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国務大臣(
柳澤伯夫君) このたびの
銀行法の
改正では、先ほど来御
議論をいただいております他
業種からの
銀行業参入の問題と同時に、
規制緩和の一環としての
措置のために
法律の
改正をお願いしているわけでございますけれども、この
銀行の
業務範囲、信託等でございますが、そういったものについての
規制緩和や営業所等のこれまでの
規制を大幅に緩和する等の
規定については、そうした
規制緩和の一環であるということを十分御理解賜りたいと思う次第でございます。
さらに、この
規制緩和につきましては、現在政府が閣議決定しております
規制緩和推進三カ年計画にいろいろとなお今後とるべき
措置等についても並んでおりますので、これらについてもそのスケジュールに沿って着実に進めてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
それからまた、
日本の
金融業、広義の
金融業、これは
銀行、証券、保険といったようなものをすべて含んで考えますときに、これを一体どういうビジョンのもとで今後導いていくのかという大問題が率直に言ってございます。
金融業も欧米の先進諸国においては業態の垣根がぐっと低くなりまして、相互に
参入する、子
会社を通じてのみならず、本体でもって兼営を認めていくというようなことも現に行われているわけでございまして、これらをにらんで一体どのような
金融業というものを
日本で
構築していくかということ、大問題でございます。
その場合に私は念頭に置くべきものは、やはり国際的な視野に立たなければいけない。特に現在、二十四時間地球がビジネスアワーを持っているわけですが、その三分の一をアジアというか、
日本を中心としてアジアが担っているという事実もございまして、これを活用しない手はないと。それで、その八時間を受け持つことのみならず、それを他の十六時間を
担当するヨーロッパあるいはアメリカと競わなければいけない。その
競争上、劣位に置かれるというようなことは断固避けなければいけないというような視点が
一つあるわけでございます。
もう
一つの視点は、先ほど先生お触れになられたかと思うんですけれども、
日本には非常に大きな政府系というか公的な
金融の部門がございます。これとの折り合いというか、これを一体総合的にどういうふうに仕組んでいこうとするのかという大きな問題があるわけでございます。もちろん、政府系あるいは公的の
金融機関は民業の補完ということでありますけれども、いつの間にかそれが非常に大きな存在になってきた。最近は特に、この厳しい
経済情勢の中で、皮肉なことに、民業の補完であるべきだあるべきだという一般論のもとで、具体的にはこうした公的な
金融に頼ろう頼ろうというような
措置がどんどん出てくるというようなことで、総論と各論がおよそ逆行するような、そういう事態も正直言って我々の眼前にあるわけでございます。そういうものをにらんで、一体この公的な
金融というものをどのように位置づけていくか、これは非常に難しい問題であります。
私は、大変浅学かつ非才でございまして、これらの問題についてみずからで何かビジョンを考えろといっても、これはなかなか難しいわけでございます。こんなに私が今言ったような広い視野には必ずしも立っているわけではないんですけれども、実は最近においても、アメリカ、イギリスともに、二十一世紀の
金融業のあり方がどうあるべきかということを当局が識者に依頼してリポートをまとめてもらっているというようなことも実はありまして、もう立派なリポートがそういうアメリカの当局あるいはイギリスの当局からは出版されて、
日本でも翻訳もなされております。
そういうのを考えまして、私、今回こうしたお役をいただくに当たって、至急に
日本も、二十一世紀の
金融業、広い
意味の
金融業のあり方のビジョンをつくる、そうした機関をつくってもらいたい。
金融審議会というのが当然その役に任ずべき立場としてあるわけですが、
金融審議会の人たちにはビジョンではなくてもっと具体的な課題を次々御審議いただかなきゃならないというようなことも率直に言ってございまして、その上にさらにそうしたこともお願いするというのはいかにもこれは過重であるというようなことで、最近、
日本型
金融システムと行政の将来ビジョン懇話会という、もう自由に何でも言える、言い合える、そういう機関、機関と申しますか、場を
一つつくらせていただきまして、今、鋭意そうしたことについてのお取り組みをお願いしているところでございます。
そうしたことの中からいい
一つの素案が出てきて、そしてまた各院の皆様方、専門の皆様方にもそれをたたき台としていろいろ御
議論を願うということが今言ったような将来のビジョンづくりのために早急に求められていることであろうと、こんなことを考えているわけでございますが、先生のお話に対して今ここで私が何か申し上げられるような準備があるかといえば、大変恐縮ですが、そういうことにかなうだけの考えを今現在持っておりませんので、そうした現在のその問題に対する私の取り組み方の一端を御披露してお答えにかえさせていただきたい、このように思います。