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2001-10-30 第153回国会 参議院 財政金融委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十三年十月三十日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山下洲夫君     理 事                 入澤  肇君                 林  芳正君                 若林 正俊君                 円 より子君                 山本  保君     委 員                 上杉 光弘君                 尾辻 秀久君                 金田 勝年君                 鴻池 祥肇君                 坂野 重信君                 中島 啓雄君                 溝手 顕正君                 山下 英利君                 大塚 耕平君                 勝木 健司君                 櫻井  充君                 峰崎 直樹君                 浜田卓二郎君                 池田 幹幸君                 大門実紀史君                 大渕 絹子君                 平野 達男君                 椎名 素夫君    国務大臣        財務大臣     塩川正十郎君        国務大臣        (金融担当大臣) 柳澤 伯夫君    副大臣        内閣府副大臣   村田 吉隆君        財務大臣    尾辻 秀久君    事務局側        常任委員会専門        員        石田 祐幸君    政府参考人        内閣府政策統括        官        小林 勇造君        金融庁総務企画        局長       原口 恒和君        金融庁監督局長  高木 祥吉君    参考人        日本銀行総裁   速水  優君        日本銀行政策委        員会審議委員   田谷 禎三君        日本銀行政策委        員会審議委員   中原  眞君        日本銀行理事   黒田  巖君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○銀行法等の一部を改正する法律案(第百五十一  回国会内閣提出、第百五十三回国会衆議院送付  )     ─────────────
  2. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  銀行法等の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会内閣府政策統括官小林勇造君、金融庁総務企画局長原口恒和君及び金融庁監督局長高木祥吉君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  銀行法等の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会参考人として日本銀行総裁速水優君、日本銀行政策委員会審議委員田谷禎三君、日本銀行政策委員会審議委員中原眞君及び日本銀行理事黒田巖君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 銀行法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 山下英利

    山下英利君 おはようございます。自由民主党の山下でございます。トップバッターといたしまして、この銀行法等の一部を改正する法律案に関連する質問をさせていただきます。  今まさに、金融機関不良債権処理問題等金融システム構築ということが日本経済回復に、もう本当に待ったのない、いっときたりともおくれることの許されない非常に大切な状況にあると思われますけれども、その中にあって、今回のこの銀行法等の一部を改正する法律案の大きな趣旨であります、異業種銀行業参入してくる、このことに対する考え方につきまして、それを中心に御質問をさせていただきたいと思っております。  今回の異業種参入動きにつきましては、我が国金融活性化につながる、従来、銀行という一つの大きな護送船団、そういった方式から、枠を離れて新しい異業種活力を導入する、そしてまさにIT化が進む中で決済システムも変わってきている、そういったことを考えますと、これは必要であり、基本的に歓迎すべきものというふうに私は思っております。その中で、そもそも銀行というもの、これが金融システムを新しく構築し、そしてさらに強化するためには、その中で銀行の受け持っている役割、これを明確に認識をして、そしてそれに対する的確な対応をしていかなければいけない、そのように私は思うわけであります。  そもそも銀行というものが持っている機能、これを大きく分けますと、いわゆる与信、貸し出しをし、あるいは預金を預かり、要するに信用創造をしていく機能である。そしてもう一つの大きな機能、これは資金決済機能であります。今まさに金融機関不良債権の処理問題ということで大きく取り上げられているのは、前段の要するに与信信用創造のところの部分がほとんどでありまして、実は銀行というのは本当に資金決済決済機能というものが金額的にも莫大な金額を動かしていると。そのことを考えた銀行に対する諸施策を進めていかなければ、これは単にその銀行取引先ということではなくて、全く第三者の、要するに社会経済を大きく混乱させる要因になってきてしまう、そういう観点を私は常に頭に置いて問題を見させていただいております。  最初の質問でございますけれども、金融システム構築に係りまして、信用創造機能与信部分、そして決済機能という大きな二つの項目があるわけですけれども、金融庁として、今回のこの異業種参入、この動きに対しては、こういった点を踏まえてどのように評価をされているか、それを担当柳澤大臣からお答えをいただきたいと思っております。
  8. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) ただいま、今回の銀行法等の一部改正法案に関しまして、この法律のねらいの一つであります異業種銀行業への参入ということに絡んで、全体の金融システムを再構築しなければならないという時代要請を考えたときに、今回のこの異業種からの銀行業への参入というものをどうとらえるべきかと、こういう御質問かとお受けとめいたしたわけでございます。  今御指摘のように、まさに金融機関というのは、信用創造機能を果たすと同時に、決済機能という非常に重大な、経済が円滑に運行するためにもう決定的に重要なそういう機能を果たしているわけでございます。  ちょっと話はそれますけれども、預金保護というものをどういう意味で行うのかということについてもう非常にぎりぎり詰めていくと、結局はこの銀行決済機能を守るために預金保護をすべきであるということなんだというふうに定義づける学者の説もあるくらいでありまして、金融システムにとって決済機能というものが非常に重要だというようなことが、そういった説からも裏づけられているというふうに私は考えているわけでございます。  そうした中で、異業種からの銀行業への参入というものをどうとらえるべきかということでありますが、どういう機能を持つものであれ、金融機関がその事業活性化しなければならない、このことは現在においてももう決定的に重要だと私は考えております。不良債権の問題というものを処理する場合に、それは一義的には健全性確保ということではありますが、その健全性確保ということを永続的に考える場合には、それはフローにおける収益性確保というのが裏づけになっていなければ、それはもう本当に一時的、一過的な現象として終わってしまうということでございます。  そういう意味で、私は健全性収益性というのはもう裏腹のものであるというくらいに強く考えているものでございますけれども、そうしたときに、収益性というものを今後考えるときに、それを生み出していくのは何かといったら、それは経営効率化です。そういう効率化をどうやってこれから金融システムの中から生み出していくかということを考えますと、それはやっぱり異業種からの参入等で新鮮な刺激をもらって、果たして伝統的にやってきた銀行業務というのをどうしたらいいかということをもう一度考え直すというようなことが非常に重要だし、私は効率性の向上に資するところが非常に多いと、こういうように考えているわけであります。  そういう意味で、総じて私は、この異業種からの銀行業への参入というものは歓迎をすべきものである、効率性の点から、そしてまた、結局収益力を高め、それがひいては健全性に結びつくということで、ずっとつながっている問題というふうにとらえているわけでありまして、そういう観点から今回の法律案提案をさせていただいておると、こういうふうに申し上げたいと思います。
  9. 山下英利

    山下英利君 ありがとうございました。  次に、日銀総裁にお伺いをいたします。  日銀は、金融政策を遂行される、その中にあって資金決済、これに主たる役割を持たれているわけです。今回、いわゆるネット化IT化等を通じて、今、柳澤大臣からお話があった決済機能、これについて私も、これからの変化の中で、異業種決済機能に対する参入日銀はどう受けとめられて、そしてまたそれに対する考え方、これからの対応、これについてお聞かせいただきたい、そのように思っております。
  10. 速水優

    参考人速水優君) お答えいたします。  異業種からの銀行業参入動きにつきまして、金融サービス業として競争を活発化させていく、それから利用者の選択の幅を広げていくという点で大変望ましいことであると思っております。  御指摘のように、金融といえば、まず与信信用供与。それに伴って不良債権といったようなものが起こってくるわけですけれども、と同時に、一般に大切なことは、決済システム機能安全性とそして便利性ということが大切になってくると思います。そういう意味では、今回のこの法改正というのは、また幾つかの異業種からの銀行業が既に起こっているということは大変結構なことだと思っております。  ただ、これまで異業種銀行参入したケースを見ますと、親会社店舗網、そしてインターネットに依存した無人店舗営業が共通の特徴となっております。こうした先について、システムダウンといったようなことが緊急時に起こって、それに対してどう対応していくのか、今のところ、代替的な決済手法といいますか決済手段といいますか、よく言われるバックアップセンターといったようなものを必ず設けておかなければ何が起こるかわからないと。それから、十分な現金の確保、これにはやはり親密先銀行からの支援体制というものが確立されている必要があると思いますし、緊急時の資金調達方法といったようなことも万全を期していく必要があるというふうに考えております。こういうことで、決済システムの混乱の波及を未然に防止するということが必要であると思います。  日本銀行としましては、この種の新しい仕事というのは、ベンチャービジネスと言ってもいいのかと思いますが、決済システムの安定を通じて信用秩序の維持を図るという観点から、従来から、取引先財務内容決済リスクを含むリスク管理等につきましては、考査やモニタリングを通じてチェックをしてまいっております。こうした点では、異業種参入銀行についてもしっかりと見てまいりたいと。そして、育っていくことを期待しております。
  11. 山下英利

    山下英利君 ありがとうございます。  そうしますと、今回のこの法案改正において、日銀決済システム、従来の決済システムの中に新しい異業種銀行も組み込んでいくと。特に、今回の異業種参入に伴って、システム自体を見直すということに対するお考えというのはお持ちでいらっしゃいますか。
  12. 速水優

    参考人速水優君) お答えいたします。  そのとおりでございます。従来のシステムの中で十分考えていけることだと思っております。
  13. 山下英利

    山下英利君 ありがとうございました。  続きまして、今回の法改正に関しては、既に異業種がもう入ってきているということで、現実が先行しているというふうな側面があるかと私は思っております。こうした銀行に対して現行法に基づいてどのように対応しているのか、あるいはなぜ今まで異業種参入してこなかったのか、そういう要請がなかったのか、また現行法対応では不十分で法改正が必要な点というのは何か、これらの点につきまして改めて御当局の御説明をいただきたいと思っております。よろしくお願いします。
  14. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) これまで異業種がなぜ参入してこなかったかと、こういう御質問でございますが、既に四つの会社が存在するわけでありまして、そういう意味では、法律のこうした異業種参入するに当たりましての手当てがおくれていると、こういうことであるかというふうに思います。  我々としては、バーゼルのコア・プリンシプルによりまして、こうした異業種銀行業参入してくる場合の手当てというものを急いで検討してきたわけでございますけれども、今回の銀行法改正をもって御提案を申し上げていると、こういうことでございます。  戻りますが、今までなぜ参入してこなかったかということについて、現行銀行法上、これこれの事業会社銀行業参入してはいけないという規制があったと、こういうわけではありませんけれども、最近の金融自由化動きとか、あるいはITのいろんな技術が進みまして、特定の銀行業につきましては参入についての初期のいろんなコストが安くできるようになったということ等もあって、かつまた、いろんなビジネスモデルを考えていく中で、事業会社金融業を、銀行業を行うことによってその相乗効果をねらってくるということもあったかと思いますが、そうした意味で新しく異業種参入してくるような状況になったと、こういうふうに考えております。  具体的に、大まかに言いますと、今回の銀行法改正によりまして、異業種から銀行業参入する、そして株式を取得する場合において五%以上の、五%超の株式を取得する、そういう異業種といいますか事業会社について届け出をしていただくと。そして、それがもっと多くなりまして二〇%超になった場合には認可対象とするということで、具体的にチェックをして異業種参入によります銀行業本体に対する悪い影響を除去していくということを考えていきたいと、こういうふうに思っているわけでございます。
  15. 山下英利

    山下英利君 ありがとうございました。  ここで日銀総裁一つ質問をいたします。  確かに、決済システムネットシステムネット化が進み、IT化が進み、システムが変わってきているという中で、やはり決済というところをきちんと見て、そして金融政策の円滑な実施を図っていかなければいけない。日銀考査で従来、金融機関、その辺のところを見ていただいておりますけれども、これから決済機能というところをじっくりと見て、そして日銀としての金融政策が円滑に図られるように、ここのところを重点を置いていただきたい。これは質問というよりも私のお願いでございます。  日銀総裁におかれましては、ありがとうございました。私の質問はこれで。日銀総裁は結構でございます。
  16. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 速水参考人、御退席いただいて結構でございます。御苦労さまです。
  17. 山下英利

    山下英利君 今回の一部改正する法律案につきまして、内容的に見て、ちょっと御説明をいただきたい部分もございます。  そもそも先ほど言った決済機能というのは、銀行公共性という部分と非常に大きなつながりがあると。銀行がなぜ公共性があるのかといった場合に、やっぱりこの決済機能というところが非常に重要な部分だと私は思っておりますけれども、最近は銀行も低金利時代で利ざやが縮小しておりまして、収益的にも非常に厳しい。そして、こういったネット化が進むことによって、今度は為替送金等の手数料の競争にも入ってきていると。そういういわゆる異業種活力が入ってきて活気が出てくるということはあります。競争力がなければやっていけないというふうな収益構造ではございますけれども、異業種はこの公共性に対してどのように考えているのかということも、私は一つ大きな懸念と申しますか、判断材料になるかと思います。  今回送られてきました法案の中身を拝見しますと、衆議院では、主要株主の範囲が狭いのではないかと、そのような議論もあったと承っておりますけれども、この点に関します考え方につきまして改めてお示しをいただきたいと、そのように思います。
  18. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 衆議院でもさまざまな観点から議論をちょうだいいたしたところでありますけれども、今回の異業種銀行業参入する場合のチェックの仕方につきましては、既に我が国だけじゃなくて欧米でもそういう体制が整えられているところでありまして、対象とする株主の取得する株の比率についても違いがありますし、それからチェック対応についても、諸外国においてもさまざまなやり方がとられているわけであります。  私どもとしては、企業会計基準におきます実質影響力基準というものを踏まえまして、その事業会社銀行経営に対する実質的な影響力、これに着目いたしまして、二〇%以上の株主主要株主と位置づけると、こういうことにさせていただいたわけであります。  なお、金融審議会の第一部会報告においても、そのような株主対象とすることが適当であるということを指摘されたわけでございます。
  19. 山下英利

    山下英利君 そうしますと、今回この法改正によりまして、主要株主となるためには事前の認可も必要であるという新しい規制が入ってくる。新しい規制が入ってくれば、これは異業種からの参入が不当に妨げられるのではないかというような声も出てくる。また一方では、法律上の認可基準があいまいじゃないかというような議論もあったようにお聞きをしておりますけれども、認可基準明確化、それから決済性リスクをどう判定するか等々、そういった考え方をはっきりさせておく必要があるんではないかなと、私はそのように思います。  一方では、銀行公共性のある業務をやっているわけですから、株主影響力が悪用されることによってその健全性が損なわれるようなことがあってはならないということが前提条件になりますので、銀行株主財務面だけでなくて、社会通念上の健全性確保するために十分な措置がこの法案に盛り込まれているのかどうかということもあわせてお聞きをしたいと思います。  株主の異業種業務内容チェックして、そして銀行に、銀行自体には他業規制等がありますけれども、株主についてそういったところまで踏み込んで審査をされるのか、その辺の基準というものをお知らせいただければありがたいんですが、よろしくお願いします。
  20. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 先ほどから委員から、財務面健全性だけではなくて、広い意味での社会通念上の健全性が必要ではないか、認可に当たってそういう判断が必要じゃないか、こういう御指摘がありまして、改正法におきましても、銀行法第五十二条の十におきまして、主要株主は「銀行業務公共性に関し十分な理解を有し、かつ、十分な社会的信用を有する者であること。」と、こういう規定が設けられまして、主要株主認可に当たりましてはそうした観点からの判断がなされると、こういうふうに思っております。  ただいまのように、法律上では基本的な考え方を示したところでありますが、免許審査基準等については内閣府令でその詳細を定めておりまして、主要株主についての認可基準についても同様な措置を改めて起こしたいと、こういうふうに思っております。  その内容でございますが、異業種による銀行業参入等、新たな形態の銀行業に対する免許審査監督上の対応とか、金融審議会報告などを踏まえまして、事務的に検討を今後進めまして、パブリックコメントの手続を経た上で策定していきたいと、こういうふうに考えております。
  21. 山下英利

    山下英利君 ありがとうございました。  次に、これから異業種主要株主が入ってきた場合の異業種事業会社による銀行業という点で、銀行公共性にかんがみて、検査体制といったところが非常に重要になってくる、そのように私は思っております。  金融庁は今まで金融機関検査監督を行ってきたわけでありますけれども、本件後は主要株主金融機関とは限らないという状況になります。こうした点を踏まえて、主要株主に対する検査監督のあり方についてどのように考えておられるのか、また異業種事業会社に対して、検査監督責任は今度はだれにあるのか、あるいは株主監査人責任はどういうふうに見るのか、その点につきまして御説明をいただければありがたい。
  22. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) まず、銀行主要株主に対する検査でございますけれども、主要株主のルールは、これは、銀行経営影響を及ぼし得る者が不当に影響力を行使することがあるとすれば、それをどのように防止するかと、そういう問題意識に基づいて整備を行っているものでございまして、金融機関であれ事業会社であれ、基本的な考え方に違いが生ずるものではないと考えております。  主要株主に対する報告徴求あるいは立入検査は、その権限の行使の程度や態様によりましては主要株主経営に過度の影響を及ぼすおそれもございます。こういったことから、金融審議会報告におきましても、特に必要な場合に限り必要な限度において実施し得ることとすることが適当という報告を受けておりまして、その旨の規定法案に置いているわけでございまして、その趣旨を踏まえて適切に対処してまいりたいと思います。  また、外部監査人役割についての御質問ございましたが、主要株主に対する報告徴求につきましては、これも金融審議会の第一部会報告におきまして、銀行健全性が損なわれるおそれがあるような、さっきの特に必要があるような場合以外の場合の一般的な場合におきましては、有価証券報告書などのディスクロージャー資料を基本とすべきであるということが言われております。  また、改正法においてもこれを踏まえて対応していくこととしておりますが、こういったディスクロージャー資料等適正性確保に当たっては、外部監査人チェックというものは、主要株主である事業会社に限らず、一般的に極めて重要なものでございますので、改正後の銀行法に基づく主要株主チェックの問題に際しましても、外部監査人に期待される役割は大きいものというふうに認識をしております。
  23. 山下英利

    山下英利君 今の外部監査人責任等についてお聞きをした背景なんでございますけれども、主要株主、その出資比率が多くなればなるほど、そこの銀行業に対して、要するに役員を派遣する、実際の経営権を行使していく、そういった立場になろうかと、そういうふうに思いますので、事業会社銀行とのそういった、ある意味では、アームズ・レングス・ルールですか、今回は改正もされておりますけれども、言ってみれば利益相反、これを厳重に見ていかないといけないと、そのように思っておるわけであります。  したがいまして、異業種主要株主に対する報告徴求や、あるいは立入検査銀行健全性確保のために特に必要な場合に行うとされておりますけれども、具体的にどのような場合を想定されているのかということをまた改めてお聞きしたいのと、それは金融庁単独でその検査を行うのか、あるいは所轄の省庁あるいは外部監査人と連携して行うのか、その辺のところのお考えを聞きたい。  そして、その銀行が健全な経営をされてないといったときに、従来、銀行に対してお出しになっていらっしゃる業務改善命令、これを異業種主要株主責任を明確にするという意味から出すということもあり得るのか。私自身、銀行公共性を考えると、これは必要なことではないかというふうに思うところもありますけれども、御当局はどのようにお考えになっていらっしゃるのか、御説明をお願いいたします。
  24. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) まず、特別な報告とかそういうものを受ける具体的なケースとしては、これは区々な場合があると思いますが、一般的には、株主が子銀行等に対して不当な影響力を行使することによりその銀行経営健全性が損なわれるおそれがある、あるいはそういう状況が見られるといったような場合に、そういう場合に限って当該個別事案に即した報告を徴求する、あるいはそういう場合に検査をするということかと思います。  これは検査でございますので、金融庁の仕事として行うということになろうかと思います。
  25. 山下英利

    山下英利君 ありがとうございます。  そうしますと、例えば役員が出向していると、その銀行に対して主要株主から派遣される役員がどういった業務をやって、そして実際にどういう責任を持つかというところまで今回の認可基準というのは見ていかれるということでよろしいんでしょうか。
  26. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 子会社の場合であっても、その役員の構成等、銀行が果たすべき公共性にかんがみて適正と認められるというのは一つの視点になっているというふうに認識いたしております。
  27. 山下英利

    山下英利君 ありがとうございました。  次に、今回のこの法律案では、先ほどちょっと申し上げましたいわゆるアームズ・レングス・ルールの改正が行われているわけでございますけれども、従来、銀行に対してありました大口信用供与等の規制について、主要株主についての対応というのがないように私は思うわけであります。  いわゆる異業種事業会社主要株主となった場合には、銀行と必ずしも目的が一致しない部分、方向性が違ってきてしまう部分、そういったことも起こり得ると考えておるんですけれども、いわゆる機関銀行化の防止ですね、この観点から大口信用供与等の規制というのは重要ですけれども、この点につきまして御当局はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  28. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 今のお答えの前に、先ほどちょっと一つお答えを飛ばしまして、恐縮です。  業務改善計画等の提出を求めることがあるかということでございましたが、特に必要があると認められる場合には、主要株主のうち五〇%超の株式を所有する株主に対しましては、銀行健全性確保するための改善計画の提出を求めることができるという旨を法律に新たに規定をしております。補足させていただきます。  それから、今のいわゆる主要株主銀行とのいわば利益相反の問題でございますが、金融審議会の第一部会報告におきましても、「銀行主要株主に対して行う融資などの取引については、現行の大口信用供与規制やアームズ・レングス・ルールなどを基本にしつつ、主要株主が不当な影響力を行使することによる「機関銀行化」の弊害を防止する等の観点から、主要株主に対する信用供与等について適正な量的規制を設定するなどの追加的な措置につき検討することが適当である。」、との提言をいただいております。  これを踏まえまして、まず法案におきましては、主要株主銀行に不利益を与えるような取引を禁止するいわゆるアームズ・レングス・ルールをこの法案の中に盛り込んでおりまして、銀行主要株主の間で、当該銀行の通常の条件に照らして、当該銀行に不利益を与える取引を行うこと等を禁止しております。  また、大口信用供与等の規制につきましても、主要株主について、機関銀行化防止の観点から、現在の政令を改正して、通常の場合より厳格化を図る方向で今検討を進めているところでございます。
  29. 山下英利

    山下英利君 そうしますと、報告書を求めることができるという今回の法律案趣旨は、実際に健全性を損なうといった場合に、それに基づいて業務改善命令を、子会社である銀行でなくて、主要株主である親会社に出すというふうに理解をさせていただいてよろしいわけですか。
  30. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 今回の法律の五十二条の十三で、「銀行主要株主に対する措置命令」ということで、必要な措置をとることを命ずる旨の規定がございます。
  31. 山下英利

    山下英利君 わかりました。  次の質問でございますけれども、今回の法律案では、言ってみれば規制緩和というところが大きな目的になっております。規制緩和措置が大変多く盛り込まれておりますけれども、今後とも、社会経済情勢が変化し、それに対応していかなければいけない。常に規制を見直し続けていかなければいけないという必要があろうかと私は思っております。  現に、金融界におきましても今、銀行、証券、保険、そういった業態間での連携が盛んに行われている。このような現状の中で、重複いたしますけれども、銀行、証券、保険を含めた民間及び政府系の金融機関に対するこれからの規制緩和についての展望を柳澤大臣にお聞きしたいと思います。
  32. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) このたびの銀行法改正では、先ほど来御議論をいただいております他業種からの銀行業参入の問題と同時に、規制緩和の一環としての措置のために法律改正をお願いしているわけでございますけれども、この銀行業務範囲、信託等でございますが、そういったものについての規制緩和や営業所等のこれまでの規制を大幅に緩和する等の規定については、そうした規制緩和の一環であるということを十分御理解賜りたいと思う次第でございます。  さらに、この規制緩和につきましては、現在政府が閣議決定しております規制緩和推進三カ年計画にいろいろとなお今後とるべき措置等についても並んでおりますので、これらについてもそのスケジュールに沿って着実に進めてまいりたい、このように考えておるわけでございます。  それからまた、日本金融業、広義の金融業、これは銀行、証券、保険といったようなものをすべて含んで考えますときに、これを一体どういうビジョンのもとで今後導いていくのかという大問題が率直に言ってございます。金融業も欧米の先進諸国においては業態の垣根がぐっと低くなりまして、相互に参入する、子会社を通じてのみならず、本体でもって兼営を認めていくというようなことも現に行われているわけでございまして、これらをにらんで一体どのような金融業というものを日本構築していくかということ、大問題でございます。  その場合に私は念頭に置くべきものは、やはり国際的な視野に立たなければいけない。特に現在、二十四時間地球がビジネスアワーを持っているわけですが、その三分の一をアジアというか、日本を中心としてアジアが担っているという事実もございまして、これを活用しない手はないと。それで、その八時間を受け持つことのみならず、それを他の十六時間を担当するヨーロッパあるいはアメリカと競わなければいけない。その競争上、劣位に置かれるというようなことは断固避けなければいけないというような視点が一つあるわけでございます。  もう一つの視点は、先ほど先生お触れになられたかと思うんですけれども、日本には非常に大きな政府系というか公的な金融の部門がございます。これとの折り合いというか、これを一体総合的にどういうふうに仕組んでいこうとするのかという大きな問題があるわけでございます。もちろん、政府系あるいは公的の金融機関は民業の補完ということでありますけれども、いつの間にかそれが非常に大きな存在になってきた。最近は特に、この厳しい経済情勢の中で、皮肉なことに、民業の補完であるべきだあるべきだという一般論のもとで、具体的にはこうした公的な金融に頼ろう頼ろうというような措置がどんどん出てくるというようなことで、総論と各論がおよそ逆行するような、そういう事態も正直言って我々の眼前にあるわけでございます。そういうものをにらんで、一体この公的な金融というものをどのように位置づけていくか、これは非常に難しい問題であります。  私は、大変浅学かつ非才でございまして、これらの問題についてみずからで何かビジョンを考えろといっても、これはなかなか難しいわけでございます。こんなに私が今言ったような広い視野には必ずしも立っているわけではないんですけれども、実は最近においても、アメリカ、イギリスともに、二十一世紀の金融業のあり方がどうあるべきかということを当局が識者に依頼してリポートをまとめてもらっているというようなことも実はありまして、もう立派なリポートがそういうアメリカの当局あるいはイギリスの当局からは出版されて、日本でも翻訳もなされております。  そういうのを考えまして、私、今回こうしたお役をいただくに当たって、至急に日本も、二十一世紀の金融業、広い意味金融業のあり方のビジョンをつくる、そうした機関をつくってもらいたい。金融審議会というのが当然その役に任ずべき立場としてあるわけですが、金融審議会の人たちにはビジョンではなくてもっと具体的な課題を次々御審議いただかなきゃならないというようなことも率直に言ってございまして、その上にさらにそうしたこともお願いするというのはいかにもこれは過重であるというようなことで、最近、日本金融システムと行政の将来ビジョン懇話会という、もう自由に何でも言える、言い合える、そういう機関、機関と申しますか、場を一つつくらせていただきまして、今、鋭意そうしたことについてのお取り組みをお願いしているところでございます。  そうしたことの中からいい一つの素案が出てきて、そしてまた各院の皆様方、専門の皆様方にもそれをたたき台としていろいろ御議論を願うということが今言ったような将来のビジョンづくりのために早急に求められていることであろうと、こんなことを考えているわけでございますが、先生のお話に対して今ここで私が何か申し上げられるような準備があるかといえば、大変恐縮ですが、そういうことにかなうだけの考えを今現在持っておりませんので、そうした現在のその問題に対する私の取り組み方の一端を御披露してお答えにかえさせていただきたい、このように思います。
  33. 山下英利

    山下英利君 ありがとうございました。  まさに銀行法の中で、従来の銀行と今まさに変わりつつある銀行という、形態が変わってきていることは大きなポイントではなかろうかと思っております。  従来は、長期系の銀行、あるいは短期の取引だけを扱う都市銀行、そして信託の銀行、またあるいは中小の金融機関といったような、従来の仕事の区分けで制定されていたというのが今の法律でございます。ただ、今、政府系金融機関の大きな見直しといったところで、民業に民活をするという要請が出てきておることは、従来、長期のいわゆる貸し出しができなかったはずの銀行が、長期の例えば住宅ローンであるとか、そういったところを民間でやりたいと言ってきている。これは、調達の面を考えた場合に、それは民間がリスクをとる話ですというところも踏まえた形でなければいけない。リスクをとるということは、じゃ今度貸出先に対するバーも従来の政府系の金融機関がやっていたものより厳しくなるということが容易に考えられる。そしてまた金利環境についても、その業務に対してどれだけ力を、経営資源を投入してくるか、この辺も見ながら政府としてのお答えをしていただきたい。特に政府系金融機関の場合には、やはり国民の安定した資金調達、これを補佐するという役目が極めて重要だと私は思っておりますので、よろしくお願いいたします。  そして、来年、まさにペイオフが始まります。金融機関といいましても、大きいもの、小さいもの、さまざまあります。中小のいわゆる地方の金融機関、これに対する視点を十分に配っていかないと、地方の経済の大きな阻害要因になるということもあわせて私からお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  34. 入澤肇

