてちゃんと
議論していただければと思います。これは蛇足ですが、
大臣にお答えいただきたいと思います。