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大門実紀史君 今、
財政構造改革のお話を聞いているわけではありません。
経済全体の話をしているんで、ちょっと絞ってお答えいただきたいというふうに思います。
例えば、
成長分野に投資すれば必ずうまくいくというわけじゃないんですよね。この間のIT、電機の各
企業が、さっきも言いましたけれ
ども、これからはITだと、ITバブルというようなことを見込んで過大な設備投資をやって失敗だったと、見込み違いだったということで、
経営者責任を棚上げにして今リストラやっているわけですよ。こんなことをやったら、幾ら
成長分野に投資したって、またリストラやっているわけですから、必ずしもその
成長分野への投資も、そんなに紙にかいたように、きれいごとといいますか、うまくいかない場合もいっぱいあるわけですよね。
だから、この二つ目の論理といいますか、不採算部門を切り捨ててリストラやれば収益上がるのはわかりますけれ
ども、次に
成長分野に投資すれば必ず需要が伸びる、必ず需要が開花されるんだというのは、私、非常に論理の飛躍といいますか、これはすき間があると思うんですよ。そうなるためにはさっき言った幾つかの条件がそろわなきゃいけないと。それだってどうなるかわからないと。つまり、
構造改革やらないと
景気回復なし、つまり
構造改革をやれば中期的にも
景気が回復しますという論理そのものが非常にあいまいなところを含んでいるし、下手すれば合成の誤謬なり、さっきの話を含めますと悪くなる可能性だってあると、私はその方が高いと思いますけれ
ども。それが今の、いろいろ言われて、余りだれも疑問を持たないといいますか、そうなのかなと思っているような
構造改革論ではないかというふうに思います。
今、将来不安の話も出ましたけれ
ども、申し上げたいのは、
構造改革なくして
景気回復なしという、このスローガンといいますかメッセージといいますか、これそのものがやっぱり不確定要素あるいは心配要素をいっぱい含んでいるということを私は
国民の皆さんにはっきりと言うべきだと。それを抜きに、あたかもよくなるようなイメージだけでやっているような気がして、これは後で大変なことになると。それを信じて
国民の皆さんが小泉さんなり支持してやって、何の保証もないわけですよ、私から言わせれば、中期的には、このメッセージといいますか、このテーゼそのものが。そういう点ではもうはっきりと、短期的には悪くなります、中期的にはわかりませんと言うべきだと私は思います。
結局、この
構造改革論そのものが、先ほど
経済学の話をされましたけれ
ども、私もいろいろ読ましてもらいましたが、簡単に言えば、ミクロの会社
経営学みたいな話を全体に広げているようなところがあるわけですよね。これはマクロの観点で需要をどうするかと見ていかないと、一方的な、規制緩和すれば会社が頑張るみたいなことばかりの話になってしまうというので、先ほ
どもありましたけれ
ども、
経済対策全体として需要をどうするのか、どうやって今の需要を支えながらやっていくのかという観点を持たないと大失敗するというふうに思います。
将来不安の問題で
一つだけお
伺いいたしますけれ
ども、私は、この
構造改革論、小泉さんの
構造改革論そのものが、先ほど言われましたけれ
ども、将来不安の要素いろいろあると、将来不安そのものを私はあおっているというふうに思うんですよね。
これはもう言うまでもありません。社会保障の医療改悪、年金、どうなるかわからないと将来不安になってきますよね。
企業もリストラをやって供給力を高めなさいと言われるわけですよね。もう
不良債権処理では失業、倒産がふえるわけですよね。このメニューそのものが将来不安をあおる要素の方が多いというふうに私は思います。
そういう点でいきますと、もう悪循環をやっているんではないかと。消費が低迷して、さらにこの
構造改革というメッセージを出せばまた将来悪くなるんじゃないかというふうに、こう悪循環に入っているというふうに思えば、私は、何が何でもこの
構造改革を進めれば
景気回復が成るんだということそのものがもう崩れているというふうに思っているところです。
先ほど将来不安のことがありましたので、
一つだけ申し上げますが、そういう点で、この
構造改革路線そのものが将来不安をあおって需要を低迷させているという点では、
財務省がこの間、医療改悪案を厚生省案よりもさらにきつい、負担が大きい案を出されましたけれ
ども、この中身はきょうは触れません、これは厚生労働でやるべきことですから。そういう
構造改革ということでさらに将来不安をあおる、
財務省自身があおるということについて、需要低迷との
関係でどういうふうにとらえておられるのか、最後に伺って、
質問を終わりたいと思います。