    ○入澤肇君 私は、この法律改正に関しまして、金融行政のあり方について御質問申し上げたいと思います。衆議院の議事録も読んでいますので、できるだけダブらないように質問したいと思います。  一見しまして、この今回の異業種参入に伴う規制の強化というのは、ちょっと見ると違和感を感じるんですね。それは、今まで金利の自由化、それから業態別の垣根の取り払い、さらに為替管理の規制の緩和ということで、一般に言われております護送船団方式から金融行政は大幅に自由化の道を歩んできたわけであります。  それを今回、異業種銀行業参入するということを契機にしまして、銀行公共性信用秩序の維持とか預金保護とか金融の円滑化とか、こういう視点から、株主規制株主の構成についての届け出とか認可とか、あるいは機関銀行化を防止するという視点からなんでしょうけれども、経営改善計画の提出だとか、必要によっては、場合によっては認可の取り消しとかいろんな規制を加えているわけですね。  こういうふうに銀行の行政を大幅に転換するその基本的な考え方、理念、それをまず確認しておきたいと思います。
  35. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 入澤委員衆議院での議事録も読んだ上でというふうにおっしゃられたのに、その上に御質問をいただいているわけですが、私はある委員の御質問にお答えしたわけでございます。  今度のは、他業種からの銀行業への参入というものを許すという意味では確かに規制緩和あるいは自由化の一環なんです。しかし同時に、バーゼルの銀行監督委員会がコア・プリンシプルということを他方で打ち出しておりまして、主要な株主というか、あるいは銀行の所有権なり銀行の支配権あるいは影響力というようなものを移転する場合には、それをよくチェックする機能銀行当局は持たなければいけないということを打ち出しておるわけでございまして、したがって私は、他業種からの銀行業への参入というものをできるだけ自由にするということと同時に、その場合にやっぱり銀行当局がしっかりした監督をした上でそういうことが行われるということ、この両方を進めるということにならざるを得ないんですよということを申したわけであります。  いろんな御議論があり得るわけで、もう既にこの参議院の委員会でも、もっと規制を強めなきゃいけないじゃないかというような方向での御議論もあるし、こんなハードルが高くちゃ自由化の実は上がらぬじゃないかというような、ちょっと委員がそちら向きのことというのは早とちりかもしれませんが、そういう両方向の御議論があるわけでございます。  これは金融審議会等でも同様の御議論があったように私、見受けているんですけれども、結局、我々の今御提案させていただいている案というのは、そのいわばバランスをとったところで、この程度で実効のある健全性確保もやるし、同時に実効のある自由化も実現していくんだと、こういうものであるというふうに私どもとしては考えて御提案を申し上げているということをひとつ御理解賜りたいと思います。
  36. 入澤肇

    ○入澤肇君 衆議院の方でも同じような答弁をしているのを読んでおります。バランスをとるということで、このような新しい規制を加えるということはそれなりに意味があると私は思います。  ただ、その中身につきまして、例えば五%とか二〇%ですね。五%というのはたしか独禁法で株式の取得について五%ルールというのがございますね。このようなことから五%にしたのか。欧米各国は一〇%という基準を設けていますね。それから、二〇%というのは、これは企業会計審議会の議論ですか、これを踏まえてやったということが出ているんですけれども、五%なり二〇%の持つ意味銀行経営に対する影響、これについてどのような認識のもとに設定したのかということをお聞かせ願いたいと思います。
  37. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 五%あるいは二〇%の設定した理由いかんということでございますが、まず五%超の株主から届け出を義務づけることとした理由といたしましては、認可を要する主要株主、これは二〇%と設定したわけでございますが、それより相当程度低い率から、そういう段階から銀行株主を把握することによって、グループ所有等の考え方を適用した場合に主要株主に該当しないか、そういうこともチェック対象とすることが望ましいということと、既に五%超の株券等の保有者に対しましては、証取法上、報告義務が課されておりますので、それと照らしますと、銀行株主に対するルールとしてそう過重な負担にはならないであろうと考えられたこと、こういうことによるものでございます。  また、二〇%以上の株主主要株主とすることにつきましては、いろんな御議論はあると思いますが、銀行経営影響を及ぼし得る者が不当に影響力を行使することがないように、それを防止するということの問題意識に基づいて金融審議会等においても御議論いただきまして、その際、やはり企業会計基準における実質影響力基準というものが認可制の目安とする場合の適当な位置づけではないかという判断をしたところでございます。
  38. 入澤肇

    ○入澤肇君 まあそれはそれで了といたしまして、衆議院では、ことしの六月の時点の数字を答弁されているんですけれども、五%超所有の株主が存在する銀行は、全銀行百三十七行のうち四十一行、五%超所有の株主の数は七十四株主、五から二〇%所有の株主が存在する銀行は二十九行、五から二〇%所有の株主の数は六十二株主、それから二〇%以上所有の株主が存在する銀行は十二行、二〇%以上所有の株主の数、十二株主と、こういうふうな数字がありますが、現時点においてこの数字は変わりませんか。
  39. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 平成十三年三月末の数字でお答えいたしますと、五%超の株主が存在する銀行の数は三十七でございます。このうち、五%超二〇%未満の株主しか存在しない銀行は二十一、二〇%以上の株主が存在する銀行は十六行でございます。  それから、同じく平成十三年三月末におきまして、五%超の株主の数は六十三でございます。このうち、五%超二〇%未満の株主の数は四十五、二〇%以上の株主の数は十八ということでございます。
  40. 入澤肇

    ○入澤肇君 何か私が議事録で調べた数字とかなり違うんですけれども、その数字の違いはまた後で確認してもらうことにしまして、改めて、この法律が施行されますと、改正法の附則の三条から五条の規定によりまして株主認可、届け出がされます。その場合に、新規参入銀行ではなくて、既存の銀行に対しても同様な趣旨から、新しくできる届け出の基準、新しくできる認可基準に則して具体的な行政指導を行うのかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
  41. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 今回の改正趣旨にかんがみまして、既存の銀行に対しましても新規の参入者と同様にチェックを行う、こういう形になっております。  ただ、既存の株主において既に主要株主の要件に該当している者については経過措置を設けてございまして、株式取得に関する届け出は本来ならば施行日より五日以内というふうになっているわけでございますが、翌年度末までに認可を取得すればいいということにしておるわけでございます。
  42. 入澤肇

    ○入澤肇君 ですから、その認可を受けるに当たって、新しい届け出基準、新しくというかこれから制定する届け出の基準、それから認可基準に従って具体的な行政指導を行うのかということを聞いているんです。
  43. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) おっしゃるとおり、新規に参入する主要株主と同様の規制の取り扱いを行う、こういうことでございます。
  44. 入澤肇

    ○入澤肇君 届け出の基準とか認可基準につきましては、先ほど山下委員の方から質問がありまして、ちょっと抽象的な答えで、具体的な例示を挙げてもらいたかったんですけれども、そこは割愛いたしまして、こういうふうに銀行公共性に着目して新しい規制を加えるのであれば、これからの金融は間接金融から直接金融へという動きが加速されなくちゃいけないというふうなことで、今度も証券税制の改正とかそれから株式についての新しい規制緩和等がなされます。これから法律が出てきます。  その場合に、東京証券取引所の株式会社化なんということが今議論されていますね。この証券取引所の株式会社化なんていうと、まさに公共性という視点からこの五%とか二〇%とか五〇%というルールは適用するべく法律を準備すべきじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
  45. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 証券会社につきましても、銀行とは必ずしも同一に議論ができないということでございまして、証券会社につきましては、銀行とは違いまして、参入の条件といいますか、これが登録制になっているということもありますし、それから原則として預託された顧客資産の返還に備えた投資者保護基金制度が存在する、こういうことからいたしまして、銀行の場合と同じように議論することは適当ではないと思いますが、いずれにしましても、今後、証券会社へ一般の事業会社参入する、そういう基準につきましても検討していきたいと、こういうふうに考えているわけでございます。
  46. 入澤肇

    ○入澤肇君 証券会社について言っているんじゃなくて、取引所の株式会社化に伴って、証券会社の上に立つ取引所の株主構成について同様な規制を検討すべきではないのかということを申し上げているんです。
  47. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) これは恐らく入澤委員、商品取引所のこと等も当然よく御存じの方でございますので、そういったことも念頭にありながらの御質問かと思います。  証券取引所は、昨日、私から、株式会社化の認可だったと思うんですが、それをいたさせていただきまして、いよいよこれが発足をするわけですけれども、確かに取引所も公共性というものがあるわけでございますけれども、それがゆえに今までは公益法人ということでそういう法的なエンティティーを持って仕事をしてきたわけですけれども、昨今、情報投資であるとかそういうものも非常にお金がかさんできたと。さらに、何と申しますか、外国の取引所との競争というものを考えたときに、これまでの公益法人の形態よりも株式会社形態の方がはるかにいろいろ弾力性、柔軟性があるということで、そちらを今回選択したことになったわけでございます。  しかしまた、公共性というものもこれはもう明らかにそこに存在しているわけでございますので、株式会社化という組織形態をとりながらも、公共性に逆行するような、そういうことは毛頭許されないわけでございまして、これらのことについては別途、これは法令及び定款等で確保されるということで進んでいくことになったと、このように記憶をいたしております。  その場合に、それじゃ株主についての規制というものが必要ではないかということでございますけれども、これは何と申しますか、今現在のところ、会員がそのまま株主になる、いずれすぐこれがまた流動化されるということが想定されるわけですけれども、当座はかなり少数の会員が株主になるということでありまして、ちょっと突然の御質問でもあるし、我々は株主に対する規制というものが必要かどうかというところまで検討の上での御答弁ができかねるわけですけれども、何と申しますか、銀行の公益性、決済機能の公益性、あるいはその連鎖、連想の世界である預金者取りつけというようなものが行われる金融機関公共性といったものと証券取引所の公共性というものを同列に論ずべき課題かどうかというのはちょっとしばらく考えさせていただきたいと、こう思います。
  48. 入澤肇

    ○入澤肇君 公共性についてはまたいろんな議論があると思うんですけれども、間接金融から直接金融へその流れが大きくなっていくとなりますと、やはり今回やったような銀行に対する規制と同じようなことがまた話題になるんじゃないかというふうなことが考えられましたので御質問したまででございます。  その次に、この条文を読んでいて非常に奇妙だなと思ったのは「取締役の適格性」ですよね。銀行法七条の二、「銀行の常務に従事する取締役は、銀行経営管理を的確、公正かつ効率的に遂行することができる知識及び経験を有し、かつ、十分な社会的信用を有する者でなければならない。」、それは当たり前の話で、何で今ごろこんな訓示規定、これは訓示規定ですか、まず。こんなことを入れるんですか。それからもう一つ、こういう規定を入れて、今度は銀行検査とかあるいは日銀考査とかそういうときに、この取締役はおかしいよというふうなことまで指摘するんでしょうか。
  49. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) おっしゃるとおり、今回の改正において改めて七条の二というところで「取締役の適格性」という条文を起こすわけでございますが、おっしゃるとおり、精神的なというか、そういう意味もあろうかと思いますが、一方において、今回の改正によりまして、主要株主に対してその適格性といいますか、そういうものを要求するわけでございますから、ましてや本体の銀行の取締役においてそういうものがやっぱり必要ではないかというふうに考えた結果の規定だというふうに理解をしております。  おっしゃるとおり、銀行の取締役が適格性を有するか否かというのは銀行本来が判断して選任するということであろうかとは思いますが、先ほどから議論になっております銀行の本来持っているその役目といいますか、責任の重大性にかんがみ、改めてこういう規定を設けさせていただいた、こういうわけでございます。  二番目の御質問でございますが、銀行検査等におきまして取締役が不適格であるというような、そういう結果、銀行業務の運営に健全かつ適切な運営を損なっていると、こういうことが判断される場合には、場合によっては二十六条の業務改善命令を出してその任務の運営について改めていただくというような措置を講ずるということだと思っております。
  50. 入澤肇

    ○入澤肇君 後段の御答弁は、私は、会社経営権に対する侵害にもなるおそれもあるし、相当慎重にやらなくちゃいけないと思うんですね。こういうことを書くのであれば、金融庁の職員にも、幹部職員は、同じような条文を入れろなんて民間から言われるんじゃないですか。  それはともかくとしまして、もう一つ。今度の法律を読んでいまして、銀行法十七条の二、特定取引勘定を廃止していますね。これは、廃止した理由は何でしょうか。この参議院の調査室でつくってくれた資料を読んでいるんですけれども、もう一つわかりにくいところがありますので、その廃止した理由をお聞かせ願いたいと思います。
  51. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) これは、従来、商法上時価会計というものが認められておりませんでしたので、デリバティブとかそういう取引につきまして、これは認可に係らしめるということで、いわゆる時価法による会計処理を可能とするための措置でございました。ただ、今回、商法改正等によりましてその時価会計が導入されましたので、そういう特別のデリバティブ取引等について認可に係らしめる必要がなくなったということから当該規定を削除しようと、そうするものでございます。
  52. 入澤肇

    ○入澤肇君 認可に係らしめなくても、デリバティブ取引とかなんかいうのは、去年の国会でもかなり話題になりました。金融当局としてもウオッチングしておかなくちゃいけない一つ金融商品ですね。  これは、削除するんじゃなくて、認可を届け出にするとか、規制をまさに緩和してこの勘定を残しておくべきじゃないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  53. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 御指摘のように、デリバティブ取引等については、リスク管理の観点からは非常に注視すべきことでございますので、こういう法令上の認可ということは廃止をいたしますが、金融機関のデリバティブ取引等に関しましては、そのリスク管理等についていわゆるオフサイトモニタリング等によりまして定期的に把握しておりますし、また、金融検査マニュアルにおいてもこのリスク管理体制については整備状況を特に念入りに見るということにしております。    〔委員長退席、理事円より子君着席〕
  54. 入澤肇

    ○入澤肇君 私は、全部今のように削除するんじゃなくて、常に検査のときにすぐわかるような仕組みというのはこの銀行法の中に、仮に時価会計に移行するといっても残しておいた方がいいんじゃないかというふうに今でも思っております。  その次に、先ほども山下委員の方から質問がございましたけれども、銀行が多様な資金確保しなくちゃいけない、特に長期金融に乗り出さなくちゃいけない、そういう需要もあるというお話がございました。私もそう思います。そこで、長期信用銀行法の廃止をする考えがあるのか。  それからまた、株式の匿名性を排除するという視点から申告分離課税一本化という原則を今度改めて、与党三党にも確認してもらって今国会に法律が出ます。割引債等、匿名性の割引債、これについてはやはり同じようなことで問題になってくるんじゃないかと思うんですが、一方で、今、山下委員から質問もありましたように、長期資金確保するという視点から見ますと、この割引債の発行は認めていくべきだと。ただし、長期信用銀行に認められるだけじゃなくて、一般の銀行にも資金調達の多様化という視点から認めてもいいんじゃないかという考え方もあると思うんですけれども、いかがでしょうか。
  55. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 銀行が、昔は本当の商業銀行ということで、手形の割引等によって短期資金の供給をする、これが本業であったわけですね。しかし、実際には資金需要というのは長期的なものもあるものですから、手形のジャンプというような形でずっとべた貸しをしていくというようなことで、事実上長期資金を供給するということが行われてきたわけでございます。  しかし、先ほど山下委員もおっしゃられ、また今、入澤委員もおっしゃられるとおり、短期で調達して長期に運用するということには、そこにおのずからリスクというものもあるわけで、もうちょっと健全にした方がいいというようなことというのが議論としてはあり得るわけでございます。  その際、どういうふうに資金の調達をするのかということでございますけれども、預金の形がいいのか債券の形がいいのかということが問題でございますけれども、預金というように譲渡性のないものについて、そんなに長いものはなかなか市場から調達するのは難しいじゃないかということになると、これは転々流通をする債券の形がいいだろうというようなことに、おのずと議論がどんどんそう進んでくるんだろうと思うんですね。  そういうこともあってということを言い切っていいかどうかはともかくとして、最近において、金融機関においても債券、社債ですね、社債というものの発行を認めるということが行われたことは御案内のとおりでございます。  じゃ、社債と金融債というのは何が違うんだといいますと、これもまあいろいろ我々も議論をしたときのことを思い出すわけでございますけれども、やっぱり社債ということになればその後の社債権者集会とかそういうようなものも当然念頭に置かなきゃいけないというので、一ロット、きちっと枠を決めて、それで発行していくと。他方、金融債というのは、いわばもう需要があればどんどんどんどん継続的に発行できるというようなことになっていると。使い勝手というようなことでは非常に金融債というのはうまくつくられた仕組みなのでございます。  そういうこともあって、現在はこの金融債は長期信用銀行法による銀行だけに認められていますと、こういうことになるわけでございまして、今の入澤委員の御議論というのは、社債の上に、社債なんて言わないで金融債というのも認めたらどうだというようなことかと思うのでございますけれども、このあたりのことについては、今は長期信用銀行というのも非常に、御案内のとおり三行あったものがいろいろと市場の中でいろんな形になっているということが事実でございまして、これを一体どうするか。やや中期的な問題というか、長期的な問題として我々考えるべき課題であるという認識を持っておりますけれども、現在のところではまだ結論を申し上げられるような段階に至っていないと、こういうことでございます。  なお、申告分離かということにつきましては、これはもう御承知の上でおっしゃられていることだと思うんですけれども、今、割引債については源泉分離課税になっておるわけでございますが、これは廃止をされるというようなことにはなっていないと我々は承知をしているところでございます。
  56. 入澤肇

    ○入澤肇君 いや、割引債の源泉分離を、そのことを議論しているんじゃないんです。  要するに、証券税制の改革の中で源泉分離か申告分離かというふうな議論で、申告分離一本化というふうなことが方向として決まったと。この決まった背景に、要するに株式売買の匿名性を排除していこうじゃないかというふうなことも背景にあると思うんです、一つとして。  しかし、一方で資金調達の多様性ということを考えますと、また一方で産業界の資金ニーズということを考えますと、匿名性のある割引債というのを廃止するのはいかがなものかという意見もあるわけですね。特定の銀行だけに認めていると。今回、新規参入、異業種参入を契機にして全銀行株主についての一定のルールをつくるということであれば、割引債等の、これはある意味で特権ですよね、これも全銀行に押しなべて認めていいんじゃないかと、そういうことを私は申し上げているんです。
  57. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 今、大臣からお答えいたしましたように、金融債なりそういう資金調達をどこへどの程度認めていくかというのは、今の長期信用銀行法なり信託銀行法なり、そういう業態別に分けたところをどう考えていくかということとまさに裏腹の問題でございますので、そういうこととあわせて、ただ、もう問題提起は既にされている課題でございますので、我々としても検討を進めていきたいというふうに考えております。
  58. 入澤肇

    ○入澤肇君 その次に、私は、今回の銀行に対する株主経営権への参加、それからいろんな一定の支配権の排除等の規定を加えるのであれば、一番問題なのは地元密着型の、これは株主じゃありませんけれども、信用金庫とか信用組合ですか、要するに特定の者の経営支配が見られるところというのはかなりあるんですね。同じように、これは別に法律をつくる必要はないけれども、信用金庫等の金融機関に対しても、特定の者の経営支配の排除とかあるいは役員の適格性とか、そういうことについてのガイドラインを設けるということは考えられませんでしょうか。
  59. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 信用金庫等の協同組織金融機関につきましては、議決権が一会員一票と、こういうことになっているほか、その議決権というか、会員の加入とか出資の譲渡については金庫等の承諾が必要とされているということでありまして、そういう意味で一般の銀行とは違うと、こういうことで異なる取り扱いをしていると、こういうわけであります。
  60. 入澤肇

    ○入澤肇君 それはわかっているんですよ。そうじゃなくて、訓示規定でせっかく取締役の適格性みたいに入れるんですから、信用金庫等の役員についても同じような訓示規定をこの改正の中に入れたらどうですかと言っているんです。
  61. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) そういう意味では、事業密着型でございますけれども、協同の組織のそういう形態からして相互にやっぱり自主的に運用していく、そういう観点から別扱いをしていると、こういうことであると解しております。
  62. 入澤肇

    ○入澤肇君 都市銀行の再編が進んでいるわけですね。質問、先に進みます。  予算委員会で、私、まだ議員なりたてのときに、大胆にも宮澤大蔵大臣日本金融機関の再編成につきまして御質問申し上げました。一体どのくらいの数が適切なのかということを言いましたら、当時、あっと驚く答弁があったんですよ。もう二年前ですけれども、三ないし四行が適当じゃないかと。それから、地銀とか信用金庫等の再編についてはどうかと言ったら、これもかなりのあっと驚くような数の答弁があったんです。    〔理事円より子君退席、委員長着席〕  金融担当大臣柳澤大臣は、地銀とか第二地銀、それから信用金庫等についてどのような方向で再編成が進むとお考えになっているのか、お聞きしたいんですけれども。
  63. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) これも二面論じなきゃならぬことがあろうかと思います。  一つは、先ほど来、私ども話題にさせていただいております金融機関収益性あるいは金融効率性というような観点からいって、今のような体制でいいのかと。私、ここまで言うと、私の立場からどうかというんですが、識者はオーバーバンキングではないのかということを述べる方もいらっしゃいますね、そういう側面。  それから、しかしもう一つは、やっぱり金融機関というのは、特に地方の金融機関というのは、本当にその地場の経済ともう密接に結びついていて、経営の面でも顧客基盤という意味では非常に強力なものを持っている。したがって、この顧客基盤というものを大事にし尊重していく限り、そういう一刀両断に大所高所からのオーバーバンキング論なんていうことでは割り切れるものではないんだと、これがあろうかと思うわけでございます。  私どもはこれまでどういう考え方をとってきたかといえば、資本注入等で金融再生委員会が公表しているところは、やっぱり基幹行というか、その地域の経済に対して本当に責任を持った信用創造をしてきた基幹行、しかしその基幹行だけになってしまうと、やっぱり競争上独占的な立場に立つのは非常に望ましくない、したがって対抗行というか、そういうようなものが必要なのではないかというようなこと、ちょっと明確な記憶はないんですが、そんな考え方のくだりが金融再生委員会から公表されている一つの方針として出ていたんではないかと、このように考えて、記憶をしております。  そういうことが基本かと思うわけですけれども、今後、ペイオフというようなことが現実のものになってきたときに、預金者の側からどういう評価を受けていくのかというようなことももう一つの要素として出てきまして、我々としてはそういったところを注意深く見守って、今言ったように、効率性それから地域の経済に対しての資金供給の円滑化を図っていくというようなこと。それと同時に、健全性について預金者に無用な迷惑をかけないと、こういうことの中で、あるべきマーケットが決めていく面もあるし、我々が金融当局として誘導していく面もあろうかと思うんですけれども、とにかく注意深く慎重に見守っていきたいというふうに考えております。
  64. 入澤肇

    ○入澤肇君 その次に、これは新聞等でかなり話題になっていて、柳澤大臣は、今度の不良債権の処理に当たって、とにかく公的資金の再注入ということは今考えるべきではないというふうなことを再三お話しされております。私も、現時点で、何もわからないのに入れろとかいうふうな話はするつもりもありませんが、公的資金の注入のときに、今回商法が改正されますと、発行株式総数の三分の一以内ですね、今の優先株の発行可能限度額は。これを二分の一にするような商法の改正が今度されますね。今の段階でどのぐらいの優先株を各金融機関は持っていて、それに対してどのくらいの資金注入が可能なのかどうか、数字があったら教えてもらいたい。それから、二分の一になったらどのくらいになるのか。
  65. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 今御質問の数字は手元にございませんので、また改めて御報告申し上げたいと思います。
  66. 入澤肇

    ○入澤肇君 きのうちゃんと質問通告してあるんだから、数字がないなんというのはおかしいんだと思うんですね。  いずれにしましても、私は、優先株を三分の一にとどめるということは、その必要はないんじゃないかということを与党の政策責任者会議でもかなり問題にしまして、今度の商法の改正で二分の一になるということですので、ある意味では金融当局のその行動はかなり迅速に行える、一つ外堀が埋められる、条件が一つつくられるんじゃないかというふうに考えております。  最後に、不良債権の処理でございますけれども、どうも大臣が余り緻密に考え過ぎて発表するものだから、市場にいろんな影響を与えているんじゃないかという気がしているんですが、私は予算委員会で言いましたように、通常の経済のもとでも不良債権はあるんですよ。たしか数字を御記憶になっていると思うんですけれども、主要行で平均六%前後の不良債権、それから信用金庫、信用組合とか入れますと一二%と言っていましたね。バブル崩壊前の不良債権比率というのは、ディスクロージャーがなかったからわからなかったと。しかし、バブル崩壊直後の不良債権比率三%だと。  私は、バブル崩壊直後の三%ぐらいをめどに、とにかく不良債権を解消していくんだと。一定期間、二年とか三年とか、それだけでいいんであって、余り詳しく破綻懸念先の債権が中身がどうだとか、要注意・管理債権がどうだとかいうことを言うと、みんなわからなくなっちゃうんですよ。もう単純明快に目標を明言するということにとどめていいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  67. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) おっしゃるとおりかと思います。我々、不良債権問題ということを論ずる場合に、不良債権とは何ぞや、また不良債権処理といった場合に、不良債権の処理とは何ぞやというようなことで、大変これが論者によって意味が違いまして、議論が混乱して国民にわかりにくい議論になっているということは日ごろ痛感しているところでして、こういう議論の推移というのはそういう意味で望ましくないと、こういうようにも思っております。  ただ、そういうときに、一体どういうふうに議論を整理するのがいいかということで、我々としては今度の改革の中で不良債権比率というものを出したわけでございまして、そういうことになると、今、入澤委員がおっしゃっていただいたように、例えば二〇〇一年の三月末では大手行については五・四%というような状況ですというようなことで、これをできれば、できればというか、三、四%のところへ持っていきたいですというように、そういう非常にわかりやすい議論ができるようになったわけですけれども、それも一工夫して後のことでありまして、なかなかそういうところにたどり着くのにちょっと時間がかかってしまったということは大変遺憾なことで、我々の力不足もあったということでございまして、御指摘は反省しなきゃならぬ点だと思っております。
  68. 入澤肇

    ○入澤肇君 終わります。
  69. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 民主党の大塚でございます。  先日は、代表質問で両大臣にはいろいろと御高説を聞かせていただきまして、どうもありがとうございました。  きょうは、百十五分ということで長い時間をちょうだいしておりますので、余り皆さん眠くならないようにやらしていただければと思っておりますが、せんだっての代表質問でも申し上げましたように、今回の銀行法改正、これ自体は確かに必要なことですので、いただいた時間の中で、前半はこの改正内容ないしは改正に至るプロセスについて少し具体的なお話を承りまして、後半については、また先般の代表質問のときのように、そもそも金融再編は何のためにやるのかということに加えて、金融機関をめぐるマクロの環境についていろいろと御教示をいただきたいなというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。  最初に、私もこの資料をいただきまして、これは一連の前々国会からの審議の資料でありまして、事務方の皆さん大変立派な資料をおつくりいただいて、御苦労を多といたしたいと思うんですが、これを拝見いたしますと、今回の改正に至るプロセスとして、去年の八月の三日にいわゆる運用上の指針というのをお出しになって、それでいわばとりあえず暫定的に走った格好の行政を行いながら、今度はワーキンググループで報告を出したりして、最終的に今回の法改正に結びついているということなんですが、最初に八月三日にお出しになった運用上の指針と一緒にパブリックコメントを公表しておられるんですね。  パブリックコメント並びにそのコメントに対する金融庁の御判断ということなんですが、これ御回答はもちろん事務方の方で結構ですが、大臣、お手元にパブリックコメントがあればぜひ見ながら聞いていただきたいなと思うんです。このいただいた資料の百七十五ページには、コメントを出された方から、親会社事業戦略を変更して子銀行株を売却する事態への対応いかんというふうに問うておられて、金融庁の御回答は、「事業会社等の事業戦略の変更による子銀行株式の売却については、これを当局が阻止することはできない」というふうにはっきり書いておられますね。  これは実は、バーゼルのコア・プリンシプル、先ほど入澤委員山下委員か、どちらか御指摘になりましたけれども、このバーゼルのコア・プリンシプルを見ると、「銀行監督当局は、現存の銀行に対する主要な所有権や支配力を他の主体に移譲させる提案を点検し、棄却する権限を持っていなければならない。」と、こう書いてあるんですが、この点について、今申し上げたような回答を去年の八月の段階で行った金融庁のお考えをまずお伺いしたいんですが。
  70. 高木祥吉

