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国務大臣(
柳澤伯夫君) 預金者を保護するということについては、まず基本的に、預金者、負債側ですが、資産の側でこれを健全に維持すれば自動的に預金者は保護されるという
関係が成り立っているわけでございます。したがって、資産の方の
リスクをどうやって回避するかということは預金者保護にまさに結びつくわけでございます。
資産の方が仮に、そうはいっても元来が
リスクを抱えているものでございますから、したがって、その
リスクが顕在化して何がしかの損が立つということになった場合には、まず担保だとかそういうもので保全がなされるわけです。あるいは引当金であらかじめそういう損失を見込んで手当てがなされるわけですけれども、それで及ばないということになれば次は資本というものに、資本が負担を引き受けるという形で、毀損をするということでそれを受けとめていくと、こういうことになるわけでございます。
そこで、それじゃ資産の側にある
株式の
保有制限というものをしたわけですけれども、これについては別に、例えば価格変動準備金のようなものが、仮に税法が認めていればそういうようなことだってあり得るわけですね。しかし、そういうものは今はもう認められておりません。したがって、もしそういうことになればいきなり資本のところに直撃をしてくるというような仕掛けになっていると言っていいんだろうと思いますけれども、そういうことで、この
株式の
保有というのはやっぱり価格変動
リスクというものがなかなか大きいものだと、こういうことでございますので、これを
リスク管理の視点から間接的に
規制をしていくということも可能なんですね。
というのは、要するに
自己資本比率を
計算するときに、資産は百という値段なんだけれども、
リスクウエートをかけてこれはもう一・五倍しちゃうと。
リスクの資産としては百五十持っているというふうにすれば
自己資本比率は下がりますから、そういう負担のある資産は余り持ちたくないねということで間接的にこれを
規制していく方法もあるわけですけれども、その
リスクウエートによる
リスク管理というのはまだ
バーゼルの
銀行監督委員会の方でも
結論が出されていないわけですね。したがって、今は一というか一〇〇%になっているわけでございます。
そういうようなことで、じゃこれをほっといていいのかというと、やっぱり
日本のようなかなり大きなウエートで
株式を持っているというところについては、これはやっぱり今度は総量で直接
規制をとりあえずしておいたらどうだろうかという発想に今回なったと、こういうことでございまして、そのときの限度というか上限というものをどういうふうに考えたらいいかと。これは
結論はなかなか、一義的に何か論理の問題として決まってくるかというと、そうではなくて、これは政策判断の問題と、こういうことになるわけです。
そこで、いろいろ考えたところ、
自己資本の中の最もコアな部分とされる
ティア1、いわゆる基本的部分というものですが、それと同額ぐらいのところに、当分の間、上限として
規制していくのがよろしいだろうということになってそういうことにしたということで、これは論理とかそういう理論の問題というよりも、むしろ限度についての
一種の政策判断というふうに御理解を賜れればと思います。