    政府参考人高木祥吉君) お答え申し上げます。  このいわゆる指針でございますが、それは現在の銀行法を前提に、審査監督に当たってどういう対応をするかということを取りまとめたものでございます。  今、先生おっしゃったように、事業会社がその保有している株を売却することは銀行法上無理でございますので、それにかわっていろんな、何というんですか、審査に当たっての留意事項だとかあるいは免許付与後にどういう監督をするかということを、行政としてのそのやり方を透明性を持つ観点から示したというものでございます。
  71. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今の御回答自体はなるほどとはなかなか思えないんですけれども。  同じように、このパブリックコメントの百七十七ページの金融庁の御回答に、上の方に、お手元にない方は大変恐縮なんですけれども、こういうことが書いてあるんですね、「免許後の監督上の留意点については、同様の形態を持つ既存銀行についても基本的に適用することとしている。」と、こう書いてありますね。金融庁のコメントです。ところが、同じページの下の方には、免許後の監督について、「既存銀行については、遡って、免許の条件を付与することができない等の点で全く同じ扱いにはできない」と書いてあるんです。矛盾していますよね。じゃ、お考えをちょっと。
  72. 高木祥吉

    政府参考人高木祥吉君) ガイドラインでは、免許審査の段階でどういう審査をする、それから、免許を与えるとき、あるいは与えた後どうするかということで、新規に免許を与えるときには、免許の条件といたしまして、事業会社に係る、何というんですか、が売却する場合だとかあるいは財務状況とかそういうものを、新たに免許するわけですから、そのときに免許の条件として付与するということでございます。ですから、既存の銀行について新たに免許を付与しませんからそこはできないんですが、免許付与後においては、検査とかあるいは報告徴求という権限が銀行法上ございますから、こういうガイドラインの趣旨も踏まえて既存銀行についてもそういう監督をきちっとやっていくということをお答えしたものでございます。
  73. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 繰り返しになりますけれども、今回の大きな改正の方向については基本的な異論はありませんので、建設的な議論をさせていただきたいと思うんですが、今の局長のような説明を伺わないとこのパブリックコメントについての矛盾を、一般の人が理解できないようなものをパブリックコメントに対する金融庁の回答としてお出しになっていること自体が、私は金融行政の大きなこれからの改善点だと思うんですが。  いろいろ言い出すと切りがないんですが、例えば、同じ百七十七ページに、回答のところでこう書いてあるんですよ、一般に銀行業参入する企業が優良企業とは限らないと書いてあります。これは、今回の異業種参入は、財務条件とかいろんなものをきっちりチェックして、銀行業の信頼を揺るがせないようなそういう事業者を参入させるという哲学だと僕は思っていたんですが、一般に銀行業参入する企業が優良企業とは限らないと、こう書いてあります。  同じように、百八十一ページでは、事業会社の継続企業としての存続可能性ですね、いわゆるゴーイングコンサーンというやつ。これに対する監査法人の意見書は、あくまで免許時の際の参考資料にすぎないと書いてあります。監査法人の参考意見がそんなに軽いものかというと、私はそうではないと思うんですね。  ほかにも、百八十六ページには、先ほど金融決済インフラとして非常に重要だという話がありましたが、したがって、システムに対する監督というのは本当に、それはコンピューターのインフラとして、これは重要だと思うんですが、システムダウンやセキュリティー対策に関して、百八十六ページの中段では、しっかりやれという一般の方からのコメントに対して、「御指摘の通り」として、しっかりやりますとお答えになっているんですが、同じページの下の方では、各申請者がそれぞれの実情を踏まえて策定すべきものであり、金融庁が一々言えないというようなことを書いてあるんです。  つまり、去年の八月というのは、もちろん大臣は今回の御就任の前だと思いますので、大臣にとやかく申し上げる筋合いではないんですが、一体このパブリックコメントに対する回答はだれの責任で書いていて、それはだれの決裁で公表したのかということを御回答いただきたいんですが。
  74. 高木祥吉

    政府参考人高木祥吉君) お答え申し上げます。  具体的な中身の検討は、私、監督局長が中心になって検討いたしました。そのガイドラインそのもの、最終的にどうかといいますと、当時ですと金融再生委員会金融庁が発行ということで、いわば再生委員会ですと再生委員長金融庁ですと担当大臣責任を持っているということでございます。
  75. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 とりあえず十二時までですから切りのいいところで午前中はやめさせていただきますけれども、私が申し上げたいのは、私自身も皆様のいとこみたいなところにおりましたので、なかなかパブリックコメントに対する回答とかが煩瑣なことであり大変なことだというのはわかるんですけれども、恐らくかなり事務方の皆さんの裁量で書いていらっしゃると思うんですね。監督局長も、今局長として大変勇気のある御発言だと思いますが、私の決裁でと言っておられますが、実際には僕は余りチェックできていないと思うんですよ。それぞれの担当部署の皆さんがそれまでの流れの中で御回答になったものを合体してパブリックコメントに対する回答というふうにお出しになっているんじゃないかと。もし間違っていたら大変恐縮なんですけれども。  したがって、今回、この銀行法改正や一連の規制緩和の中で金融庁の皆さんは、例えばノーアクションレターを出すとか、いろんな構想を持って行政の透明性を高めようとしておられるわけですから、パブリックコメントというのを、一般の人の意見はとりあえず聞きましたよという証拠固めのために使うようなことはぜひ避けていただきたい、実際に業界の方や一般の方がいろいろと意見を言ったことに対して真摯に回答し、行政全体として統一のとれたコンセプトで回答するということをぜひお約束いただきたいなというふうに思いますが、これについては大臣にぜひお答えいただきたいと思います。
  76. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) ノーアクションレターはともかくとして、このパブリックコメントが大量に寄せられたときの対応は、なかなか事務的にも事実上難しい問題があるということは既に委員が御質問の中でも御指摘になられておるんですが、恐らく、こういう行政手続の刷新と申しましょうか、改革というものにどういうふうにこれから対応していけば行政組織としていいのかということ、正直言ってまだそういう体制ができ上がっていないということが実際問題事実だろうと思うんです。  これは情報公開も同じでして、議事録の情報公開等をやる人はどういうふうにやっているかというと、すべて日中は自分の仕事。日中といったって役所の仕事というのは上司がいる間は日中でございますから、八時、九時とかもうちょっと。それが終わってから夜中の仕事としてそういうチェックの仕事をしなければいけない。これはもう個別の利害を傷つけちゃいけないというようなことですね。要するに、情報公開を義務づけられながら、情報公開のための資料づくりというもののマンパワーが率直に言って新しく割り当てられていないと。  ちょっとここには行政改革のある種の矛盾が露呈しているんですけれども、行政改革といえば公務員の数が減るものだと国民は思っているわけですね。  ところが、行政改革は何をしているかというと、事前統制型の行政から事後チェック型の行政にするということでございます。マンパワーはどっちが少なくて済むかといえば、事前統制型の行政の方がはるかにマンパワーは少なくて済むんです。事後チェック型の、みんなそれぞれ自由にやってください、違反事項だけはチェックしますというようなタイプの行政の方がはるかにマンパワーが必要なのでございます。それは、SECであるとかあるいは銀行検査の要員が内外を比べたときどうであるかというところに明白にあらわれているんですね。  要するに、今の行政改革というのが、これは指導部、指導者の方も、何が何だかわからずに、行政改革で人の数が減ればいいみたいな単純なことを思っている人もいますから、実に大混乱のきわみだと私は思っているんですけれども、行政改革というものの理念とそれから行政組織というものの規模とは、およそ今一般に通念として考えられていることとは違うということをもうちょっとみんなで考えてやらないと、私の立場は今こっちの方ですから、考えていただきたいと言わざるを得ないんですけれども、およそそういう意味では、今やらんとする行政改革の実態と、それを実際こなすマンパワーの問題には非常に大きな問題が横たわっているということを、私の立場から大変恐縮ですが、申し上げさせていただくほかないと、このように思っております。
  77. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 大臣の御意見はよくわかりますので、事後的な行政をやる上で必要なマンパワーが要れば、それは私は堂々と御請求いただければいいと思いますし、それがいないがために中途半端なことをやるということであっては本末転倒でございますので、そこはぜひそういう御方針でやっていただきたいなというふうに思っております。  それじゃ、午前中にあともう一問だけお伺いさせていただきたいんですが、私も衆議院の議事録はしっかり読ませていただきましたし、先に入澤先生や山下先生から聞いていただいたことがいろいろありますので、ダブっているところは省いて聞かせていただきます。  やはりそのパブリックコメントの百七十九ページに、一般からの指摘で、親会社への検査を強化するために、アメリカのように銀行持ち株会社法をつくってはどうかという御指摘があったんですね、一般の方から。これに対して、現行銀行法、つまり去年の八月です。現行銀行法では難しいと。その時点では確かにそのとおりだと思います。しかし、その後こうやって銀行法改正案をつくってお出しになったわけですから、単に必要な場合には立入検査をできるということだけではなくて、銀行持ち株会社法をつくるなどのそういう選択をなさらずに、今回のように銀行法改正という形でおやりになったその判断の根拠を、これは事務方で結構ですが、聞かせていただきたいんですが。
  78. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) これは、どういうところまで及ぼすかというのはいろんな意見があると思いますが、審議会で答申をいただき、その結果として、特に運用指針の中では対応できない届け出、認可、こういったところを法制度上盛り込んでいく銀行法改正を行うということで、当面の必要な措置はとり得るという判断をしたというふうに考えております。
  79. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 審議会の報告は私も読みましたけれども、なぜ銀行持ち株会社法という一般からのそういう声に応じてそちらで対応しないかということについては、余りおっしゃるような根拠は書いてなかったと思いますので、私が申し上げたいのは、いろんな銀行監督をやるにしても、新しい金融の姿に対してどういうふうに網をかけていくのかということに関してもいろんな選択肢がありますので、ぜひ決め打ちで、つまり、先ほどの話の中でも多少推測していただけるかもしれませんが、去年の夏の段階で、一般の職員の皆さんがそれぞれの事務分掌の範囲内で決め打ちで書いていることがそのまま審議会にある程度トレースされて今回の改正に結びついているような部分もありますので、やっぱりそこは一個一個きっちり御検討いただきたいなと。今のもそういうサンプルにもなり得るんですが、あと最後にもう一つだけ聞いて午前中は終わらせていただきます。  親会社監督、そして親会社の子銀行への責任という問題に関して、金融庁も参考にしておられるイギリスのコンフォートレターでは、イギリスでは議決権一五%超の株主に対して課されると。しかも、こう書いてあるんですね。銀行の支払い余力、流動性への支援能力と、有限責任以上の高次の責任を受け入れる用意を求めていると。そして審議会では、このイギリスのコンフォートレターの考え方を参考にしたいというような、そういうトーンのことも書いてあるんですね。しかし実際には、銀行法の第五十二条の十四というのは相当それよりも緩い責任の求め方になっています。  また、ワーキンググループの方の報告を拝見すると、アメリカでは、銀行経営悪化時には持ち株会社法に支援を求める規定、いわゆる先ほども話に出ましたソース・オブ・ストレングスがあるとしていると。  結論的に申し上げると、今回イギリスやアメリカよりも相当緩い親会社に対する責任の求め方になっているんですけれども、英米に比べて責任の求め方が緩いというのは、どういう根拠でそういうふうになったんでしょうか。  これを午前中の最後の質問にさせていただきたいと思います。
  80. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 必ずしもすべてが英米に比べて緩いということではなくて、必ずしも英米とすべて同じということではなくて、いろんな観点から検討した結果だと承知しております。  先ほど大臣も申し上げましたように、今回の改正に当たっては、やはりいろんな金融活性化観点から、参入をより容易にする、参入の過度の障害を設けてはならないという要請と、一方で、まさに銀行経営の健全化という観点から、いわゆる親会社等に対して十分な規制をしていくという両方のバランスを見て御議論いただいた結果、例えば二〇%という数字につきましても、これは必ずしも英米と一緒ではございませんが、日本の現在の中では、いわゆる実質影響力基準ということで一つのメルクマールになるということだと思いますし、そういういろんなバランスの観点でこういう結果になっているということで御理解をいただきたいと思います。
  81. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今の御回答が私の質問にジャストミートしていたかどうかというのは聞いている皆さんが判断してくださいますので、これ以上は申し上げませんけれども、いろいろ議論してそういうふうになったという御回答であって、なぜ英米よりも緩い責任の求め方になっているのかということの説明は一言もなかったというふうに私は聞こえましたけれども、いずれにしても、午後もちょっとこんなような感じの質問を幾つかさせていただきますので、それを踏まえてまた大臣に所見をお伺いしたいと思っております。  じゃ、午前中はこれで結構でございます。
  82. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  83. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  銀行法等の一部を改正する法律案を議題とし、休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  84. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 大塚でございます。午前中に引き続いてよろしくお願いいたします。  先ほど、午前中の最後に親会社への監督のことでお伺いをしましたが、今度は、親会社と子銀行なわけですから、子銀行の問題についてちょっとお伺いをしたいと思うんです。  機関銀行化防止に関しては、随分衆議院でも議論されましたしいろいろ御答弁は議事録で読ませていただきましたので、もうちょっと具体的なことをお伺いしたいんですが、機関銀行化防止のために大口融資規制を設けておられて、これはこの資料の中にも出てくるんですが、単体銀行からは融資率二五%、グループからは同じく二五%、そして、これは資料の四十二ページなんですが、受信サイドがグループの場合は、やはり銀行単体からは四〇%、銀行グループからは四〇%、こういうふうになっているんですね。  これはどういうことかというと、例えば親会社が単体の企業の場合に、子銀行が二五%までは融資を出せると。これはわかります、二五が多いか少ないかは別にして。そうすると、もう一つ、子銀行のグループ全体でも二五%まで貸せるということは、例えば銀行単体の融資額が百億円のときは、その企業に二十五億円まで貸せるんですね。ところが、その子銀行を含んだ銀行グループが融資量が二百億円の場合は、その二五%ですから五十億円まで。つまり、受信先が同じ企業でありながら上限が二十五億のときもあれば五十億のときもあって、これは、一つの受信企業に対して余り過度な与信一つ金融グループから与えないという、そういう趣旨にのっとれば、銀行単体のときのシーリングよりは銀行グループのときのシーリングの方が多少でも低くなっていないと合理的ではないはずなんですが、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  85. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) この大口信用供与規制につきましては、従来は銀行単体を対象としたものでございましたが、平成十年の金融システム改革法の施行に伴いまして、リスク分散の重要性ということにかんがみ、銀行グループを含む企業集団にも対応した整備を行ったところでございます。  その際、銀行単体と銀行グループの規制比率について、確かに先生の御指摘のような考え方もあろうかと思いますが、この場合同じ数字にいたしましたのは、与信サイドの合算について異なる規制比率を適用いたしますと、グループの中におきまして単体で信用供与を行うか、あるいはグループで行うかというようなことについて、ある種の判断にゆがみをもたらすのではないかと。例えば、迂回融資等の行為を助長しかねないというようなことを判断した上でこういう同じ数字をとるということにしたものと認識しております。
  86. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ちょっと今のお答えはどうかなと思うんですが、この数字を合理的に、単体のときよりもグループ銀行のときの方を低くしてしまうと迂回融資のようなことを招来しかねないということを言っておられるのは、リスクとしてはわかるんですけれども、しかし、そういう行動をとらないような事業法人を銀行業界に入れていくというような発想なわけですから、何かちょっと不合理な御回答のような気がするんですが、もう一回お願いします。
  87. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) この大口信用供与等の規制自身は、異業種参入の前に、その前の銀行と例えばノンバンク等のグループ、この融資を合算して規制をするのがいいのか単体でするのがいいのかという判断で、これはグループ全体としてとらえておこうということだろうと思います。  おっしゃるように、今回こういう異業種なり主要株主規制をすることに伴いまして、この大口信用供与等の規制の数字につきましては、主要株主はその観点からこれをまた見直す方向で今検討しておりますので、今申し上げた意味は、いろいろな健全なものが参入してくるとかということではなくて、グループ全体でとらえた方が合理的といいますか、ある意味では判断がしやすいという前提に立ったものでございます。
  88. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 わかりました。  いずれにしても、検討しているという、前段でそういうお答えでございましたので、銀行単体にかけている与信比率の上限よりも銀行グループ全体にかけている比率の方が多少でも低くなっているというのが私は合理的だと思いますので、そういう方向で御検討いただいているというものと理解していいですか。
  89. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 今、検討というのは、主要株主という考え方を導入したことに伴って、この大口信用供与等の規制の数字をどうするかということの検討をしているということで、その具体的数字については今後詰めていきたいというふうに考えております。
  90. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ここで余り時間をとってもなんですが、ただ、衆議院議論でもいろいろありましたように、機関銀行化防止のための一つの具体的なツールとして大口信用供与規制があるわけですから、ここのところはよくよくさらに工夫をしていただいて、きちっと網をかけていただくということをお願い申し上げまして、次の質問に進ませていただきます。  午前中は親会社について、今は子銀行の話を聞いたわけですが、じゃ今度、両者を含めたグループ全体、そのグループ全体のビヘービアをどうやって規制していくかということについてお伺いしたいんですけれども、そのときに、ちょっと最初に細かい質問ですが、銀行が本来業務を遂行する中で正当に生じた余剰能力、エクセスキャパシティーを有効に使っていくというような表現があちこちに出てくるんですけれども、エクセスキャパシティーというのは何でございましょうか、事務方の方で結構でございますので。
  91. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) エクセスキャパシティーとは、銀行等が本来業務を遂行する中で正当に生じた余剰能力ということで、例えば規制緩和要望では、その利用の具体例として、パソコンソフトの顧客向け販売、銀行の利用回線のリセール、ATMレシート等の広告媒体としての利用などが例として挙げられております。
  92. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そうすると、これから銀行の収益をきちっと上げられるように余り業務規制せずに合理的な範囲で業務を拡大する余地を伸ばしてあげようという、こういうことだと思うんですけれども、その一方で、これについています参考資料の30というのを見ると、これは七十三ページにあるんですけれども、「銀行およびその子会社が営むことのできる業務」という表が出ているんですよ。  これを見ると、いろいろ列挙してあって、例えば「従属業務を専ら営む会社」に対して、いろいろ限定列挙してあるんですが、最後の方に「上に掲げる業務に準ずるものとして金融監督庁長官・大蔵大臣が定める業務」というふうに、つまりもっと包括的にいろいろできるというようなくだりが書いてありまして、同様に、「金融関連業務を専ら営む会社」というところにも、限定列挙の最後に同じような包括的な規定があって、さらには、もっと大きなくくりとして、ベンチャービジネス会社を立ち上げられるというのもこの絵の中に入っているんですよ。ということは、早い話が何でもできるというふうに解釈する人もいると思うんですね。  私が例えば資本を持っていて事業法人を立ち上げたら、これを見たら何でもできるんだなというふうに思います、恐らく。その一方で、ワーキンググループの報告の中には、当面バンキングとコマースの分離の維持を前提とするというふうに報告されているんですけれども、ワーキンググループの報告と最終的に打ち出された方針とがちょっと矛盾をしているような気もするんですが、そこはいかがでございましょうか。これは副大臣でも局長でも結構ですが。
  93. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 銀行等の子会社業務範囲については、これは基本的には銀行に他業が禁止されているという観点で、これを潜脱することのないように一定の範囲に制限しているということで、金融庁長官の告示で一定のものを認めるとしても、それはそういう前提のもとで、何でも認めるということではないことを御理解いただきたいと思います。したがって、そういう業務範囲についても、他業禁止との観点から十分に吟味をして決めたということで、バンキングとコマースの分離の原則という中にのっとったものだというふうに考えております。  ただ、一方で、エクセスキャパシティーについて、これは金融審議会の第一部会報告におきましても、他業禁止の趣旨とか、あるいは本来銀行にどのような業務が求められているのかといった観点に留意しつつ、その適切な範囲での活用を認める方向で検討することが適当という御指摘も受けておりまして、今、当庁におきましても本報告に沿った検討を進めていきたいというふうに考えております。
  94. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 慎重に対応していただけるということですから結構なんですが、午前中のパブリックコメントに関するところとも共通するんですが、ここは大臣、副大臣に聞いていただきたいんですけれども、結局、今のグループ全体の業務範囲の問題についても、かなり包括的に何でもできる形にはしてあって、しかしその中でちゃんとバンキングとコマースの分離の原則を維持するように慎重に対応していく、早い話がこういうふうにおっしゃったわけです。だけれども、慎重に対応するというときに、行政ですから多少裁量が入るのは私はしようがないと思うんですが、そこにしかし多少ではなくてかなり裁量の余地が入ってくるわけですね。  だから、またこれから異業種参入されるときに、一件一件お忙しい大臣が全部見ていかれるのは大変だと思いますので、例えば副大臣がきちっとチェックをしていただくとか。いずれにしても、また局長もお忙しいと思いますから、各御担当の方に任せたら、知らない間に何か、別に悪気はないんですけれども、よかれと思って判断したことが、バンキングとコマースの分離の原則に必ずしも合致しないような裁量的判断をされるリスクも大いにあると思いますので、この点について、ここまでの質疑を聞いていただいた上で、副大臣にちょっと御見解をお伺いしたいんですけれども。
  95. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 委員からは、銀行健全性確保という観点から、バンキングとコマースの原則について厳格に、しかも、認めるに当たりまして基準を明らかにして裁量を少なくしろということでございますが、私どもは、銀行が新しいビジネスモデルを開発してそれで収益性を高めていく、こういうことが現時点で大変強く要請されている一方で、とはいえ、銀行健全性確保という観点から他業禁止という、そういう要請もあるという中でやっぱりなかなか難しい判断を迫られるということでございますが、私ども、銀行法のよって立つ原則に従いまして、今、局長が言ったように、その場合場合に、ケース・バイ・ケースになりますけれども、より慎重な対応で処理をしていきたいというふうに思います。そして、その判断基準につきましては、できるだけディスクローズをし、透明性を高めていきたいと、こういうふうに考えております。
  96. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 衆議院の議事録を拝見すると、今の話は、例えばグループ全体の業務範囲とか、切り口はいろいろのところから申し上げましたが、行政の裁量のことをトータルとしては申し上げているわけで、ここは、十月十七日の衆議院の審議で植田委員が相当長時間やっておられたのを私も拝見しましたのでもうこれ以上は聞きませんけれども、ぜひ裁量の余地が不必要に拡大することのないような御配慮をきちっとこれからの運営上していただくということをお願い申し上げまして、今の質問はとりあえず区切らせていただきます。  次に、若干幾つか細かい話を申し上げますが、午前中に入澤委員がデリバティブのことを御質問になられて、私も全く同感なんですが、今回の改正案を見ると、特別取引勘定の認可規定の廃止の根拠として、平成十二年四月から金融商品の時価評価が導入されたから商法の特例規定を置く必要がなくなったと、これは委員も御指摘になりました。  ただ、私、自分が金融業界にいた実感からすると、残念ながら日本金融機関は、そうした取引をできる人材とかスキルを銀行全体として確保しているかどうかということが大きな問題であって、私はここは、廃止というのはむしろ甘きに失すると。いわんや、銀行はともかくかなり経験を積んできていますから、どうして保険業法、商工組合中金法、証取法、まあ外国証券はいいですね、保険とか商中にまでデリバティブの取引は自由にやらせるという形になっちゃってるんですが、どうしてそこまでする必要があるのかなと。ここはちょっと甘きに失するのではないかと思いますが、この点については大臣か副大臣に御回答いただきたいと思います。
  97. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) まず、改正趣旨として御説明しますが、午前中も御説明いたしましたように、あくまで、銀行法等に設けられておりました特定取引勘定の認可制ということにつきましては、これは平成十一年の改正前の商法では時価法による会計処理が認められなかったという前提のもとで、それを可能とするための法的措置というふうに考えております。  委員の御指摘のように、デリバティブ取引等に関するいろんなリスク管理の重要性は、これは言をまたないところでありますが、そういうものについて、商法上認められたものについて、これを認可制というような形でやっていくのがいいのか、あるいは、そういう原則として認められたものですから、これはやはり通常のリスク管理の中で金融機関が、あるいは金融検査マニュアルにおけるリスク管理体制の整備といったような、そういう通常の他のリスク管理と同じ状況のもとで念入りにチェックをしていただくということの方が将来を見据えても適当ではないかと。この考え方につきましては、銀行にかかわらず保険等についても当てはまるということと認識をしております。
  98. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いつから大臣原口さんになったのかちょっと知りませんでしたけれども。私は大臣か副大臣かにお願いしたわけであって、そんなに無理な指名は今までしていないわけですから、指名したときはきっちり御対応いただければありがたいなというふうに思っております。  次に、信託業務についてお伺いしますけれども、金融機関の信託業務の兼営に関する部分については、これは金融庁から一月二十六日付で文書が出されていますけれども、これはどういう拘束力を持つのか。この一月二十六日付の文書で金融機関の信託業務の兼営を認めるというふうに書いてあるんですが、その時点で解禁されたんですか。これは事務方で結構です。
  99. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) これは今回の法令改正を待って、それによって解禁をするという趣旨でございます。
  100. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ということは、今回の改正案が施行されるまでは兼営している銀行はないという理解でいいですか。
  101. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 昔からそういう業務を行っているところは別として、新規にそういうところはございません。
  102. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 わかりました。  じゃ、もう一つ信託についてお伺いしますが、非処分型の不動産信託財産を、信託後一年後には処分できるというふうに今回改正をしておられるんですけれども、一年後であっても処分できちゃうと、これは何のための非処分型の信託かよくわからないんですが、一年後には処分できるというふうにした根拠をお伺いしたいんですが。
  103. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 今回、都市銀行等の本体での信託業務については、利用者の利便の向上を図る観点からこれを原則として解禁をすることとしたわけでございますが、その際、不動産の仲介業務につきましては、金融機関の本業との関連性が少ないということから、他業が禁止されている金融機関が取り扱うことは適当でないという考え方に基づいてこの措置から外したわけでございます。  ただ、処分型不動産信託の場合におきましては、金融機関が信託された不動産を短期間に処分いたしますと、事実上その不動産売買の仲介を行うのと同様の経済効果が得られるということで、このため、不動産仲介業務を解禁にしないとしたこととの趣旨がしり抜けにならないというような観点から、一年間については禁止をすると、そういう措置をとったわけでございます。
  104. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 趣旨はごもっともだと思いますので。  不動産取引の実態を考えると、間が一年というのは短期売買とそう変わりがないんですよ、いろいろ手続して登記したりなんかやっていると。私どもは、日本経済金融機関が不動産業みたいなことをすると大変なことになるという過去に重大な経験をしたわけですから、そういうリスクはなるべく極小化するように対応していただきたいと思いますので、これは、非処分期間は一年ではなくてもうちょっと長くできないんでしょうか。そういう方向で御検討いただけますか。
  105. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) この措置は、処分型の不動産信託について、これがいわゆる仲介業務の代替的手段として利用されないということの観点で導入しておりますが、一方でやはり商品設計の自由度ということも考えなければならないということで、いろんな考え方があると思いますけれども、一応の基準としてやはり一年というのは一つの区切りの期間かなというふうに考えております。
  106. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 先ほどのデリバティブの特別取引勘定の問題にしろ、今の問題にしろ、おっしゃるように何らかの判断はしなきゃいけないわけですから、どこかで線引きをせざるを得ないというのは、これはよくわかります。  ただ、今、デリバティブに対しては原口局長大臣にかわってお答えになり、今、信託については局長がみずからお答えになって、このお答えは議事録に残りますから、この後、保険会社とか商工中金とかがデリバティブで大きな失態を演じたり、あるいは金融機関が非処分型の不動産信託で何か問題を起こしたときには局長責任が問われますよ。そのことをはっきり申し上げて、次の質問に移らせていただきます。  これも入澤委員とちょっと同じような話になりますけれども、先ほど信用金庫の話をおっしゃいましたが、その信用金庫の規制について御質問になられて、それに対して副大臣から、これは議決権が一会員だから、また、出資の譲渡というのは承認じゃないと認められないので大丈夫ですというようなお答えがあったんですけれども、私も自分が考査に行っていた経験からすると、信用金庫というのは、議決権は一つしかなくても実質的に理事長とかそういう方々がすごく強い力を持っておられて、かつ資本関係はなくても理事長の縁故の企業とかにがばっと貸しちゃっているケースが結構あるんですよ。  だから、先々週から先週にかけてもう御承知のように信金三つ破綻処理を申請していますけれども、上位業態もこれから特別検査で大変なことになると思いますが、下位業態が私は結構やはりもっともっと目配りをしていかなくちゃいけないと思っていて、入澤委員の御質問を重ねることになりますが、信用金庫業界に対してはもう少し強い監督をするべきではないかと思いますが、改めて御意見をお伺いしたいと思います。
  107. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 先ほどお答えしたわけでございますけれども、協同組織形態の信用金庫等の金融機関でございますけれども、おっしゃるとおりのような事例が見られるということもよく理解できるところでありますが、金融機関の形態としてやはり相互扶助型ということなんで、そういう意味では、それからしかも、その規模がそういう意味ではより小さいということもございますし、その中で内部の自己規律でもってそういう問題を処理していくというのが適当であろうというふうに考えたわけであります。  いずれにしましても、一般の銀行法によります指導監督というのは受けるわけでございますので、御理解を賜りたいと思います。
  108. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 御答弁はそういうことになると思うんですが、私も長いこと国会中継、国会テレビとかで見て、やっぱりこれだけ大勢の議員や行政の皆さんが時間をかけてコストをかけて議論をしているわけですから、これは与党の入澤先生も野党の私も申し上げているわけですから、そういうことについて、付議して議論が進んでいるからそこは絶対変えられないということで国会をやるんだったらほとんど意味がないですよね。  こういう委員会で与党からも野党からも指摘を受けているわけですから、そこは、議会でそういう指摘を与野党から受けたんであるならば、検討しますとか、そういう御回答をいただきたいんですが。
  109. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) そういう問題をよりよく動かしていくための方法として、法律によって規制をしていくのがいいのか、あるいはある程度の基礎的なルールを定めながら、あと行政上の監督でもって導いていくのがいいか、それはその銀行の規模とか置かれた状況とかその責任の大きさとか、そういうものを考えてそれぞれの対応がなされるべきだというふうに考えておりますので、私のその答弁を維持させていただきたいというふうに思います。
  110. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 余りここで時間をとると、せっかく日銀総裁も来ていただきましたので次に移らせていただきますが、ただ、先ほどの局長の御答弁もそうですし、今の副大臣の御答弁も、信金の監督に関して副大臣に関しては、信金の監督に関しては入澤先生や私が申し上げたことに対してそういう方針をここで打ち出されたわけですから、これから信金の破綻が幾つか起きてしまって、今、私が申し上げたような事例が出てきたときには、それはやはり副大臣として御認識が甘かったとどこかで釈明していただかないと本当に議会の意味がないですから、それはぜひ御理解いただきたいなというふうに思っております。  それから次に、ちょっと眠くなる話かもしれませんけれども、先ほどの午前中に取り上げましたパブリックコメントの百八十ページに、異業種参入された新銀行システムのインフラ、ホストコンピューター等のインフラに関する共有、例えば親会社と子銀行がそれを共有するのはまずいんじゃないかとか、そういうことのコメントが来ていて、金融庁の御回答は一義的に規制を設けることは困難というふうになっているんですが、ここはちょっとマニアックな分野ですけれども、困難と言っている場合じゃなくて、同じコンピューター、ハードを共有して、事業法人とかその子銀行がそのインフラを使っていると、例の個人情報、個人情報は顧客の同意なしには親会社に利用させないというオプトインを前提としているということをパブリックコメントの中でも言っておられるんですけれども、ホストコンピューターに関して、パーティションをちゃんと切らせる、それから管理IDは別々に管理する、同じ人が管理者としては勤務しないとかという、非常にマニアックで、こういう委員会議論させていただくのは恐縮なんですが、そこまできちっとやらないと顧客の情報管理なんてできないですよ。それを一義的に規制を設けることは困難というふうに言っておられるんですけれども。  そこで、私はそれではまずいんじゃないかという視点から、これは事務方で結構ですからお伺いしたいんですが、既に今回のこの議論に先立って、御承知のアイワイバンクとかソニーバンクとかイーバンクがスタートしておられて、金融庁の皆さんは運用指針に掲げた五原則できっちり監督していくと言っておられるんですから、そうすると、ジャパンネットはいいです、さくら銀行だから。あとの三つ、異業種が入ってこられたこれらの新銀行について、コンピューターのインフラ、例えばハードがどこに置かれていて、それは事業法人と共有しているのかどうかとか、そういう情報はきっちりフォローしているのかどうかということをちょっとお伺いしたいんですが。
  111. 高木祥吉

    政府参考人高木祥吉君) お答え申し上げます。  今すぐにどこにというのはちょっと出ないんですが、個々の免許の認可に当たって、ホストコンピューターがどこにあるとか、バックアップシステムはどこにあるとか、そういうことはすべてきちっとチェックをいたしております。
  112. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そうすると、一義的に規制を設けることは困難という、当たらずとも遠からずかなという気はいたしますが、しかし、衆議院の議事録を拝見しても、この部分質問に対しては結構あいまいなお答えをしておられて、私は大変危険だなというふうに思っております。  FISCがいろんなルールも決めておられるわけですし、この異業種参入の新銀行に関しては、システムインフラに関する監督基準とかルールづくりはきちっとこれからやるということをお約束いただけるという理解でよろしいですか。
  113. 高木祥吉

    政府参考人高木祥吉君) ケース・バイ・ケースでいろいろ検討が必要になるという面はあるんですけれども、いずれにしても、実態として、今先生御指摘のような点はきちっとチェックはいたしております。  ただ、先生がおっしゃることもよくわかりますので、こういう今までの経験も踏まえながら、さらにきちっとした基準なり考え方なり整理できないかということについては検討したいと思います。
  114. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 大臣、済みません、マニアックな話で眠くなるかもしれませんが。でも、別に一個一個の問題を大臣にここで解決してくれと申し上げているわけではなくて、事ほどさように、大きな方針を大臣、副大臣が掲げられても、実際現場で起きていることは、別に皆さんも悪気があってやっているわけじゃないですよ、しかし相当裁量の範囲が広くて、そしてさっき大臣がおっしゃったように、人手が足りなくてそんな細かいところまで見てられるかみたいな話が起きているかもしれないということなんですよ。そこを御理解いただきたいなと。  それを、人手がなくてできないとおっしゃるんだったら、行政に対する信頼感を失う結果になるので、むしろ完全にフリーハンドに任せた方がいいんですよ、完全にフリーハンドに。この点は一番最後の方で、政策にどういう理念を持って臨んでいただくべきかということを最後の方でちょっとぜひ意見を言わせていただきたいと思いますので、そこでまた議論をさせていただきます。  大分細かい話をお伺いしましたが、この銀行法改正に絡んで最後に大臣にひとつ御所見をお伺いしたいのは、今までの話で御理解いただけたかどうかわかりませんが、大変申し上げにくい話ですが、全体としての組み立てが、統一された哲学が余り感じられないというのが私の正直な印象でありまして。  というのは、さっきも申し上げましたように、基本的には日本は市場原理で自由化でいく、自己責任原則でいく、金融業界もそれでいくということで、今回も異業種参入も認めてやろうとしているわけですね。その一方で、しかし、金融業界は特別だからモラルを求めたいということで、英国的、大陸的な制度を、コンフォート・レターとかいろいろ持ち込んで、さっき入澤委員法案の文言を引用されましたが、コンフォート・レターの現物自体はもっとすごいことが書いてあるんですよ、いっぱい。御承知かと思いますが。  そういう、一方で非常に大陸的なモラルを求めようとしていると。じゃ、そのモラルを求める部分について徹底して法の中に書き込んでいるかというと、先ほど申し上げましたように、子銀行に対する責任という意味では、英米よりも親会社に対して緩い責任しか求めていない。非常に全体としてパッチワークになっているなということを私は感じざるを得ないわけです。  日本がこれまでさまざまな産業政策とか金融行政も含めてやっていく上で、行政の皆さんがいろいろ各国のことを調査して、いいところをくっつけてつくってきたというのはわかるんですけれども、そういうやり方が限界に来ているということが今の日本の大きな問題だと思いますので、今回、大臣がおっしゃるように、二十一世紀の金融界がどうあるべきかという、本当にそういう大きな問題への第一歩なわけですから、こういうコンセプトが混在した形での銀行法改正というのは実は懸念材料もいっぱいあるなということを申し上げて、今の観点に関して大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  115. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 大塚委員からかなり専門的な御経験、また知見に基づいて本法案についての御指摘をいただいたわけですけれども、私は、結局、先ほど冒頭に言ったように、二つの要請、つまり、できるだけ他業に対して銀行業を開いたものにしていこうという要請、さはさりながら、他方、金融という、公共性と言ったらいいでしょうか、そういう観点からするとおのずと健全性観点等からの規制というものが入らざるを得ない、そのあたりのバランスをどこに見出していくかということに私は尽きるんじゃないかと考えておりまして、そのバランスのとり方が、千鳥だよとか千鳥足だよとかいうような御指摘かとも思うんですけれども、これは、全くこれまでにない新しい事態だけに、走りながらというか、歩きながら考えるという面もやむを得ないというふうに思います。  したがって、我々は、今回御提案させていただくこの法律案を御理解いただいて、そしてなお、これからいろんな状況金融界にも起こってきますので、そういう状況に対してこの法律の枠組みが有効に機能することを期待しますけれども、仮にそういういろんな問題があればまたそのときにいろいろ考えさせていただくということは、これはちょっとなかなか新しい事態だけに避けがたいことではないか、このように考えます。そのときには、今の委員の御指摘等も十分念頭に入れて対処したい、このように存じます。
  116. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 非常に重要なポイントだと思いますので、たしか懇談会か何かやっておられると思いますので、蝋山先生のところですね、ぜひいい結論を出していただきたいなというふうに思いますけれども。  それでは、冒頭で御案内申し上げましたように、銀行法の細かい話についてはちょっとここで一区切りさせていただいて、先般の代表質問でも中小企業金融の問題についてお伺いをしたわけでありますが、内閣府の方は来ておられますか、先般の代表質問で、私の質問に対して竹中大臣の御回答はこういうふうだったんです。「私は、今もこの不良債権問題の本質は特定業種の特定大企業に集中しているというふうに考えております。」ということなんですが、これは内閣府としての統一見解だと考えてよろしいですね。中小企業金融に絡む統一見解だと考えてよろしいですね。
  117. 小林勇造

    政府参考人小林勇造君) 日本経済が潜在力が発揮できないというその大きな原因が不良債権問題だという考え方から、四月の緊急経済対策以来、今回の改革先行プログラムまで対策をつくっておりますが、竹中大臣が御答弁をされた表現で対策の中に盛り込まれているわけではございません。あくまで大きな意味で、不良債権問題が日本経済の潜在力を発揮できない理由だという考え方のもと、今回、新たに柳澤金融大臣の新しいイニシアチブを先行プログラムの中でも位置づけさせていただいてあるというふうに理解しております。(発言する者あり)
  118. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今、横で先輩の櫻井先生が答弁になっていないというふうに言ってますが、私はそうは申し上げませんが、私もそんな気はいたします。  それじゃ、内閣府にお伺いしますが、これ、配られましたよね。(資料を示す)「変わる日本 この一歩から」、なかなか立派なカタログです。これ、いつ出たんですか。まず、いつ出たかを聞きたいんですけれども。
  119. 小林勇造

    政府参考人小林勇造君) 改革工程表をまとめたのが九月二十六日でございまして、それに合わせてそのパンフレットを作成したということでございます。
  120. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 この資料の八ページにこう書いてあるんです。「中小企業を含む健全な取引先に対する資金供給の一層の円滑化に努めるよう金融機関要請します。(十三年九月末までに措置)」と書いてあるんですね。  九月二十六日から九月末までに何を措置したのか聞きたいんですけれども。
  121. 小林勇造

    政府参考人小林勇造君) 内閣府が具体的に金融機関に対する要請をする立場にはございませんが、そういう考え方でやるというふうに改革工程表の中に明らかにしておりまして、そういう形でパンフレットをつくらせていただいたということでございます。
  122. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 大変不誠実な答弁だと思いますが、こういうことをやることが、結局、金融行政に対する──これは内閣府がやったことが、恐縮なんですけれども柳澤大臣の方に飛び火しちゃうんですけれども、不信感を呼んでいて、中小企業の皆さんは必死になって読んでいるんですよ、これ。これが出たときに、僕のところにも電話がありました。何やってくれるのかなといって、やっぱり内閣も考えてくれてるんだなあと喜んでいました。まあしばらく自民党に任せておくかと言ってました。  だけれども、何もやっていないんでしょう。無責任だと思いませんか。無責任と思うか思わないかについて、御見解をいただきたいんですが。
  123. 小林勇造

    政府参考人小林勇造君) 改革工程表を取りまとめる際に、当然、金融庁ともいろいろ御相談を申し上げて改革工程表を取りまとめさせていただいております。(「ちょっと待って、答弁になってないよ今の」と呼ぶ者あり)
  124. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 済みません、私まだ年期がたっていないので櫻井先輩ほど怖くないんですけれども。  そうすると今度、例えば平成十三年三月三十日の規制改革推進三カ年計画というのがこの中についていますね。(資料を示す)今、金融行政も含めてそれにのっとってやってくださっているわけです。規制改革推進三カ年計画、この八十九ページにあります。  ここに、「2金融関係」というくだりがあって、これをじっと読んだんですけれども、2の(1)の「基本方針」にはこう書いてあるんです。国民によりよい資産運用と資金調達の道を提供できるような制度改革を実現する、こう書いてあるんです。資産運用と資金調達。(2)の重点項目には、預金者の利便性とか金融機関自身の業務の多様化、経営効率化ということが今度は各論として入っているんだけれども、資金調達の企業サイドの話は一個も書いてないんですよ。  だから、さっきのこの小泉さんの顔のついた「変わる日本 この一歩から」もそうだし、規制改革推進三カ年計画も、資金調達サイドのことを本当に真剣に、柳澤大臣は考えておられるかもしれないです。事務方の皆さんがどこまで考えているのかということなんですけれども、どうも私は心配だなあというふうに思うんですが、ここまでのやりとりを聞いていただいて、きょうは竹中大臣もおられませんので、柳澤大臣に御答弁いただきたいんですが。
  125. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 最初に中小企業の問題にお触れになられ、さらにまた今、資金調達面のことに、規制緩和三カ年計画の上でのお話として承ったわけですが、中小企業に対する金融の円滑化の問題というのは、実は私どもの発案というか、イニシアチブという言葉がいいのかどうかですけれども、そういう動きの中で、いわば何と申しますか、内閣府に施策として届け出をし、そしてそれが内閣府によって取りまとめられた、こういういきさつでございます。  何をしたかということですけれども、これは特に銀行協会というか主要行の人たちの集まりで、どうも最近の金融を見ていると、無理からぬこととはいえというか、そういう状況が背景にあるということはわかるけれども、何か金融動きが、いかにして健全化計画に沿ったものにするかということにほとんど熱を傾けてしまっていはしないかと。もっと伸び伸びするところは伸び伸びやってくれということを、私じかに申し上げました。  特に、起業というか、最初の業を起こすというようなところについては、これは勢い最初の形というのは中小企業なので言うんだけれども、そういうようなところにもっと資金が疎通するように、そういうものに積極果敢にもっと需要というか必要筋というか、そういうものを掘り出すことによって、もっと伸び伸びと資金をつけるところにはつけてくださいということを、実はこれ呼びかけですけれども申し上げました。本当に健全化計画で、また何か間違いを起こさないかみたいなことばっかり考えているというのはよくないと。  私、健全化計画の監督の立場にはあるんだけれども、余りにも消極的というか、身を固めちゃっているんではないかという感じを申し上げて、もっと伸び伸び、つけていくところにはつけていくべきだと我々は考えておりますよということを申し上げたわけでございます。そういうようなことで、なかなかそうはいっても資金需要がというような話もその場であったかとも思いますけれども、とにかくもっと積極的になるべきところは積極的になってくれということを申し上げたりなどいたしました。  そういう口頭での働きかけというものだけで、あと制度的なものはないのか、こういうふうに言われますと、制度的なものというのは勢い制度金融というようなことになって、現在では政府関係金融機関によって行われることが、保証等を含めてですけれども、大半でございますけれども、とにかくそういうことをしたということでございます。  なお、規制緩和三カ年計画の細部にわたっては、私ちょっと今突然のことで承知をいたしておりませんが、もしそういうことであれば、大変羊頭狗肉というか、題目と中身が違うじゃないかと言われますと、私もちょっとこれ大変遺憾だとしか申し上げようがありません。
  126. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 大変遺憾だという御答弁いただいたので、この各論の中に加えていただくように次はちゃんと御努力をいただきたいと思います。  先ほど、午前中の入澤委員の御質問に対する答弁で、大臣はこういうことをおっしゃったんですよ。地方銀行というのは本当に地域の経済に非常に根を張っていて、経営基盤もしっかりしているし顧客基盤も持っているし、これはなくちゃならない存在なんだ、こうおっしゃったんです。全くそのとおりだと思います。そして、彼らの経営基盤と顧客基盤、この顧客基盤の先にあるのは中小企業なんですよ。だから、大臣が地方銀行は大事だと幾らおっしゃっても、その先にある企業が大丈夫じゃなかったら、地域経済にとって大事な地方銀行も大丈夫じゃないんですよ。  それで、総裁にも来ていただいたので、私は自戒の念も込めて申し上げますと、バブルのちょっと前は日銀の大阪支店におりまして、地方銀行担当とかそれから三和銀行担当をやっていたんですが、六十一年から六十二年のころは毎月、毎月というかほとんど毎週のようにヒアリングをしたりいろいろ話を聞いていたら、企業の方からも金融機関の方からも、何かアパートローンがいっぱい出るんですよ、円高不況で大変なんだけれども、何とかアパートローンが出て不動産回っているからうまくいっていますけれども、何か変ですよねという、ざわざわとしたそういう情報がいっぱい入ってきて、私もそのころまだぺいぺいでございましたので、自分でその情報をどう処理するかというのはなかなか難しかったのですが、みんなが何となく変だ変だ変だと言っていたものが、結局、六十二年に公定歩合を二・五%ずっと引っ張って、それが直接の原因だったという人もいれば、それだけではないという人もいますが、バブルにつながったんです。  今、ざわざわと出ている情報は違う質のものですけれども、実は中小企業の金融が大変なんですよ、金融機関の融資行動がちょっと普通じゃないですという、そういうざわざわざわとした声の出方というのが、実は私はバブルの前と非常によく似ているというのが実感です。選挙で私は半年間、地方、愛知県を中心にですけれども回らせていただいて、本当に実感なんですよ。  ここの部分について、大臣がどこまで臨場感を持ってお感じになるかどうか。これを放置すると、前回は、そういう指摘を見逃した結果、バブル経済の発生につながり、その後の失われた十年につながりましたけれども、今回、この中小企業の皆さんの声なき声をどれだけ真剣に受けとめていただけるかどうかによって、実はこの後起きることを私は左右すると思っているんですが、もう一回、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  127. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) バブルの最初のころの実感を込めた資金需要のありようというものについてお話をいただきました。今度ざわついているというお話ですけれども、恐らく逆の方向のことだろうと、こういうように推測をいたします。  私は、これについてどういうことを申しているかというと、不良債権の処理に当たって中小企業には配慮するということは、それはそれでいいんだけれども、中小企業だからもう画一的に配慮するということはありませんと。それは、業況の思わしくない中小企業等について、もちろん、何と申しますか、特殊性とよく言うんですが、店と奧とが一体化しているというようなことは配慮しなければいけないけれども、業況そのものを見るときは、構造的にもうこれはなかなか立ち行かない業種だなというようなときにはむしろ、大変酷な言い方かもしれないけれども、見切りをつけていただくということもまたその当該の債務者のためだということが私はあるだろうということを申しているわけです。  その一方、もちろん、例えばバブルのころに、大塚委員のおっしゃるような融資の一環かどうかはともかくとして、ちょっと本業と違ったことに手を出しちゃってそれが焦げついている、しかし本業の方は相変わらず自分の技術かなんかでちゃんとやっているというようなことについては、これはできるだけ切り離しをむしろ図るというようなことをしてくださいと。  さらにもっと言いますと、業況悪いけれども、これは非常に循環的な日本経済の大きな流れの中で自分たちもまた業況悪いというようなものもあるでしょう。そういう場合には、今度は金融機関の側の見きわめが大事なんですけれども、やっぱり融資をつけていくと。それで、経済状況がある程度上向いてくるときまでつないでおくというようなことも必要で、そんなことは釈迦に説法で一々言うことありませんけれども、私は、そういうように、余り画一的に見るんではなくて、よく見きわめていくということが大事だということを申し上げているわけであります。  そういうことの中で、今のざわつきということについては、私もそういうことはあり得るかなと思うんですけれども、率直に言って私どもも不良債権の処理、オフバランス化をしようというふうに呼びかけておりますから、それが現場でいろんなことを起こしているということは想像にかたくないところでありまして、しかし、そのいろんなことがやっぱり我々の言っていることと軌を一にしたものでないと困るということをここでは申し上げたいと、こう思います。
  128. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 中小企業金融に関してはここで何か具体的な結論が出るたぐいの話じゃないですから、御答弁はそれで結構でございます。  今実は議論をされておりますBISの新しい第三次の見直しについても、第三次案に向けて行う見直しのポイントとして、BIS基準ですら、大きな三つの項目の一つに、中小企業向け金融の円滑に配慮とバーゼルが言っているんです。  それで、大臣はこの間、代表質問のときに、そんな融資の稟議に一件一件口突っ込むことできない、それはおわかりでしょうと私におっしゃってくださいましたけれども、それはわかっています。だから、一件一件のことに口を挟んでいただきたいということではないですが、特別検査も始められるということですし、不良債権の査定だけではなくて、金融機関の融資行動というものが一体どうなっているのかということについてもきちっとモニタリングをしていただいて、そして中小企業金融に関する政府の明確な御方針をお示しいただくということが、企業の皆さんが安心して企業活動に邁進できるかぎなんです。  それがなければ、大臣がさっきおっしゃったような、地方銀行は顧客基盤がしっかりしていますなんということは絵に描いたもちなんです。そこは、現場で、自戒の念も込めて、バブルのときに日銀担当者をやっていた私の皮膚感覚をぜひ真剣に受けとめていただけるとありがたいなというふうに思っております。  じゃ、最後にもう一つ申し上げますが、大臣は、バランスシート上見たらやっぱりここは貸せないところだから、そういうところは切って云々というお話を今されましたが、それはバブルのときに実は同じことが起きていたんです。バランスシート上はこの企業はフローのプロフィットは小さいけれども担保力があるからとか、そういうことでバランスシートだけを判断して貸し込んでいったわけです。今度はバランスシートだけを見ていって縮小均衡に向かおうとしている、こういう日本金融機関の融資行動にきちっとメスを入れられるのが本来の金融庁のお仕事であって、不良資産の査定だけが金融庁のお仕事ではないということを申し上げて、この質問は終わらせていただきます。  さて、時間もあと三十分になりましたので、今の不良債権問題もつながりがありますが、大きな問題を議論させていただきたいと思います。  大臣、そろそろ出番でございます。塩川大臣にもこの間の代表質問のときにお答えいただいて、どうもありがとうございました。  それで、繰り返しになりますけれども、竹中大臣がいないのが本当に残念なんですけれども、こういうところにいなくて大丈夫かなという気がしますけれども、日銀が供給しておられるベースマネーがプラスで伸びておられる。超金融緩和をやっていますからね。マネーサプライもふえていると。しかし、そこから先、本当に国民の皆さんの経済市場にマネーが流れているかどうかというと、そのバイパス役になる金融機関からの銀行貸し出しは四十五カ月連続で減っている、そして金融機関の国債の保有量は倍増していると、こういうことを代表質問で申し上げたわけですね。  そうすると、金融機関の融資行動をどうコントロールするかというのは柳澤大臣のお仕事ですが、国債のファイナンスの方にどんどんどんどんマネーが吸収されているということをどうするかというのは塩川大臣のお仕事のわけですが、代表質問の繰り返しになるかもしれませんが、これを大臣はどういうふうにコントロールしていかれようと、これは三十兆枠をどうするかとかそういう話じゃないんですよ、マネーフローがどんどんどんどん国債のファイナンスに事実上回っているというこのマクロ経済の構造を大臣の御所管の範囲内でどういうふうに対処していこうとしておられるのか、それをお伺いしたいんですけれども。
  129. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これは、御指摘をされるように、私は健全な形ではないと思っております。要するに、投資先がないから国債を買っておくというのが、いかにいろいろ理由をつけましてもそれが実態ではないかと思っております。  したがいまして、銀行は貸し出しを積極的にやってくれることを望んでおるんですけれども、しかし、ここ数カ月を見ますと、やっぱり依然として貸出残高は減ってきておりまして、逆に国債の保有の方がふえてきておると。私は不健全な形だなと思っておりますけれども、しかし、一応国債であれ保有してくれておることが、いずれはこれまた流動資金に回っていく可能性もありますから、その意味において、将来の展望として一応はこれを是認して、継続していくように見ておるところです。
  130. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 確かに、急にそういうマネーフローの構造を意図的に変えられるかといったら、変えられないと思うんですけれども、そうすると、問題は、国債の中身をいかに意味のあるものにしていくか、本当に経済の拡大再生産に向かうようなものにうまく回していくかということがポイントだと思うんですが、実は、御承知のように、国債には建設国債と赤字国債、あと、最近は、国債じゃないですが、広い意味での財投債が出てきているんですが、建設国債というのは、発行開始以来、ずっと建設国債の支出対象予算項目が随分裁量でどんどんどんどん広がってきているんですけれども、そのことは大臣は当然御存じでいらっしゃいますよね。
  131. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 存じております。
  132. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 それでは、事務方の御答弁で結構ですが、対象項目が昭和四十年以来どういうふうにふえてきているのかというのをちょっと御開示いただきたいんですが。
  133. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) 副大臣でございますが、私からお答えいたします。  建設公債の項目数でございますが、公共事業費に限ってお答えいたしたいと思います。  建設公債を発行するようになりました昭和四十一年、このときの項目数が八十八項でございます。失礼しました、項目じゃありません、項であります、八十八項であります。本年度、平成十三年度でございますが、二百二十二項でございます。すなわち約二・五倍になっておる、これが数字でございます。
  134. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 私が見聞きした限りにおいては、八十八から二百二十二にふえているその差分というのは、つまり昭和四十一年のときには建設国債対象項目としては適当ではないと思われていたものが、後からそこに入ってきているものが結構あるんですね。結構あるんです、毎年の予算編成の中で。それはおかしいですよね。建設公債の定義というのはそんな弾力的なものではないはずですから、後から入ってくるというのはおかしいんです。  この問題はきょうは余り深く突っ込みません。これからまたいろいろ調べさせていただきますが、副大臣で結構ですが、今、公共事業関係費というふうにお答えになって、さすがだなと思いましたけれども、実は対象項目は、公共事業関係費以外ではなくて、その他施設費というのがあるのは御存じですか。
  135. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) 建設公債発行対象となります経費につきましては、御案内のとおりに、財政法第四条第一項ただし書きによりまして、公共事業費、それから出資金及び貸付金とされております。これはもう御案内のとおりでございます。
  136. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 きょうはここから先は通告していないので、もしお手元になければ改めて数字を御報告いただきたいんですが、今は公共事業関係費は八十八項から二百二十二項にふえたというお話でしたが、その他施設費というのは、私が知り得る限りでは昭和四十一年には十八項目しかなかったんですね、十八項目。たまたま私の手元にあった資料は、昭和五十五年というのは八十二項目になっているんですよ。これは今どのぐらいになっているか、お手元にありますか、数字。
  137. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) 今、詳しい数字、申しわけございません、ここにございませんので、またお答えさせていただきたいと存じます。
  138. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 わかりました。じゃ、それは改めて、先ほどの公共事業関係費の項目二百二十二の内訳と、それから当初の八十八の内訳と、それから今御質問申し上げましたその他施設費の十八の内訳と、その他施設費の現在の項目とその内訳、これは改めて御回答をいただけるということでよろしいでしょうか。
  139. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) まず申し上げますけれども、先ほど申し上げました財政法第四条のただし書きによりますところの公共事業費、出資金及び貸付金、この三つはそのとおりでございますが、そして、さらに申し上げますと、今言及されております公共事業費、公共事業費の中に公共事業関係費とその他施設費、こうなっておりますので、今お答えいたしました数字、二百二十二というのはこれは両方足した数字でございますけれども、いずれにいたしましても、細かな数字、またお答えをさせていただきます。
  140. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 わかりました。  塩川大臣にお願いしたいのは、全体の金額として幾らに抑えるということで一生懸命、きょうも三十兆円枠守らなかったら政権崩壊だと新聞に出ていましたけれども……
  141. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) そうは言っていない。
  142. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 済みません、日経新聞にはそう書いてあるんですよ、「財務相「放棄なら政権崩壊」」と。  それはともかく、私が申し上げたいのは、全体としての金額だけではなくて、中身を大臣チェックしていただかないと、これはさっきの金融庁と一時間お話をさせていただいたことと一緒で、大方針を両大臣が幾ら正しいことをおっしゃっても、中身がきちっとコントロールできていなかったらちゃんとやっていることにはならないわけですよね。ぜひそのことを塩川大臣にもお願いを申し上げたいと思いますが、実はこれからまた柳澤大臣にお伺いしようと思ったんですけれども、その前に、きょうはこれお伺いするはずじゃなかったんですが、たまたま日経新聞にまた大臣のお顔が載っているものですから、大臣不良債権問題について、「銀行と企業が完全な癒着状態にあるので、なかなか整理が付かない」と。これは柳澤大臣じゃないですよ、塩川大臣がそう言ったというふうに出ているんですけれども、これはどういう意味でございましょうか。
  143. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は、不良債権問題は、それは確かに民事の問題でございますから、政府がどうのこうのということじゃございませんけれども、しかし、少なくとも上場しておる会社、一部上場、二部上場しておる会社は、これはパブリックなものでございますから、ですからやっぱり社会的責任があると思うんです。その会社が、いつまでたっても配当はようせぬ、そして債務超過になっておる、あるいは銀行から多額の債権の放棄をしてもらっておる、それでいて再建のめどが立たないというのは、これはおかしいではないかというのが常識じゃないでしょうか。小泉さんじゃないけれども、常識じゃないかと思いまして、それで私はそういうことを個人として申し上げた、懇談で言ったようなことなんです。
  144. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 大臣であられる以上は個人としての発言はないと思っていますので、ぜひそこは慎重に御発言いただきたいと思います。  柳澤大臣がけさの記者会見で、今の塩川大臣に対する御発言について、塩川さんはなかなか老練な政治家なのでと、苦笑いしつつ、ちょっとよく理解できないと御発言になったと、これはニュースリリースが流れているんですよ。  それで、過剰債務を具体的にどのように把握するかは非常に難しいと。GDPの伸び率と貸出残高の伸び率を比較する方法もあれば、業種別に負債を売上高対比で見る方法などいろいろあると。私は柳澤大臣のおっしゃるとおりだと思うんです。柳澤大臣が、いずれにせよ塩川さんと何かの機会にお話しすることがあると思うと言っておられるんですが、今、せっかくの機会ですから、随分意見に相違があるように思うんですけれども、そこで何か、例えば不良債権問題については余計なことを言わないでくれとか、柳澤大臣、言わなくてよろしいですか。──いいですか。  私は、柳澤大臣正しいと思うんです。この間の私の代表質問に対する答弁でも、マクロ経済政策のことについては、自分がミクロの仕事をさせていただいているという立場を堅持したい、マクロについては私は一々具体的にコメントすることは差し控えたいと。全くそのとおりだと思います。所管外のことを財務大臣がこういうふうに御発言になるということは大変国政の混乱を招いています。竹中さんも一緒です。  内閣府にお伺いしたいんですが、竹中さんは金融庁の特別検査の結果を経済財政諮問会議でチェックすると言っていますけれども、一体どうやってチェックするんですか。
  145. 小林勇造

    政府参考人小林勇造君) 経済財政諮問会議で今回改革先行プログラムを取りまとめて、その中に不良債権の処理について書いてございますが、この改革先行プログラムの、あるいは先ほどの改革工程表の進捗状況を点検、評価していくということ自体が経済財政諮問会議の使命であるという趣旨でおっしゃっているというふうに理解しております。  個別に、例えば直接銀行がどうのこうのとかいう話ではございませんで、この書いてある全体の政策を評価、チェックしていくということでございます。
  146. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私はさっきの大塚さんの言葉は心外ですね。非常に心外ですね。そういう新聞に書いてあることをつかまえて、所管外のことを言うなとはどういうことなんですか。それはおかしいでしょう。  だけれども、私が所管外だとはいっても、ちゃんと断っていますよ。私は所管外だけれども、あえて問われるならばと。新聞記者に聞いてください。そういう不見識な質問をすることも不見識じゃないですか。
  147. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 日本には長幼の序というのがございますので、もし先輩のげきりんに触れたとしたら、それはおわびを申し上げますけれども。  しかし、代表質問でも申し上げましたように、柳澤大臣と塩川大臣と竹中大臣は本当に日本経済の命運を握っていらっしゃるんですよ。そして、さっきも解説申し上げましたように、金融と財政は表裏一体で、その間をつないでいるマクロ経済政策を担当しているのは竹中大臣で、このお三方が閣内不一致みたいな発言をしていて、それが毎日毎日、新聞にいろいろ出ていて、それを読んで企業経営をしなければならない一般国民は混乱しますよ。そういうことを申し上げているんですよ。  だから、一国の財務大臣としていろんなことに御関心をお持ちになって、断った上で御発言になるというのはごもっともですし、政治家の大先輩ですから、大変失礼があったらおわびしますけれども、現実にお三方から出る情報の受け手の国民の側は混乱しているという、そういう御認識はないんですか、大臣は。
  148. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は違いますね。私は違います。どこがそれじゃ三人で違うんですか。はっきり言ってください、どこが違うのか。それをあなた、違うだろうということをうわさだけで言われたら非常に心外です。違うならばちゃんと、例えば経済財政諮問会議で調整して発言をするということはいたします。けれども、私はそうは言っていませんよ。じゃ、私が例えば公共事業のことについて、公共事業費のことがどうだこうだということを財政の立場から言ったら所管外ですか。そんなことを言ったら何にも言えないじゃないですか。これは大臣として言っておる話なんですよ。  ですから、それを統括するのは所管の役所でございますから、所管の役所がやったことに対して私はちっとも異議言っていませんよ。異議を言っているんじゃない。こういう考え方があるじゃないかということを言っておるだけでございまして、これ、とるとらぬは所管の役所でございますから、今の大塚さんみたいな賢い方がそんなことをおっしゃると、大臣の仕事が何もできぬようになってしまうがな。そう思いますよ。  だから、どこが違うのか。竹中さんと私と柳澤さんとどこが違うのか。私は、金融庁のやっているとおり、それはちっとも否認していないんです。否認しておりませんよ。しかし、こういう考え方があるじゃないかと。だって、よく考えてごらんなさい。一部上場しておるような会社は、これまさに社会的公器ですよ。たくさんの方が資本参加しておるんですよ。これをこんなていたらくの会社に置いておいていいのかということを言っておるんです。私は不良債権の処理をどうせいこうせいと言っているんじゃない。このことはやっぱり国民から見たらおかしいじゃないかと。それに対して政府は何もしないのかという声は……
  149. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 政府ですよ。
  150. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) いや、沸々として上がってきておるじゃないですか。そうでしょう。そうならば、政府としては何かしなければならぬと。それはできないならできない。できないならできないでこうなんだということをきっぱりと宣明して、不良債権の問題については政府は責任ないと言うんならはっきりする、そういうところが大事なところなんじゃないでしょうか。そうでなくて、やはり不良債権の問題について行政的に処理するというならば法律等が必要でしょう。あるいは行政指導も必要でしょう。何かのことを考えると、政治的に考えるのかどうか。現状のままじゃできないことは当たり前ですよ。現状のままじゃできないですよ。だから、どうするのかということを決めるということなんですよ。
  151. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 大変塩川大臣のおっしゃることもわかりますが、これは見解の不一致ですから、小泉さんがよくおっしゃるように、見解の不一致ですと言っていつも討議切られちゃいますので、これも見解の不一致と申し上げざるを得ないですが、大臣はそうおっしゃいますが、公共事業に関しては大臣の御所管ですから、いろいろ言われるのは全然所管外じゃないですよ。  しかし、もしこの新聞が間違いだと言うなら、日経新聞を厳しく糾弾しておいていただきたいですが、日経新聞には、過剰債務企業、不良債権の処理について、選別は行政も関与するべきだ、そして、銀行と企業が完全な癒着状態にあるので、なかなか整理がつかないと。私の感覚からすると、これはまさしく金融庁の御所管のお仕事であって、財務大臣としてここまではっきりおっしゃらない方が、情報の受け手の国民の側は混乱をしないだろうなということを意見として、私の感じている意見として申し上げさせていただきます。  そして、きょうは竹中さんいませんから、小林局長にぜひお伝えいただきたいんですが、経済財政諮問会議で特別検査の結果をあるいは金融庁検査結果をチェックすると言っていますけれども、私も考査に行って一件一件の融資をラインシートを見て現場でやっていますけれども、そんな簡単なものじゃないですよ、チェックするといっても。竹中大臣も、そういうことをおっしゃる前に、もうちょっと御所管の範囲でやることがあるんではないかと。だから私は、これは塩川大臣、怒らないでくださいね。
  152. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) いや、怒ってないですよ。
  153. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 怒ってないですか。よかったです。柳澤大臣と塩川大臣と竹中大臣が、きょうは速水総裁もいらっしゃいますので、この四人が日本経済の命運を握っていらっしゃるんですよ、本当に。そういう意味で、この間はお三方しか代表質問にいらっしゃらなかったので、三人寄れば文殊の知恵なんという何か失礼なことを申し上げさせていただきましたけれども、本当にそう思っているんですよ。  だから、それぞれが御所管の範囲できちっと成果を上げていただく。先ほどの中小企業金融の問題について言うと、柳澤大臣についてはぜひお願いしたいのは、内閣府が九月の二十六日に、中小企業金融について何かやりますよと紙を出したけれども、それは九月の末までに何かやると、四日しかないのに、何もやらないとか、こういういいかげんなことを放置しないで、それぞれの御所管の範囲内で私どもの期待する成果を上げていただきたいなということをお願い申し上げまして、とりあえずこの問題は一区切りつけさせていただきます。  先ほど柳澤大臣は、行政の事前チェックと事後チェックのお話で、人が足りないからなかなか大変なんだよということをおっしゃった。私もそれはよくわかるんです。だから、本当にこれから事後チェック型の行政をやっていくんであるならば、堂々と人をふやしていただければいいと思うんですよ。  で、今回の特別検査に関しては、内閣府がおつくりになった改革先行プログラムだと、不良債権チェックについては抜本的に強化すると言っていて、事務方の方が部会報告に来ていただいたときに、「抜本的に強化」とは何ですかと聞きましたら、二年に一回やっていた検査を一年に一回にすると言っているんですね。それじゃ、要員を倍にするのかと言ったら、いや、要員は今までのままですと言うから、それは常識で考えたら、一回の検査の濃度が半分になるだけなんですよ、マンパワー的に言うと。だから、事後チェックも大変ですし、そういう検査のマンパワーも要るんです。  そこで、日銀総裁にお伺いをしたいというか御検討をお願いしたいんですが、日銀にも考査局というものがあるわけでありまして、まさしく今、平時じゃないわけですから、金融庁がまなじりを決して特別検査をやるという、こういう事態であるならば、日銀考査局もマンパワーを拠出してでも一緒にやっているという、オールジャパンでやっているんだという姿が、国民の側から見ると、ああいよいよ本腰を入れてくれたかということになろうかと思うんですけれども、日銀考査金融庁検査を一緒におやりになる考えはないですか。
  154. 速水優

    参考人速水優君) このたびの特別検査につきましては、いよいよ始まって、私もいい効果を上げていただきたいというふうに思っております。私どもの方も、金融機関に対して考査等の場を通じて、不良債権処理の促進とか株価リスクへの対応とか収益力の強化といったような克服すべき経営課題について、内外市場の信認の早期回復につながるような、従来以上の踏み込んだ対応を求めていくことを始めております。特に、大手十五行についてはそういった考査をやろうと思っております。  今おっしゃった特別検査になぜ加わらないのかということでございますが、ちょうど私ども三年前に、早期健全化法に基づく資本注入がございましたときに、展望するという意味で共同検査考査を実施したことがございます。今回の場合、現時点では金融庁からそのような共同検査考査要請は受けておりません。この点につきましては、金融庁はここ数年、検査要員等の大幅な増員も行っておられますし、三年前に共同検査考査を実施した当時と比較して、私どもの考査と共同で検査を実施する必要性が薄らいでいるのではないかと推察いたしております。  もとより、日本銀行としましては、現下の金融システム状況を踏まえますと、金融庁との間で従来にも増して緊密に連絡をとっていく考えでございます。現に、私どもが考査をする場合に使っておりますマニュアルは、金融庁が使っておられる検査マニュアルと同じ内容のものを使っております。
  155. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 日銀考査の基本的な運用は私も理解しているつもりでございますが、本当にこれだけ、これから大手行に短期間で検査に入ってきちっとした成果を出そうという局面で、私のように、金融庁のスタッフが今までの陣容で本当にちゃんとできるのかなと心配に思っている人はいっぱいいるわけですから、ぜひ総裁と大臣で御相談いただいて、協力すべきは協力するということでやっていただきたいなと。間違っても、ただでさえ金融機関経営が大変なときに、ダブルで負担を相手側に、検査を受ける方に負担をかけるというようなことのないように、調整をしてやっていただきたいなということをお願い申し上げます。  時間も大分参りましたので、次の質問に移らせていただきますが、柳澤大臣にお伺いしたいんですけれども、先ほど来話に出ました日本金融システムと行政の将来ビジョン懇話会ですか、これが蝋山先生のやつですよね。そこで、一昨日ですか、興銀の中島厚志調査部長が、不良債権問題というのは、デフレの結果であってデフレの原因ではない、デフレが何とかならないとどうしようもないんだという、私は現場にいませんでしたので文字面しかわかりませんけれども、人によっては開き直りだというふうにおっしゃる方もいるんですけれども、そういう発言をされたということなんですが、それは事実ですか。
  156. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 我々の懇話会、基本的には、余り立場だとか、後で何を言ったかということについて云々されるというか、云々されるというのは非常に私は注意深く言っているんですけれども、そういうことがなく、むしろ立場を離れて、それで議論の間に自分の意見が変わっていっちゃう、そういうこともむしろあるという前提での議論の方が私はいいと思っているんですね。そういう意味合いで、これはいわゆる議事録の開示をするとかということを考えておりません。  ただ、余りにもそれでは、何をどう発言があったかというのが全くわからないというのも今の行政ではやっぱり望ましいこととは思わないので、今、座長の蝋山先生に大変厄介なお願いをしているんですが、会が終わった都度、大体どんなお話があったかということを、名前をクオートしないで記者の皆さんに報告をしていただくということで今取り進めさせていただいているところであります。  したがって、今の委員の御質問に対しても、私、これを確認するとかということは大変恐縮ですけれども避けたいと、このように思っています。
  157. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 本席ではそれで結構ですが、私が何を申し上げたいかというと、不良債権問題がデフレの結果であるという、経済メカニズム的にはそういうこともある程度事実だろうと思います。しかし、今、公的資金が投入されて、ややもすれば、きょうまさしくここで議論になっています、銀行はいかにあるべきか、銀行家はいかに信頼される存在になるべきかという新しい金融のビジョンに向かうそのプロセスにおいて、今、金融業界が非常に信頼感を失っていると。その金融業界のしかるべき立場の方が、ある程度事実であったとしても、不良債権問題はデフレの結果であって原因ではないんだ、自分たちではどうしようもないんだということは、私はマスコミの耳に入るようにおっしゃるべきではないと思っているんですよ。また、本当にそういうキャンペーンを金融機関が張るようになったら、これはいよいよ本当に限界が近づいてきているのかなという、そういう印象が元金融界の人間としてします。  そして、実は、興銀を含んだみずほグループさんというのは、去年から関係の証券会社金融機関が出すレポートが、例えば国債に関してもトーンが変わってきているんですよ。去年の前半ぐらいまでは、国債はこれ以上発行すると大変だというようなトーンのレポートだったのが、最近はみずほグループから、国債の暴落は絶対ありませんというようなレポートが出て、そして、みずほグループの一員の中島調査部長が、不良債権はデフレの結果であって原因ではありませんとか、余りこういうオピニオンコントロール的な、そういうふうにとられかねない情報発信をされるというのはいかがなものかなと思いますので、そこはぜひ金融業界所管の柳澤大臣としてきっちり御指導いただきたいなというふうに思います。  きょうはあと時間が二分しかありませんので、せっかく日銀の新しい審議委員中原委員においでいただいておりますので、今と同じような視点でひとつ御質問をさせていただきたいんですが、中原委員御就任前に私は日銀を退職しましたので初めてお目にかかりますが、どうぞよろしくお願いいたします。  時事通信のインタビューを委員が受けられて、インフレターゲティングではない、物価参照値というような、そういうものを設けて金融政策を行うことも一案であるというようなことをインタビューにお答えになって、これは何紙かに出ているんですけれども、お時間がございませんので、そのインフレ参照値という委員がおっしゃったものは一体どういうものかというのをかいつまんでちょっと御説明いただければありがたいんですが。
  158. 中原眞

    参考人中原眞君) まず、本件につきましては、私がインタビューで一審議委員としての意見を申し伝えたわけでございまして、日銀として何か組織的に検討しているとか、そういうものではございません。  まず、インフレターゲットでございますが、私がこういうことを申し上げますと、何か私はインフレターゲットに賛成しておると、こういうふうに受けとめられかねないんでございますが、インフレターゲットにつきましては、私は現段階では導入は適当ではないと、こういうふうに考えております。  最近のデフレ状況、物価低落の要因というのはさまざまでございまして、もちろん需要不足ということが大変大きな要因ではございますが、構造的な問題がございます。また、事実上、日銀金融政策、ゼロ金利を続けておりまして、こういう状態のもとで、金融政策だけでインフレ目標を設定してそれを達成するということは大変難しいんではないかというふうに考えております。  ただ、中長期的に安定した物価水準というのはどういうものか、何とかそれを数字のレンジで示すようなことはできないのか、もしそういうことができれば、金融政策の透明性あるいは説明力、こういうものを増すんじゃないかと、こういう思いが私ございまして、これは先生大変もう御存じのことではございますが、欧州中央銀行の場合には、中期的な望ましい物価の安定の状態を数値で示すということで、CPIで二%以下というような考え方を示しております。こうしたことも踏まえまして、インフレターゲットの議論とは独立のものとして、何か政策のフレームワークあるいはガバナンスというようなことで考えられないかというのが私の問題意識でございました。  ただ、実際にすぐ実施できるかどうかということにつきましては、まず物価そのものの考え方、これはなかなか難しゅうございまして、いろんな意見がございますし、また水準そのものもいろんな意見がございまして、私は導入には相当慎重な検討がまだ必要だろうというふうに思っております。
  159. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 最後に発言させていただきますが、今の中原委員の話を聞いても、インフレ参照値という新しいコンセプトをお出しになったんですが、何だか多分皆さんよくおわかりにならなかったと思うんです。  私が申し上げたいのは、ただでさえ金融政策について、ここにいらっしゃる方は結構お詳しいですけれども、一般の国民の皆さんも含めて難解だなと思っておられて、インフレターゲティングもよくわからないときに、また話を混乱させるような新しいコンセプトを、余りきっちりお詰めになる前に発言なさらない方がいいという趣旨で申し上げております。  というのは、例えば委員も御自身おっしゃっておられますが、インフレターゲティングをやっても、インフレを実現する手段は日銀にはないと言っておられるわけですから、ということは、インフレターゲティングではないインフレ参照値というものを設けても、それを実現する手段はないわけですよね。  だから、そういう意味では、発想としてはわかるんですけれども、やはりその辺は議論を混乱させないように御発言をいただきたいなと思いますのと同時に、最後に一言申し上げますが、前回の委員会でも申し上げましたように、インフレによって所得の再分配が起きる。所得の再分配を行うということは政治そのものですから、実は。インフレに一定の目標値を決めるという行為自体が政治行動なんですよ。  だから、インフレの参照値を日銀が決めてもいいと法律に書かれれば、あるいはターゲットを決めてもいいと書かれれば、それは法律によって付与された権限ですけれども、そうじゃないときに日銀が所得の再分配をもたらすインフレ率に目標を決めていいかどうかというのは、これは実は非常に難しい問題だと思っておりますので、私自身は、ぜひその辺を十分御理解いただいて、これから審議委員として各所で御発言いただければなということをお願い申し上げます。  きょうは各大臣には大変真剣に御議論いただいたことを御礼申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  160. 山本保

    ○山本保君 公明党の山本保です。  きょうは私にとって二度目の質問になりますが、先回は速水総裁にお聞きをしまして、大臣にはきょうが初めてでございます。どうぞよろしくお願いいたします。  私は、きょうは銀行法でございますけれども、今の大塚さんの質問と逆の形にお聞きするような形になりますが、最初に、先回のですか、経済財政諮問会議で補正予算の骨格というんでしょうか、が発表になったということで、もういろいろ流れております。  最初に、第一問、財務大臣にお聞きしたいのでございます。  最近のこの非常に厳しい中で、先行プログラム関係に関しては一兆円ですか、そして実質三兆円ですか、この補正予算について、どういう特徴を持っているのか、また、先ほどの議論の中で公共事業というのが今度は入っていないよというような特徴もあるようでございますけれども、この辺について少しわかりやすく御説明いただきたいと思います。
  161. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 今回の補正予算は、一言で言いましたら、どれだけの財源があるかということで支出の方を考えたということでございまして、景気対策のたびに志を持ってはおったんでございますけれども、これは第三者から見ましたら景気対策になっておるとは思われないということを私も承知しております。しかしながら、この補正予算は一つの重要な政治的な意思を持っておるものだと考えていただいたらいいと思うのであります。  それは何かといったら、従来型の補正予算では、大型の公共事業、すなわち計画に基づくところの公共事業の前倒しを中心とした補正予算を組んでおりましたけれども、今回はそうではなくして、一番身近なニーズのある、そういうものの行政需要を引き出し、さらには、雇用対策上どういうことが有効であるかということを勘案して、その方向に対して予算をつけていったと、これが一番の私は特徴ではないかと思っております。  それともう一つは、過去におきますところのいろんな立てかえをしてもらった債務がございます。この債務は、この際に補正予算で、非常に厳しい財源でございましたが全部清算をしたということでございますので、来年度、十四年度に対してはそういう足かせはなくなってきておると思っております。  したがって、国債発行を三十兆円以内におさめるということは、非常に無理な予算であることは知っておりますけれども、これによって財政の節目をしっかりとしたということを私は思っておりまして、この方針に基づいて十四年度も予算編成いたしたいと思っております。
  162. 山本保

    ○山本保君 大臣、済みません、ちょっとそこで一つだけ。今のお話の最後のところで、国債発行三十兆円というのは厳しくなったということでございますか、それとも、ぎりぎりでとめたんだと思っておりましたけれども、その辺はいかがでございますか。
  163. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 十三年度がですか、十四年度ですか。
  164. 山本保

    ○山本保君 十三年度で。
  165. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 十三年度ですね。もうぎりぎりのところでございました。ここからちょっと超えるともう三十兆を割ってしまうと。結局、幾らでしたか、国債の発行額は少し、一千億円ぐらい残っているんじゃないかと思っています。
  166. 山本保

    ○山本保君 それと関連しまして、また大臣に戻ってくるかもしれませんが、本来は竹中大臣にお聞きしたかったんですが、局長でございますか、おいでだと思うんですけれども、今回の予算の一兆円、今、大臣の方からも、身近なものとかまた雇用対策というところに重点を置いたんだというお話があって、それは先行プログラムに定められているものだというふうに認識しているわけですけれども、この先行プログラム、そしてその前に出されました改革工程表、もっと言えばその前の骨太の方針と、こういう流れの中で、今回特に財務大臣が今おっしゃった部門を重視をしたということの説明ですね。なぜこれが重視されるのか、この辺について御説明いただきたいと思います。
  167. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) その前に、私は、一千億ほど残っておるんじゃないか、国債枠はと言いましたけれども、実は全部使ってしまったそうでして、一銭も残っていない、三十兆いっぱいだということを申し上げて、訂正させていただきたいと思います。  御承知のように、我々が構造改革をするということに、大まかな方針として全部行政を洗い直しまして、それを骨太の方針ということに出しました。そのうち短期で直ちにやっていきたいというものを、それを改革工程表ということで組みまして、これだけのことをいつまでにやりたいという日程をずっと書きました。その中からさらに、とりあえずすぐに十三年から十四年にかけて実施したいというのが先行プログラムということで組み立てたようなことでございまして、今度の補正予算の中にも、先行プログラムというので、お手元に近く配分されると思うのでございますが、雇用・中小企業セーフネットの問題として出したことと、それから構造改革加速政策対策費として出しましたこと、そういうことと合わせて一兆円ということで出しております。  この中身をもっと詳しく申しますと、雇用対策というので五千五百一億円、これはもうごらんになっているから私から言わぬでもよろしいわな、中身は。中身は御存じでしょう。そういうふうなぐあいに出ておるということでございまして、これらはいずれも従来の補正予算のスタイルとは大分違うものだということを認識していただきたいと思っております。  そして、まださらにつけ加えますと、このうちの緊急構造改革の加速します施策、ここで大体六本出ております。この六本は金額にしたらごくわずかなものでございますけれども、今度の補正予算でとりあえずこの事業を発足させて、十四年度からは本格的な予算をつけて加速をさせていくという、そういう考えが盛られておることでございまして、したがってこの六項目の中の各項目は非常に細かく小さく分かれた事業がたくさん盛り込まれておりますけれども、とにかくそういうふうに、構造改革に資するものであるならば全部拾っていって、これに予算をつけて実現させていけと、とにかく発足させいという趣旨でこの予算をつけておると、こういうふうに見ていただいたらいいと思います。
  168. 山本保

    ○山本保君 内閣府の方でもお聞きしたのでございますが、今、大臣の方からお答えがあったように思いますので、これに関するお答えは結構でございますが、大臣、ちょっとだけ。せっかく中身にまでちょっと触れられましたので、本来は予算委員会の話かと思うんですが、ちょっとだけ気になっていますのが二点ほどあるんです。  一つは、特に今御存じでしょうということで、時間のこともあったので結構ですと申し上げた、雇用対策の部門で以前にも二千億を積み増したりしたわけですが、今回の流れというのは、民間の事業といいますか、民間型を応援しようという形だったと思うんですけれども、どうしても失業対策、雇用対策ということになりますと、すぐに手が打てるのは、民間というよりはお役所型というような形にどうもなりがちじゃないかなと思うわけなんですね、矛盾したところがあるのはやむを得ないかという気もするんですけれども。  この辺は例えば、役所が一たんはやってもそれを民間型に持っていけるような、何かそういう仕組みというようなものを考えていただくといいなと思っておるんですけれども、その辺はいかがでございましょうね。
  169. 小林勇造

    政府参考人小林勇造君) 今御指摘がございましたように、今回の対策では特に「雇用・中小企業に係るセーフティーネットの充実」という重要な柱がございますが、そこで民間活力をできるだけ活用しようというような考え方をとっておりまして、例えば「雇用対策」の一番目に「民間活力の活用による職業紹介機能の充実」というようなことが入っております。  また、さらには、幾つも民間の活力を活用するというような中身が入っておると思いますので、そこのところは後ほどまた詳しく先生の方にも御紹介したいと思います。
  170. 山本保

    ○山本保君 どうもありがとうございます。  大臣、せっかくでした、後でまたもう一つお聞きします。  それともう一点。ちょっとこれは自分の専門に絡むことで、柳澤大臣にも実は発言を予定していなかったんですが、先ほどちょっとおっしゃったことと絡むんです。  大臣、先ほど、もっと伸び伸びと仕事をしていきたいのに、いわゆる不良債権をなくすということのようなところに集中してしまってというか特化されちゃって、元気が出ないようなことがあるんじゃないか、個人的見解とたしかおっしゃったのかと思うんです。  私も実は全く同感でございまして、私はもともと福祉が専門でやってまいりまして、福祉というのを、かわいそうな方を助けるという従来型の福祉ばかりやっておりますと、いつまでたってもかわいそうな方はなくなりませんで、そうではなくて、要するにお年寄りなどがそうですが、本来あります力をもっともっと伸ばしていける形で全体をアップしていくという福祉に今変えつつあるわけでございます。  そういう観点で、ちょっと私の、一つだけこれは中身に入って申しわけないんですが、今回の予算とそれからその前の実は先行プログラムでもそうなんですけれども、まさにこの前、日銀総裁ともお話ししたんですが、実体経済をどういうふうに伸ばすかということが今一番大きな問題だと思うんです。  私の感覚では、実体経済の今日本で一番足らないのは人材と情報だと思っておるんです。情報に関しては、ITということでこれは割とハード部門が中心ではありますけれども、ハードがおくれているということで、これは出ているとして、人材形成ということが重要だと思うんですけれども、例えば今回の中でも、私の専門でやっています一つに、インターンシップといって大学生、高校生以上の学生さんを、まさに実業体験しながら、今までの日本の学校教育というのは、言うならば実力をつけるためじゃなくて、まさにふるい分けをする、そういう仕事をしてきたわけですよ。これまでところが、それでも経済が許してくれておったわけですけれども、今そんなことできないし、できないどころか、会社人間つくるよりは、どんどん新しい人材に最先端で立っていただかなくちゃいけないのに、日本の学校教育というのは全くその役務を果たしていないというのが私の持論なんでございます。  そういう点で見ますと、インターンシップについては、実はこの先行プログラムには載っているんです。ところが、どこに載っているかといいますと、雇用対策に載っておるんです。肝心のといいますか、経済などのもっと元気よくやっていきましょうというところには載っていないんです。まさにその就職が大変なので、その就職をなくせばいい。御存じのように、旧労働省の感覚でいえば、雇用対策というのは昔の言葉で言う失業対策でありまして、先ほど私申し上げたように、かわいそうな方を助けるという発想が一番強い部門なんですね。  そうじゃなくて、ここではもっともっと人材を、まさに経営革新なり、そういうための人材をつくるという、教育も含めた制度改正が私は必要だと思っておるんですけれども、どうもそれがなかなか政府・与党にはまだ届いていないので、この辺についてちょっとお聞きしたいということで、統括官の方にこれはたしか出してあったかと思うんですが、まずお答えいただいて、後、できましたら、大臣の方からちょっとコメントをいただきたいと思います。
  171. 小林勇造

    政府参考人小林勇造君) インターンシップ制度については、先生御指摘のとおり、人材育成を通じた産業基盤の強化に資する制度であるということは確かでございますが、現実に今何が起こっているかと申しますと、やはり若年層の完全失業率が非常に高いと。本日発表されました失業率でございますが、若年層、十五歳から二十四歳の失業率が九月に一一・〇%ということで大変高くなっていると。  こういうものの背景に、若年層の職業意識形成が不十分であり、自己と職業の関連づけができていないという問題があると。そして、学生が早い段階から適職選択のための自己理解への取り組みを行うことが必要であるというふうなことから、このインターンシップ制度をこのような状況対応して、大学生の職業意識の形成だとかあるいは実践能力の向上とともに、企業側の学生採用意欲を喚起して雇用の創出にできるだけ役に立てたいというような考えがございますので、今回の施策としては、特に最近の状況を踏まえて、先生の御指摘のような人材育成、産業基盤の強化に資するというような観点ももちろん踏まえながら、今回、改革プログラムにおきましては雇用対策として整理させていただいたということでございます。
  172. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) インターンシップの考え方は、私は一つのスタイルの問題であると思っておりまして、現に、例えば土木、建築の技術者でございますね、こういう方々を現在でも実用的に採用をしておるところが多々ございます。それはやはり、土木、建築で現場の監督をやった後、現場の難しい工事をやりました後、しばらく学校に通わせて、そして休養させて体力取り戻すかたがた勉強さすという、そういうスタイルが相当ございまして、私も現にそのことを体験したことを知っておりますが、そういうことをひとつ制度的に各分野に広げようということでやった。  おっしゃるように、これは人材育成の方で取り上げてもいいだろうと思いますし、またしかし、雇用のワークシェアリングの一つの形態だと見たならば、これも一つのスタイルとして雇用対策の中に見られるんではないかと、そういうことで判断したんだろうと思っております。
  173. 山本保

    ○山本保君 私もおっしゃることはわかりますけれども、ちょっと古いガイダンス論に立っていると思っているんですよ。  つまり、この専門の方からいいますと、ニーズに合わせて人間を育てていくという感覚ではなくて、その人の持っている力をいかに開くための、新しい自分の生きがいとしての職業というのをつくり出していくのかという考え方が大事なわけでして、先ほどの統括官のお話ですと、それは企業側だけのニーズということ。でも、その企業側自体が実は、今までのように、会社人間のような方を、昔だったら運動部出てきた人がいいと、こう言っていたわけだけれども、そんなこと言う今企業はないわけでして、どんどん進んでもらいたいと言っているわけですね。  そういうための能力開発という、まさに雇用させるかどうかというもう一つ前、そのためにはもう一つ前にどういう能力開発をしなくちゃいかぬのかという、それを実は主としている仕事をやっておるのは学校なわけでありますから、学校を変えなくちゃいかぬという、こういうことにもうつながっていくんだということを、できれば今度また、これ以後もいろんな話が出てくるときに、ちょっと前から気になっておりましたのでお話をしました。  この問題について、最後に一つ財務大臣の方にちょっとお聞きしたいのは、今回のこのスタイル、つまり経済財政諮問会議に骨格なり案を出して、そこで、先ほどそんな話もちょっとありましたが、決定をされると。今までのように大蔵省主計局で決めて大蔵大臣が決めるという形ではない初めての方式をとられたのかなと思うわけでございますが、何か屋上屋じゃないかという気もしないでもない。しかし、これが政治家主導の予算編成だということかもしれない。  大臣、この辺について、率直なその御感想、また今後、この十四年度予算についても当然この方式を進めていくのかなと思いますけれども、これについてもお話しいただけますでしょうか。
  174. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は、率直に言いまして、行政のスピードは非常に遅くなってしまったなと思うんです。政府内で意思決定するという手続が非常に複雑になってきたということ、今スピードを求められているときでございますから、ある程度部門別に司令塔をつくって、そこでとんとん決めていって、推進をスピードをアップすべきだと思うんです。  私は、今でも思っておるんですが、経済財政諮問会議というのは、経済並びに財政について、総理大臣の諮問機関としてその大方針を決めると。中方針もあってもいいですが、要するに参謀本部なんですね、作戦をしているときの。そういう構想であっていいと思うんです。それを決めたら各省におろして、各省がそれぞれ、その大臣が中心になって、とにかくトップダウンでもボトムアップでもどんなのでもいいですが、早くまとめて、それをまた諮問会議へ持ち寄って、これで大くくりをして、予算編成しますところの財務省にすぽっとおろしていくと。そして、これを財務省は予算のいわゆるラインとして、要するに実施設計をつくって大工屋とか左官屋の仕事をするわけでございますから、そういうことの役割をもうちょっと正確にやっていったらいいんじゃないかなと思うんです。  経済諮問会議ではやはり総合的な議論をしますので、非常に私は有効な会議だと思うんですけれども、現在までのこの約四カ月、五カ月ですか、経験いたしましたことを見ましたら、議論がないんですね。だから、これ、こうやってきた、これでどうですかということで議論がなしに、もう何かペーパー見て、ああ、そうかそうかということでやっているんですが、これは私、もう少しその議論をしてもいいんじゃないかと思うんですが、それはやっぱり運営の問題よりも、やっぱりそういう仕組みをつくってしまったことがちょっと何だと思う。  ですから、経済財政諮問会議というのは、そういうあらかたの方針を示して下でやらせていくという、そういう方式をする方がいいと思っております。
  175. 山本保

    ○山本保君 大変率直な、遅いというのについては、我々与党側の準備というか、そのことも責任があるなと思いますし、後の方については、自民党の中にも結構うるさい人いっぱいおりますし、我々も幾らでも発言したいと思っているわけですから、ぜひ議論の中に、何というか、ちょっと変わったところに一つだけあるというんじゃなくて、我々の意見も通るような、そんなシステムを考えればいいんじゃないかなというような気もします。  さて、それじゃ、やっと今度これで法案の方にちょっと入らせていただきますが、まず最初に柳澤大臣にお伺いしたいんですが、先ほどの議論にも実はあったことで、そちらへ持っていこうかなと思ったんですが、ちょっとおくれましたが、骨太方針から工程表、ずっと見てきますと、金融問題について出てくるのは不良債権処理とそれから直接金融へのシフトということだと思うんですね。それから、実態上オーバーバンキングかどうかは知りませんが、再編というか銀行界の再編が進んでいると。  こういう状況の中で、異業種というか新しい銀行、それもはっきり言えば今までの銀行よりは大変小さい弱い銀行をたくさん入れるという今回のこの法律のねらいというか、これはちょっと私のような者が見ますと、どうも一体的に理解しにくいところがあるんですけれども、この辺はいかがでございましょうか。
  176. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) やっぱり、背景にはこの情報ネットワークの発達というものがあろうと思います。もちろん、情報ネットワークについて従来の銀行がこれを利用していないかというと、全くそういうことはないわけでありまして、一生懸命利用をして、それがゆえに今回私ども、営業所の存廃について認可制を届け出制にする、原則そういうふうにさせていただいているわけですけれども、たまたま私の地元ですからよく承知をしているわけですけれども、ある地方の銀行がネットの中に支店を置きましたら、もうそこの預金口座に全然自分の圏域以外のところのお客さんが非常に多数つくというようなことが現実起こっているわけです。  そういう意味で、旧来の銀行もこの情報ネットワークというものを使用していないわけではないんですけれども、また今度は逆に、ネットワークについて自分たちに一日の長があるというか、そういうような人たちからすれば、これを活用して、ある意味で言うと自分たちのネットの囲い込みにいかに活用するかとか、あるいはそこから何がしかの利益を上げてくるかとかという、そういうニッチ的な、すき間的な関心から、やっぱり銀行業務に進出したいというような向きがあり得るわけです。  それはそれで、今度は逆に、旧来の人たちにも非常に刺激になるというようなこともありますので、むげに、おまえたちは違う集落の人間であるよというようなことで排除するというようなことになりますと、これは非常に刺激のないビジネスコミュニティーになってくるというようなこともありまして、大いに双方が切磋琢磨してビジネスチャンスをねらうということはちっとも悪いことでないのではないか、こういうようなことから、異業種に対しても銀行業を開放するというようなことがあるわけでございます。  そういうことで、そこに踏み切っていくについては、じゃ、参入の自由だけうたっていればいいのかというと、それはそうではない。やっぱり銀行業というのは、これは先ほど来御議論にたくさん出ておりましたように、預金者の保護であるとか、あるいは金融の仲介機能であるとか、決済機能であるとかというような、そういう公共の利益というか、そういうものに密接に結びついている業務分野ですから、そちらの方からの一つの規律、これを最近特にバーゼルの銀行監督委員会なぞもしっかりする必要があるということを言っておるわけですので、その両方をにらみながら、参入の自由化を進めるということと同時に、特に健全性の見地からいろいろななすべき規制をしていく、こういうような双方のことが必要になったというのが今回のこの法案の提出の背景でございます。  そういう中で、確かにオーバーバンキングというか、アメリカも非常に変遷が激しいので、別に今のアメリカの姿が未来永劫の我々のモデルだと言うつもりはありませんけれども、例えば銀行の貸出残高なぞを見ましても、え、これが全米のFDICの加盟行の残高総額なのというくらい実は日本から比べても小ぶりなのでございます。そういうこともありますので、そのあたりのことも念頭にはもちろんあるんですけれども、そういう万般のことをにらんで、自由化と健全性確保をしながら大いに活性化をしていこう、これが今回のねらいということで、ぜひ御理解を賜りたいと思います。
  177. 山本保

    ○山本保君 ありがとうございます。  さっきちょっと言い忘れましたが、これ以後は金融庁日銀にお聞きいたしますので、お願いいたします。  柳澤大臣にはちょっと後でお聞きすることにして、ちょっと細かい話、少し先に入らせていただきます。  原口企画局長にお聞きしたいと思いますが、順番はちょっと変かもしれませんが、今回の法案五十二条の十四ですか、ここに、五〇%を超える持ち株の主要株主には健全性確保をしなければならないという、こういう条文が入っておるわけですけれども、もし危険になってきたときには頑張れというわけなんだそうですね。  それで、一般的に商法では株主責任というのは有限責任で、出資した分だけで済むんじゃないかというふうに思うわけですが、この五〇%以上の主要株主がここで法律上求められる健全性確保をするための努力というのは一体どういうことを意味しているのか、そして、先ほどの法律との関係、そしてもしこれを、そう指導されてもやらなかった場合はどういう形になるのか、御説明いただきたいと思います。
  178. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) まず、五〇%超の主要株主につきましては、銀行業公共性、それから、銀行が破綻すればセーフティーネットの存在のように預金者全体の負担とかあるいは公的な負担に結びつくものである、こういうことから、特に五〇%以上を持っている主要株主の場合は単独で銀行の支配力を有しているということがございますので、今申し上げましたような銀行経営の健全化のための措置を求めるために、有限責任を超えたことを求めるというのもその銀行業公共性観点から十分考えられるということで、こういう措置をとらせていただいたわけでございます。  それから、具体的にこの規定でどういう措置をとり得るかということでございますが、例えば主要株主影響力の行使によって銀行が不健全な融資を実施しているような場合に、そのような指示または経営管理方針を改善するということ、あるいは主要株主経営資源を活用して銀行の顧客基盤の充実を図るということ、そういった例が考えられると思います。また、そういうようなケースにつきましては、そういった主要株主につきましてそういう措置を求めるということにしたところでございます。
  179. 山本保

    ○山本保君 その次に、局長、もう一つ。もしそれに従わなかった場合はどういうことになりますか。
  180. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 失礼しました。  今申し上げました五〇%を超える主要株主に対する改善計画提出の求め等に違反し、改善計画を提出しない場合等におきましては、改正後の銀行法第六十五条の規定に基づく罰則が適用されることになります。これは百万円以下の過料ということになっております。  また、改善計画提出の求め等に違反した主要株主につきましては、改正後の銀行法五十二条十五の規定に基づく認可の取り消し等の対象になりますので、仮にこの認可が取り消された場合には、実質的に影響力がなくなる水準まで持ち株比率を下げなければいけない、こういうことになるわけでございます。
  181. 山本保

    ○山本保君 そうしましたら、今度は、これともまた似ているんですが、二〇%以上の主要株主、この方たちに対しては、認可するとき、またその認可後といいますか、動き出してからもいろいろ検査をしたり、また報告を求めたりということが書いてあるわけでございますね。  それで、ちょっと細かい話になりますが、先ほど午前中にも話が出たこととちょっと関連するんですけれども、最初のまず認可のときの審査として、ちょっと我々が見てあっと思いましたのは、先ほど午前中に出ましたのは社会的信用、これは株主ではなくて頭取でしたか取締役についてのことでしたが、同じことがこの主要株主にも書いてあるわけですけれども、社会的な信用とか、それからもう一つ言いますと、銀行を子会社のようにして所有する目的というものについて審査をすると、こうあるわけですが、一体どういう形でこれが効果的な審査になるのだろうかという気がふとするわけです。何か悪いことをするために銀行を持ちますなんという人はいないんじゃないかと思いますし、一体この辺はどういうものを想定されているんでしょうか。
  182. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 認可の際の要件につきましては、今も先生の御指摘のありましたいわゆる経営陣の適格性とかあるいは財務基盤、それから事業目的等を総合的に判断することになると思います。それを細かく今の時点で類型化するというのは必ずしもまだできておりませんが、認可に際しての要件については今後内閣府令等で詰めていきたいと思っております。
  183. 山本保

    ○山本保君 局長、これちょっと通告はしてなかったことですが、今のに関連しまして、先ほどの話にもありましたが、去年の八月ですか、現行法での運用指針が出ておりますね。この運用指針が生きるというのではなくして、新しくまた今回の法律に基づいて基準をつくると、今おっしゃったのはそういう意味でございますか。
  184. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 御指摘のように、運用指針がございまして、基本的な考え方というのはそう大きく変わるものではないとは思いますが、法律でこういう措置をとりましたので、法律に基づく具体的な要件として、できるだけ周知のできる部分については内閣府令等の形で定めていきたいというふうに考えております。
  185. 山本保

    ○山本保君 そうしまして、今の二つのそういう審査ということで、私たちにとってみれば大変信用ができる銀行であるというふうに考えられるということで結構だとは思うんですけれども、一点は、それで本当にわかるのかという、やっぱりそのおそれがあります。最近倒れてしまったあの大きな会社の場合にしても、これは要件が違うんでしょうけれども、実際にはほとんどわからなかったとかあります。  こういうことは、逆に、今までのように何も基準がなければ国の責任というのは問われることはないわけですけれども、もしこういうことになれば、今後わからなければ国の責任ということになるわけです。  その辺がちょっと心配なんですが、それはまた後で具体的にちょっとお聞きするとして、外国人、また外国の企業が株主になるときに、こういう審査もしくは事前事後の審査なり検査というのは実効性があるのだろうかということについてお聞きしたいんです。  衆議院の方では、村田大臣ですが、質問に答えられて、「検査等が非常に難しい」という答弁をされているようでありますけれども、もしそうだとすれば、今まさに国際的な枠がないわけですから、いっぱい出てきておりますし、ちょっと心配な気がするんですけれども、この辺いかがでございましょうか。
  186. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 基本的には、法律考え方として、その主要株主等が国内であれ、あるいは海外であれ、それは同じ考え方というのは基本だと思います。また、実際書類等で審査できる部分については、できるだけそれを活用していきたいと思います。  ただ、御指摘のように、検査ということになりますと、主要株主に対する検査権限は、一応海外に存在する主要株主に対しても及ぶというふうに解しておりますけれども、現実の実施に当たりましては、これは他国における公権力の行使ということになるので、相手方の同意を得た上で行わなきゃならないと。こういう意味では実際上の制約が存在するということは確かでございますが、一方で、こういう事例というのは、別段主要株主の問題だけではなく、金融行政、いろんな面で存在しておるわけでございまして、我々としても、海外の監督当局との連携、協力、例えばバーゼル銀行監督委員会の諸原則等を踏まえて、従前より一層密接に海外当局との連携を図ってきておりますし、今後ともさらなる協力体制の強化ということに努めていく必要があると考えております。
  187. 山本保

    ○山本保君 局長、きょうも午前中にバーゼル委員会のことについて出てきましたが、そこの中にも、委員会に入っている国同士はいろいろお互いに、そういう権限といいますか業務、国の仕事というのが連携し合うようにはあるんですが、あれは十二カ国でしたか十四カ国でしたか、しか入っておりませんよね。  それで、これはちょっときのうはお聞きしていなかったんですが、今、どこの国とでも連携できるというようなお話だったんだけれども、これは仕組みとしてそういうことになっておるんでしょうか。入っている国は十幾つであるのに、そのほかの国について、連携といいますか、行政実務で何か担保されるような制度になっておるんでしょうか。ちょっとこれ私知らないものですから教えていただきたい。
  188. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 今御答弁いたしましたバーゼルを例にとりましたのは、例えばと申し上げましたように、バーゼルの銀行監督委員会の参加国の間ではかなり緊密な協力体制がとられている。また、主要株主等として参加する、まあこれは必ずしも今後どういう展開になるかわかりませんが、現状におきましてはそういう国からの参加が大部分であろうとは思います。  ただ、一般的に、じゃ、すべての国についてその綿密な協力体制があるかというと、これはおのおの主権の調整という面もございますので、それぞれケース・バイ・ケースになろうと思いますし、その際も、個別の事例等に即して必要がある場合にはできるだけその協力体制をとっていきたい、こういう趣旨でございます。
  189. 山本保

    ○山本保君 副大臣、いかがでございますか。
  190. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) それでは、今局長がお答え申し上げたとおりでございますけれども、バーゼルのコンコルダットによりまして、この声明を読みますと、「現地当局が外銀の拠点に重大な問題があると認めた場合、あるいは、そうした疑義を抱くに足る理由がある場合には、進んで母国当局に知らせなければならない。」、こういうふうに規定されておりまして、その他の事項もございますけれども、そうした観点から、本邦の銀行が外国に拠点を置いたような場合にも、外国の銀行監督当局と緊密な連携をとりながら、情報をいただいて適正な監督ができるようにしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  191. 山本保

    ○山本保君 ありがとうございます。  それでは次に、日本銀行、きょうおいでいただいています。ちょっと細かいことかもしれません。先ほど大塚委員の最後の辺で質問が出ていたこととよく似たことなんですが、ちょっと細かいことになるかもしれません。  日銀考査日銀法四十四条ですか、これが今度、新しい法改正によりまして今までとは違う形の、既にあるわけですけれども、銀行がたくさん出てくると。この場合、日銀考査という形での方法、その中身については、これまで数店ですか、数行あるようでございますから動かしているとは思うんですが、考査の方法について変更をするというようなことになるのでしょうか、お聞きします。
  192. 黒田巖

    参考人黒田巖君) お答えいたします。  先ほど柳澤大臣からもお話ございましたが、私どもといたしましても、異業種からの参入につきましては、基本的に金融サービス業における競争を活発にさせる、また利用者の選択の幅を広げるという点で好ましい動きと考えております。  ただ、親会社経営方針いかんによってさまざまございますが、例えば銀行の独立性が阻害されてしまうとか、万一親会社が破綻をしたといったような場合にはその波及の影響を受けるといったような、幾つかの特徴的なリスク要因があることも事実だと認識しております。したがいまして、銀行会社考査あるいはモニタリングする際には、これらの点につきまして特に注意していく必要があるというふうに考えております。  また、最近の金融再編の動きの中で、インターネット専業銀行とか、業務を積極的に逆に既存の銀行の側からアウトソースしていくケースも出始めております。これは、最初にイニシアチブをとる人は異なっているわけですが、ある種類似の検討を要するものだというふうに認識しております。このような動きにつきましても、私ども、リスク管理の存在に関するペーパーを公表いたしまして、金融機関とも議論を深めているところでございます。  私どもといたしましては、以上のような各種の対応によりまして、さまざまな形での異業種による銀行業への参入につきまして問題が生じないように努めていきたいと考えております。
  193. 山本保

    ○山本保君 ちょっとそれに関連してもう一つお聞きしたいんです。  つまり、日銀銀行との関係というのも私も今回いろいろ初めて勉強させていただきましたが、まさに中央銀行としての本当にビジネス上のいろんな問題だと。そこで信頼関係なり、また国民に対する責任でこの法律を見ましても、契約という形で締結ができると、こうあるわけです。今回の銀行法改正で、いわゆる金融当局の方が株主についてももっと立ち入って、先ほどからお話ししていますように検査をしたり認可基準にするというふうに、何か見ますと、ちょっと上下関係といいますか、濃淡というのが逆転してしまったような感じがしないでもないんです。  そこで、例えば日銀考査でも、株主に対していろいろ考査をするというようなことは可能なのかどうか、法律的にどうなのかということとか、またそういうことを考えられているのか、いかがでございましょうか。
  194. 黒田巖

    参考人黒田巖君) お答えいたします。  ただいま御指摘ございましたように、日本銀行では、取引先金融機関に対しましては、その経営実態を従来から考査やオフサイトモニタリングで調べております。しかし、例えば取引先金融機関銀行持ち株会社を設立するといったようなケース、取引先の重要な従来持っていた経営機能の一部が外部へ移転されるというような場合には、御指摘のとおり、取引先に対する調査だけでは経営実態を十分に把握できないおそれがあるというふうに認識しております。そのような場合には、主要株主につきましても調査する必要が生じ得るというふうに考えております。  しかしながら、銀行主要株主は、それ自体として御指摘のとおり日本銀行の直接の取引先ではございません。したがいまして、直接の考査契約の締結先にはなっておりません。このために、日本銀行といたしましては、こうした場合のことを念頭に置きまして、平成十二年三月に発表した考査方針の中で、考査の目的を達するために必要な範囲内で、立ち入りを含む調査を実施することが必要と考えるということを明らかにいたしました。実際、その後設立されました銀行持ち株会社などに対しましてはこのことを説明させていただきまして、先方の協力を得ているところでございます。
  195. 山本保

    ○山本保君 そうしますと、先ほどの問題の一つの結論が出たのかなと思うんです。  そこで、金融庁に、局長にお伺いしたいわけです。今、日銀の方から、今後日銀として主要株主についても考査対象としていく、既にしているし、それは積極的に進めるというような趣旨じゃないかなという気がしたんですが、こうなってきますと、先ほど大塚委員からも言われましたように、同じような検査考査が入るというようなことはおかしなことになりますから、例えば金融庁としては、日銀が行うということをもう少しきちんと対象といいますか、前提にした上で連携を進めるということになるのではないかなという気がするのでございますが、いかがでしょうか。
  196. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) ちょっと戻りますが、今回の改正によりまして、主要株主に対して一定の措置を求めることがある、例えば報告徴求とか立入検査とか、そういうことを求める場合があるわけでございますが、それも、銀行業務の健全かつ適切な運営を確保するために特に必要と認めるときということで、極めて限定がつけられているということを御指摘させていただきたいというふうに思います。  ところで、今御質問日銀考査との連携でございますが、お互いの検査あるいは考査が効率的あるいは効果的に行われるようにするために、それぞれの検査なりあるいは考査の法的位置づけとか目的が違いますけれども、これまでもできるだけ連携を図ってきた、検査あるいは考査の日時を調整するなどしてきたと、こういうことであります。  今後とも、主要株主に対する検査など、新たな検査権限を有効に実現していく、こういうふうにするために今後とも日銀と適切な連携を図っていきたいと、こういうふうに考えているわけであります。
  197. 山本保

    ○山本保君 一応、私、きのうの段階でお願いしたのは以上なんですが、大臣に先ほどちょっとお聞きしようかなと思っておったことがあります。  骨太の方針を読んでみましたら、そこに、特に対象はいわゆる破綻懸念先というか、そういう事業主、企業というふうには書いてありますけれども、「銀行が、借り手先企業の状況把握に努め、」、そして「一方、借り手の経営改善に向けた努力を行うよう促す。」という表現が出てまいります。  きょう、最初から、銀行機能というのが信用をつくり出すということと決済ということで、そのビジネスを安定させるということだということがあったわけですけれども、私、個人的な感覚かもしれませんけれども、銀行というのは、特に中小の企業に、直接かかわるかどうかは別としまして、その方たちがどんどん仕事がしやすいように応援をするような機能も実効上持っているはずだし、それをもっと意識的に使うべきではないかなという気がしてしようがないんです。  今度また次の段階で法律が出てくる、RCCですか、あそこについても、今度法案のもとを見ますと、再建に努めるというようなものを入れさせていただいたわけです。RCCのような大変厳しい状況になったところ、特殊な場合においてもそういうことが法律条文に加えられるとなってきますと、一般の銀行というのは実体経済にもっと協力していくようなことが必要ではないかなという気がしてしようがないんですけれども、大臣、そのことも含めて、ちょっときょうの締めくくりで一言お願いしたいと思います。
  198. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 骨太の方針から改革工程表、あるいはその前段階の改革先行プログラムということで、不良債権の処理というものが証券市場の構造改革と並んで金融庁所管の事柄としては大きな項目で取り上げられていたわけでございます。  その中で、不良債権処理が特に皆様方の関心を呼んでいるわけですけれども、これについては第一段階では、要するに、不良債権の処理を単に引き当てを済ますということだけではなくて、貸出先企業との間でこれをできるだけ、最終的に不良債権のままで置くという、バランスシートの上に置くというところから脱却すべきだと、こういうことをうたったわけです。  そのためには、まず要管理先以上のものについては、より健全化するような形で不良債権でなくすると。それからもう一つは、破綻懸念先以下のものについては、これは特にいい部分と悪い部分、同じ企業の中にもあるというようなことがあるので、それを切り分けて、悪い部分についてはとにかくこれを切り捨てるように、その損失はだれがどう持つかというのは、まさにそれが大変両者の交渉の焦点になるわけですが、とにかくそういう格好でバランスシートから切り落とすと。そして、いい方については、これは残ったいい方ですから、これは不良債権ではなくていい債権ということになるじゃないかと。もちろん、そんないいことばかりはなくて、最終的には清算をするというような、全部清算せざるを得ないというようなものもあるかもしれないですけれども、とにかくそういう形で不良債権の処理を進めていこうと、こういうことがうたわれておったわけです。  そのためには、前段階で検査をもっと強化しよう、これは通常の検査ですけれども、検査をもっと強化して、まず第一には、一年一回、主要行については行きましょう、それから、検査の結果指摘されたところが次の決算に本当にそのとおりに履行されるように、こんな幼稚園の生徒みたいなことは本当は言いたくないんですけれども、いろいろ金融機関の側でもいろんな措置をすると、そういうふうに見れるじゃないかというところまで同一の債権でも区分をよくすることも可能なわけなんですけれども、そういうことも本当に検査指摘された趣旨を踏まえたものかどうかということをフォローアップしよう、ここまでまず骨太でやったわけですね。  それから、その次に今度は先行改革プログラムで入ったことは、そういう通常の検査でなくて特別の検査をしようということと、今度は要注意先の引き当てについてももう少し市場の声を聞こうという、この二つの項目が入ったわけでございます。  それで、特別の検査とは何かというと、通常の金融検査というのは金融機関健全性を見に行くわけですが、そうではなくて、金融機関の貸出先のある特定の貸出先について市場の評価が随分変わったぞというようなときに、それがちゃんと銀行の債務者区分なりなんなりにちゃんと反映しているのかということを見に行こうと。ですから、検査に入ってもそんなに長くかかるかどうか、論議が長引けば長くかかるわけですが、全部の債権を調べるというんじゃなくて特定の債権を調べるということになりますから、これは通常の検査とは全然違うわけですね。  そういうことをやりましょうというようなことを改革先行プログラムでは、これは金融庁が何か方針が迷走しているなんというようなことも一部マスコミで言われますが、全然そうではなくて、客観的な条件の変化にきちっと対応しようというところからそういう施策が出ているわけでございまして、我々としては、今の激動の経済の中で、経済の変化に応じて的確なそういう検査行政をしようじゃないかということで行っているものでありまして、ぜひ御理解を賜りたい、これを今後実行していくということが我々に課された課題である、こういうように考えているということでございます。
  199. 山本保

    ○山本保君 終わります。
  200. 大門実紀史

    大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。  銀行法そのものの質問の前に、今の銀行が置かれている状況といいますか、特に銀行の自己資本と公的資金の問題について質問をさせていただきます。  日銀から速水総裁と田谷審議委員に来ていただいて、どうもありがとうございます。  先にこの問題について日銀のお考えを聞きたいと思いますが、昨年の七月に金融財政事業研究会の五十周年シンポジウムというところがございまして、速水総裁がそこで講演といいますか、ごあいさつをされております。大変興味深く読ませてもらいましたが、資本基盤の一層の強化というふうなことでお話をされています。要するに、日本銀行の自己資本とアメリカの銀行の自己資本を比べて、日本銀行の自己資本というのは公的資金プラス税の繰り延べ税金資産が上乗せされている、しかも、アメリカは一年分ですが、日本は五年分、税の繰り延べ資産が上乗せされている、そういうところからすると、見かけ上遜色ないけれども、日本銀行の自己資本というのは実際には非常に弱いものがあるというふうなことをお話しされていると思います。  速水総裁の今の日本銀行の自己資本に対する評価について、そういうお考えと思いますが、簡潔にお考えをお聞かせいただければというふうに思います。
  201. 速水優

    参考人速水優君) 日本銀行、公的資本の投入などもございましたから、邦銀の大手行の資本基盤というのはかなり補強されてきていると言っていいと思います。  ただ、昨年の講演でも申しまして、私もいつも言っておりますことは、日本の場合のこの自己資本と言う場合に、純粋なコアキャピタルと言っておりますけれども、いつでもキャッシュ化できるコアキャピタルのほかに、公的資本でいただいたものも入っておりますし、それから繰り延べ税金の資産相当額がここに入っているわけで、そういうものは直ちに使えるものではないわけでございます。  いずれにしましても、邦銀の大手行にとって、直接的な償却原資となり得るものを自己資本として海外の銀行並みに持っていなければいけない、持っていることが望ましいというふうに思っております。昨年の講演でもそういうことを言った記憶がございます。内外の信認回復を図っていく上で、直接的に償却原資となり得るいわゆるコアキャピタルを中心とした資本基盤をふやしていくことが重要だと思います。  日米をそのベースで比較してみましても、自己資本比率は、ことしの三月末、日本銀行は一一・〇%と言っておりますが、アメリカと同じような基準でいきますと七%台になっていきます。米国のマネーセンターバンクの自己資本比率は、十二年の二月末で、今の同じベースでいってシティーグループは一一・二%、JPモルガンですと一二%という数字になっております。こういうところから、もう少し、いつでもキャッシュ化できる自己資本というものをふやしておいてほしいなというふうに申した次第でございます。
  202. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。  金融庁の方に、今の各銀行の自己資本に占める公的資金と繰り延べ税金資産の比率、どれぐらいかということをお聞きしましたけれども、そういう統計はとっていないということですので、民間の専門誌が幾つかそういうことを出していますが、例えばその一つですけれども、みずほの三行で見ますと大体半分が、五〇・八%が資本の部のうちティア1ですよね、コア部分ですね。ティア1のうち半分が公的資金と五年間積み上げられている繰り延べ税金資産だと。あるいは大和だと六三%がそうだと。中央三井信託に至ってはもう八五%が公的資金と繰り延べ税金資産だというような数字が出されています。  私、思いますけれども、アメリカの場合は公的資金入っておりませんし、その税の繰り延べも一年分だけということですから、見せかけと言うとちょっと言い過ぎかもわかりませんが、かなりかさ上げされているのが今の日本銀行の自己資本ではないかというふうに思うんですね。  そういう点でいきますと、幾ら直接に公的資金を注入してかさ上げしても、結局、市場の評価といいますか、国際的な評価といいますか、そういうものは実際プロが見ると余り評価が上がらないんではないかというふうに思いますけれども、総裁としてはいかがお考えでしょうか。
  203. 速水優

    参考人速水優君) やはり、基本的には日本銀行がもう少し収益を伸ばして資本を積み立てていくということが大切だと思います。収益をふやすのには何といっても、貸し出しが過去五年で平均してもマイナスでございますから、いい取引先を選んで貸し出しをふやしていくということと同時に、先ほど柳澤大臣からもおっしゃったと思いますけれども、何といっても不良貸し出しというものを、不良債権というものをバランスシートから落としていくということが大事なことだと思います。  引当金だけでなくて、できれば、これは危ないと思ったのは償却していくということが大事だと思いますし、それからもう一つは、不良貸し出しがなかなか減らないのは、よく予備軍などと言われておりますけれども、明確に不良化しているわけではなくても、注意を要する債権について銀行が自己査定をしてタイムリーに見直して、十分引き当てを行いながら企業再生を促していくということが大切だと思っております。  そういうことをしてコアキャピタルをふやし、危ないところには手早く対処していくということが必要ではないかというふうに思っております。
  204. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。  田谷審議委員も、最近の十月四日の静岡講演で、公的資金の投入と言った場合、一つ大事な点は、求められている資金というのは資本であって、返済を伴う負債ではないと。また、資本と言った場合は、最終的にはロス埋め資金であるということを認めることだというふうな御発言をされていますが、これも今、総裁おっしゃいましたように、返済を伴うような公的資金というのは資本としてはどうなのかというふうな意味でおっしゃっているように読み取れますが、その辺はいかがですか。
  205. 田谷禎三

    参考人田谷禎三君) お答え申し上げます。  金融機関にとりまして、不良債権問題を早期に克服することは重要な経営課題です。その結果として、仮に民間資本であれ公的資本であれ、資本の一部が少なくとも一時的に毀損されることはあり得ると思います。そうしたロスを早期に復元していくだけの収益力の強化が図られ、市場からの信認を回復することができるのであれば、つまり資本の毀損を後日回復できるのであれば、こうしたプロセスを経ることは必ずしも避けるべきではないというふうに思います。  御指摘の講演内容は、個人的な見解として以上のような考え方を述べたものでございます。
  206. 大門実紀史

    大門実紀史君 私がお聞きしたのは、返済を伴う負債じゃない方がいいと言われた部分についてなんですが、その後で言われたようなことをおっしゃったんだと思います。  その上で、田谷審議委員はその中で特にRCC等々の施策のことをおっしゃっていると思いますが、そうした具体化の過程で、公的資金の投入に関しいかなる貢献ができるのか考えていきたいと。つまり、前段として、余り負債を伴うような公的資金の注入はどうなのかという文脈のもとにやるならば、直接注入というような形じゃなくて、例えばRCCで買い取るとか、そういうことだったら日銀は協力してもいいというふうに全体をお読みするととれるんですけれども、そういうことじゃないんですか。
  207. 田谷禎三

    参考人田谷禎三君) まさに現在、RCCの機能拡充というものが議論されているわけでありまして、その議論の帰趨を見て、そして、仮に私どもができることがあれば、それこそまさに何ができるかということを考えていきたいという基本的な姿勢を述べたものです。
  208. 大門実紀史

    大門実紀史君 ちょっとお答えがかみ合わないんですけれども、速水総裁にお聞きした方がいいかもわかりませんが、総裁は十六日の記者会見で、同じようにRCCの機能拡充について日銀資金を出していくことは十分あり得ると。日銀のいろんな方の講演なり読ませてもらいましたけれども、前提として、やっぱり今の公的資金が入っているけれども、返済を伴うといいますか、いずれ返さなきゃいけない部分、それでかさ上げされていると。そういうようなことを続けてもどうか、やっぱり違う方法で資金を入れるなら入れると。そういう点では、RCCで買い取るとか、今度株の買い取りが出てきますが、そういうことだったらば、実際問題返さなくていい資本が増強されるわけですから、日銀として有効な手段というふうに判断されているのかどうかわかりませんが、そういう形ならば日銀資金を出していくというふうにとれるんですけれども、大きな流れとしてそういうふうなお考えでしょうか。
  209. 速水優

    参考人速水優君) 大きな流れとしてはそういうことになるかもしれませんが、RCCにつきましては、整理回収機構がその業務遂行上必要な資金について民間の金融機関からの調達だけでは足りないという場合には、預金保険機構を経由して日本銀行から借り入れができる仕組みは既にできております。  こうした預金保険機構の資金調達には、民間、日本銀行からの借り入れと債券発行の合計額について政令で限度額が設けられております。一般金融機関からの資産買い取りを行う際に使用されている金融再生勘定の調達限度額は十兆円ですが、九月末現在で金融再生勘定は約五兆二千億の調達を行っております。ただ、日本銀行からの借り入れはまだゼロでございます。だけれども、道はついております。そういうような方法で、預金保険機構の子会社のようなものですから、預金保険機構にうちが金を出して、それがRCCに入るという道はついております。
  210. 大門実紀史

    大門実紀史君 RCCの話が出ましたので、一つだけ関連してお伺いしたいんですが、つまり、日銀が五兆円の限度で、今度RCCの新しいやり方が出された場合資金を出していくとした場合、それが返ってこなかった場合、例えばRCCが損失を出して日銀が出したお金が返ってこなかった場合というのは、日銀が出すお金ですから返ってこない場合はあり得ないわけで、結局RCCに公的資金が入るといいますか、そういう仕組みが今想定されているんだと思います。そういう点でいけば、何といいますか、結局、直接銀行に入れるわけではないけれども、RCCを通じて銀行に援助が行く、そういうことで銀行の資本補強がされるというふうなことになるというふうに思います。  その点でいきますと、先ほど大きな流れとしてはそういうことだというふうにおっしゃいましたけれども、日銀としては、今の公的資金銀行の自己資本をどう増強するか、不良債権処理で毀損した場合どう補強するかという点でいくと、直接注入じゃない方法の方が有効だということをやっぱりお考えなのか。再度、最後に確認したいと思います。
  211. 速水優

    参考人速水優君) 今申し上げたのは、私どもの方は直接金を出すのは預金保険機構に出すわけです。そこからRCCに入っていくわけです。預金保険機構を通じて出る道は、これは政府保証の金ですから、私どもの方は返済についての心配は一応持っておりません。
  212. 大門実紀史

    大門実紀史君 日銀のお考えはわかりましたので、どうもありがとうございました。  続けて、柳澤大臣にお聞きしたいと思います。  今、日銀としては大きな流れとしてはそういうものは否定しないというお話をされていましたけれども、大臣として率直に今の日本銀行の自己資本についてどのような評価をされているか、お聞きしたいと思います。
  213. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 日本金融機関の自己資本をどう評価するかということでございますが、これは、国民の代表たる国会の制定していただいた法律によって公的資金が資本として注入されたと、こういうことでありまして、確かにこの公的資本については、政府側から見れば返してもらいたいお金であるということで、銀行もそれは十分意識しているものですね。しかし他面、実際にリスクが顕在化したときに、それは資本としてそのリスクを吸収する基盤であるということは、もう入れるときから政府側も決心しているわけですから、そういう意味では、資本性という意味において何か欠けるところがあるというものではない、それが一つ言えると思います。  それから第二番目に、先ほど大門委員が御指摘になられたいわゆる税効果、つまり税の繰り延べ資産部分、これについてはどうかということでございますけれども、これも、しっかりした日本の会計基準に基づいて、そして五年分というのは税との関係も決められておって、実際にこれも将来回収される可能性というか、そういうものが強いとして資産に計上すること、特に資本勘定に計上することをよしとされていることでありますから、そういうものを全部ひっくるめて自己資本比率という形でバーゼルの合意事項に適合するかしないかということが論ぜられ、そして日本金融機関の場合にはこれが適合しておるという評価を受けるというのは、これはもう当然だと思います。  そうなんですけれども、私が日ごろから、先ほど日銀総裁も言っていらっしゃったのですけれども、やはり資本というものを本当に増強する手段は何かといったら、収益を積み上げていくことしかないんです。これはもうどう考えたってそれが、ダイリューションといって、増資をしてもダイリューションが起こって一株当たりの利益が少なくなるから株価が下がるというような状況もあり得るわけなんです。  したがって、私が銀行経営において収益性収益性ともう本当に耳にたこができるほど言っているゆえんのものは、本当に日本金融機関を強くする道というのは収益力を向上させていくことしかないし、そこが王道なんだということを私は言わせていただいているわけであります。  そういうようなことで、日銀総裁と私、ちょっと違うなと感じたのはどういうことかというと、危険のあるところに貸してはいけない、注意を要するような貸出先は貸してはいけないというのは、これは大間違いなんです、はっきり言って。なぜか。それは最近の、例えば二〇〇〇年度のアメリカの銀行の損益計算を見ますと、急激に貸し出し態度を厳格化して、いいところばかりに貸すようになった。その結果、収益率が下がっちゃうんですね。そういうことがあるんです。ですから、私は、要注意先ぐらいのところには、しっかり金利のリスクを含ませた上で、金利を取ることによって収益が逆に上がるんだと。銀行というのはだから、リスクをとってそういう収益を上げるのが商売なんだということ、これを私は強調しているんです。  それを、要注意先は不良債権だ、これをやめろとか、とんでもないことを皆さんの一部が言っていらっしゃるということを言っているんです。きょうはテレビはもう院内のテレビだけでしょうけれども、普通の国民向けのテレビのときに私がそう言うと、もうそんな議論は大間違いだと、とんでもないことを言っていらっしゃるわけです。ですから、こういう冷静なときによく聞いていただきたいのですけれども、そういうように要注意先を不良債権で、そんなものを圧縮するのが当然だなんていう議論はもう大間違いをしていらっしゃるということを、私はついでに、大門委員質問時間をちょっと取り上げて申しわけなかったんですが、申し上げたということです。
  214. 大門実紀史

    大門実紀史君 後で質問しようと思ったことを答えていただきました。大筋、本当に私もそういうふうに思っているところです。  ただ、今、そうはいっても、不良債権を一気になくせと。そうするとやっぱり、収益性どころか今の資本も危ないというので公的資金を入れろというような乱暴な議論が、おっしゃるとおり乱暴な議論がいろいろ出ている中で、それは無理だけれども、そうはいっても不良債権も早く処理させなきゃいけないと。恐らく金融庁が持っていらっしゃる数字よりも、もっと早く処理しろというような人たちがいろんなことを言う部分が多いのではないかというふうに思っているんです。  ただ、RCCとか株買い取りの話がこれから出てくるわけですが、私、日銀の資料とか、ずっと公的資金注入論のいろんな議論を読ませてもらいますと、どうも直接注入というのは、国民の批判もやっぱり受けるでしょうし、責任問題にもなると。  もう一つは、さっき言った、市場のプロの目から見ればしょせんかさ上げされているものだと、直接注入でやるとですね。そういうところから、RCCを使ったり株買い取り機構を使うと、迂回注入といいますか、間接注入で結局銀行自身の資本は増強されるのでというところで、どうも最近そういうRCC、株買い取りというような話が浮上してきているような気がして実はならないんですね。  この辺は、柳澤大臣はもう必要ないと、公的資金の注入は必要ないとおっしゃっているのはよくわかりましたので、塩川財務大臣に。その再注入は必要だというところでこの間RCCとか株買い取りが出てきていると。それはやっぱり直接注入じゃない方法を探っているというふうな点はあるのかないのか。お二人にお答えいただければと思います。
  215. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 大門委員と意見が一致したなんというのはめったやたらにないことで、前の問答はちょっと私も当惑したぐらいびっくりしたのでございますけれども、今の御議論は、私はやっぱり邪推だというふうに言わせていただきたいんです。  それは、確かに、そういうことではないかと邪推する気持ちもわかりますけれども、そういうことは全くありません。実際に、買い取り機構もできるだけ損が出ないようなという、これはいずれ後日また御審議いただく法案でございますが、そういうことをちゃんとビルトインしてありますし、また、今回の件についても、RCCの件についても、これはもう時価で買い取るということで、この時価についてはそんないいかげんなことはできないわけであります。  時価として公正な価格ということになれば、これはもうキャッシュフロー・ディスカウントというような、キャッシュフローがあるものについてはキャッシュフローの現在価値ですし、それから担保のものについては担保の売却価額の現在価値だしというようなことで、きちっとした時価を基礎としてマーケットで決められるものと、それから相対でもそういうようなちゃんとした基礎づけがなされたものということでありますので、それをわざわざ高い値段を時価と称して買って、こっそり資金援助をして、それで利益を上げさせて、さっき言ったような資本の増強に充てるというようなことはありませんので、どうぞ御懸念のないようによろしくお願いしたいと思います。
  216. 大門実紀史

    大門実紀史君 RCCと株買い取りはまた出てきますので、そのときに議論させてもらいたいと思います。  問題は、この公的資金のところでいきますと、今現在もう返ってこないことが確定したのは約九兆円と言われています。これは国民一人にすると七、八万円ぐらいになるんですかね。そういう返ってこない国民負担になっているのがもう九兆円近くに上っていると。勘定は違うわけですけれども。  ですから、何といいますか、国民の立場からしますと、本当に今、大手行に入っている公的資金も返ってくるのかと。これから入るのはもちろん、それどころか、まず今のを返せといいますか、今のはどうなっているんだというのが率直に言って国民の皆さんの素朴な疑問じゃないかというふうに私は思うんです。  それもやっぱり、この不良債権を一遍に処理してしまおうというところで、そもそも我が党はこういうやり方そのものに反対です。不良債権はなくさなきゃいけないのはわかっていますが、こんなに一遍にやると失業や倒産がふえて、デフレ圧力になって、結局不況がまた不良債権を生むんじゃないか、イタチごっこじゃないかということで、これは反対なんですけれども。  今言われているのは、とにかく一遍に処理しろ、できるだけ早く処理しろ、たくさん処理しろと。そういうところで公的資金が必要だというふうなこの流れの中で、それをやり過ぎますと、今、各銀行が健全化計画で公的資金を返済しようと思ってそれぞれ計画を立てていますよね。それは当然、公的資金を返す原資としては、先ほど言われましたが、収益を上げて剰余金から返していくということになるわけですね。ところが、不良債権不良債権ということになると、その剰余金さえ出ない。あるいは、剰余金が出ないとこれはもう食い込んで、今の公的資金の分まで食い込む可能性もあるというふうなことになりかねないのではないかという危惧をちょっと持っておるんです。  例えば、もう時間の関係で細かい数字は全部省きますが、要するに、各銀行が今出しています健全化計画における不良債権処理額と、金融庁が例の八月に出されました与信費用比率一%というやつですね、これの処理額でさえかなりの差があって、金融庁の言っている処理額を処理すれば、金額的にはいろいろですけれども、大体健全化計画で各銀行が処理すると言っている金額のあの与信費用比率の一%というのは倍ぐらいの数字になっているんじゃないかなというふうに思うんです。  つまり、金融庁の言うとおりやれば健全化計画の計画は成り立たないといいますか、あの計画では返せなくなるというふうに私は思いますし、さらに株がまた下がるとかいろんな要因があると、銀行の今言っている返済計画というのはかなり厳しくなるというか、いつになるかわからないというようなことにもなりかねないんではないかという危惧があるんですが、この辺は柳澤大臣としては、いやそんなことはないと、銀行が言うとおり、健全化計画どおりちゃんと返させるということは今お約束できる状況かどうかちょっと伺いたいと思います。
  217. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) まず第一に、今の大門委員の御発言の中で、九兆円が返ってこないと言って国民負担になった、こうおっしゃられたんですけれども、これはもう御案内のとおり、預金者の預金としてみんな国民に返ったお金なんですね。それから、金融債の償還として金融債の保有者に返ったお金なんでございまして、別に銀行がどこかへ隠しちゃって私消をしてしまったというようなものでないということをまず、もう釈迦に説法ですが改めて確認しておきたい、こう思います。    〔委員長退席、理事円より子君着席〕  それから、第二番目に、今の不良債権の処理は一時的というか短縮してやり過ぎているんではないかということですが、これは大門委員よくお考えいただきたいわけですけれども、我々は破綻懸念先以下のものを三年以内に処理するということを申し上げているわけです。  破綻懸念先というのは、基本的には債務超過の企業の債権でございます。そして、しかもそれは、どこか資産を売り払ったらすごい赤字が出たので一時的に債務超過になったというようなものを含みません。ですから、かなり永続的に債務超過の事態がなかなか抜け切れないというようなものが破綻懸念先以下に区分される債務者の債権ということでございますので、これを処理するということはある意味で当然のことでして、そこでさらに多額の追加損失が起こるということ、あるいは場合によっては、例えば雇用の問題なども、私は、そうすごい、そこに雇用がまだなされているというふうには見なくてよろしいんじゃないかという気持ちを持ちつつ、正直言って私はこのことを推進しているというのが実態です。もちろん、ないとは言いませんけれども、そういう感じで私としてはこの今の施策を展開させていただいておると、こういうことでございます。  じゃ、これをもう物すごくべたっと少額にして長い期間をかけてやればどうなるのかといいますと、これははっきり言って業務純益の中におさまります。不良債権の処理というのは、要するに期間をどれだけかけるかという、ストックのものでいいますと、新規発生のものを入れますとこれは話は全然違いますけれども、もし静態的にこれだけの不良債権がある、それをどう処理するかといいましたら、それは長くかければ、これはもう大体業務純益の中におさまってしまうというような性格のもので、期間の関係というのは非常に重要な要素なんです。  これは認めますけれども、それじゃ、そんな格好でじっと不良債権を長く抱えているということがマーケットでどう評価されるかと。これは恐ろしいものでございまして、そんなやっぱり悠長なことはやっていられないということで、私どもは、早くこの状況から脱却するためには、ただ引当金を積んで抱きかかえているということではなくて、やっぱり債務者との関係、貸出先の債務者との関係をきちっと整理して、債務者自身ももっと活性化していくということが大事じゃないかということで、こういうスキームでもって不良債権の処理に当たっているということでございますので、これはぜひ御理解賜りたいと。  それで、最後にどうなんだと、こういうわけですが、正直言って、我々が資本注入をさせていただいたころには、大体の目安として五年から七年、それから遅くも十年というような考え方で注入をさせていただきましたが、このスケジュールを今すぐ変えなければならないというような、そういう状況には私はないというふうな認識を持っているわけでございます。
  218. 大門実紀史

    大門実紀史君 交付国債九兆円をどう考えるかというのは、ちょっと時間の関係であれですけれども、要するに、そもそも論が我が党とは違うと。公的資金でやることじゃなく、これは本来銀行の負担でやることを国民負担でやっているということで申し上げているわけですから、法案の経過は十分承知した上で申し上げているわけです。  ただ、そうは言っても、今の銀行が出している健全化計画の処理額でいきますと、確かに剰余金が出て公的資金も返せるというふうな数字が出るんですが、相当開きがあって、もし金融庁与信費用比率の一%でやると、もうぎりぎりの剰余金と利益というぐらいになってくる。そうすると、何かほかの要因が重なれば、株とかほかのことでさらにいろんなことが重なれば、公的資金の返済計画が本当に今までどおりいくのかどうかと。  ただでさえそういうときに、さらに一気に処理しろと、これは柳澤大臣が言われたことじゃなくて、もっと早く処理しろ、もっといっぱい処理しろという声に対して私言っているわけですけれども、そんなことをやれば、今の公的資金さえどうなるか、いつ返せるようになるかわからないという意味で発言しているわけなんです。  ですから、どこか勝手なところで不良債権もっと早く処理しろ、それで公的資金入れろとか、国民にとっては人の金を何かに使ってどうこうしようみたいな、どこか遠いところで議論されているような話に今なっているということを申し上げておきたいと思います。いずれにせよ、これはRCCあるいは株買い取りのときにまた詳しく議論させてもらいたいと思います。  銀行法の方をやらないとあれですので、次に移らせてもらいます。  銀行法については、もう衆議院でも、そしてきょうの議論でも、相当問題点なり、いろんな角度から質疑がありました。私の方は、ちょっとダブらないように絞って、時間の範囲で御質問したいと思います。  この議論のそもそもですけれども、柳澤大臣は、これは結局は自由化と健全性確保のバランスをどうとるのかというふうな趣旨でずっと御答弁されてきたような気がしますけれども、それはそういう面もあると思いますが、私はそれ以前に、銀行法に定められています銀行公共性というものと、異業種、ほかの事業会社が入ってきて、当然それは営利を目的として会社を起こしているわけですから、そういう営利企業との矛盾、どうしても出てしまう矛盾をどう解決するかと。ですから、もう健全性とかなんかは当たり前の話で、ある民間のセクターにいろんなところに規制緩和して入ってくる、こういう話とはちょっと違うわけですから、銀行なわけですから、やっぱり公共性と営利企業との矛盾を絶えず起こしがちなんですが、それをどうコントロールするかということになるんではないかというふうに思うんです。  こういう点で、五十二条の十の主要株主審査基準というのがありますけれども、この三項目めに、公共性に関して理解してもらうんだというのがありますけれども、これは具体的な公共性基準は何なのか、あるいはどうやって理解してもらったことを確認するのかとか、この辺は今どういうふうになっているんでしょうか。これからどうなるんでしょうか。
  219. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 銀行法におきましては、免許審査基準等につきまして法律で基本的な考え方を従前も示した上で、内閣府令でその詳細を定めているという体系になっておりまして、主要株主に係る認可基準についても同様に具体化していく予定でございます。  その内容につきましては、これまで出しておりますいわゆる運用上の指針に述べられた考え方あるいは金融審議会報告などを踏まえつつ事務的に検討を進め、パブリックコメントの手続を経た上で策定することと考えております。  御指摘銀行業務公共性に関する点でございますが、これは例えば、主要株主の役職員の確保状況等に照らして判断することも考えられますが、事柄の性質上、事前に定量的な基準を設けることには限界があると思いますので、株主の形態、銀行経営に対する関与のあり方等、他の要因とも合わせてケース・バイ・ケースで総合的に判断をしていくということにならざるを得ない部分もあると御理解いただきたいと思います。
  220. 大門実紀史

    大門実紀史君 ケース・バイ・ケースというよりも、やっぱり公共性を理解してもらうわけですから、何らかの公共性基準というのがなければ審査もできないのではないかというふうに私は思いますが、例えばそのときに、中小企業への貸し出しというようなことは、今まで社会的な役割、公共的な役割の中で位置づけられてきましたけれども、入るんでしょうか。    〔理事円より子君退席、委員長着席〕
  221. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 詳細については今後検討していくことでございますが、今までの銀行の免許なりの基準という中では、なかなかそこを定量化することは難しいかなというふうに考えております。
  222. 大門実紀史

    大門実紀史君 具体的な問題でお話ししたいと思いますが、先ほど言いました公共性と営利を追求する企業との矛盾を典型的にこの間示したのが、私、新生銀行問題じゃないかというふうに思うんです。  投資ファンドが幾つかの銀行を買収して、これも親会社、子銀行の関係になっているわけですね。御存じのとおり、新生銀行というのは、リップルウッドを中心に、LTCB・パートナーズでしたか、投資組合が九九%出資しているというようなところですが、これはもう多く述べる必要はありませんけれども、とにかくもう新生銀行、この前、業務改善命令を受けるほど、それと、いろんな金融機関からも相当批判がされている、資金の回収の問題とか。もうこれは御存じのとおりだと思います。  つまり、新生銀行、その親会社であるLTCB・パートナーズですか、そういう投資組合、それはもう投資ファンドですから、当たり前のことですけれども、もうけを考えて出資してやっているわけですね。当然こういうふうな問題がこれからも起こる可能性は私はあるというふうに思うんです。ですから、ほっておけば、やっぱり営利を追求する事業会社なり、まあ投資ファンドについてはもうほかの幾つもの銀行がありますけれども、新生銀行のようなことが起こりかねないというふうに私は思っていますが、こういう営利を追求する企業が親会社になれば自然起こり得ることだというふうに思いますが、こういうことはどうやって食いとめていかれるんですか。
  223. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 具体の個別的な銀行を挙げての御質問ということになりまして、これについて私どもがここでいろいろ申し上げるということは、これはちょっと差し控えさせていただきたいので、まずその点は御理解を賜っておきたいと、こう思います。  一般にこういう、特に外国の場合になろうかと思うんですけれども、投資組合などについてのチェックというのをどうやってやっていくかということでございますが、これについては、その投資組合というようなもの、若干のエンティティー性というか人格性というか、そういうようなものを持っていたとしても、それはもう突き破りまして、最終的な株主のところにまでさかのぼって今言った基準のもとで審査をし手続を進める、こういうことになるということでございまして、そこの点は何かいろんな差別があり得るかといえば、それはない、徹底的に最後の株主のところまでいってこの適格性というものを判断すると、こういうことになるわけでございます。
  224. 大門実紀史

    大門実紀史君 個別行のことはと言われましたけれども、私、具体的な問題で今出ているわけですから再度お聞きしたいんですが、この改正案によりますと、附則の解釈によると、既に参入している株主に対しては、法が施行された後、届け出を五日以内にして、翌事業年度末に認可を受ける、そのときに審査をするということなんですが、今回の新生銀行のように業務改善命令を受けたというところも、私はこれはもう公共性に反すると。この間、新生銀行の瑕疵担保の条項でいろいろやったり、あるいは無理な資金回収、中小企業には貸さない、こういうのはもう本当に公共性に反しているというふうに率直に私は申し上げたいと思うんですが、こういう業務改善命令を受けたところも、特別な審査とかなしに、さっき言った抽象的なところさえ主要株主が理解すれば認可されるということになるんでしょうか。
  225. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) この法律改正された後、御指摘のように、既存の株主につきましても、改正法の施行前に既に参入している主要株主についても、審査を経た上で認可を得なければならないということでございますが、個別の事案につきましては今後認可基準を定めた上で適切に判断していくということになろうかと思います。
  226. 大門実紀史

    大門実紀史君 やはり厳しい対応が必要だというふうに思います。  もう一つお聞きしたいのは、機関銀行化の防止もきょういろいろお話がありました。衆議院でも議論がありました。ポイントは、その大口融資規制を最低限の担保としてどう強めるかということで、これについてはもう大塚議員からも質問があって、これから検討されると、今の時点でそれ以上の答えはないという答弁でしたので同じことは聞きませんが、違う角度から一つの問題点を申し上げたいと思いますのは、大体今までの大口融資規制がかなり私ずぶずぶじゃなかったのかというふうに率直に思っているんです。  これは、北海道拓殖銀行が破綻したときにかなり大口融資の問題が話題になりまして、当時我が党の議員もそれについて質問をいたしました。要するに拓銀の場合、大口融資の規制ですね、十三条違反があったんじゃないかというふうなことで聞きましたら、当時の山口銀行局長が、今検査中だから、もしそういうことがあったらもう厳正に対処しますというふうな答弁があったんです。  私、今回、この銀行法の関連で大口融資規制について改めていろいろ調べていて、このときの拓銀はあのままどうなったのかということで、実は金融庁にその後の検査でどうなったのかという問い合わせを三日前からしているんですけれども、けさになって、お答えできませんと。最初、わかりません、調べてみますと言ったんですが、けさになって、個別行のことですのでお答えできませんという答弁があったんですけれども。  私がお伺いしているのは、拓銀の検査の中身を教えてくれじゃなくて、十三条に違反したかどうか、大口融資規制にあのときの拓銀が違反したかどうかを教えてくれということなんですが、それも教えられないということになりますと、私どうもちょっと変だなと思うのは、これからのことにもかかわるわけですけれども、この大口融資規制、十三条に違反しても、その違反したかどうかということを公表しないということですか。そういう銀行名は公表できないということですか。これ、変なことになりませんか。
  227. 高木祥吉

    政府参考人高木祥吉君) お答え申し上げます。  まず、今御指摘のございました拓銀の件でございますが、先生御指摘のように、その後、検査もやっております。私、監督局長ですが、そういう検査等も踏まえても、その大口融資規制に違反したという事実はないということでございます。  さらに、今後大口融資規制等に違反した場合にどうかということは、基本的な考え方は、そういう財務に関する内容は非常にいろんな影響を与えますので、これは個別銀行についてなかなか公表しにくいという問題はございます。ただ、こういう行為規制については、行政として何らかの業務改善命令等を打つと、基本的にそれは公表していくという考え方でございます。
  228. 大門実紀史

    大門実紀史君 違反していないということですね。何でそれが答えられなかったんですか。いやもういいですけれども。それを聞いただけで、何で今だったら答えて、何で答えられなかったのかと思いますが。  つまり、申し上げたいのは、拓銀以来かなり銀行破綻が続きました。長銀、日債銀、国民銀行、挙げれば切りがないですけれども。大体共通している問題点というのが、融資規制そのものにひっかかるかどうかは別として、かなり大口融資、特別のところに、特定のグループに大口融資をして、それが破綻の要因の大きな一つになったというふうにこれは言えると思うんですよね。  ところが、どういうわけか、九八年の十二月に、ちょうどまだ破綻している銀行が続いていたときに、この大口融資規制そのものを緩めているんですけれども、二〇%だったものを二五%に緩和しているんですが、これはどういう経過でこういう大口融資が問題になっているときにわざわざ緩和したのか、教えてもらいたいと思います。
  229. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 平成十年の金融システム改革法におきまして、信用エクスポージャーの集中防止の観点から、大口信用供与等の規制の、これは我々としては強化を図ったというふうに考えております。  具体的には、旧銀行法においては、これは貸出金のみを対象といたしまして、その上で自己資本の二〇%と規制をしておりますが、別途、通達において、信用供与に債務保証を加えた、こういう部分につきまして自己資本の三〇%としておりました。  新たに十年におきましてはこのルールを一本化いたしまして、対象与信範囲を拡大いたしまして、貸出金、債務保証、それに出資金も加えまして、これにつきましてその規制比率を三〇%から二五%へ厳格化したということでございますので、貸出金のみをとった場合の見方というのは別途あろうかと思いますが、全体としての与信の範囲につきましては規制比率を厳格化した、三〇%から二五%に厳格化したということでございます。
  230. 大門実紀史

    大門実紀史君 私、これはまやかしだと思うんですよね。  要するに、それまでは法令上は二〇%だったと、改正して二五%に法令部分はしたと、それまでは通達の部分は三〇%だったと、それから比べたら全部含めて二五%なんだから強化したということですが、これ、総額からいってどう強化されたんですか。足して二で割ったようなもので、何も強化されていないんじゃないですか。強化されたというその根拠は、どれぐらいの融資がこれによって枠をはめられたんですか。
  231. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 今そこの数字的なものはちょっと手元にございませんが、考え方として、その信用与信範囲、信用供与全体としては三〇%から二五%にしたと。また、あの当時、この規制比率につきましては、諸外国の状況ですとか、あるいはバーゼル・コア・プリンシプルにおいて、この比率については国によってまちまちであるが、典型的には自己資本の二五%までとされていると述べられているというようなことも参考にしつつ、おおむね国際的な水準も念頭に置いて定めたものと理解しております。
  232. 大門実紀史

    大門実紀史君 いや、だから、何でこれが規制がきつくなったんですか。どこがきつくなったんですか。  同じことを答えないでくださいね。私が言ってるのは、要するに法令上は緩んでいるんですよね、二〇%から二五%に。これは明らかでしょう。それまで通達ですよ。通達でずぶずぶに緩めていたのを二五%にしたと、これだけでしょう。全体として、全体の大口融資の規制としてどれぐらいのものがこれできつくなったのかと。資料はないと言われたら、何も根拠ないじゃないですか、きつくなったというのは。  例えば、今まで通達の三〇%でどれぐらいあったと、それが二五%になることによってどれぐらいの網をかけたんだという数字でもあればわかりますけれども、何もなければ、こんなのは足して二で割っただけで、法令上見れば緩和している以外の何物でもないでしょう。違いますか。
  233. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 法令上で、かつ貸出金のベースで見れば先生の御指摘のような見方もあると思いますが、やはり与信範囲というものは、貸出金だけでなく債務保証、出資金合わせたところで総合的に見ることによる方が、信用エクスポージャーの集中防止という観点からは総合的な対策になるというふうに考えたものでございます。
  234. 大門実紀史

    大門実紀史君 ですから、貸出金ベースでは緩んでいるということですから、私は、同じこれ九八年の十二月ですけれども、調べてみましたら、ほんの一カ月後、九九年の一月一日には、フランスは連結ベースで四〇%を二五%に厳しくしているわけですよね。だから、このころはやっぱり世界の流れとして厳しくするという方向だったのに、日本は緩めているというふうに言わざるを得ないんです。それがその後の幾つかの破綻につながったのではないかというふうに私なんかは思いますし、この大口規制そのものは苦い教訓があるわけですよね。幾つも銀行の破綻を招いた主要な原因といいますか、それはこの大口特定グループ、特定会社に対する大口融資が招いてきたという苦い教訓があるにもかかわらずこのときに緩めているし、そういう苦い教訓がある。  ところが、今回、親会社となりますと、余計そういう情実融資といいますか、特定のところに、親会社に対して特定の融資あるいはグループに対してやる可能性がかなり強いから、ヨーロッパでは特に厳しくしているということなんですね。  ですから、申し上げたいのは、先ほど言いました、せめてヨーロッパ並みの規制にすべきだということと、そもそもこの今の大口融資規制そのものが非常にずぶずぶで行われてきたと。ですから、この実態面も改善しない限り、かなり心配されている機関銀行化ということが起こるのではないかというふうに思います。  このことを指摘して、私の質問を終わりたいと思います。
  235. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 九月二十一日に経済財政諮問会議が改革先行プログラムを中間取りまとめで出しましたけれども、その中で、「不良債権処理の強化と金融活性化」という項目で、「遅くとも集中調整期間が終了する三年後には不良債権問題の正常化を図る。」として、その具体的な手法として「資金供給の円滑化」、それから二つ目は「銀行健全性確保のための迅速かつ厳格な対処」、「RCC等による不良債権処理と企業再建」、さらに「オフバランス化にあたっての配慮」という項目立てをしながらその不良債権処理をやるということが出されているわけでございます。  柳澤金融担当大臣も、みずからその不良債権処理のシナリオを出して不良債権の処理に積極的に進んでいくということも表明をされており、あるいはヨーロッパ歴訪のときにも、そういうことをみずから発して、世界の金融市場に対して日本はその信頼をかち得るように頑張るというようなことを表明されてきたわけでございますけれども、この中で示されている特別検査ということについてちょっとお聞きをしていきたいというふうに思います。  九月二十一日、大臣は記者会見で、特別検査を行うのは金融機関の自己査定や金融庁検査の信頼性が崩れてしまうのを防ぐために行うということなんだというようなことも申されておりますし、あるいはまた、銀行の引き当てを今より積み増すことはあっても、大きな企業破綻を出さずに特別検査の実施自体が市場に評価をされることを願っているというようなこともコメントされているわけですけれども、特別検査を導入するのはなぜですかというところから入らせていただきましょうか。
  236. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 検査は、日銀考査もそうですけれども、何と申しますか、金融機関預金者から預かった大事なお金をリスクをかけて貸出先にお貸ししているわけでございますけれども、したがって、金融機関がその貸出先に関する情報というのは最もよく知っているというのが前提だと私は思うのでございます。そういう意味で、識者の中には金融というのは情報産業なんだというふうに言っている方もいらっしゃるくらい、そういうことです。  そういうことですから、金融機関の債務者区分であるとかあるいは分類だとかというのは、これはもう一番たくさん情報を持っている人が間違いがなくやっているということで、私どもも、しかしそれについて誤りがあるかもしれないからというので検査をしたり考査をしたりしていると、こういうことでございます。  ところが、今回、最近の出来事ですけれども、ある大手の小売の御商売の企業が倒れたということで、これは我々にとって本当に衝撃であったわけです。それをいろいろ調べてみますと、格付が一度に四段階下がったと。今までは投資適格であったわけですが、もうその格付は、投機の中でもすごい投機だと、ここにお金を貸すというか債券なんかをもし買うとしたら、その債券はもう物すごい投機性のあるものだと、紙くずになっちゃうこともあるよと、しかし金利は高いよと、こういう商品ですよというような、そういう格付をされたと。  そこで市場が一気に緊張して、特にそこの納入業者の皆さんも緊張して、もう手形なんか真っ平御免という、あるいは手形で決済するにしても、それは極端に短い短期の手形にしなきゃ回収に不安だ、あるいは現金取引でなきゃ嫌ですよというようなことになってしまったと。そこで、その企業は物すごい運転資金が必要になって、その融資を金融機関に申し込んだわけですけれども、なかなか金融機関の方でもいろいろな事情等があってそれに応じられないということになってついに倒れてしまう、こういうことがあったわけです。  これは一体どういうことなんだと。私も考えたわけですけれども、結局、そういう企業については、やっぱり格付ががあんと下がった、あるいは株価なんかも市場の一種の評価ですが、そういうものが物すごく急激に下がったものについては、金融機関検査に行って債権全体を見る、資産全体を見るというようなやり方ではなくて、債務者がその金融機関にどう格づけられているかということを調べに行かないと、これはもう本当に金融機関の信頼がなくなってしまうというふうな思いが強くいたしまして、特に今回そういう特別の検査、通常の検査ではない特別の検査、それはもう特定の債務者に着目した検査をやらせていただこうということで今度の特別検査という施策をお願いした、こういうわけでございます。
  237. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 百億円以上の債務者リストを大手銀行から提出させて、その調査対象の絞り込みをして、そして要注意先でいいのかどうかという検討をなさるというような報道が出ていますが、ここを確認させてください。
  238. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) これは、大渕先生せっかくの仰せでございますけれども、要すれば、世の中の人たちというのは、どこが危ないと考えているかというようなことを、当然なんですけれども、耳をそばだてていらっしゃる。そういう、我々の言葉で言うと風評リスクというのが非常に大きい施策なのでございます。  そこで、私どもとしては、そういう風評リスクの発信源に政府がなるなんということは、これは金輪際あってはいけないことでございまして、私どもとしてはこの点については、どういう債務者を対象にした検査であるかということについては、もう全く慎重の上にも慎重を期してやらなければならない性格のものだと、こう思っておりまして、大変恐縮でございますけれども、これらのことについては推測を呼ばないようにお答えを差し控えさせていただくほかないと、このように考えているわけでございます。
  239. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 私も全くそう思うのですけれども、しかしマスコミ等では、政府に近い筋からそのリストとして三十社とか挙がったというようなこともあって、それに連動するような形で株価の変化も既に起こっているというようなこともあって、既にもうこの特別検査にかかわって風評被害みたいなものが起こっているのではないかというふうに思っておりまして、その特別検査を行われるリストに入ることによってその会社、もしかしたら全然大丈夫だった会社かもしれないのに破綻をしてしまうというようなことがあってはならないと思います。  今、大臣からお話を聞いたので少し安心をしましたけれども、しかし、その懸念というのはなかなかぬぐえないですね。そして、さらにマスコミがそれをあおるように、この特別検査で各部門、危ないと言われる部門に二、三社ぐらいを破綻懸念先に落とすことによって、マイカルが破綻をしたことによって株式市場が活性化して少し株が上がったというような事実もあるわけですけれども、そうした市場の安定を図るために二、三社を選び出されて、それが破綻先懸念になっていく、あるいは私的整理とかあるいはRCCの整理とか、そういうところにいくことによって今の市場の不安定さをなくしていくのではないかというような憶測も走っているわけですけれども、大臣はどう考えますか。
  240. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 人の口には戸が立たないわけでございまして、もう何をおっしゃろうとおっしゃる方の自由ということもございます。  ただ、私どもは、本当に整々として検査マニュアルに基づいてきちっとした検査をさせていただくということに尽きまして、何か作為でもっていろんな効果を上げようとかというようなことは全く考えておりません。そういうようなことをやることは邪道だと思っております。  特に、検査であるとかいうようなものを含めて、金融監督当局というのはそういうことであっては断固ならないと、金融庁も発足してまだ間もない役所でございますので、これからどうやって信頼を回復し、また向上させていくかということが命題だと思いますので、それをみずから突き崩すようなことは一切やる考えはございません。
  241. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 金融庁はそういう考えで検査に当たるとしても、その査察を受ける銀行側にかなりの実権が握られているのではないかということで懸念をしますけれども、ぜひそういうことで、本当に頑張って再建していこうとしているところが淘汰をされるようなことがないように、あるいはまた淘汰をしなきゃ市場が活性化しないというようなあれもあるわけですけれども、私は失業がふえたりすることを非常に懸念をしていますので、できるだけきちんと守られるようにしていただきたい、今の大臣のお言葉が守られるようにしていただきたいというふうに思います。  また、これは特別検査ということで触れたんですけれども、金融担当相は衆議院財務金融委員会で、我々の現在の金融機関に対する検査は一年前の決算を見るようなシステムになっており、このシステム自体を変えないと解決できない問題であると、こう言っているわけですけれども、このシステム自体が問題であるならば、今回の特別検査という形ではなく、通常の検査そのものの金融検査システムというのをこれからどういう改善をされていこうとなさっているのか、お聞かせください。
  242. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 話をわかりやすくするために、私、例をそのとき出しまして、二月、八月決算の企業を対象にして、それに、我々の事務年度が七月から始まるわけですが、大体、七月に人事異動を済ませて新しい陣容になって、七月から事務年度が始まって、検査当局もだから最初にとっかかるのは八月でしょうみたいな話をそれに絡ませまして、そうすると、八月の最初の検査というのは三月決算を見ることになりますと。三月決算を見ることになると、八月決算という企業の場合には、二月決算は三月決算には反映できませんので、八月決算を反映する決算を見ることになるんですと。  そうすると、債務者と銀行検査との関係を見ますと、八月に行って債務者の八月の決算がいいとか悪いとかという検査をするというタイムラグになるわけですというように、非常に端的にわかりやすくお話ししたわけですが、もちろん検査に行けば最近の状況はどうだとかということも当然念頭に置いてやるわけですから、そこまではっきりしたものではないと思いますが、基本はそれであります。私、別にうそをついた覚えはないわけであります。  そういうことだと、これはやっぱり検査の手法について一工夫、二工夫する、改善をする必要があるんではないか。当面、特別検査ということでそういう穴を埋めるような検査はするけれども、しかし特別検査というものをいつまでもやるということを我々考えてはおりません。そうすると、通常検査の中でそういう即時的、できるだけ近似的な企業の状況検査に反映させるということについては、やっぱり相当研究する必要があるじゃないかということを申し上げたわけでございます。  今、ここでこういうふうにやるということを私申し上げる準備もないし、まだとにかく目の前の仕事をこなすので今もう検査当局も手いっぱいなものですから、どうしたらそういうタイムラグをふさぐ手だてを制度の中に組み込むことができるかということについては、もうちょっと時間をいただいて何とか改善させたいと、このように考えております。
  243. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それでは、法案の方に移らせていただきますけれども、今回、法改正をするに至る前段に、きょうも何度か出ていますけれども、平成十二年の八月三日、「異業種による銀行業参入等新たな形態の銀行業に対する免許審査監督上の対応」、いわゆる運用上のガイドラインというのが発せられまして、これに基づいて今までは異業種参入というようなことが免許の取得から取得後の監督業務まで網羅をされてきたというふうに思うんですね。  私、これを見まして、非常にうまく必要なことはきちっと書き込まれているなというふうに思っているんですが、今度の法案の中に、子銀行事業会社からの独立性の確保観点、あるいはまた事業会社事業リスクの遮断の観点等について的確に入っているかどうかということを検証していただきたいというふうに思うんですね。  特に、独立性の確保観点では、衆議院でも随分と議論になりましたけれども、主要株主が議決権二〇%以上を所有する株主というふうに決めているということは、アメリカやEUなどの基準とは比較にならないほど甘いというのは先ほど大門さんの御指摘にもありましたけれども、衆議院でも随分と御指摘をされているわけです。  先ほど、大臣はこの委員会の答弁で、自由化と健全化のバランスから二〇%という数字が出てきたんだというふうにおっしゃっていますけれども、じゃ、今の日本の二〇%よりもきつい基準を設けているアメリカやヨーロッパでは市場への参入、いわゆる異業種からの市場への参入というのは割合と阻害されているんでしょうか、抑制されているんでしょうか。これをちょっとお聞かせくださいますか。
  244. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 御指摘の点について必ずしも数量的なあれは難しいと思いますが、異業種からどのように参入してくるか、あるいはどういう形態になるかというのは、これは各国のいろいろ経済的な経緯の問題もありますし、国民性の問題ですとか、そういうもろもろの要素が絡まった結果だと思っております。  日本の場合も、金融審議会で御議論をいただきまして、最終的に、いろんな要請を調和する数字としては、企業会計におきます実質的な影響力基準というようなことも念頭に置いて二〇というふうに定めたところでございます。
  245. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 ちょっと答弁が質問と違うような気がしますけれども。  確認をさせていただきますけれども、独立性確保観点、このガイドラインに盛り込まれていることは法文の中にきちんと網羅をされていると確認をさせていただいていいですか。
  246. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 後段の御質問にお答えをして、前段を落として失礼いたしました。  御質問の、いわゆる運用上の指針で指摘されている点でございますが、法律上の条文といたしましては、認可申請がなされた時点で、例えば財務の健全ですとか、あるいは特に銀行業務健全性かつ適切な運営を損なうおそれがないかといった条文で規定しておりますが、具体的にはさらにこれを、法においてこのような基本的な考え方を示した上で、今後、内閣府令でその詳細を具体的に定める予定にしております。  その内容については、今御指摘のあった運用上の指針、あるいは金融審議会報告などを踏まえた上で事務的に検討を進め、パブリックコメントの手続を経た上で策定するということにしたいと考えております。
  247. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 事業会社事業リスクの遮断の観点の中で、大口信用供与規制というのと、それからアームズ・レングス・ルールというのが規制対象になっていますけれども、本法案改正とともに、この大口信用供与規制というのを政令改正をしてもっと厳格化を図る方向であるという答弁をいただいたんですけれども、どういう具体的な中身の規制になりますか。
  248. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 御指摘の点につきましては、金融審議会報告におきましても、「「機関銀行化」の弊害を防止する等の観点から、主要株主に対する信用供与等について適正な量的規制を設定するなどの追加的な措置につき検討することが適当である。」という御指摘を受けております。  そういう意味で、政令を改正し、厳格化を図る方向で検討を進めていくということでお答えしておりますが、具体的な数字については今後もう少し検討のお時間をいただきたいというふうに考えております。
  249. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 法案ができて、そして運用指針でずっとやってこられたことが法制化を図られるということで、その法律の審議をしているわけですから、もう少し明快に答えていただかないといけないのではないですか。今までもこのガイドラインによって幾らでも異業種参入ができていたわけで、今法律ができてこれから新たに異業種参入をやらせるということじゃ全くないわけですよね。  そして、今まで起こってきた問題についてきちんと検証がされて法律がつくられていくわけですから、そのときに、今まで運用でやってきたことについて不備だった点はきちんと改善をされて法律提案という形になってこなければ納得できるものじゃないですよね。これから法案ができてから政令改正をするとか、あるいは省令で変えるとかというような、そういうのはちょっと私はなっていないのではないかなというふうに思いますので、指摘をさせていただきます。  さらに、三番に、事業会社と総合的な事業展開を図る場合の顧客の個人情報の保護観点ということで述べられていますけれども、その顧客情報の相互活用をする場合の最低限の運用体制というのは、本法案ではどうなりますか。
  250. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) その点については、法律では特に規定をしてございませんが、昨年八月の指針等におきまして、免許審査において確認すべき事項として、「具体的には、顧客情報の相互利用を行う場合には、最低限、事前に、利用する業者の範囲、利用目的、利用方法等を明確にした上で、顧客本人の明示的な同意を得ることを必要とする運用体制となっているかどうかを確認する。」等の規定をしてございます。この趣旨に沿って今後適切に対応していきたいと思っております。
  251. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 個人情報をお互いに使う、親会社と子銀行がお互いに使うということは、非常に消費者側にとっては不利な扱いになる場合も多分に出てくるというふうに思いますので、その個人情報を使う、活用するということに関しては、もう厳しい運用規定みたいなものが必要だというふうに思うんですよね。それを法文化をしないで、今までのガイドラインのままにしているということでいいのでしょうか、大臣。法制化が必要ではないのでしょうか。
  252. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 御指名でございますので、私、立たせていただきましたけれども、個人情報の保護については、これは今回、異業種から参入銀行金融機関のみならず、金融機関全般の問題として我々認識しています。  個人情報保護法ができたときによく検討して、金融機関にそれをどういうふうに適用したらいいのかということを検討させていただいて、これを、今回お願いしている金融機関のみならず、全般の金融機関についてやっぱり検討をする必要があるのではないかと、このように考えているというのが私の今の状況ですが、もし事務方が補足があればしてもらいたいと、このように思います。
  253. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) まさに大臣が今御説明しましたように、個人情報保護法のまず成立と申しますか、その内容を待ちまして、それ以上に金融機関に全体についてまた何らかの措置が必要かどうか、今、金融審議会の方で御議論をいただいておりますので、その結論を待って、その報告をいただいて適切に対応していきたいと考えております。
  254. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 国会でも個人情報保護法が今継続審議になっている状況ですから、そこらの関連がきっとあるんだろうというふうに私も理解をしますけれども、この異業種参入は特に、消費者とそれから銀行利用者が同じところで、コンビニなどでそれを果たすことができるという、私たち消費者側にとっては非常に便利な面もありますけれども、その反面に、自分の情報が外に漏れてしまうということがあるわけでございますよね。ですから、コンビニなどで自動支払い機などを使う場合に、自分の情報が外に漏れないように工夫をしていただくというようなことは当然行っていただかなければならないというふうに思います。  それでは、これは新聞記事ですけれども、ソニー銀行システムの障害が起こったというようなことが載っているわけですけれども、システム障害の発生防止策を免許付与のときに審査する必要があるのではないかと思いますけれども、この件はどうなっておりますでしょうか。
  255. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 非対面取引を専門に行う銀行におけるシステムダウン等に対する危機管理体制構築に関しましては、いわゆる異業種ガイドラインに基づきまして、システムのセキュリティーのレベルが十分な水準に達しているかどうかを免許審査時に確認し、免許後の監督におきましても、その履行状況についてチェックすることとしております。  既に営業を開始しております非対面取引専業四銀行につきましても、このような観点に基づき、当該銀行に、監査法人等の外部機関のシステム監査報告書等、評価書類を提出させる等、免許審査時に確認を行っております。
  256. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 免許審査時にその確認がされておるとすれば、このシステムが障害を起こしたことによって顧客が莫大な被害を受けたときは、当然、金融庁としては訴訟を起こされた場合に賠償する責任が生じてくるんでしょうか、生じてくるんじゃありませんか。そこらはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  257. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) これはケース・バイ・ケースで、仮に免許時のときにきちっと審査をしておっても、その後の銀行の重大な過失等で何か損害が起きた場合に、それはすべてその免許時の審査の不備であったということになるケースとそうでないケースと、これはケース・バイ・ケースの判断ではなかろうかと思います。
  258. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 単純な機械の故障とか、後から起きたこと、検査時にはわからなかったこととかといろいろあるだろうと思いますけれども、許認可を与えるときにきちっとした検査が行われていなければそういうこともあり得るわけですから、ここはしっかりとやっていただきたいというふうに思います。  それから、アイワイバンクというのはイトーヨーカドーグループの銀行だというふうに聞きますけれども、これはこういう名前を出して質問するのがいいのかどうかわかりませんけれども、事業計画の修正を金融庁に提出をしたという記事がありますけれども、この事実関係についてお答えください。
  259. 原口恒和

    政府参考人原口恒和君) 新規参入銀行につきましては、まだ開業後間もない銀行がほとんどでありますので、それらについて個別にコメントすることは一般的には差し控えたいと思いますが、今、新聞記事のお話がございましたが、そういう事業計画の修正を提出したというような事実はございません。
  260. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 事実がないということですからこれ以上は質問できませんが、調べてきてまた質問させていただきます。  終わります。
  261. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時五十七分散会